通 史 昭和51年(1976) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和51年(1976) 3月5日号

 九州山口三者懇談会 流通問題小委員会を設置 鹿児島流通は地元解決で

 九州山口ブロック医薬品小売商業組合(白木太四郎ブロック長)は二月二五日(水)、各県理事長会を午前一一時から、卸との二者懇談会を午後一時より、福岡県薬剤師会館会議室で開き、@全商連理事長会報告A医薬品の広告宣伝の在り方B不良不正医薬品の管理のチェックC流通問題−などに関し情報交換並びに検討を行った。

 三者懇談会は、同会場で午後二時半からメーカー・卸・小売の各代表者が出席して開催された。当日は特に中央から荒川全商連理事長、福岡県薬務課の古賀技師が参会、藤野義彦氏(福岡県商組専務理事)の司会で開会し、座長団に白木太四郎(福岡県商組理事長)吉村益次(九州卸連会長)村上要吉(武田薬品工業支店長)の三氏を選出した。

 まず、荒川全商連理事長は「ブロック会は、全国的にみて、九州山口県のみが関係業者の各代表者が出席され確実に運営されていることは誠に喜ばしい。流通問題は過去一五ケ年間取り組んできたが未だ解決しない。去る一月一九日の熱海での会合で、流通秩序の是正についてメーカー・卸・小売より各三名選出し委員会を設け、基本的問題を協議することで合意した。第一回委員会は三月五日に開く予定である。全商連としては今後ともメーカー・卸との話し合いを積極的に進めて行く方針。この九州山口懇談会は中央での懇談の手本として取り上げていきたい」と挨拶。次いで議事に入ったがその主な内容は次のようである。

 ▽全商連理事会報告=白木(福岡)
一月一九日熱海市で全商連移動理事会が開催された賦課金値上げ(五〇%〜一〇〇%)がきまり、なおメーカー・卸との懇談会では流通問題の正常化に積極的に取り組む必要から、メーカー・卸・商組代表各三名をもって流通問題小委員会を設けることとなった。

 ▽医薬品の広告宣伝の在り方について
(1)福岡県薬務課古賀技師より、東京都薬事審議会で検討中の広告規制について、@広告ビラの回数の問題A全薬局薬店のフンドシビラ全廃B医薬品とその他の広告の区別−などが研究されている実状報告があり、福岡県においてもこれらを参考として業者の意見も取り入れ、衛生部長名で通達を実施したい旨の発現あり。

 (2)藤野氏(福岡)より、東京都薬の都議会への請願内容について、次のように説明された。@消費者を誘引するような販売は医薬品の本質から好ましくないA会員薬局は医療機関として脱皮すべく努力しているが、価格競争や販売合戦はこれに逆行するものB都民の真の利益は価格でなく適正な使用の助言と専門的知識の還元である−など。

 ▽不良不正医薬品の管理チェックについて
アセトアニリドやキニーネなどを入れた家庭配置薬が未だに出廻っていることが問題となった。厚生省はこの種の使用禁止品目製剤を回収の手配をしているので、十分取扱いに注意を要する。

 ▽流通問題について
(1)前回の三者懇談会で検討された鹿児島市における混乱状況については、川島氏(鹿児島)よりその後一部鎮静されつつあるとの状況報告がなされたが、本件については地元の熱意不足も見受けられるとして、地元鹿児島での解決意欲の盛りあがりができた時点で改めて協力すべき−との結論を確認した。

 (2)流通正常化のために、ロット番号の卸業での記帳の徹底、試買による流通追究及び現金卸業者の動向調査−などの必要から、左記決定。
@ロット番号品目については、卸業者とメーカーと相談のうえ数品目を指定し、三月中に提出。
Aメーカー・卸・小売より代表各三名からなる小委員会を設立する。メーカーは新薬メーカーと家庭薬メーカーを分け二部制とすること。各代表メンバーを三月中に提出。(@Aとも提出先=白木福岡県医薬品小売商組理事長)なお、次回開催日は小委員会を開く。期日は四月二七日新薬会を午前一一時、家庭薬会は午後二時半よりと決定。

 福岡市薬 理事・部会長会 調剤業務指導を強化 会費値上げ等を審議

 福岡市薬剤師会(斉田和夫会長)は二月一九日(木)午後一時半から第四九会理事会を、三時半より第二八回部会連絡協議会を福岡県薬剤師会会議室で開催したが、その主な内容は次のようである。

 ▽会長挨拶=斉田会長

 ▽会務執行報告=藤野副会長
@一月一四日の理事会での決定事項A二月二〇、二一日開かれる日薬代議員会に関する事項−」など。

 ▽県薬・日薬報告事項について=斉田会長
四月より社保調剤業務指導は小須賀正義、三根孫一柴田伊津郎、上田ヨシエ、榊チエの五氏と、特別指導者として藤田胖氏の計六名によって実施していく。−など。

 ▽市歯科医師会との標準処方について=荒巻専務理事
昨年一〇月、市歯科医師会と打合せを行い、従前より削除、新規採用を取り入れ処方箋発行が速かになるようにした。印刷出来次第各保険薬局、歯科医師へ配布する。

 ▽部会再編成の件
医師会では福岡市を区制単位で運営することになったので、市薬剤師会もこの線にそって再編成の必要も考えられる。これにつき、常務理事以上の役員で委員会を設置し、検討することとなる。

 ▽不良・不正医薬品の在庫管理について
会長より、小児用かぜ薬シロップ剤で文字をシール等で覆い、大人用として販売し一度に飲ませる事例が県内で発生し問題化したこと−など報告され、十分な注意喚起が行われた。なお日薬賠償保険について勝目理事より実情説明あり。

 ▽女子薬剤師の掘りおこし対策について
福岡市部内で勤務していない女子薬剤師が約二五〇名あり、この実態調査を行う。なお女子薬剤師を重点に、その掘りおこしも兼ねて研修会を行うことを確認した。

 ▽母子ミルク受給について
山手商組専務理事より、五〇年四月〜五一年三月分については、年度切替の関係で、四月一五日まで必ず本会事務所に届けること、これより提出が遅れるものについては市からの支払いが不能となる−との注意が行われた。

 ▽会費について
竹尾会計担当理事より会費納入状況報告があり、未納部会は是非三月までに納入方要望あり。五一年度会費については原案を提示し承認を得たので、これを以って来るべき市薬代議員会に提案することとなった。同会費内容は実質値上げ四千円、従来の別途特別会費と森下後援会費の計三千円を五一年度は職能対策費とし会費に加算することとし、会費合計額は四万円となっている。なお、薬種商、勤務外の会費原案は未定。

 九大薬学部、田口教授 退官記念パーティ

 九州大学薬学部の田口胤三教授は四月一日をもって定年退官されるにつき、二月二一日(土)午後一時より最終講義「動機と着想」を約一時間半にわたって行い学生諸子に深い感銘を与え、定評のある名講義を終えた。引き続き、午後五時から、川崎学部長の発起・川副助教授が世話人となって田口教授退官記念パーティ≠ェ西鉄グランドホテルで開催された。

 当日は、九大武谷学長、遠城寺・池田両前学長、田中医学部長、青野歯学部長第一薬大松野学長はじめ二〇〇名余の参加を得て盛大を極めた。

 九大薬学部(当時は医学部薬学科)創立時の全教授七名(田口先生を含めて)のうち、津田、百瀬両先生は東京より、西海枝先生が大阪から、地元より松村・塚元両先生(塚本先生のみ風邪のため欠席)が一堂に集まったこと、なお中央より田口先生の東大同期生・友人多数が遠路参会されたことは、盛大な祝賀会に趣きを添え、和やかに終始した。

 処方箋発行のメリット・デメリット(下)「分業医師の提言より」

 ◆患者側からみた場合
<メリット>
 (1)専門技術の分離による医療の向上
医師側の専門技術と薬剤師側の調剤投薬技術の分離が完全に行われ、医師と薬剤師の協調によって医療の向上が期待できる。然しこの技術分離のメリットは直接患者が肌に感じるまでには今後、大きな努力が必要である。

 (2)処方内容の明確
処方内容が明らかにされることによって、患者の自己の疾病に対する治療の自覚と責任が高まってくる。従来の調査によると投薬の大半が完全に服用されることなく捨てられる状態のようであるが、自分が服用している薬に対する自覚によって、従来の薬に対する安易な考え方が修正され、日本人の所謂薬禍問題も自然に解消されてゆくと思う。

 (3)投薬法がより明らかとなる
薬剤師の責任と義務において、処方内容の確認、医薬品の品質管理が充分に行われ、安全性のより高い調剤が期待できると共に、服用方法や副作用についての説明、指導が充分に行われることができ、従来医院の窓口で単に「食後に服んで下さい」といった一言がなくなり、患者としては正しい薬の服用が安心して出来るようになる。

 (4)薬局の自由選択
調剤薬局が整備された時点では、患者によって処方箋依頼の選択が自由となり通院の時間の短縮等、また薬局の整備を向上させる点にもなる。

 (5)投薬待ち時間の短縮
医院での処方箋待時間は問題にならず、薬局の待時間も専門技術者の手法により、医院での調剤時間より充分短縮され、また前述の自由選択権をも加味すると投薬待ち時間は従来に比べて大きく短縮される。

 <デメリット>
 (1)薬局に足を運ぶ不便さ
確かに二度手間であるデメリットはある。然し通院患者動線上の薬局を指示することによってさして問題はないようである。拙院に於てこのデメリットの苦言は医院側より薬局側に提せられるようで、薬局側がこれに対して処方箋発行の意義を充分に説明することによって解決されるようである。この問題は今後の薬局の適正配置の問題として後述したい。

 (2)家族分の費用負担の増加
従来通院中の患者が、処方箋発行に移行した場合、家族一部負担金の増額は確かに医院側で処方箋料五〇点、薬局側で基本調剤料二〇点が最少増額となる。この苦言も不思議と薬局側に向けられて医院側にはなんら苦言らしきものはない。然し一ヵ月を過ぎてしまうと、金額に関する苦言は殆ど皆無となるようである。以上の二点のデメリットから患者数が減少するという想定は全く当を得ていないようで、私の経験からして全く考慮の余地はない。即ち、医療は患者対医師の人間関係によってなされるもので、この関係が充分になされておれば、なんら心配のないことであろう。

 (3)加療即投薬というパターンの変化
所謂今迄の医療パターンの変化により前述の種々デメリットが考えられ、また何か医療体系に大きな改革がなされたかの不安感を患者に与えることは事実であろう。特に周囲の医院から一人だけ先走って実施する不安感を患者にまで及ぼすことは、一番注意しなくてはならないことである。

 (4)僻地、休日、夜間体制の不備
将来の問題として僻地、休日、夜間に於ける調剤体制を如何に整備するかは、薬剤師会の将来の問題であり、又、調剤センター、備蓄センター等の問題もDTの問題も大きな課題として医師会との協力の下に推進すべきものであろう。

 ◆薬局からみた場合
<メリット>
 (1)薬剤師本来の知識技術を充分発揮出来る。即ち薬剤師ライセンスの新しい真の発揚の時期来れり、というべきであろう。雑貨と売薬の販売から、医師の処方箋調剤という誠に厳粛なる転換である。薬剤師本来の知識・技術を思う存分発揮出来ることである。

 (2)薬剤調剤技術料の増収
基本調剤料など自家調剤料、調剤料による収入は大きな増収となる。

 <デメリット>
 (1)薬局待合室の増設と調剤室の整備
前述の如く医院の待合室が整備された分、薬局の待合室の整備が必要である。患者が投薬を待つに十分適応した場所と設備が必要である。また調剤室も充分に整備する必要があり、新しく開設する調剤薬局は当初より設計することで充分に対処出来るが、既存の薬局を調剤薬局に改造するには相当の勇気と設備投資が必要である。また、従来の薬店と調剤薬局との調和を如何にするかも大きな悩みとなろう。

 (2)一定処方箋量の確保までの不安
調剤薬局は開設したが一枚も処方箋がないのではないかという不安が大きいと思う。この点は後述する医師との連携が一番重要なポイントであろう。

 (3)請求事務の増加
調剤レセプトの作成という事務量が大きく、今迄にない作業としてクローズアップされてくる。処方箋内容を全部記載する請求事務は相当負担なるようで、今後調剤セレプトに関する簡素化も研究すべき問題であろう。

 (4)事故責任の不明確
二つの問題がある。一つは保険請求時に医師側で保険記号番号の誤りを犯した場合に薬局に於ても同時にレセプトは返戻されてくる訳で、この保険請求の誤りの責任を如何に理解協調するかよく相互の理解が必要である。もう一つは前述した薬剤副作用等の医療上の問題でその責任の分担は出来る限り明確にすべきであるが、処方箋発行のシステムの中でこの分担を如何に明確にするかは非常に困難なことのように考えられる。将来医師会と薬剤師会との充分な協議が必要だろう。

 ◆今後の問題点
 (1)調剤薬局の整備と適正配置
調剤薬局の整備は充分なるチェックが必要であり、また機能的整備も充分になされなければならない。最高裁の決定により薬局の距離制限廃止によって、今後最も憂慮すべきは調剤薬局の乱立である。この点に関し地区薬剤師会は地区医師会と充分な連絡をとって、その地域医療に適合した適正なる配置が必要であろう。調剤センターも医師会の検査センターの如き地域医師会を中心とした地域医療システム下に最も適合したものにもり上げてゆくべきで、処方箋発行という体制を安易に考える時に必ずや乱立現象が発生すると思う。

 (2)薬剤師の再教育と技術向上
既存の薬店薬剤師が直ちに調剤薬局化することは非常に危険なことである。必ずそのためには、大病院に於ける充分なる調剤実習と技術の研修が必要で、新薬の登場により益々この必要性は高くなると思う。
薬剤に関しては全面安心して技術をまかせられる薬剤師の存在が吾々医師にとっては最大の関心事でもある。

 (3)薬局の請求事務の簡素化

 (4)医療過誤責任の明確化

 (5)僻地、休日、夜間体制の整備
以上は前述したので省略する。

 (6)第二薬局との問題
病院の第二薬局開設も数が月々増加しているようで病院経営上非常なメリットであることは言をまたないが、この開設に当っても、前述した様にあくまでも地域医療のシステムの下での一環として周囲医療機関との充分なるコンセンサスを得ることであろう。

 (7)処方箋料、調剤料の引上げ
技術料の一環としての今後の引上げを大いに強調し研究すべきであろう。

 処方箋とはいったい何であろうか、この一枚の紙片が患者の個性に対応してその疾病に対して最も効果的な医薬品を選ぶもっとも重要な情報源であることを再認識して、今後の地域医療に於ける処方箋発行の体制に進んで対処すべきであろう。

 医薬分業というこの新しい体制は患者不在であってはならない。医療の主体は患者であることをよく念頭において、医師と薬剤師間の相互理解という正しい人間関係によって初めて花が開いてゆくことであろう。(東京・北多摩医師会副会長)

九州薬事新報 昭和51年(1976) 3月15日号

 日本薬剤師会 第三九回 通常代議員会 石館守三会長を四たび選出

 分業推進で会員の奮起を

 日本薬剤師会は二月二〇・二一日の両日、東京渋谷の薬学会館で第三九回通常代議員会を開き総額四億二千九十四万二千円の予算案分業推進を中心とする事業計画案、会費値上げ案(開局千円、勤務五百円)等を原案どおり採択、役員改選では石館守三氏を会長に再選(四選)するとともに、副会長を四名に増員、野上寿、近藤緑郎の現副会長に加え平岡源一郎(大阪)、望月正作(専務理事・東京)の両氏を選出した。

 二〇日冒頭、石館会長は会長演述を行い、その中で医薬分業の進展状況について@ある地区では急速な進展が見られつつあるが、全体としては停滞状態にあるAこのままの状態では五年後五〇%達成は極めて困難B万難を排して受入れ体制の確立と、薬剤師職能の実力を涵養することが必要C分業推進は単に法令や強制力をもって遂行するものではなく、あくまで薬剤師側の努力と医師との共同作業のもとで実現を図るべき−として、マンツーマン、マンツーグループの分業推進を強調した。

 しかし将来の問題として、これ以上どうにもならないと云う段階であるいは強制力を発動してもらわねばならないかも知れない。とも述べ、法による強制分業もあり得ることを初めて示唆した(この発言は分業が或る程度定着した時点で、一〇〇%分業を実現するための強制という方向を示したものとみられる)。

 なお、薬学教育問題について、今日の医療技術と供給の革新などに対応して臨床薬理、薬物相互作用の知識を修得した薬剤師が求められている−との観点に立って、日薬の薬学教育案を五一年度から実施に移す方針を明らかにすると共に、卒後教育、情報活動の充実・強化をはかる−と述べた。

 副会長選出に関しては、「ブロック代表は誤りであった」との石館会長の意向を受けて、職域代表として前記四氏を選出したが、定員は五名となっているので病薬関係から補充される公算が強くなった。
ブロック代表質問、一般質問で、当面する諸問題に対する質疑応答の主な内容は左記のようである。

 ▽第二薬局
一〇〇%処方箋発行を約束された第二薬局が効率がよいのは当然だが、専門薬局という一面を持つものもあろう。こうした薬局は仲間として一緒に分業を推進できるのではないか(望月専務)。第二薬局は一大関心事である。しかし薬事法上の不備がなければむげに反対もできまい。また反対を訴えるならばそれだけの大義名分も必要になり、薬剤師側が主体制を確立することが大切だ。しかし公共性という点から我田引水という方向がはっきりするならば制裁を加えることもできよう。分業推進ということもあり一概には論じられない。ケースバイケースで処理することが必要だ。特別委を設置せよという声もあるが必要があれば作ることはやぶさかではないが効率的かどうか(石舘会長)。

 ▽分業推進
班組織でキメ細な対策を行う。ブロック毎に講師を選出、スライド等を活用する方法も検討している。日薬としては処方箋調剤における薬剤師の責任の範囲を研究する。当面はドラッグインタラクションがメインになろう。そのためアメリカの例も検討する。

 ▽付加価値税
森下議員を通じての感触では自民党の意見も固っておらず、具体化するとしても再来年とみている。何れにしても政府が新しい財源として新設する公算は大きい。日薬ではEC諸国は生活必需品は非課税または税の軽減という措置がとられており、十分調査してその方向で対処したい。

 ▽銘柄別収載
日薬では調査、算定、収載についての考え方をもっているが、今回は銘柄別収載だけということになったこれはメーカーが自社製品の価格に責任を持つということを意味する。

 ▽薬価調査
日薬では月間三〇〇枚以上の処方箋を扱う保険薬局を三ケ月にわたって五〇品目の購入価格を調べたら購入価格は薬価の一割引という結果だ。しかし調査方法に問題もあり、今年は中止し、来年度実施する。

 ▽医薬品分類
日薬では要処方箋薬、要薬剤師薬という方向を検討している。欧米でも要薬剤師薬という考え方があるが今後こうした制度を薬事法に盛り込みたい考えだ。要注意薬もこの一環だ。

 ▽大衆薬の値上げについて
GMPの実施のはね返りを受けて大衆薬が値上りしているという声があるが、まだ全面的には出ていないようだ。厚生省も検討しているのでそうムチャな事はしないと思う。しかし大衆薬の値上げはここ数年来続いており急におさまる要因は見付かっていない。不当なものがあれば厚生省にも申入れるが今のところはそうしたものはないようだ。

 福岡県薬 社保指導者研修会 説明・実習を実施

 福岡県薬剤師会の社会保険委員会(藤田胖委員長)は二月二六日(木)午後一時より、調剤報酬業務についての指導者研修会を福岡県薬剤師会会議室で開催した。

 当日は、参会者三五名の多数にのぼり、藤田委員長のほか中村副会長、神谷専務理事、安部常務理事、松井事務長が参加して、報酬業務についての説明と、処方箋による請求書作成の実習を行ない、多大の成果をあげた。実習にさきだち行われた挨拶と説明の骨子は次のようである。

 ▽中村副会長
保険業務は変動がはげしく複雑であるので十分な研修をお願いすると挨拶。次いで関係法規等につき一部説明あり。

 ▽神谷専務理事
(1)福岡県は返戻率が高い。これは請求業務に精通してないことが原因とも云えるので十分な習得と練達を願い度い、なお支部請求業務のレベルアップを積極的に進めていただきたい。
(2)実習用の処方箋について詳細説明あり。
(3)分業情報として@中医協動向A今回の県医師会の役員改選で分業に好意的な前原市の知花医師が理事に選出された。今後の分業推進の良い要素と考えられる−ことなど。

 ▽安部常務理事
中央情報として日薬代議員会出席報告、特に各ブロック代表質問について。

 ▽松井事務長
保険調剤報酬請求要領(プリント)について@技術料・薬剤料A窓口徴収・請求要領B諸法と併用する場合の負担割合。

 ▽藤田委員長
分業はマンツーマンで、医師との対話で進めることにより進展を図ること、分業認識が高まっている現状を踏まえて、積極的に話し合いを初めて戴きたい。マンツーマン→地域→全体的と進む。本日は、会員の指導をして戴きたいことを基本において、一つ一つのレセプトの作り方を一緒に研究してみたい。

九州薬事新報 昭和51年(1976) 3月25日号

 福岡県薬 理事会・支部連絡協議会

 保険薬局は医療機関として相応しい薬局明示名称に

 福岡県薬剤師会(長野義夫会長)は三月九日(火)第二四五回理事会と第一九六回支部連絡協議会を県薬剤師会館会議室で開催した。

 当日は薬務課より岩橋課長、内藤課長補佐、古賀技師が出席、神谷専務理事の司会で進められたが、支部連絡協議会では冒頭長野会長は「本協議会は今年度最終の支部連絡会であるが、各位の協力と支援に対し深謝申し上げる、と共に本日の協議事項につき十分な理解と協力を更にお願いしたい。我々の多年の悲願であった分業が只今、身近かにせまっている。過去長い間我々は分業から遠ざかっていたために、分業を推進していく上で種々の問題をかかえているが、我々は我々の知恵でこれを克服していかねばならない。済生の薬学≠体し、医薬分業を目指して進もう」と挨拶、次いで議事に入ったが、そのおもな内容は次のようである。

 (1)分業状勢について
順調な進度を示しているが、応需が片寄っている。大川会営薬局、北九州・粕屋地区の調剤薬局が最近特に伸長。

 (2)営業姿勢について
@一月中旬、小児用かぜ薬シロップ剤を大人用として一度に服ませる事例が発生。十分な注意をすることA「ピル」の売り方について注意B覚せい剤は原末を使うことなく、倍散を使用すること−など。

 (3)保険薬局の名称について
保険薬局の名称が医療機関として相応しくないものがある。これは医師・大衆サイドよりも好ましくないと解される。保険薬局であって「薬局」の文字を冠しない薬局を調査した結果、県内で四三軒あった。薬剤師のモラルを踏まえて@今後出てくる保険薬局については地区薬剤師会で指導するA既報のもので問題のあるものは行政当局の力も借りて○○薬局、薬局○○と改めるよう検討していく。

 (4)請求手数料の賦課について
三月請求、四月提出分より県薬へ納入。

 (5)保険請求についての注意事項
老人の請求方法の変更、二月二六日に開かれた県薬社保指導者研修会報告(内容=既報につき略)

 (6)県代議員会について
三月二六日(金)午前一一時より開く。資料を必要とする質問事項は会の進行上、前日までに申出ることとする。なお五一年度会費値上げ案提示され、支部長全員の諒承を得る。

 (7)卒后教育について
三月一六日より短波放送「薬学の時間」で行われるにつき、テキストの購入と受信機の斡旋につき説明あり。テープは県薬でも購入する。

 (8)日薬ファーマシストの配布について
郵便料値上げ、班組織強化の意も含めて、班長あてに一括送付する。班組織のない所には支部へ送る。現在班編成の出来てない所は県薬へ通知のこと。

 (9)調剤研修指導者協議会
厚生省主催日薬後援によって三月六日広島において開催され、県薬より六名出席、今後の県としての研修会に大きく益すること‐などが報告された。

 (10)国保連合会への審査委員(一名)の選出について
公益委員の立場で、新年度の四月一日より審査委員一名の選出が県薬へ委托されたので、藤野義彦氏(県薬常務理事)を推薦し、決定。同審査委員は薬剤師としては始めて。

 (11)日薬代議員会報告
二月二〇、二一日に開かれた第39回通常代議員会に出席の安部寿、磯田正春、西元寺清継、芳野直行、藤野義彦の五氏より各々報告が行われた。九州ブロック代表質問者である磯田氏の質問内容は後掲の通りであるが、その理論、態度等出色のものであったとの評である。
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◆第39回通常代議員会、九州ブロック代表質問
(1)政治力の強化について
日薬は関係省庁、日医、中医協、政党などに対する交渉態度が弱く、頻度も少い。医薬分業には与野党も賛成であるので、石館会長も武見会長まではゆかなくとも、厚生大臣と石館田中会談ぐらいは時々やってもらいたい。いや石館三木会談も開いてもらいたい。

 (2)経済問題の解決について
会長は再選されたら五名の副会長を希望していると聞いたが、この際、政治及び薬業経済関係の実力者を副会長として委嘱し、次の問題の早期解決を図るべきだと思いますが、石館会長の考えを伺いたい。
@分業の進展を阻害している医薬品の適正流通問題
(他ブロック質問と重複のため内容は略)
A税制の適正化
即ち法人経営調剤薬局の事業税を医療法人と同じく非課税にすること。調剤報酬に対する一〇%源泉徴収を医師と同じく五%にすること。

 (3)病診勤務薬剤師の技術評価について
先ほど大阪、北海道、近畿ブロックからも同様主旨の質問があり、分業の進展と相俟ってと云う答弁でしたが、昨年の二月と八月、今度で三度目ですが、これの推進に年次計画的なものがあるのか伺いたい。これでは日本病院薬剤師会の会員も、石館会長の構想である日薬傘下には入って来ないと思うが、それでも良いと思いますか。私もその一人です。

 (4)分業推進について
@末端組織に班を編成してその責任で分業を推進させ本会は必要な援助を行うと云っていますが分業不振地区の実態を調査し、分業を推進するきめこまかい中央的指導、対策が必要と思うが、その点はどう考えておるのか。また必要な援助とは具体的に如何なるものかA今後、分業推進のための会としての日医、日歯対策があれば承りたい。

 (5)医薬品再評価の報道について
厚生省の再評価発表にもとづく日刊紙などの報道は国民に医薬品に対する不信感を植えつけるような表現や製造中止品、現在使用されていないものまで発表し国民をまどわす恐れがあると思うが、日薬としての対策を伺いたい。

 厚生省

 分業の薬局実態調査発表 調剤は売上高の一・九%

 厚生省薬務局は三月三日に、昨年八月実施した「医薬分業に関する薬局等の実態調査」の結果を発表した。同調査は四九年に続いて二回目。調査対象は全国の薬局、一般販売業で前年度調査客体から五分の一を無作為抽出。回収票数は四千八百三十八、回収率八二・二%(保険薬局は九五・五%、三千五百十三店)。

 実態調査結果のおもなものは左記のとおり。
@保険調剤を実施した薬局が八三・四%で前年度より約一〇%増加した。
Aしかし、全売上高に占める調剤報酬額は一・九%で未だ低い。
B五〇年四月〜六月の三か月間の一保険薬局当り取扱い処方箋枚数は一七三・四枚で、前年度より七〇%増加した。
C分業の指導的薬局になりたい一〇・八%(前年度六・二%)、調剤に重点をおきたい二一・五%(前年度二四・八%)などの意欲的薬局の増加もみられるが、反面、遅れない程度に準備を進める薬局が五八・二%(前年度五五・〇%)で、分業意識の末端への浸透に問題を残している。

 同発表に対し、月刊紙・NHKなどマスコミは一斉に医薬分業についての報道を行った。その内容は概ね次のようであるが、分業進展に基本的には賛意を示していると受け止めてよい。

 ▽医薬分業のメリット
@過剰投薬がなくなる、A医師の処方箋は薬剤師がチェックできて、安全性が高まる。

 ▽分業体制が進まない大きな原因
@薬価基準よりも実勢価格が安く、その利ザヤが大きい、A医師は患者に薬を出すという明治以来の伝統がある、B処方箋を出すと患者が来なくなると心配する、C薬局側も分業に消極的である。

 ▽分業計画の狂い
五四年までに分業率を五〇%にしようとする厚生省の計画は全く狂い、計画の再検討・修正が必至となった。