通 史 昭和50年(1975) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和50年(1975) 3月5日号

 福岡県薬 第6回 調剤業務研修会 四ブロックで開催、成果あがる

 福岡県薬剤師会(長野義夫会長)はこのほど第六回調剤業務研修会を開催。今回は既報の通り二月一七日の福岡会場における前講義に始まり、一八日北九州会場、一九日筑豊会場、二〇日筑後会場で各々前講義が行われ、引続き各地区毎に二日間、調剤研修指定病院で実地研修を実施したが、各会場における前講義ならびに指定病院での実施研修ともに、これまでにない大多数の参加者があり多大の成果をおさめてこのほど終了した。

 同研修会の福岡会場における前講義の内容をあげると次のとおり。
▽開講の辞=県薬剤師会副会長白木太四郎。
(要旨)本年は分業推進の重大な年である。これを安易に過したならば、或いは分業は永久に我々薬剤師の手から離れるかも知れない。このことを厳しく認識して積極的に分業を行なわねばならない。次いで日薬の処方箋受入れ態勢の構想などの中央並びに県内情勢の説明があってのち、本日の前講義並びに引き続き行なわれる実技研修において十分な研鑚をして早速処方箋の受入れに取り組まれたい、と強調した。

 ▽研修開始にあたって=県病院薬剤師会会長堀岡正義
▽講義
(1)調剤総論=九州大学病院薬剤部長堀岡正義。
(2)調剤各論=九州大学病院薬剤部調剤係長金枝正巳。配布資料…福岡県病院薬剤師会編(一九七五年二月)@調剤と調剤技術A実習用処方集。

 なお、九大病院における実地研修は四班に分かれ、第一班は二月二〇日と二一日に開催された。(二班は三月六日と七日、三班は一三日と一四日、四班は一七日と一八日)
第一班の研修終了後の午後四時より一時間、受講者間で調剤実地研修の反省会を兼ねて、備蓄薬品、店舗の改造、診療報酬の請求事務、医師への分業アピール方法など分業に取り組む姿勢について処方箋調剤経験者(白木太一郎、斉藤正一荒巻きわの諸先生と特別参加の九大病院恵愛団薬局の清水水一郎先生)を中心にして意見交換を行った。最後のしめくくりとして研修会の成果をより一層高めたものとして評価されている。この意見交換会は引き続いて行われる各班でも実施される。

 堀岡県病薬会長挨拶(要旨) 「研修開始にあたって」

 分業について薬剤師自身が、日薬とか県薬がやってくれないから自分達はやれないと、非を他に転嫁するそして自分は何もやらないことがあったと思います。日薬や県薬がやっていることは十分とは云えませんが分業は我々薬剤師自身のためである。分業を行うことは安易な道ではありませんしかし、薬学を専門に修めて分業の特権を持っている薬剤師が分業を行ない得ないことは何んとしても悲劇である。
分業に対する福岡県皆様のアンケートによると、可成り積極的にやっている方がいる反面自分達の応需体制が出来てから医者に話しに行くとか、医者の所に行きたいが仲々暇を持って話しに行けないとか、があります。

 分業ほど或る意味では利潤の得られる確実な商売はありません。診療報酬を要求することは国に預金するようなもので貸し倒れは全くない。世の中で金を持っている者がこれを見逃す筈はないわけです。
若し、皆様が徒手傍観しているならば、非薬剤師は必ずこれに手を染める。

 そのためには、今すぐ医院の門をたたき自分の分業の意志を表現すべきと考える。ある程度準備を進めてから医師のところに行っても時間の空費を重ねる事になるのではないでしょうか若し、医者が明日からやってくれと云われた場合、受入準備のために三ヶ月位の猶予がいると相談して、それを認めない医師はないと思います。この方針でやられたら如何でしょうか。

 今年の前半の間に薬剤師の過半数が分業に対する積極的な意志を表明しなければ分業ムードは可成り弱まってくるのではないか。即ち今年の分業は昨年より引き続き今年の前半が薬剤師にとって最大の勝負どころではないかと私は思うのです。

 我々病院薬剤師の立場でありますが、第二薬局の問題等があり、一部には自分達の職場が奪われるのではないかとの危惧があり、一部にはそのような事態が起るかも知れないが。我々病院薬剤師の医療機関における熱心な努力にもかかわらず、私達も薬剤師の一員であるから、私は世間から薬剤師と云うものが評価が高く得られないならば病院薬剤師の評価もなされないと考えます。その意味において開局薬剤師の方々に有効な技術援助の手を差し伸べたい。そして誠心誠意、皆様が分業の応需体制が出来るだけのご協力を申し上げたいと考えます。

 昨年一一月福岡県においては八〇〇余軒の参加を得て、医療改訂の説明と最低限の調剤教育を特別に行ないましたが、その時の調剤教育は講義だけであったが今回の研修会においては、これより一歩を進めるかたちの「あるべき調剤」を追求してみたいと云う企画であります。本日の講義を始めとしてあと二日間、皆様は各々の病院にわかれて実地研修を行うわけですが、このような指導方針でありますのでどうか初心にかえって勉強して戴きたいと思います。

 実地研修を我々は敢えて二〇余の病院に分けて実施することは、それが一つのきっかけになって、その病院の方々と知り合いになると云う事です。今後、機に応じてその病院へ行って自分で勉強して戴きたい、その橋渡しをすることが今回の病院を分けての研修の意味合いです。どうかこれを機会に病院薬剤師をコンサルトして、更に又研修後も引き続き調剤の技術を高められるようにご研鑚下さいますよう御願いいたします。

 県薬だより 薬事法及び覚せい剤 取締法の遵守について

 福岡県薬剤師会(長野義夫会長)は二月一五日、?題に関し次のような通告(要旨)を理事・支部長に行ない、会員に対する周知徹底方を要請した。

 標記については二月一二日の支部長会議の席上で報告したが、入替りに別紙写のとおり県衛生部長からの文書で遵法を換起された。医薬分業が、ようやく軌道に乗ろうとしている時、このような不祥事が起きることは誠に遺憾で、対症投薬を含め、要指示薬、劇毒薬、劇毒物等の販売については十分に法規を守らねばならない。なお、ニトラゼバム(ネルボン、ベンザリン等)によるトラブルが、全国各地で起きている。本品は四月一日(運用は七月一日)より要指示薬に指定されているが、適用日前においても十分注意が必要である。

 ▽添付文書
最近本県内の薬局で「催眠薬」、「せき止め」等の医薬品を販売し、購入者との間にトラブルを起した事件について、薬事法及び覚せい剤取締法違反の疑いで調査したところ、何れも、かなり以前から医薬品製造業の許可を受けずに自己処方(医師、歯科医師等の処方せん、又は薬局医薬品製造業の承認許可範囲の処方によらず)により製造しており、更にその成分分量からみて、劇薬に該当し、かつ「せき止め」は覚せい剤原料を含有した医薬品であることからその取扱いは特に慎重を期し適正に行わなければならないにもかかわらず法令に基づく取扱いが全くされてない。以上の行為は薬事法並びに覚せい剤取締法の規定に明かに違反している。

 近時医薬品に対する副作用問題、安全性問題が社会的にも強く望まれ、又一方医薬分業の本格的な実施への気運が高まっており、医師、歯科医師との話合いが中央地方を通じて進められている時期にかかる違法行為が行なわれていた事は誠に遺憾な事である。

 薬剤師は本来適正な調剤業務はもとより医薬品の製造販売、品質管理、副作用に関すること、その他薬事衛生を司さどることにより公衆衛生の向上及び増進に寄与し国民の健康な生活を確保する社会的使命がることを再認識し、会員すべてが薬剤師としての自覚と責任においてこのような事態を厳しく受け止め、再びかかる違法行為を行なわないよう会員に対し薬事法、覚せい剤取締法等の遵守につき周知徹底をされたい。若し今後かかる違法行為が判明した場合は当部としても厳しく対処する。なお本件については当事者間で高額の示談金が支払れたとも聞いているので申し添える。

九州薬事新報 昭和50年(1975) 3月15日号

 福岡県 薬業団体連合会設立さる

業界全体の意識を網羅 強力な団体造りを意図

 福岡県薬業団体連合会(略称…福薬連)の創立総会は二月二七日(木)一一時より、県薬務課より岩橋課長をはじめ、構成の一一団体より理事者ほか一二〇余名の多数の参加があり、なお来賓として県知事、衛生部長、医師会長、歯科医師会長などの臨席を得て盛大に行なわれた。

 当日は、福岡県薬藤野常務理事の司会により、左記次第により進行され、次いで武田薬品工業椛O監査役国松氏の乾盃の音頭で祝宴に入り、薬業界今後の発展と政治力強化についての意気大いに高揚した。

 ▽開会の言葉=武田薬品工業兜汢ェ支店長村上要吉。
▽議長選出
福岡県薬副会長白木太四郎。

 ▽議事
(1)設立の趣旨及び経過報告=コーエー小倉薬品且ミ長吉村重喜。
発起人の一人として、設立の趣旨と発起人会・設立準備総会・理事会の経過報告を行ない、設立の趣旨で@業界の今日及び将来に対する危機感A社会的責任を果すべき義務感Bタテ、ヨコの有機的密接な連絡と協調C時代におくれない学習と研鑚D社会的不公正をなくす新秩序の追究‐の必要から、○イ県内の薬業関係団体を打って一丸とし○ロ社会的責任の固い自覚の上に立って○ハ県民の健康と福祉の増進に寄与すべく○ニ全会員の相互連帯・協力一致の実践から○ホ全薬業界の進歩と発展向上をあらしめること−を強調した。
(2)会則の説明=福岡県薬事協会々長吉松正記。
(3)設立の承認
(4)役員選出

 既報分のうち、@顧問に大黒清太郎(九州卸名誉会長)と深田徳次郎(前福岡県薬事協会長)の両氏を追加。A理事で、福岡県医薬品卸業協会の大黒清太郎氏を山地晨氏に変更。
▽事業計画・予算案について=福岡県薬専務理事神谷武信。
昭和五〇年度事業計画は@総会の開催A役員会の開催B表彰(薬事功労者推薦につき調整)。予算は六六万一千円。

 ▽会長挨拶=福岡県薬会長長野義夫。
私は本日午前中、大牟田市長選に立候補した古賀治先生の後援会事務所開きと其の激励会に出席してきたが千何百人もの後援会の人々が参集し実に盛大なものであった。我々薬業を営んでいる者の一員として、我々の中から地方自治体である市長を送り出すことは、薬業の基盤を高め前途を明るくするものと思うし、業界として喜ばしい次第である。薬業の使命は社会性を帯びたものであるので、目を社会に向け、社会に向けてソロバンをはじくことが必要事である。政治に対する強い姿勢を求めねばならない。医薬分業も医師と薬剤師の問題だけではない。ここに薬業諸団体が県民の健康と福祉のために一致団結して対処することとなった事は喜びに堪えない。

 ▽来賓挨拶
(1)福岡県知事 亀井光
今までばらばらであった薬業諸団体がここに一本化されたことは、毛利元就のその子に示した芸州の守りを磐石のものにした三本の矢の喩えのように、一プラス二を三でなく五とし一〇とする相乗の力を持つ事となった。今後この連合会を中心として更に業界の益々の発展を願って止まない。連合会に対し県としても出来るだけの援助を考えたい。

 (2)福岡県医師会長 青柳成利
医師会は政治の混乱の中で医療危機に直面し政治活動を展開している。吉村社長の言われた今日の目的が、地域住民又は県民の知識啓蒙、抵抗に対する啓蒙を取り上げていることに大きな賛辞を提する。長野会長は政治に対する強い関心必要であると述べたが、私も全く賛成である。皆様方と一緒に国民医療ののために努力したいと考えていますので、本連合会の発展を祈るとともに、医師会をあげて協力を惜しまない積もりである。

 (3)福岡県歯科医師会会長 堀尾義勝
祝辞代読 酒井常務理事

 ▽祝電
前福岡県薬事協会長 深田徳次郎 (株)和光堂社長 中村千春

 ▽閉会の言葉 福岡県製薬工業協会長 岡本秋之進

 福岡県薬 分業・社保合同委員会 請求事務精通の必要性が問題化

 福岡県薬剤師会の社会保険委員会(藤田胖委員長)分業推進特別委員会(安部寿委員長)は合同委員会を二月二五日(火)午後一時三〇分より県薬会館会議室で、両委員会委員と県薬より中村副会長、神谷専務理事が出席して開催された。

 議事にさきだち中村副会長は内外情勢はとみに激化しあらゆる問題が山積している、仲々困難な時期に当面しているので分業・社保の合同委員会を開くこととした、慎重な審議を願いたい−と挨拶し、次いで議事に入ったがそのおもな内容は左記のようである。

 ▽日薬代議員報告について=安部委員長
分業・社保関係事項のうち、各ブロック質問のおもなもの、それに対する日薬執行部の解答について報告が行われたが、その概略は次のとおり。
A 薬局製剤の拡充…分業の進展しつつある現況下の今は、これを取り上げるのは未だ早いのではないか。
A会営の試験検査機関の在りかた…医師の手持ちの医薬品の試験をも行うべき。
B薬務局通知の調剤専門薬局の疑義について、「もっぱら、は何か」もっぱら、は一〇〇%である。なおこれについては厚生省に確認させる。
C一〇〇品目も揃えない保険薬局は調剤薬局と云えるか…指導して一〇〇品目以上にするようにする。
D日薬の中医協引き上げ…医療の不合理化を理由に。
E薬価の問題について…現状むつかしい、ゾロゾロメーカーの問題もあるが、日薬としては前向きにメーカー団体と対策を講ずる。

 ▽難解処方の取扱いについて=中村副会長
保険事務に精通することの必要性も強調

 ▽今後の進め方について=藤田委員長
複雑な請求事務について各人に如何に精通してもらうか、その方法についての意見を求め、種々検討した結果、保険指導員会議を設置し各支部より一〜二名を推薦、県薬が指名のうえ県薬は社保・分業委員会と一緒にして毎月二六日(当日が日曜の時は二七日)に定例に実施する‐ことを確認した。

 ▽その他
@県薬務課の分業指導方針について=神谷専務理事
本日、薬務課より、近く衛生部長通知「処方箋受入れ整備について」を行うがこの内容は、薬局店頭の整備などと保険薬局は分業指向型になることが明らかにされた。
A内科医の分業アンケートについて=荒巻委員
福岡市の内科医会二〇名の分業アンケート結果は次のとおり。(総数二四、回答二〇)
全面賛成   〇
条件付賛成 一六
絶対不賛成  四
条件付賛成の内訳は‐
イ、医師の技術料が高く評価されれば
一〇名
ロ、薬剤師不信がなくなれば
三名
ハ、患者の負担額が除かれれば
一五名
ニ、薬局が近くにあれば
五〇m以内  二名
一〇〇m以内 二名

 点滴

 ▼再評価などで、すでに市場から消えていなければならないもの、有効期限・期間の切れたものについて、当然とも言える常識的な処置がとられないままになってはいないか。このようなものが、もしも末端に渡される事態が生じた時の責任をよく念頭において、ただちにその処分に着手すべきと考える。また日常、昔から言われている「先き入れ、先き出し」−初歩の管理方法の実行を。

 ▼医薬分業が着々と進展している九州山口管内で、南からの嬉しい便り−沖縄県薬経営の「財団法人・沖縄県基幹調剤センター」が今月から発足、四月には鹿児島県薬の「会営薬局」がオープンする。いよいよ春とともに医薬協業の花が各地で大きく開こうとしている。

九州薬事新報 昭和50年(1975) 3月25日号

 五〇年は 業界試練の年 医薬品在庫量が増大

 昭和四九年一〇月現在の製造所分の医薬品在庫量が一千八十四億四千九百万円にのぼっていることを、このほど厚生省薬務局経済が明らかにした。これは前年同期(五百七十七億円)の約二倍であり流通段階における在庫がやはりこれの倍以上あるとみれば、昨年末から今年にかけての医薬品在庫量は二千億円から三千億円という線が推計される。

 四九年年間の医薬品生産金額(速報値)は一兆七千二十五億二千八百九十五万九千円で、これは対前年比二四・五%増という大幅な伸びであったが、在庫量が前年の二倍もあることはそれだけ販売量が前年の二倍もあることは、それだけ販売量が落ちたのだとも云えるわけで、その理由としては、@四八年度末に起った石油ショックで、原資材料を買いだめし、寝かせておくわけにいかないので生産してきた−生産過剰A逆ザヤ品目が増加した時期に病院、診療所で買い溜めが行われ、その後の需要に影響を残した−買い控えB四九年夏頃から一一月頃へかけての添付・値下げ販売の横行でユーザーが買い過ぎてしまった−過剰在庫などがあげられている。

 かようなことにより、この二〜三か月間、薬業界にみられた異常な冷え込みが立証されたかたちとなり、五〇年の医薬品総生産金額は対前年比三〜四%にとどまるのではないか−との予測が、早くも出ている。
また、薬事工業生産動態統計では、四九年の在庫状況は月を経るに従って増加するという異例な推移をたどっており、今後回復に向うとしても可成りの時間がかかるものと見られている。そして、@販売適正化の指導強化が徹底し添付等の販売促進がはかれないA地方自治体の財政悪化で老人医療の無料化推進にブレーキがかかるB乳幼児医療の無料化促進も鈍化する−など業界にとって現在の冷え込みが正常に向うための材料はきわめて乏しい現状である。

 本年五月一日からは資本の自由化が実施され、来年一月からは製法特許から物質特許への移行が予定されていて、五一年度からは厚生省のGMP実施があり、製薬企業の前途はますます多事多難である。なお、人件費や原資材料費の高騰も企業経営の圧迫要因となっているが、その上に医薬品の売れ行きが伸びなければ製薬企業はますます苦境に立たされることになる。

 医薬品生産金額の伸びが前年比一五〜二〇%になれば、インフレ下の現況に対応できるが、三〜四%にとどまれば業界再編成のきざしも一部に出てくるのではないか、との意見もあり、五〇年は薬業界にとって試練の年となりそうである。

 49年度保険調剤の動向 福岡、佐賀両県上位を占める

 日本薬剤師会はこのほど四九年度(48年12月〜49年11月)の薬局調剤の動向を発表した。内容は大略次のとおり。

 社会保険(政管、船員、共済、日雇、組合)、国民健康保険、社会医療、国鉄共済組合の合計は六百十五万枚、百三億円で、前年比で九十三万枚(一七・八%)二十六億円(三三・五%)の増。このうち社会保険は四百二十九万枚(七十一万枚増)七十七億円(二十一億円増)、国民健康保険百五十三万枚(十一万一千枚増)、二十一億円(三億円増)、社会医療二十七万四千枚(十一万枚増)四億円(一億九千万円増)、国鉄共済組合四万六千枚(一千二百五十枚増)六千九百万円(一千三百万円増)である。

 保険薬局数は前年度より二〇四軒の増加で二万八百四十五軒であるが、調剤報酬の請求薬局は四千四百八十二軒で前年より二百七十一軒減少している。

 社会保険調剤についての内容は左記のとおり。
調剤報酬の請求薬局(四千四百八十二軒)の一か月平均処方箋枚数は三十五万七千四百二十枚。都道府県別では東京(八万二百六枚)神奈川(三万四千百七十七枚)福岡(一万六千八百十二枚)広島(一万六千八百十二枚)の順である。

 金額では一か月平均六億四千五百五十九万四千三百四十七円で東京(八千二百八十一万一千九百十五円)大阪(五千四百万五千七百四十三円)神奈川(四千七百八十七万七千五百五十四円)愛知(三千六百九十七万一千二百八十二円)千葉(二千五百八十七万六千二百二十三円)の順である。

 一保険薬局当り(保険薬局数は二万八百四十五軒)の月平均枚数と金額を見ると全体では十七・一枚、三万七百九十一円だが、都道府県別の枚数では青森(四十六・七枚)秋田(四十三・六枚)佐賀(四十・四枚)長野(三十四・四枚)広島(三十・五枚)金額では青森(十一万五千三百二十六円)秋田(九万二千四百五十九円)佐賀(七万一千五百十六円)宮城(六万三千百九十五円)鳥取(六万一千四百円)の順である。

 福岡市内科医会 医薬分業アンケート

 福岡市薬剤師会(斉田和夫会長)では荒巻専務理事を中心に、福岡市内の内科小児科、耳鼻科医会などと分業についての対話を積極的に推進しているが、江東部の内科医会(会員二四名)の分業アンケート実施(二〇名回答)の結果がこのほど集計された。その内容は次のとおりである。(なお、調査対象が一地区のみであるため全体的傾向と判断するには不十分であるが参考にすべきであろう。)
(1)○A全面的賛成   〇名
   ○B条件付賛成  一六名
 ○C絶対的不賛成  四名
(2)条件付賛成の内訳
(次の諸条件が満されれば実施する)
@医師の技術料が高く評価されれば 一〇名
A薬剤師への不信感が無くなれば   三名
B患者の負担増が除かれれば    一五名
C薬局が近所にあれば
○a五〇m以内            二名
○b一〇〇m以内            二名
○c二〇〇m以内            〇名
(3)若し実施するとすれば
@直ぐでも良い            三名
A半年以上              二名
 一年以上              二名
 二年以上              一名
 三年以上              四名
B早過ぎる              四名
B 検討した上で            五名

 以上の結果を綜合すると多数の医師は実施の意志は有るが@低医療費、特に低技術料A薬剤師に対する不信感B患者の負担増C調剤薬局の不足−の諸条件が満たされれば、漸次実施される傾向にあるものと思われる。