通 史 昭和49年(1974) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和49年(1974) 6月5日号

 医薬品の薬効再評価(上) 九州大学病院薬剤部長 堀岡正義

 厚生省は昨年11月中央薬事審議会の答申を受けて、第一次の医薬品再評価判定結果を公表した。フェノチアジン系の精神神経用剤一六品目(三三七製品)、ペニシリン系およびセファロスポリン系の抗菌製剤一六品目(二七四製品)についての判定結果は、日本製薬団体連合会よりのダイレクトメールや関係雑誌などによって周知のことと思う。医薬品再評価とは何か、どのような形で行なわれているのか、判定結果をどう理解したらよいのか、それらの問題を考えてみたい。

 1、医薬品再評価の背景
昭和42年10月厚生省薬務局は「医薬品の製造承認に関する基本方針」を発表した。これはわが国の薬務行政の大きな変革を意味する措置で、医薬品の有効性、安全性を確保するために、医薬品の製造承認審査の厳格化、新開発医薬品の副作用報告の義務化、医療用医薬品と一般用医薬品の区分広告規制などがおこなわれた。

 このような医薬品をめぐる状況の変化のなかで、医薬品の有効性の評価判定についての国会討議(昭和45年9月)、米国FDAによる薬効総点検の動き(一九六六年)などもあって、昭和45年9月厚生大臣の私的諮問機関として薬効問題懇談会が発足した。同会は約一年間におよぶ審議の結果医薬品の承認許可のあるべき姿、市販医薬品の再評価の方策などにつき答申をおこなった(昭和46年7月7日)。答申の中心は昭和42年10月以前、すなわち基本方針以前に許可された医薬品の薬効をどのように再評価すべきかであって、実施計画を概要つぎのように答申している。

 @対象医薬品の範囲としては、原則とし昭和42年10月以降に承認された新医薬品ならびに医療用配合剤を除くすべての医薬品のうちで関係企業が今後とも製造販売の意思を有するものとすること。

 A再評価のための組織としては、中央薬事審議会の中に医薬品の再評価を担当する特別部会を新設し、この部会のもとに薬効群別に専門調査会を設けること。

 B再評価を行なう医薬品の順序としては精神神経用剤のように比較的再評価の容易なものと、ビタミン剤等のように再評価に関する社会的要請の強いものから実施するのが常識的であること。

 C再評価の具体的方法としては、専門調査会で個々の品目について前臨床試験、臨床試験を実施することなく、当該品目の製造業者が収集整理した必要資料を一定の期間内に提出させて再評価を行なうこと。

 D一般用医薬品についてはその使用目的からみて医療用医薬品と同一の方法で再評価を行なうことは必ずしも適切であるとは考えられないので、一般用医薬品の国民医療における役割などをさらに十分討議した後再検討を行なうべきであること。

 2、再評価の実施
これにともない昭和46年10月厚生大臣の諮問機関である中央薬事審議会に医薬品再評価特別部会を設け、積極的に活動を開始した。 医薬品再評価特別部会(部会長東大名誉教授熊谷洋)では基本調査会と一二の薬効群専門調査会を設け昭和42年10月以前に承認された医薬品を対象に再評価の作業を進めている。専門調査会としてこれまでに設けられたものは、抗菌製剤神経精神用剤、ビタミン等代謝性製剤、鎮痛剤、肝臓障害用剤、循環器官用剤、麻酔剤、アレルギー用剤、呼吸器官用剤、外皮用剤、ホルモン剤、消化器官用剤であり、今後も追加して設置される。その第一次判定結果が昨年11月に発表されたことは前記のとおりである。
(福岡県病薬ニュース第49号より)

 日本女子薬九州ブロック研修会を終えて一言!!

 「とくにシンポジウムについて」 福岡県女子薬剤師会 宮崎綾子

 本年度研修会(含山口県)もまずは盛会裡に終ったのは、福岡県薬の有形無形のご援助と関係各位のご協力の賜物と、本紙上をかりて担当県より、深く御礼を申しあげたい。準備期間の短かさにもかかわらず、研修会はその内容にふさわしい講師を得て多数参加者が前後三時間にわたり充実した学習をしたが、後半のシンポジウムについては担当者の意図したところと、ほど遠い結果に終りまことに申訳ないことであった。

 本年度の日薬総会終了後に「今日の医薬分業と薬剤師」についての、シンポジウムが行われているが、私たちが今回「明日の医療制度における薬剤師‐そのあり方と組織化」をテーマにしたのは、決してそれを意識してではない。

 現実に私たちの周囲にいる仲間の多くが、日常の社会情勢に圧迫され続ける薬業経済の悪化の下にあってそれだけは確実にスライドして上る薬剤師会費を黙って納め、時々の運動や会の活動に素直に動員されている反面その心底では、五年先の分業実現の時点までには私たちのためにも、何とか身がたつように会がしてくれるだろう‐との期待を無意識にもっている。この点、それさえ失せて会の存在に無関心な業界の一部よりは、会の執行部としては"善哉"とすべきであろうが、逆に彼らはそれなりに自分自身の生き抜く道を持つのに対して、彼女たちは現状の酷しい経済闘争にも受身の姿勢で、医療人として生きることが薬剤師本来の任務であることを知って、日々の業務では誠実に病者と相対してその職能に忠実であろうとしている。

 開局者でいえば、今日みる医療分業スタイルの薬局に変容するにはささやかなその実生活から考えて、経済的にも人的にも(特には立地条件上からも)したくても出来ないという苛立ちと、混迷‐それはまた、たとえささやかな処方箋受入れ体制を整えたとしても学校時代にさえ完全でなかった横文字のスペルの解読力、あまりにも膨大なD・I活動からの疏外感、年々複雑化する薬学知識の上にたつ薬物相互作用等々…これ迄の薬局業務との格差を前に、真面目に対処しようとする人間特有のものが錯綜する。その心理の襞を無視して"これ迄は会がレールを敷いたが今後は各人で歩く外なく、五年先に医薬分業が実施された時に落伍者がでても、それは会の責任ではない"とするような大義名分だけをふりかざすような風潮が、もし執行部の一部にあれば会員あっての会の存在がある以上、薬剤師会百年の大計を思えば会のためにも会員のためにも不幸なこととと考えたのも、全薬剤師数の半ば以上が女子で占めている今の実態からみて五年先の%はさらに大きく開くとき、私たちはこれ迄とかく仲間うちで愚痴るだけに止めて、会の中では沈黙しがちだった(内至は発言しても受けとめて貰えなかった)習性を改ため、一人一人の問題をこの際とり上げて一緒に考え、それを突破口として今日は間にあわなくても、明日の医療制度の中にはぜひ残って医療人としてありたい、そのために私たちの凡てをバック・アップしてくれる会の組織であってほしいとの願いをこめての企案であった。

 今一つには研修会の案内状に引用した武見日医会長の言をまつ迄もなく、現医療制度の長年にわたる歪は各方面で破綻寸前にあり、端的にいえば医療行為による利潤の追求は本来許されるべきでなく、国民の健康のために各医療職が病者を中心点として、お互いのもつプロフェッショナルを充分に発揮することで、それにふさわしい待遇をうけることが明日の医療制度であることは明白なことで、ただその具体的な青写真つくりに真剣に模索しているのが、関係各方面の実情であろう。

 逆にいえば現体制下の儘の医薬分業ではやはり一部の局地的現象に終る可能性も多いとき、本来あるべきそれに照準を合せて、医原病や薬禍に対する国民の反応が一層過敏化した昨今、G・M・PもG・S・Pも当然の姿として、メーカー、卸勤務といわず、病薬・開局を問わず、健康上ゆるがせに出来ぬ薬の最終責任者としてのライセンスを与えられている薬剤師はその専門知識の高度化が今後益々要請される筈!!と、そのためにも私たちは今ある立場でもっと本質的な問題を掘り下げてみる時期にある‐と判断したのであった。

 しかし会場の雰囲気は、明治百年来の悲願である医薬分業の一日も早い実現化のため日々会員に啓蒙中執行部助言者と、一方あまりにも多くの問題を身辺にもって発言する意欲もわかぬフロアの会員の、意志の疏通は司会の拙なさから終始かみ合わぬ儘に、正味一時間半の時間の大半は壇上のお説拝聴に留まり、わずかに冒頭の病薬助言者である黒田講師の「医療の道は厳しいものです」にしめくくられた演述と、終幕で採択された動議と決議文、一昨年来より女子薬待遇問題で、市当薬に働きかけている北九州地区より提出に一縷の志向を托して秋の九州・山口薬学大会女子部会にバトン・タッチしたことは折角、多数会員の参集を得ながら何とも惜しいことであった。

 そして誰も結論を与えられぬ問題ではあるが、より正しい解答を求めて今日即刻に一人一人が、真剣に自ら努力することをはじめねば、そして個人の力の弱さを痛感して改ためて会の組織力の強化に励み、きめ細かい会の運営によって会員の必要とする実効のある各種研修会や、底辺の会員に対する有形・無形の援助がなされなければ、五年というタイム・リミットはあまりに短かくかつ厳しいものであることを、今一度会員各位が再認識して強力に会に働きかけて頂けるなら、貴重な時間をシンポジウムにあえて割いた、責めの何分の一かは果されたものとして、担当者の不行届きの段は別に、自ら慰めることを諒とされたい。

 福岡県商組総代会 白木理事長を再選

 福岡県医薬品小売商業組合(白木太四郎理事長)は第19回通常総会を五月二二日県薬会館で開き、総代数一三〇名中七四名出席、来賓として荒川医薬全商連理事長、長野県薬会長が臨席した。

 まず山手理事の司会により、大坪副理事長の開会あいさつについで白木理事長は、昨年来の諸物価高騰、小売薬業界の不況、再販の行方等について説明してあいさつとし、長野会長の祝辞のあと荒川理事長は
「現在の社会情勢は大混乱であると言っても過言でなく、薬業界の今後も種々の困難が予測される。商組は協組と異り、協組に欠けている組織力を強化するため設立し、ご承知のような活動をしている。業界としてはやはり再販問題が大きな課題であり、医薬品は永久に再販として残すべきだと考えている、だが現状のような価格体系では魅力もなく、業界が健全な発展をするためにも価格は上げなければならない。商組は今までメーカーに対し組織の力で当るというのが一つの目的であったが今後は吾々の進む道をハッキリさせ、もっと大きな意味で前進する必要がある」と述べた。

 それより斉田和夫氏を議長に推して議事を進めたが新年度の賦課金を前年通り(福岡30万、筑後25万、北九州30万、筑豊15万)とする件について「八年前と同額で活発な運営ができるとは思えぬ」「この賦課金でも徴集不可能な地区がある」などの相反する意見も出たが、「現時点のような不安定な業界には団結しかなく、商組が存在すること自体に意義がある、全商連としても活発な動きをしており、最低の賦課金で出来るだけ活発に事業を行ないたい」との執行部の発言により原案通り決定した。

 それより役員改選を行ない、選考委員五名により四地区よりの理事を選出、その代表五名による互選によって白木理事長の留任を決定、左記監事四名もそれぞれ選出され、理事二五名の氏名は五月末日までに四地区毎に副理事長名も含め報告することとなった。 監事=大隈次郎(福岡重任)岩崎安俊(北九州重任)陣内三郎(筑後新任)安村研二(筑豊重任)

 福岡県学校薬剤師会 新役員決定

 福岡県学校薬剤師会はさきに総会を開き、会長、副会長を改選したが、その後左記役員が決定した。
会長=友納英一(再)
副会長=古賀哲弥(再)、柴田伊津郎(新)、橋本祐一(新)
理事=馬場正守(再)、村田正利(新)、野口美智子(再)、末宗成二(再)、倉石久(新)、園田福一(再)、福田種夫(新)、奥村陸平(新)
監事=秋吉博(再)、三根孫一(新)

九州薬事新報 昭和49年(1974) 6月15日号

 日本女子薬剤師会 九州ブロック研究会 各県より一八〇名参集

 緊急動議で決議を採択

 日本女子薬剤師会(秋島ミヨ会長)は、九州ブロック研修会を福岡市の電気ホールにおいて五月二六日一〇時半から開催、九州山口各県から約一八〇名の会員が参加して盛大に行われた。

 当日はまず地元福岡県女子薬剤師会森山副会長が司会し、田中美代会長のあいさつ、長野県薬会長の祝辞についで、中村学園大学教授永井諄爾氏による「肥り過ぎと代謝の関係について」と題する女性にはきわめて興味深い講演を熱心に聴講後、東京からかけつけた秋島会長は「吾々の職能には性別はないと考えるし、今、女子薬が目ざめねば薬剤師の職能は抹殺されよう」と医療担当者としての自覚と政治性を持つことを要請してあいさつとした。

 それより森下後援会推進副本部長水野保氏(足立区開局)は、後援会活動の近況と医療制度の抜本改正の中に薬剤師の職能を確立するためにはどうしても政治力が必要であることを述べて参会者の共鳴をよび、次に本年度日本女子薬が採りあげたテーマ「薬物相互作用」について福岡大学病院薬剤部長黒田健氏が二時間にわたり有益な講演を行なった。

 それより左記シンポジウム終了後、会員から動議が出され、日本女子薬剤師会並びに九州山口薬学大会に対する決議を満場一致で採択した。(決議文の主旨は@女子薬に対するいわれなき差別の是正A女子薬の数に応じた対策の樹立B自ら研修し、組織を強化し、地位の向上に努力する。というもの)

 シンポジウムは、「明日の医療制度における薬剤師そのあり方と組織化について」をテーマに、黒田健、四島久、神谷武信、秋島ミヨの四氏が講師となり、宮崎綾子氏の司会により、女子薬の当面する諸問題について討議した。

 黒田氏は、病院勤務薬剤師の地位向上について述べ「現在の総合医療の中の薬剤師の役割は医薬品の総合的管理でなければならないが、この責任態勢を全うするには広い視野に立ち、物中心の考えから精神面に指向する必要があり、薬学教育の面も改革されねばならない」

 四島氏は、現在までの吾々は田の中の落穂を拾って生活してきたと云えるが、医療が本来の姿になった時吾々はその中にどう割込むかということで現在努力が続けられている。今後は調剤と国民の軽医療に対する指導が吾々の仕事になるであろうが、本来やさしい女子薬剤師がもっともこれに適していると考える。この面で組織を強化することが女子薬の当面の課題だと信ずる。

 神谷氏は、今後分業が進む時点でこれを受入れるのは薬剤師の四分の一と思われる。現在の調剤薬局の実態からみても処方せんを消化するためには何としても一薬局二薬剤師が最小限必要である。そのために女子薬へ@女子薬剤師の実態調査をして欲しいA調剤請求業務に精通して保険薬剤師になって欲しいB各地域の会合に男性と渾然一体となり進んで出席して欲しい。の三点を特に要望した。

 秋島氏は、病院における女子薬剤師の深夜勤務について、これを拒否することにより大病院の女子薬剤師締め出しをおそれると発言。

 それより活発な真剣な質疑応答が行われたが一八〇名の出席者の構成が大体、開局30%、病院勤務30%、その他薬局等勤務20%、家庭に在るもの20%で、特に女子薬の立場としての具体的な掘り下げが乏しかったことは残念であった。しかし日、県薬剤師会が今後、組織の強化をはかる場合、女子薬の存在をもっと真剣に考えるべきだとの問題提起には十分であったといえよう。

九州薬事新報 昭和49年(1974) 6月25日号

 福岡県薬 理事会・支部連絡協議会 塩ビ含有スプレー陳列も禁止

 福岡県薬剤師会(長野義夫会長)は、理事会と支部連絡協議会を六月一四日(金)午後二時より、福岡県薬剤師会会議室で開催した。

 神谷専務理事の司会により開会。長野会長はその挨拶のなかで参院選も今日告示され七月七日選挙の終盤戦に突入したので、日本薬剤師会の政治的な浮沈をかけての結束を強調し、選挙終了後は本格的に県薬としての医薬分業などの業務を推進すると所信を述べた。当日のおもな連絡協議事項は次のとおり。

 ▽保険薬局の調査資料についての状況報告が、神谷専務理事よりなされ、一部の地区で未提出があるので至急報告方の要請あり。

 ▽第20回、21回病診勤務薬剤師研修会について磯田常務理事より報告。テーマは「急性中毒とその処置」で東京と福岡の二ヵ所で左記により開催される。
@東京会場=10月17・18日(木・金)於薬業会館。
A福岡会場=11月25・26日(火・水)於福岡市。

 ▽「塩ビ含有殺虫剤の販売中止」については県薬務課柚木係長より、経過報告と新たな措置として次のように要請があった。塩化ビニール(モノマー)を含有する医薬品等の取扱いについては、新たに厚生省から6月13日付で@塩化ビニール(モノマー)を含有する医薬品等の陳列は禁止されたA塩化ビニール(モノマー)が入っていないスプレー式殺虫剤を販売する場合、陳列する場所に「この殺虫剤には塩化ビニール(モノマー)は入っておりません」の掲示をすること。‐が指示されたので周知徹底されたい。

 ▽国保組合の請求書について中村常務理事の注意事項の説明があり、なお調剤請求書の記載要領については詳しく説明したものを近日中に配布する計画。

 医薬品の有効再評価(下) 九州大学病院薬剤部長 堀岡正義

 3、再評価の判定基準の考え方
医薬品再評価における評価判定は、各成分ごとに、また投与経路ごとに各適応について有効性の判定をつぎの三段階に区分する。
(1)有効であることが実証されているもの
(2)有効であることが推定できるもの
(3)有効と判定する根拠がないもの

 実例をつぎに掲げる
クロルプロマジンの塩類
各適応に対する評価判定
成分名(一般名)=クロルプロマジンの塩類
区分=医療用単味剤
投与法=経口、注射
用法及び用量
経口…塩酸クロルプロマジンとして、通常成人一日三〇〜一〇〇mgを分割経口投与する。精神科領域において用いる場合には通常一日五〇〜四五〇mgを分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
注射…塩酸クロルプロマジンとして、通常成人一回一〇〜五〇mgを筋肉または静脈内に緩徐に注射する。なお年齢、症状により適宜増減する。
各適応(効能又は効果)に対する評価判定
(1)有効であることが実証されているもの*1…精神分裂病、人工冬眠
(2)有効であることが推定できるもの*1…躁病、神経症における不安・緊張悪心嘔吐、吃逆、破傷風に伴う痙攣、麻酔前投薬催眠鎮静鎮痛剤の効力増強
(3)有効と判定する根拠がないもの*2…胆妄、もうろう状態、痙攣発作(子癇、喘息)うつ病、乗物酔、夜尿症、不眠症、各種の腫瘍及び癌等による激痛、手術後の疼痛、胆石症及び胃痙攣等の激痛、老人性精神病、その他の精神障害、鎮痛、催眠鎮静

 註解
*1=有効性の判定区分で「有効性であることが実証されているもの」と「有効であることが推定できるもの」と判定された適応の差は有効性に対する立証力の違いであって効力の優劣を示しているものではない。いずれも今日の段階では医薬品の適応としては有効なものと考えられている。従って今後とも適応として残しておいてよいものとして扱われている(日薬連の文書では両者を一括して記載している)
*2=「有効と判定する根拠がないもの」と判定された適応は、決して無効と判定したものではなく、「有効であることが実証されているもの」または「有効であることが推定できるもの」のいずれかの判定をする根拠が明らかにできなかったものである。従って当面は適応より削除することになる。またそのような薬効のみを標榜する製剤は発売を停止することになる(日薬連よりの文書には記載されていない。)

 各製剤について新たに定められた「効能・効果」は書類を見ていただくとしてとかくこれまで十分な臨床データがないままに並び立てられていた効能が整理され、十分に裏付けのあるものだけに限られることになったのは歓迎すべきことである。本年はさらにマイナートランキライザー、鎮痛剤、ビタミン剤などの判定結果が公表されるといわれる。その内容に注目したい。
(福岡県病薬ニュース第49号より)