通 史 昭和49年(1974) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和49年(1974) 5月5日号

 福岡市薬代議員会 斉田会長を三選 副会長・監事も留任

 福岡市薬剤師会(斉田和夫会長)は、四月二〇日午後一時から県薬会館において第一回代議員会並に総会を開会、三九名の代議員中三二名、その他合せ薬七〇名が出席、任期満了に伴う役員改選では斉田会長ほか副会長三名、監事二名の留任を決めた。

 代議員会は富永理事の司会により斉田会長あいさつで「分業問題等重要時に県薬の常務理事に推され、また会館問題も未解決であるためご賛同があればもう一期留任してこれらに取り組みたい」と述べ、ついで来賓早麻県議、加藤市議、植田市衛生局長ほか、長野県薬会長白木県商組理事長がそれぞれ祝辞を述べた。

 それより議長選挙を行うため、仮議長に坂井明夫氏を推し、選考委員制により選考の結果、議長に副島恒夫、副議長に坂井明夫氏を選出して議事に入った。

 会務並に事業報告では、会員数四八〇名、保険薬局数二三三、部会数三一などとマンモス化し、総会も成立しにくくなったため、代議員会制となった経緯等が報告され、会館建設については、昨年五月夕刊フクニチと共有で土地(一五〇坪)の払下げを受け、その地上権をもって夕刊フクニチにより建設される建物の一部を所有する予定であったが、その後の物価高騰によりフクニチ自体の都合で建設が遅れている。本会としては今後の分業の進展とも併せ検討、努力を続けることになっていると報告され異議なく了承、決算についても承認した。

 次に事業計画は県薬の事業に沿い推進することを決めたが、会費並に予算審議に先だち馬場勘二氏より緊急動議が提案され、「福岡市は政令都市に指定され五区制がしかれている。市薬としてはこれに合せ、各区毎に支部長を置き、これを副会長としてこれに病薬、女子薬、学薬の責任者を入れ、八名の副会長制にすれば、円滑な業務が行われると考える。少くとも五一年をメドに改革するよう検討されたい」との発言に対し、執行部としては反対の意向を示したが、新執行部へ検討するよう申送るとの議長の発言により了承した。

 次に会費は薬局・一般販売業者年額三三、〇〇〇円(会館建設特別会費含、前年通り)、薬種商販売業者二六、〇〇〇円(同)、勤務者、その他一〇、〇〇〇円(二、〇〇〇円アップ)並びに予算は、分業を自分達のものとするためにはその推進費が少な過ぎるとの一部発言はあったが原案通り決定した。それより役員改選に移り一一名の選考委員により会長に斉田和夫、副会長三名は国武一人、藤野義彦、白勢栄治、監事二名は三根孫一、磯田正春の諸氏を再選して代議員会を終了した。

 それより総会を開き、一位浜部会ほか一三優良部会に記念品料を贈り、本年還暦を迎えた左記六会員に記念品を贈呈、同所で懇親会を開催した。
▽小松真佐雄▽土肥善術▽安藤満夫▽磯田正春▽中島政夫▽郡家邦吉。

 薬局の経営安定は分業で 参院予算委で厚相答弁

 四月八日開かれた参院予算委員会で、佐々木静子議員(社)は小売薬局経営と分業の問題について左記のような質問を行なった。

 (一)老人医療無料化による小売薬局の経営難についてこの一年、どう取り組んだか。又そのための今年度予算を組んだか。
(二)大病院でも町の保険薬局でもどちらにも使える処方箋を発行させよ。
(三)大阪府薬の指定した推薦調剤薬局を拒否した国立病院があるが強力に行政指導せよ。

 これに対して斉藤厚相の答弁は左記のとおり。
(一)小売薬局の経営安定化には長期的視野で見て医薬分業しかなく、短期的にも分業促進のための調剤料アップなどを行っている。   今年度予算でも分業のための薬局整備実情調査費を組んであり、経営安定化できるよう努力している。
(二)現在、同一の処方箋を出してはいないが分業推進の一方法として検討したい。
(三)分業はその地域の実情に応じてやらねばならないが国立病院長会議などでも処方箋を出すよう指示している。

 日薬の新執行部決定 杉原剛理事再任 堀岡正義新理事

 日本薬剤師会は四月一一日、向う二年間日薬の会務を担当する新執行部を発表した。石館会長は新執行部指名に当って薬剤師会があらゆる職能の薬剤師を網羅すべきとの観点から幅広く人材を登用した。また懸案の医薬分業を推進するために、製・配・販の一致した協力が必要であるとしてこれらの分野からも起用している。

 新執行部の顔ぶれは次の通り。
▽会長=石館守三
▽副会長=沖勘六、野上寿、太田哲郎。
▽専務理事=望月正作
▽常務理事=木原芳男、小森弘太郎、佐谷圭一(新)杉本秀義、能与志雄(新)茂木武男(新)、元山正、吉田俊。
▽理事=赤木満州雄(新)秋島ミヨ、小西新兵衛(新)、境野雅憲、辰野高司(新)、堀岡正義(新)、坂沢幸三、大本博(新)、片岡泰三(新)幸島英三、杉原剛、田所一英、室明、山中正一(新)。

 読みましたか? ▽新宮病

 地盤凝固剤(アクリルアマイド)中毒と断定し劇薬に警鐘
福岡県新宮町で発生した歩行障害、幻覚などの症状は、県衛生部より「患者の住家の井戸水の分析で地盤凝固剤(主成分アクリルアマイド)の中毒症」と正式発表された。(西日本新聞4月24日夕刊)

 分業の話題(上) (日医・日薬の考え方の一端) 藤田 胖

 日本医師会の代議員会が四月の一、二日行われ、分業について次のような応答があった。

 ◆荒木代議員(愛知)
医薬分業について抜本改正などの動きにつれて地方医師会でも検討している段階である。最近の趨勢としては会員は分業にいかざるを得ないとの認識がでてきている。再診料が一〇〇点になったときが分業の時期だと日医ニュースでも会長は述べているが、我々も早晩分業に入ることについては十分承知している。これについては臨時代議員会を開いて検討してはどうか。

 ◆武見日医会長
誤解があると思う。法改正をしないで分業をやるのである。再診療料が一〇〇点になっても医師が調剤をやればよろしい。時代おくれの人にはその道は閉されていないのであるから、代議員会の議題にしなかった。医師が調剤すること、医師が薬を持っているということが、社会的に一番軽べつされる団体ではない。受身の分業でなく日医がイニシアチーブをとって分業をやるのであって厚生省もその考え方で公式文書を出している。

 以上のような応答の発表のあったのを受けて、日薬でも担当者が協議を行ったが、その要旨は次のようなものである。

 ◆望月専務理事挨拶
今回の医療費改訂を機に医薬分業の機運は急速に推進して来た。日医の代議員会においても医薬分業を実施に移すと言明している。医師も技術中心で立とうと考えて来ている。日薬としても製販配業界と医師会や行政を含め、なお国民のコンセンサスを得て早急に受入れ体制を作りたい。まづ一五%の受入れ体制のための具体策の骨子を作り実施に移したい。

 以下主な発言
○分業について医師会がイニシアチーブをとるとの意は。
現行の法律を変えないで分業体制に入りたい。調剤業務は薬剤師が主体性を持つが、医師の体系下に入ってくれといっている。日薬としては医師会追従はやらぬ。医薬は協調であると考える。それには医師会を納得させる分業理論を持たぬと推進できぬ。小売り商業組合的観念の分業ではだめであるといっている。医師会は薬についてはオンコストを取るべきでないという考え方である。五年間に漸進するということで調剤センターを要求している。

 ○医師会が考えているのは包括医療、地域分業と考えられる。又調剤センターというのは備蓄の問題であるか。
備蓄センターではだめである。在庫だけでなく技術の集積、思想的能力の要求である。備蓄は附随である。センターというものは技術の集積でありその技術を必要なときに引出せば良いと考えている。だから医師会検査センターは医師よりの依頼検査をしているが、開業医が何もしないのではなく難しいものは依頼するもので一つの保障と思われる。

 ○そのように考えると既存の薬局はどうなる。薬局は調剤出来る場所であるので、備蓄が出来れば総ての薬局でスタート出来ると考えられるので了解させよ。
形の分業ではなく実質の分業を進めたい。なお調剤センターの問題は日医とは未だ十分なつめはしていない日薬の具体策を持って行くべきである。日薬としては漸進分業を考えている。その方法としてマンツーマン分業で進めたい。

 ○内科小児科よりの処方せんは少ない。又受入れも大変であるが、眼科など特殊科目よりの処方せんなら特に薬局の整備少なくとも受入れ可能な薬局が多い。日薬で促進方をやってはどうか。
結局備蓄の問題である。内科と眼科では技術料に問題があるが、全部引受けねばならぬ問題である。マンツーマン方式となれば使用薬品の範囲は内科でも特殊科目でもそう変らない従来の既製剤から薬剤師は製剤すると話を持っていきたい。

 ○資金、人手の問題は。現行手数料で出来ると考えられる。調剤専門薬局では人件費を約四〇%とみているし、薬価差もみている。医療金融公庫の枠も拡大している。又第一勧銀の薬局ローンもあるので十分利用を望みたい。

 次に分業実施課題として考えられた段階別案は
日薬段階
対日医、対県薬会員、対厚生省、対メーカー、卸。

 県薬段階
県薬‐県医、県薬支部‐県医支部、個別薬局の指導(員)、薬局センター(技術集積、DI、備蓄)、分業推進グループ、調剤薬局分布(把握、推進)

 個別薬局段階
分業意志決定、周辺医師との接触(発掘)、調剤実務の修得、DIの受領伝達、備蓄計画、調剤設備、店舗設備、経営計画、人員対策。

 以上が大体の要点であるが、これを実施に移すとなれば各段階とも種々の困難が生ずることは考えられるが、分業には医師の側も関心をもって研究を深めており、薬剤師側は何時、何処で対話を求められるかわからない情勢となっている。

 四月一日開局した糸島の新生薬局がよい例で、医師の関心を知るや直ちに訪問して対話を求め、話合って受入れ準備を始めたが双方に信頼感が高まり、又薬局の親切な説明投薬を受けるので患者は勿論医師も安心している。日薬としてもこのような形の対話によるマンツーマン方式の分業から始り、次第に拡大されて地域分業となることを望んで、徐々に進展するための基礎となる施策を示して会員の努力を期待するところであろう。
(日本薬剤師会社会保険委員)

 福岡市学薬 馬場会長ほか留任

 福岡市学校薬剤師会(馬場正守会長)は、第19回定時総会を四月二〇日午前一〇時より市薬代議員会に先だち開会、新年度の事業計画等の決定を行なうとともに役員改選では全役員が再選され、議事終了後の協議では別室においてスライドによる勉強会を行なった。

 当日馬場会長は、あいさつのなかで四八年度並びに新年度事業について要旨次のように述べ、会員七一名により担当校一六七校(49年度は一七三校)、年間七百五三万五千円の手当を得る会に発展したことを報告した。

 「本会は学校保健と学校環境衛生の向上について学校三師会がその専門の知能と技術により学校教職員に助言と指導を行ない今日に至った」と前置きして

 @学校保健法施工令、施工規則が昨年五月改正され、その重要性が認められつつある。本会は活発な業績が認められ10大都市に仲間入りし、先輩大都市と肩を並べて協議し得る実力を持つに至った。

 A四八年度の活動は理科用薬品の管理状況調査と騒音公害をとらえ、理科用薬品は例の爆弾さわぎにも関連して行ない、騒音は調査結果を各種大会で発表、他の調査事項もそれぞれ関係方面へ報告、特に教室の熱管理については冬の寒冷時四四日間にわたり調査を行った。

 B本会会員の栄誉としては高倉博(市教育委員会賞)、内田数彦(学校保健会長賞)、鶴田久雄(県知事賞)の三氏が受彰

 C四九年度の活動の基本線は、照度、飲料水、プールで、飲料水は毎学期始めに、プールは学校が使用する六、七、九月と解放プールは八月の全期間を通して指導すること。また学校保健会が教室の熱管理をとりあげる事態が予想されること、騒音公害被害校の調査(44年に調査)も五年間に実態の変化が考えられるため調査を再開したい。また学薬自体の研修会は今後、各区毎に細かく実施したい。

 なお、再選された役員は次のとおり
会長=馬場正守
副会長=高倉博、野口美智子
理事=竹尾啓司、富永泰資(西一区)木村英樹、獺越寿(西二区)小田浩平 中野佐(中央区)村田政利、山口博=会計(南区)三根孫一、坪根百彦(博多区)柴田伊津郎、篠崎正十郎(東区)
監事=内田数彦、小須賀正義
顧問=友納英一

 議事終了後、スライド使用による協議は四八年度中主たる研究の左記二題で、馬場会長から説明があった。
▽防音校舎の逐次改築による騒音環境の変遷について
▽理科用薬品(毒物・劇物)の管理について

 薬務局 五月に薬局等の実態調査を実施

 医薬分業を五年後に完全実施するためのポイントといわれる厚生省の薬局等実態調査は四九年度予算成立とともに直ちに着手することになり、四月一五日薬務局の機構改革で企画課の中に調査係ができ、代田課長補佐が就任するとともに具体的に調査項目を決定し、五月中には調査表をつくって調査に乗り出す予定。

 薬務局としては、すでに日薬から出されている調査項目等は十分参考にしながらも、現在の薬局等の経営が浮き彫りにされるよう再検討したいといっている。この調査で次のような諸点を把握したいとしている。
(一)現行薬局の調剤能力。
(二)将来的な発展の可能性。
(三)分業をすすめるうえでの施策等の希望。
(四)経営実態などを中心として特に地域的な医薬分業の進捗状況。

 調査方法については予算の関係から全部の項目を全数調査するわけにはいかないため、特定の項目にしぼり全数調査とし、あとは抽出調査とするか、全部を抽出調査とするかなどを煮詰めるという。薬務局ではこの調査は一か月位で回収し集計解析するには六か月を要するので、この調査がまとまるのは年末近くなるものとみられる。

 製薬企業の春闘

 製薬企業における春闘で四月なかば現在、すでに武田薬品が三万円(アップ率三〇・六%)で妥結した以外はおおむね各社とも労使の交渉が重ねられている状態である。主なメーカーの第一次回答は次のようである。カッコ内はアップ率。
▽三共=二万五千三百円(二五・五%)▽山之内製薬=二万五千百五十八円(二六・四%)プラス六十六円▽第一製薬=二万五千八十二円(二五・五%)▽エーザイ=二万五千四百七十円(二五%)▽藤沢薬品=二万六千九十七円(三〇・〇九%

 逆ザヤ品の改正早急に 大調査の時期も早める 松下薬務局長談

 斉藤厚相は四月一四日、金沢で「医療費再改定と薬価改正を早急に行いたい」と発言したが、松下薬務局長は一六日次のように語った。

 厚相の薬価改正を早急にするとの発言は、薬価基準を上回る所謂逆ザヤ品目を早急に手直しし度いということである。逆ザヤ品については事務当局としても或る程度、実情は掴んでいるので、一部改正をするとすれば補足的な調査を行ってなるべく早い時期に実施したい。

 医療団体から要望の出ている逆ザヤ品目を拾えば相当数にのぼるだろうが、全数調査をするわけではないから一部改正は繁用品目が中心となり一〇〇品目台ですむと思う。しかし逆ザヤ品目だけの一部改正というわけにはいかないから、薬価大調査の時期も出来るだけ早い時期としたい。

 過ぎし日々(22) 塚本赳夫

 メンタルテストと言うことばはまだ使われていなかったが、この時、朝夫さんに連れて行かれて色々な先生達に何か沢山聞かれたのが今言う所のメンタルテストのはしりだったのだと思う。然し、僕はうちより広い部屋で畳すべりが出来た事の方がずっと面白かったし畳と言う物にもずいぶんと色々な階級がある事を知ったのが大収穫で、学校の広い部屋の畳は荒れた海のようで積木の軍艦が航海するにはさぞ面白かろうと思えたが、すべるのにはむずかしくて面白味があるから、これで百点分もすぐれた事は大変な事で、うれしくてとてもだまっていられない事だった。

 晩飯の時やっと兄に会えたので先ず最初に「兄さん今日、僕学校の広い部屋で百点とれたよっ。」と報告したら、大人共は僕の百点が何の百点かわかりもしないのに皆で笑いころげてしまって、今度は僕の方が何の事かわけがわからず大いに困りはてた。何がおかしいのかとさんざん問い正した所が「赳坊(たけぼう)の自信の強さにはおどろいた」と言う答でついに何がおかしいのかは僕にはわからなかった。

 うまくすべれたからではないだろうが、四月から竹早町の小学校(女子師範学校附属)に通うことになった。同じ構えの中に東京第二高等学校もあって、師範の事を本校と呼んでいたがどこに堺があったのか、全く境界はなかったのかおぼえていない。

 幼稚園入園の時とちがって、本当に最初から出席したから、先生と一緒に座席をきめて下駄箱をきめる所から始めたので別に心細がることもない筈なのに、全く知らない子供達ばかりの中だから話相手がなくて妙な孤独感におそわれたのをおぼえている。しかし、その日の中にお隣の席に居る人とは言葉をかわしてほっとした。

 僕達の組は男女学級で、教室では二人掛けの机に左に女の子、右に男の子が坐って居て、その日のうちにわかったわけではないが、左の隣の席には笠井春子さんと言うよく出来そうなきれいなお嬢さんが居て、週に何回とか家庭教師が来ると言うお家の子だと言うことは、まもなくわかった。

 僕等の席は、教室では一番左の列の一番うしろでお遊戯や体操の時間となると一番先頭に居て先生の目の前で、絶えず先生のまねを忠実にしてさえいればよいと言う係りであった。先生はたしか野尻先生と言う女の先生で、やさしいかただった。

 九大に来てから、蝶で有名な江崎さんなどと同じように動物学者(哺乳類)としてお付き合いをはじめた平岩馨邦(よしくに)先生と言う学者がある。自分からはなかなか話されなかったが広島で原子爆弾を受けて居られ、定年後福岡女学院短大の学長をして居られたのが突如としてなくなられたので、やはり何か原爆にも関係があるかと思って同情している。医学部の裏に最初の公務員住宅が出来た時(昭和二五年)に我々が同時に入れてもらってからの交際だったが、ずーっと後になってから竹早町の学校の話が出て、我われはこの学校で同級生だった事を確認し合った。

 玄界灘の離島小呂の環境衛生調査

 4月23日午前8時30分、福岡県密航・密猟監視船神風丸(一八〇トン)で福岡市教委主催、小呂島児童生徒健康診断及び環境衛生調査が行われた。一年に一回の訪問のため、福岡市学薬では数日前から準備に忙殺された。馬場、獺越両先生が元気に出発、晴天であったが風が強く玄海島を過ぎる頃から縦ゆれ、横ゆれが激しかったが定期船もない島であるので、一同最後まで頑張って上陸後それぞれの仕事に従った。

 水質検査、照度、黒板の調査、検尿等を2時間ですませ、午後2時30分帰路についた。同島は住民二百余名、児童生徒二〇余名で、農作は現在殆んど行われず漁業ばかりで、すべての島民は親籍関係となっている。

 薬業各界から分業推進で発表 日薬総会・医薬分業と薬剤師のシンポジウム

 日本薬剤師会第三〇回通常総会は四月二六日開催され、「今日における医薬分業と薬剤師」と題するシンポジウムが行われた。

 薬局側から佐谷圭一氏、鈴木輝一氏、病薬側から堀岡正義氏、卸側から松谷義範氏、メーカー側から一丁田健一氏がそれぞれ薬業各界を代表して講演したが、その要旨は次のとおり。

 ▽佐谷氏・・・医薬分業は国民医療における生活パタンの変更である。分業は患者が回り道をして医薬品を受け取るものだから分業のメリットをどう納得させるかが課題だ。医薬分業下における薬剤師の生きがいは何かというテーマについて考えるならばそれは医師と話し合う中で使用された医薬品のトレースを行い、その情報をフィードバックして医療の向上を図るというものだろう。

 ▽鈴木氏・・・東京都薬剤師会の蒲田地区薬剤師会は四八年から分業指導員を選出、受入体制の準備を進めている。すでに医薬分業受入体制構想、資金調達のための積立て実施規約も承認している。また会員に対して保険薬局開設整備同意書を作成、備蓄薬品リスト等も作成したが、備蓄センター構想が難航している。結局三師会の協議会が中央段階で設置されなければむつかしい。

 ▽堀岡氏・・・今日の分業の気運は保険財政の是正と技術中心の医療体系の確立等の理由から実現の可能性が出てきた。分業実現のためには第一に薬価基準の検討、調剤技術料の一本化などの条件面の整備が行われなければならない。第二に開局者と薬学生を対象とした研修会の充実が不可欠で、従来この種の研修会は病院薬剤師の好意のみで行われてきた。これを薬学会、厚生省等の協力で制度化することが必要だろう。

 ▽松谷氏・・・卸においては今や薬剤師の地位が向上しようとする過度期に至っている。GSPが問題となっているが今後は管理薬剤師にかなり厳しい責任が要求される時だ。卸も薬剤師からの提言、苦言は積極的に受け入れるつもりだ。だが卸は医家向け、薬局向けなどが複雑にからんでおり、分業でいかに卸の気持ちをとらえるかが問題だろう。

 ▽一丁田氏・・・分業が実現するならばメーカーも発想の転換が必要になる。メーカーは営利団体でもあり、公共性の高いものを扱うという二面性を持っており、この調和をどうするかが課題となろう。一つの方向としては国民医療のあり方について関係者の相互責任で考える場合、メーカーは医療の中心グループの方針に従わざるを得ない。そのグループをサジェストすることがメーカーの姿勢であり、それは中身の濃い事業、まじめな医薬品を作ることにつながる。またメーカーの製剤規格品を患者に一様に適用することは出来ないしその任を果すのは薬剤師であろう。勿論メーカーもオリジナルとして責任を負うその過程でのコミニュケーションが大切で薬剤師をめぐる懇談会のようなものが設置されることが必要と思う。

 福岡県薬理事・支部長会 森下後援会役員変更 福岡県支部長は白木副会長

 福岡県薬剤師会(長野義夫会長)は、新役員による初の支部連絡協議会を五月二日(木)一時半から理事会に引続き開会、本年度の具体的事業推進について協議した。

 当日、長野会長は「分業は今日まで種々はばまれてきたが、違った方向から次第に近づきつつある現状である。分業が吾々の理想の姿になるかどうかは吾々の今後の努力にかかっている。森下選挙もその一環であり、各情報からみても楽観は許されない。本県への二万七千三百五十票の割当を達成するには相当の努力が必要である。森下後援会副会長として自分は中央の役目があるため副支部長は白木副会長にお願いしたい」と了承を求め、議事に入り

 @本年度事業の具体化について(本紙八四六号既載)
A各種委員の委嘱について(現在委嘱中につき後日発表)
B各支部会費の割当と納入について(未加入者の加入を容易にするため準会員制度等を検討する)
C外郭団体への役員の派遣について(役員交代により左記に変更)
▽県薬事審議会委員=四島久
▽県社会保険医療協議会委員=神谷武信
▽県公害審査会委員=辻進
▽県献血推進協議会委員=白木四郎
▽県麻薬禍対策推進のための会委員=藤野義彦
▽へき地等保険医療対策協議会副会長=長野義夫、同委員=柴田伊津郎
▽藤楓会福岡県支部監事=白木太四郎
▽県講習衛生協会副会長=長野義夫同対策委員=橋本祐一
▽県対ガン協会理事=堀岡正義
▽県学校保健会副会長=友納英一
▽県福祉協議会推進委員=斉田和夫
▽県計量協会理事=高倉等、岡野幸一郎
D森下後援会の組織と活動について(役員交代による変更)
▽支部長=白木太四郎
▽副部長=斉田和夫、鶴田喜代次、佐治八郎、芳野直行
▽常任幹事=県薬常務理事(幹事長は神谷専務)
▽幹事=県薬理事
▽班長=県薬支部長
なお、森下後援会の薬事協会、卸、メーカーとの四者懇談会は十一日行われる予定である。

 参院は七夕選挙 森下泰後援会 奮起のとき

 国会は二六日の衆院本会議で会期を三五日間延長して六月三日までとすることを決めた。これによって保革対決の参院選投票日は七月七日の日曜日となることが確実となった。二月一五日鹿児島を皮切りに五月二八日北海道で終る予定の森下泰の全国キャンペーン「百万人と語る会」も各地で盛況裡に後援会とか激励会となって進められているが、九州山口地区では今一つ終盤戦としての盛り上りに欠けているというのが大方の見方である。日刊紙では、「強力な組織にものをいわせた森下泰は早くも安全圏に入った」と鳩山、佐藤、斉藤等と同列に見られている。業界の奮起が望ましい。

 阿部王樹先生を偲んで

 去る五月四日、八六才の天寿をまとうし逝去された阿部基吉先生(号・王樹)の略歴については、本紙四月一五日号で紹介しましたが、偶々福岡県薬剤師会会報一〇〇号特集号(一九六三年一二月発行)に寄せられた俳句を転載します。この寄稿の時期が一二月で季感として初夏の候と合わない点はお許し願います。医薬分業に想いをかけられて、永年にわたって薬剤師業の向上に努力を積まれました先生に対し、ここに改めて先生を偲び謹んでご冥福を祈ります。(編集子)

 漫俳十句抄 阿部王樹

 月の秋薬事にうとき薬剤師
処方箋来ず薬剤師そぞろ寒
処方箋というもの知らず日短か
柿渋し法規は辛らし薬剤師
暮の秋ただ物売りの薬剤師
薬局のポスターを吹く秋の風
天秤に白きほこりや秋そぞろ
股火鉢して薬局にただ読書
身に入むやこわばる指に薬包紙
年の暮何をしおるぞ薬剤師

 福岡市薬 休日診療に協力

 福岡市薬剤師会(斉田和夫会長)は、理事会並に部会連絡協議会を五月十六日薬剤師会館で開催した。当日は役員改選後、初の会合であるため、長野県薬会長、白木副会長も臨席、左記議題により会の運営等について活発な質疑応答があった。

 ▽福岡市休日診療に関する件については、五月より福岡市立西新病院において発足した福岡市の休日診療に医師会が協力することとなり準備が進められていたが調剤部門については本会が担当、協力することとなり、会員の調剤研修も兼ね複数で勤務することを決めその人選を行なった。

 ▽医薬分業推進については薬剤師が好むと好まざるとに関係なく五ヶ年計画が推進される情勢にある。本会としての具体策は、薬局・社保委員会を合同した分業推進委員会(仮称)を設置して推進する。

 ▽老人医療等に関する保険請求様式が五月分請求(六月提出分)より新様式に改正される。
▽その他組合活動報告

 谷口よしのり会員 参院選に出馬 長崎県地方公明党公認

 来る第10回参院選について、長崎地方区では初村滝一郎(自民現60歳)、山口健二(社会新51歳)
、 谷口よしのり(公明新51歳)、中田晋介(共産新35歳)の四氏がすでに公認され、これまで候補を立てなかった公明党が初めて谷口よりのり県議(薬剤師、長崎SS薬局経営、県薬剤師会顧問)を立てることが注目されている。

 同党県連では「これまでは当選第一主義でやってきたが、もはや候補を経てないことは公党として許されぬ段階」と説明し、また消息通間のウワサでは「次期衆院選に現松尾信人代議士の後継者として出馬が予想される谷口よしのり氏の当選」を占う戦いの意味をもつものともいわれる。これについて同党弟子丸県議は「参院選に初めて独自の候補を立てることで、多少の戸惑いはあるが最善を尽くして戦う」という構え。

 谷口よしのり氏は県議三期目で長崎市からの選出であるが、県議選ではいつも最高点か又は二位の好成績を収めてきた。長崎県薬剤師連盟ではかねて同氏を後援してきており、今回はさらにその態勢を強化する構え。

 谷口氏は長崎医大薬学専門部(現長大薬学部)卒で一家一族は薬剤師ばかり、いわば薬剤師一族は薬剤師ばかり、いわば薬剤師一族の代表ともいうべき人で薬剤師職能についての認識や情熱は、抜群の持ち主、長崎市内での同氏への信頼や親近の情はすこぶる強い。案ぜられるのは長崎市以外の地区の後援のもり上りであるが、その点でも逐次浸透が進んでいるもよう。

 長崎県参院選地方区では自民の優勢は定評があり、これを社会党が追うものと予想されているようだが、公明党としても次期衆院選の成否を占うためにはきわめて大事な一戦。谷口よしのり氏としても文字通り政治生命を賭ける戦いになるものと考えられる。なお最近の選挙における長崎県の各党別の支持率は自民四八・五%、社会二四・六%、公明一二・〇%、民社一〇・三%、共産四・六%

 福岡県薬剤師会 分業受入体制の調査

 福岡県薬剤師会(長野義夫会長)は「分業受入体制の調査について」左記のような書状を五月一四日、各支部長に発送し調査を開始した。

 ▽県薬本年度の最重点事業は医薬分業と確認されていますが、日薬の分業五カ年計画に基く第一年目事業「受入体制の調査」を別紙のとおり実施いたします。各支部におかれましてはこの趣旨に沿うべく、できるだけ正確な資料の提出をお願いいたします。なお今回を初回とし、進捗の度合に合わせて何度も実施いたしますので、基準となるべき今回資料の保存を併せてお願いいたします。

 調査要領
(1)会員中の保険薬局に限りますので、アウトサイダーは備考欄にご記入下さい。
(2)各支部で保存してある資料による報告でなく、各支部役員の方が手分けして各薬局毎に確認して下さい。
(3)薬局別の分は各支部で保管して下さい。集計分は必ずご記入下さい。県下分総集計し、資料としてまとめた分をお届けします。
(4)借入金は最低の積算で一応二〇〇万円とします
(5)提出期限6月14日(支部長会議)当日まで。
(添付書類=第一回保険薬局内容調査表、第一回保険薬局調査集計表は省略)

 過ぎし日々(23) 塚本赳夫

 そのきめてになった事は野尻先生も一と役買って居られるが、先生よりも私がならんで坐らせられていたこの笠井春子さんというお嬢さんと我々が一年生の時の運動会でポルカをおどって猛烈な喝采を受けた事、二年生の時にも又繰り返して同じ計画を立ててポルカをやったが今度は軍楽隊が他のポルカの曲だけしか持っていなかったのであまりうまくいかなかったようなこと、しかしこの時軍楽隊を卒いて来て指揮をしておられたのは後に非常に有名になられた長井健士陸軍軍楽隊長の若き日の姿だったという事を平岩君も非常によくおぼえていたので、二人は同級だったことが確認されたのであった。

 このどちらのポルカも私と笠井さんとが手を取り合って先頭に立っていたのだろうと話をしても彼はあまりはっきりとは僕を認識していなかった。彼の言によれば「笠井の組ならたしかに俺もいた組だ」と言う話だった。他にあとで中学でもまた同級になった早川三郎君と言う子もいて、その家に遊びに行った事もあるが、この人は日航の初期の役員で九大に来てからも尋ねて来て呉れた。彼は何も言わなかったが平岩君を尋ねて来たのだったかも知れない。

 但し、この名前は同名異人が多いと見えて私の知ってるだけでも三人ばかりある。尚、家がいくらか近かった為に学校からの帰り道が同方向であったためにすぐ友達になったお嬢さんに箕作秋吉君の妹さんがあった。秋吉さんは工学部で私より一年だか二年だかの先輩で、お付合の広い人だから学生時代から色々とお世話になった。私が薬学科の学生になった頃やって来て夏休みのアルバイト(当時)はこんな言葉は用いられていなかった)に、皮膚科で博士論文作りをしておられた中島先生と言うお医者様のお手伝いを世話して呉れた事もある。

 その仕事は五、六月頃から九月まで、毎日夜の十時過ぎまで膀胱結石の分析をして夏休みを一つつぶしたビクターのプレーヤー(蓄音器)とレコードを獲得して、分析の腕を上げ尿酸や蓚酸のようなカルシウム塩の溶けにくい物質の事を勉強したから、結極私の方が徳をした事になった。

 この事は、同級生箕作君(失礼ながら名前は忘れた)のおかげと思う。僕の友人箕作さんは、おとなしい安心して付合える人だったので学校からの帰りにはよく一緒に帰った。道のりも相当あるから、時にはジャンケンとびをしながら植物園の裏の坂を上って本郷の方へ帰った事もある。

 夏休み前は日が長くてよかったが、秋にこのジャンケンとびで帰るとうす暗くなって相手のジャンケンが何を出してるかはじきに見えなくなって困った。相手が見えなくなって、大きな声で「僕はパーだ」「私はチョキよ!」とことばでやる。道はなかなかはかどらないからますますおそくなり、気がついて見るともう大分暗いから休戦して家に馳けて帰ったが、夕飯の前にひどくしかられた事もある。

 登校する時はこんな道は通った事はなく、本郷から掃除町の谷を通るか指ケ谷町(さすがちょう)におりて坂上と言う酒屋さんの左の坂を登って盲唖学校の前を通り、植物園の横の坂を降りて又小石川の台に登らねばならんので一時間近くかかったように思う。帰りには竹早町の坂(今は衛材がある立派な坂になってる道)から帰る事が多かったが、どの道を通ったにしても今ならジャンケンとびなどしていたら自動車にはね飛ばされる事は必定(ひっじょう)と言うべき道になっている。

 分業の話題(中) (実例と計画の一端) 藤田胖

 ○…本年一月十七日、若狭薬品の藤野部長より前原町の知花医師が医薬分業に関心を持っておられるので同行して説明しようではないかとの話で、知花先生と約二時間ばかり話した結論は、「開業医として平素考えていたことと、君の話とが一致するし充分理解出来るので具体的な方法を考えて欲しい」とのことであった。そこで糸島郡の古川支部長に会員経営の調剤専門薬局を作り、受入れて頂き度いと相談したところ、翌日全会員の総意で出資し、保険薬局の設立が決議されたということで、家屋の確保、調剤室と待合室の設備、有限会社「新生薬局」の設立と登記、薬剤師と助手の研修、知花医院の備蓄薬品の譲受けなどの作業を順次精力的に行い、四月一日より処方せん受付が開始された。調剤はUDD方式を採用し、患者には親切に服用方法を説明するなど、患者は勿論知花医師も安心し喜んでおられるという。四月分集計は処方せん二三〇〇枚、一日平均九二枚の調剤で一枚当り一三〇〇円‐一四〇〇円位であろう。

 ○…長野県薬剤師会では県医師会と正式の会合で、両方から五名の委員をだして準備委員会を作り、四十九年度で準備完了して、五十年度に全県で分業をスタートするとのことで協議を進めていると聞いている。それによると、医師会側は
@分業受入れ体制の整備
A医薬品備蓄センターの設置
B漸進的に雑貨、化粧品など物品販売の廃止、又は調剤薬局入口の別設。
などが条件となっているといわれる。

 この提示された事柄は薬剤師会又は薬剤師としても別に異議はないと思われる。長野県の中でも上田市の医薬分業は市の医薬両団体の関係の緊密さを基盤に比較的スムーズに実施されているが、それでも上田市の全医療の二〇%の処方せん調剤に止まるといわれる。

 長野全県下医薬分業が五〇年から実施されるとしてもおそらくは上田市の方式であろうから無理なく受入れられるであろうが、(もっとも調剤薬局の実態を現在の薬局スタイルの移行の程度とすれば、全医療の三〇%が調剤可能の線であろうと考えられるが)、一年たらずの時間的余裕で果して調剤薬局スタイル作りと、実技の研修に不安はないだろうか、会員の方々の一層の自覚と努力が切望されよう。
以上の実例からみて、保険薬局の方々もこれを他山の石として平素から各種の研修と薬局の整備に暫らくの時間を割いていただきたいものである。

 ○…先般ある会合で話合った分業の問題点のうち特に重要と思われる次の諸点をあげてご参考に供したい。

 調剤実務関係の一部
@処方せん受付から調剤完了までの具体的な項目(剤型、剤数、分割等)を標準化して患者に不安を与えない方法を調剤技術委員会と合議して研修する。
その際出来得るだけ、UDD方式調剤を推進する。
A分業推進指導員の業務内容には分業推進と保険関連実務の二面があることに留意して人選することとし、二〇薬局に一名程度適当である。なおレセプト作成など保険事務処理に習熟させる。

 備蓄薬品関係の一部
@処方薬品の実態調査するためには、地区の卸業者、分業実施薬局の経験により情報を得ることが便宜である。
A具体的には近隣の医師の使用薬品の種類および頻度を各自が調査する。
B分業実施の初動段階では出来得るだけタイヤアップ医師の在庫品の引受けを話合う。一般的には一五〇‐二〇〇品目位である。
C分業が進んだ段階では地区の薬局間で在庫調整を実施して有無相通ずる方法を考える。
以上

 松下局長談 逆ザヤ改正は 6月1日付で

 厚生省の松下薬務局長は五月四日定例の記者会見を行い、逆ザヤ品目の改正、GMP、審査状況について次のように語った。

 ▽逆ザヤ解消について
逆ザヤの総品目については最終的にまとまっていないが、六月一日には改正を実施したい。また逆ザヤ調査は全数調査でないので、正確にバルクを引けないが薬価の決め方は従来通りとする。現在は価格の変動が激しいため或る程度の値幅をもたせるようになろう。

 ▽GMP関連
カプセル、錠剤、散剤について五月〜六月にかけて製造所調査を行う。対象は約二百社。この結果を秋までにまとめ、各マニアルを作成する。また卸のGSPは行政的にとりあげるところまでいってない。

 ▽審査状況
現在機構改革を行い審査が一本化されたが、メーカーの面会日がこのため区々になっている。これを旧製薬第一課の面会日であった。火、水、木曜日の一時半〜三時半にする。メーカーは担当官の面会日を厳守してほしい。このことは審査を早めることにもつながってゆく、又一般薬基準の鎮咳結痰剤を審議しているが、まだ時間がかかりそうだ。

 吉村企画課長答弁 適配撤廃考えずと

 全国薬務主管課長会議に先立ち、五月七日課長協議会が開催され、各県から適配懇の答申とこんごの厚生省の方針が質問された。

 これは適配懇の答申が「三年をメドにして適配条例の撤廃を考えるべきである」としており、この三年目が今秋に当たるために厚生省の態度をただしたもの。これに対して、吉村企画課長は「適配条例を長い時間維持させる考えはないが現時点では適配条例の撤廃は考えていない」と答え、当面適配問題のための薬事法改正はしない考えを明らかにした。

 薬務局漢方製剤 四六処方を追加

 薬務局審査課は中央薬審漢方生薬製剤調査会の了承を得て「漢方製剤等の取り扱い=その4」を決め五月八日の全国薬務主管課長会議で説明した。これは一般用医薬品の漢方製剤の処方の内容、成分、効能効果を決めるものでこれがこのまま審査内容となる。

 今回は甲字湯など四六処方で、"その3"までの一六四処方を含め、二一〇処方となった。
審査課ではこれで漢方製剤のポピュラーな処方はほとんど決まり、あとは一〇〜二〇処方程度ずつ追加していく方針という。

 公取委、再販表示も九月実施の予定

 公正取引委員会はこのほど再販商品の再販表示義務について九月から実施することをほぼ固めた。これの対象となるのは、昨年八月の再販制度改革の発表によって除外されることになった二八品目の医薬品を除く一部の医薬品を除く一部の医薬品と、千円以下の化粧品の九月以降も再販を継続する商品である。洗剤、石鹸、練歯磨も八月いっぱいで再販指定を取り消されるために除外される。

 これによって九月一日から実施される再販制度の改革に伴って表示の義務も付されることになるとみられる。現在、表示の方法や内容については未定であるが五月中にはまとまる情勢である。

 三師懇談会、分業中医協で意見交換

 日本薬剤師会、日本医師会、日本歯科医師会の三師会は五月八日午後六時から東京浅草の梅の家で懇談を開いた。この懇談会は日本医師会の呼びかけで開かれたもので分業問題、中医協問題などで意見を交換した。出席者は日医が武見会長以下九名、日歯が中原会長以下七名、日薬は石館会長以下六名であった。

 昭和48年社会 保健調剤状況(九州・山口地区)
完全医薬分業実施の第一年度に突入し、四九年度の社会保険調剤は処方箋枚数の金額ともに飛躍的に増大すること必至である。今後年次毎の増加状態の基礎資料として、四八年(47年12月より48年11月までの一年間)の全国概況と九州・山口地区における実績を示すと左記のとおり。

 A 全国の社会保険調剤の処方箋、枚数=三、五八〇、六三三枚、金額=五、六四七、二九五、二九五円。
 A都道府県別の枚数での順位は、一位=東京、二位=神奈川、三位=大阪、四位=福岡、五位=愛知。
 C九州各県及び山口県の実績は左表のとおり。(保険薬局数は38年3月現在)

hyou


 協業精神の再確認 「医師は診断薬は薬剤師」 村田正利

 ▽…昔のこと、厚生車というリアカーを改造して自転車で引っぱる人力車が繁栄した時代があり、後でエンヂン付きのバタバタ車と発展した。今では東南アジアの後進国でしか見られないしろものですが、この厚生車と厚生省の語呂が、よく似ているので私の脳裏に結びついております。

 ▽…医薬は、よく車の両輪にたとえられますが、明治の昔から今日まで医薬分業のかけ声ばかりで実現できないのは何故か?薬品メーカーというシャフトに医輪、薬輪を付け、国民というお客を乗せ、厚生省という引張り人が健康という目標に協力しながら前進する姿こそ望ましい。

 ▽…さきに、わが野間部会総会に全会員が参集して、いろいろと意見の交換をし社会情勢に即応するため部会員の相互援助、定価維持を推進するよう協力を申合せましたが、医薬分業の推進は、まずは医師の技術を高度に評価し「医師は診断、薬は薬剤師」という協業精神の再確認が不可欠と思います。協業精神を基盤とし、お互の業務を理解し尊重し、国民の賛同を得るため、身近かな事ですが顧客との対話を繰返し「薬局は医薬品の販売授与と、調剤を主業務とする所」であることを認識させ、医師の処方せんにより忠実に確実に調剤し、医師の信頼に応える不断の努力が、医薬協業の実現に必要であることは言をまちません。

 ▽…「薬は両刃の剣」といわれますが、安全性のみに束縛された業界の指導にはいささか不満を感じます。薬剤師が店頭で顧客との対面販売で、薬に対する全知識を結集して有効性の説明と同時に副作用のでない正しい服用法と指導をすることが、顧客に対する本当の奉仕と思います。厚生省は国民の健康保持のため、医療の抜本的な施策を早急に行ない、医輪薬輪が同じ回転数で同じ方向に、そして国民というお客が安心して悪路でもガタピシしないシャフトの強い安全性の高い厚生車で病気を乗り切るよう望みたいものです。 (福岡市開局)

 ◇第15回福岡市薬ボウリング大会

 若葉も美しい筥崎宮横の箱崎ボールで五月一五日午後八時から慣例の大会が行われた。開局、勤務、学薬部会から選出された先生方、汗を流しての熱戦、技量はまづまづとして日頃の運動不足解消とばかりCIのスプリットをカバーする妙技やCEの平行ピンを処理する先生も出現した。

 今回は開局の猛烈な進撃を振り切って学薬がチーム勝利をにぎり、いつもの勤務はやや堅くなり、その中でも鶴岡部長の上位進出はさすが根性の現われと、ミーティングの話題をさらっていた。
上位十名3ゲームトータル
学業 二三七九ピン
開局 一四〇七ピン
勤務 九五六ピン

 個人成績(上位5名は4ゲーム)
優勝=真崎(学)七二九
準優勝=馬場(〃)七一四
三位=藤原(〃)六四九
四位=鶴岡(勤)六三八
五位=中野寛(開)六二二
なお、学薬では来月上旬熊本学薬と、親善大会を計画しており、福岡で第一回の雌雄を決することになっているので同好の先生方の奮起を係では希望している。

 挾子

 医薬品の卸メーカーは、大病院への納入価格問題で苦慮しているようであるが本年の秋頃には再び原料高に併せ品不足に悩まされることになりそうだとの見通しが囁かれている。

 コーヒー一杯二〇〇円、ケーキ一個一五〇円の昨今、かぜ薬一回分は一〇円から八〇円位である。他の物に比べ値上りを云々されることはないと思うし、安いから沢山使う物でもない。むしろ考えようによっては安過ぎる。業界は一丸となりもっと自個防衛を考えるべきではないだろうか……

 福岡県衛生部長ほか四氏の歓送迎会開催

 このほど福岡県衛生部では左記のように退任並びに新任があったので、その歓送迎会を五月二日(木)午後五時より薬事薬業関係諸団体の共催で福岡市天神のレストラン三和において開催した。

 退任=岩下泉衛生部長、松浦公一衛生部次長、武田大典薬務課長、都合三恵薬務課長補佐。
新任=岩橋孝薬務課長。

 当日は、福岡県薬剤師会神谷専務理事の司会によりまず辻同県薬副会長の開会のことばについで主催者代表として長野県薬会長は、退任の方々の永年に亘る薬業界に寄せられた尽力に対して深甚の謝意を表し、また新任の岩橋薬務課長の栄進について慶びの言葉を述べた。

 来賓あいさつは九州大学薬学部川崎部長、古賀治氏よりなされ、それより主賓側を代表して岩下、武田、岩橋の三氏より各々丁重なあいさつが行われた。

 次いでメーカーを代表して筑紫二十日会当番幹事のミドリ十字松村福岡支店長のあいさつのあと卸代表九宏薬品木瀬社長の乾盃の音頭により祝宴に入った。参会者一三〇余名で開場狭小の感あって盛会裡に歓をつくし、白木県薬副会長の閉会の辞で宴を終えた。

 ◆女子薬九州ブロック研修会開催

 女子薬剤師会九州ブロックでは左記により研修会を開催、同時に森下泰後援活動をも盛り上げる予定。
日時 5月26日(日)10時30分
場所 福岡市電気ホール地下8号室
講演
▽医薬品の相互作用と干渉作用=黒田先生(福大病院薬剤部長)
▽食物・栄養・病気=永井先生(中村大学教授)
シンポジウム
「明日の医療制度における薬剤師、そのあり方と組織化について」
講師=黒田健、四島久、神谷信武、秋島ミヨ
懇親会17時より