通 史 昭和46年(1971) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和46年(1971) 3月20日号

 福岡県 衛生検査技師 指定講習会

 福岡県薬剤師会はかねて臨床検査技師特例国家試験受験資格をうるための指定講習会開催について受講希望調査を行なっていたが、この程県衛生部、県衛生検査技師会と協議の結果、福岡地区、北九州地区関係申込者は、県薬の行なう講習会に、筑後地区、筑豊地区の申込者は久留米及び飯塚で開かれる衛生検査技師会が主催する講習会に参加することに決定した。

 講習会の開催要領は、昭和46年8月22日実施される臨床検査技師特例国家試験受験資格をうるためのもので、開催の具体的計画は ▽福岡会場(薬剤師会主催)第一次(5月8、9、15、16、22、23、29、30、6月5日の土、日曜日九回)第二次(6月12、13、19、20、26、27、7月3、4、10、の土、日曜日九回)、会場は国立福岡中央病院、受講に要する費用は、参加費は薬剤師五、五〇〇円、その他七、五〇〇円及びテキスト代七〇〇円、その他参考資料代、模擬試験料等若干要す。
▽北九州会場(薬剤師会主催)5月2、9、16、23、30、6月6、13、20日の各日曜日八回で会場は福岡県九州歯科大学、受講に要する費用は福岡会場に同じ
▽久留米会場(衛生検査技師会主催)5月5、9、16、30、6月6、13、20、27日八回、会場は久留米大学医学部図書館、受講費用は、参加費七、五〇〇円、テキストその他資料代一、〇〇〇円、模擬試験料等若干。
▽飯塚会場(衛生検査技師会主催)、日時は久留米会場に同じ、会場は飯塚医師会館、受講費は久留米会場に同じ、
(なお、福岡会場は既に申込み数に余裕はないが北九州会場は若干の余裕がある。)
申込については申込用紙に受講料を添え、福岡、北九州は三月二五日までに、久留米、飯塚分は折り返し至急申込むこと、

 論壇 添付禁止、分業促進

 今回の添付禁止を契機に開業医側でも、いよいよ本格的に処方箋を出そうという機運が昂っている。
医薬分業が叫ばれてから既に久しい。この間薬剤師会側でも累次強力な指導を行なって来たが、しかしその具体性については必ずしも充分とはいい難い点があった。

 中には福岡市の藤田薬局におけるが如く独自独特な方法で開発を行ない、着実な地歩を築き上げている人士もおられるが一般的には前進する具体性には未だしの感があった。事実、二三開業医の意向を打診してみても、その意志は充分持ち合わせながらもさて処方箋発行となると一体何処へ出したら患者に迷惑掛けずに済むか分らないし、出したところで、果して満足に調剤して貰えるか気掛りだという。

 それに今一つ、一度処方箋を外部に出すとなると、そこには医師、薬剤師、患者三者間に微妙な関係を生ずるので、その間に処してうまく対応できるパーソナルコミュニケーションが確立できるかという懸念もあるという。

 一口に医薬分業といっても、このようにその内奥深く突込んで考えると、ただ単に調剤薬を一通り揃えたから、それで受入れ態勢は万全だというわけには行かぬようである。特に後の事態を慮って、開業医のある方面では、自からの近縁者ないしは家族をして調剤薬局開設の動きもあるやに聞いている。既存の医師の社会的信望ないし財力をもってすれば自家医院の近隣に調剤薬局を開設することはいとも容易であろう。

 うかうかしていると、この面からも既設薬局は取残されるかも知れない。このように医薬分業の好機到来とはいい条、手放しで喜んでばかりおれず、もっと真剣に掘下げて研究すべき事は多々あるのではなかろうか。

 福岡県薬剤師会館類焼 仮事務所は商工会議所に移転

 福岡県薬剤師会館は三月一七日午前、同会館が類焼したが、昼火事であったため重要書類の大半は焼失をまぬがれた。しかし日本薬剤師会第4回学術大会を目前に控えているため、大会の完璧を期し、仮事務所を大会会場である「福岡商工会議所ビル七階」に即日移し、大会に支障をきたさないよう鋭意努力中である。
仮事務所の所在地は左記のとおり
▽福岡市博多駅前二丁目九‐二八(〒八一二)
福岡商工会議所ビル七階電話=○44一九六〇・一九六一(3月24日開通予定)

 TUC対策等で決議 福岡・北九州で講演会と決起大会

 九州医薬品卸連合会(渡辺荒次郎会長)は、さきに九州山口各県小売商組代表者らもふくむ大会を開き、最近の薬業情勢に関する安藤俊市氏の講演を聞いたが(既報)その後五日には福岡市朝日ビルにおいて福岡県医薬品小売商組並びに商組福岡支部主催福岡市医薬品卸業協会後援により、約三百名の出席を得て「薬業界の諸問題とその展望」と題する安藤俊市氏(株式会社ドラッグマガジン社長)の講演会を開き、翌六日には北九州市小倉区の新小倉ビルにおいて、北九州並びに筑豊地区医薬品卸業協会主催、小売、卸、メーカー三者合同での同講師による講演会を開き、北九州、筑豊、山口県から約四〇〇名の多数の出席者があった。

 安藤氏の講演内容(本紙第八一一号既報)は、医薬品をめぐる諸制度、添付廃止、適配条例、再販制度問題等について詳細な演述のあと熱心な質疑応答が行なわれ、次に両会場とも満場一致で、小売薬業者総決起大会に切り替え、各代表の意見発表があり、各種の討議を経て、満場一致左記決議を採択した。

 なお、因にその後北部九州ではこれら一連の動きから大正製薬の新構想に対する反対ムードが盛り上り、新構想に加入の動きがにぶったと伝えられているが、南九州地方では活発であるとの意見が聞かれている。両地区総決起大会の決議文は次のとおり

 決議文

 一、小売薬業の自主性と正しい販売姿勢を堅持する。
 一、地域社会への医療奉仕に徹し、真の意味の消費者利益を守る。
 一、医薬品の再販制度と薬局等の適正配置を譲り適配条例悪用の絶滅を期する。
 一、適正妥当な業務利潤を確保して小売薬業の生活権を守り、かつその健全な発展を期する。
 一、資本金融の圧力または策謀による小売支配政策に絶対反対する。
 一、資本の暴力によって小売薬業界の混乱と不安を誘い、それを小売支配に直結させようとする製薬会社の暴挙に対しては徹底的に   対抗する。

 以上六項目の具現と目的貫徹のために福岡(北九州)地区小売薬業の総力を結集し、広く英知を集め勇気を奮い長期の戦を決意してあらゆる障害を克服せんことを期する。右決議する。

九州薬事新報 昭和46年(1971) 3月30日号

 福岡県薬代議員会 類焼に伴う特別措置など 執行部原案を承認

 福岡県薬剤師会は第26回通常代議員会を二三日午前一〇時から福岡市の三鷹ホールで開き、議長選挙で議長に須原勇助氏、副議長に古賀哲弥氏を決めたほか会館類焼に伴う追加議案など執行部の原案通り決定した。

 当日は代議員七八名中四七名、その他の出席者など約八〇名が出席、定刻より馬場理事司会のもとに鶴田副会長の開会あいさつで開会、まず任期満了による議長並びに副議長選挙のため仮議長に最年長代議員の高倉等氏を推し、選考委員制により四ブロックから二名宛の委員に仮議長を加え、別室で選考の結果、議長に須原勇助氏(福岡市)を三選、副議長に古賀哲弥氏(若松区)を選出した。

 それより会長演述に移り四島会長は、去る一七日県薬会館の火災に際し会員の協力を謝した後、会務並びに日薬学術大会の開催については大体支障なきを得た旨を報告、それより薬業界の現況について特に医薬品の安全性、薬効、大衆薬の価格に絡んで再販、適配、薬価問題等が提起され業界の危機は最高に達し、公害問題もまた世論の攻撃の的となっている。薬剤師はこれらに対応していかにあるべきか、中央でも職能の基本方針が検討されている。と再販、薬効、適配等について現況を詳細に説明、世論はかならずしも正しくはないが、吾々が反省すべき点も多々あると述べ、さらに分業については、隘路を切り開き、一歩一歩出来るところから段階的に推進することになっているが、ただ待つのみでは吾々の前を素通りしかねない。吾々としてはこれらの現況をふまえ職能の拡大と確立をみずからの力で勝ち取る方向に向うべきであると述べた。

 次に四月開会の学術大会については70年代の薬剤師は如何にあるべきか≠テーマに、内容も最高のものと考えているが、参加者が少なくては成功とはいえないと、県下会員多数の参加を要望した。
また、選挙について、薬剤師は政治力があるにもかかわらずそれを十分発揮してしないと一般に云われているが、坂口徳次郎氏を吾々の代表として国会に送るためには全力をあげねばならない、四月の統一地方選挙はその前哨戦のつもりで十分な政治力を発揮してもらいたいと述べた。

 次に来賓の祝辞に移り、亀井県知事(岩下県衛生部長代読)、阿部市長(保健所長代読)の祝辞があってただちに議事に入った。

 報告事項は、一般会務、恒常的事業を工藤専務理事、重点事業を中村理事、関係団体報告(病院薬剤師会、学校薬剤師会、女子薬剤師会、薬剤師国保組合)をそれぞれ代表者から、日薬代議員会報告を安部理事、昭和四五年度会計中間報告を鶴原理事がそれぞれ詳細に報告した。

 47年度から会費体系根本是正か

 午後は議案審議に入り▽四四年度決算(一二、七三五、九八九円)▽四六年度事業計画▽同年度会費(前年通り)、予算(一三、四八〇、〇〇〇円)等の諸議案を異議なく(この予算編成後火災のため印刷物等焼失したのである程度の変更を含め)承認、引続き去る一九日、会館火災に伴う緊急理事会で検討した結論として提出された追加議案第5号「会館類焼に伴う処理に関する件」について慎重に検討した結果、執行部の原案通り異議なく承認した。

 その内容は仮事務所借上料として二五〇万円計上、その財源として分業同盟拠出金が本年一〇月に満了するので、一一月から四七年三月までの五ケ月間、同盟拠出金と同月額を拠出することに決定、その間の運営に別途積立金の一部を流用すること、また会館建設準備資金としての借入金の借入限度額を一千万円とする(この項は必要な場合の意)。

 この問題については種々質疑応答が重ねられたが、会館の類焼については、現仮事務所(商工会議所会館)は大会開催のため一月の予定であること、類焼の会館は修復しても使用に耐えないため仮事務所は他に借用すること、永久的な会館建設についてはその間に検討することとなったが、いづれにしても四七年度以降の薬剤師会の会費体系の根本的是正が中央(日薬)とともに福岡県薬としても今後の重要な課題であろう。なお、この会館建設問題については、県薬と地元福岡市薬との十分な話合いと協調が今後必要であるとの印象を出席者に与えた。

 当日の質疑、意見の主なものは次のとおり
▽日薬代議員会で採択された薬事法一部改正のうち「何人も医薬品の品位を傷つけ乱用を助長し徒らに消費者を誘発するごとき記事を広告し記述し又は流布してはならない」を新たに規定する。とあるが、これは薬剤師が自縄自縛にならぬよう慎重に対処されたい。
▽決算は前々年度のものであるから監査は五月頃実施し、その時点で支部長会等で報告されたい。
▽薬剤師職能の存在価値のPRを予算をかけて実施されたい。
▽役員の費用弁償が予算にないが、今後はそれらを設け運営すべきである。

 46年度事業計画

 昭和四六年度の事業計画は、七〇年代に即応する日薬の会の組織のあり方、会の基本方針に即応し、次の点を重点項目として推進する。

 (1)医薬分業の推進
@県保健課の協力のもとに診療側、支払側、被保険者に対する分業制度のPR
A分業受入体制を強化するための講習会、研修会の開催
B分業は、できやすい地区において理解ある医師との協力により推進し、逐次他に及ぼす。

 (2)薬剤師職能の高揚と管理能力の向上
講習会、研修会等により職能の高揚と管理能力の向上に努める。

 (3)会の組織向上と活動の活発化
公衆衛生、公害、社会福祉等対社会的事業を推進するとともに、勤務薬剤師の地位の向上と給与の改善に努める。薬剤師会薬剤師の存在を広く一般大衆に認識せしめ、魅力ある薬剤師会とし、総ての薬剤師が参加する薬剤師会とするよう努力する。

 (4)日本薬剤師会第4回学術大会の準備、運営の万全を期す。

 総会

 福岡県薬剤師会の総会は同代議員会に引続き開かれ会長演述、代議員会報告は同一出席者であるため、その旨の発言で終り、昭和四四年度決算認定の件を異議なく承認した後、優良支部の表彰に移り、浮羽、八幡、直方、戸畑、糸島の五支部が表彰され、各支部長に表彰状と記念品料が贈られた

 政治連盟懇談会

 引続き県政治連盟懇談会に移り、四島同連盟会長から、高野元会長を国会から失って以来、薬剤師はそのマイナス面の大きさを味って来たことから今回坂口徳次郎氏を推すことになり既に矢は弦を離れた。福岡県では他からの応援も期待出来ぬ状況から得票数即吾々の政治力と評価されようと、前回の倍増獲得を目標に、学術大会の翌日からこれに取り組むよう要望、それより会員の意見や要望があって当日の会議を終え、同所において懇親会が催された。

 同盟情報部速報 第70号 昭和46年3月16日 日本医薬分業実施推進同盟情報部

 日薬常務理事会 当面の問題審議

 石館日薬新会長の新らしい構想の盛り込まれた日薬代議員会の審議事項並びに意見、要望事項の処理のため日薬常務理事会が、三月一一日開催された。当日の主な審議事項と審議内容は次のとおり
(1)定款改正特別委員会=早急に設置し、代議員制度会員制度、理事分担制度、会費制度につき四月〜九月間にまとめ、一〇月初旬臨時代議員会を開き審議する
(2)日薬ニュースの発行=日薬直轄で早急に発行計画をたてる。
(3)分業推進プログラム=国民へのPRは従来の間接的方法のほか週刊誌、テレビ利用等も考える。分業推進員研修会を同盟主催で五月中に開催する。
(4)年金制度=地方会長を含む一五〜一六名の設立準備委員会を設け、四七年度実施を目標とする。
(5)中医協対策の件=医療報酬と調剤報酬の基本方針特別調査会を設置、成案を得次第全体理事会にはかり中医協、厚生省に提出する
(6)同盟の運営=同盟常任執行委員会、同総会で採択された運営方針(会費は一〇月まで、現機構は来年三月まで継続)に従う。
(7)試験センターに関する件=設置候補地の選定は、厚生省が各都道府県へ設置の意見照会後に行なう。
(8)公務員給与改善問題=初任給調整額も考えることとし会員委員会で検討する。
(9)第8改正日本薬局方=簡明な注釈をつけた日薬版を六月中旬に発行し、全国会員に頒布するほか「第8改正日本薬局方の概略」を日薬第4回学術大会で有償(三百円)で配布する。四月一日付で出る官版は官報を一括購入、地方会長あて送付する。
(10)日歯協定処方改訂=日歯メーカーと事前に十分協議の上、改訂委員をおき改訂する。
(11)薬学教育問題=薬学教育の年限延長案を、薬学教育委員会で十分検討する。なお、薬学教育協議会(文部省管轄)に日薬から二名の委員を送る件では、問題の重要性から石館会長自ら委員となる予定。
このほか、再販、適配、調剤報酬課税、過誤調剤救剤制度、薬局製造業、環境衛生検査技師法、公害紛争処理法、無過失損害賠償責任法、薬局白書、学術大会中高校教科書、使用期限表示、薬大卒業生への入会勧誘、長井記念館、保険薬局標識、事務局機構等の諸問題につき審議が行なわれ、必要なものについては、関係の委員会に付託されて討議されることになった。

 自民党医薬品問題小委 有効期限表示で結論

 自民党社会部会医薬品問題小委員会は、この程委員会を開き、医薬品の製造年月日表示などにつき審議、有効期限表示について次のような結論を出した。

 (1)ビタミンC等比較的経時変化を起しやすいものに対しメーカー側で、自主的に記載することをきめたことを承認する。
 (2)製造年月日については、さらに十分検討して結論を出す。
 (3)本来医薬品品質の確保は医薬品は薬剤師の責任によって供給されるかたちで行なわれるものであるから、厚生省として監視につとめる。

 なお、日薬はさきに製造年月日等の表示について厚生大臣に意見書を提出しており、日本製薬団体連合会は三年以内で変化するおそれのある医薬費については自主的に有効期限と保存法を表示することを内定したと伝えられている。同小委員会第二回会合では、医薬品の特許は、物質特許の方向で煮つめる方針で、同一組成、同一成分のものの承認の厳格化、副作用情報義務期間の延長については、次回に討議することになっている。

 中学・高校教科書 に医薬品の項挿入

 国民に医薬品に対する正しい知識を普及するため中学校、高等学校の教科書で医薬品を解説する必要があるとして今回、厚生省の武藤薬務局長がこの問題について文部省に申入れ、実現をはかることになり、この教材作成のため、厚生省薬事課を事務局として左記委員が任命され、三月中に成案を得ることになった。
その第一回会合が三月一一日開かれ、審議に入った。
委員名
国崎 弘(文部省専門員)
元山 正(日薬常務理事)
久保文苗(日薬薬学教育委員長)
大森義仁(国立衛生試験所)
鈴木郁生(仝)
豊田勤治(薬務局参事官)
本橋信夫(薬務局監視課長)
山中 和(薬務局細菌製剤課長)