通 史 昭和45年(1970) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和45年(1970) 6月10日号

 全国薬剤師総決起大会 業権圧迫に反発の気勢 関係方面へ陳情も

 全国薬局薬剤師の抱えた重要課題に対し、職能昂揚をはかるために開かれた全国薬剤師総決起大会は、六月三日東京日比谷公会堂において、全国から約三千名の薬剤師が参集して盛大に開催された。

 大会は山村鹿児島県薬会長の開会の辞に始まり、大会委員長(太田哲郎)並びに武田日薬会長の挨拶のあと「日本の薬剤師の地位」と題する水野肇氏の講演を聴取した。

 それより演説@大衆薬規制問題=坂口徳次郎(日薬代議員会議長)A適配条例問題=長野義夫(日本薬政連幹事長)B医薬品の再販制度=近藤禄郎(新潟県薬会長)C医療制度(分業)の問題=吉矢佑(大阪府薬会長)Dまとめ=太田哲郎(大会委員長)がそれぞれ熱をこめて演説、次いで坂口、長野、平塚、室の四氏を議長団に選出、議事に入り、大会の趣旨に関する件、並びに決議に関する件を採択決定し、陳情団を編成して厚生省、経済企画庁、公正取引委員会、各党、衆参両院などに陳情を行ない盛会裡に大会を終了した。

 なお、多数の来賓のうち厚生大臣(代橋本政務次官)日本歯科医師会長(代副会長)が挨拶したほか、各地区会員から意見の発表があったが、意見の要旨は薬剤師職能の確立をはかるには政治力を、薬局の基盤を作りには経済力をそれぞれつけることが必要であるとする意見が多く、また若い昭和生れを動員しなければ前進しない、それにはまず二世の活用をはかるべきだとの発言も注目されたが、この大会の結末を実践に移すことによって本大会が真に意義あるものとなろう。

 福岡県商組 白木理事長再選 総代会で

 福岡県医薬品小売商業組合は、五月二二日午後一時から福岡県町村会館において総代会を開会、四四年度決算認定並に四五年度事業計画及び予算を決定、任期満了による役員選挙では白木理事長の再選を決定した。

 当日は一二五名の早大のうち七〇名出席、一般組合員の出席も合わせ約九〇名が出席した、来賓には県衛生部長代理として佐藤薬務課長、四島県薬会長並びに古賀、江口両県議会議員が臨席して祝辞を述べ、藤野専務理事の司会によって白木理事長は、薬業界が当面する諸問題について詳細に説明「資本の自由化、スーパー攻勢、これに対する大型店の組織化、調整規程に対する政府の考え方、適配条例の悪用、再販、適配に関する提言等々、どれ一つをとっても容易ならぬ問題が山積しているが、吾々弱いものは一つにまとまってこれらに立ち向わねばならない」とあいさつ、また四島県薬会長、古賀県議両氏は、薬業界の危機が現在程深刻な時期はないと組合員の現況認識を要請、組合はこれらについて意欲的に積極的に取組んで頂きたいと述べあいさつとした。

 それより鶴田喜代次氏を議長に推して議事に入り、報告事項=四四年度事業並に組合員数(一、一三四名)報告を承認、議案=四四年度決算認定の件(収入支出合計一一六万四、五六九円)、四五年度事業計画案、同年度賦課金決定の件、(前年通り福岡地区三〇万円、筑後地区二五万円、北九州地区三〇万円、筑豊地区一五万円)、同予算案を審議の結果異議なく可決決定した。

 事業計画は▽組合組織の強化▽調整に関する事業▽団体交渉▽組合運営の近代化▽その他であるが、そのうち、調整に関する事業は例年調整規程の認可を受けていたが、現状ではその妥当性が失なわれたため本年度は認可申請を行なわないこととなった。しかし、宣伝の行過ぎ等については、従来通り積極的に取組み是正に努力することで了承した。

 次に、役員改選は選考委員制により、理事二六名(福岡地区八名、北九地区八名、筑後地区五名、筑豊地区五名)並びに監事四名を選出することとし、別室で選考の結果、二六名の理事が選出、理事の互選により左記役員が決定した。
▽理事長 白木太四郎
▽副理事長 須原勇助(福岡)、大坪外洋夫(北九州)、鶴田喜代次(筑後)、本松茂晴(筑豊)
▽専務理事 藤野義彦
▽理事 山手、大隈、古川、庄野、島田、岩橋、青柳、杉山、才田、芳野、古川、大村、中村、鵜殿、陣内、松村、臼井、有吉、直方支部長
▽監事 戸田、島、的場、岩崎

九州薬事新報 昭和45年(1970) 6月20日号

 福岡県庁薬剤師会通常総会 公害担当薬剤師の増員要望

 福岡県庁薬剤師会(会長武田大典氏)は四五年度通常総会を六月一三日午後一時半から武田薬品福岡支店九階会議室で、約五〇名の会員が出席、来賓には下野衛生部長に代って目野次長四島県薬会長、古賀県議会議員を迎えて開会、四四年度事業経過及び決算報告並びに四五年度事業計画、予算案を原案通り承認したほか役員改選については会長をはじめ全役員の留任を決めた。

 事業計画は四四年度実施した保健所における化学検査体制の実態調査にもとづき、本年は特に県の公害行政強化に即応出来るよう県に対し@保健所における化学検査体制の確立A県勤務薬剤師の処遇改善並びに公害問題に携わる薬剤師の人員増加を重点的に強く要望することとし、また衛生検査技師法一部改正に伴なう臨床検査技師の特例試験の受験資格取得のため一二月末までに衛生検査技師の免許を全員取得するよう要請することなどを決めた。

 挾子

 ▼飯塚市薬剤師会は総会で昭和生れの会長を選出、その他の役員についても若い層の活躍を期待する年輩薬剤師の温かい配慮によって全員昭和生れの役員が生れたが、役員の業務担当のうち「薬剤師研修兼DT部門担当理事」として清藤英一氏(飯塚病院薬剤科)の名が並んでいる。珍らしい担当だと思ったが、これは医薬分業に備えて開局薬剤師がハジをかかないように、との意味からできたものだそうだ、今後の活動を期待したい。

九州薬事新報 昭和45年(1970) 6月30日号

 福岡県薬 分業推進員研修会 第一段階は地区指導者の研修

 福岡県医薬分業実施推進同盟による医薬分業推進員研修会は、各支部から推せんした分業推進の中核となる活動家五四名を対象に、中央において実施した推進員研修会の内容を伝達するとともに、分業推進諸施策を末端会員に浸透させるため、指導者の養成を目的として六月二三日午前一〇時から武田薬品福岡支店九階会議室において開会、各支部から推進員五四名中五二名、その他合計六五名が出席して終始熱心に受講した。

 研修会はまず「医薬分業をめぐる諸情勢について」四島県薬会長は、「薬剤師の職能である医薬品の製造、調剤、管理供給のうち医師に独占されている調剤の確保、つまり医薬分業は、政治的、社会的、世論の動向などからも推進すべきだという力が強くなったことがうかがえ、分業情勢が今日程吾々に有利なことはかつてない。

 また医療関係者も医薬分業は必至であると考えており良識派の医師間では分業に指向する傾向が出てきた。これに対し、薬剤師会は分業の必要性は既に理解されているので、これを吾々の望む方向へ持ってゆくため政治的社会的に、また団体、地域、個人的にもすべての行動を分業の歯車に合せる方針で進んでおり、分業ムードもたしかに高まってはいるが、自からの努力なくして分業を待望(現状ではやむを得ぬ面もあるが)している会員が過半数であると考えられる、これを脱却するため、分業の必須性、現況把握、推進方策等を会員に周知するため先般中央でオルグ研修会が開かれ本県から五名の委員が出席した。これを県内に浸透するため、まず第一段階として会員二〇名に対し一名程度の指導者となる会員を対象に本研修会を行なうことになった」と本研修会開催の経緯と諸情勢を説明、末端会員は意欲ある人から即刻行動を開始するよう要請、現在の社会情勢から判断して薬剤師が分業を余りに長い目でみていては間に合わないと述べた。

 次に「社会保険と医薬分業、調剤業務について」藤木中央研修員は、厚生省代田技官、宮沢技官、山高薬事課長の講演内容(主として関係法律)について伝達、倉田中央研修員は医事評論家水野肇氏の「薬剤師は生きがいとして分業をかちとるべきである」と、吉田岐阜大教授の「質的高度な医療が行なわれるために分業が必要」と解説されたことが伝達され。次に平田中央研修員は田島学習院大学教授並に吉矢同盟審議会副会長の講演を伝達した後平田氏の地元飯塚市における活動を報告した。

 次に藤田研修員は「調剤薬局の実状報告」と題して薬剤師憲章の倫理規定的な考え方を基本的な姿勢として現在同氏が実際に行なっている開業医師との話合い分業の経験を詳細に報告、次に中村研修員は「県内の保険状況」について県内はもとより国内、世界の動向についても言及、その他請求事務の注意事項を報告、今後各支部において行なわれる地区研修会並びに地区活動については詳細に県薬に報告するよう要望した。

 それより中村氏を座長に推し質疑応答に移り、種々活発な質疑応答が交わされて五時終了したが、当日の研修員(地区指導者)による各支部の今後の活動が期待される。

 九州山口医薬分業実施推進同盟

 ◇国会に各審議会に各種報道機関に
 薬界姿勢への指弾追及急!!
 今こそ、薬剤師道の確立を!!

 福岡市勤務部会 堀岡会長留任

 福岡市薬剤師会勤務部会(堀岡正義会長)は第20回総会を五月二三日午後二時から三共株式会社福岡支店会議室において開催、諸審議のあと、役員改選では堀岡会長の留任を決め、総会終了後、同所で懇親会を開き同会顧問山本秀一氏の受賞(春の叙勲で勲四等瑞宝章)祝賀会をも併せ行った。同部会は福岡市及び周辺の病院、診療所並びに県庁、保健所等に勤務する薬剤師の懇親と勉強の場として例会も本年四月で、すでに一七八回を数えている。

 総会で堀岡会長は「最近の薬務行政は、薬業に全く知識のない方面からの世論に動かされる傾向があるが吾々は専門家としてこれらに対し正しいPRをする責任がある」と業界をめぐる諸問題について述べ、薬剤師の地位向上のため例会も連綿として続くことを希望し、来賓の四島県薬会長は薬剤師職能を確保するために薬剤師は総結集して行動する時期である、と協力を求め、斉田市薬会長は薬剤師研修会の実施について協力を要望、それより山本秀一氏の受賞について会長から病院の薬局長としては最初の栄誉であると祝辞を述べ議事に入った。

 審議事項は実情に合せるための会則一部変更、事業計画などを原案通り決定、任期満了による役員改選は、選考委員制により堀岡会長の留任を決め、新たに選出することになった監事二名には中島政雄(千早病院)結城一夫(逓信病院)の両氏を選出した。

 なお堀岡会長は、留任のあいさつで、任期中に医療制度の抜本改正が行なわれることとなるので薬剤師の集結した力と、時には実力行使も必要であろうと会員の支援を求め、薬学会九一年会、日薬学術大会も明年福岡で開催されるので主催団体に協力して実際に当るのは吾々であると、協力を求めた。

 福岡市勤務部会役員決定

 福岡市薬勤務部会は五月二三日の総会で堀岡正義会長の留任と、監事二名を選出したが、その他の役員については六月一一日の役員会で会長より指名、次の通り決定した。

 ▽会長 堀岡正義(九大病院)
 ▽副会長 武田大典(県薬務課)大橋研(九州中央病院)
 ▽理事 堀治元(博多保健所)磯田正春(九大病院)今泉雄久(九州中央病院)太田道子(九大病院)木村浩三(九電病院)熊本光恵(国立福岡中央病院)坂井明夫(福岡厚生園)榊洋子(博多保健所)白勢栄治(浜の町病院)三谷清二(国立福岡南病院)福井正樹(済生会福岡総合病院)細谷雄一郎(西鉄福岡診療所)定宗和準(仲原病院)松尾良一(私立西新病院)安田弥隆(福岡東病院)安藤満夫(福岡市赤十字病院)大塚正美(薬務課)
 ▽監事 中島政雄(千早病院)結城一夫(逓信病院)