通 史 昭和44年(1969) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和44年(1969) 11月10日号

 九州山口薬学大会 女子薬剤師部会 華やかに開会

 九州山口薬学大会女子薬剤師部会は大会第二日二十四日午前九時から熊本センターホテルで約二百名の女子薬会員が参集、来賓には日本女子薬副会長栗村ハツ氏も臨席して華やかに開会した。部会はまづ熊本県女子薬会長水民婦而子並に九州ブロック長田中美代(福岡県女薬会長)のあいさつに次いで、来賓栗村副会長、山中熊本県薬会長のあいさつがあり、永年九州ブロック長として活躍した弥吉マスノ氏(前熊本県女薬会長)に対し感謝状と記念品が贈呈された。

 それよりシンポジウム「当面する女子薬剤師の諸問題と今後のあり方」に移り、栗村氏並に各県会長が助言者となり左記八氏の発言は

 ▽家庭婦人の立場から(山口県塩屋ヌイ子)
山口県では「女子薬剤師と職業の選び方」を考慮して家庭にある女子薬剤師にアンケートを試みた結果、会員間で勉強、研究、講演会などを実施して地位の向上をはかり度いという意見が多く、職業については、各自時間の許す範囲内で適当な職を求められる態勢になることを希望する人が多数あった。

 ▽開局者の立場から(宮崎県黒木陽子)
開局者が経験する種々の問題には同様悩まされているが、女子薬剤師の質を向上し、それをPRするために学薬の仕事を積極的にやり、PTAその他一般の人々の中で種々発言をして薬剤師に対する認識を深めて貰うよう努めている。

 ▽開局者の立場から(鹿児島県古川絢子)
先輩が薬局店頭で働くほどつまらないことはないと病院薬局に勤めたが、私は反対で、店頭に立ち患者の信頼を得、女性本来の優しさと細やかさを生かし、名実共に女子薬剤師の存在価値を示す場所であると確信している。

 ▽勤務者の立場から(熊本県石丸寿々子)
公立病院に勤務しているが待遇面仕事の内容も男女の差別はなくまた自らも意識していない。一般に勤務年数が少ない等の批判はあるようだが、この点は女子が職業人として徹した時に解決されよう、女性であるという甘えは絶対にいけない。

 ▽勤務者の立場から(佐賀県弥永和恵)
私立病院に勤めて、病院関係者、患者など全く薬剤師を認めておらず軽くみているのが心外であった。だが薬剤師不信は薬剤師自身がつくったものだと考え、私は追々と病院内の改善を試みている。

 ▽保健所勤務者の立場から(福岡県榊洋子)
最近、公害問題がとりあげられ特に食品添加物については主婦の団体等で検査室を設けて検査を実施、問題を提起するような世相となった。吾々薬剤師はこれを指導する立場でなくてはならないことを自覚し、薬局の調剤室内の器具で簡単に検査出来る範囲のものが多いのであるから積極的に試みるよう努力して欲しい。

 ▽育児をしながらの勤務(大分県安東伸)
女子が勤務年数が短かく、腰かけ的存在と云われることは誠に残念である。仕事に自覚と情熱がなければ社会的には認められない。そのためにママ薬剤師は保育所等の社会施設の設置、育児休暇、産休補助員制等職場環境の開拓について検討すべきである。

 ▽経験と反省(長崎県山本テイ)
薬剤師となって五〇年、八十余才になる今日までの歩みをユーモアたっぷりに述べ会場の人々の涙を誘いあるいは爆笑が起る一幕もあってふん囲気を盛りあげ、最後に「医薬分業を積極的に推進する」ことを、満場一致決議し、次回開催地会長(鹿児島県土橋秀子)のあいさつがあって閉会。それより懇親会に移り、終始和気あいあいの部会であった。

 九州漢方研究会 11周年記念講演会 11月22日福岡市で

 九州漢方研究会(塚元赳夫会長)は発足以来十一年になるが、十年を一区切りとして新発足することになり今年から講座を二部制として好評を得ている。また新発足第一年度の記念講演会を現代の若手漢方医である大塚恭男氏を迎えて左記により開催する。

 ▼記念講演会
▽日時 11月22日10時半
▽会場 福岡市西新水光苑
▽聴講料 一、五〇〇円
▽講師 大塚恭男先生
▽演題 アレルギー性疾患の漢方療法

 ▼歓迎会
▽会費 二、〇〇〇円 (講演会終了後、夕食会)
▽申込締切 11月17日
▽宿泊申込 予約申込金五〇〇円を添え申込むこと

九州薬事新報 昭和44年(1969) 11月20日号

 福岡県の「薬と健康の週間」 薬剤師職能PRを果す
福岡県薬の本年度「薬と健康の週間」行事は、県学薬による県下十地区二九ヶ所の交通公害調査並に福岡市では県貿易館で三日間に亘る「薬と健康展」、大牟田市は会場の都合で来る二十八日に講演会開催など多彩な行事を実施した。

 特に八幡薬剤師会が実施した交通公害調査は日刊紙(朝日新聞)に大きく採りあげられ、同地区では企業公害だけでなく、車の排気ガスも真剣に考える時期だと報道され、薬剤師職能PRの役を果した。

 福岡市の「薬と健康展」は本年度は特に食品添加物簡易試験の実演、成人病の献立料理(高血圧、腎臓病、糖尿病等)の一日三食分実物展示などが人気を集め、栄養相談、薬の相談、血圧測定、血液型判定など延べ九百人、入場者約三千人を数える盛況さであった。

 福岡市政の功労者 市制八十周年記念式で表彰
明治二十二年四月一日福岡に市制が施行され(当時の世帯数約九千五百、人口約五万人)本年は八十周年に当るのでその記念式典が去る十五日福岡市民会館で盛大に催され、市政に功労のあった人々に市長から表彰状および感謝状が贈呈された。そのうち薬剤師関係の受彰者は次の諸氏である。

 ▽教育の振興に功労あったとして表彰状=友納英一
▽学校保健普及向上に努めたとして感謝状=柴田伊津郎、馬場正守、荒巻善之助、友納英一、藤田胖、花田一郎、矢野憲太郎、土肥善衛、竹尾啓二、佐々木正喜、三津家正友、田添喜久子、川上孟悟
▽環境改善についての表彰状=柴田源一郎

 塚本教授 勲三等受章
本年度秋の叙勲で福岡大学薬学部教授塚本赳夫氏(72才)は教育に尽瘁し私学の振興に寄与した功績により勲三等旭日中綬章を受章した。

 福岡大学薬学部創立 十周年記念祝賀会
福岡大学薬学部は本年を以て創立十周年に相当するので、卒業生と教職員で極く内輪の祝宴を秋晴れの十一月二日(日)催した。集るもの卒業生百二十余名。この九月新築なった別館調剤室で、初の同窓会と十周年記念祝賀式を行った。

 なお同薬学部の現況は
○建坪 二八七三、二三坪(製剤工場、動物舎、危険薬品庫を含む。)
○薬草見本園九七八、七二坪
○陣容(専任職員)
教授、助教授 一九名
助手、副手 三〇名
事務職員 二名
用務員 一〇名
○卒業生 七一八名
殆んどが国家試験に合格し、現在不合格は十名内外のみ。
○学生総数 九〇五名
○大学院生 五名
尚、十一月三日は福岡大学創立三十五周年祝賀式並に祝宴が、落成披露をかね、新図書館閲覧室で盛大に催された。

 再販契約の実態について協議 福岡県薬業協議会

 福岡県薬業協議会十一月例会は十三日一時半から福岡県薬会館で開会した。当日は各地区情況報告のほか小売側委員白木全商連副理事長から、同会理事会の報告として

 @大正製薬フランチャイズチェーン問題について、加盟は個人の自由であるが、内容、見透しなどについて情報を知らせることになっている。

 A来年六月全国商組としての総合調整規程の失効後、混乱を防ぐためこれにかわるものとして公正競争規約案を東薬連と同一歩調で公取と折衝している。一応表示の問題にしぼり(店内放送なども含む)推進、運営などについては公正取引協議会を設置(中央並地方に)しその規則によってなされるが、員外者規制も大体三週間位で結論を出し対処出来る見透しである。

 次にめぐみ薬局(ダイエー内)の家庭薬特に目薬などオトリ価格と云えるものがあるが、これに関連して地元卸から、仕入が地元から離れたため(再販契約についても同様)今日まで価格維持に努力して来たが今後はむづかしい面が出て来る可能性が強いと発言があり、これに関連して小売側から再販品を持つメーカーに対し、次の二点について要望した。

 @ めぐみ薬局の再販契約について特に流通経路をハッキリして貰いたいこと。
 A 再販品を契約卸以外から仕入れることに対するメーカーの見解を明らかにして貰いたいこと。
なお次回は目薬メーカーを招くこととし、十三日の定例日に開催することを決めた。

 福岡の薬祖神祭 11月22日住吉神社
恒例の福岡薬祖神祭々典は左記により開催される。
▽祭典=住吉神社境内薬祖神前で11月22日(土)10時〜10時40分
▽講和=住吉会館で10時40分〜11時30分(九大薬学部教授西岡先生)
▽会食、懇談=11時30分〜13時

 44年度福岡県学薬伝達講習会 11月27日田辺製薬で
本年度学校薬剤師会伝達講習会は左記より開催される。
▽日時 11月27日午前10時
▽会場 田辺製薬兜汢ェ支店五階会議室
▽課目と講師
学校保健の現状について=県教育庁技師山下泰弘氏
新指導要領と学校保健について=同氏
学校建築設計図について=同氏
健康優良学校の歩みについて=同氏
冷凍食品について=学校薬剤師秋吉博氏
最近の食品について=同氏
学校環境衛生と公害について=学校薬剤師藤木哲氏
飲料水の消毒と日常検査について=同氏
▽講習録一部五〇〇円
▽筆記用具および環境衛生基準開設(緑本)持参のこと(購入してない方は当日会場で販売「千円」)

九州薬事新報 昭和44年(1969) 11月30日号

 第2回全国統一講習会 薬種商の資格化目ざして 福岡に会員の98%参集

 薬種商の念願である資格化を目標に実施されている全国統一薬事講習会は本年が二年目で、全国各地で全日本薬種商協会主催、厚生省後援により開催されているが、福岡県では十一月十九日(水)午前十時から福岡市の県農協会館五階大ホールで「第2回全国統一薬事講習会」をひらいた。

 講師として中央から厚生省薬務局監視課黒瀬技官、小木曽全日本薬種商協会連合会常務理事、地元福岡県から村田薬務課長補佐並に今山監視係長ほかが臨席、県下五三〇の会員中五〇〇名以上九八%の会員が出席受講した。講習会は深田全日本薬種商協会連合会副会長並に村田薬務課長補佐のあいさつに引続いて左記講演があり、質疑応答など活発に行われた。

 ▼講演
▽最近の薬務行政について=福岡県薬務課今山薬事監視係長
▽心臓に作用する薬物について=第一薬科大学教授高崎氏
▽薬種商の義務=厚生省薬務局監視課黒瀬技官

 なお、講演終了後各会員には終了証書が授与され、その他事務連絡事項として計量器販売等事業登録申請について詳細な説明注意があった。

 ◇薬局の正しい姿勢こそ分業推進の第一歩

 ◇今すぐ分業推進行動を始めよう 九州山口医薬分業実施推進同盟

 福岡の薬祖神祭 22日住吉神社で

 福岡の第20回薬祖神祭は筑紫二十日会主催で落葉の舞う住吉神社境内の少彦名神社で十一月二十二日午前十時からおごそかに執り行われた。

 当日は恒例により薬学、薬事、薬業各団体代表を来賓に迎え、主催者筑紫二十日会会員など約六十名が参集して、宮司の祝詞、巫女による住吉かぐら、各代表の玉串奉典などがあって祭典を終り、それより同境内の住吉会館に移り一堂記念撮影のあと、同会館で九州大学薬学部教授薬博西岡五夫氏の講話「大麻について」を一同聴取した。

 大麻は紀元前二、三百年の昔から快楽のために使われ新農の頃は実を用い、イスラム教徒によって七〜八世紀頃インドにひろめられたものであるが、これら昔の人々の人体実験から得た貴重なものが現代の薬学者によって化学的に解明されている興味のあるお話のあと、同所で懇親の小宴を田辺製薬浜支店長の乾杯の音頭で開宴、なごやかなひとときを過し、一同神虎の笹を手に午後一時散会した。

 「薬効別医薬品表解」 出版記念祝賀会 12月6日八幡で
八幡薬剤師会は昭和三十三年同会のDI、DE活動の一環として着手以来幾多の困難を克服して編さん、この程薬事日報社から発行された「薬効別医薬品表解」(定価四〇〇〇円)は発行以来、関係者各位から讃辞が送られている。

 八幡薬剤師会ではこの披露を兼ねて出版記念祝賀会を十二月六日(土)午後四時から八幡薬剤師会館で開催することとなり、各方面に招待状を送り、盛会が予想されている。