通 史 昭和44年(1969) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和44年(1969) 9月10日号

 全国にさきがけ 薬剤師研修準備成る 福岡県薬支部連絡協議会

 福岡県薬剤師会は理事会並に支部連絡協議会を八月二十八日県薬会館で開会、全国でも初の試みとして注目されている薬剤師の病院薬局における研修について最終的な準備を行った。当日の支部連絡協議会には佐藤県薬務課長並に古賀県議も特に出席した。会議に先きだち佐藤課長は左記事項について説明、会員の協力を求めた。

 @会の事業推進と助成についてA分業に関する世論とPRについてB薬剤師研修の成果高揚についてC不当な価格表示に関する不当景品類及び不当表示法第四条第二号の運用基準についてD献血運動について、次に四島会長のあいさつ後直ちに議事に入り、中央情勢は会長から詳細な報告があった。

 (1)中央情勢について
@抜本改正は、一応後退したように見られるが、社会保険審議会で一年以内に答申、政府は大綱を二年以内にまとめる予定
A医療保険制度の改革は医療制度の根本を検討する要あり
B医薬分業は抜本改正と関係なく推進される
C今次の薬務局幹部の異動で分業推進方策は前進、強化されるだろう
D本会の世論調査、分業標語、薬剤師研修、藤田調剤薬局等は中央において高く評価されている
E公務員給与一〇・二%勧告について薬剤師の単独給与表は見送られた、薬剤師の平均アップ率は九・八%である
F薬事法、毒物劇物取締法施行規則一部改正(許可変更申請等にあたり申請者、法人の役員の履歴書不要となる)麻薬取締法施行規則一部改正(諸様式変更、たて書が横書となる)
G武田日薬会長は八月十二日入院、二十日手術、経過は良好である

 (2)薬剤師研修について
工藤専務理事から申込状況準備状況、申込み者等に対する案内等について報告があり、現在の申込数は約四〇〇名であるがこれを倍増するよう薬務課長、会長からそれぞれ要請があった。福岡地区の受入病院との打合せ会は九月四日行い、前講義は七日、北九州、筑豊、筑後の三地区は受入病院との打合会を九月十日に行い、前講義は三地区とも九月十四日開催する。実地研修は前講義の翌日から県下五三施設において、一施設二、三名宛、一人三日間行う。後講義は各地区毎に打合せを行い決定する。

 (3)保険薬局の個別指導について
七月十八日に十二保険薬局が、八月十八日に十一保険薬局がそれぞれ指導を受け注意を受けた主な事項は@管理薬剤師で保険薬剤師の登録を怠っている者があるA調剤済後の処方せんの整理記入事項の不備あり、また鉛筆書のものありB処方せんの不備のものが多い、発行医の指導を要す、修正、訂正した場合は医師の押印を求めることC請求は僅少であっても月々請求することD日薬編集の「保険調剤」を知らないものもあった。

 (4)臨床薬理学講座について
九月二十日小倉において第四回講座が行われる。

 (5)その他
@薬学講習会について
種々検討の結果▽会期は一日とすること▽十一月十一日(火)福岡から開講する▽詳細は九州山口各県と協議して決定する
A薬と健康の週間について十月十二日(日)から十八日(土)まで、
B福岡県保健衛生協議会について
本年度の推進地区は吉井町(江波地区)星野村、直方市(南地区)宮田町(スガ町)大川市、添田町、北九州市(戸畑区)
C公衆衛生協会について
役員改選の結果、会長以下殆んど重任、本会関係では理事=四島久、監事=波多江嘉一郎、推進委員=友納英一の三氏

 同盟情報部速報 第14号 昭和44年8月27日
 日本医薬分業実施推進同盟情報部


 一、社会保障制度審議会も抜本案諮問に対し審議開始

 厚生大臣説明中に「医薬分業の実施」を明記
総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会(会長大内兵衛氏)は、八月二六日総会を開き、さる八月五日厚生大臣より諮問のあった医療保険制度の抜本策について審議を開始しました。冒頭斉藤厚生大臣より配布文書に基いて説明がありましたが、先般の社会保険審議会の際の説明にはなかったものとして、次のような説明がありました。

 国民のすべてに等しくよい医療を確保するためには、単に医療保険制度を改革するだけでなく、医療機関の適正配置、医療従事者の確保、あるいは医薬分業の実施等医療保険制度によって立つ基盤であり、その円滑なる運営の前提でもある諸制度の整備が不可欠であることは申すまでもありません。厚生省におきましては、現在、これら関連制度を含めた総合的な対策を検討しておりますが、今回は、とりあえず医療保険制度の改革についてご諮問申し上げた次第であります。

 医療保険の経営につきましては、できるだけ特殊法人により弾力的な運営を行なうべきであるという意見があります。国民保険につきましては、都道府県単位に特殊法人を設け、当該区域内の国民保険の給付事務を統一的に行なうようにすべきであるという考えがありましたが、この点につきましては、むしろ現在の国民健康保険団体連合会の機構を整備拡充して、これにあたらせることを検討いたしたいと考えております。

 社会保障制度審議会は広い立場に立って審議するものであり、健保法の運営という限られた審議をする社会保険審議会と異っているため、このような説明があったのです。なお、前回、社会保険審議会では試案説明のなかった国民健康保険制度の改革案について説明がありました。(国民健康保険制度の改正試案は別添します。)

 説明後、委員より厚生大臣に対し総括質問がありました。主な発言を記します。ご覧になるように、その際、医薬分業ということがしばしばとりあげられました。

 近藤委員―医療制度、関連制度について諮問するか
厚生大臣―医療制度として医療機関の適正配置、医薬分業の問題、診療報酬等は併行的に考えねばならない。

 近藤委員―当審議会は、医療制度をやってきたし、医薬分業もはいっていたこれら問題を諮問しないのは甚だ遺憾である。
厚生大臣―医薬分業については、すでに当審議会の答申をいただいている。その詳細なやり方については、当審議会に改めて諮問しなくてもよいと考えたが、ご意見により諮問してもよい。

 肥川委員―医薬分業、へき地医療、医療機関の配置等の医療制度の問題と、医療保険制度の問題と二つある。これらを審議するのに、当審議会の医療側委員は一寸したことから欠席のままになっている。どう考えるか。
厚生大臣―医療関係委員が退席されたままなのは一つの欠陥と思う。適当なチャンスがあればなるべくもとの姿にもどすよう努力したい。石原副会長と相談する。なお、さしあたり実施するものは来々通常国会に提出したいので、当審議会としては来年六〜七月頃までに答申がほしい。

 黒木委員―医療制度の近代化は当然当審議会の対象となる。このためにも医療側の参加を要請する。
太宰委員―保険制度については当局もよく勉強しているが、医療制度については医務局はじめ勉強が足りぬ。これまでの医療制度では抜本にはならぬ。

 大熊委員―うらづけになるのは医療制度である。これがなければ保険は成功せぬ。
安田委員―医療制度と診療報酬制度が基本とならねばならぬのに、保険制度が先行している。これでは抜本改正にならぬ。医療制度を先行させよ。
厚生大臣―診療報酬はたしかに先行するかも知れぬので、早い機会に中医協に諮問する。

 以上のような問答があり広い視野に立つ当審議会の審議内容の進行は注目すべきものと考えます。なお次回は九月二日に開催されるとのことです。

 (註)
近藤委員―学識経験者、関西学院教授
肥川委員―団体代表、総評
黒木委員―国会代表、参議院議員
太宰委員―学識経験者、元厚生事務次官
大熊委員―学識経験者、慶大教授
安田委員―団体代表、健保連会長

画像  二、武見日医会長ヨーロッパの医療事情報告中で医薬分業について語る

 昭和四十四年八月三日、日本短波放送「特別医学講座」において、武見日医会長は、ヨーロッパの医療事情について放送し、医薬分業について次のように語っていますのでご紹介します。

 「私は医薬分業の問題について積極的な意欲を持っておりますので、回った国で全部見ますと、薬価基準というふうなものはやはり社会保険でございますからきまっていました。そして二〇〜三〇%の間接費を認めまして、そして廃品の問題や貯蔵の問題、それから選択の問題等の間接費が適当に計算されていることがわかりました。

 もし日本でも医薬分業を政府やあるいは支払い団体が主張しているように本気でやろうとするならば、当然調剤料のほかに適切なる間接費の適正化というものを考えませんと医薬分業はできないと思います。この間接費の調査について日本ではたいへん渋っておりますけれども、こういう問題を渋っているようでは医薬分業の基盤ができない。私は、日本薬剤師会の分業委員会の方々にもこの間接費の問題にはもっと熱心に取り組んでほしいということを考えさせられました。

 ドイツへ参りまして、そしてドイツでもだいたい非常に合理的にやっておりますが、薬品の大包装は考えものである。そして小包装で比較的適正妥当な値段をつけて薬の乱費をおさえているというふうな形が認められます。そしてやはり間接費は、安いものは三〇%、高いものは二〇%の間接費が薬価基準に認められております。こういうことで、かなり合理的な、経済の合理性というものの上に立って分業がされていることがわかりました。」
(日本医師会雑誌第四号掲載原文のまま)

九州薬事新報 昭和44年(1969) 9月20日号

 同盟情報部速報 第16号 昭和44年9月3日(全文掲載)
 日本医薬分業実施推進同盟情報部


 一、制度審(社会保障制度審議会)で再び分業問題でる

 九月二日、制度審の総会が引続き開催され、政府側から斉藤厚生大臣のほか、保険局長、医務局次長、薬務局長が出席し、諮問に対する審議が続行されました。

 各委員の間から、制度審に対する今般の諮問が保険制度に限定されていることに対し、強い意見が述べられ、また社保審(社会保険審議会)との関連について、同審議会と同時期に、同一内容の諮問がされたことに対し、強い不満が述べられました。なお診療報酬体系の基本的あり方についても、当制度審に諮問すべきでないかとの意見が述べられました。

 医薬分業に関する意見として、石原幹市郎委員(参議院議員)から
「医薬分業は大きな役割を演ずると思うが、今回の試案には、領収証の発行などは出ていても、このような大切な基本的な問題にふれていない。」との発言がありました。これらに対し、斉藤厚生大臣の答弁がありましたが、そのうち医薬分業に関しては次のような発言がありました。

 「医薬分業は、保険制度があろうとなかろうと、やるべき制度と考えている。医薬分業は保険医療にならなくても、やらねばならない問題である。医療と薬剤の適正化のため、あるべき制度と考えている。当審議会で、分業に関しすでにご意見を頂戴しているので、その方針をできるだけ早く具現したい。」

 二、読売新聞で、斉藤厚生大臣、大渡氏と医療制度について対談、分業について語る。

 九月一日付読売新聞は、「六十九年の対話29―日本総点検、特集」欄に、厚生大臣斉藤昇氏と医事評論家大渡順二氏の対談を、「医療は病んでいるー悪医が良医を駆逐、財政より根本是正を」の見出しをつけ、全七段の記事として掲載しました。そのなかで、医薬分業について、次のような内容が述べられております。

 大渡氏―いまの保険医療の一番の致命的な問題は、勉強しない妙な医者が、かえってかせいでしまって、本当に勉強するいいお医者さんで、薬をあまり使わない医者が貧乏している悪循環であることだと思う。これこそ、医療保険制度、医療制度の中で、抜本的な対策が必要な次元だ。
厚生大臣―いいチエがあったら教えて下さいよ。

 大渡氏―それはいくらでも出てますよ。要は、やる気があるかどうかだが、やって下さるならさっそく申し上げますが……。
厚生大臣―やりますよ。

 大渡氏―最初に医薬分業です。七・八年前に法律は通っているのだが、有名無実だ。
厚生大臣―医薬分業は五年以内にやる方針だ。日本医師会も反対しなくなったし。

 大渡氏―医者は薬で食っていくんじゃないんだ。診療行為までなんだ。処方せんを発行したらおしまいなんだーというところで医療制度を立て直してほしい。そうすれば医療費はぐんと上ってくる。大いに上げてよい。診断と医療と技術ですから。その代わり、いい医者だけが上がる。妙な医者は上がらないようにする。薬を余計出す。検査する。切ると、いうことー作業すること、物でもうかるのでなく、直すことに払う。技術に払うという医療制度にすることが抜本策だと思う。医薬分業に早く踏み切れ。

 大渡氏―薬は使うな、医者がのっぴきならん時だけ使え、薬をくれない医者を大事にしろといっているわけです。薬をくれない医者がかせげるという医療制度ができるといいんですが。
厚生大臣―だから医薬分業はどうしても必要だと思っています。

 大渡氏―いまの医療費の中で占める薬代は大変なふえ方ですよ。これはいまの半分に減ってしかるべきだと思う。……しかし、同時にお願いしたいのは、おさえると同時に、薬会社をもっと保護してやることこれはパテントの面でね。つまり、薬会社がパテントで食えるようにしてやることなどです。
厚生大臣―そうしなければ、いい薬の開発はできない。

 大渡氏―最後にお願いしたいのは冒頭の繰り返しになるが、医療保険制度改革だけでなく医療制度全般をただすという視野でやっていただきたいということです。
厚生大臣―それは同時にやるという心組みでおります。たとえば、医薬分業に本腰を据えたなということがわかるようなかたちなどで。五年はかかるでしょうが。また診療報酬の技術尊重の報酬で、良心的な医師のための制度にしたい。これは、こんどの医療費緊急是正が終ったら中医協に諮問したいと思っています。

 抜本改正がいわれて久しい。われわれは追いつめられているわけです。この前の国会だって健保特例法をもう二年のばして下さいということであれだけ荒れた特例法がああいうふうに本法の改正というかたちに修正されたが、そうなったから、もう抜本改正はしばらくやらんのじゃないかなどと憶測された。しかし、そんなことはない。姿勢は変えないんだということで抜本改正の諮問も出したわけです。

 ◆謹告

 本社主幹安河内義夫(号、鬼子)は、かねて国立福岡南病院において入院加療中でしたが、九月十五日午前二時、満八十四才の天寿を全うし、永眠いたしました。

 昭和二十三年九月十日、本紙第一号を発行いたしまして以来、一回も休刊することなく、満二十一年の間、無事に発行出来ましたのもひとえに各界各層の皆様のご厚情ご援助の賜と故人も深く感謝いたしておりました。謹んで茲にお知らせいたしますとともに故人に代り厚く御礼申上げます。

 今後、亡父に代り微力ながら故人の意志を継ぎ、皆様方のご支援によりまして続けて正しい報道に努力をいたしたく存じますので、倍旧のご支援を賜りますようお願い申上げます。
昭和四十四年九月 安河内スズエ

 九月十二日 国立福岡南病院にて
あれている病院の庭秋の風
重態の友もの言はず秋熱し

九月十五日 安河内鬼子兄長逝
あのときの握手が別れ霜の秋
君遂に逝くや残暑に耐えきれず

 安河内君逝きて
長第十期同窓生われ一人となる
われ一人生き残りいて秋思湧く

 八十二曳
(鬼子の葬儀に寄せられた王樹翁の俳句)

 挾子

 ▼福岡県薬剤師会が全国にさきがけて現在行っている開局薬剤師の病院薬局における研修会は四ブロックともに前講義が終り、現在毎日三、四名づつ各受入病院で実習を受けている。

 二、三の病院薬局にその様子をたづねたところ、何処の病院でも異口同音に開局薬剤師の態度が真剣で熱心であるとの声が聞かれた。ある病院では七十代、八十代の先生方も熱心に研修されたとか、また飯塚地区などは事前に勉強して実習に臨む人が多く、受入病院側も勉強になると非常に好評である。受講者も、受入側も大変ではあろうが、本県では今後この研修会は毎年引続いて行われる予定である。全国的規模で行われることが望ましい。

九州薬事新報 昭和44年(1969) 9月30日号

 九州・山口会長会で 大衆薬・医薬分業など 中央情勢報告

 九月十六日九州山口各県会長会において四島九州山口薬剤師会長から報告された「中央情勢並に九州の動きについて」の要旨

 ▽武田日薬会長の症状経過報告について
八月二十日手術後順調に快復されてはいるが、今月一杯退院は無理と考えられる日薬としては、分業問題が論議の時期から行動の時期に入った大切な時であるため、二人の副会長により会務は予定どおりすすめられる体制をとっている。二十四回全体理事会並に同盟等諸会議も開催される。

 ▽医薬分業について
健保特例法が廃止され、保険料率、入院時の一部負担の増額等法に組入れられ保険財政面からは抜本改正は必要なくなったのではないだろうか? またさきに厚生大臣の保険、制度両審議会に対する諮問の内容に医薬分業が折込まれていなかったことも加えて分業推進が危惧されているようであるが、八月十四日及び二十六日の審議会に諮問の内容を説明した際も、また審議会で総括質問で医療制度のなかに医薬分業を折込んだ諮問がなかったことに対して、厚生大臣は医薬分業をやることは既に既定の事実になっており、医薬分業は審議諮問する以前の問題で日本医師会もこれに反対していないので、審議する必要はないと答弁している。

 現法のもとにおいて、医薬分業は当然行なわねばならない資質のものであるにもかかわらず、医療制度のゆがみが現在の好ましくない状態が続いているわけで、今更審議は必要ないと思うが、これを推進するためには、医療経済の面からまず、技術料の適正評価が行なわれねばならない。

 現在中医協で緊急是正が論議されているが、これがある程度すすめば、改めて技術の再評価の問題を諮問することになり、これに併行して分業をどう推進するかという問題に入ると思われる。

 医事評論家等と厚生大臣との話合いの内容にも「医薬分業は当然やらねばならない段階に来ており、実施するかしないか論議する段階ではなく、医薬分業を推進するためにどのような行動が必要であるか具体的行動の方法について意見があればお聞かせ願いたい」と云っており、実質的には既に決定していることが確表されている。

 ここで吾々が考えねばならないことは、医薬分業問題は、医療制度の改革という非常に大きな波乱を含んだもののなかの一つの柱でしかないわけで、制度全体から見れば小さな柱でしかないが、小さいとはいえどもこの解決をぬきにして全体的な改革は望めないとされている。
厚生大臣が医薬分業を大きな項目として諮問しなかったからといって無関心の状態であるということはあり得ないことである。

 ▽厚生省の人事異動について
今回は下村参事官を除き殆んど更迭され、その結果、或いは分業問題も後退するのではないかとの危惧もあるが、実状は今迄以上に強気で進められてゆくとみて差支えない。

 新局長、新課長の新任の発言も、医薬分業は既定の事実として強力に推進する、と言明しており、特に薬事課長の発言は、「現行法のもとで分業をすすめるか、或は制度を改革してすすめるか、どちらかを選らばねばならない」と云っている。ここまで一般情勢が熟し、すでに中央においては論議の時期は過ぎ、行動の時期であるという空気が醸成されつつある。

 日薬自体としては、分業推進同盟を結成、審議会を設け、小委員会で検討しており、九月中には分業推進の大綱を決定し会長に答申する運びとなろう。小委員会の審議の内容は、具体的に医薬分業をどう進めるかという問題よりも、医薬分業の最終段階に到達させるまでの間に解決せねばならない▽薬事法の改正▽病院薬局の問題▽薬局の構造設備等の進め方▽融資問題▽調剤手数料など逐次当面するであろう現実的諸問題についていろいろな角度から検討論議されている。

 分業推進は最終的には制度改正による完全分業となろうが、これは現実に即した暫進任意分業の実績の積みあげが行われて行く過程に併行してゆくものと予想される。厚生省は明年度予算に薬剤師の分業受入れのための再教育経費として約九〇〇万を計上している。このような情勢に即応して、吾々は自ら資質の向上をはかりながら現実に分業をかちとる努力をしなければならないと考える。

 ▽所謂大衆薬問題については、昨年武見日医会長が処方権の確立について発言して以来この問題が出て来た。

 厚生省が医薬品の製造承認の基本方針を打出し、医療用医薬品と一般用医薬品とに分けたが、ねらいは保険の赤字を解消するためにも保険に使用する医薬品を或程度限定しようとした反面一般大衆が自由に購入出来る医薬品を内容的に向上させ、大巾にふやし、充実しようとしたのであるが、各方面から反対の声があがり薬業界に有利になる筈であるにもかかわらず、薬業界の一部からさえ反対があり更に医師会がこれにクレームをつけたため、厚生省は今日まで保留していたが、今回は厚生省自体、安全性の面から大衆薬を制限する雰囲気となり、定義を作る方向に進んでいる。

 厚生省の中央薬事審議会のなかに「一般用医薬品特別部会」を設け、医師、薬剤師も委員に委嘱して、あくまでも一般用医薬品承認基準の制定に伴う学術的な審議の場として進める方向を示しており、十八日正式に第一回審議会が開かれる。薬剤師の委員は桜井喜一、上野高正、高木敬次郎の三氏が決定しているが、近く開局者三名も委嘱されることになろう。日薬としては、既定方針に基き一般用医薬品等を守るため、積極的かつ前向きにこれに対処している。今後の成り行きに重大な関心を持たねばならない。

 ▽森永乳業新製品の流通問題について
森永では今回新製品を発売するに当り、流通の正常化を図るため、九州で約九〇店余の卸店中二六店にしぼり他は一方的に切り捨てた新製品の実質値上げと、旧製品と二本建てであることから旧製品がダンピングすることが心配され、他社の製品まで一様に値下げせざるを得ないことになるおそれがある。その場合、値上げされた価格を守った小売店が一般消費者から批判を受けることになることを考慮し、分業推進のためにも重大な影響を及ぼすので各県とも商組ともども充分善処されたい。

 ▽その他
最近、比較的安定している九州小売薬業界にも大型量販店の進出が現われつつあり、地場薬業を荒らされるおそれが出てきている。また大正製薬の系列小売直営進出等も打ち出されており、ダイエー等も、自店の各地区進出も進める一方、既存個小売店を傘下に収め、系列化する動きも出ている。いずれにしても大変な時期になると考えられる。九州では従来の安定協を改組して薬業協議会も発足したので、大きな視野にたち地元薬業を守るため地元薬業者(卸、小売協同で)が経営組織化等を進め、対処しなければならない。

 安河内義夫先生のご逝去を深悼して 合屋杉峰

敬老の日のお別れとならんとは
朝まだき虫の音さえもかなしかり
焼香の折りから秋の雨の音

 保険薬局に急告 福岡県薬剤師会

 ご承知のように今年になって県保険課係官による保険薬局の個別指導が七月、八月に行なわれ十月にも実施される予定であり、また十一月には集団指導が計画されている。これは医薬分業体制の受入れを強化しようとする厚生省の指示に基づくものである。保険薬局の受入体制をこの機会に整備しておくことが肝要である。これまで二三保険薬局が個別指導を受けたのであるがその際の問題点について次に記載するので参考として整備願いたい。

 ○保険薬局、保険薬剤師について
1、所在地の変更、名称の変更、保険薬剤師等の変更があったときは、廃止と新規、変更申請を行なうこと。
2、廃止と新規申請は手続上空白期間を生じないよう留意すること。
3、雇傭薬剤師で保険薬剤師の登録を行なっていない者あり、新規に雇傭薬剤師を採用したときは、登録の状況を調べ未済の者は速かに登録させる。
4、支店を有するとき、本店管理の薬剤師名をもって支店における調剤を行なったように記入しているものがある。現在の保険制度は保険薬局の指定と保険薬剤師登録の二重指定制を採っている。一保険薬局には必ず一名以上の保険薬剤師がいることが必要である。
5、保険薬剤師でなければ保険に関する調剤はできないので従業薬剤師は全て保険薬剤師となっておくこと。
6、自分が保険薬剤師であるかどうか判らない者がある。
7、保険薬局の指定年月日指定番号、保険薬剤師の登録年月日登録番号を再認識しておくこと。

 ○処方せんについて
1、処方せんを受付けたときは先ず記載事項の記載もれがあるかどうかを十分点検し、不備の点があれば直ちに発行医に照会すること。
2、処方医薬品中、単位、r等区分あるものは必ず明らかにしておくこと。
3、処方欄中の訂正等重要事項を電話照会等で訂正したときは後日必ず訂正の認印を受けておくこと。
4、発行医が、長年の習慣や不馴れのため第三者が見た場合誤解のおそれある処方せんがあるが発行医と協議し正しい処方せんを出すよう協力を求めること。
5、特定の保険医と特定の保険薬剤師との協定あるいは約束的処方の記載は認められない。

 ○調剤について
1、処方せんが法規上、薬剤学上正しい処方せんであれば調剤はその処方せんに忠実に従わねばならない。
2、処方薬を勝手に同効品であるからとか、この方が効果的であるからとかの理由で変更することは許されない。
3、投薬は処方せんを確認し調剤し患者または添付の人に交付すること。
電話のみで調剤し患者と直接関係のないものに依託しないこと。
4、医薬品を予め保険医に依託し保険医が交付したものを保険薬局で交付したようにするようなことは絶対さけねばならない。
5、その他重複処方、処方せんの使用期間等に注意すること。

 ○調剤済の処方せんについて
1、調剤済後は所要事項を調剤録に記入すること。
2、処方せんを存置している場合は処方せんの余白に次の事項を記入し調剤録記入に代行することができる。
調剤年月日、調剤数量、薬剤料、調剤料、患者負担額、請求額、調剤保険薬剤師の氏名押印

 ○調剤報酬請求について
1、件数・金額の多少にかかわらず毎月必ず請求すること。
2、請求先を明らかにすること、社保支払基金、国鉄共済、国保連合会、他県国保連合会、全国土木各国保組合に区分す

 ○その他
1、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則を十分研究すること。
2、前項の規則は薬学講習会テキスト中の「保険調剤」に収載されている。
3、前担当規則、テキスト「保険調剤」の存在すら認識していない者がいたのは遺憾

 以上過去二回の個別指導のとき指摘された主要点について略記した、医薬分業が中央地方を問わず真剣に考えられ、特に厚生省が積極的に保険薬局の指導にのり出してきた現在受入側の薬局としては積極的に体制整備につとめ大衆の与望にこたえなければならない。

 業界の危機感を小売業者に周知せよ 福岡県薬事協議会で

 福岡県薬業協議会は、県安定協議会を改組、九州ブロックとも連繋を強めて開催することとなり、始めての例会を九月二十五日一時から県薬会館で開会、今後の会の在り方などを掘り下げて検討した。

 当日の出席者はメーカー六社並に乳業メーカー一社、卸五社、小売側は白木、須原、大島、本松、斉田の各商組代表並に薬剤師会代表として四島県薬会長、事務局として藤野、山手の各委員であった。

 会議はまず改組後の委員及び開催日等を確認した後、地区情況報告に移った。

 福岡地区は、めぐみ薬局問題、大賀薬局清川支店の土地収用によるサニー内への移転の問題等について報告北九州は、今夏問題となった医薬品のあっせん販売について、筑後地区は日本ゴム生協の安売りについてそれぞれ報告があった。

 それより本会の今後の在り方について意見、希望などが述べられ、地元九州薬業界をめぐる諸情勢の酷びしさについてそれぞれ詳細な報告や意見が出され、会員の多くは全く危機感がないため、この周知徹底方を図ることが急務であるとともに地元薬業界を守るために小売、卸、メーカーともに積極的に対処する必要があるとの結論となり、今後具体的にこれをどうするか各階とも宿題として考えることとなった。協議の過程で出た意見並に情況報告の主な点は次のようなものである

 ▽今日迄安定協議会としては、経済安定即価格安定であるとしてそれぞれ対処し、或る程度の目的は達したが、今後は大きな視野から薬業界の将来に向って前向きに取り組み業界全般に関心を向けるようムード作りが必要である。

 ▽大衆薬の問題については厚生省も製造承認の一部地方移穣に関連して、中央薬事審議会に特別委を作り検討を始めたが、分業と関連して具体的にどうすすめるかという時期が来たと考えられる。業界としてはこれを守り抜くことが必要であるが業界の姿勢が問題となる。メーカーの姿勢は卸小売にも影響するので業界一致してこれを守る態勢を作らねばならない。

 ▽九州地区は比較的安定しているため「コクミン」「ヒグチ」等が進出(実質的売買)をねらっており、ダイエーも出先き小売店を拡充する動きがある。大正製薬も系列店強化の動きが進んでいる。この結果は、医薬品の地方卸無用ということであり、地元小売業者が地元薬業から離れることになり、大変な困乱が予想される。

 ▽これに関連して現在の小売業者を十段階に分けると次のようになる。
@フランチャイズチェーン(大正、ヒグチ、SS等)
Aレギュラーチェーン
Bボランタリーチェーン
Cコーポレーチブチェーン
D協業会社
E大型個人(年間二億以上)
F中型個人(平均年商六千万以上)
G技術、高マージン(店頭における漢方専門、皮膚病専門等技術を売る店)
H雑貨式
I平凡なパパママストアこのうちGはいつの場合も安定しているが、HIが全小売業者の八〇%をしめている。
EFは絶対的に店舗の立地条件によるものでありGの技術を売る店は別としてHIの業者は@〜Cに移行せざるを得なくなる。
@に吸収される場合のメリットは▽品種力の強化▽原価の低減▽経営の指導が受けられる▽出店拡張が可能になるなどがあげられるが、反面▽ノルマ▽商品の指定▽経営の公開▽契約解除の不安▽遂には乗取られる等の危険性がある

 ▽ABは自店で手一杯、他には手が廻らないため地元卸はこの際地元小売を守ることも考慮されたい

 ▽A〜Fまでは互に足を引き合うことがないよう心がけ、経済結合も考慮せねばならない

 ▽メーカーは世界的視野で卸は全国的視野で対処しなければ生き残れないだろう

 ▽乳業問題では森永の今回の販売方式は会社の方針であるから仕方はないが旧製品と同様の他社製品があるので、これ等に悪影響を及ぼさぬよう旧製品の価格維持につき、卸も他の乳業メーカーも一緒になって価格の乱れの防止策を講じる必要がある。

 ▽適配条例の除外例(強制立退きの場合の恩典)を悪用する事例が全国的に多発しているが、条例の改正については、悪用をしばれば本当に困った者をしめることになり、なかなか簡単には出来ないが他地区でも改正の機運は出てきているので悪用防止の歯止めは考えねばならない。だが業者自体も、この条例を金科玉条として、只安易に守られていると思うことは危険である。分業受入れとも関連して保険薬局の適正配置が考えられる時期が来たことでもあり、条例をよく理解しておくこともこの際必要である。
なお、改組に伴い新しく決定した委員は次のとおり

 ▽薬務課=武田課長補佐

 ▽メーカー代表
三共兜汢ェ支店、山川正春
塩野義製薬兜汢ェ支店、左座録郎
第一製薬兜汢ェ支店、堀敏晃
武田薬品工業兜汢ェ支店、奥村光政
田辺製薬兜汢ェ支店、王寺幸盛
中外製薬兜汢ェ支店、竹本昇

 ▽家庭薬代表
久光製薬梶A山田輝雄
▽乳業代表(出席は当番社一社宛)
森永乳業兜汢ェ支店、茂住正則
明治商事兜汢ェ乳製品支店、佐藤富男
雪印乳業兜汢ェ支店、福田実
和光堂兜汢ェ営業所、人見五郎

 ▽卸業代表
福岡県代表=鶴原薬品梶A鶴原六郎
福岡〃=九宏薬品梶A久門弘人
北九州〃=潟zクヨー、山地章弘
筑後〃=蒲ヌ永同仁堂、良永精一
筑豊〃=筑豊薬品梶A池田秀夫

 ▽薬剤師会代表=四島久

 ▽商業組合代表=白木太四郎、須原勇助、大嶋猛夫、本松茂晴、中村若市

 ▽事務局藤野義彦、山手陽一

 同盟情報部速報 第17号 昭和44年9月8日
 日本医薬分業実施推進同盟情報部


 一、厚生省は分業推進予算要求を大蔵省に提出した

 厚生省はこのほど、昭和四十五年度歳出予算要求を大蔵省に対して行ないましたが、そのうち薬務局の予算として、医薬分業推進に必要な経費が計上されました。これは、厚生当局としてははじめての予算要求であり、厚生省当局の分業推進具体化の熱意の現われとして、高く評価されるべきものと考えます。
予算額は九八六万円で、内訳は調剤薬局実態調査費八四万七千円と、調剤技術研修費九〇一万九千円であります。これが本予算として成立されるかどうかは、今後の大蔵省との折衝にまたなければなりませんがわれわれとしても適切な支援を行ない、本予算化の実現を期したいと考えております。

 当局の説明によりますとこの予算は、昭和四十五年度を第一年度として、ほぼ五年で分業を達成することを目標として編成されました。

 実態調査費については、全国の調剤数の多い薬局を抽出して(七四ヶ所)構造設備、備蓄薬品、報酬額、処方せん枚数、融資の実態について調査を行なう費用が計上されております。

 研修費について、開局薬剤師(一万三千人)、勤務薬剤師(一万二千人)を対象として調剤技術、調剤理論等を中心とした研修を行なう費用が計上されております。なお、このほかに、同省予算中、薬務局関係の新規予算として主要なものは次のとおりであります。

 (1)医薬品研究開発助成金=四二一万一千円
 (2)医薬品安全対策費=八八万円
 (3)医薬品監視取締費=一、一三四万九千円

 二、会議開催日程

 ▽九月一二日 分業推進審議会、小委員会開催
▽九月二四日 同盟常任執行委員会、日薬全体理事会、日薬政連正副会長、正副幹事長会議及び坂口後援会正副会長会議開催

 三、国立小児病院薬局の行った分業に関するアンケート結果

 国立小児病院(東京都世田谷区)薬局(井原与四郎薬剤科長)で、八月二五日から三〇日まで実施された分業に関するアンケート結果が同盟情報部へ寄せられましたので、内容の概略をお知らせします。薬局窓口に回答用紙をそなえつけ、投薬待時間中に自由に患者家族に記入してもらったものとのことであります。期間中の処方せん扱い数二、三八四枚で、回答数一五四枚。

 1、医薬分業を知っている七九・二%医薬分業を知らない二〇・七%
2、診療を受けている病院から
@薬を調剤してもらう方がよい六九・四%
A処方せんを書いてもらい自分の都合のよい薬局へ持参して薬を調剤してもらう方がよい二九・九%
3、医薬分業を知らないと回答したもので、上記2の@と回答したもの八一・二%
上記2のAと回答したもの一八・七%

 以上の通りの結果でありますが、調査当事者において全く意外の感に打たれたこととして付記されておりますことは、回答者の約三〇%もの多数が院外処方せんを希望しているという一事であります。ちなみに、当病院薬局の調剤待時間は約一五分であるとのことであります

 福岡県学薬常任理事会

 福岡県学校薬剤師会(友納英一会長)は常任理事会を九月十一日午前十時半から開会して各種保健大会の研究発表の件、実地研修会の開催などにつき協議した。当日は常任理事のほか藤木(小倉)秋吉(嘉穂)毛利(遠賀)の三氏も出席、友納会長あいさつの後報告事項として

 (1)九州山口学校薬剤師会代表者会議(六月十八日於熊本市)は各県とも本年度九州山口薬学大会のため研究テーマを決めて着々準備中で、本会では遠賀地区の騒音の実態を報告する

 (2)福岡県学校保健研修会(七月二十九日〜三十一日於原鶴)
は研究を主とした会合で、分科会「環境衛生」で助言者をつとめた古賀副会長から詳細な報告があり、特に学薬の各指導者は、学校の実態を知ることが出来、併せて薬剤師の職能のPRが出来るなどの点から積極的に参加することが望ましいと述べた。

 (3)全国学校薬剤師講習会(八月十九・二十日両日於高野山)
前日開催の理事会については友納会長から、伝達講習会については藤木理事からそれぞれ詳細な報告があって協議に入った。

 (1)本年度事業計画の実技研修会
本年度は直方、甘木、遠賀(中間)の三ヶ所で行うことに決定、直方は福岡から甘木には大牟田、久留米から、中間には北九州からそれぞれ講師を派遣することとし、日程等は講師と各地区学薬の話合いで決定することとなった。

 (2)伝達講習会
日本学校薬剤師会で年内に講習録が出来るので十一月下旬から十二月上旬までの間に開会することとし、会場は一ヶ所(福岡市)とする

 (3)各種大会
出席者及び被表彰者の人選などを行った。

 (4)薬と健康の週間
本年度の事業として都市の公害調査は従来通り行うこととし、予算は本会から八〇%程度は出す予定であり本年始めて行う亜硫酸ガスの検査については、予め講習を行う。他の行事についても学薬が積極的に推進する。

 (5)第37回九州山口薬学大会については役員の他多数会員の出席を勧誘する。
なお当日の出席役員は友納、古賀、河原畑の正副会長のほか矢野、内田、柴田、馬場、神谷、橋本、渋田、野口、桜井の諸氏であった。

 挾子

 ▼医薬分業を控えて保険薬局はすべて完全な受入薬局となることが望ましい時期に、分業受入整備に逆行するような、薬局を一般販売業や薬種商に変更するところがチラホラ見られる昨今である。

 適配条例も医療機関の再編成の意味で、分業受入れの適正配置ということから考えると何ともじゃまになる面が出てきているが、(例えば分業を実施したいという診療所の近くに一般販売業、又は全然意欲のない薬局などしかない場合他の意欲ある薬剤師が開設したくとも出来ない)。

 幸に、調剤確保のため必要と認められる場合は、知事の特例を活用すれば許可されるわけである。福岡市では藤田薬局支店の例が示すように、医師の間にもチラホラ分業を実施したいと希望する人が出てきそうな気配もあるという。適配条例に守られているからとアグラをかいている間にすぐ近くに保険薬局が開設されないとは限らない。調剤拒否をする雑貨屋まがいの保険薬局とて同様に解釈されるであろう。ご用心!!