通 史 昭和44年(1969) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和44年(1969) 6月10日号

 内容充実した重要な九州山口薬商組代表者会議

 九州山口医薬品小売商業組合代表者会議は五月二十四日一時半から福岡県薬会館で開会、各県から木元(佐賀)隈(長崎)堀川(熊本)川島(鹿児島)益田(大分)五郎丸(山口)鈴木(宮崎)の諸氏並に福岡は白木、須原、大島、藤野、山手、井上の役員のほか、九州卸連合会長(代理)も出席、来賓には県薬務課長(代理)四島県薬会長、荒川全商連理事長も臨席した。

 なお当日午前中同所において開かれた福岡県安定協議会に出席した製企会代表五社及び家庭メーカー一社、卸三社の代表者もオブザーバーとして臨席した。

 会議は定刻、白木九州山口ブロック長のあいさつに次いで、四島県薬会長は、日薬薬業経済担当常務理事の立場から小売の全国窓口一本化について「東京都の未結成、大阪のOPCなどむつかしい面はあろうが、全国を代表する組織の連合体でありたいとの考え方が、一昨年来そのままになっている。日薬では改めてその呼びかけを、との意向もある」と語り、又要指示薬、大衆薬、再販問題等職能護持について商組と共同戦線を張って勝ち取るよう努力したいと述べ、次に大塚係長のあいさつがあって議事に入った。

 (1)中央情勢報告

 隈氏から十四、十五の両日静岡県犬山で開会した全商連総会について@四十三年度の事業報告A負担金の増額B理事五名の補究C本年度事業計画(合理化、大衆薬、要指示薬問題等を含む)執行部原案を一部修正して決定した旨報告され、木元氏からは本年の総会は非常に盛り上りを見たが、各県とも若い層の起用が是非必要であるとの感想を述べ、白木氏@ミルクの価格問題A利潤の薄い家庭薬の問題B全商連ニュースの末端会員への直送C不当表示の運用基準案についての陳情などにつき詳細な報告があった。次に到着したばかりの荒川理事長は捕促して「総会後、各地区を廻ってみて全商連に対する関心の高まり、種々の要望も多く、今年こそ非常に重大な年と感じるので、理事会も度々やり、各地区の声を聞いて一層努力したい」と決意の程を披瀝した。それより中央情勢について活発な質疑応答があって各県の情報交換に移った。

 山口県=五月二十七日総代会を予定しているが、本年度からブロック毎の運営に切替える予定である。下関地区が常に問題を起しているので本年度は標準価格を作り度い考えである。

 佐賀県=従来安定を第一にして、成長のためのグループ活動は慎重であったが、本年度は活発にする考えである。実は佐世保の乱れの影響をうけて迷惑している。

 大分県=大体安定しているが、病院等(院長、事務長、看護婦等)の一般への斡旋販売について実力阻止を行っている。現在卸と接衝中である。

 熊本県=広告規制を行っている、最低価格を決め、それ以下の価格の広告を禁止している。大牟田と荒尾のチラシ合戦で困惑、両県並に地元との話合をなすべきであり、本会でも話し合いの場が持ちたい。
バスターミナルに同時申請の二店舗は知事の裁決で双方とも許可になった。

 長崎県=北部の佐世保地区は乱売はげしく、店舗の格差もひどくなり乱戦状態で対策なしの実情、然し南部長崎地区は大体安定、全般的には吊りビラも止め、ミルク価格も守られている、現在卸屋の部外品売り込み活発化に注意している。

 鹿児島県=中央に大型がないため小康を保っている。

 福岡県=北九州地区を除いて大体安定、北九州は再販以外は泥沼の容相である。適配条例の適用除外は「同一定数地区内」或は「営業規模」等を考慮するよう善処方を日薬、商組とも考えて貰いたい。

 次に本会の運営について事務局からの提案により、定例会議は年三回(二月、五月、九州山口大会時)他は必要に応じて開会する。必要な場合は九州山口薬剤師会の会長会議等と合同開催することも考慮、またブロック卸会長、製企会代表なども含めて開催することもある、等を決定し、六時近く閉会、それより場所を移して懇親会を開催した。なお当日の質疎応答並に主な意見は次のとおりである。(▽は問い、○は答)

 ▽小売三団体(全商連、日薬、全薬協)協力して一本にまとまる事に当るべきだ。
○経済問題に関する感度(見方)が異る(日薬は経済問題のアンテナを持っていない、調査室とか企画室も持っていない)のは事実、話合いや協調に努力する。

 ▽会員は同じで頭が違うのは困るから話合って貰いたい。
○経済問題は全商連と東薬連で話合えばいいと思う。

 ▽経済問題は商組にまかせよと云えるように組織の強化を図るべきだと思うが未加入の実情はどうか、またその理由は全商連への批判か。
○東北三県、千葉、神奈川、東京、山梨、栃木であるが、趣旨には賛成している。東京都には相当努力したが無関心が実情と思う、今後も努力する。

 ▽全商連の事業計画は羅列でなく重点的なものにしぼって貰いたい。
○会員は認識が薄いが、現在小売の置かれた立場は大変な危機にある。残念だがこれはというものは持っていない。全商連ニュースを全会員に直送、小売だけの新聞を持つことは、力を持つことでもあり、組織の強化にもつながると思う。

 ▽何とか食えるという考えはこわい、可能性をみつけて対処されたい。

 ▽底辺の人はきびしさを認識していない、これに参加の意義を持たせる必要があるのでないか。

 ▽上二割、下二割は別にしても中の六割を引っ張らねばいけない、上の二割とは対決する時が来ることも考えられる。

 ▽業権の拡大に目を向け他業界と争いをすべきだ。ミルクなどは可能性があると思う。
○育児用ミルクについては再販にするか、医薬品にするか以外に安定の方法はないその方向で進みたい。

 ▽表示の運用基準問題の見通しは?
○再販の不当なリベートはまだ解決していない。公取はメーカーの総合調査をしている。特に問題のある業界では自主規制しなければ再販は認められなくなろう。商組としては直販メーカーの反撃が強く業界が割れる心配があるので静かにしているが、研究はしている。表示の問題は公正競争規約に盛り込みたい。

 福岡県薬 理事会・支部連絡協議会

 福岡県薬剤師会は五月二十七日県薬会館で十一時から理事会を、午後一時半から支部連絡協議会を開会、県薬務課の指導による「医薬分業に関する世論調査」並に「保険薬剤師の研修計画」を重点として協議した。議事に先だち、鶴原会計理事から四十三年度会計閉鎖の結果は比較的順調であった旨の報告があり、それより議事に入った。

 (1)中央情勢報告

 四島会長から「特例法の延長問題、国民医療対策大綱に対する各方面の反対等、今後の成行きが注目されるが、分業については表向きの反対はない。日薬は分業構成のみの立場から賛成、支払者側は抜本改正を待つまでもなく現行法で実施せよとの空気である。日薬は自らレールを敷く意味で、薬局、薬学教育、薬制調査、社会保険の各委員会を開いて検討(本紙前号記載)。

 @先ず当面の問題として会員の研修(対外的にも必要)
 A分業推進のための審議会を日薬自体で作り(正式機関とすることは中医協等と同様になる危険性もあるため)適宜に医師会、支払者側等第三者的権威ある人を加えて話合うことになろう。
 B大綱案の検討の段階に日薬も介入するなどを考えている。兎も角分業は実施される趨勢にあるが、吾々としてはこれを自らの手で勝ち取らねばならない。そのためには頭脳の研修を少くとも五ケ年位は継続して行いたい」と報告された。

 (2)医療金融公庫融資条件改正について

 工藤専務理事から@薬局の新築は無薬局町村以外も対象とするA医薬品購入費も対象とする等拡大された旨報告があった。(詳細は日薬雑誌に掲載)

 (3)農薬危害防止運動に就て
五月十五日から一ケ月間実施されている、県農薬安全使用対策協議会が設置されたので農村地区の支部は十分協力されたい。

 (4)委員会活動について
@調剤技術委員会(4月22日)既報A会館建設委員会(4月28日)県有地の払下げ予定地を調査中、基金が必要であるが、これにつきグループ保険、グループ年金などグループ保険委で研究しているB社保委員会(5月21日)別掲C公衆衛生委員会(6月2日)次号掲載。

 (5)歯薬研修会について
日薬では日歯、日薬協定処方の改訂作業にかかっており、八月頃出来る見込み、本年度は各地区毎にキメ細かく実施するよう要請があった。

 (6)臨床薬理学講座について
四月、五月と二回小倉区において開会、暫次受講者は増加しているが、非常に適切な講座であるので一層多数会員の参加が望まれる。

 (7)九州山口薬剤師会代表者会議(既報)

 (8)医薬分業に関する世論調査について
県当局の指導により現向における県民世論の動向を調査、医薬分業推進の資料を得るため実施するもので、当日臨席の佐藤薬務課長も「一応県で計画したが、本年度は予算が通らなかったため県薬で予備調査をして頂くことになった」と協力を求めた。

 (9)保険薬剤師の研修計画について
本年度県薬の重点事業の一つであり、先の調剤技術委で大綱を検討、その後社保委と調剤技術委との話合いの結果、次の大綱が決定したが、細部についてはなお検討して決定する。

 ▽研修内容
(一)調剤技術の基本に関する講義は四地区に分け一日実施
(二)@調剤並に製剤の実習A処方せん判読(代表処方例約百例を選定して紙上調剤を行う)一日三時間〜四時間を三日間
(三)全般について
(一)(二)終了後仕上げとして全般に亘る講義を行う(一日)
(四)合計受講日数五日間

 ▽病院側の受入体制は県下約四〇の指定病院を選定、一病院当一回二、三名宛研修、テキスト、処方集等は県病薬で原稿作製

 ▽受講料は一名二千円

 ▽実施期日は九月以降の予定である。
なおこの件について薬務課長は「薬剤師が自らの向上のため研鑚されることは喜こばしい、厚生省も分業推進については積極的に指導するよう指示しているので県としても協力したい」と述べた。
次に各支部総会の支部長改選で更迭した新支部長は次の通り。
▽京都支部=猪熊功和
▽八幡支部=神谷武信
▽甘木支部=桜井勝
▽久留米支部=新保徳次
▽戸畑支部=岩崎秀雄
支部連絡協議会終了後、去る十六日厚生大臣賞を受賞した友納英一氏の祝賀の小宴が開かれた。

 同盟情報部速報 第4号 昭和44年5月26日 (全文転載)
 日本医薬分業実施推進同盟情報部

 (1)国民医療対策大綱、自民党総務会で承認

 自民党医療基本問題調査会(西村調査会)は四月十七日総会で国民医療対策大綱を決定、五項目の付帯意見を付したまま同党政調会(根本会長)の審議に移され、数回の審議の後五月八日これを原案のまま承認、更に総務会(鈴木会長)に移されましたが、総務会は五月十六、二十、二十三日と本問題を議題に供し、五月二十三日の総務会に於て五項目の付帯意見を付したまま党としての最終決定を行いました。(付帯意見は日薬誌五月号二六頁にも記載してありますが、保険制度、償還制、審査方式、財政措置等に関してのものであります)

 党としての正式決定をみましたので、直ちに関係大臣(厚生大臣、労働大臣、大蔵大臣、官房長官)に廻付、行政当局としての検討が始められることとなっています。又政府としては近日中に本問題を内閣の社会保障制度審議会(大内会長)及び厚生省の社会保険審議会(有泉会長)に諮問することとなっています。なお、総務会は党としての最終決定にあたり政府に対して次の意見を申入れました。

 自民党総務会より 政府への申入れ

 今回医療基本問題調査会が了承した国民医療対策大綱については左記の如き問題があるので、政府はこれ等を十分参酎して国民医療対策を立案するよう配慮すべきである。

 記

 1、現行の被用者保険の被扶養者に対する医療給付を国民保険制度の中で行うことは適当でない。
 2、業務上の事由による傷病に関する保険を勤労者保険制度にとり入れることは適当でない。
 3、診療報酬の支払い方法につき現物給付にかわる償還制の導入、診療報酬の審査方式、医師の領収書の発行義務等につき検討を加える必要がある。
 4、十割給付の制度について問題のある際、新たに老令保険にこの制度を加えることは適当でない。
 5、本対策大綱の実施のための財政措置についてはなお検討を加える必要がある。

 (2)健保連「国民医療対策大綱」に反対、医薬分業推進を決議

 健康保険組合連合会は五月七日臨時総会を開き自民党の医療基本問題調査会が発表した「国民医療対策大綱」は保険制度の機構いじりに終始しており、賛成できない旨の反対決議を満場一致で採択し、自民党、厚生大臣等に要望しましたが、その中で薬事制度の改革は保険制度改正以前の問題として実施すべきであると決議いたしております。又同時に健保組合の三大指針の一つとして抜本対策検討とは別に組合として医薬分業の完全実施を打出し、その推進に努力する姿勢を示しました。決議及び指針は次の通りであります。

 1、決議文(要約) 吾々は左記事項を決議しこれが実現を要請する。

 記

 @医療保険制度の基盤である医療制度、薬事制度、診療報酬体系、医療費支払い制度などを保険制度より以前に根本的に改革すべきである。
 A医療保険の経営は組合方式で一貫すべきである。
 B被用者保険の家族は、従来通り被用者保険で一体的に扱うべきである。
 C業務上の事由による傷病に関する保険を安易に勤労者保険に入れることは賛成できない。
昭和四十四年五月七日
健康保険組合連合会第66回臨時総会

 2、臨時総会で打出した健保組合の三大指針 (健保ニュースから)

 七日開かれた健保連の臨時総会は、自民党西村調査会の国民医療対策大綱に対する反対決議を行ったが、一方、この情勢の中で抜本対策検討とは別に組合として推進する三つの指針を打出した。その第一は、医療制度改善の一つである医療分業であり、第二は現保険制度の補完、修正としての支払い方式の複雑化、第三は組合自身が更に実績を積み重ねて組合方式の利点を世間に示すことである。

 次に指針の第一にあげられた医薬分業に関する項を要約して紹介します。

 医薬分業の段階的な完全実施を

 医薬分業の完全実施は医療費を技術と物に分離し適正化するもので、待望久しいものである。世界で医薬分業を実施していない例外の国ということだけではなく医療費が薬にあおられて高騰する現状をみれば、医薬分業が最も効果的な対策であることは既に明らかなところ、しかも、漸く分業を推進する客観状勢は熟して来たようである。

 日薬の計画では医薬分業はその実施が可能な地域から無理のない方法で実施したいというのであるが、この点は一般にも異論はない。推進の方法としては、先ず大都市のような薬局の整った地域等から開始が考えられよう。国民医療対策大綱を批判する新聞の社説の中でも毎日新聞(四月十二日)は「長い間要望されながら容易に実現しない医薬分業の確立なども医療保険の抜本改正の重要な課題である」と述べている。医薬分業は、むしろ抜本対策の中心課題でなければならないといえそうである。(以下略)

 福岡県学薬 創立満十五周年記念式典 評議員会と伝達講習会

 福岡県学校薬剤師会(友納英一会長)は本年一月二十日満十五周年を迎えたのを記念して福岡第一ビル三鷹ホールに於て五月十七日同会総会開会に引続き多数の来賓を得て創立十五周年記念式典を開催した。
式典は古賀副会長の司会により、まず友納会長は「本会が発足しての満十五年の歩みを基盤として今後一層飛躍する意味で式典を催したのであります、前会長早川氏によって昭和十六年大牟田市で学校薬剤師発足以来各地に設置され、現在設置校九五〇校、会員五〇名を数こるに至ったが、現在社会問題化している公害問題にも学校、地域社会が一体となって協力すべきである」と所感を述べてあいさつ、次いで本会の発展に特に功労のあった四島、長野県薬正副会長、並に日薬学薬相談役早川前会長に感謝状と記念品が贈呈された。

 それより来賓の祝辞に移り県教育委員長(代)朔県学校保健会長、早麻県議、元山日薬学校薬剤師部会長、四島県薬会長の祝辞に次いで、日薬会長ほか多数の祝電披露があって盛大な祝賀パーティーを催した。

 評議員会

 十五周年記念式典に先立ち午前十時から評議員会を開会、約五〇名が出席した。

 河原畑副会長が司会し会長あいさつ後、会長を議長として議事に入り▽事業報告▽決算認定▽新年度事業計画▽会費決定▽予算をいずれも原案通り決定した。

 事業計画は@支部活動の推進(研修会の実施、器具の整備、研究発表資料の作成等)A県下統一事業の推進(昨年は実施しなかったが本年は五〇万の補助金も決定しているので公害調査等を行う)B専門知識の普及と技能の向上(各種研修会、諸大会への参加)C県薬の公衆衛生関係諸行事に協力する。予算についてはほぼ前年通りである。

 以上で評議員会を終了、引続き総会にかえて協議懇談会を開いて懇談、それより末宗成二氏の学校保健講習会出席報告があった。

 伝達講習会

午後は日本学校保健会主催第15回学校薬剤師講習会の伝達講習会に移り、次の講演を行った。
(1)地域における学校薬剤師活動を活発にするために (大牟田市 古賀武)
(2)学校環境衛生日常検査を推進するために(同)
(3)パンとその品質 (久留米市 橋本祐一)
(4)照度と照明環境(同)
(5)浄化そうの管理と学校薬剤師(同)

 福岡県薬 社保委員会 病院薬局実習打合せ

 福岡県薬剤師会社会保険委員会(藤田胖委員長)は五月二十一日一時半から県薬会館で本年度初の委員会を開き、本年度の社保活動を具体的に如何に推進するかを検討するとともに分業推進の一環として病院薬局で行う保険薬剤師の調剤技術研修会について調剤技術委と具体的打合せを行った。

 当日は県薬から四島会長並に工藤専務、中村社保担当理事が出席、委員のほか県病薬から堀岡、磯田、福井、大橋、中島、金枝の諸氏が出席した。

 委員長のあいさつに次いで四島会長は中央における分業推進情況を次のように述べた。自民党の抜本改正案が発表され、各方面から反対意見が出ているが、吾々の念願とする分業は織り込まれている、厚生大臣も国会答弁で「出来れば三年で実施したい」と言っており、大体反対はない、政府側は関係団体が親しく話し合って、とのみ表現しているが、諮問機関として医療制度全般に亘っては審議会が出来ると思うが、日薬では特に分業問題については、各関連委員会を開いて論議、分業実施のため実施委員会を作り、与論の拡大を図るため、これに外部各方面から参加して貰い特別委員会のようなものを作ることになろう。

 次いで工藤専務から医療金融公庫の改正による融資の拡大及び県薬務課の指導による分業に対する与論調査について説明があった。

 それより本年度の分業推進の基本方針を具体的に検討し、本年の事業計画の一つである開局薬剤師の病院薬局における研修については、出席の病薬幹部と具体的に打合せを行った。当日の委員会で、本年度の基本方針として次の四項目を積極的に推進することになった。

 (1)保険薬剤師の調剤技術研修会(実習)を四ブロック毎に九月頃実施する。
 (2)歯・薬合同研修会は今年も引続き行い、本年は特に小範囲に分けキメ細かに実施する。
 (3)県薬務課、メーカー、卸と分業推進に関する懇談会を開催して意志の疎通を図り、協力を求める。
 (4)処方せん増発の目標を各地区毎に設定して目的に沿うよう努力する。

 なお保険薬局の標識取付けの促進、処方せん獲得後進支部(宗像、粕屋、筑紫、浮羽、八女、三井、甘木、戸畑、小倉、山田)の育成、新規保険薬剤師の研修なども積極的に行うことを決めた。

 なお中村社保担当理事は日薬社保委員会出席報告の後、開局薬剤師が医療担当者としての頭に切り替えることは非常な困難であるが、それにも拘らず積極にやろうとする人があることは心強いと感想を述べた。

九州薬事新報 昭和44年(1969) 6月30日号

 同盟情報部速報 第5号 昭和44年6月13日 (全文転載)
 日本医薬分業実施推進同盟情報部 

 (1)国民医療対策大綱、政府に提出

 自民党医療基本問題調査会がまとめた国民医療対策大綱は、五日正式に自民党から政府に手渡されました。その際、自民党側から、「党の意見がまとまったのでこれをもとに関係各省の意見が一致した政府案を作成してほしい」との発言がありました。

 これを受けて、政府側では厚生省は中心として政府案の作成にとりかかることとなりました。ただ、この大綱には、五項目の付帯意見がつけられており(前号にてお知らせしたとおり)、これについても、十分尊重するようにとの党の意見がつけられておりますので、政府案作成にはかなり時間がかかる情勢と見うけられます。

 (2)分業問題について松本、五島両氏対談 (ニッポン放送)

 去る五月二十五日午後五時四十分からのニッポン放送「時の経済」の時間に、「健康保険制度の問題点」について、中医協委員(支払者側、日経連代表)松本栄一氏と毎日新聞論説委員五島貞次氏とが対談され、次の(抜粋要約)のように発言されておりますので、ご紹介いたします。

 ○薬物中心医療と診療報酬体系の問題点

 五島氏 今の診療報酬体系では、医師の技術が評価されないで、薬を使うほど利益が上るという不合理がある。また医師から医療を受けた患者が、そのなかみ、何にいくらかかったかわからない。医薬分業を確立しなければ薬物過剰投与は改められない。

 ○医薬分業の必要性

 松本氏 医師が自分で診断して、自分で薬を調合して患者に与えるので、間に誰もチェックする者がない。適当な分量であるかどうか、例えば三日分でよいところを一週間分与えても、だれも文句が言えない。薬剤師が間に入れば、おかしいのはすぐにわかる。調合も看護婦がやる場合があるが、これも薬剤師が入るとチェックできる。安全性、経済性の両面から、医薬分業は早くやるべきだ。これによって、総医療費の四〇%をしめる薬剤費は相当に減るのではないかと思う。

 ○薬剤費と抜本改正

 五島氏 医療費がある程度あがるのはやむを得ないしかし薬剤費が異常にあがることは問題である。この欠陥にメスを入れる必要がある。自民党医療基本問題調査会の抜本改正試案のようなものを出しているが、これも医療費の増える根元にメスを入れていない点に問題がある。

 松本氏 国民所得の伸び、賃金の伸びをのり越える医療費は、どこにその原因を有しているか、それを解明しないと、どんな制度を導入してみても、健康保険の財政は破綻する。

 五島氏 健保特例法を今国会で成立させることと、抜本改正も、勇気をもって根元にメスを入れ、すみやかに具体案をつくって、国会に早急に提出して貰いたい。それが国民の利益になる。

 同盟情報部速報 第6号 昭和44年6月20日
 日本医薬分業実施推進同盟情報部

 (1)学術大会開催につき日薬、薬学会共同談話発表

 去る六月十三日武田日薬会長、桜井・鈴木両副会長は、上尾薬学会頭・高木副会頭と会見し、日薬学術大会、薬学会年会の開催を、従来、地区を同じくし、期日を接してとり行なっていましたが、今後は適宜、弾力的にとり行なうことに意見が一致し、次のような共同談話を発表いたしました。

 今後、両会の開催は、開催予定地区における話し合いの段階で調整がとられ、出来るだけ同地区での開催が進められますが、時によっては、やむを得ず、別の地区で、時期をわけて開催されることもあることとなりました。これは、両会の規模が拡大したためにとられた措置でありますので、このために両会の協同体制に変動を生ずることのないことは言うまでもありません。

 談話

 日本薬剤師会並びに日本薬学会は、ともにその目的に掲げるところに従い、それぞれ独自の立場を取りながら、わが国の薬学、薬業の興隆という共同目的を指向して緊密な協同体制をとりつつある。近来、両会の主催する学術大会並びに年会が年々規模を拡大し、両者を合すると、出席者が一万名を越す盛況となって来た。これはまことに慶賀すべき現象であるが、このため両大会を地区を同じくし、期日を接して開催することが、時としては、困難となって来た。

 従って、今後は両会の学術大会並びに年会の開催を適宜、弾力的にとり行なうことになった。大方の諒承を得たい次第である。ただし、このような措置によって、両者の緊密な協同体制に、いささかの変動もないことはここに、今さら言うまでもない。 昭和44年6月13日
社団法人 日本薬剤師会 会長 武田孝三郎
社団法人 日本薬学会 会頭 上尾庄次郎

 追記 同封(略)昭和四十二年五月の武田日薬会長と伊藤薬学会頭との共同談話にありますとおり、「それぞれの大会は、今後開催地を同じくし、期日も相接して開催するなど密接な連絡と協力を行ない………」との申し合わせが行なわれており同地、同時期開催は必ずしも原則としては考えられておりませんでしたが、会員各位のなかには、これを原則としてお考えになっておられる方もありましたのでとくにこの共同談話が発表されたものであります。

 (2)明年の学術大会 総会の開催地、横浜市にきまる

 日薬第3回学術大会並びに第24回通常総会は、横浜市において、昭和四十五年四月上旬に開催されることにきまり、六月十九日発表されました。日時、場所等については大会準備委員長神奈川県薬剤師会長森下一男氏から、いずれ発表される運びになっています。

 『分業に関する標語』 福岡県薬剤師会が募集

 福岡県薬剤師会は医薬分業実施推進に意欲的に取組み▽医薬分業に関する世論調査▽保険薬剤師の研修会(病院薬局で実地研修)▽臨床薬理学講座など既に実施しているもの、現在推進中のものなどがあるが、今回は大衆啓蒙のための標語を募集することになった。

 六月二十五日の理事会並に支部連絡協議会において、県薬自体として今後の大衆啓蒙のための一資料に、広く薬事関係者から、「医薬分業に関する標語」を募集することを決めた。入選した標語及び保険薬局標識などは、今後大衆向けPRに利用される。(募集要領は下記のとおり)

 標語募集要領

 1、標語の内容
医薬分業を大衆に周知させるためのもの
2、応募の要領
1)官製はがきに3句以内
2)〆切 7月20日
(〒812)
3)送り先 福岡市上呉服町3‐22
福岡県薬剤師会分業標語係
3、入選発表
九州薬事新報紙上に8月上旬発表し、入選者には薄謝を贈呈す。