通 史 昭和44年(1969) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和44年(1969) 5月10日号

 恒例の還暦祝いも 福岡市薬剤師会 本年度定期総会

 福岡市薬剤師会(波多江会長)は本年度総会を四月二十五日一時から、市内福岡第一ビル七階三鷹ホールで開会、優良支部表彰や恒例の還暦祝式典も行った。

 当日は会員四〇九名中二三一名(委任状も含む)が出席して総会成立、小野理事司会して藤田副会長の開会あいさつに次いで波多江会長は「抜本改正関係案の大綱が、発表され今後剤界にとって重大な施策の時期である。歯・薬強調の実も現われ、請求事務も委員の努力によって向上した。三師会活動も親密の度を加え野球など実施している。分業実施推進同盟も結成され、日薬、県薬と共に日夜努力しているが、今一つ一般会員の認識、自覚が望まれる」とあいさつ。それより来賓の祝辞に移り、久保田、加藤両市議会、早麻県議会議員の業権確立についてのはげましの言葉があり、四島県薬会長からは約一時間に亘って時局認識の一助にと、中央情勢その他微に入り細に亘っての説述があった。それより波多江会長を議長として議事に入った。

 ▽報告事項=@昭和四三年度会務並に事業報告A福岡県薬剤師会代議員会出席報告があり、異議なく承認

 ▽議案=@四三年度決算認定の件(一般、特別)A四四年度事業計画決定の件B同年度会費決定の件C同年度予算決定の件をそれぞれ執行部から説明、@の決算については三師会活動、歯・薬協調等分業対策に関する費用が増大し、予算より大巾にオーバーしたが、異議なく承認、Aの新年度事業計画は日薬、県薬の事業に即応して会の組織と活動の強化、分業実施対策の推進、薬業経済安定対策、公衆衛生活動の強化等であるが、特に部会活動の育成並に分業実施対策については努力の結果相当な成果をあげてはいるが、なお末端会員の認識に未だしの感があるので、各部会長の協力を要望。会の催し、研習会等への出席については関係団体等の連絡も密にして協力するよう要望した。Bの新年度会費、Cの予算については、前年度の決算からみても相当額の値上げが必要であるが、同盟会費を拠出している現在では値上げも困難と考えられるので、前年と同額とし、同盟会費の還付金より九〇万円を予算に組入れ、一般分業対策費に当てることで承認を求めた。これについて一、二の異議もあったが、分業対策が現在事業の中心となっているので、対策費は会費なみに考えても差支ないとの意見が大勢をしめ、執行部原案通り承認可決した。

 それより優良部会の表彰に移り、箱崎、博多、浜、当仁の四部会に記念品料が贈られ一応会を閉じ、同所において引続き第17回還暦祝式典が挙行され、斉田和夫、須原勇助、大隈次郎、水田正雄、武田準一、内田末子の六氏に記念品が贈呈されて引続き同所で懇親会を兼ね祝賀会が催された。

 本年度県病薬総会 保険薬剤師研修会に就て 福岡県薬調剤技術委員会

 福岡県薬剤師会調剤技術委員会(委員長堀岡正義氏)は四月二十二日二時から九大病院薬剤部図書室で開会、本年度県病薬総会、医薬分業に伴う保険薬剤師研修会の受入、その他について検討した。

 ▽第14回福岡県病院薬剤師会定時総会
については六月二十八日(土)午後二時から西鉄グランドホテル(大正製薬葛ヲ賛)で開会する。特別講演として九大薬学部・井口定男教授並に大正製薬梶E井川俊一学術部長の講演二題がある。
その他四十三年度会計報告及び医薬分業推進同盟資金カンパの収納状況報告などがあって協議に入り@保険薬剤師の病院における調剤技術研修に関する件A九州山口病薬DI講習会開催について(日薬に要望する)B新年度の事業計画の件C日病薬理事推せんの件(本会は従来二名であったが一名増員を要望、堀岡、瀬尾、福井の三氏をすいせん)など協議した。前記@は県薬からの要望により検討、一応本委員会で左記の案をまとめたが、更に社保、薬局両委員会と合同で再検討した上、理事会で決定することになる。

 ▽研修内容(案)
@調剤技術の基本に関する講義(テキスト作成)を四地区に分け各二日間
A調剤実習は調剤、製剤の実習、処方せん判読、県下の代表処方例約百を選定(実習時間10時間)
B前記@A終了後全般にわたる講義

 ▽病院の受入体制
@指定病院選定は主として薬剤師三名以上勤務の病院四〇施設を選ぶ
A一病院あたり一回研修者二〜三名とし大体六〜七回で終了
B受講料は一人につき千円
Cテキスト、処方集その他は病薬で原稿作成
D八月中に準備を完了し、九月から実施する。

 会長に田中氏選任 福岡県女子薬本年度総会

 福岡県女子薬剤師会は本年度総会を四月二十七日午前十時から山之内製薬福岡支店会議室で開会した。
当日は西鉄のストにもかかわらず各地区から約五十名の会員が出席、四十三年度事業並に決算報告などを承認後、前年と大体同様の予算、事業計画などを決め、役員改選を行った。

 役員改正は各地区支部長に理事を加え、選挙の結果、会長に田中美代、副会長に森山富江、参与に上田ヨシエの諸氏を決定、筑後及び北九州両地区から選出の副会長二名は、後日地区から推せんすることになった。午後は同所で若杉病院中川院長の「心身医学の実際について」と題する興味ある講演を聴取した。

 会館建設準備調査委員会設置

 福岡県薬剤師会は三月開会の代議員会での会員の要望に応えて「会館建設準備調査委員会」を設置することになり、その第1回委員会を四月二十八日一時半から県薬会館で開会した。

 委員は鶴原正蔵、工藤益夫、斉田和夫、波多江嘉一郎、友納英一、国武一人、福井正樹、藤田胖、山手陽一の九氏を依嘱、先ず資金、敷地、建設規模等について種々の調査を始めることとなった。
なお同委員会は会員のこれらに対する要望、アイデアなどをどしどし出して貰うよう希望している。

九州薬事新報 昭和44年(1969) 5月20日号

 福岡市学薬会 第14回定時総会附研修会

 福岡市学校薬剤師会は第14回定時総会を五月九日午後一時から、県薬会館で開会した。総会終了後研修会も併せ行ったが、当日は約七十名の会員中五十余名が出席した。

 総会は小田理事司会し内田会長のあいさつ後来賓市教育委員会学校保健課長並に友納県学薬会長、久保田市議会議員、波多江市薬会長のあいさつに引続き会長を議長に議事に入った。

 議事は四十三年度会務及び事業報告、決算認定の件、新年度事業計画、予算をいづれも異議なく決定したが会費は、県立高校を除き、市立及び私立(一校につき一、五〇〇円を二、五〇〇円)幼稚園その他(七〇〇円を一、〇〇〇円)をそれぞれ手当の増額に伴って値上げした。

 事業計画は県学薬の決定事項の推進、班別活動及び新任学校薬剤師の研修、夏期、林間学校、集落の飲用水、プール水の検査実施、その他である。なお総会終了後、同所において研修会を開会、博多保健所環境衛生担当の北原郁也氏の「水洗便所糞尿浄化槽について」と題する講演を聴取した。

 福岡県薬 日薬へ要望

 福岡県薬剤師会では生活保護法に関する薬剤給付の簡素化について、現在県下の実情を述べ次の様な要望書を五月十日付で日本薬剤師会へ提出した

 生活保護法にかかわる薬剤給付の簡素化について(要望)
(前文略)福岡県におきましては、近時炭鉱閉山等に伴い、生活保護世帯が急速に増加し、三月末日現在全世帯一、一〇二、九二三中八三、四三一世帯(約七、六%)の多きを教え、生活保護法による医療給付が急増しているのでありますが、現行の法令は、処方せん発行者も患者も、受入側の薬局においても、非常に繁雑な手続きを要することは、ご承知のとおりであります。

 医薬分業推進のための一隘路となっておりますので、少くとも原爆一般医療なみに簡素化されるよう、関係法令の改正を当局に強く働きかけていただきますよう要望いたします。

 薬局融資の改善一部前進 薬局整備を

 日薬は医薬分業推進の一環として、予てから医療金融公庫の融資改善について強く厚生省に要望していたが四月一日の改正で新築資金対象の拡大、増改築資金の優遇措置並に増改築時に調剤用医薬品の購入資金が認められるなど日薬の希望にそい相当前進した。

 日薬としては今後とも公庫に対し、薬局融資の改善を要望するが、会員は融資を受けることにより、現下の重点施策である分業受入体制の整備に向って邁進するよう日薬では希望している。

 福岡県学薬会長 友納英一氏 厚生大臣賞受賞

 五月十五、十六の両日広島市広島県立体育館において開催された第二回全国保健衛生大会の大会式典において福岡県学校薬剤師会長友納英一氏は公衆衛生事業の功労者として厚生大臣から表彰された。同氏はこれが大臣賞受賞二回目である。

 福岡県薬DI委員会

 福岡県薬剤師会DI委員会(柴田伊津郎委員長)は本年度第一回の委員会を五月八日一時から県薬会館で開会、柴田、神谷、荒巻、堀岡、梅津、清藤の六委員が出席した。

 当日はさきに日薬DI委員会が全国に依頼調査した「医薬品副作用報告書」について、その報告事例の集計結果が日薬から報告があったので、これについて堀岡委員から詳細な説明があり、委員会より依嘱の本県調査員に同集計文書を送付することとし、今後も引続き報告書の提出方を依頼することとなった。

 次に薬局必備図書の選定については、DI組織末端の薬局の実務インフォメーション(常用医薬品の薬品名、成分、組成、薬効、用法、用量、価格などの問い合わせに対する回答)の提供に必要な最小限の図書について検討の結果、「薬事日報」「九大病院医薬品集第二版」を差当って推せんすることとなり、日薬が全会員に配布する日薬雑誌に、医薬品の情報に関するものなどを収載して開局者の活用を図るよう内容の充実を日薬に要望することとし、今後開局者への推せん図書及び県薬DIセンター備付図書のPR等を積極的にはかることになった。

 その他県薬DIセンター充実のために@メーカーのプロダクトマニアル、パンチカード、メルクインデックス、常用新薬集及びメーカーの医家向並に病院向PR誌などの寄贈方をメーカーに依頼A月刊誌の利用度を高めるために雑誌架の購入なども依頼することを決めた。

九州薬事新報 昭和44年(1969) 5月30日号

 本年度九州・山口薬学大会 準備打合せのため熊本市で 各県代表者会議開催

 九州山口薬剤師会(四島久会長)は各県代表者会を五月十八日一時から熊本県薬剤師会館で開会、四十三年度の決算、本年度負担金、第36回薬学大会決算、第37回大会開催準備等について協議した。

 当日は四島、工藤(専務理事)(福岡)武田(佐賀)野川(長崎)清水(鹿児島)長嶺(宮崎)杉原(大分)森広(山口)の各会長または副会長のほか地元熊本県からは第37回大会準備委員長の山中会長、林、山田、下田、上野、池田、長須、西、水民、坂梨の各部長が出席した。

 会議はまず四島会長から中央情勢について詳細な報告があって議事に入り
@昭和四十三年度決算を異議なく承認
A本年度会費負担金は各県平等割及び人員割を大体前年通りと決定
Bその納入は三分の一を六月中に本会事務局(福岡県薬)へ納入、三分の二は九月までに大会運営費として熊本県薬へ納入すること C第36回薬学大会の決算については異議なく承認
D第37回薬学大会準備については地元山中委員長並に各部会長から準備の状況が詳細に報告され、当日の決定事項は次の通り

 ▽会期 10月23日(木)24日(金)
▽会場 熊本市民会館、交通センター
▽予算 約四〇〇万円
▽表彰、感謝状該当者は九月二十日までに推せん
▽提案事項は各県五項目以上を八月三十日までに送付のこと
▽研究発表の締切は八月十五日とする
▽薬学会に対する交付金二〇万円については各当番県の予算規模により一率には無理な面もあるので再検討する。本年度分については熊本で十分検討し、薬学会と協議の上会長に報告すること
▽観光は特別に計画しないが、斡旋は十分心かける
▽宿泊は予約金納入申込者のみに斡旋、解約の場合予約金は返さない
▽大会第一日目午前中に時局柄、分業同盟各県代表者会を開会する(各県より三名程度)

 次に藤田前薬学会頭の叙勲に対し本会からお祝品の贈呈を決定した。なお、第36回大会反省会でも問題となった女子薬部会の在り方については、それぞれ関係部会に出席することが好ましく、女子薬部会としては他部会と重複しない時間に於て懇親会をもつ程度にとの意見もあった。

 創立十周年記念祝賀会 福岡県商組総代会

 福岡県医薬品小売商業組合(白木太四郎理事長)は五月二十日午前十一時から博多蔵本ビル二階会議室において荒川全商連理事長も臨席して第14回総代会を一三〇名の総代中八〇名が出席して開会、引続き同所において創立十周年祝賀会をも開催した。

 総代会は白木理事長にあいさつに次いで来賓県衛生部長(代)四島県薬会長、古賀県議会議員の祝辞に引続き工藤益夫氏を議長に選出して議事に入った。

 ▽報告1号 43年度事業報告並に江川薬品問題、飯塚橋薬局裁判経過、めぐみ薬局のダイエー内開設問題の経過報告があって承認

 ▽報告2号 組合員数報告は三十三年創立当時からわずかに増加(現在一二一七名)しているが、実数の把握が不充分であるので実態を引続き調査するよう執行部に要望して異議なく承認

 ▽議案1号 43年度決算約一二四万円(未収会費なし)は異議なく認定

 ▽議案2号 本年度事業計画は藤野専務理事が説明、商組運営は大体六項目@地区ブロック強化A調整に関する事業B団体交渉C組合運営改善と共同事業D陳情、請願、訴訟に関する件の推進Eその他法制等の研究である。

 これに関して種々質問意見が出たが、千人以上の組合員で僅か百万程度の予算ではとの意見に対し、実際の事業は県下四ブロックが運営の主体であるとの理由でそのまま原案通り決定

 ▽議案5号 調整規程継続申請については運営に当り慎重を期すことで今年度迄は申請することとなった。それより一応総代会を閉じ、同所で本会創立満十周年記念祝賀会を開会した。臨席の荒川全商連理事長は祝辞並びに去る十四日開会の全商連総代会報告を行い、本年度は特に大衆薬、要指示薬対策に重点をおき、スーパー等にくわれつつあるミルク問題については再販か医薬品にするかを要求すべきである。公正競争規約は医薬品業界だけのものを考えたい。小売業界はここ一、二年が危機にあると思うので業界の実情を流すため全商連ニュースを末端会員に直送したい等の発言があった。それより盛大に記念祝賀会に移った。

同盟情報部速報 第3号 昭和44年5月14日 (全文転載)

 日本医薬分業実施推進同盟情報部

 (1)分業受入れのため各常置委員会開催
自民党医療基本問題調査会(西村調査会)は4月17日国民医療対策大綱を発表、同党内及び厚生省当局において同案に基づく具体的検討が進められていますので、日薬としても早急に医薬分業実施年次計画に伴う受入れ体制及び薬剤師研修計画等に関し具体案を作成いたす必要から五月六日薬局委員会、同七日薬学教育委員会、同八日薬制調査委員会、同十三日社会保険委員会が開催されました。

 本同盟では兼ねてこれら緊急な問題は日薬の各常置委員会の検討を待ち実行に移すこととしていましたので前記各委員会に竹内同盟情報部長以下同部員が参加しました。

 各委員会の協議事項は各委員会から選出される委員(二〜五名)による合同委員会(近日開催予定)で協議取まとめられることとなりました。
この合同委員会は、分業審議会の如き性格をもつものであります。各委員会の協議状況は次の各委員長談で発表された通りであります。

 ▽日薬薬局委員会について 委員長 石井明(談)
昭和44年5月6日午後1時がら5時迄、銀座交詢ビルにおいて薬局委員会の全体委員会を開催、全国から20余名の出席があった。薬局委員会においては次のことが協議された。

1、受入体制に関する件
 @鈴木調査会への提案
 A西村調査会の意見
 B今後の推進方策
2、医療金融公庫の薬局への融資改善
3、調剤センター、備蓄センターに関する件
4、薬局の構造設備等の基準
5、調剤用医薬品の備蓄
6、調剤技術の研修
7、地区推進組織
8、その他
9、具体的方策協議

 西村調査会では五年の年次計画となっているが、斉藤厚生大臣は、本日から三年ででもやりたいと国会答弁しており、一日も早く態勢を整えたいとして武田会長から受入上の諸問題について懇切な説明があり、各委員から質疑に続いて多くの提案がなされた。その内主要なものは次の通りである。

 @無薬局町村への対策を考えるべきである。
 A調剤の実績のない薬局は保険薬局の中の?にのぼっている。これに対するPRが重要である。
 B対外的施策を策定する第三者グループを考えるべきである。
 C薬科大学にモデル調剤薬局をつくれ。
 D繁用薬品のカードを配布するよう考えよ。
 E薬局のミニチュアモデルを作れ。
 F指導者講習会を開け。
 G医療金融公庫の代理店名簿を配布せよ。

 受入体制は全国実情の把握の上に立って進められなければならないので都道府県支部単位で薬局、医療機関等の調査を早急に行いたいとしてその趣旨の説明が行なわれた。検討について長時間が当てられたが、なお十分でないので出席委員は、後刻文書を以て意見を提出することとなった。

 本日の協議事項については他の常置委員会と合同で構成する合同委員会に五名程度の委員を送り協議を進めること及び五名の委員の選任は委員長に一任することが決められた。

 出席者(敬称略)
薬局委員=石井明‐東京、幸島英三‐愛知、窪田光彦‐長野、高橋正和‐東京、石井保雄‐東京、山崎修‐新潟、佐竹元一‐愛知、諏訪栄吉‐東京、井上彦四郎‐東京、金行信治‐大阪、荻原知文‐東京、新城寿‐奈良、平尾謙司‐静岡、都築喜市‐東京、清水不二夫‐神奈川、宇野啓‐茨城、

 担当理事=武田会長、山崎久利、吉川貞江、杉本秀義

 情報部=竹内喜一、平塚善太郎、山田静男