通 史 昭和43年(1969) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和44年(1969) 4月10日号

 めぐみ薬局適配条例除外問題 44年度第一回 福岡県薬事審議会

 福岡県薬事審議会は本年度第一回を四月四日二時から三共兜汢ェ支店会議室で開会、一月以来業界の関心事である有限会社めぐみ薬局の適配条例除外によるダイエー内開設の問題、その他について審議した。 薬局等の許可について知事から意見を求められたもの薬局二件及び国道拡張工事のための移転一件についてはいづれも承認され、その他知事から、既に許可済みの報告があった薬局三、一般販売業一、についても承認した。

 有限会社めぐみ薬局のダイエー店内開設の件については、申請者並に地元組合から左記陳情書も提出されているため慎重を期し、種々意見が開陳されたが、なお詳細な実情を調査することになり、三苫(消費者代表委員)の両委員により小委員会的なものを設けて実情調査を行い、次回には申請者並に組合双方の事情聴取も行うこととなった。

 なお二月五日県知事宛提出した県薬商組福岡支部、市医薬品卸業協会並に市薬合同の陳情書及び二月二十日提出しためぐみ薬局代表者宮原氏の陳情書は左記の通りである。

陳情書 (地元薬業団体)

 このたび福岡市天神町二丁目潟_イエー天神店内に薬局開設許可申請中の福岡市福陵町三丁目有限会社めぐみ薬局(代表取締役社長宮原美代子)に関する件について、福岡市小売薬業者の総意に基きその非合法なる事実を訴え、許可されざるよう陳情いたします。

 一、移転許可申請をなしたるめぐみ薬局の移転理由は、国道二〇二号線増巾工事に伴う土地収用による立退きとなっており薬局等の配置の基準を定める条例の恩典事項による申請をしておりますが、私共は条例の立法精神よりその恩典事項が無制限に適用さるべきでないと考えております。何故ならば、増巾工事に伴う補償等具体的に決定を見ずその施行時期は二〜三年後と聞き及びます。然る上に、めぐみ薬局の家主においては、立退き決着の暁には現在地より数米後退した土地に、あらためて新店舗を建設し現在の借家人を収容する予定と明言しており、明らかに代替地(代替営業場所)が存在する次第であります。

 斯かる代替地に移転することを放棄し、特別の地域に進出するが如き実情にあるものを、条例の恩典事項として無条件に許されるならば、今後の小売薬業界は無法、無秩序状態となり、その及ぼす影響甚大と考えます。

 一、めぐみ薬局は、昭和三十八年まで荒江薬局であり、昭和三十八年十月十八日会社設立によって誕生したものであるが、薬事法一部改正に伴う条例施行は昭和三十八年十月一日であり、それ以前に国道二〇二号線バイパスの増巾計画は決定していた事実を考え合せるとき、このことあるを知って悪用したと云っても過言とは云えません。

 かかることが簡単に行われるならば、薬業の健全な発展を願った条例の精神を踏みにじり、その存在の問題にも発展する重大事項であり、かかる認可の件については慎重に取あつかうべきと存じます。

 一、めぐみ薬局の移転申請先は、福岡市の中心で過密地帯とはいえ天神町交差点を中心として半径二‐三百米内に現存する薬局の数を考えますとき二十店に及ぼうとしており、その何れもが大型店で乱立の状を呈しております。

 かかる地域に事実上、潟_イエー天神店に要請され、汲゚ぐみ薬局が入店することは、今後、益々過当販売競争を生じ、医薬品の特殊性が無視されるおそれが生じ、福岡市は勿論、その周辺に及ぼす影響は甚大なるものと考察されますので、薬務指導行政の見地より、特にご配慮の程切にお願いいたします。

 右のような実情を開陳し、県知事の諮問機関である薬事審議会に、その適否を是非とも諮問していただき善処くださいますよう陳情いたしますと共に、私共が今までに遵法精神に基き薬業界の安定と地域社会の衛生福祉の向上に努力してきたことが水泡になりませんように、重ねてお願いするものであります。

陳情書 (めぐみ薬局代表)

 時下貴職益々ご清栄の趣大慶至極に存じます。さて弊店はこの度左記の通り薬局の許可申請を致しましたがその趣旨は次の通りでございますので早急にご許可賜り度くここに陳情申し上げる次第でございます。

 一、陳情の目的
店舗の申請地 福岡市天神町二丁目七‐二〇
店舗の名称 有限会社めぐみ薬局
業務の種類 薬局
申請年月日 昭和四十四年一月十四日

 二、陳情の趣旨
弊店は昭和三十二年に開設営業致しておりましたがこの度び一般国道二〇二号線道路改良工事(告示年月日昭和四十二年四月二十二日。告示番号建設省告示第一四九四号)に該当するため移転せざるを得なくなりました。

 弊店は開設以後地域消費者各位のご愛顧を得順調に成績を上げつつ今日に至りました関係上今般の移転は公的な事業計画のためとは言え誠に残念でございます。しかし道路改良工事は着々と進められており既に隣地まで工事の完了は時間の問題となっておりますが一部借家人は県土木当局との交渉団体を設立し補償額等について種々交渉して時間を稼いで居りますが、同荒江四ツ角は最近特に交通量が激増しており地元住民並びに県土木当局ともに同道路改良工事を遅滞なく実施することを希求されております。

 一方弊店の地主並びに家主からは賃借人である弊店に対する以後の具体的計画(新たに貸店舗を造り賃貸する等)を伺っても現在のところ白紙の状態(別添地主並びに家主証明書ご参照)であり、弊店と致しましても自らの営業と会社の存続を守るため一刻も早く移転先を探さねばと考えておりました矢先、潟tクオカダイエーの話が持ち上り、折衝の結果同店一階の一部を借り受けることに相成り去る一月十日付賃貸借契約を締結し今般の申請に及びました次第です

 さてこの度の許可申請は@適配条例の適用除外項目に該当する申請であり又そのA構造設備も去る一月十六日の福岡保健所担当者によりご調査頂き瑕疵はないと認められておりB管理薬剤師は弊社の代表者自身であります。上述の如く今般の申請は関係法令の要求に合致しました全く瑕疵のない合法な申請であると確信しております。

 仄聞するところによりますれば薬業界の方々が反対運動を展開し無実無根のことを吹聴しているとのことですがこの様なことこそ法秩序を無視し人権を無視した反社会的行為と断じざるを得ません。引いては弊社の営業に重大な支障を及ぼしておりますと共に賃貸人(ダイエー天神店)に多大の損害と迷惑をかけている次第でございます。

 尚私(代表者宮原美代子)自身は市薬剤師会七隈部会長の役を仰せつかっており微力乍ら明日の薬業界発展のため又今日の国民各位の保健衛生向上のためにいささかなりとも奉仕致し、正しい医薬のめぐみを一般大衆に寄与せんものと自負しております。今後とも貴職のご指導並びに薬事法の精神を遵守致すと共に福祉向上のため業界発展のためにより一層の努力を惜しまぬ所存でございます。つきましては右事情をご賢察の上速やかにご許可賜わりたく伏して本上申を行う次第であります。 以上

 同盟情報部速報 第1号

 (全文転載)(今回から従来の同盟速報を同盟情報部速報としてお届けします) 昭和44年3月28日

 日本医薬分業実施推進同盟情報部

 (1)同盟広報部、情報部打合せ会開かる
三月二五日広報部、二六日情報部の第一回打合会がいずれも交?社会議室で開かれ、それぞれ次のような打合せが行われた。

 広報部は対外的に分業に関する考え方の浸透をはかり、分業に対し部外者の積極的な支援を得る体制を構成することを任務とし、参与、部員はそれぞれの分野を担当することといたし、分野毎に如何に運動を進めていくかについて打合せが行われました。

 情報部は同盟内部に対して分業の進展状況を連絡し、受入体制の整備等、会員が総力を結集して分業に進む方策が講じられるよう努力することを任務とし、そのための具体的な事項について打合せを行いました。

 (2)日歯、日薬協定処方の推進について
二月二〇日同盟速報第10号で一部お知らせいたしましたが、日歯、日薬協定処方に関する研修会について、三月一五日付を以て武田日薬会長から竹中日歯会長宛依頼状が発せられ、これに基き三月二四日竹中日歯会長から都道府県歯科医師会長に協力依頼の文書が発送されました。日薬に於ては都道府県薬会長宛に三月二五日付で研修会実施の細部について通知を発送し、各地区に於てそれぞれ地区の実情に応じた研修会が開催される運びとなりました。御参考迄に上記文書を別紙として添付いたします。

 『別紙添付』
▽三月一五日付武田日薬会長発、竹中日歯会長宛書翰
▽三月二四日付竹中日歯会長発、都道府県歯科医師会長あて文書
▽三月二五日付武田日薬会長発、都道府県薬剤師会長あて文書
日薬会発第21号
昭和44年3月25日
都道府県薬剤師会長殿
社団法人日本薬剤師会
会長 武田孝三郎
日歯・日薬協定

処方に関する研究会開催に就て

 日歯、日薬協定処方実施により、歯薬協業の実をあげ、国民保健に貢献されておりますこと、誠に御同慶の至りに存じます。医療保険制度抜本改正を機とし、医薬分業の完全実施が近づいております現況に鑑み、本協定処方の効用が一層発揮されるため、左記により研修会を開催されるよう特段の御配慮をお願い申上げます。

 本件に関しましては、日本歯科医師会から各地区日歯会員あて、研修会開催に協力するよう示達されています。なお、本件につき本会から日本歯科医師会に別紙添付のような文書を以てお願い致しておりますので、念のため申添えます。

 @日歯、日薬会員両者参集し、各地区に於て協定処方内容について研修する機会を持つこと。
A貴会もしくは貴会支部から当該地区日歯会員各位と御相談になり、開催日時、開催場所を決定の上、研修会を開催されるよう御配慮をお願いいたします。 以上

 【参考】
日歯発第一五五三号 昭和44年3月24日
都道府県歯科医師会長殿
日本歯科医師会長
竹中恒夫

 日歯、日薬協定処方に関する地区研修会開催協力方依頼に就て

 昭和四〇年、本会と日本薬剤師会間に於て締結実施された中央歯科協定処方については、漸次歯科薬物使用の充実を志向すると共に、両会の業務連係の円滑化を通じて、国民医療の向上に寄与しつつあります。

 今回、日本薬剤師会から協定処方の効用が一段と発揮されるため、各地区研修会開催方について協力方要請が別紙のようにありましたので、事情の許す限り下記について特段の御配慮を賜わるようお願いいたします。


 昭和四四年四月以降、貴会と同薬剤師会間に於て、中央歯科協定処方の効用のより充実を期するため、十分なる合意を得られるよう各地区両会主催の研修会開催に協力せられたい。

 【参考】昭和44年3月15日
日本歯科医師会
会長 竹中恒夫殿
日本薬剤師会 会長 武田孝三郎

 拝啓、常々薬剤師職能に関し深い御理解を以て御協力賜っておりますこと、会員一同と共に厚く感謝いたしております。かねて、日歯、日薬協定処方実施により。歯薬協調の実をあげ、国民医療に貢献されつつありますこと、誠に御同慶に存ずるものであります。

 しかるところ、医療保険制度抜本改正を機とし、医薬分業の完全実施が近づきつつある現況に鑑み、左記により地区別に、貴会員と当会会員と相互に研修する機会を持ち、協定処方の効用が一層発揮されるよう努めたいと存じますので、左記事項よろしく御配慮をお願いいたします。

 @日歯、日薬会員両者参集し、各地区に於て協定処方内容について研修する機会を持つこと。
 Aこのため、各地区薬剤師会から貴会各地区の各位と開催日時、開会場所を決定するよう御相談申し上げること。
 B貴会から各地区貴会員各位に、右申し出が地区薬剤師会からなされた場合、事情の許す限りこれを受入れ、研修会開催の御協力をお願いいたします。右謹んでお願い申し上げます。 敬具

 (3)分業を阻止する部外者について

 医薬分業は客観情勢から見ても大きく進展して来ていますが、このような動きに反して一部メーカーのセールスマン等で、分業阻止的な行動があると聞き及んでおります。そのような事実があります時は速にその具体的な情報を同盟情報部迄お知らせ頂くようお願い申上げます。これに対して本部で適切な対策により対処したいと考えております。

 (4)地方同盟における活動組織について

 同盟本部に於ては次のような組織にし活動を進めることとなっております。これを参考とされて地方同盟におかれても活動組織をお考え下さるようお願いいたします。なお、特に情報活動にあっては会員全員に徹底するような情報の伝達が肝要と考えられますので、適切、有力な機構で、推進されるようお願いいたします。

日本医薬分業実施推進同盟活動組織 昭和44年2月20日
▽総務部
部長 山崎久利
参与 中村勇司
(部員なし)
▽会計部
部長 岩崎利夫
参与 木原芳男
(部員なし)
▽政治部
部長 喜田三郎
参与 持田光太郎、三輪英嗣、伊藤昌弘。水戸三郎、大村行一、橋口昭二、大場荘弁
(部員五名)
▽広報部
部長 杉本秀義
参与 山益田城、元山正、久保文苗、秋島ミヨ、広芝義賢
(部員八名)
▽情報部
部長 竹内喜一
参与 宮田栄子、手塚善太郎、鹿倉大嗣
(部員九名)

九州薬事新報 昭和44年(1969) 4月20日号

 本年度事業計画と分業対策 理事会並支部連絡協議会 県薬政連評議員会

 福岡県薬剤師会は前月二十六日の代議員会並に総会で決定した、本年度の事業計画推進の具体的検討のため、理事会並に支部連絡協議会を四月十四日県薬会館で開会した。

 午前十一時からの理事会は去る六、七、八の三日間名古屋市において開会した日本薬剤師会第二回学術大会報告の後、本年度の県薬代議員会決定事項と事業推進方策について検討した結果、次のような方針で進むことになった。

 ▼事業計画中の医薬分業について
社保関係については事務的な面と技術的な面とあるが、事務的な面は一応成果をあげており、本年度は技術面の研習に力をそそぐこととし、@メーカーとの懇談会A歯薬合同研修会B病院薬局と協力して調剤技術面の実習C新たに保険薬局の指定を受けた薬剤師の研修会などを実施するが、具体的には各委員会を早急に開催して検討することとなった。なお

 @メーカーとの懇談は三、四年前三回実施したが、現在は情勢も一変しているので新しい観点で更に実施したい。

 B病院薬局を利用しての開局者の実習については受講者側の希望など調査の上、実習の形態、方法などキメ細く検討した上で決定する。

 C一般販売業の薬剤師並に新たに指定を受けた薬剤師の指導については社保委において県薬務課の協力を求めて検討することとなった。これらに関連して従来各種研修会を開いても大体二〇%の出席率であるが、全会員を参加させるための方策或は質的な保険薬局の再検討が必要であるかなど、根本問題からも検討された。なお代議員会で要望された県薬会館建設については、鶴原常務理事を委員長とする準備委員会を設け、諸調査をすすめることとなった。

 午後の支部連絡協議会は四島県薬会長から四月十日自民党医療基本問題調査会小委員会総会で発表された「国民医療対策大綱」の薬事制度の中に、@医薬分業は五年後には全国で実施することを目途とし、必要に応じて公営調剤センターを設けるA新医薬品の開発と安全性確保のため、特許制度の確立、製造承認審査の厳正をはかる、となっているが、これに関連して中央情勢、特に分業に対する日薬の基本方針等について詳細な報告があり、次いで午前の理事会で決定したことについて慎重協議した。

 当日は理事、支部長からも終始活発な意見が出たが、その主なるものは次の通り

 ▽保険薬局標識は約20%の薬局が取付けた程度で誠に低調である。保険薬局を一般薬局薬店と区別する意味からも、本年度は新しい観点から薬局委員会で採りあげて再検討を加え、一般大衆に対するPRなども実施する方向に進めることとする。

 ▽薬剤師会の権威を高めるために日薬、県薬、各支部などは社会に奉仕するような、例えば医薬品の副作用情報提供、食品衛生のモニター、毒物センター的なことなどを実施すべきである。

 ▽県の公害課、消費生活課等に薬剤師を採用するよう運動すべきである。

 ▽最近薬局とタイアップして分業を推進したいと希望する医師があるが、適配条例などのため希望の場所に開局出来ない事例がある。今後分業推進に伴い過渡期的な問題として各地区に起る可能性があるので、県薬としてこれに対処する考え、基準等の研究をして欲しい。

 ▽歯科治療に必要な薬品等は、病院では薬剤部で調製しているが、開業歯科医の場合は開局薬剤師がこれ等製剤部門の技術提供する方向に進めるべきであろう。等々、なお県学薬会長友納理事から、福岡県学校薬剤師会創立十五周年式典(五月十七日開催)参加について各支部に協力を要望した。

 以上で支部連絡協議会を終え、引続き県政治連盟評議員会に切替え、昭和四十三年度の決算を異議なく承認、次期参議院選挙には剤界より正式に坂口徳次郎氏が立候補することに決定したと報告があり、近く参議院解散説もあることなので、間接的には関連性もあり、会費も早期に納入されるよう要望があった。それより同所で、本年度日薬総会で日薬功労賞を受賞した中村里実常務理事のお祝いの小宴が和やかに催された。

 本年度総代会開会準備等 福岡県薬商組 理事・支部長会議

 福岡県医薬品小売商業組合(白木理事長)は四月十七日一時半から県薬会館で、十九名の役員が出席して総代会準備のための理事会を開会した。

 藤野専務理事の司会で先ず白木理事長は中央情勢@再販問題A不当表示防止法の運用基準案B要指示医薬品の取締強化等について報告説明のあと、サロンパスの低マージンについては全商連で交渉の結果、近く小型については新製品を出し是正することになっている。またドリンク剤の販売量の調査の結果、最近は又売れるようになり、最高時の一割減程度であるので、小売業者としては利潤確保商品として考えてよいなどの報告があった。それより総代会開催に関連して四十三年度の決算、事業報告が藤野専務理事並に山手会計理事から行われ、種々協議の結果

 ▼総代会
▽日時 五月二十日十一時
▽場所 博多蔵本ビル二階会議室

 ▽事業計画案
大体前年度同様これを踏襲し@調整事業A組合交渉(場としては安定協)B協業化の研究(具体的には委員会で)C組織の強化(商組意識の高揚)D分業受入れのため地盤確保(再販護持、適配条例の改善等)などに会員の要望(例えば組合交渉は取引条件の改善を主として貰いたい等)を入れて計画する。

 ▽予算案
前年度同様ブロックに主体を置き賦課金は福岡地区(三〇万)筑後地区(二五万)北九州地区(三〇万)筑豊地区(一五万)とする。

 ▽調整規定の再申請
種々再申請について検討したが、全商連でも四十四年度までは認可されることになっている。本県当局としては協業化又積極性を以てやるべきであるとの方針で指導しているが、現段階では、まだまだ必要であるとの声が大であるので運用の面を慎重にすることで申請の方向で進むこととなった。

 次に飯塚橋薬局裁判について、大体勝負はついたと思われるので、この際和解したらとの発言もあったが、地元商組としては筋だけは是非通して頂きたいとの要望であった。その他組合で推奨している白十字紙綿等の販売実績は非常にのびていることが報告された。

 なお当日は特に古賀県議、四島県薬会長も臨席し、古賀氏は適配条例について、土地収用などは基本計画後実施までに十年位の期間があるので、この間条例の悪用はたやすく出来る実情にある。条例の主旨からもこれを阻止する基準を設ける必要があるので、これについては業界一致協力のもとに特別委員会等を設けて原案を作成するようすすめ、四島会長は、再販については近き将来、再販自体の価値が失われることも一面考えられるので、組合としては組合製品等を考慮する必要があるのではないか、などの発言があり、県薬剤師会としても薬業経済特別委員会を設けたいと考えているので、本組合からもこれら委員会に参加し充分な検討を加えて貰いたいとの要望があった。当日は各理事から種々前向きの意見が出され、終始活発な雰囲気のうちに終了した。なお、活発な質疑応答があった。

 当日上程予定の議案は六件であったが、緊急追加議題として「この会の名称変更」が提案され、各議案審議に先だち活発な討議がくり広げられた。その論点は、全国病院薬剤部長会議というこの会場に従来より部長以外の多数の薬剤医師が出席することが常であり本日も同様である。そこで名称を「病院薬学協議会(仮称)」のように改める必要があるとの提案理由であった。これに対し「病院管理部会との関連もあるので一考を要する」などの意見もあったが、今後更に薬剤学委員会で検討する際の参考として可否の採決を行うこととなり、採決の結果は「変更の必要あり」とした者約七〇%、「現状のままでよい」とした者約三〇%であった。当日上程された議案は追加議案とも都合七件で、何れも提案理由の説明と質疑応答の後採択と決定した。

 ▽議案

 (1)全国薬剤部長会議々決事項の具体化推進のための委員会を設ける件
本議案は大阪厚生年金病院・浅田洸氏から提案された薬学部の学位制についてほとんどの薬学部が、学部が二学科、三学科制を採用している。病院薬剤師としては薬剤師免許証を持つものは全べて同一と考えるべきであるが、各科に於ける病院薬剤師に関しての教育方針をカリキュラムに如何に採り入れ編成されているかを知ることは卒業生の知識、技術の範囲を或程度察知することになるので、カリキュラムの実態調査の必要が認められ採択となった。

 (2)顆粒などの造粒製剤の規格名称統一を要望する件
本件は日大板橋病院・幸保文治、日経診療所・国田初男両氏の共同提案である。日本薬局方には顆粒剤や散剤の規格は規定されているが、粉末薬品と混合される所謂細粒剤などの規格名称は規定されていない。粒径、粒度分布、表示などがまちまちであるので、これら造粒粉末製剤について表示と内容が一致するよう規格と名称の統一を検討すべきである。

 (3)注射剤の表示に関する要望の件
本議案は新潟大学病院・金久保好男と山口大学病院・神代昭の両氏の共同提案であるが、薬局及び病棟の管理を明瞭ならしめ、常にその品質を保証しようとする趣旨よりの提案である。注射剤は特に変質し易く、経日変化をさけるためには製造順に使用されることが望ましい。各包装単位毎に新旧を区別するだけでなく各注射剤個々の容器にも製造年月日の記載が必要である。ロット番号と有効期限は外箱のみでなく内箱にも明示すべきであると主張すべく又その実現に努むべきである。

 (4)調剤用天秤と計量器検定検査規則の関連を調査する件
本件は済生会中央病院・宮家淳氏提案であるが、従来天秤は処方調剤上不都合なこともなく使用していた処、昭和43年1月1日より新たに実施された「計量器検定検査規則」による検定公表(秤量の?迄は感量‐最少目盛‐の?)の四〇倍の量より秤量までを使用範囲とされていて、目盛板に表記しなければならない。範囲は二?から一〇〇?迄であるが、院外処方箋調査によると二?以下の表示を必要とするものが一七〜一八%あるため、薬剤師の実務上支障のないよう新計量器検定検査規則などを調査検討して善処することにすべきである。

 (5)日本薬局方外医薬品に日局に定める崩壊試験法を適用するよう要望する件
本議案は熊本大学病院からの提案であるが、近来調剤に於ける錠剤の使用頻度は非常に大であり、日本薬局方にはその崩壊試験法が規定されておるが、局方外の一般医薬品については統一された規格はない。昨年来、福岡県病薬及び熊大病院薬剤部で数百種類の錠剤(圧縮錠糖衣錠、腸溶用)につき崩壊性を試験した処、諸規格に合致せぬものが相当数発見された。又外国製品は輸送中に変化を来すと考えられるものもあった。錠剤が安心して使用され又その効果を遺憾なく発揮し得るよう品質の確保のため日本薬局法を局方外医薬品にも適用するよう要望があったが、これについては日局の試験法の改訂作業を現在行っているので、作業終了後を待って検討した方がよいというメーカー側の意向もあったが、品質の確保を図るには早急に検討すべきであるとして採択することになった。

 (6)全国病院薬剤部長会議の名称変更の件
本議案は国立大阪病院・正井英一氏が緊急追加議案として提出したもので、数年前から問題となっていたものである。現在の名称では部長でないと参加できないのではないか、一般病診薬剤師は参加しにくいこと、又最近メーカー関係者の参加も増加しつつあるので、この際関係者総べてが参加し易くするため、又今が改称するのに適当な時期だとも思われる。当日出席者の約七〇%の多数賛成もあったので名称変更の問題は薬剤学委員会に於て慎重検討することになった。

画像  同盟情報部速報 第2号 昭和44年4月18日(転載)

 日本医薬分業実施推進同盟情報部

 (1)西村調査会抜本改正案発表

 四月十日西村調査会(自民党医療基本問題調査会)は、前会長鈴木氏試案にそって「国民医療対策大綱案」を発表しました。次いで四月十七日の同会総会において、これを調査会案として承認しました。 このように年次計画が示され、五ケ年で完全実施するとの表現は、我々薬剤師の懸案解決に一歩近づいたものと考えられます。

 今後、この大綱は、自民党の政務調査会、総務会を径て、厚生省で事務的に法文化の手続きが取られ、これを関係審議会にかけ、国会提出の運びになるわけであります。この事務的な段階において、多くの問題について、我々の要求を強力に推進して行かなければなりません。会員各位の一層のご支援をお願いいたします。

 健保特例法もようやく両審議会(社会保険、社会保障制度)の答申を得て、去る四月六日国会に提出されました。この法案は、現行の特例法をさらに二年間延長しようというもので、二年前の特例法成立の経過からみても、今国会最大の焦点の一つとなることは確実であります。この動向との関連も十分に把握していかなければなりません。分業同盟は、これら政治情勢を睨み合はせ、遺漏のない準備体制の完備を一層推進したいと考えております。

 (2)日医事業計画に医薬分離を盛り込む

 四月一日、日本医師会は代議員会を開催、新年度事業計画等を議決しましたが事業計画に医薬分離の確立と調剤センターの設立なる項目が盛られています。その実施細目については、まだ明白にされていませんが医薬分業に関する項目が、日医の事業計画に採入れられたことは、特筆すべきことと考えられます。次に関係個所を抜粋してご紹介いたします。

 5、医療経済体系の確立 @自由経済社会における診療報酬制度の確立‐技術評価の国際水準化‐ A現物給付、出来高払の堅持 B診療以外の医師活動に対する報酬制度の確立 C入院料の適正化と差額ベッドの検討 D医薬分離の確立と調剤センターの設立 E病院、診療所経営の合理化 F薬価基準(バルクライン)の検討 G課税対策

 (3)衆院社労委で厚生大臣 分業推進の決意を表明

 四月三日、衆院社労委において西風議員(社)の質問に答えて、斉藤厚生大臣および坂元薬務局長は、医薬分業を短期間に実現する決意を表明しました。質疑応答の要約をお知らせいたします。

 西風議員 これからの新しい医療制度を考えていく上で、薬剤師と医師が対等であるというようなことを考えるのは、本末転倒であるという発言がある。また薬務局長は、薬剤師や薬局に対する国民の評価が大きく変り、薬剤師と薬局の倫理が向上しなければ分業ができないとされている。これらについての見解を問う。

 坂元薬務局長 たとえば薬局が一般的な傾向として物品販売業的なやり方におちついてしまっていることがよくいわれている。そこで、医薬分業を本格的にやっていくには、薬剤師、薬局は真に国民の信頼を受けるだけの医療担当者としての本来の任務の自覚を持つべきである。それから倫理の向上も、ほぼ同じ考え方からでてくる。専門職員による職能の分化が医薬分業といわれている。国民の一部にあるような薬剤師、薬局に対する不信感を回復するため、薬剤師会のような関係団体と、PRなり何なりをやっていきながら、同時に薬剤師、薬局も自覚と責任を感ずるべきだと考えている。

 西風議員 医者と薬剤師は薬についてどっちが詳しいか。薬についてはお医者よりはるかに薬剤師のほうが学問からいっても、経験からいっても造詣が深い。ところが、薬剤師が本来修めた学問と経験によって業を成り立たせていくことができないというような、医療界におけるたいへんなアンバランスは、別に原因があって、こうなったと思う。見解を問う。

 坂元薬務局長 医師と薬剤師は、それぞれの立場において、見方は違い、扱い方はたとえ違っても、薬の問題についての専門家であることは、同様である。現在の薬剤師に対する国民の評価あるいは社会的な地位が、医師に比べて非常に低いことは、確かに一部にあろう、この原因は、いろいろな現在の制度、仕組み、そういうものにも大きな原因があろう。同時に薬剤師、薬局に、社会的任務担当の自覚にやや欠けている面もあろうと考える。医薬分業推進には、現在の制度、仕組み、たてまえを改善していくことが大きな柱となると同時に、医療担当者たる自覚なり責務を真に認識できる雰囲気を早急につくり上げていくことを考えている。

 西風議員 何年を目標にして医薬分業をやるか、そのための具体的なプログラムを伺いたい。

 斉藤厚生大臣 医薬分業は抜本改正の一つの骨子と考えている。しかし、法律をつくって直ちにというわけにはいかぬ。目標を示して最少限でも三年くらいはかかるであろうが、しかし、実際面として、きょうの日からいえば五年位が最終の目的であろうか。できればもっと早く縮めたい。具体的な方策としては、あるいは薬剤師関係の団体でも、いまご承知のように研究してもらっているが、協業というような事柄で一つのセンターをつくってもらうというようなことも一つの方策と考えている。

 西風議員 もっと早くやらねば健康保険の赤字がなくならない。七十年の前半、おそくも七一〜二年ぐらいまでにはやってもらう必要がある。予めの準備はどのようにやるのか。同時に薬剤師会を中心にして、学術専門団体、あるいは広く国民的な意見を聞く意思があるか。

 坂元薬務局長 分業推進方策については、従来からいろいろな方面の意見を聞き厚生省内部でも検討を進めている。役所側で一つの線を出して、それに従って引っぱっていくことは、問題である。基本的には関係団体、それから広く国民の英知を十分に集めながら、一つのおのずからの結論を出していくべきであろう。日本薬剤師会等が従来、一つの考え方をまとめそれに基づいて、いま逐次実施できる地域から実行しており、片方また日本医師会においてもしかりである。自民党の基本的考え方も近く明らかになるので、全ての関係先の意見によって国民的世論として推進していく気運をつくりあげるよう努力している。

 西風議員 先進国のみならず後進国もやっている医薬分業が、戦後二十年間旗じるしとされながらできなかった。今度は、どういう圧力があっても、一定の計画に基づいて、医薬分業をできるだけ短い期間でやる意志があるかどうか。医師会と薬剤師会、あるいはその他若干の関係団体を説得して、これら団体の意見一致した姿において、分業体制を整えるための積極的な、政治的な努力をやる意志があるか。広く大衆と専門家、学識経験者に討議を求め、問題によっては大幅修正するというような案を出す必要がある。

 斉藤厚生大臣 できるだけ短い期間にやる意志を十分持っている。厚生省案をたたき台として、よい意見を出してもらいたい。

 坂元薬務局長 広く国民全般に、この問題についての認識を高め素地をつくる努力を都道府県を通じてやって来た。役所案をつくりつつあるが、各階層の意見を聞いて進めていきたい。

 西風議員 幾ら団体が大きくても、その要求が国民医療にとって正義の立場でなければ、そういう意見はしりぞけるという気概に燃えて、この医薬分業問題をやっていただきたい。厚生大臣、医薬分業についてこの際あらためて決意を明らかにしていただきたい。事務局長、そういう作業をするについては、できるだけ私どもに報告してもらいたい。

 斉藤厚生大臣 医薬分業は熱意をもってやりたいと思っている。

 〔要指示薬について〕

 なおこれに次いで、要指示医薬品について質疑応答がありました。

 西風議員 要指示薬について、薬局、国民、医師等に対する十分な指導、啓発、調整を行なわないで、薬局だけに一方的なしわよせをしているのではないか。

 坂元薬務局長 法律の趣旨に従った取り扱い販売方法を守ってもらうよう、従来から指導して来たが、依然として、一部で無視されているので、通達を出した。

 西風議員 要指示薬を選定する機関は何か。その構成はどういう人か。

 坂元薬務局長 専門家の意見、過去の実例をもとにして、厚生大臣が指定する。

 西風議員 学識経験者だけでなく、利害関係者を含めた協議会のようなもので話し合いできめるべきと考える。四十九条についても検討を望む。指定品目について洗い直し、できたら品目を減らすことを真劍に検討せよ。大阪府薬から出した要指示薬等に関する上申書にすみやかに返事をされたい。

 斉藤厚生大臣 ご意見の三点、ごもっともであるのでできるだけご趣旨にそうよう、検討します。

 坂元薬務局長 特別な機関をもうけることについて、何らかの形で、指定する際の一つのたてまえを明確にしてまいりたい。品目の洗い直しは、関係団体から要望されていて検討を進めているが過去の事情から一挙にはむつかしい鋭意検討を進める。

 (4)竹中日歯会長、日薬総会祝辞で 分業推進を強調

 四月六日、名古屋市で開催の日薬総会に出席された竹中日歯会長は、分業を推進する熱意のこもった祝辞を行ない、三〇〇名を越える出席会員に深い感銘を与えられました。次にその要旨をお知らせいたします。

 日歯第23回総会における竹中日歯会長祝辞要旨

 本日総会へお伺いし皆様のお顔色を拝見して、非常な決意をもっておられることを拝察した。前回の大会で、私の考えを述べたので、大方はご承知と思い省略させてもらうが要は、医薬分業をただ薬剤師諸君の利潤追求の方法として考えているのでなく、人命尊重の立場、医学薬学の進歩が人類の幸福に結びつくという高い次元にたって、我々は、医薬分業実現を、皆さまとともに叫んでいる。

 医薬分業は文化国家の宿命であり、宿題である。薬剤師の生れたときから、分業は行なえるはずであったが、諸条件が揃わず、今日まで遅れている。医療保険の抜本改正によって、分業が考えられている。たしかに分業は医療保険に関係はあるが、医療保険がどうであれ、分業は当然行なわれなければならぬと確信している。

 抜本改正は二年遅れる様相であるが、何もその結論を待つ必要はない。どうか世論を喚起して、即刻行なうよう推進されたい。日歯、日薬協定処方については、日薬側より、それに関する打合会を行なうようお話のあった時は、喜んで話し合いをするよう、全国に通知してある。尊い使命の達成が一日も早いことをお願いする。

 各団体が、自分のことだけをいっていてはいけない。友好団体は、各団体の主張を十分聞き入れ、それを国民に、国会に訴えなければならない。それでなければ、ものは成就しないと思う。中医協でもそのことが言える。他団体への内政干渉はゆるされない。調和を求めて、その中で自巳の立場を進めたいと考えているので、この点皆様方のご支援をお願いする。