通 史 昭和43年(1968) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和43年(1968) 12月10日号

 時局対策懇談会 九州・四国・中国ブロック 薬剤師会(広島市で)

 九州・四国・中国ブロック薬剤師会では分業問題に対し率先して陣頭に立ち、分業確立に挺身せんがため、又ここに猛運動を展開せんがため去月十三日ブロックの「時局対策懇談会」を広島県薬業会館ホール(広島市富士見町)に於て開催し、真摯な懇談を行った。九州七県、四国四県、中国五県から県薬会長役員など三十九名が出席した。

 一時半開会、先ず和田地元県薬会長は、剤界の危機突破のため全国に魁がけして本会を広島で開催して頂いたことを感謝致します。現在医薬分業、要指示薬、大衆薬、再販問題など重要課題が山積していますが、薬剤師の責務に於て解決せねばならぬ問題であります。本日はこれ等の問題について充分に論議検討され打開対策を立てられんことをお願いします。特に武見日医会長の暴想は断じて許すべきでなく、茲に薬剤師は一致団結して職能護持に邁進すべきであり、忌憚のないご意見を交換されてこの大会を有意義且つ全国薬剤師総決起の先陣として頂きたいと思います。と挨拶し、次いで座長団として九州地区ブロック長(福岡県=四島久)四国地区同(高知県=植田香苗)中国地区同(岡山県=安達貰一)の三氏を選出した。

 懇談会は終始熱気溢れる雰囲気の裡に討議され、決議文を日薬に送付すると共に日薬顧問高野一夫氏宛に一層のご努力とご高配を依頼する旨打電した。なお、当日は大衆薬及び要指示薬の販売規制問題について協議し、特に品目の洗い直しなどは日薬の意見を聞いて行うべきであるとして、この旨日薬に申入れることとなった。再販制度の護持についても意見の一致を見た。当日決議した武田日薬会長宛ての決議文は次の通り。

 決議文

 時局、真に重大な秋に当り九州、四国、中国ブロックの薬剤師は率先陣頭に立ち、完全医薬分業確立に挺身することを誓うと共に、日薬会長に対し次の事項を要望することを決議した。

 一、諸般の情勢を勘案し、勇気を持って積極的に基本方針を推進すべきである。
 一、国会対策要員として、夫々担当者を決め積極的に活動すべきである。
 一、厚生省対策を強化すべきである。
 一、大衆啓蒙宣伝のための専門職員を置くべきである。
 一、薬学者の奮起と積極的協力を要請すべきである。
 一、評論家、経済学者等の協力を要請し、大衆宣伝に努力すべきである。
 一、地方に対する指示連絡を強化すべきである。
   なお、吾々三ブロックは次の様な運動を更に一段と強化することを申し合せた。
 一、国会対策としては地元出身議員に対し文書、面接その他あらゆる方法を講じて積極果敢に陳情運動を展開する。
 一、地区毎に三師の協調を積極化し、相互理解のもとに、具体的に分業体勢を推進する。
 一、高野一夫先生に対しより一層のご努力をお願いする電報を発する。

 なお、当日九州地区よりの出席者は次の十氏である。
福岡県=四島久(県薬会長)▽佐賀県=武田資義(会長)高取茂雄、小笠原喜次郎(理事)▽長崎県=横田武(副会長)▽熊本県=下田正(副会長)▽大分県=杉原剛(会長)▽宮崎県=古賀忠雄(日薬代議員)▽鹿児島県=山村実治(会長)川野郁郎(理事)

 新厚相に 斉藤昇氏

 去月三十日の佐藤内閣改造人事で厚生大臣となった斉藤昇氏三重県出身六十五才は参院議員であるが、内務次官、警視総監、初代国警本部長官、警察庁長官などというイカメしい経歴の官僚である。同氏は東大農学部を卒業して又法学部に入学したと云う回り道した一寸変った人である。去る三十年参院三重地区より政界入りして以来四期連続当選、三十六年には池田内閣の運輸相に起用され、今日では参院自民党の幹事長を再度勤めている。厚生行政には素人と言えようが政治家としての手腕が期待されている。

 自民党 鈴木医療問題調査会長更迭

 佐藤自民党総裁三選、佐藤内閣の改造人事に伴い自民党医療基本問題調査会長にあった鈴木善幸氏は総務会長に就任、同民は前会長として佐藤首相、斉藤厚相、根本政調会長と会い、医療保険の抜本改正案作成迄の段取りについて協議し、その結果、後任の調査会長には副会長の西村英一氏を当てることを決め、医療抜本改正の党内審議は従来通り小委員会を中心に進めて今月中旬迄に自民党案を纏めることに決定した。

 国保の見透し暗し 福薬国保 理事会

 福岡県薬剤師国民健康保険組合は十二月四日一時半から第42回理事会を薬剤師会館で開会した。当日は理事一名欠席のみで全役員出席、工藤常務理事司会して@医療保険抜本改正についてA事業運営状況についてB昭和四十四年度国保事業計画についてなどを検討した。

 医療保険制度の抜本改正に関連して特に国保の今後の見透しについては暗く、諸般の情勢から明四十四年度事業計画には抜本改正は間に合わず、医療費も高騰する見透しであることが報告された。

 次に本年度の運営情況が詳細に説明され、本年度保険給付費の伸び率約二五%から推定される不足分の財政措置については、繰越金その他を流用するとしても明年度の運営については、このままで運営することは困難と考えられるので、保険料の引上げ或は給付率の引下げなどを考慮する必要があり、明年一月本組合全員に対しアンケートを実施、その結果によって検討することとなった。因に本年度の本県三師国保の保険料は左記のとおりである。
 ▽医師国保
組合員二、二〇〇円、従業員九〇〇円、家族六〇〇円
 ▽歯科医師国保
組合員約二、五〇〇円、従業員六〇〇円、家族六〇〇円
 ▽薬剤師国保
組合員一、三〇〇円、その他七〇〇円

 要指示薬等懇談 九州・山口地区 各県薬、県商 各県薬務当局

 九州山口薬剤師会(四島会長)は、先に厚生省より通達された要指示薬の取扱い強化について、各県まちまちの受入れが行われる可能性もあるので、その取締りについては九州山口各県当局の統一を要望したいとの意向から本月二日一時半から鹿児島市磯の水明山蒼で各県薬務課長並に各県薬剤師会長、各県薬商組理事長が一堂に会して懇談会を開催した。

 当日は各県から薬務課長並に会長は全県出席、理事長は佐賀県が欠席、@要指示の取扱いについてA大衆保険薬についてBその他について懇談した。(詳細次号掲載)

 第一製薬 年末賞与妥結

 第一製薬では昭和43年度末賞与について組合との間に折衝中であったが、十一月二十八日「組合員一人当り平均一四三、〇〇〇円(一年以上)」に、相互納得裡に妥結した。

 先の九州山口薬学大会 反省会 福岡県薬

 福岡県薬剤師会は十月本県薬の担当で第36回九州山口薬学大会を久留米市に開会、その後、収支決算など行ったので、今後の同大会運営を一層向上させるため、次期開催県熊本県薬代表者を招いて(下田副会長出席)各部会等の関係幹部による反省会を十一月二十七日三時から福岡市内「まるべに」で開催した。

 開会先ず四島県薬会長は、大会が盛況裡に終ったことを感謝するとともに、個々については多少問題もあったようで、今後改善するためにもいろいろ反省したいとあいさつ、大会の概況報告、ついで各部会毎の反省所感など詳細な発表があった。各部会とも細部についてはそれぞれ問題点もあったが大体順調であり、特に活発で充実したのが公衆衛生鑑識部会であったことが報告され、又本会議への会員動員については、今後各部会共善処方が要望され、殊に女子薬部会の在り方について特別に別個に開くことの是否については、もっと高処から検討すべきであるとの意見が強く、是非必要であるならば会期外に開いて貰いたいなどの声もあった。

 福岡県安定協 十一月例会

 福岡県安定協議会十一月例会を二十五日三時から忘年会を兼ね、福岡市内「とり市」で開会した。当日はメーカー六社、家庭薬メーカー一社、卸三社、小売八氏が出席、小売側の当番で白木県薬商組理事長が議長となり@各地区情況報告Aミルクの価格についてB要指示薬取締り強化についてなどを協議、ミルクの価格問題については当日乳業メーカーが出席していなかったため追て別個に話合うこととなった。

 要指示薬については九州各県の取扱いの強化について情報を交換したが、各県まちまちのようであるため、十二月二日鹿児島市において九州山口各県薬務課長、各県薬会長並に同商組理事長の懇談会が開かれるので、その際取締りに対する当面の問題並に根本的対策との二段がまえの対処が是非必要だと考えられるので、この機会に各県の統一をはかりたいと白木理事長から報告説明がなされ、又メーカー、卸のこれに対する意見などが開陳された。十二月例会は休むこととし、明年一月からは定例日を二十四日に変更することを決め、それより同所で和やかな忘年会が催された。

 支部別保険調剤調査表 昭和43年9月分 福岡県薬剤師会

画像

九州薬事新報 昭和43年(1968) 12月20日号

 明年一月一日実施 薬価基準全面改正 平均約五・六%引下げ

 厚生省は薬価基準の全面改正を明年一月一日から実施することとし十一月三十日付告示第四七二号で新薬価を公布した。

 今回の改正は昨年の中央社会保険医療協議会の建議に基づき本年二月実施した薬価調査によるもので、医療機関向販売業者を対象として全品目につきその販売価格、販売数量を調査したものである。

今回の収載総数は六、八七四品目で、その内訳けは内用薬三、一三四品目、注射薬二、七三〇品目、外用薬八〇八品目、歯科用薬二〇二品目である。なお本調査で調査報告に記入されず、医療機関に販売されていない医薬品が約三四〇品目あることが判明したので、これ等の品目は収載せず、経過措置として六ヶ月間(四十四年六月末日迄)従来通りの薬価で使用することを規定している。

 改正薬価は本年二月の調査価格を基本として従前と同様の方法、九〇%パルクライン方式により算定したもので、全品目の約六〇%が値下りを示しているが、局方品を主体とした基本的な薬剤約三〇〇品目は値上りしており、放射性医薬品及びワクチン血清類の約二、五〇〇品目は現行薬価と変わりはない。その結果平均五・六%の値下りとなったこの値下りは年間約三〇〇億円に相当し総医療費の約二%になるものと予想される。

 新薬価基準中の繁用医薬品(福岡県薬剤師会が同県における調査)価格をここに記載する。次の通り 繁用薬品価格
エリスロマイシン(一〇〇r)三五、〇〇円
アルビオシンT カプセル(二五〇r)五七、〇〇円
シグママイシン カプセル(二五〇r)五七、〇〇円
クロタオン(二五〇r)五七、〇〇円
レダマイシン(一五〇r)五五、〇〇円
ペニシリンV(二〇万位)二三、〇〇円
アクロマイシロップ(二五r)四、八〇円
クロマイ液(三一、二五r)七、六〇円
セデス末一三、〇〇円
クロルプロマジン散(一〇%)三七、八〇円
ブチロン 一二、七〇円
ボンタール(二五〇r)一九、九〇円
カルパマゼピン テグレトール(フジサワ)(二〇〇r)二五、〇〇円
キョウリンAP2 四三、〇〇円
ビタノイリン50 三六、七〇円
ビタソジン 一五、五〇円
アリナミンF(二五r)一一、八〇円
ビオタミン(二五r)一一、〇〇円
ベストン(二五r)一〇、二〇円
ハイシー顆粒 五、二〇円
アドナー(AC‐17)散(一%)一四、七〇円
フィトナジオンカチーフN(K1五r)三七、〇〇円
トランサミンカプセル(二五r)二八、二〇円
クロルジアゼポキサイト(コントール、バランス)
メプロバメート(アトラキシン、ハーモニン)(二〇〇r)五、三〇円
ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)(五r)二七、八〇円
タンデリール錠(一〇〇r)三一、〇〇円
キモプシン腸溶錠 三八、〇〇円
パラミジンカプセル(三〇〇r)三二、〇〇円
アクロマイトローチ(一五r)一四、七〇円
オラドール口中錠(〇、五r)六、四〇円
アズノール錠(二r)一七、四〇円
アレルギン錠(二r)二、〇〇円
パロチン錠(五r)一三、五〇円
同 (一〇r)二六、四〇円
テトラサイクリン(二五〇r)五〇、〇〇円
同 (五〇r)一三、五〇円
クロラムフェニコール(二五〇r)五〇、〇〇円
同 (五〇r)一三、五〇円

 福岡県薬 D1委員会

 福岡県薬剤師会はD1委員会(委員長柴田伊津郎氏)を十二月十二日午後一時から九大病院薬剤部図書室において開会、本委員会の運営並に日薬安全性委員会よりの連絡事項などについて協議した。当日の出席者は柴田伊津郎、堀岡正義、梅津剛吉、是永重剛(代)古賀ヒサ、荒巻善之助、西元寺清継の七氏であった。

 ▽議題
 (1)日薬安全性情報委員会よりの連絡事項について
日薬の当該委員会より大衆薬のうち、主として解熱鎮痛剤についての副作用の情報収集のため、地区組織の結成およびその活動状況についての報告を求めて来ているので、この件について本県の組織及び運営方法などについて協議した結果、次のことを決定した。
 @単に解熱鎮痛剤のみに限定せず、その他の事例についても調査を行う。
 A副作用の範囲は能書記載のものおよび既知のものについても収集する。
 B報告者に対する謝礼は当分の間は考えず、収集の状況によって将来考慮する。
 C県全体で一五薬局程度に依頼するのが適当と思われるが差当り次の薬局に調査を依頼したい。
柴田薬局、神谷薬局、三渕薬局、九州薬品、西元寺清継、藤田胖、白木太一郎、岩永栄次、成沢礼子、久留米大学薬品部、荒巻善之助、青山宏子、峰麗子、九大恵愛団薬局
 D第一期を昭和四十四年三月末までとし、毎月十日(二月十日より)必着で報告書の提出を求める、報告事項がない場合でもその旨必ず報告してもらうこととする。
 E第一期分として報告書十部づつ、切手つき封筒三枚同封の上依頼書発送のこと。

 (2)D1委員会の運営について
 @各薬局に是非備えておきたいと思われる最小限の資料(図書)のリストを作成して配布する。
 A地区薬剤師会備えつけ資料(図書)も同じ。
 B日薬会誌に新発売医薬品の紹介らんを設けるよう日薬に要望する。
 C地区病薬の末端と開局者との連結を緊密にできるよう、各地区毎に推進すること。

 福岡県衛生部主催 要指示薬品 取扱講習会

 福岡県衛生部はさきに厚生省薬務局長から通達された要指示医薬品の取扱いに関する講習会を県下を七回に分けて開催し、趣旨の徹底をはかった。

 まず十二月五日(木)一時からの全県下メーカー関係及び卸売業者対象の講習会では、特に卸業者に対しては伝票類に対する協力を要望したが、卸としては、協力することにやぶさかではないが大変なことであるので暫らく時間的な余裕を申出た。

 小売側に対する説明は、左記により開催され、各会場とも約90%の出席率であったが、各会場とも「薬剤師は薬の専門家であるにもかかわらず実際には売るなということではないか」との声もしばしばで指導に抵抗を示し、殊に北九州市八幡区の会場では、要指示とは死文に等しく、この通達は、まずそのためのパイプを敷いてから実施すべきであり、甚だしく片手落であると反発し、十二月十四日現在の在庫数量の記載などは保留、実施を延期することを申合せた模様である。

画像  県警察本部の要請 シンナーなど 販売自主規制

 少年のシンナー、ボンドによる薬物乱用事故は今や大きな社会問題となっているが、本年十月末現在において全国で補導したシンナー乱用少年は十六、〇二〇名にのぼり、これがため死亡した少年も五五名に達している。又福岡県においても既に一二六名の少年を補導し、昨年同期の六倍にも増加しており誠に憂慮すべき実情に達している。

 この様なことからシンナー等が不必要な者に入手されることを防止するため警察庁では本年九月厚生省、通産省、文部省、総理府青少年対策本部等の各関係省と共にシンナー、ボンド等の製造販売関係団体(日本薬剤師会を含む)に対し左記の「販売自主規制」について協力を要請し、各団体共了承、依って福岡県警察本部においても本部長の名により県下の各関係団体に協力方の要請が十一月三十日付の書面で到来している。県薬としては販売関係のある会員には「販売自主規制」に充分留意して今後取扱って貰いたいと切に希望している。

 シンナー等販売の自主規制内容
(1)二〇才未満の者には次の場合を除き販売しない。
 @工作用として担任教師の発行する証明書を持参した者
 A業務用として雇用主等の発行する証明書を持参した者
(2)二〇才以上の者であっても業務上、その他正当な用途であることが明かな場合以外には販売しない。
(3)前記により販売する場合においても購入者の住所氏名を確認した上で販売する。
(4)販売の相手方に対しては有害性について説明するとともに乱用防止のため厳重に管理することについて注意を喚起する。



 福岡市薬業界の いろいろと 総合宴会

 福岡市の薬業界は小売薬業者の二世(薬業を継ぐ場合)が結婚をした場合、業界こぞってそれを祝福して祝賀会を開催しているが、この程結婚されたサイタ薬局斉田和夫氏二男浩平氏(武田食品叶H添課勤務、薬剤師)と直子さん、塚田薬局塚田豊氏の二男益生氏(叶口屋勤務)と靖子さん(薬剤師)の二組のカップルを祝福するとともに十二年間薬剤師会事務所に勤務し、十二月退職する尾本アイ氏の送別並に市薬業者の忘年会をも兼ねて十日五時から市内三鷹ホールにおいて合同パーティーを開催した。当日は県当局、小売業者、勤務薬剤師、卸、メーカー等から百余名が参加して、先ず世話人のあいさつ、新郎新婦の紹介、記念品の贈呈、来賓祝辞、祝電披露、謝辞などがあって開宴、折柄の暗い業界の雰囲気を吹き飛ばして和やかな盛大な行事が行われた。

 挾子
 ▼ 何の会合をやっても出席率の悪いのが薬剤師会員であるが、福岡県下の要指示薬品の取締りに関する説明会には各会場とも出席良好で、平均すれば90%位になるという、さすがに関心の深いことを示した。
 ▼ 薬業界に対する世論のきびしさもさることながら、いつもまさかと思っているがそれが本当になる例が甚だ多い、アンプル問題、再販問題、今回の要指示問題といい、よい例である。一部業者の販売姿勢の悪さに起因するとはいえ、も少し根本的に考え直さねばならないのではなかろうか。対内的には自らの自覚を、対外的には正しい要求をと……。

 支部別保険調剤調査表 昭和43年10月分 福岡県薬剤師会

画像

 福岡県薬 支部連絡協議会 医薬分業実施推進同盟結成

 福岡県薬剤師会は支部連絡協議会を十一月十一日午後一時半から県薬会館で開会、中央情勢、九州山口薬学大会の概況等の報告を行い、引続いて県医薬分業実施推進同盟の結成に移り、本会を直に創立総会に切り替えて規約その他を決定した。当日は二四支部中二〇支部出席、工藤専務理事司会して左記報告が行われた。

 (1)第36回九州山口薬学大会について
大会の概況が説明され、参加会員は延べ二千人、県内県外ほぼ同数の出席であり新しい機構による運営が成功の素因であったことが報告され、県会員の大会協力費については、不参加会員にも大会誌の配布を行うことになっていたが、出席が予想以上であったため、大会誌の不足分については会誌の分だけ各支部に返還することになった。

 (2)薬と健康の週間について
厚生大臣賞一名、県知事賞十一名が受賞、「薬と健康展」は福岡、大牟田両支部が実施、環境衛生調査は九支部十八地区で交通公害大気汚染調査を実施した。

 (3)本年度薬学講習会
十一月一日福岡会場が一二四名出席、八日小倉会場が一二六名出席で、昨年と出席数は殆んど変りないが若い薬剤師の出席が増加したこと、受講態度が真面目になったことなどが報告された。

 福岡市薬 部会長会

 福岡市薬剤師会は十二日二時から県薬会館で部会長会を開会、県薬支部連絡協議会報告後、同盟結成に伴う会費徴集などについて協議した。

 先ず波多江会長は、前日開会された福岡県薬支部連絡協議会の報告として@久留米市における薬学大会A薬と健康週間行事B薬学講習会C薬理学講習会D厚生省の薬価調査E薬務課長諸氏の昇進並に四島県薬会長受賞などの祝賀会報告を行ない、薬学大会協賛費のうち大会誌不足分に対する県薬よりの還付金については個人に返還せず支部の費用に当てることを決定した。

 次に四島県薬会長から中央情勢、本県同盟の結成について詳細な報告があり、「この機を逸すれば薬局業も医師に従属せざるを得ないこととなり、医薬分業の言葉など二度と聞かれなくなるであろう、武見医師会長とは対決するが、地方においては良識ある医師も多く医師会と仲良く話合って推進されたい」との要望があった。

 市薬では同盟の会費は前回の部会長会で決定した通り全会員月千円徴集、県同盟対策費に当てることとなり、徴集困難な部会へは幹部が、実情を認識して貰うよう説得に出向くこととなった。次に藤田副会長から▽保険薬局標識の追加申込について▽市医師会報十月号に保険薬局並に標識のPR記事掲載▽歯科医師への市薬保険薬局一覧表の配布などについての説明があった。それより臨席の県薬務課係員から薬価調査についての説明、次に白木理事長から商組の現況報告があって散会した。

 公正競争規約など 福岡県薬商組 理事会

 福岡県医薬品小売商業組合は十一月七日午後一時から県薬会館で理事会を開会、@調整規程認可申請の経過報告A各ブロックの状況交換B公正競争規約の研究その他について協議した。

 当日は三十名の役員中二十三名が出席、藤野専務理事の司会で先ず白木理事長は、久留米市における薬学大会商組代表者会の報告並に現在種々論議されている公正競争規約についての現況などについて述べ、議事に入った。

 (1)調整規程認可申請その後の経過報告
本年度総代会の決議で申請することになっていたが同規程は自主的に廃止の方向に向い、協業の面に力を入れるべきであるとの意向でのびていたが、去る七月真性が受理された。その内容は七月一日認可された全商連の規程と同様である。

 (2)各ブロック情況報告
鉄道弘済会のミルクの価格、久留米の店頭吊りビラ、北九州大型店の時間を切っての制度品の値くずし並に館内放送での二重価格広告、ミルクの価格などが地区毎に報告され、その対策について検討した。

 (3)再販と公正競争規約
標記については白木理事長から現況につき説明、全商連では吾々の努力の結果再販は護持される見透しではあるが、情勢はなおきびしく、再販が公正競争規約がなくても護持出来るならば採り上げる必要はないが、然し必要な情勢になった際の準備のため、同規約の研究はすすめるべきだとの結論であることが報告され、当日は公正取引委員会福岡事務局所長(ほか一名)の臨席を求めて、公正規約について種々質問したが同規約は不当景品不当表示を中心としたもので、景品並に誇大広告などが規制されるものである。これが認可されれば、その内容が商習慣として認められ、員外者をも規制し得る利点がある等が説明された。

 (4)委員会活動
法規委員会等早急に開会研究するよう要望があって委員の再確認を行い、又業界最近のはげしい情勢変化に対処するため「薬業経済対策研究委員会」を設置することとなり、幹部と一体となって活動することを決定した。委員は次記六氏である。 ▽須原勇助、吉松正記、本松茂晴、中村若市、大島猛雄、松村精一 ほかに飯塚橋裁判の経過、県安定協などについて報告があった。

 挾子
 ▼福岡県薬も愈々同盟が結成され会費徴集が始められることになり各支部は誠に大変ご苦労なことである。同盟は分業の早期実現と薬剤師の薬権護持のためとあるが、分業の方は全く日薬批判グループが言っているように同盟費を拠出した薬剤師が必ずしも恩典を受けるものとは限らないだろう。だが医療の合理化、大義名分のため、薬剤師自らが勝ちとらねばならないものである。薬剤師たるもの自らの職能確立のため断固起たねばなるまい。要指示薬は将に薬剤師の手から取り上げられようとしている時、大衆薬も亦放っておけばそのうち医師が取りあげてしもうことにならぬとも限らぬ。医師は現在着々と医療独占に向って進んでいる。同盟結成について四島会長曰く「屋上屋を重ねるなどいわず、Z旗を揚げたのだと考えて貰いたい…」と。
 ▼厚生省統計調査部の発表によると、病院に従事している薬剤師は一施設あたり一・五人、一般診療所では実数三・〇三二人で一施設〇・〇人の割合であると…又最近の医師会の発言、動向にもこのままでゆけば将来薬剤師不用論に発展するおそれさえ感じられる。経済分業も大切であるがこの際は国民一般が納得するよう技術分業をまず打立てるべきではあるまいか。