通 史 昭和43年(1968) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和43年(1968) 3月10日号

 厚生省の見解 医療用医薬品の店頭取扱い 基本方針運用上の諸問題

 全国都道府県薬務主管課長会議が二月二十二日東京・永田町の全国町村会館で開かれたが、その際薬務局は「医薬品の製造承認等に関する基本方針」の運用上の諸問題について左記の通り見解を発表した。特に一物二名称制の実施や医療用薬品の店頭取扱いについての見解などは薬局薬店にとっては最も注目すべき点であろう。

 1製造承認申請の審査方針について
 基本方針に定められた内容を厳格に実施する。なお審査の促進には、極力配意する。

 2医療用と一般用との販売名の区別について
 同一の医薬品又は同種の効能を有する医薬品を医療用と一般用との双方に供給する場合の名称の区分についての取扱いは、次の方針によることとする。

 (1)新規承認のもの
 昭和四十二年十月一日以降(基本方針実施後)の製造承認に係る品目については、医療用と一般用との販売名を画然と区別させる。既承認のものであって、現在は医療用又は一般用のいずれか一方のみに供給しているものを、今後双方に供給しようとする場合も同様の扱いとする。

 (2)既承認のもの
 @従来同一又は同種の効能を有する医薬品を医療用と一般用との双方に供給しており、今回名称変更の対象となる場合は次のとおりである。

 (イ)既に薬価基準に収載されている医薬品について最近まで(過去ないし二年間以内)に一般向け広告を行なっていた場合。

 ロ)同一企業又は関連企業において現に薬価基準に収載されている医薬品と相互に混同しやすい名称を有する同種の効能の非収載医薬品がある場合。

 A前項の名称変更の対象と一般向け広告を行なわないことを条件として、申請に基づき、名称変更の延期を認める。

 B名称変更の延期か商標登録の関係による場合であっても、すべて一般向け広告を行なわないことを条件とする。

 (3)相互に混同しやすい名称
 @商標法による連合商標がすべて紛らわしいという見解はとらないが一般人が混同しやすいものは一切認めない。

 A基本用語か日本薬局方、抗生物質製剤基準、生物学的製剤基準に収載されている名称の場合には、名称を別ける必要はない

 3名称変更を行なったものに対する特別措置について
 名称変更の対象となった医薬品で、医療用の名称を変更したものについては、次の措置を認める。

 (1)当分の間、容器若しくは被包又は添付文書に旧名称を注記して差支えないこと。
 (2)当分の間、一般向け以外の広告において、旧名称を明らかにして差支えないこと。

 4医療用医薬品の店頭における取扱いについて
 (1)医療用医薬品については、一般向け広告を禁止している趣旨にそって取扱うよう指導する。したがって、薬局又は医薬品販売業における販売にあたっては、一般向けのチラシの配布をしたり、店頭におけるツルシを行なわせないようにする。ただし、学術的に記載された医療担当者向文書を医療担当者に配布することは差支えない。

 (2)2の(2)@(ロ)に該当するが名称の変更を延期した場合には、一般用医薬品についても(1)と同様にする。

 (3)将来の医薬分業に備えて医薬品の管理、販売が適正に行なわれるよう指導の徹底を期する。

 5安全性について
 (1)安全性確保の措置については、基本方針に定められた内容を厳格に実施し一切の例外を認めない。

 (2)既承認の医療用医薬品についても、その表示等において明らかに安全性に対する配慮が欠如し、又は不足していると認められるものについて、早急に検討のうえ、適確な表示を行なうように指導する。

 6その他
 名称変更の対象となった医療用医薬品については、旧名称製品が市場に出廻っている限り、新名称製品について供給義務(三ヶ月以内)は適用しない。

九州薬事新報 昭和43年(1968) 3月20日号

 福岡県薬剤師国保組合 第23回組合会 43年度は一応保険料の値上を決定

 福岡県薬剤師国民健康保険組合第23回組合会は三月八日四時から県薬会館で県薬支部連絡協議会に引続き開会した。

 当日は組合議員二十五名中十四名出席して開会、先ず四島理事長は、本組合は昭和三十三年四月事業を開始して以来十年を経過したが、医療費は毎年増加し、最近は財政上から憂慮される状態になった。昨年公表された医療保険制度抜本改正試案は国保組合の将来に暗影を投じたとも思われ、国庫支出金の増率も望めそうにない現況では、医療費の増加分は自己負担によるか、給付の引下げであるが、四十三年度は一応保険料の改正を行って対処したい。更に中途不足を生ずる場合は根本的な検討が必要である。

 四月には全組合員から、これら基本的問題についてアンケートを徴する予定であるが、国保事業運営は重大な竿頭にあることを強く認識して協力されるよう切望する。と述べ、波多江議長によって直に左記議事に入った。

 報告第一号 昭和四十二年度福岡県薬剤師国民保険組合事業実施報告について
 議案第一号 同年度同組合一般会計補正予算について
 議案第二号 同組合規約一部改正について
 議案第三号 同年度一般会計歳入歳出予算について
 議案第四号 昭和四十三年度同組合職員等退職給与積立金特別会計歳入歳出予算について

 報告一号は岡野副理事長説明、本年二月一日現在、被保険者数は組合員四六七名その他の被保険者一、八三八名、事業は順調であるが保険料長期未納者は左記諸氏である。
 松川昇太郎(脱退)、児島豊(以上福岡)木村基(筑紫)佐々木義雄(久留米)長尾十五(脱退)(浮羽)矢ケ部信次(三池)鵜殿英夫(大牟田)田山正子(嘉穂)

 議案一号は医療費高騰による保険給付費及び支出増加が見込まれる総務費を補正するため、国庫支出金増加分及び予備費より充用するものである。

 議案二号は諸物価高騰、医療費の大巾な増加などのため運営が困難と思われるので一応保険料を改正、値上げし、尚不足する場合はその際組合員の希望など勘案の上(四月にアンケート実施)その時点で検討する。四十三年度保険料は左記の通り。( )内は四十二年度保険料

 ▽組合員=一、三〇〇円(一、〇〇〇円)
 ▽その他の被保険者=七〇〇円(六〇〇円)

 議案三号は保険料組合員千三百円、その他七百円を基礎に予算の総額は歳入歳出それぞれ二七、三二〇、〇〇〇円で前年度比較四、五〇八、〇〇〇円増となる。

 議案四号は国民健康保険法の規定により定めるもので積立金の増額である。 以上いづれも異議なく原案通り可決決定、近く知事の認定を受けることになる。以上で議事を終え、執行部から未納保険料の徴集及びアンケート実施について協力方を要望した。

 3月26日午後三時 病態生理学研修会 武田福岡支店で

 「病態生理学研修会」(福岡市城内、国立福岡中央病院内)本月例会は左記により開催される。
 日時 3月26日(火)午後3時〜5時
 場所 福岡市下川端町武田薬品福岡支店
 講師 国立福岡中央病院副院長医博権藤祐一氏
 内容 脳の解剖及び生理の大要、頭痛の発生場所、頭痛を起す種々な疾患、精神的頭痛、外傷性症脳症群

 福大薬学部 大学院修士課程 認可

 福岡大学薬学部では大学院薬学研究科修士課程を文部省に認可申請中の処、この程認可されたので、近く募集することになる。

九州薬事新報 昭和43年(1968) 3月30日号

 福岡市薬 部会長会 福島副会長送別宴

 福岡市薬剤師会(波多江会長)は三月二十三日二時から、県薬会館で部会長会を開会、去る八日開会した県薬支部連絡協議会及び九州山口薬剤師会代表者会ほかの報告並に分業推進などについて協議した後、三月末退職、郷里に帰られる福島明治副会長(屋形原病院薬剤部長)の送別の小宴を催した。

 当日は会長から、@県薬支部連絡協議会A九州山口薬剤師会代表者会B市歯薬合同研修会C県薬主催第八回臨床薬理学講座D県薬政治連盟などについて報告があった。

 特に歯・薬合同の歯科薬物講演会(本紙別掲)は福岡市においては始めてのこころみであったが、出席者も二百名以上を数え内容も有益で、歯・薬協調のムードを盛り上げ非常な成功だと、藤田副会長から報告があった。

 次に分業推進については、新しく会で作成した処方せん用紙について説明があり、歯科繁用の保険調剤用医薬品の中、小包装の仕入原価が基準価格より高いものについては、地区卸組合と接渉中であるが、これについては派生的問題(小分け問題、包装、代金支払方法、取引の条件、メーカーの考え方など)が多く、まだ結論に至っていないが、引続き接渉を続けるので、今暫く待って欲しいと藤田副会長から報告があった。

 次に三師会の強調については、定期的に三師会を開催して懇談を続けており、昨二十二日は薬剤師側の担当で、市内とり市において正副会長会を開会、特に歯科医師会とは繁用処方例集の交かんにより、最近は新しい処方も出るようになった旨の報告もあり、今後は三師会野球なども開催するよう準備をすすめることになった。

 それより商組関係の問題が西森氏から報告があり、引続き同所において福島副会長の送別の小宴を開いた。