通 史 昭和42年(1967) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和42年(1967) 8月10日号

 福岡県薬剤師会 理事会並支部連絡協議会

 福岡県薬剤師会は理事会並に支部連絡協議会を七月廿九日県薬会館で開会した。午前の理事会に引続き、午後二時からの支部連絡協議会は二十四支部中十六支部が出席して開かれ、四島会長あいさつ後、直ちに議事に入り、中央情勢報告、九州山口薬学大会、医薬分業対策などにつき協議した。

 ▽中央情勢
 四島会長から一昨二十七日の日薬理事会の議題を中心に詳細な説明があった。

 1、健保の臨時特例法
 医師会、総評、自民党内一部では反対しているが、政府は十五日迄の臨時国会で一部修正しても通したいとの考えである。然し吾々としては次に来る抜本改正の方が重大であると考えており、日薬でもそのために九月上旬臨時代議員会を開会することになっている。

 2、再販規制法案
 公取の原案は商習慣を一挙に打破するものであるとの厚生、通産省などの反対から、強い原案を作ったまま棚上げとなったが、公取は次期国会に提出する計画のようである。その間、類似再販行為等調査の上整理に努力するとの意向でいる。厚生省としては飽くまでも医薬品には再販制が必要だと云っているが、一般向医薬品と医家向医薬品との甚だしい格差など、現実にメーカーの姿勢が、社労委などに批判されている。これが、改められねば実勢価格に下げられようが、それが小売側にどう影響するかが問題である。兎も角現在、医薬品業界の販売姿勢は大きな問題となっている。

 3、日本薬剤師政治連盟
 明年の参議選に、高野前参議の出馬断念表明後、今剤界には知られた候補者はなく日薬会長に一任となった形である。

 4、薬価基準一部改正
 新規収載一五四一品目、なお秋に大改正が予定されている。

 ▽薬学講習会
 @本年度も九州・山口ブロックとしての統一講習会とする。
 A会期は十一月八日福岡市に始まり、九日佐賀、十日長崎、十一日熊本、十二日鹿児島、十三日宮崎、十四日大分、十五日北九州、十六日山口の予定。
 Bその他細部については日薬の要綱到着後検討の上、ブロック会長会に諮って決定する。

 ▽薬と健康の週間
 厚生省企画の週間は一〇月一五日〜一〇月二一日である。本県薬支部で現在計画中のものは、福岡支部10月18日〜21日、県貿易会館で展示その他を行う。大牟田支部10月18日〜20日パレード、講演会その他細部は検討中である。

 ▽九州・山口薬学大会
 十月五、六日の両日長崎市で開催。研究発表は本県から開局部会三題、学薬部会一題、商組一題、病薬十一題が決定している。尚明四三年度大会は本県の当番を了承したが、開催地を北九州市(小倉区)と予定して受入準備の概要を八月中に作成する。長崎における準備会には随時準備関係者が参加することなどを決めた。

 ▽医薬分業推進
 @青森県及び長野県上田市の躍進状況と本県の現況との比較について工藤専務から説明があった。
 A社会保険講習会開催については八月下旬か九月上旬頃、県保険課と本会の共催で開催予定である。
 B計画中の社会保険に関するアンケート実施について中村理事は、現下客観情勢の有利な時期をはずさず分業の早期実現を図り、本会の対策の資料にする、保険薬局の意識喚起などのために実施すると報告、各支部で配布、回収すること(八月十五日迄)。
 C歯科協定処方追加改訂は九月一日実施予定で、日薬が作業をすすめている。

 次に工藤専務並に中村担当理事から左記要旨の要望があった。最近薬価基準と実勢価格差を巧みに利用するメーカーの動きが活発化しているが、これは強力に排除せねばならない。反面分業に力を入れる卸、メーカーも出てきているがこのような好意あるメーカーへは、保険調剤に熱心な薬局へ新薬の紹介等サンプルを与え、医師へは処方を発行するようPRする事をおねがいしているので、薬局も亦その心組みで努力され、歯科医の処方せんなどは差し当り倍増、一般医師へは患者の紹介など話合いをすすめ、県薬本年度目標を達成するよう一層の努力をお願いしたい(目標‐取扱薬局数五〇〇、発行医数一〇〇〇、処方枚数二万枚、請求金額一千万円)。

 ▽第五回臨床薬理学講座
 安部理事説明、七月廿二日の講座には六十名参加したが、八十名参加がないと採算がとれない。次回は九月十六日と決定。

 ▽福岡県薬業誌の編集
 工藤専務から参考資料として「福岡県薬剤師会の歩み」を配布。又波多江理事がその資料を集めることになっているので、資料の提供をして欲しい。以上で支部連絡協議会を終了、引続き福薬国保組合会が開会された。

 挾子

 ▼徹夜国会を重ねたあげく十八日午後の参院本会議で「健保特例法案」が成立し法案提出以来実に四ヶ月ぶり。その間野党側からさんざん痛めつけられ通しだった坊厚相、さすがにほっとしたらしく、成立後の記者会見で思わず「いや、厚生大臣なんて人間廃業だね。早くもとの人間にもどりたいよ。」そして型の荷をおろした気安さからか、はたで同省幹部がハラハラするのもかもわず「正直いって薬代の患者負担など、問題があるね。国会答弁では、いい法案だといったが、本当はつらかったよ……」。とは朝日新聞8月19日の「記者席」の記事であるが厚相の本ねのほとばしりであろう。厚相は憎めない。然し実にけしからぬことだ。自民党の政策……。

 県薬剤師国民健康保険組合 第22回通常組合会

 福岡県薬剤師国民健康保険組合では五月、昭和41年度の出納閉鎖をしたので、七月二十九日午後三時から県薬会館において県薬支部連絡協議会に引続き、同所で第22回通常組合会を開会した。

 当日の主たる議事は昭和四十一年度組合事業実施報告並に同年度決算認定の件であった。一般会計は収入二、一六四万〇三二六円、支出一、九五六万三、一七七円、差引二、〇七九万〇八四九円の残金を次年度へ繰り越したが、単年度決算では七三万二千円の赤字であった。給付状況は、医療費総額二二・五%、受診率六・四%一人当り費用額二六・三%一件当り点数一五・一%それぞれ前年より増加を承認した。なお保険料の収納率は九七%であったが、組合の性格からもこれは百%でなければならないものである。なお本年度四月から、その他の被保険者(家族、従業員)の七割給付を実施しているが、四・五の二ヶ月の経過から判断すれば、受信率は大した増加ではない。その他の被保険者の費用学が20%以上増加していることが認められる。

 なお、当日保険料一括完納支部として福岡馬出、遠賀、若松、八幡、小倉の五地区に対してそれぞれ報奨金が交付された。又健康優良家庭表彰については、連続年数一年が二家庭、二年が二、三年が一、五年が一、九年が一家庭であるが、この二七家庭に対してはそれぞれ挨拶状と記念品が贈られた。なお、保険料長期滞納者については監督を強化し、悪徳者に対しては脱退を勧告することになった。

 第一薬科大学紛争 文部省調査団来福

 紛争中の第一薬科大学の闘争本部では、七月五日文部大臣その他に同大の実情を陳情したが、その結果同月三十一日文部省私立大学審議会の稗方私立大学協会長小出明大学長、公江武庫川学園理事長と文部省管理局振興課の担当事務官二名からなる調査団が福岡入りして、都築理事長ら学園側、大和同大学教授ら闘争本部側から事情を聴取した。

 結論はいずれ後日何んらかの形で出されようが、それで解決するとは考えれず相変らず話合いに応じない学園側の態度からも、この闘争はますます長期化するものと消息筋では憂慮されている。

 挾子

 ▼日医では来年の参院選には全国各ブロックから二名宛の推薦候補者を選出することを決めたそうだ、日薬では恐らく一人の候補者も出さないだろう、出し得ないだろう、完全分業を持たない剤界だから致し方もあるまい、薬剤師さんしっかりして下さいよ。

 ▼全国で優秀な分業地区として有名となった長野県上田市では、全国各地の薬剤師から「上田詣」が続いているそうだ、地元の薬剤師幹部はその応接に汗だく。確かに名誉なことには違いないが、応接に要する時間と経済が馬鹿にならず少々へこたれ気味だそうだ、さりとて断わるわけにもゆかず、それかと言って「拝観料」「拝聴料」をもらうわけにも行くまい、県薬では見殺しにもできぬので面倒を見ることになった模様、有名になるのも痛しかゆしとのこと、薬剤師のために辛抱して下さい。

 ▼もみにもんだ健保特例法案もとうとう衆院を通過した。然し吾々としては次に来る抜本的改正がより重大

 福岡県安定協 七月例会

 福岡県安定協議会七月例会は二十五日一時半から、福岡県薬会館で製企会側議長となり開会した。 先ず、鶴田県商理事長は先の九州山口商組連絡協議会で、再販問題並に宮崎県で今回発生した抗生物薬品の歯科医師会員への一括納入問題(本紙前号参照)について、製企会側には既に申入れをなしたが、卸組合においても今後、医薬分業推進の阻害行為との認識の上で考慮されたい旨強く要請した。

 次に各地区状況報告に移り北九州は小倉ダイエー開設の件(県当局の実測によれば、一・五米距離不足)及び参天堂の再販品値引き問題について、又筑豊地区は田川地区で現在一部再販品の値引きについて話合をすすめている旨報告された。筑後地区からは、七月例会で@サロンパスの価格体系について、久光製薬社長以下重役多数が出席して懇談小売側から種々要望したA大川地区の乱売店に対する組合員の対抗措置については、筑後地区の他支部役員の斡旋により、薬業界の現に置かれている立場からも乱売などの時期ではないとして懇談の結果、チラシなども双方自粛し今後、広告の規制なども決める方向に進むこととなった。

 次に福岡地区はその後バーゲンが小規模ながらチラシを配布している。又中心部大型店の吊しビラなど店頭の姿が他地区より批判された。それより再販規制問題について四島氏より中央情勢などの説明があり、次回開催は八月休会、九月定例日に開くことを決めて当日の協議会を終了した。

 支部別保険調剤調査票 昭和42年6月分 福岡県薬剤師会

画像