通 史 昭和42年(1967) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和42年(1967) 3月10日号

 第131回  福岡県薬支部連絡協議会 日薬代議員会報告外

 福岡県薬剤師会では第一三七回理事会並に第一三一回支部連絡協議会を三月二日県薬会館で開会、引続き同薬政会評議員会並に福岡県薬剤師国民健康保険組合組合会をも開会した。

 当日は午前十時からの理事会に引続き一時半より支部連絡協議会を開会、先ず四島会長は「来る二十七日本会代議員会を開会するため本協議会を開催、引続き本県薬政会評議員会をも開会して、日薬に傚らい本県も薬剤師連盟と衣替えするかなども検討し、終了後は福薬国保組合会も開会するので慎重に検討して頂きたい」と挨拶して左記議事に入った。

 ◆中央情勢報告
 四島会長より一般情勢について、又日薬代議員会については工藤専務理事より詳細な報告があった。

 ▽一般情勢
 @分業問題については、
 41年度で調査準備を終り42年度からは実施期間であり、要綱に基き、いよいよ実行する段階で、会員個々がその地区の開業医と折衝し、分業実施に持込むよう努力すべきである。現在分業は医薬協業と表現されており、分業を遂行せよとの声は各方面から発せられているが、それは真に分業の理論を解しているわけではなく、実際的医療の在り方に対する批判である。吾々としてはこうした与論を作ることに努力しているわけで、その裏付けである技術料の値上げが実現すれば医師会自体も考え方が変るであろう。吾々としては現在出来得る事から実施せねばならない。
 A薬業経済問題
 今問題となっている再販手直しの構想は、実態調査の結果、正式な再販は10%に過ぎず、残りの90%が類似再販であるところから始まったものであり、又一般品を対象にしているわけで医薬品の場合は薬事法が優先することは当然である。薬業界としては思想統一の上、厚生省とともに対応する考えで、医薬品の場合業界が困乱することは消費者の不利益に繋がるとの考え方で進んでいる。
 B薬剤師の地位向上
 薬剤師の地位向上には、本質的に自らが向上することと、給与の引上げとがあるわけで、先ず公務員の給与引上げからやる必要があり、又薬局に勤務する管理薬剤師(雇傭)の給与を引上げることが要請されている。何れにしても薬剤師のまとまった圧力が必要で、薬剤師連盟とも関連し、恒久的な事業である。

 ▽日薬代議員会報告
 代議員九九名中九六名出席のもとに二月二十三、四日の二日間開会された。先ず瓜生田氏(最年長者)が仮議長となり、各ブロックより二名宛の選考委員により約三時間に亘って協議し、坂口徳太郎氏(東京都)が議長に選ばれ席につき、会長は「薬剤師の職能にとって今年は非常に大切な年である」と挨拶し、来賓の厚生大臣、武見日医会長の祝辞もあって議事に入り、予算委員会には福岡県薬より工藤、鶴田、決算委員会には長野、福井の四代議員が委員に選任され、議事については各議案とも大体執行部の提案通り承認決定された。尚審議途中緊急動議として@学薬を日薬の職種部会にせよA定款改正特別委員会を設置せよB適配条例改正をせよなどが出されたが、三動議とも採択されその他何れも前向きの意見が多かった。Bの適配の問題については日薬としては法改正の意志はないが、運用の面で巾を持たせ、現在までの小委員会を特別委員会に昇格し、今後引続き研究検討することとなった。厚生省としても運用の面で条例適用の考え方が出されているようである。

 ◆厚生省の保険薬局指導について
 二月二十四日福岡県医師会館において厚生省代田技官により薬局開設者六(薬局数は十二)について指導し二十五日十時からは同所において県薬理事並に支部役員、担当理事などを対象に集団指導が行われたが、これについて立会人である中村担当理事より詳細な報告があった。その要旨は「今回初の指導であり、注意すべき点は多々あるが@開設者本人の出席が希望されたA非保険薬剤師の投薬が発見されたB歯科医師への与託は発見されなかったC支店の取扱い分を本店において請求するのは違法であるなど」何れにしても今日まで講習会等で指導して来た通り実行しておれば問題にはならないわけで、今後県でも研修会等開かれる予定であるので、これ等には努めて出席するよう要望があった。又分業については今後一層開局者の闘志が必要で、処方調剤拒否は一般の顰蹙を買い、現在信頼される薬局に移りつつある現状を考え、各自努力されたいと要請された。

 ◆第22回県代議員会開催
 三月二十七日九時半よりミタカホールにおいて開会されるが、引続き総会並に薬剤師政治連盟懇談会をも開催されるので、代議員だけでなく一般会員及びその他の出席も望んでおり、会議に当っては建設的意見を、その要点をつかみ、多数者の発言が出来得るよう執行部では希望している。その他代議員会付議事項支部表彰の基準などにつき協議して協議会を終了した。

 福岡県薬政会評議員会開会 県薬剤師政治連盟と改称

 福岡県薬政会は三月二日開会(別掲)の県薬支部連絡協議会に引続き、同所において評議員会を開会した。四島同会会長より、先に日本薬政会が発展的解散、改めて『日本薬剤師政治連盟』を結成して、武田日薬会長を連盟会長として新発足した経緯について詳細な説明があり、連盟の四十一年度会費については、国会総選挙を控えて急拠同会が発足したため、会員も中央と直結して会員の政治意識の昂揚を図ったが、四十二年度からは会費(千円)は県連盟支部で徴集し、その40%が地方組織援助金として交付されることになった。本県としても中央に即応し、「福岡県薬剤師政治連盟」に移行したと考え(内容的には従来通りであるが)定款その他、日薬政連に準じて決定したいので、本年度決算並に予算などは、新年度になって決定したいと、了承を求めて異議なく了解された。

 尚四月一日の新年度からは本会としても薬業経済の裏面工作並に勤務薬剤師の地位向上などを打出すこととなるので、今後一層勤務薬剤師の入会をもすすめることとし、中央に傚らい県薬より本連盟への補助金も打切ることとなる。尚日薬政連についてはいづれ県薬代議員会議に長野幹事長より詳細な報告がなされる事となろう。

 九州大学薬学部新館ほぼ完成、学部の一部移転済

 九州大学薬学部は創設以来同大医学部構内の片隅に残存していた老朽建物で近代薬学が研究されているが、一昨年十二月、同構内東門入り第一等地に在った第二外科の建物を解体して引続きその跡に薬学部新教室の基礎工事を始め、延建坪約二、四三〇坪の鉄筋五階建二棟を両翼としその間に管理室等二階建を挾んだ鉄筋コンクリートの瀟洒な建物が後一息で完成することになっている。

 現在二百人以上収容出来る暖冷房つき大講堂を含めた左翼の五階建てはほぼ完成し、薬学部の一部は既に移転しているが、本月中旬には全館完成する予定であり、三月中には学部の全部が移転することになっている。建物はもとより、内部には近代的な設備が施こされており、特に化学の実験に必要なガス、水道の水圧、ドラフト(通風設備)なども完全に設備され、動物飼育室やエアコンデッショナ―、零下20度の冷凍室、NMRおよびIRスペクトル測定室、又定員九人のエレベーター二台が設備され、屋上には30トンタンク水槽もあり、又大講堂内部設備も近代的でカーテンなどリモコンで開閉自由など誠に立派な装備である。

 この新館は四月の新学期より使用されるわけであるが、同学部では、このような完全な設備のもとで修学出来る同学部生徒は非常に恵まれた人々であり、近来薬学の発展に伴い優秀な人材が多く求められているので従って優秀な学生が多数入学することを同学部では切に望んでいる。西海枝薬学部長は既に新館に移られ学部の事務に就て積極的に指導されている。

 なお、本年度全国薬学部長会議が五月十一、十二日の二日間九大薬学部新館において開会することになっているので、新館に関する紀念祝賀会などはその後に開催される模様である。

九州薬事新報 昭和42年(1967) 3月20日号

 福岡市学校薬剤師会 第12回 定時総会 原口静氏研究発表

 福岡市学校薬剤師会では毎年総会を福岡市薬剤師会総会当日開催していたが、本年度は種々な事情により単独に第12回定時総会を三月十四日一時より県薬会館において開会し、@昭和41年度会務並に事業報告A41年度決算認定の件B42年度事業計画C42年度予算及び会費決定の件などが審議されいずれも原案通り承認可決された。

 当日は約四十名出席のもとに、野口氏の司会で開会され、先ず内田会長は市当局よりの手当一括支給の事務手続きなどのために急拠開会した旨説明し、なお『本会が十年前友納会長により発足して以来、会員の努力によって近来漸次、学校側より種々な要望が出るまでに認識されるに至り、42年度からは永年要望して来た手当も充分ではないが、増額されることになった』と述べ今後一層の協力を求めて、あいさつとした。次に来賓市学校保健課長、県学薬友納会長並に今回手当アップに尽力された久保田、加藤両市議会議員、早麻県議会議員の祝辞があり、引続き恒例により会長を議長として議事に入った。

 @41年度会務並に事業計画を馬場副会長A同年度決算認定の件を矢野理事が説明、いづれも異議なく承認。B42年度事業計画については柴田副会長より、事業計画は県学薬の企画に従って具体的なものであるべきだが、県学薬より前に本日総会を開会したため、詳細な計画は今後、理事並に班長会において逐次企画する旨の説明があった。なお、今日迄は本会が役員の実動にのみおんぶした傾向が多かったが、今回手当も増額されたことでもあり、各会員が進んで実動されんことを希望した。

 C42年度会費並に予算については矢野理事より、今日迄、小中校の手当が少ないため、高校担当者に会費の面でおんぶした形であったが、42年度からはこのバランスをとるため、又県学薬会費値上げも勘案して
 ▽市立及私立学校担当者一校につき一、五〇〇円(前年は一人に付二、〇〇〇円)
 ▽県立高校(特殊学校を含む)担当者一校につき五、〇〇〇円(前年通り)とし、予算面では、旅費以外は大体前年同様である旨の説明があり、異議なく可決決定した。

 一応これで議事を終え、次いで研修会に移り『学校環境衛生検査結果について』と題した原口静氏の研究発表があり、氏は「このような調査をすることにより、学校側の関心を高め、早急にではなくとも、逐次悪い面が改善され、各自の担当校が明るくなることはわれわれ学薬師として非常に楽しく又嬉しいものであると結んで会員に深い感銘を与えた。引続き協議懇談会に移り、種々有益な体験談などがあり真面目な学薬の総会としての盛り上りを見せ、続いて同所においてささやかな懇親の宴が催された。

 医薬品卸売業者側より 厚生省薬価調査に起つ

 厚生省は予て計画中であった薬価基準の改正資料として、本月十九日から全国的に約三千の医薬品卸売業者について、二月中に販売した約六千百品目の健保採用医薬品の薬価及び数量を調査することになった。

 同調査は健康保険の薬価基準に定められた価格とのズレを解消して、薬価基準を適正に引下げることを目的としたものであるが、医療機関では、この調査が医療収入に多大の影響があることは確実なりとの考えのもとに、日本医師会などは、この調査について、卸業者が厚生省に協力することも好まず業者に対し圧力をかけている模様であり、又卸業者側としてもこの間の事情を重大視して今日迄静観していたが、愈々厚生省の立ち上りに対し、如何なる態度を示すかが、一部には注目されているようである今回の調査は直接販売機関を通じて実施するもので、(従来医師会は薬価基準に関する薬価の調査については、厚生省に対し非協力的であると云われており、それが為に医療機関をさけ、今回は卸売業者側より調査することになったものである)当局では、卸売業者に調査協力を要請、三月中に調査票を回収し五月末迄に集計を終えて九月には新薬価基準の告示を行なう方針であるが、医師会側の圧力が加わっているので今後が注目される。

 福薬国保組合 家族負担率並に保険料変更四月一日より実施

 福岡県薬剤師国民健康保険組合は三月二日第21回組合会を開会し、家族受診時の一部負担率の引下げ及び家族の保険料の値上げなどを決定したが、来る四月一日よりこれが実施されるのでこれ等について組合執行部では次のように語っている

 ▽家族の七割給付開始について
 昭和42年4月1日より家族受診の時の一部負担割合五割を三割に引下げることになった、即ち給付率五割を七割に引上げたわけである。県下の全医療機関は七割給付を取扱うことになっているが、唯九大付属病院のみは七割給付を取扱わず、従来の通り五割を窓口で徴収するので、九大病院で受診した時は一部負担額を速かに組合(福薬国保)執行部に特に知せて貰いたいと注意している。

 ▽保険料の一部改正について
 家族の七割給付開始と一般的医療費の増加に対処するため、四月分より家族の保険料を次のように改められた。
 『現行月額三〇〇円を六〇〇円に改める』
 しかし組合員の現行額一、〇〇〇円には変更はない。

 ▽保険料の早期完納について
 一般的医療費の増加に加え、最近は重症患者が多発し、月々の支払診療費にもこと欠くような財政状態に立ち至ったので、保険料は早期に完納されるよう、特に滞納者にはこの際至急に納入して貰いたいと切望している。滞納者は二月二十日現在で、41年度分滞納者が二名、41年度及び40年度の二年度分の滞納者が三名、41年度、40年度及び39年度分の三年度分の滞納者が一名ある模様である。滞納者については国よりの強い指導もあるが、長期滞納者に対しては除名処分、強制執行などの処分がなされることがあるので、組合には是非ご協力願いたい。

 ▽被保険者証の更新について
 例年の通り四月一日被保険者証を更新することになるので、既にピンク色の新証が準備してある。組合員は旧証引換えに新証を受領して貰いたい。家族の一部負担金の割合の変更並に被保険者証の更新については県医師会、歯科医師会及び官公立病院施設長宛通知がしてある。

 ▽その他=加入、脱退、出生、死亡その他の諸届は速やかに提出して貰いたいと希望している。又遅れると本人にとって非常に不利となることがあるのでご注意が願いたい。

 福岡県学薬会 常任理事会 評議員会4月12日

 福岡県学校薬剤師会では常任理事会を三月七日十一時より、県薬会館において、友納、古賀正副会長並に内田、矢野、河原畑、馬場、神谷、橋本、山下の各理事出席のもとに開会した。先ず友納会長は、中央情勢として、去る二月二十二日東京に於いて開会された日本学校薬剤師会理事会並に日薬代議員会において、日本学薬が日薬の職種部会に正式決定した経緯などにつき詳細な説明があり、左記決定の学薬関係諸大会の報告があった。

 @日本薬学会総会(四月七八、九日、京都市)
 A文部省、日本学校保健会共催の講習会(六月十三日、十四日、名古屋市)
 B文部省、広島教育委共催ブロック研修会(中国、四国、九州)(九月二十一日〜二十三日広島市)
 C全国学校保健研究大会(十一月二十五日〜二十七日、松山市)
 D九州地区学校保健大会(八月、宮崎市)
 E九州山口薬学大会(十月四、五、六日、長崎市)

 次に本会第14回定時評議員会開催について検討した結果、来る四月十二日一時より県薬会館において開会することを決定、その他四十二年度予算、事業計画などにつき慎重に検討した。

 福岡県薬剤師政治連盟規約全文成る

 福岡県薬政会評議員会が去る二日県薬会館で開会されたが、その際本県も中央に傚い、県薬政会は県薬剤師政治連盟と改称移行することを決定し、その連盟規約は執行部一任と、これ亦決議していたので、この程執行部において慎重検討の上規約を作成完了した。その全文次の通りである。

 ◆福岡県薬剤師政治連盟規約

 第一章 総則
 (目的)
 第一条 本連盟は、社団法人福岡県薬剤師会の目的を達成するために必要な政治活動を行なうことを目的とする。
 (名称)
 第二条 本連盟は、福岡県薬剤師政治連盟と称し、日本薬剤師政治連盟福岡県支部と称することができる
 (事務所の所在地)
 第三条 本連盟の事務所を福岡県薬剤師会館内におく。
 第二章 組織
 (会員)
 第四条 本連盟は、次の会員をもって組織する。
 1 社団法人福岡県薬剤師会会員並びに県内に居住する薬剤師の資格を有する者を正会員とする。
 2会員以外で連盟の趣旨に賛同する者を準会員とする。
 (支部)
 第五条 本連盟の支部は、福岡県薬剤師会の支部におき、支部名を冠した薬剤師政治連盟と称することができる。
 (ブロック連絡会)
 第六条 本連盟にブロック連絡会をおくことができる。ブロックの地区は評議員会で決定する。
 第三章 支部長及び評議員
 (支部長)
 第七条 本連盟の支部長は、福岡県薬剤師会の支部長をあてる。
 (評議員)
 第八条 評議員は、本連盟の支部長をあてる。
 第四章 役員及び顧問
 (役員の定数)
 第九条 本連盟に、次の役員をおく。
 会 長 一人
 副会長 若干人
 総 務 若干人
 監 事 二人
 2 幹事長、副幹事長をおくことができる。
 (役員の職務)
 第十条 会長は、本連盟を代表し会務を総理する。
 2 副会長は、会長を補佐し会務を掌る。会長事故あるときは、あらかじめ会長の定めた順位に従い会長の職務を代行する。
 3 総務は、会長を補佐し会務を分掌する。
 4 監事は、本連盟の会務及び会計を監査し、その結果を評議員会に報告しなければならない。監事は総務会に出席して意見を述べることができる。
 5 幹事長及び副幹事長の職務は総務会の議を経て会長が定める。
 (役員の選出)
 第十一条 本連盟の会長は、福岡県薬剤師会会長をあてる。ただし、福岡県薬剤師会会長が就任できないときは、福岡県薬剤師会会長が推せんし、評議員会の承認を得た者をあてる。
 2 副会長、幹事長、副幹事長及び総務は、会長が正会員の中から指名する  3 監事は、福岡県薬剤師会の監事をあてる。
 (役員の任期)
 第十二条 役員の任期は二年とする。ただし、役員の任期満了の場合は、後任者が就任するまで、前任者はその職務を行なうものとする。
 2 前項の規定にかかわらず選任された役員が不適任と認められたときは、任期中といえども評議員会の決議で解任することができる。
 3 前項の決議は、評議員の三分の二以上の賛成を得なければならない。
 (顧問)
 第十三条 本連盟に顧問をおくことができる。
 2 顧問は、評議員会の議決を得て会長が委嘱する
 3 顧問は、会長の諮問にこたえ、本連盟の会議に出席し意見を述べることができる。ただし、表決に加わることはできない。
 4 顧問は、役員改選のつど更改する。
 第五章 会議
 (会議の種類及び招集)
 第十四条 会議を分って、評議員会及び総務会とする。会議は会長が必要ありと認めたとき招集する。
 (評議員会の議決事項)
 第十五条 評議員会において、次の事項を議決又は承認する。
 1 規約の変更
 2 事業計画
 3 事業報告
 4 予算
 5 決算
 6 解散
 7 その他会長が必要と認めた事項
 (総務会の議決事項)
 第十六条 総務会は本連盟の執行機関で、正・副会長、正・副幹事長及び総務をもって構成し、次の事項を議決又は承認する。  1 評議員会の招集及び提出する議案
 2 会務運営及び事業執行に関する事項
 3 その他会長が必要と認めた事項
 (会議の議長及び議事録)
 第十七条 会議の議長は会長とする。議長は、議事録を作成し、出席者の代名、議事の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名した議事録署名人二人が署名しなければならない。
 第六章 庶務及び会計
 (事務局)
 第十八条 本連盟に事務局をおき、職員をおくことができる。職員の任免、給与等は総務会の承認を得て会長が定める。
 (経費の支弁)
 第十九条 本連盟の経費は、会費、特別会費、寄付金その他の収入をもってあてる。
 (会費の賦課及び徴収)
 第二十条 会費の賦課額及び徴収方法は、評議員会の議決を経て定める。ただし、準会員には、会費を賦課しない。
 (特別会費)
 第二十一条 特別会費は、特別の事業の実施にあたり、評議員会の議決を経て定める。
 (会計年度)
 第二十二条 本連盟の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
 (規定の準用)
 第二十三条 旅費、給与等この規定に定めていない事項は、福岡県薬剤師会の規定を準用する。
 付則
 (施行及び適用期日)
 1 この規定は、昭和四十二年四月一日より施行し同日から適用する。
 (役員等に関する経過規定)
 1 この規約施行の際、現に福岡県薬政会の会長、副会長、総務、監事及び評議員であるものは、それぞれこの規約の規定によって選任されたものとみなし、その任期は、昭和四十三年三月三十一日までとする。
 (会員に関する経過規定)
 3 この規約施行の際、現に福岡県薬政会会員である者は、この規約の規定により加入したものとみなす。

 新中医協委員 日医よりの欠員を

 日医が推薦した菊池真一郎羽田春兎、高島克己の三氏を厚生省は中医協委員に発令した。

 九州大学薬学部 新卒業生氏名 薬学科四〇名

 九州大学薬学部本年度新卒業者(薬学科)は男子十三名、女子二十七名合計四十名であり既に就職も殆んど確定している模様である、卒業者氏名次の通り。

 ▼薬学科
 ▽東トモ子▽安部幸子▽阿部和子▽磯部頴子▽岩崎敏子▽大石雅代▽勝原カツ子▽木下由紀子▽北園正人▽平谷快男児▽後藤信子▽権藤佳子▽佐竹邦子▽執行洋陸▽清水征子▽篠原圀子▽田原賢子▽高田智▽立野光子▽玉木節子▽徳永好子▽鳥海裕代▽中村浩子▽野田紀子▽旗生玲子▽林泰子▽樋口貴子▽姫嶋輝彦▽平川善行▽星出道代▽松隈征夫▽宮内照雄▽溝上業彬▽宮崎忠昭▽八戸義明▽矢野令子▽安仲加公子▽山下勝也▽大和千靭▽大城和子

 福岡県薬理事会 政治連盟総務会

 福岡県薬剤師会並に県薬剤師政治連盟では、理事会並に総務会を三月十五日一時半より県薬会館において開会した。

 ▽理事会
 県薬剤師会第22回代議員会を控え、その最終的な打合せとして、日程、業務分担、総会における支部表彰の選考などを行ない、表彰支部としては直方、田川、浮羽、久留米、福岡、の五支部を選定した。又第24回日本薬学大会(於京都市)に本会を代表しての出席者の人選も行なった。

 ▽連盟総務会
 本県においても三月二日の評議員会において薬政会が政治連盟と改称移行することになったので、一任された。その規約を作成し、又統一地方選挙を控え、その時局対策について検討した。本連盟としては、各支部毎に積極的に正準会員の立候補者は勿論、各推せん候補者を徹底的に応援し、今日迄の薬剤師の政治意識の低級さを払拭するよう努力することを申合せた。

 ▽その他
 最近各地で睡眠薬に代ってシンナーによる青少年のシンナー遊びの被害が出ているが、これについては学校薬剤師会で採り上げ、学校など関係方面にその防止を呼びかけることになった。又福岡県庁を中心に関係各所に勤務する職員である薬剤師約百名の中約八十名が本県薬に入会を希望、一括して職種部会として認め、会費も特別低額にとの申出があっている件については病診勤務者、メーカー勤務者などとも関連があるので新年度早々これ等代表者と県薬執行部との懇談会を開いて検討することになった。

 社会保険委員 支部社保理事 合同協議会

 福岡県薬剤師会は社会保険委員及び支部社保理事合同協議議会を三月六日一時半から県薬会館で開催、出席者は十七名に及び、内容も充実して従来にみないものであった。西森委員長司会して左記報告並に協議が行なわれた。

 ▽報告事項
 @分業を繞る全般的中央情勢と日薬―対策本部―の動きについて工藤専務理事から、A厚生省保険局の指導監査実施と請求事務の変更について中村社保担当理事より詳細な説明報告があり、引続き活発な多数の質疑応答が行なわれた。

 ▽協議事項
 @支部分業推進実行委員会の組織について=組織を完了した支部が五支部、準備中のもの七支部であるが今後引続き促進を図ることになった。
 A処方箋増発の方策について=医師会、歯科医師会との学術講演会等の共催によって医師の疎通相互理解に努めること、又学校三師会、三師会等の強化と共同歩調、相互提携により一歩々々推進することとなった。
 B薬局(薬剤師)側の受入姿勢について=精神的に先ず倫理、使命感の昂揚、具体的には先ず薬局の構造設備、医薬品の備蓄(希用医薬品等)、処方せん取扱い給付と請求事務の習熟、外に医薬品の安売広告の中止等々について充分指導推進することに努めることを決めた。以上にて協議を終了した。

 福岡県支払基金の医・歯・薬への率 薬は〇・一九%

 日薬の医薬分業完全実施対策の第一年目を迎えて、各県ともその受入態勢に、又各界へのPRに努力がなされている時期において、福岡県薬剤師会執行部が、参考に資するため調査した本年二月末日現在の医療機関の実態は左記の通りである。

 福岡県における保険医療機関
 ▽病院
 医科    三二〇
 歯科      一
 ▽診療所
 医科   二七九〇
 歯科   一三六六
 ▽保険薬局 七二九
 保険医  五七八四人
 〃歯医  一三六六人
 〃薬剤師 一三〇三人
 支払基金の支払状況
 総月額約三六億三七万円内わけ
 医 約三三億円(九〇・九%)
 歯 約三億三千万円(八・九%)
 薬 約六九二万円(〇・一九%)
その他国保関係は月額約八億円である。

 3月27日 第22回 福岡県薬代議員会並総会

 福岡薬剤師会第22回代議員会並に同窓会が左記により開会される。
 ▽日時 三月二七日(月)午前九時三十分
 ▽会場 福岡市綱場町第一銀行ビル七階三鷹ホール

 ▼代議員会 @開会A仮議長選出B正副議長選挙C会長演述D報告並に議案
 第一号 昭和41年度会務並に事業報告
 第二号 第22回日本薬剤師会代議員会出席報告
 第三号 昭和41年度歳入歳出中間報告
 第一号議案 昭和40年度歳入歳出決算認定の件
 第二号議案 昭和42年度事業計画決定の件
 第三号議案 昭和42年度会費決定の件
 第四号議案 昭和42年度歳入歳出予算決定の件
 E代議員会閉会

 ▼総会 @開会A会長演述B第22回代議員会決定事項報告C昭和40年度歳入歳出決算認定の件D支部表彰E閉会
 ▼薬剤師連盟懇談会 @開会A会長挨拶B事業報告並に協議懇談C閉会
 ▼会員懇親会(会費不用)

 豆知識(十九) 馬場正守

 ▼薬局における薬品鑑定
 催眠剤中のバルビツール酸系統のものにつき記す。
 検体約三ミリグラム(耳かき一杯程度)と同量の亜ゼレン酸を試験管にとり濃硫酸一ミリリットルを加えミクロバーナーで正確に二分間加熱した時の色調の変化をみる。これ等の条件は必ず一定に守って貰いたいそうしないと色調が変化するので鑑別出来難くなる。なお冷後水で稀釈してその変化をも観察する。(メッケ試薬の方法) □冷時 □二分間加熱時 □水で稀釈時

 バルビタール‐   青緑 赤
 フエノバルビタール‐   紅紫 橙赤
 プロミナール‐   紅褐 橙黄
 アロバルビタール 黄→橙 橙緑 赤
 アミタール‐   緑  赤
 メチルヘキサビタール 橙緑  褐赤 橙赤
 アドルム 橙緑  褐赤 橙赤

 メチルヘキサビタール、アドルムは冷時既に黄→緑→橙緑色となり、そのまま放置すれば数時間後に深緑色を呈する。アロバルビタールは、淡黄→橙色となり放置しても橙赤色に留まる。以上の反応は微妙で、条件を一定にしないと正確に行かない。そこで次のように系統的に鑑別してもよい

 即ち検体一〇ミリグラム程度を濃硫酸一〜二ミリリットルにとかすと、アロバルビタール、アドルム、メチルヘキサビタールは赤褐色となる。次に検体二〇ミリグラムにホルマリン一ミリリットルを加え更に濃硫酸四ミリリットルを加えると(マルキス試薬の方法)アロバルビタールは黄色で螢光を放ち、他の二者は黄褐色で区別される。

 この両者の区別はコバルト・カルシウム試液を用いる之は検体二〇ミリグラム程度をメタノール一ミリリットルにとかし之れに硝酸コバルト一グラム、塩化カルシウム一グラム水一〇ミリリットルの溶液三滴を加え二〇%苛性カリ二滴を加えるとアドルムは藍青色に、メチルヘキサビタールは黄緑色となる。 最初の濃硫酸で無色又は黄色程度のものはバルビタール他三種で、之れもアドルムの場合と同様に系統的に操作する。即ちホルマリン硫酸で変化がないのがバルビタール、黄色で螢光を放つのがアミタール、赤色を呈するのが他の二者で、これまたコバルト・カルシウム試液で区別し、藍青色を呈するのがフェノバルビタール、黄緑色がプロミナールである。

 なおバルビツール酸誘導体に共通な反応としては銅ピリジン試液(一〇%硫酸銅液四ミリリットルにピリジン一ミリリットル及び水四ミリリットルを加える)をその粉末に加えると赤紫色の美しい色を呈する。

 挾子

 ▼熊大の薬学部の薬剤科では今度の入試合格者四三人全部が女子であった。九大薬学部薬学科でも合格者四一名中男子は唯の一人、来るものが来たという感じである。日刊紙などでは物珍らしそうな記事になっているが、大体薬剤科の内容は女子向きのもので、女子に最も適した学問であり仕事であるようだ。しかし同じ薬学でも製薬科はそうでなく男子向きであり、女子の体質に又卒業後の仕事の上から不適当な傾きがあるようだ。

 ▼福岡県薬の調査によると支払基金から県下の医・歯・薬に支払っている月額分は約三六億余円となっており、その約九一%が医師に九%歯科医師に、僅か〇・二%が薬剤師に払われているようだ、武田日薬会長のインテリ的な指導のもとに分業々々と剤界も少し浮足の様相が見えるようだが、省みると尠しおかしくなるようだ。しかし戦前のように殆んどないよりは良い。真面目に一歩々々足を大地につけて辛棒強く進まなければなるまい。

 ▼日薬はこの程昭和40年12月から一年間の社保調剤の実態を纏めた。これによると処方せんの枚数は六、二七三で保険薬局一八、六九五に対し三三・五%にしか当らない。一保険薬局当りの処方せんは月一二枚だが、一調剤薬局当りにすると三九枚となる。しかしそんなことでは食えるわけがない。開局薬剤師は本職では飯が食えないことになっている。

 ▼高野日薬顧問は明年の参院選に立候補される決心がついたらしい(薬界紙による)全薬剤師は振って起っべきである。処が、武田日薬会長は「高野後援会が結成されれば会長となる用意はある。しかし勝算のない戦いは絶対にやらない」これ亦業界紙に伝えられているナールホド……。

 ▼つれづれなるままに私は昨秋頃の古い山口薬報を拾い読みした、処が、某医大助教授であり病院薬剤部長で医学博士の某氏の随筆が目についた。この医博薬剤部長は「薬剤師」らしく思えた、薬剤師で医学博士を貰う人が沢山あるようだが、なぜ薬学博士を貰わないのかと不思議に思うことがある。論文の内容がそうなっているからだといえばそれまでだが……これについては色々の憶測や批判もあるようだが……、そんなことはこの位にして、この薬剤部長の医博は約十項目ぐらいの薬剤を中心とした事柄を述べられている、その中より二、三を拾って挙げてみよう。

 ▽開局薬剤師、病院勤務薬剤師、プロパーさん、メーカーの技術者、官公庁の行政を担当する薬剤師等に共通な点とは一体何か、間違いなく共通なものは薬剤師免許証である。これは私の自動車運転免許証とタクシー運転手のそれとの共通性と変りはない。私とタクシーの運転手とが免許証の共通性の故に団結するのはナンセンスである。次に薬を扱うという共通性(直接・間接を問わず)、これも私とタクシーの運転手とが自動車を扱うという共通性と同様であって、団結のきっかけにはなり得ない。同一の学校或は同一系統の学校を出たという共通性も必ずしも重要な意味は持たない。薬剤師諸先生はもっと大きな、もっと基本的な共通点を見出すことに思考をめぐらすべきである。私には結論が瞭きりわからないが、薬剤師や薬剤師団体としては考えなければならぬ点もあるようであり、又記者の孤高より来る諷刺のようにも思える。

 ▽薬剤師には政治力がないという。政治力がないのか、政治的関心がないのか、政治的意識がないのか、その辺の区別すら明確でないのが薬剤師会ではなかろうか。一人々々が僅かづつの政治力を持つもよかろう。しかし何千人分、何万人分の政治力にも値いする一人の政治家を落選させるような政治的無関心では薬剤師会は救われない。云々

 全く同感である。剤界の不甲斐なさが悲しくなる、よくよく薬剤師はこのことを肝に銘じて忘れてはならない。今後機会ある毎に堂々と剤界の代表者を国会に送らねばならぬ、その覚悟がなくてはならぬ。

 ▽あなたは薬剤師ですかといわれると片身がせまい思いをする時がある。察するに、集団としての薬剤師の社会的地位は必ずしも高く評価されていないかであろう。社会的地位の向上は経済力から、経済力は政治力からという考え方も一応うなずける。しかし私は薬剤師の社会的地位の向上は教養から、教養は読書力からといい度い。私は今病院薬剤師の読書力の貧困をなげいている一人である。これも同感である、薬剤師だけでなく、人として社会的地位向上には「教養」が第一であるが、教養は必ずしも読書力からだけではない。それに負うところは大であろう、しかし最も大事なことは「健全な宗教心」であろう。(鉄棒)

九州薬事新報 昭和42年(1967) 3月30日号

 スーパー『ダイエイ』小倉進出に対処して 地元薬業団体蹶起大会

 昭和三十八年各県薬業界に距離制限の条例が公布されて以来、各地区に種々問題を惹起しているが、本月中旬突如として北九州市小倉区田町(旧市警跡)にスーパー「ダイエイ」が進出、本年十二月に開店することを予定して、建築の準備がすすめられている。それは掲載写真のような工事現場の片すみに設けた三階の仮建物を薬品売場として(既設薬局玉屋百貨店薬品部よりの距離一五一・二米)申請書を提出した。

 地元小倉薬剤師会並に小倉医薬品商業協同組合、北九州地区薬業士会などはこれに驚き、早速業界からも距離調査に乗り出した処、一四五・八米であり、福岡県条例の一五〇米におよばずまたこのような構造の建物において医薬品の取扱い、販売などすることの是非につき、薬務行政当局に対し善処されたいとの趣旨で、二十一日には小倉区の小倉信用金庫において市内の業者約八十名が集まり、薬業臨時大会を開催して反対を決議、関係当局に働きかけることになった。

 また一方、北九州市は政令都市であり、従って申請書類を受付けた小倉保健所はその管轄下に在る関係もあり、福岡県医薬品小売商業組合北九州ブロック会、北九州薬剤師会、北九州地区薬業士会、県医薬品卸業協会北九州ブロック会の連名で(3月22日付)次のような要望書を市当局、市長市議会議長宛提出した。要望書の全文次の通り。

 ◆要望書

 「清潔なる市政」「百万市民の福祉厚生の強化拡充」などを標榜して新発足した「谷市政」はひさしく百万市民の待望せる市民主体の市政であり、市議会もまた相呼応して政令都市の発展的飛躍にその職能と権威を鼓吹、市会議員もまた百万市民の負託に襟を正し、その良識と市政浄化に情熱と叡智を払われていることはわれわれ市民としても大いに意を強くし、その努力に至大なる期待を寄せているものであります。

 今般、田町旧市警跡にスーパー「ダイエー」が進出することに就きましては日刊紙其の他により周知のことゝ存じますが、地域商業振興、市民消費生活向上の面におきまして一面歓迎すべき現象でありわれわれとしても異論のある処でありませんが多面中小企業の影響する処も極めて大きく、当局におかれましてもこの面に特に留意され、中小企業育成の施策に万全の対策を考慮されますよう特に要望するものであります。

 スーパー「ダイエー」が薬品部開設の申請書を三月十日小倉保健所に提出され、目下構造設備など薬事法の許可基準に基づく申達業務過程の作業が続行されている訳でありますが、ここで薬品部開設申請に若干の疑問点があり、われわれとしてはこの疑問点が釈明されない限りこの設置問題に対しては断乎反対の決意であります。

 一、県適配条例に基づく至近距離の(玉屋薬品部)店舗との相互至近起点からの測量(公認測量士)の結果明らかに、一五〇米の条例に抵触するものであることが判明、従って申請書類受理は(小倉保健所)不適と思考されます。

 二、保健所におけるかゝる書類受理に関連して、一般薬務行政面の権限が今日迄市に何等移譲されざる現況は、地方自治法に基づく政令都市の市政運営面に多大の不便を感ずるばかりでなく、百万郡市市政の権威の上からも早急に行政権限の移譲を実現すべきであると思惟致します。

 三、建築基準法第六章雑則第八五条四項に基づく仮設店舗の申請手続が三月二十二日の時点においてなされておらない事実は明らかに「ダイエー薬品部」の店舗は不法建築と断定せざるを得ない訳でこの面の特定行政庁としての見解をお尋ね致します。

 四、百歩譲って、当該店舗を仮設店舗と認め営業を前提として許可を与え、一般消費者の利用に供せんか、別掲現場写真のごとく誠に保安上安全性の面からも、不測の事故の発生も十分憂慮されるものと考察されます。

 以上四点につき前述のごとくわれわれ市民の保健衛生に重大なる責務と使命を負わされたものとして現業認識に立つ時、断じて反対をせざるを得ないものであり、こゝに三月二十一日北九州薬業者総決起大会において決議されました決議文を相添え事情申上げた次第で、当局におかれましても慎重研究検討の上、十分なる善処方を左記連名にて要望を申上げます。

 なお本問題が単に北九州だけの問題でなく薬業界全体にとって参考になるものとして、小倉薬剤師会、小倉医薬品商業協同組合の連名により業界の薬事日報、薬局新聞、ドラックマガジン、九州薬事新報の各社宛にも実情を具し左記内容の記事が(3月22日付)送付された。

 ▽報知書全文
 拝啓 貴社益々御発展の段大慶に存じます。 陳謝今般等地区においてスーパー「ダイエー」薬品部進出に関して地元薬者との間に問題点を生じておりますこのことは、只北九州だけの問題でなくわれわれ薬業界にまで非常に参考になることがらだと思いますので、現時点までの経過報告を左記のごとく致しましたので貴社の紙面に携載し全国の小売店にお知らせ出来るようお取計下さい。

 経過報告
 一、距離〜申請書によれば申請薬局と基点薬局(玉屋百貨店薬品部)の距離一五一、二米。地元薬業界の調査によれば一四五、八米(福岡県条令一五〇米)
 一、建物〜現在申請している店舗は添付写真のごとく工事現場事務所の三階にて営業が到底出来る状態ではない。只単に許可を取るための手段に過ぎないことは明瞭である。なお、北九州市小倉区建築局審査課で三月二十二日調査の結果、申請書に明載されている建造物は、建築基準法第六章雑則八十五条四項の規定に違反する無許可の不法建造物であると断定された。
 以上のごとき状態で許可申請書を当該保健所に提出したことは真に法の精神に反することで、かかる一連の行為で許可がおりるということは言語道断なことである。よって貴社の御判断により貴紙に携載の上全国同業者に訴えられんことを切に御願い申し上げます。

 なお、業界読者の参考として地元における第三者である日刊紙毎日新聞「西部」(3月21日付第30249号)に記載された当時の報導は左記の通りである。

 ◆薬品同業者が硬化 スーパーダイエーの小倉進出

 スーパー界のナンバー・ワン"ダイエー"が、小倉区田町に進出、十二月店開きを決めたことは市内の商業関係者にショックを与えているが、早くも地元商業者との間に"低気圧"のふんいきをかもしている。

 ことの起りはダイエーが十日薬品売り場の開設許可申請を小倉保健所に提出したこと。同申請には一定の設備基準が必要なため、ダイエーは店舗建築工事現場の片すみに一部三階の仮建物を建設、三十平方メートル足らずの三階を薬品売り場として申請した。

 薬局、フロ屋などは過当競争を避けるため、県条例で店舗間隔を制限、県では百五十メートル。
 申請書によると、一番近い小倉玉屋の薬品売り場まで一五一・二メートルとなっている。ところが小倉薬剤師会(藤井幸男会長、百二十五人)小倉医薬品商業協同組合(松島雄組合長、八十五人)が調べたところ一四五・八メートルしかなかった。このため両団体は県薬務課と小倉保健所に
 @県条令の"一五〇"をあくまで守る。
 A仮建築のバラックは店舗とは見なしえない。
 の二店から「このままの状態で営業許可を与えないよう」要求、さらに二十一日には小倉区の小倉信用金庫で市内の薬業者を集め、臨時大会を開催、反対を決議、関係先に働きかける。