通 史 昭和41年(1966) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和41年(1966) 12月10日号

 年末年始の間広告規制に就て 福岡地区薬業者懇談会

 福岡地区薬業界では年末年始を控え、チラシ配布による乱売合戦を防止するため十一月三十日十時より県薬会館において広告規制について懇談会を開催した。

 福岡地区では、今年度、卸組合の斡旋により度々量販店並に乱売店などとの話合いを重ね業界安定を図り小康状態を保っていたが、去月下旬に入り医薬品の安売り広告が相次ぎ、乱売合戦となる虞れが生じ、関係者は憂慮していたが、先の全国薬務課長会において業界の販売態度是正の指導が強調され、薬業界の安定が終局においては国民生活に寄与するとの観点から、県当局は業界安定に積極的に協力するとの態度を表明している時でもあるので、県当局を始めメーカー、卸並小売組合、大型店、乱売店など、卸側の斡旋により懇談会を開会することになったものである。

 当日は製企会八社、家庭薬メーカー二社、卸八社、組合関係三名並に大型店、乱売店十二名(欠一名)及び県当局より尾崎課長、大庭課長補佐などが出席した。

 懇談会はまず卸側を代表して大黒社長は「年末、年始を控え、チラシ合戦など憂慮されるが、卸側のみの力では解決も困難であるので県当局も含め、各階の協力により安定を図りたい」とあいさつし、県当局からは「近来薬業界に対する批判はまことに酷しい。これを融和するためには先づ薬業者の販売姿勢を正して貰いたい」と警告され、なお医薬品は一般商品と異なり価格の高低でのみ販売されるものではないことを消費者にまず理解させることが大切であり、そのため販売には取締りも、亦販売資格も必要とされ、そのため法的保護もされている。

 販売態度の是正の中には広告のファクターもあると注意を喚起し、次いで大型店、チラシ配布店などの意見をも聞き、種々検討した結果、年末、年始を控えた業界安定のためには、先づ広告規制が必要であるとして、差し当たり年末年始にかけ、医薬品については他店を刺激するような広告は一斉出さないことを申合せた。

 然し当日、責任者の出席が得られなかった渕上並にバーゲンセンターについては小委員会を作り話合うこととし、その結果この二店が実際に広告規制に協力すれば他は広告を実施しない事を確認した。なお、一般小売店にも同様広告規制について周知徹底を図ることとして当日の懇談会を終了した。