通 史 昭和41年(1966) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和41年(1966) 6月10日号

 初の全体理事会 理事長に鶴田喜代次氏

 福岡県医薬品小売商業組合では先に決定した理事により初の全体理事会を6月1日2時より県薬会館で開き理事長及びその他の役員を選出した。当日の出席理事は26名中17名であつた。

 先づ吉柳氏を議長に、理事長1名を選出することになり選考委員を各ブロツクより1名宛選出(斉田、鶴田芳野、本松)議長を加えた5名により選考の結果、理事長に鶴田喜代次氏を選任、次に副理事長四名を各ブロツク毎に一名選出、会計理事、専務理事並に常務理事は理事長指名で(専務は福岡市に開局の西森氏を新たに理事に追加の上)決定し、監査員及び総代は各地区共6月末迄に選任することになり、次いで顧問、県安定協小売側委員をも推薦選出した。理事長外、氏名次の通り。

 ▽理事長  鶴田喜代次(筑後)
 ▽副理事長 斉田和夫(福岡)松島雄(北九州)岡野辛一郎(筑後)本松茂晴(筑豊)
 ▽専務理事 西森基泰
 ▽会計理事 須原勇助
 ▽常務理事 斉田和夫、吉松正記、松島雄、井上浩一、岡野辛一郎、川島豊本松茂晴、飯野敏夫
 ▽顧問   白木太四郎(全理事長)、古賀治(元理事長、)深田徳治郎(県薬事協会長)
 ▽県安定協委員 斉田和夫、吉松正記(福岡)松島雄、井上浩一(北九州)岡野辛一郎、川島豊(筑後)本松茂晴、飯野敏夫(筑豊)西森基泰(事務局)鶴田喜代次(理事長)四島久(県薬会長として)

 次いで41年度本組合収支予算案を総代百三十名に送付の上承認を求めることとなり、細部については常任理事会に一任することとなった。尚会議終了後同所に於て前理事長並に幹部役員を招き慰労の小宴を催した。

 =豆知識= 馬場正守

 ▼常用消毒剤の効力について、
 腸チブス菌(H九〇一)を使用しての効力について以下の様な成績で逆性石?が極めて有効である。
 硼酸‐一‐五%溶液で一時間作用させても殺菌作用はない。
 過酸化水素水‐有効。
 過マンガン酸カリ水‐有効。
 イソプロ消アル三〇%液‐七〇%エチルアルコールと同等の効果がある。
 リゾール‐有効。
 逆性石?液‐リゾールより安価で殺菌効果は三〇‐四〇倍。
 これから夏期の食中毒の予防、赤痢チブス等の流行期に入るので、之等の消毒剤を防疫的に上手に使用したい。

 ▼衣類にチユーインガムがついて時の処置
 衣類を四塩化炭素かベンゼンの中に浸してもめばとれるが、ガムの原料が違えばこの方法ではとれないのでシンナーを使用する。古くなると困難になるので早めに処置する様に。

 福岡県女子薬 本年度總会 志賀島勝馬で

 福岡県女子薬剤師会では今年度総会を去月21日11時半より、志賀島勝馬海岸の志賀の浦荘に於いて約70名出席のもとに開催した。

 当日は40年度事業並に決算報告及び新年度予算などについて積極的な質問、意欲的な審議をした後、役員改選を行い次の通り決定した。尚会長は種々な理由で当分の間空席のままとなった。

 ▽副会長=田中美代、森山富江、末田シミ、馬場スナエ
 ▽常任理事=綱島幸枝、原口静、清水清子、三輪ヤス、末田スミ子、広瀬清子、石井多喜子
 ▽会計=清水清子
 当日は和やかな清遊を兼ねた総会であつたが和気藹々裡に帰博散会した。

 福岡市勤務部会 総会並講演会

 福岡市薬勤務部会では5月21日2時より、市内第一生命ビル三鷹ホールに於て第16回総会並に講演会を約60名出席のもとに開催した。

 先ず総会では役員改選が行われたが、前会長堀岡正義氏重任となり、他の役員は後日会長指名により決定することになった。次に講演会に移り、約1時間熱心に聴講し引続き同所に於て懇親会を催した。

 当日の講師及び演題は次の通り
 ▽プリンペランについて
 藤沢薬品工業株式会社 開発本部長 宮崎道治

 =豆知識= 馬場正守

 ▼私達は慢性水銀中毒か
 イネのイモチ病に有機水銀が有効であることが判明する以前の米の産出とそれ以後の米の生産に毎年豊作つづきで、おそらく面積当りの米の生産額は世界第一と思う。アルキル水銀剤がこの豊作の大きな原因をなしていることは良く了解されるが、現在では年間四〇〇万トンが全国の田畑に散布され、イネに散布された水銀は葉から吸収されて、穂に移り、米の中にはいる。白米には〇・〇七PPM、玄米には〇・一四PPMの水銀が含まれ米を常食とする日本人の毛髪には平均六・〇PPMの水銀が含まれ、欧米人の三倍以上もあるといわれている。

 水俣病の原因もアルキル水銀と云われ新潟のも同じ原因と云われており運動失調、視力、言語、聴力障害、精神異常などが現われる。水俣病の時は毛髪中から五〇〇PPMの水銀が検出されているが常食の米に水銀が入っているだけに慢性的に蓄積していくとすれば、日本人はすべて、水銀中毒になるやもしれず、恐ろしい気もして来る。

 米を食べずに麦を食べれば良いと考えられるが、イネの裏作に麦をつくつていることから考えれば麦にも、多少の減少はあっても含まれていることは間違いないであろう。とすれば、私達は何を食べて良いのか。

九州薬事新報 昭和41年(1966) 6月20日号

 福岡市学薬 僻地校調査 脇山、内野、板屋

 福岡市学校薬剤師会は先の理事会に於て決定した僻地校に対する調査を去月31日五月雨の中で決行した。当日は福岡市薬剤師会斡旋による、市卸薬業会より寄贈の保健薬、成人病薬など多数のサンプルを携え、早良郡脇山、内野両小学校の照度、空気、食器、黒板などの検査及び同部落の慰問を行つたが、地元よりの非常な喜びと感謝を受けた。

 当日の出席者は、友納県学薬会長、内田市学薬会長を始め、柴田、馬場、江頭、杉山、野口の学校薬剤師であった。尚31日悪天候のため調査出来なかった板屋分校については6月6日午前にあらためて調査を実施した。

 福岡市女薬会 新役員決定

 福岡市女子薬剤師会総会は6月12日午前より福ビル九階ホールで開催され、出席者四七名にも及び盛大に行われたが、当日の役員改選の結果次の通り正副会長が決定した。

 ▽会長 藤幸江
 ▽副会長 磯本美穂、城戸嘉寿子
 ▽会計理事 堀田ミツ子

九州薬事新報 昭和41年(1966) 6月30日号

 おざなりを許さず 福岡地区小売組合 断乎決意の片鱗を現わす

 福岡地区薬業小売組合では去る10日の地区安定協に於て、家庭薬メーカーをも招き、目玉商品化した家庭薬対策を検討した折も折、翌11日の試売により、福岡地区で常に問題となったバーゲンセンター一丁目店が、「サンテドウ」(再販品)に50円の同店金券を添付していることが瞭らかとなったため、再販を護ろうとの気運にある組合側としてはこれによって再販全般のくずれをおそれ、直に某納入卸問屋並に当該メーカーに善処方を申入れていたが、其の後10日以上経過したにも拘らず、何等契約違反に対する措置がとられていないところから、6月20日3時より県薬会館に地区組合役員は卸側代表の出席を求めて大体左記のような申入れを行った。

 過去約3年間に亘り、バーゲンセンターによって他の小売店は被害を蒙って来たが、一大型店にメーカー、卸が振り廻され、その結果多くの組合員が被害を受けている現状を断然打破すべく、又業界の要望である再販育成を阻害し、再販そのものを危くするなど、大乗的な面からもこれを黙視することは出来ないので組合では先ず第一段階として、
 @組合員は当該メーカー製品は一品たりとも福岡地区に於ては売らないことを目標とする。
 A再販品に対しその価格を守らせ得ない当該卸問屋については、今後他の再販品についても亦同様なことが起り得るとし、当該卸問屋との再販契約はこの際全部これを組合団体の力で破棄する。
 B組合員は当該メーカー品の支払を卸側に対し一時停止し、能く事情を説明し、卸側も小売に歩調を合せてメーカーへの支払を中止して貰う。
 C25日開催の県安定協に於て各ブロツクの了解を得た上実行に移す。必要とあれば全県下又九州一円の問題とすることをも考慮する。
 D今後当該卸問屋、メーカーとの話合いは役員各個人面接をさけ、公的立場でのみとする。

 其の後、当該卸、メーカーは役員を歴訪、話合いを求めたが、各役員共個人的の話合を拒否したため、23日1時より再び県薬会館に組合側役員の出席を求め、福岡地区卸側全員並に当該メーカーと談合、翌24日も引続き話合った結果、福岡地区卸組合の斡旋により27日11時より丸紅に於て市内約10店、バーゲン其他の量販店並に組合役員との間で懇談することになり、その結果を待つことになった。

 =豆知識= 馬場正守

 ▼あなたはノイローゼか?精神分裂症か?
 次の様な症状があればトランキライザーやクロルジアゼポキサイドの必要が考えられます。
 (1)自分はいつも気がゆきとどかない。
 (2)何かやった後で、重大な事に気がついてくやしがる。
 (3)人前では自由にふるまえない。
 (4)劣等感に悩まされる。
 (5)決断心がにぶくて困る。
 (6)まわりの人が自分をおとし入れようとしている。
 (7)遠くで自分の悪口を云っているのが聞える。
 (8)電波の仕かけがしてある。
 (9)たべものに毒が入っている。
 (10)他人が自分をつけねらつている。

 以上のクイズだけでは充分とは云えませんが(1)〜(5)迄にあてはまればノイローゼで(6)〜(10)にあてはまれば分裂症が疑われます。

 ▼尿がズボンに附着して汚れたとき
 尿が附着すると直ぐでないと変色し、仲々落ちにくくなる。アンモニア水または二〇%酸性蓚酸カリ液でよくこすつた後、水洗する。または希塩酸または過酸化水素水で処理し、充分水洗する。

 ▼水溶性の附着物のシミヌキ剤は
 酢酸エチル  一、〇
 良質石けん  六、〇
 水      一、〇
 クロロホルム 一、〇
 アセトン   一、〇
 メタノール  一、〇
 以上混和して調整する。これで行えば大部分の水溶性のシミは落とすことが出来ると云われているが私は未だ追試していない。