通 史 昭和41年(1966) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和41年(1966) 4月10日号

 福岡県薬剤師会 代議員会並総会 正副会長再選

 社団法人福岡県薬剤師会では第21回通常代議員会並に総会を3月28日午前10時より福岡市町村会館4階ホールに於て代議員54名その他約百二〇名の出席を得て開会した。今回は任期満了による役員改選、日薬刷新後、初の代議員会であるため終始活発に論議された。

 会議は岡野副会長の開会あいさつに始り、先づ四島会長は、昨年高野選失敗後、県薬日薬共臨時代議員会を開き、人心一新をはかったが、その後は今後の会自体の在り方を決定する準備期間であったと思う。 四つの新らたに設置された調査委等で大体の方針が出されたので、今後はこれ等に向って取組まねばならない。先づ会員の増加、薬業経済安定方策(完全医薬分業実施)、勤務薬剤師の待遇改善などが基本線である。

 第一に実力ある会にしなければならぬが、今日迄の悪循環を打切り、会員を倍増し、仕事をする事が会を強力にすると云った善循環にしなければならない。又薬業経済安定については完全分業実施が基本線で、現在既に分薬は実施されてはいる。然し内容は分業とは全く程遠いものであるが社会情勢、与論も今その機運にあるから、この機をはづさず邁進達成せねばならない。

 調剤センターの件も種々誤報されている様であるが、日医、日薬の話合いではあくまで薬剤師会でと云うことになっている。このことが一般薬局の分業実施に支障を来たすおそれも考えられるので、慎重でなければならない。又受入態勢が云々されているも処方せんが出るようになればおのづから受入態勢は整備されると私は考えている。今は如何にして処方せんが出るようにするかである。実際に処方せんを発行するのは医師である。医師が投薬しても利益が無ければおのづから処方せんを出すようになろう。そして調剤手数料を引上げるなどの方策を着々と進めなければならない。

 又会は勤務者と営業者の二つに分ける外はないが今後は公益団体としての性格に労働組合的要素をも加える必要があると考える。今年は薬剤師会の実質的な基本線が打出される年であると考えるので、これを考慮の上充分審議して頂きたい。とあいさつし、次に来賓の祝辞が述べられた。

 次いで渋田議長は代議員定数68名中54名出席で会の成立を宣し、議事録署名人に波多江嘉一郎、内田数彦の両氏を指名し、直に議事に入った。

 ▼報告事項 報告第一号 昭和40年度会務並に事業報告 一般会務(41年会員数一、二六六名で前年度対比三八名増)並に恒常的事業につき工藤専務理事その他それぞれ担当理事より報告され、あと質疑応答となり(○印は質問、△印は執行の回答)

 ○ 日薬、県薬共「三師協調」という言葉を使っているが、医師に対しては協調でなく対決にされたい。
 △…薬剤師制度が施かれて80年、大義明分がありながら涙をのんで来た。吾々現在、一連の力関係を考えた時、おつしやる事は無理もないが、実際出来るものから一歩一歩努力、獲得し、社会状勢の好転の機をいつとすることなく一丸となって、強力に推進しなければ分業の実現は出来ない。

 ○…薬剤師側は数においても質においても劣っているとは思わぬ。メーカーからも吾々の同志と思うから戦って負けるとは限らぬ。会の団結が出来れば戦えないことはない。  △…医師が処方せんを出すような方法に持って行くべきだと考えている。医師が薬を売っている現状を改めこれを薬剤師に戻せと云うことで、薬価基準を決める委員に薬剤師を入れる運動など種々具体的なことをやっているが、これが間接的な対決だと思う。

 ○…支部で吾々勤務者は薬剤師会費四千二百円、病薬会費五百円を負担しているが、五百円の病薬の方が余程吾々のためにやっている。又適配条例も吾々にとっては不利で、このような事が解決されねば会員の増加はのぞめない。
 △…吾々もご意見を伺い考えねばならぬ点もあるが然し誤解されている面もある。職能を生かしている薬剤師は約五万四千人。その中営業している者は殆んど加入している。増強するためには勤務者(職種は色々であるが)しかない。直接問題だけを考えればそのような解釈も出来ようが、将来を考え現実を見て貰うならそこに若干の錯覚もあると思う。薬剤師会があることは有形無形の利益があると考える。又適配問題は全体的な目から見て、その時の状勢により実施されたが今後どう適用されるかは今後の問題であり、又あながち勤務の方々が考えておられる通りではないと思う。会に加入することは損だからいやだということでなく、今後会を積極的に又建設的に考えて貰いたい。

 ○…勤務の吾々は開業の希望を常に持っている。この適配問題でいかに勤務者がソッポ向いているか、是非中央にこの声を反映して貰いたい。  △…条例の解釈に誤解がある。許可しなくていいかどうか審議会に諮るものである。それは融通性のあるものになって、本来の姿にかえると思う。現在でも特例で、知事が認めれば、保険薬局確保の意味で距離がなくとも開設は出来る。
 △…適配問題も佐賀県で調剤確保のため薬種商店舗より70米の場所に薬局開設許可があり開局に成功している。これ等も運用如何にあることは明かで、そのためにはバックアップが必要なのである。組織強化が出来た時、強力な実力ある会が出来る。メーカーは薬業者であるが、経済には特に敏感である。よく考えて貰いたい。などであつたが、報告第1号を承認、中食の後再会。

 報告第二号 第21回日薬代議員会出席報告(野口代議員)
 報告第三号 昭和40年度歳入歳出中間報告(鶴原会計理事)
 一括上提何れも異議なく承認。

 ▼議案
 議案第一号 昭和40年度歳入歳出予算補正の件
 議案第二号 昭和39年度歳入歳出決算認定の件
 を一括、佐治理事説明、須原監事より監査報告があって、原案通り異議なく承認。
 議案第三号 昭和41年度事業計画決定の件
 非常に困難ではあるが、新生日薬の事業計画に協力し共々に前向きで躍進したい。
 議案第四号 昭和41年度会費決定の件
 40年度と同額で値上げしない。
 議案第五号 昭和41年度一般会計予算決定の件
 歳入歳出それぞれ九、七九九三、〇〇〇円の予算
 右三議案を一括上提、何れも原案通り可決決定したが主な質疑応答は次の通り。

 ○…A会費には段階をつけB会費は全員加入するよう半額か三分の一位にして貰いたい。
 △…段階をつけることは前から云われているが、実際面で県薬としては仲々むつかしい。地区において実施されるのはかまわない。実施している地区もある。B会費を減額することは数年前から勤務部会において検討して頂いたが、会費を減額しても加入者数は増えないとのことであつた。理論的にはやさしいが、日薬負担金を支払えば現在では精一杯である。会費を下げて加入して貰うか、加入増加して会費を下げるかと云うことである。
 △…会費は有形無形によって戻されれば高いとはいわれない。 

 ○…分業を阻害している医師法の但し書、乙表病院の実態(薬の販売行為)、薬大新卒が毎年三千もあるのに新しい薬種商をまだつくつている事実、薬剤師であれば開局出来るといつた保険薬局制など、薬事制度改善につき研究対策を推進されたい。
 △…分業阻害排除には政治力が欲しいのであるが悪循環になっている、実際問題として医師と争っても今は勝目はないが、あってもなくてもやらねばならない。そのため力ある薬剤師会にする必要があり、力があれば魅力も出て会員もふえよう。何処かでどうして今の悪循環をなくすか、吾々薬剤師の自覚より進める外はない。薬剤師会の本当の目的は分業完遂より外はない。これによりあらゆる職能が向上する。日薬も分業対策本部をつくり具体的に推進することになっているので協力をお願いしたい。

 ▼選挙 役員並に日薬代議員、予備代議員選挙の件 選考委員制を採り各地区より選出した委員十二名に議長を加え、別室に於て慎重選考した結果を議場に諮って左記の通り決定した。
 ▽会長 四島久
 ▽副会長 長野義夫、岡野辛一郎、堀岡正義
 ▽監事 荒巻善之助、三宅清彦
 ▽日薬代議員 長野義夫、工藤益夫、福井正樹、鶴田喜代次
 ▽予備代議員 中村里実、林真一、古賀哲哉、藤野義彦
 正副会長は再選任となったが、四島新会長は新役員を代表して挨拶し、次いで竹内理事の閉会の辞により一応閉会となり引続き総会を開催した。

 総会
 竹内理事の開会の挨拶、会長演述の後、昭和39年度歳入歳出決算の認定、優良支部表彰を行って引続き薬政会懇談会(本紙別掲)に移った。

 優良支部は左記五支部で各支部長に賞状並びに記念品代が授与された。
 直方支部(特に六回連続受賞支部として)、田川支部、宗像支部、久留米支部、若松支部
 尚懇談会に引続き同所地階において懇親の宴を催した

 福岡県薬剤師会 新理事決定

 福岡県薬剤師会は去月28日の代議員会に於て、任期満了による役員改選で正副会長が再選されたが、4月1日県薬会館において正副会長会を開き左記の理事15名並にその担当業務を決定した。

 ▽専務理事
 工藤益夫(庶務)

 ▽常務理事
 友納英一(学薬、薬制)
 竹内克己(渉外、組織)
 鶴原正蔵(会計)
 鶴田喜代次(薬業経済
 安部寿(薬局委)
 福井正樹(勤務)
 上田ヨシエ(女子薬)

 ▽理事
 林真一(学術)
 中村里実(社会保険)
 佐々木照政(勤務)
 大木野与助(組織)
 園田福一(社会保険)
 側島希充(公衆衛生)
 谷口卓(薬業経済)

 福岡大学薬学部 新薬学士誕生 一〇四名巣立つ

 福岡大学薬学部昭和40年度薬学士試験合格者(同部卒業者)は左記一〇四名である。

 明石啓介▽浅尾美彌子▽浅川民子▽綾部静子▽有馬純▽安藤多門▽阿武春雄▽井出将之▽井本さつき▽井上玲子▽池田文子▽石田洋子▽植信明美▽占部広子▽江藤木立▽江藤節二▽尾形隆▽小野浩一郎▽小野聖毅▽小野尾身延子▽大石栄二▽大迫茂子▽大塚英子▽大林志津子▽大村公子▽岡部昌之▽落合ムツミ▽加来雅子▽柿坂一枝▽鎌田杏子▽川浪崇稔▽木原工▽柏木洋子▽櫛来和司▽熊野真佐子▽古賀国臣▽古賀康子▽小山武志▽近藤道子▽嵯峨山桜子▽酒井俊夫▽貞長清美▽清水貞宏▽清水義長▽重藤寿美子▽柴田啓子▽島津栄治▽正山征洋▽白岩次嘉▽杉山雅美▽杉山洋子▽尊我部武彦▽早田喜美子▽尊田浩子▽高木丈夫▽高橋嘉子▽戸田昭洋▽徳永昇▽中川欣一▽並木紀子▽野々村紙子▽延山光子▽初村育男▽早田愛子▽原守男▽開弓司▽平馬和仁▽広田正己▽富士谷弘子▽福井淳子▽福山智子▽藤原道弘▽藤村早苗▽松尾元昭▽松高昭子▽真鳥礼子▽松原登美枝▽松本芙美▽松元豊子▽前村毅▽三好公子▽三井彬嗣▽蓑田春美▽宮崎勇▽宮崎公子▽森喜美子▽森須緑▽森本克己▽矢田部正弘▽保田千代▽柳原孝之▽山口忠敏▽山崎徹郎▽山田貞夫▽山元紀代▽大和弘蔵▽吉田孝子▽龍則子▽渡部紘美▽田上稔▽仲本興治▽野間口利夫▽林田哲昌

 福岡県薬商組 理事支部長会三月例会

 福岡県医薬品小売商業組合は理事・支部長会3月例会を30日午後一時から県薬会館で開会した。先づ白木理事長よりの中央安定協並に中央情勢についての報告に引続き、福岡県安定協及び3月28日名古屋市に於て開催された全国医薬品小売薬業団体連絡協議会報告が白木理事長、藤野専務の両氏により詳細になされたが、元々この協会の設立目的は小売側窓口の一本化及び小売業者の思想統一であり、依って会の構成は全商連、全薬連、協同組合(薬商組未設置、未加入地区)、日薬(開局部会)からなり、小売店は何れかの団体に属しているとの考え方であるが、これについては当日支部長より今後の運営面などで、単に役員だけの検討に終らず、あくまで会員全体の意見を徴した上で、これを以って臨んで貰いたいとの要望があつた。それより左記事項につき協議、報告に入った。

 (1)昭和41年度組合総代会開催について
 調整規程継続手続きなどの関係もあるので、総代会開催日は5月16日とし、当日午後一時半から福岡市、田辺製薬福岡支店会議室に於て開くことを決定し、その準備のため理事・支部長会を4月21日に本会館で開会することをも決定し、次いで総会附議事項などにつき種々検討した。

 (2)会費徴収に関する件について
 大体筑後地区の徴集が良くないが、良くない地区はおおむね集団脱退など纏まらぬ地区であり、この会費徴収に関連して「正直者が馬鹿を見る」との好ましからざる気運が他地区にも起りつつあるかに思われるので、今後県商執行部に於て纏め方について一層の努力を傾注することになった。

 (3)各地区の情況報告
 特に北九州地区に於て26日開かれた第三回薬業懇談会において、指導価格品目希望価格品目の各価格を守ると共に一方これについて広告をしないことを決め4月1日からそれを実施することを申合せて安定に向って一歩前進したとの報告があつた。以上にて当日の理事支部長会を終了した。

 福岡県薬政会 懇談会 会費負担決定

 福岡県薬政会懇談会は3月28日開催された県薬代議員会並に総会閉会後恒例により同会場で引続き開催された。薬政会としては去る23日の評議員会で、今後従来以上の活発な活動をなすべきであり、全会員の認識をも改めて貰うために新たに五百円の会費を徴収(40%は支部に還元)して一層の具体的活動をなすことになったと会長より説明があり、二、三の質問、又意見など述べられて閉会となった。

 支部別保険調剤調査票 昭和41年2月分 福岡県薬剤師会

画像


九州薬事新報 昭和41年(1966) 4月20日号

 福岡市薬剤師会 理事部会長会 22日の総会準備を

 福岡市薬剤師会では4月14日11時より県薬会館に於て理事会を、1時半より部会長会を開催した。当日は主として22日櫛田会館に於て開催される市薬総会の付議事項について検討された。

 部会長会は先づ報告事項として、@3月25日付県薬より発せられた医薬品販売上の注意、A富山市に於て開催された第22回日本薬学大会出席報告があり、次に4月22日10時よりの市学薬総会に引続き開催される市薬総会につき協議したが、年一回の総会に出席もせず、会の在り方を云々するような事がないよう、又付議事項などは良く部会に於いて検討した上、出来るだけ多数出席されるよう執行部より部会長の協力を要請した。

 又事業計画は一応、日薬、県薬のそれに従って大きな問題をかかげられてはいるが、現実に、具体的にはどうすればよいかなどの意見を用意されたい。又学薬総会には現在学薬でない方々も、薬剤師であればすべて学薬師である他地区の事を考え、学薬師以外の会員の出席が特に望ましい。

 今回は役員、県薬代議員の改選期であるが、県薬代議員18名の選出については、日薬、県薬共に代議員は会の実状に明るい会員を選んで貰い度いとの希望であるので、この点も充分考慮し選挙して貰いたい旨これ亦執行部より強い要望があって、五時閉会となった。尚当日別室に於て福岡市学校薬剤師会も総会準備のため理事会を開催した。

 薬界短信

 ◆九州漢方研究会=4月例会を20日福岡県薬会館に於て左記により開催
 最近の治験例=戸田講師
 ▽類聚方広義抄(五)=山口講師▽五苓散について=森講師▽漢方診察法入門(一)=宣本講師▽防巳、杏仁、?耆=塚本会長▽特別講演「黒焼について」小早川講師
 ◆福岡市学校薬剤師会第11回総会=4月22日(金)午前十時から櫛田会館に於て(午後一時からは市薬総会開会)開会される。
 ◆福岡市薬勤務部会=第一四六回例会を4月23日二時から博多ステーシヨンビル七階会議室で次により開催
 @日本薬学大会報告=九大病院薬剤部長堀岡正義
 A日病薬代議員会報告=済生会病院薬局長福井正樹
 Bはじめて可能となった動脈硬化の治療とその実際=万有製薬学術課長中辻保

画像
 □さけ礼賛□(その3) 荒巻善之助

 よく人から「あなたはどんなお酒が好きですか」などときかれる。そういうときは「どんな酒でもみんな好きです」と答えることにしている。酒はその場所、その雰囲気、その料理、などで自然に決まるもので、いつでも、どこでも同じものを飲んでも楽しくない。

 ひどい人になると「あなたは強いからウイスキーじゃないと駄目でしよう」などといつて料理も出ないうちからウイスキーをもつてくる。アル中じゃあるまいし空っ腹でそんなものがガブガブ飲めるものか。ところが酒は味あうのではなくて酔うために飲むのだと思っている人が非常に多い。酒を飲ませて相手が酔わないともてないかたが足りないと思っているし、「酒を飲んで馬鹿になりきらん奴は馬鹿だ」などという馬鹿な意見を酒をのむ度に披瀝する奴もいる。

 酒をのんで陶然となるのはたしかに気分のよいものだし、酒をのむ楽しみがそこにもあることはもちろんだが、酔うということはあくまで結果であって目的ではない。もしそれが目的になるときがあつたら、それは酒に堕することになる。酒は酔うもよし、酔わぬもよし、酔うて興ずるもよし、考えるもよし、人それぞれ、そのときどきの飲み方があろう。だが酒はいつも悠然と飲みたい。王候の如く悠然と飲みたい。王候の如くというのは美奴を侍らせ酒池肉林の中で、という意味ではむろんない。王候のごとく何物にもとらわれることなく興のおもむくままに飲みたいということである。たとえ一升三百五十円の焼酎でも王候の心もて飲めば古今の銘酒に優るとも劣ることはあるまい。酒聖李白の「酒を愛して天恥ぢず」ということばはこのことを云つたのであろう。

 日本の酒は我々の祖先が永い年月をかけて育ててきた日本人の酒である。その技術と伝統は、我々が世界に誇るに値するものであると思う。たしかにビールもうまいし、ウイスキーもうまい。だが我々が安物の洋酒を有難がって飲んだり、ビン入の殺菌ビールを「さけ」よりも高級だと思ったりしていたら一体誰が伝統ある日本酒の品質を守ることになるだろうか。

 自国の酒を卑めて、外国の酒を有難がつているとしたら、それは文化国家の名に恥ぢねばなるまい。香りの高い焼酎は酒屋を尋ねても買うことができないのが現状である。だが同じような酒でもウォッカと云えば何となく高級らしく聞えどこのバーにも置いている。日本の酒を愛する人が、もつとあってもよさそうなものだ。

 ヨーロッパの料理に「さけ」を用いるときは白ブドー酒の代りに、ということがよくいわれる。白ブドー酒は魚料理のとき用いられるので、日本のさけと味の上で共通点があるのだろう。外国の料理では魚料理が比較的淡白な料理だといっても、日本料理の淡白さとはその度合いが違う。だから日本人の食生活がだんだん外国なみになってくるともつと雑味のある、こしのある酒が必要になってくるのではなかろうか。

 日本は居ながらにして世界の料理が食べられる国だと云われる。それに合う世界の酒をとりよせて飲むもよし、まねて作るもよかろう。然し酒は旅を嫌うと云う、その土地の酒が一番うまいというのは常識である。まねて作つても伝統のある本物にはとても及ぶまい。とすれば日本人は日本のさけをそれぞれの料理に合うように育てるべきではなかろうか。魚料理用の日本酒、肉料理用の日本酒とさまざまのバライアテイに富んだものがあつたらどんなに楽しいことだろうか。(終り)

九州薬事新報 昭和41年(1966) 4月30日号

 福岡市薬剤師会 第21回定時総会
  市薬、商組会費一括徴収問題 正副会長改選の成行きに就いて

 福岡市薬剤師会では41年度第21回定時総会を4月22日午後2時より市内櫛田会館において開催した。 会議は斉田理事司会のもとに先づ友納会長は、顧みれば昨年、日本薬学大会を地元に開催、参院選には失敗、日薬、県薬の脱皮問題など色々な事が起ったが、吾が会にしてもこれ等について反省すべき点も多々あったと思う。今年度は県薬に於ても薬局部会並に勤務部会を新設して強力に会の推進を図ることになっているが、細部に関しては今後の問題であるので、県薬のそれに即応して、吾市薬も薬剤師としての筋を通して強力に進みたい。又経済問題についても現在種々困難な問題が起っているが、薬政会、商組などと手を携えて、あくまで薬剤師である事を忘れずこれに当りたい。

 とあいさつ、次に来賓祝辞として、尾崎県薬務課長は、個々の研鑽努力により分業目標に良心的薬業の発展を考えられたい。と述べ、次に四島薬会長は自らの所信、今年度の計画などについて述べてあいさつとし、白木県薬商組理事長は、薬商組は仕事の性質上椽の下の力的な存在で、無くてもいいとの声も聞かれるが、現在、開設されているスーパーに全部薬品部が開設されていたら……と考えて頂きたい。寝食を忘れて対策し、又阻止したものも数多い。仕事の性質上むつかしい面があり、表面にその効果が瞭きり現れない事が多い。つぶそうと思えば明日にでもつぶれる組合ではあるが、月に草煙三個分の負担で何等かのお役に立っている事を考え、今後共温たかいご支援をお願いする。と商組に対する認識をうながした。

 引続き会長を議長として議事に入り、会員三五〇名中二三二名出席(内委任状一八四)で総会は成立したが、会員の自分の会に対する無感心さをまざまざと示している。議長は先づ議事録署名人に荒巻、佐々木の両氏を指名し、報告事項として内田副会長より40年度事業報告、藤田代議員より県薬代議員会報告があり、次に議案@40年度収支決算、A41年度事業計画B同年度会費並に予算について大体原案通り決定したが、商組に対する負担金の取扱いについて会員より種々質問や意見が出された。 二年前より当薬剤師会の会費は商組の会費も含め一括徴集し(会費は前年同額で
 A会費年額 一八、〇〇〇円
 B 〃  〃 一三、五〇〇円
 C 〃  〃 一〇、五〇〇円
 D 〃  〃  七、五〇〇円
 E 〃  〃  五、三〇〇円
 41年度予算は五、二〇〇、四八五円である)

 これ迄商組に補助金として交付されたが、39年度、40年度共薬事協会側と商組との間に話合いがつかず、市薬事協会よりの会費の徴収は皆無の状態であるため、市薬剤師会員のみで商組の運営費を負担することの所謂正直者が馬鹿を見るとの非を叫んで、今後は市薬、商組が効果的に話合いが出来る様本会としては薬事協会対策など真劔に考えられたいとの強い要望があつた。

 次に任期満了による役員選挙が行われたが、県薬代議員18名及び福薬国保組合会議員6名の選出については新執行部に一任することとなり、会長及び副会長5名以内、監事2名の選出について選考委員制を採り、委員11名により選考、友納会長の重任を決めたが、友納会長は家庭の事情のため固く再任を辞退されたため、再度選考の結果左記、

 会長=斉田和夫 副会長=荒巻善之助、白木太一郎(薬局部会)白水静次(学薬部会)島明治(勤務部会)藤幸江(女子薬部会)の諸氏を選出したが、斉田氏が固く受諾を拒んだためその決定は選考委員に一任することになった。

 それより優良部会表彰に移り、箱崎部会(一位)、当任部会(二位)外八部会を優良部会として清酒が贈られ、引き続き同所において懇親の宴が催された。尚当日は恒例の還暦祝の式典が同神社に於いて行われたが、今年還暦を迎えた会員は次の四氏であった、大鳥源三郎、花田一郎、三浦喜久、御手洗秀介。

 福岡市学薬 第11回総会 正副会長選出

 福岡市学校薬剤師会では4月22日市薬剤師会総会当日午前10時より櫛田会館に於て第11回総会を開催した。先づ矢野会長は、学校薬剤師は今後増々環境衛生の面は重用視されると思われるので学校の環境など調査するだけでなく児童生徒にもこの面についての認識を深めさせる目的もあるので、度々検査し、その結果なども生徒と共々考えるような在り方を採り、薬剤師についての認識をPRすると共に薬剤師の地位向上に志して頂きたい。と述べ、次に友納県学薬会長は先の第22回薬学大会における学薬部会の報告をなしてあいさつとし、それより議事に入った。

 事業報告、決算認定、41年度事業計画並に予算決定、会費など殆んど原案通り可決した。次に任期満了による役員改選に移り、現役員の重任をとの声もあつたが、矢野会長の辞意固く、終に選考委員制により正副会長を柴田伊津郎、内田数彦、馬場正守の三氏を選考報告したが、柴田氏が会長就任を辞したため満場一致三氏の互選で会長を選び、後日通知する事を了承して1時半会を閉じた。

 福岡県薬商組福岡支部 本年度定時総会 役員改選、須原理事長留任

 全国都道府県薬務主管課長会議が厚生省講堂に於て本月二十五日開催されるが、当日の議題は主なるものは次の様なものである。

 福岡県医薬品小売商業組合福岡支部は、今日迄福岡地区事業協同組合を代行した形であつたが、去月開催された県薬商組の総代会に於ける機構改革に伴い、福岡ブロツクとして、福岡地区協組を復活することになったので、その支部として再発足するために6月4日3時より県薬会館において定時総会を開催し、今日迄の清算、役員改選などを行った。

 開会先づ須原理事長は今日迄の支部活動の経緯について説明、今後本組合は福岡地区小売組合の一支部として発足、他地区に率先して、困難な時期に立向って行きたい。と組合員の協力を求め、引続き、四島氏を議長に推し40年度事業並に決算報告、41年度事業計画案を承認し、次いで役員選挙に移り左記の通り決定した。

 ▽理事長 須原勇助 ▽理事 斉田、吉松、柴田戸田、大隈、糸岐、川原山口、稲永、西森、糸岐国武、勝野、塚田

 尚県薬商組総代28名の選出については、執行部に一任(特に元気あり発言力ある人を選ぶよう要望)41年度事業については、事業安定をはかることにあるので、このためには地区安定協に於て、詳細な情報を持ちより、卸、メーカーと共々これを能く検討し是正することにしたい。この委員選出についても執行部に一任することに決った。又予算については、薬剤師会より一括交付されるので、薬剤師会員以外の組合員について各部会毎に話合う事となった。

 福岡県薬理事会 会の組織拡充についての具体的検討

 福岡県薬剤師会では先に決定した新理事による初の理事会を4月16日午前より県薬会館に於て開会し、本年度県薬の基本方針などにつき検討した。先づ会長は、本年度の事業は分業推進と地位向上、組織拡充が根本となる、名目上の役割でなく渾然一体となって実質的活動をやって貰いたい。と挨拶し、尚先に発表した新理事中園田福一氏は本人の希望により取消し当分欠員の儘とし、上田ヨシエ氏は県女子薬会長更迭のため新会長森山富江氏を理事に選任した旨報告があり、次いで左記事項につき協議に入った。

 ▽理事の業務分担に就て
 各理事の業務分担は先の正副会長会に於て理事決定と同時に決め既に発表されているが(本紙4月10日号記事参照)その中特に、
 @強力にして魅力ある薬剤師会の再組織については全役員の各自の立場より研究立案すべきであるが、その総合、中心には竹内理事になって貰いたい。
 A分業実施への強力な推進には中村理事が当られたい。
 C薬剤師職能の向上には安部理事が先達されたい。
 D薬事制度改善の具体化については竹内理事に
 E経済活動分野の確立には鶴田理事の特別の努力を期待したい。

 ▽中央情勢並に富山に於ける日薬移動理事会に就て四島会長は「日薬新役員により初の日薬移動理事会が富山に於て開かれたが、準備不充分のため単に会員の意見を聞くに止まり失敗に終った。分業推進については委員会を作る考想で、三師会協調是か非かの意見が分れているが、目的達成のためには対決もし亦協調もすることになる。急を要する組織の拡充、小売窓口一本化に日薬代表選出などの件につき 25、26日の両日に日薬全体理事会が開会されることになっている」との話しがあつた。

 ▽本年度事業推進に就て
 @組織拡充については職種部会を二大別し(正式には定款改正の必要があるが、実質的に)特別委を設置して竹内常務が担当する。学薬、女子薬は既に独立しているので従来通りであり、勤務部会は県病薬が中心となって推進、開局部会の名称は出席理事の投票によって薬局薬店を略称した意味で「薬局部会」とすることに決定した。
 A分業については分業対策本部を設け、その推進委員会は少なくとも保険調剤確保の意で従来の薬局委及び保険委の両委員会を併せた形のものを作って推進する。担当は中村理事と決定した。

 ▽医薬品販売の特別注意
 先に書面を以て注意した様に、最近種々販売についてこの問題が各処に現われているので、抗生物質の乱用防止のため、催眠剤、鎮痛剤の青少年への販売、要指示薬、毒劇薬、毒劇物等の規制に関して法規の遵守など適正販売に特に注意されたい。

 ▽その他@乳製品を医薬品に準じて再販指定品に指定される様運動開始方を和光堂え要望書を出した。A宮崎県薬提唱の計量器登録の現行法規を届出制に改正する件については同調することを決めた。江口氏を推して議事に入った。

 @40年度事業並に決算報告があって異議なく承認、次にA役員選挙に移り八女東部、中部、西部より二名宛の選考委員を出し、高野清一氏を委員長として選考の結果、左記役員を満場一致で決定した。
 ▽支部長=中村若市
 ▽副支部長=堤虎喜
 ▽代議員=貝田礼二郎、渡辺彌清、高巣勝人
 ▽監事=中島芳人、江口守
 ▽会計=渡辺ミツヲ

 議事を終え八女保健所近藤課長、黒木保健所野口薬事担当官、県薬剤師会江口八女支部長の三氏より祝辞が述べられ、次いで野口氏から医薬品販売上の注意事項などについての説明があって総会を終え懇親の小宴が催された。