通 史 昭和40年(1965) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和40年(1965) 12月10日号

 再販実施に関し製企会との懇談会開催を要望
 九州各県医薬品小売商業組合連絡協議会

 九州各県医薬品小売商業組合連絡協議会が11月27日1時より福岡県薬会館において先月に引続き次記諸氏の出席を得て開催された。

 佐賀県‐川内▽長崎県‐隈▽熊本県‐椿、坂梨、堀川▽大分県‐益田▽福岡県‐白木、岡野、吉柳、藤野、鶴田、山手、四島の諸氏であり、鹿児島、宮崎の両県は欠席であった。

 先づ佐賀の川内氏を議長に推して開会、前回、本会の名を以って小売業安定のため主要マスコミ品の製造メーカーに対して再販契約を要望したが、今回引続き家庭薬メーカーにも同様、再販契約実施を要望することを決めた。次いで白木中央安定協委員より中央情勢報告があり、引続き特殊指定について各県よりの情況報告があった。

 佐賀県=各ブロツクで説明会(勉強会)を開催、安定要綱における協議会は今後も存続を必要と認めるので、存続のためにも特殊指定実施が必要であることをも認めた。今日迄の反対者も、その意味での実施を納得するように変って来つつある。又大正関係のメンバーも大分その点、認識して来たようである。

 福岡県=反対気運の一番はげしい時期に各地区で説明会を開いたが、薬業安定特別委員会を作り、この問題も含めて一般薬業安定と取組んでいる。又再販契約の内容についても能く検討した上、小売にとって不利な点などは団体交渉によって解決したい考えである。

 大分県=支部長が先づ研究し、各支部に於て説明しているが、まだまだ疑義の点が甚だ多い。安定している処では、安定要綱実施そのものすら損をするとの意見を持つ者もある。

 熊本県=十月末の時点で、賛否両論を印刷して全業者に配布したが、余り反応はなかった。メーカーの不信行為をこの際正して貰う事と、この問題が小売側より研究発案でなければ納得されまい。今後現実にどう持って行くかが問題であろう。

 長崎県=大正、SSなどのグループの反対が非常に活溌であったが、其の後の説明会でも、皆本当には如何なるものか、理解していないのが実情だとの実感であった。が、何か機会がある毎に反対が減じている現況で、組合をゆるがす程の反対ではない。近く商組の総代会も開催されるので、その機会には又説明したい。反対の理由にも粗案に対するものと、特指そのものに対するものとの二つあると思うが、今後反対者についてはその理由を詳細に調べたいと思っている。

 次に再販契約についても種々意見が出されたが、今後制度化によって必然的とも思われる被害で、小売が疲憊する時が必ず来ると思われるので、各実施メーカーに、価格維持のための制度化に徹する意味で、制度品の返品交換、ノルマの撤廃、支払期間の延長など、小売業界の声を聞き団体交渉等、九州一丸となって推進することになった、先づ当日はその第一歩として次回協議会を12月18日2時より同会館に於て開催することを決定した。

 なお、当日は再販実施のメーカーに文書を以って再販に関する条件の緩和方について要望書を出すと共に大手メーカーである武田薬品、三共、第一製薬、田邊製薬、中外製薬の五社に対しては特に責任者の出席を求め話合うことを決定し、直に連絡をとることを決めた。五時会を閉じ、同所に於て懇親の小宴を開いた。

 日薬・薬協定処方実施について 県薬・支部 社保協議会

 福岡県薬社保委員会では県薬会長よりの諮問事項について協議のため11月29日午後県薬会館で委員会を開会した。今回は特に諮問内容に関連して各支部社保理事の出席を求めて合同協議会としたが、当日の出席者は県薬側より四島会長、工藤専務、中村社保担当理事、委員は片井委員長他七名、支部側からは十名の理事であった。

 先づ工藤専務理事より医療費、薬価基準、調剤報酬、その他中央情勢の動向について報告があり、中村理事から@日歯・薬協定処方制定の経緯と現状A医療機関の処方料及び同明細書記入方法Bある医療機関の社保報酬百分比率その他について解説があって協議に移り協議の結果は次の通りである。

 ▽日歯・薬協定処方集実施方策について
 @支部制に早急、歯・薬両会で協定処方研究合同委員会を設ける。
 A歯・薬双方が便利、円滑な方針によって作成する。
 B12月中に歯・薬の折衝を終り1月1日実施を目途に努力する。

 ▽一般医(特に乙表医)分業促進方策について
 @医師啓発説得班を組織編成し、その態勢を整備する。
 Aその組織は社保理事その他知識経験、行動力ある者を中核として編成する。
 B各種資料は県薬に於て整備する。
 それより熱心な質疑応答があったが、当日の出席率の好ましくなかつたことは誠に遺憾であつた。

 福岡県薬商組 理事・支部長会議 各地区情況報告

 福岡県医薬品小売商業組合では11月26日午後2時、午前中からの特別委員会に引続き、理事、支部長会を県薬会館で開催した。当日は理事、支部長とも出席不良であったが、開会先づ白木理事長より中央情勢報告、次いで県下各地区の状況について報告があったが、その主たるものは、

 @ 久留米の辻薬局のチラシ問題はその後円満解決。
 A大牟田の筒井問題は県外の其卸屋との新契約が成立したことにより茲に新たな問題として地元組合員を刺激している。
 B福岡県志免地区組合員の商組離反については、一店舗の新開設を商組で阻止出来るか否かの問題に発展しているが、この問題は近来各地区で、営業不振な店舗を卸屋の直接経営するというケースであり、各地に今後ますます多発する傾向にある(小売側に理解ある卸屋であれば問題ないが)。このような問題は地区的な解決は甚だ困難であるので、県商組或いは全商組連などでも採りあげて貰いたい。又再販による契約内容にも不合理な点が多いので、このような面も同時に団体交渉などにとりあげて貰いたいとの要望があった。
 C飯塚橋問題による公取の勧告その後の情況については、地元飯塚支部より十九日再度公取より呼び出しがあつたが、組合としては既に勧告文中了解し難き点を指摘した上、一応勧告通り取消しを受諾していたので、公取としてはこれ以上審判には付さない意向ではあるが、然し再度取消しの徹底方を組合に要請し来たつたのであつた。支部では明日役員会を開催するので、その席で徹底を図ることにしている。なお、薬事監視に対する組合員の心がまえ、又中小企業に対する金融、税制問題の研究などを一層推進することにしている。との力強い報告があつた。

 藤沢薬品協賛 第二回新薬物治療研究会総会

 第二回新薬物治療研究会総会=藤沢薬品協賛=が11月21日(日)名古屋都ホテル三階第一会場で開催され、大学、病院、研究所などより約三一〇名の出席があり盛大に行われた、その討議内容は藤沢薬品、新発売の消化器機能異常治療剤「プリンペラン」の基礎的研究並に臨床的研究に関する発表、討議であつた。

 福岡県薬業安定特別委員会 県薬商組に新たに設置

 福岡県医薬品小売商業組合では去る10月28日の定例理事会に於て薬業安定促進のための(特殊指定をも含む)研究委員会を設置することを決め、人選を急いでいたが、漸く内定したので、11月26日午前10時より県薬会館で県薬商組理事、支部長会(当日午後開会)に先立ち開催した。先づ白木理事長より中央情勢の報告、引続き藤野専務より本委員会委員は次の諸氏を選定した旨報告があって全員これを承認した。

 福岡地区=須原勇助、荒巻善之助、藤田胖、糸岐良次、白木太一郎、国武一人
 北九州地区=杉山官、松島雄、近藤充、井上浩一、福田忠吾、石松広彦、松本明男
 筑豊地区=吉柳富雄、飯野敏夫、本松茂晴、松村精一
 筑後地区=鶴田喜代次、岡野辛一郎、陣内竜美、中村若市
 県商組側=白木理事長、藤野専務、山手理事

 引続き本会の名称については「福岡県薬業安定特別委員会」と決定、委員長、副委員長は互選の結果、
 ▽委員長=鶴田喜代次
 ▽副委員長=斉田一夫(福岡)松島雄(北九州)飯野敏夫(筑豊)
 と決定し、尚、委員の性格については、研究か、企画か、或いは実際活動もやるかなど検討を重ねたが、研究、企画は勿論、実際活動も必要な場合は執行部と一体となって推進すべきであるとの結論を出し、次回は12月中に開催することになった。

 福岡県安定協 十一月例会

 福岡県安定協議会十一月例会は廿五日一時より県薬会館において製企会側、中外製薬秋山支店長を議長として開催した。

 先づ中央安定協報告として大黒委員は「今回の論議は特殊指定の今後について集中されたが、日薬の代表もまだ決定しておらず、製企会とチエーンの話合いも結論に至らず、メーカー自体も製企会は一応まとまっているが、家庭薬側とは未だ足並みが揃つたとは云えず又厚生省当局も何等の意思表示をしていない現状に於て強行することは問題があるので、十二月は一応休会し、来年一月の情況により新たに考慮することになった。私としては、今後これについては全々観点を変えてやるべきだと考えている」と述べ次に各地区情況の報告があり、次回開催日は年末であるので二十一日二時からと決定した。

 お知らせ

 昭和四十一年の新春を迎え恒例により、年頭の相互回礼に代え、名刺交換互礼の意味で第十六回の薬事年賀会を本社主催で左記要領により開催しますので、県下の薬学同冠者は一人でも多くご賛同の上早目に御申込み下さい。

 記
 一、日時 正月四日(火)正午より
 二、会場 福岡市下西町第一銀行ビル七階、三鷹ホール
 三、申込所 福岡市御供所町二九(福岡県薬剤師会館内)九州薬事新報社(電話○29五六八五・二一二一番)
 主催者
 九州薬事新報社
 協賛社
 筑紫二十日会
 福岡県卸連合会
 福岡県医薬品小売商業組合
 福岡県薬剤師会
 福岡県薬時協会

 支部別保険調剤調査票 昭和40年10月分 福岡県薬剤師会

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九州薬事新報 昭和40年(1965) 12月20日号

 福岡県薬剤師会 支部連絡協議会 日薬定款改正検討

 福岡県薬剤師会では12月13日午前11時半から理事会を1時半から支部連絡協議会を県薬会館に於て開催した。支部連絡協議会開会、先づ四島会長より挨拶を兼ねて中央情勢の報告があり、引続き先の議題につき協議された。

 一、会長挨拶並に中央情勢報告

 日薬の執行部が替り私も日薬理事の末席にあるが今日は日薬理事の立場でなく県薬会長としての所感を述べたい。

 上げ方で色々と誤解を招いている様に思える。今四つの特別委員会も開かれて盛んに検討されているが、それ等の記事からも一般には、日薬が全く今迄とは変ってしまいつつあるかの様に思わせられている様だが、今は検討の途次に在って、それをどうするかについては、その後の問題である。

 人心を一新して路線を変更し、将来どうあるべきか、又脱皮するにはどうすべきであるかと云う事が本筋で、定款改正そのものが目的ではない。他の特別委員会も同様で全く報導の変則化である。兎に角日薬は今新らしい意欲を燃して前進しているのが実情であるが、41年度は重点事業は変つても、組織、予算、会費などの変更はなく、新らしい路線に沿い実質的に前進するのは42年度からになろうと語って挨拶とした。

 二、次いで工藤専務よりアンプル入鎮痛剤、抗ヒスタミン剤の薬禍防止について厚生省よりの通達により注意をうながした。

 @現在の日薬は個人が会員である、それが都道府県薬剤師会の連合体の様な運営面が多いと思われるが、これが改善策  A戦前の様に日薬を都道府県薬剤師会の連合体となすことの可否
 B薬事経営者と勤務薬剤師の連合体のあり方
 C職種別とした連合体のあり方
 D職種別とした場合、どの様な職種に分けるか
 E前記BCDの様にした場合、都道府県薬剤師会との関連
 F会費の負担を如何にするべきか
 G日薬、日本薬政会、日本学校薬剤師会との関連
 H地方ブロツク制を如何にすべきか
 Iその他、定款の各章条の検討

 大体前記の様な事項につき検討すべきではないか、これ等について又その他の意見、アィディアなどどしどし聞かせて貰いたいが、理想のみに走らず実施可能性の豊かなものをお願いしたいと工藤専務は希望した。

 三、保険業務について 中村担当理事より説明、

 歯、薬協定処方懇談会、薬価基準改訂、調剤手数料改訂などについて報告並に次の様な注意があった。

 ▽先般諸般の状勢により処方箋受入れ態勢強化について社保委員会並に支部社保担当者との合同協議会開催に当り、委員及び各支部社保担当者の出席が悪かったのは残念であり、特に糸島、筑紫両支部に於ては他におくれをとっているので新年早々講習会を開きたいと思っている。

 ▽医薬合同委員が一年有余の研究によりできた歯薬協定処方について、歯医も相等に勉強しているので、おくれをとらぬ様各地区に於ても勉強されたい。又協定以外の処方箋が発行されても、歯医の処方権尊重の意味で拒否してはならない。又各支部での歯薬協定懇談会に於て、従来よりの協定は府県により其差が甚だしく、国民が平等に医療が受けられ、又両師の協力態勢が大きなねらいであるので、其精神で折衝されたい。

 又県下各地区で保険業部講習会を開催する時、まま従業員を出席させる者があるが、これはもっての外で、必ず本人自身が習得されたい。又処方箋受入れ態勢を強化すべき時期、即ち現在に於て、薬局の名称を「薬品」などとする事は、保険薬局を大衆にPRしている今日、これ亦もっての外で薬局は必ず薬局の名称を使って貰いたい。

 又調剤室の構造については、最近業界紙や経済新聞などの影響で調剤室無視の傾向が覗われるが、本質的に言っても亦法規的に見ても「調剤室」を確保する様考えられたい。又最近医師歯医などの保険監査が厳しいが、軈ては薬局も同様厳しくなるものと思われるので、手落ちのない様充分注意されたい。

 四、委員会活動について

 @組織拡充整備委員会は県薬を強化するためのもので既に三回開催したが、日薬の特別委との関連が強いので本県でも12月答申はむつかしい。
 A薬業経済特別委員会は特殊指定問題について既に四回開催、研究を進めたが、その後県薬組に同目的の委員会が発足したので本筋であるこの委員会に問題を委譲することにした。
 Bなお学薬関係の検査器具については文部省の補助金に関し今年度の予算中一〇〇セツト文が未消化であり関係者は来年予算に関連することを惧れて区料している事情にあるので各地区に対し一層の協力を要望した。