通 史 昭和40年(1965) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和40年(1965) 10月10日号

 新会長に武田孝三郎氏 薬臨時代議員会 副会長に武井、井出、櫻井の三氏

 先の理事会で高野日薬会長を始め副会長並に全理事が辞意を表明されたため、正副会長に関する問題を主として臨時日薬代議員会が九月廿八日午前十時から東京永田町の薬業健保会館に於て開催され、協議の結果、新正副会長を次の様に決定した。

 ▽会長 武田孝三郎
 ▽副会長 武井 勇、井出市蔵、桜井喜一郎
 代議員の出席は九十六名中、八十八名であった、先づ平塚理事の挨拶によって開会。

 高野会長は、去月27日の理事会に於て日薬刷新の最も良い機会と思ったので私は辞意を明らかにした。参院選に於ては私の不徳の致す処皆様の非常なご努力に応えることができなかったことを誠に申訳ないと思っている。私は会長として余りにも永すぎた。三副会長も全理事も辞表を既に提出されているので、新らしい日薬の正副会長を選んで貰いたい。

 新任の正副会長に私が望みたい事は「日薬の構造論を改めて考える必要があること、日薬は開局、勤務等の部会の上に立つ総合的なものかあるいは県薬の上に立つ総合的なものかについての意見があるが、この際日薬機構の調査、研究機関を設置して明年二月の代議員会で決定して貰いたい」事である。この機会に清新な日薬にして貰いたいことを切望して止まない。との挨拶を述べた。

 正副会長辞任の件について誠意ある会長の言葉もあり清新な日薬を作るため辞任を認めて受理したいとの意見が多数であったので可決承認となった。依って後任者選考のため選考委員制をとり各ブロツク三名宛計二十七名の選考委員を決定し、非公開で五時間余の長時間にわたり協議の結果、正副会長を内定してこれを本会に諮って前期の通り決定した。日薬代議員会副議長(欠員)については選考委員会を開いて東京選出の「島田幸作代議員」を副議長に決定した。

 なお、日薬では新正副会長により理事を選定し、新執行部に於て日薬の新機構、運営などにつき研究検討の上刷新日薬の歩みを始めることになる模様である。

 日本薬政会評議員会 新会長に山内氏

 日本薬政会は日本薬剤師会同様、先に竹中会長を始め副会長四名も辞意を表明されていたので、日薬臨時代議員と同日九月廿八日午後三時半から同会場に於て評議員会を開会し、正副会長の辞任を認めて新たに次の新正副会長を選出決定した。

 ▽会長 山内十造(日薬理事)
 ▽副会長 畑新一(新潟県薬会長)未定(東京一名会長指名)吉矢佑(大阪府薬会長)四島久(福岡県薬会長)

 なお、薬政会の今後の在方運営方針などについては日薬の新執行部の方進などを反映させて検討することになった。

 点数化の一本化 参院社労委厚相の弁答

 参院社会労働委員会では十月一日開会、鈴木厚相の出席を求めて医療費問題全般について質問した。厚相はその答弁の中で、診療報酬体系の根本的是正問題はなるべく早く厚生省案を纏めて中央医療協の意見を聞く方針であり、又医療経営実態調査も先づ国、公立病院から早急に着手したいと思っており、事務当局にこの旨指示している。開業医についても医師会の協力を得て実施したい。などを明かにした。

 又今の診療報酬体系の不合理を無くするには薬価基準引き下げだけではできない根本的再検討として、甲乙二表に分れている診療報酬点数表の一本化、医薬分業診療報酬の決定方法、薬価基準の適正化等診療報酬体系全般の適正化について、中央医療協になるべく早く諮問したいと思っていると述べた。

 各種健保制度の統合問題については、各制度間には財政、給付内容保険料など大きな格差があり一挙に統合しては却って混乱を招く虞れがあるので、各制度毎に先づ改善しながら格差是正に努めて後、統合に持って行きたいと思っていると答えた。

 日薬新会長 武田孝三郎氏

 日薬の臨時代議員会で新会長に選出された武田孝三郎氏は現在日本ロシユ社長である。明治薬大の出身で、ドイツに十余年間留学し戦後、東京都薬剤師会長、あるいは現国立衛生試験所長刈米達夫博士が日薬会長時代に武田氏は故伊藤薫氏と共に副会長であり、米国使節団として来日したサムス准将らとしきりに折衝して、剤界にとつては明治以来の最大の懸案であつた医業分業に大なる布石を作つたが、その当時の正副会長並に専務(高野前会長)らの活躍は実に見るべきものがあつた。

 兎も角一応の―現在の医薬分業の基盤が作られたのであった。武田氏は今刈米、緒方両博士と共に日薬の顧問に就任しており、日薬とは濃厚な因縁のある人である。近く日本ロシユ代表取締役を引退される模様であるので、今後日薬一本に活躍される時間的余裕もできるものと思われる、日薬として又剤界として大いに期待されるわけである。

 薬価基準引下げ決定 中央医療協答申提出 三%技術料へ、一・五%健保対策へ

 中央社会保険医療協議会(会長・東畑精一氏)は去月25日の総会に於て厚相諮問に対し答申案を作成する心組みであつたが終に意見の一致をみず、これを次回に延すことにしたが、九月二日午後八時四十分から東京、永田町の全国町村会館で総会を開催、懸案の薬価基準四・五%)政府諮問案三%追加分一・五%)引下げに伴う振替へ方法について答申を決定した。

 振替えの幅は医師の技術料に三%(約三百億円)健保財政対策に一・五%(約百五十億円)で、具体的配分方法等で若干の手直しはあったが大体に於て政府諮問案通りのものを、協議会に出席していた鈴木厚相に東畑会長から提出した。

 厚生省としては十一月一日からこの引下げを実施する予定である。薬価基準を実勢価格に応じて全面的に改正するのは去る卅五年六月以来五年ぶりのことである。

 当日の協議会に於て診療、支払い双方の意見の対立は支払い側が付帯条件として要求した事項についてであったが、主たる問題は第一に薬価基準の引下げに伴う振替へ方法について、第二に医師の技術料に廻す分をどの診療科目に重点的配分するか、第三に医業経営実態調査の実施である。最初より診療側は四・五%全部を医師の技術料に廻すべきだと主張し支払側は全部を国民の負担軽減に当てるべきだとしていたが、一歩譲歩して一・五%だけを技術料に廻すことにしたが、前二回の総会に於ける話合いの結果、一応歩み寄りができ、三%を技術料に廻すことになったが、然し第二、第三の問題については折合わず、これがため東畑会長ら公益側に白紙委任の形で双方の了解を得、そのあとで開かれた総会に於て、深夜診療加算の新設外修正案を公益側から提出し、これに対し診療側は特に不満を表明したが最早止むを得ないとしてこの裁定即ち修正案を了承することになった。

 同時に答申に付記する意見書案についても診療、支払い双方共不満な点はあるが、これまた止むを得ないとして、診療側委員一人を除いて全員これを了承した。意見書の要旨は次の通りである。

 @医療問題の中で特に多年の懸案とされている診療報酬体系の適正化、特に医師、歯科医師、薬剤師の技術を正当に評価する方向で速かに根本的検討に着手すること。

 Aこの際各種の適切な基礎資料を整備する必要があるので、医療経済に関する調査を早急且つ円滑に実施できる様協議会に於て検討する。その方法については改めて協議することとすること。

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 なお、三%が技術料に振替えられたがその内調剤料は甲乙表共通で「内用薬12円が17円」「頓服薬11円が17円」と改正された。

 又今回の引下げと同時に薬価基準登載品目も亦変更されるが、現在の五、二六五品目に新薬など新たに九五六品目を加え、反対に必要なしとして七九八品目が薬価基準からはずすことになるので、差引五、四二三品目となる模様である。

 第三回福岡県病院・診療所薬剤師研修会(9月25日・26日)

 福岡県衛生部と県病院薬剤師会共催の「第三回福岡県病院診療所薬剤師研修会」は去月25日(土)〜26日(日)の二日間福岡市西町、第一ビル七階三鷹ホールで開催され、出席者二五八名に及び盛大且つ熱心な又真面目な会合で、その内容次の通りであつた。

 第一日(25日)
 開講式が9時半から行われて左記の講演があり、講演終了後同所に於て和やかな懇親会が催された。
 (1)血液行政の問題点=県薬務課大庭技師(課長補佐)
 (2)医療麻薬関係事犯について=九州地区麻薬取締官事務所長武田信四郎氏
 (3)麻薬取扱いについて=県薬務課麻薬係長武田大典氏
 (4)製剤研究と病院薬局=京大薬学部講師美間博之氏
 (5)医薬品の安全性確保=大薬協、医薬品安全性委員会委員長遠藤武男

 第二日(26日)
 ▽DI活動の実際
 @県病薬DI活動の経過報告=九大病院‐梅津剛吉氏
 A現状報告=日明病院‐勝野園子▽社会保険稲築病院‐栗谷典量▽早良病院‐森田稔▽久留米大学病院‐古賀ヒサの諸氏
 B新薬情報の集め方=九大病院‐河野義明氏
 ▽シンポジウム「錠剤の与薬について」
 @アンケート報告=飯塚病院=飯塚病院‐三宅清彦氏
 Bシート包装形態の得失=九大病院‐内田研三氏
 以上講演を終え引続き閉講式が行われ、二日間の研修会を終了した。

 九州大学病院 「医薬品集」完成

 九州大学医学部付属病院薬剤部では、長期間懸案であつた同病院医薬品集の編集を終え九月三十日発行した。本書の特長は、本文では薬剤を薬効別に分類して記載し、個々の局方名・一般名を主とし、そのもとに同一成分の製剤を一括記載していることである。各病院診療所及び開業薬局などでも非常に参考になると思われる。それで希望者には特に分与される模様である。希望者は同薬剤部え送料共四〇〇円を添えて申込まれたい。

 なお、同医薬品集の主な目次は次の通りである。

 一、序
 二、医薬品の取扱い
 T処方せんの発行、U薬品の請求、V治療用薬品の新規採用、W麻薬の取扱い、X調剤の申合せ。
 T小児薬用量、U日本薬局方収載薬品極量表、V急性中毒処置法、W臨床検査正常値表。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 10月20日号

 福岡県薬剤師会 理事会並支部連絡協議会 中央情勢報告

 福岡県薬剤師会では、去月末中央に於て日薬理事会、代議員会、日本薬政会評議員会、全国県薬会長会など開会されたので重要事項報告のため理事会並に支部連絡協議会を10月8日午前午後県薬会館に於て開会した。理事19名中15名出席、支部長24名中20名出席、甘木、糸島、山田、築上の四支部は欠席であつた。

 先づ四島会長は「先の本県代議員会に於て選挙の結果吾々は重任したが、然し気持ちとしては新らしく出発したものと感じているので諸君も左様お考を願いたい。日薬執行部全員更迭を機として日薬では機構改革がなされるものと思われるが、それに魁がけて本会では既に組織拡充整備に関して又医薬品を特殊指定に関する二種の特別委員会を設置してそれぞれ研究していることは御承知の通りである」と挨拶し、引続き中央一般情勢について次の様に報告した。

 日薬理事会は9月27日開かれ本年度の薬学講習会、薬と健康の週間及び中央医療協の薬価基準引下げ配分問題などについて話し合ったが、調剤手数料については日薬の要求は現在の11円を23円に、見透しとしては18円位であるが、話し合は少なくも20円と云うことになっている。

 武見発言の、薬価基準引下げ分を医師の技術料にとの意味で配分を受けて、投薬代は奉仕するかの言は問題であり、薬価引下げを含みとした技術料であれば、これは当然投薬についての含みと見るべきだとの与論化がみられるに至つたので、武見発言は黙々理に解消されるに至った。

 又熊本に於ける調剤センターに関する武見発言も、剤界よりの問題化に対し、診療検査センターに隣接してとの意味であると、改め述べられたが、仄聞する処によると、当時報導された通りであつた様である。尚中央医療協の再会後の初回協議会に日歯医代表の欠席の理由は歯医の独善が問題であり、今後の三師協調に対し一沫の不安が現わされたと云うべきであろう。

 次に9月28日開会の日薬代議員会についてはその議長である長野氏から報告があつた。欠員であつた副議長には島田耕作氏(東京)が選任され辞表提出の正副会長を初め全理事の辞任は認められた、新正副会長選任については選考委員制を採り、九ブロツクから三名宛の委員を出し(九州地区からは鹿児島の山村、福岡の古賀、大分の瓜生田の三氏)27名の委員に議長を加えて選考に当り、約五時間の選考による結果を議場に諮つて会長に武田孝三郎氏を、副会長に武井勇、井出市蔵、桜井喜一郎の三氏を決定した。

 武田信会長は人となり外柔内剛で、高野前会長と共に十余年前、米国使節団によって医薬分業の法的基盤を作った人であり、今後高野氏の政界復帰にも大いに期待の持てる人である。武田新会長を中心とした日薬の新執行部は近く構成発表されることと思う。尚日薬は医薬分業を最重点事業とし、経済問題はどの程度に取扱うかは今後研究の結果を待つことになり、会の構成組織については、有機的機能が発揮できる様研究の上明年二月代議員会に提案する。

 日本薬政会評議員会及び全国県薬会長会については四島会長から報告があったが、薬政会評議員会は全員一致高野選失敗の責任をとって辞任するとのことであったが私(四島氏)としてはこれに反対であり、現在の薬政会の仕事は薬剤師会でやって差支えないと思われるので、此際解散すべしとの意見を述べたが、然し残務処理の必要もあり、今後日薬の在方と平行して新執行部と共に新正副会長を選出することとなり、会長に山内十蔵(東京)を、副会長に吉矢佑(大阪)畑新吉(新潟)四島久(福岡)の他東京より一名(会長に一任)の四氏を選任した。会長会議は日薬の今後の運営について種々な要望があつたが、結局各県薬自体も亦改革を実行すべきであるとの意見が多数であつた。以上中央に関する報告を終え、左記県内事項につき協議報告に移った。

 ▽薬学講習会について 本年は期日を一日に短縮し課目も必預課目だけに厳選したので多数の出席を期待している、尚二百円還付は個人に対してでなく支部の出席援助の意味である。

 ▽薬と健康の週間に就て
 @薬事功労者については大臣表彰に五郎丸勝氏を、県知事表彰に四島久、長野義夫、鹿川亘、大黒清太郎の四氏を推薦した。A展示会は福岡市に於いて10月26日〜27日福岡保健所で催し、大牟田市でも実施する。B県下一斎に水質検査を実施、C「薬の正しい使い方」リーフレット、週間ポスターを週間PR資料として配布する、薬局、病院、保健所、学校その他で配布されたい。

 ▽保険調剤について
医薬品の代替については行政措置等非常に厳しくなったので充分注意されたい。

 特殊指定特別委員会 未だ答申に至らず

 福岡県薬事3回特殊指定に関する特別委員会が10月14日午後県薬会館で開会、委員の出席は良好であった。岡野委員長は「10月5日開会の中央安定協で質した項目について本日は白木中央協委員から聴くことにしている」との挨拶があり、引続き公取委勧告に関し県薬商組飯塚支部よりの経過報告は次の通りである。

 会報記事が独禁法違反の疑いがあるとのことであるので勧告に従って取消す。(前月28日手続済)然し事実の認定には誤りがあると申出た。そのためか先方の希望で明日(15)もう一度談合することになっている。

 次いで次の三項目について白木中央委員から色々と説明を聴いた。
 (1)生協等一四団体の取扱いについての法的根拠とそれに対する措置
 (2)医師に対する考え方
 (3)再販と特指との関係
 中央安定協は従来通り特殊指定問題については前向きの姿勢で推進しているが、その委員の一人である白木県薬商組理事長を中心に特別委員会委員は(委員中にも賛成者、不賛成者、その中間派もある)当日の議題である疑問点の解明のため互に論議検討、長時間各自の私見を戦わしたが、勿論結論は得なかった、然し得る処は多々あつた様である、特に印象的であつた事は「只チエーンは今の処吾々の生活のカテになっているのだからソツトして置いて貰いたいだけだ」の言。特殊指定に絶対反対意向を持つ小売業者の真意をその儘表現したもののようであった。

 協議終了後、岡野委員長は「次回中央安定協でもう一度質して貰うことにしたい。又、答申は、最終には二本建てとなると思う」と述べ、委員会を終了した。それより同所に於て、先に欧州視察旅行から帰えられた白木氏と、今回県展に於て山手氏の出品した芸術写真「別れ」が特賞を受けられたのを祝して小宴が催された。

 福岡県薬事功労者 審査委員会五名推薦決定

 本年度薬と健康の週間(10月10〜16日)行事の一つとして恒例により、福岡県に於ても薬事功労者の表彰が行われるが、10月11日午前県庁衛生部長室で、各保健所からの推薦功労者について審査のため審査委員会を開き(審査委員は県衛生部長、同次長、薬務課長、製薬業代表国松武田薬品福岡支店長、卸業代表、四島県薬会長、深田県薬事新報主幹)審議の結果、左記五氏を薬事功労者として知事に推薦することを決定した。

 ▽大黒清太郎63才、株式会社大黒南海堂社長、薬剤師、福岡市
 ▽四島久58才、福岡県薬剤師会長、薬局経営、薬剤師、福岡市
 ▽鹿川亘62才九州大学付属病院薬剤部勤務−文部技官、薬剤師、福岡市
 ▽長野義夫58才福岡県薬剤師会副会長、薬局経営、薬剤師、北九州市八幡区
 ▽松尾七郎58才、薬種商北九州市八幡区

 以上五氏は各自薬事界に於てそれ?その職業、業務、地位により永年剤界、業界、薬事に関して尽力したその功績甚大なるものである。

 第一回ドラッグインフォメーション D・I活動講習会
 11月19日〜20日の2日間福岡に於て

 日本薬剤師会病診薬剤師職種部会、九州山口薬学大学薬剤部長協議会、福岡県薬剤師会及び福岡県病院薬剤師会共催で左記により「第一回ドラッグインフォメーション(D・I)活動講習会」が開催される。講習会の目的は、病院薬局勤務の薬剤師でD・I活動に関心のある者及びD・I業務を担当する者に対し、スペシヤリストとしての講習を行なうとともに相互の連繋を密にし、D・I活動の進展に資することである。

 ▽期日=40年11月19〜20日
 ▽会場=第一日(福岡市蔵本町35番地、山之内製薬福岡支店会議室)▽第二日(粕屋郡志賀町、国民宿舎しかのしま苑)
 ▽会費=日薬会員五〇〇円その他の者八〇〇円
 ▽宿泊=第一日は全員「しかのしま苑」に宿泊、宿泊費と両日の昼食費として一、五〇〇円を当日受付で受領
 ▽申込=希望者は10月25日迄に「九州大学医学部付属病院薬剤部、堀岡正義部長」宛申込むこと(定員超過の場合はことわることがある)

 ▼日程
 第一日 11月19日(金)山之内製薬福岡支店会議室
 ▽9時受付開始、開会式▽10時‐総論(座長‐樋口武夫)
 (1)病院におけるD・I活動とその進め方=九大病院薬剤部長、堀岡正義
 ▽12時‐記念撮影、昼食
 ▽13時‐医薬品情報の調査法
 (1)許可新薬の調べ方=九大病院薬剤部、河野義明
 (2)治験薬、外国製品=熊大病院薬剤部、一番ヶ瀬尚
 (3)薬品中毒(ことに農薬、工業薬品)について=九大医学部衛生学教室、石西伸
 (4)医薬品情報調査に関係ある図書、雑誌について=九大病院薬剤部堀岡正義
 ▽15時40分‐バスで九大病院薬剤部見学へ、17時‐バスで国民宿舎しかのしま苑へ、同苑で懇親会開催、宿泊
 第二日 11月20日(土)
 ▽8時半‐資料の収集と整理法(座長一番ヶ瀬尚)
 (1)医薬品資料の収集、整理の実態報告=九大病院薬剤部梅津剛吉
 (2)参加者による現状紹介
 @資料の収集、整理法を中心に
 ▽特別講演=ドクメンテーションにおける情報の収集と整理技術=外国文献社、中村重男
 ▽13時‐参加者全員による座談会‐講習会の反省、今後のあり方、病院薬局間の連絡機構など、まとめの話(座長堀岡正義)
 ▽14時30分‐閉会式
 ▽15時‐マイクロバスで志賀島めぐり、博多へ発船博多港着解散

 福岡県 薬事功労者表彰式並に祝賀の宴

 薬と健康の週間行事の一つである薬事功労者表彰について、福岡県では十一日審査委員会を開催、その審査の結果(本紙別掲)左記五氏を薬事功労者に決定したので、十五日午前十一時から県庁知事室に於て知事よりの表彰式が行われ、審査員並に関係者の臨席のもとに表彰状及び記念品がそれぞれ授与された。

 ▽薬事功労者(五名)
 大黒清太郎▽四島久▽鹿川亘▽長野義夫▽松尾七郎 式終わって一同は、県薬剤師会主催の県薬会館講堂に於ける祝賀会場に至り、県市薬の幹部多数列席のもと祝賀の宴が催された。開会先づ堀岡県薬副会長の祝賀の言葉が述べられ、これに対し被表彰者の五氏は次々に感謝の辞を述べ、尾崎県薬務課長によって乾杯がなされ、それより和かな小宴は談笑の裡に時を過した。

 福岡地区安定協 十月例会

 福岡地区安定協議会10月例会が13日午後県薬会館で開会された。先づ山手委員より先の県安定協の報告があり、続いて地区内業者で問題となっているものについての報告があつたが、大体に於て地区内は小康を保っている様である、卸側の報告によれば隣接せる糸島地区が糸島薬局の乱売の影響を受け混乱している模様である。

 次に大包装の問題(零売問題に関し)は今後も研究課題であり、又家庭薬についても一般に相当乱れがあるが、これについては納入卸業側に於て責任上正常に戻す様現在努力しているとの報告であつた。又エアサロンパスもメーカーの要望価格二七〇円が乱れを見せて来つつあるが、当該メーカーがこれに対してどの様に考えているか、メーカーの意向を調査の上報告されたいとの要望が、小売側より卸側に対してなされた。

 日本薬剤師会の日本薬報休刊

 去る九月廿八日開会の日薬臨時代議員会に於て会長以下全役員の更迭が行われたことに伴い、明年二月開かれる通常代議員会で基本方針が定められるまで、日本薬報は十月十日号より暫定的に休刊することになった。これに伴い日薬では会誌の充実と一新を図ることになった模様である。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 10月30日号

 四島福岡県薬会長 中央情勢報告

 10月20日新役員による初の日薬理事会に出席した四島県薬会長の商組九州ブロック会議における中央情勢報告要旨は次の通りである。

 日薬は新しい見地から再出発することになったが日薬から中央安定協委員として出ている沖、可児、滝川の三氏は日薬役員の立場として行過ぎだとの声もあるが、日薬が開局者99%で発足したため日薬即開局薬剤師会の如く考え又、数年前より日薬も薬業経済安定と取り組み安定協議会など推進したが当時よりその委員であった三氏が中央安定協の委員に横すべりしたのであり、業界安定のためには当然の事であったと思う。

 今回特殊指定問題の混乱は安定要綱実施がスムースに行われたため今回もうまく行くだろうとの甘い考えがあったことはいなめない。今度の場合、医薬品全般にわたるが故のチエーンメーカー等との調整に問題があり事が大きくなったと思われる。チェーン等の反対は製企会側との利害相反するための根本的な物で当然のことであろう。製企会関係者とチェーンメーカーとの宿命的な対決になるおそれがある様である。しかし薬業界のため有利であれば推進さるべきである。

 チェーンメーカーは小売にとって不利だと云っているが小売の立場で本問題を攻勢に理解した上本当に反対しているものはそう多くはなかろうと思う。反対の強い所では反対するための反対者だけの団体?を作っているケースが相当ある様である特殊指定と云うものを、業者相互間の争の武器にされたと云う事は遺憾である。当事者がやるべきことを慎重に熱心にやらなかったことによって此の様な事態になったと思われる。今日では当局も性急に実施はせぬ方がよいだろうという所まで来ていると思う。

 日薬としてはこの現状を如何に打破するかを考えねばならないのであるが一応この争いを止めさせる措置を構ずる事が先決である。今後日薬が安定協に代表を送るなら小売だけの代表でなく卸、メーカーも含めた立場のもので現在よりも一歩進めたものをと要望している。12月からは代表も出ると思う。又これをキッカケにメーカー側も一応姿勢を正すことが先決である。今後日薬が安定協に代表を送るなら小売だけの代表でなく卸、メーカーも含めた立場のもので現在よりも一歩進めたものをと要望している。12月からは代表も出ると思う。

 又これをキッカケにメーカー側も一応姿勢を正すことが先決であろう。再販契約をとの小売の要望が強いが、この法律も改正して契約しない者は売ってはならないとされれば簡単に実施されようがこれが改正されねば現在の一般品の全般的実施は無理であろう。大型店は再販契約せず売って見せますと豪語していると聞く、先程阪神地区で結成された大量販売店の結束は医薬品の販売価格まで自主的に決めると云っているがこれに対するメーカの動きはどうか今後大きな問題となろう。私個人としてはこのような事も考え合せ特殊指定だけでなくメーカーに強く対処する必要性も出て来たと思う。小売の結束で解決するより外ないと考えるがこのような時こそ日薬は指導的立場を採るべきであると考える。

 県薬でも特殊指定については特別委員会を作り研究しているが今後は卸、メーカーの立場をも考えての一段高い立場から検討すべきだと考えている。尚吾々として今日迄薬業経済の安定即小売の場合は販売価格の安定、利益確保と云う一部面のみに方向付けをして来たが、薬剤師本来の業務である調剤報酬の増獲に基く薬局経済の安定の方向を目賭すべきではなかろうかと考へている。