通 史 昭和40年(1965) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和40年(1965) 8月10日号

 福岡県薬商組 理事・支部長合同会議 特殊指定問題と本組合の強化に就て

 福岡県医薬品小売商業組合では七月廿九日一時理事会を、午後一時半から理事支部長合同会議を県薬会館で開会した。当日の出席成績はかんばしからず、理事及び支部長はそれぞれ約半数であつたが、定刻に出席した者は僅かに七名に過ぎなかつた。当日の会合は勢おい組合各関係役員の自覚を促がし、且つ商組の組織の強化について特に協議することになった。

 午後の理事支部長合同会議は藤野専務司会して、先づ白木理事長は商組の現況について安定要綱実施以来指導価格は大体に於て守られているが、これに反する定評者が一、二あるのが各地区の情況である。これ等の是正は各地区共仲々むつかしい問題もあって実際にできない情況にあるので、これに法的裏付けの意味で、現在研究されているのが「特殊指定」である。

 このことについては各県ともそれぞれ意見もあるが、プラスの面が多ければこれを実施、マイナスの面が多ければ無論問題にならない。然し安定要綱実施が種々の理由で次第に行詰り、かつての乱売競争に戻つたならば、現在ではその当時以上に混乱することが考えられる。現在小康を保つているから、これがこの儘続くものとして、今更特殊指定の必要ありやとの疑問を持っているのでないかと考えられる。何れにしても自由経済の中で統制的な事を実施せんとするのであるから一挙にできないのは当然であるので、一歩一歩前進するより外はない。よくこの実情を理解した上で研究して行きたい。と述べ、次に先の県安定協で問題となった

 @ 久留米辻薬局のチラシ問題、
 A福岡に於けるバーゲンセンター
 B 北九州地区に関しては、卸問屋の衛星店に、又その下に衛星店をつくる機運にあるなどについて種々協議した。尚各地区共広告についてはキメ手がなく、これを放置すれば大型店へ連鎖反応を起す虞れもあるので、広告については一応の案が第一回委員会で作成されており、早急に第二回目を開会し、特殊指定問題と共に今後はこれに取組むことにする。

 次に今後の商組の運営、商組の強化について当日の出席者に忌憚のない意見開陳を希望したが、
 ▽出席しない人は大体決っているので、欠席の理由を糺明して運営の面に反映させたらよい。
 ▽理事及び支部長で常に出席しない人は商組に無関心であるのか、その気持ちを確かめる意味で改選に持って行つたらどうか。
 ▽理事長名で組合員に檄をとばして貰いたい。
 ▽商組の魅力増大のために制度品などを持つメーカーへ今一度組合員以外との取引について考慮して貰う様申入れられたい。
 ▽商組強化のためにも安定要綱実施をより以上強化されたい。
 ▽商組も或程度戦斗的な労働組合みたいな在方をしなければいけないと思う。等々が述べられたが、執行部としては商組の強化如何んは組合員のバックアップにあると思うので、各地区の熱意を県に反映させて貰いたいとの要望をなした。

 次に去月27日熱川温泉に於て開催された全国商組連理事会で、特殊指定の疑義検討が行われたことについて藤野専務は報告し、尚「全国商組連最終理事会で特殊指定について、外部に対しては積極的でありこれを勧め内部では深く掘り下げて研究しでき得る限り有利に持って行く様推進することが業界のためであるとの結論により行動しているが本県商組としても適当な時期が来れば組合総代会により会員の真の賛否を聞きたい」と述べ、熱川に於ける先の理事会での質問事項について概略の説明があつたが、詳細な説明は後日にゆづることになって閉会した。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 8月20日号

 役員総辞任のため福岡県薬剤師会 第20回臨時代議員会開会
 投票の結果正副会長前同様選任

 福岡県薬剤師会は第20回臨時代議員会を八月十二日一時半から田辺製薬福岡支店五階ホールで開会した。

 日本薬剤師会に於ては先の参議院選に於ける高野日薬会長の落選は、其敗因は色々あるにしても会員の会に対する協力の度合が非常に薄いことの現われとして、今後会の在り方を一新する意味に於て高野会長が辞意を表明されているが、県薬剤師会としても其超重点事業であつた選挙に於て落選の責を負い、又これを契機に速かに刷新することが今後の会の発展につながるとの理由から、本月二日の理事会に於て監事を除く全役員が会長迄に辞表を提出していたので、臨時代議員会を招集し役員選挙を行うことになったものである。

 当日の主たる議題は「監事を除く役員総辞任の件」及び追加議案である「昭和40年度一般会計補正予算の件」についてであるが、代議員にとつても落選に引続いての臨時代議員会であるので、代議員総数六十四名中五十一名の出席で従来にない良い出席率であった。定刻開会、先づ工藤専務司会して四島会長は、去る三月末40年度の七項目に亘る事業計画案を審議決定したが、その中で高野選を超重点事業として採り上げてこれを決定したが、遂にこれに失敗し、県薬執行部としても深く責任を痛感している。これについて今日、この実情を能く認識して今後県薬としてはどうあるべきかを、代議員諸士によく考慮して頂き、所謂本当の時局対策を検討して頂きたいと思う。と挨拶し、これより議事に移った。

 渋田議長着席、代議員六十四名中五十一名の出席で、代議員会は成立した旨を宣し、議事録署名人に荒巻善之助、内田数彦の両氏を指名して左記議事に入った。

 先づ追加議案である「昭和40年度一般会計補正予算案」を上程し、鶴原会計理事説明、本件は本年度会費の早期完納支部が相次ぎ、そのために報償金が予算より約十七万不足するに至って嬉しい悲鳴、及び本日の臨時代議員会開催のため会議費の不足を来したので、積立金の内共済費及び会館改修費の今年度分をこれに当てることにしたい。議長はこれを一同に諮つたが、満場異議なく承認可決。

 次に本臨時代議員会の主たる議事である
 @中央情勢報告、
 A本会の現況と将来の事業推進のための方策について、
 B役員(監事を除く)辞任について、を一括上程し、四島会長は此三案について次の様に説明(要旨)した。

 吾々は今日迄を顧りみて今後どうあるべきか、選挙などを参考に考えてみたい。今回の選挙にしても高野氏が日薬会長であること、又剤界出身であることも当選を切望した条件ではあるが、それ以上に剤界として切望して止まなかつた事、高野氏に期待した事の真の意味が末端の人々には判っていなかつたこと、PRが不徹底であつたことは指導者層としては充分反省せねばならぬことであつた。

 六年前高野会長の第二回目の当選の翌日から今回の選挙を考え、準備をしなければならぬと判っていた。薬剤師の得票は約30万が最高限度であると思われるから、会長も種々他団体に働きかけていたが、中心となるのは何と言つても薬剤師であらねばならなかったが、その結果は大体凡ての所に於て前回よりも下廻った。

 皆が「まさか」と思っていたことが不幸実現してしまつたわけで、結局吾々の「力」及ばず惨敗したわけである。敗因は色々あろうが結論としては「楽選ムードが落選につながった」のである。本来なら回を重ねる程段々と増える筈であるのに、実際は一回二回三回と段々と減少した。これは薬剤師会及び会員がダレて来たことにあると思う。この責任を会の執行部にある高野会長は「日薬の威信を傷づけた事に対してとるべきもの」との意で辞意を表明されている。元来、辞任する程無責任なことはないと云う人もあるが、将来の基礎つくりのため会の発展を考え、新らしい執行部出現を望むための辞任であれば、あながち無責任とは考えられないと思う。

 選挙前「議席を失うことは業界十年の後退だ」と云って来たが、高野会長が今日迄吾々の尖兵として働いて貰ったことは誰も否定はしないであろう。この重要ポストを失ったため、今後相当な社会的圧力が生じ、対外的、対内的にもヂリヂリと落ちて行くであろうが、これに立向うためには会の建てなおしを早急に計らねばならない。会の構成にしても従来経済問題についての考え方が低調であつた。講習会にしても反省すべき点が多々ある、今にして人心を一新しなければ薬剤師会は有名無実となろう。

 今日役員(監事を除く)の辞表は全部私が預かつているので茲に全役員の辞表を纏めて提出致します(辞表提出)。と述べ、そこで議長は提出された辞表を受理するか否かを一同に諮り、各自の意見を徴したが、

 ▽何故辞表を出さねばならぬか、納得が行かない。
 ▽事業に失敗したから辞めるのはおかしい。
 ▽責任をとつて辞任されるより会の再建に努力されたい、辞任を強行さるれば再選したい。
 ▽吾々会員も十二分に反省している、現執行部の辞任は対外的に損失だ、辞任の必要はない。
 ▽福岡市の代議員打合せ会でも現執行部に特別な失態はない、辞任は認めないことに意見の一致を見ている。辞任は取り止められたい。
 ▽県薬は日薬の流れに従って日薬の新発足を見てからでよい。
 ▽会長の綺麗な気持ちは尊重するが、会として悪へいを残すことにもなる、辞任を引込めこの際会の強化に留意されたい。
 なかつたことを執行部にお詫びするのが真の姿ではないかと考える。

 等々の意見が続出し、総じて辞任には反対の意向である。議長は直ちに「辞表を翻がえして任期一ぱいの留任を要望する」ことを議場に諮った結果、満場一致これを支持し、辞表撤回に賛成したが、これに対し会長は、新時代に斯くあるべきだとすれば、殆んど失敗であつた。吾々がやつたつもりでいても、尚現在の在り方で果して会員がついて来るかとの危惧の念は持っていたが、それをなぜ直に検討し、実行しなかったか、経済問題にしても県薬としては、組合を育成することが務めであるとして助言は兎も角、表面的には何もしなかつた。反省はするが実行は仲々むづかしい。今後の会の在り方を検討しそれに即応する執行部を選択して頂きたい。辞表を撤回する意思はない。実際に此事態をどうするかを少し真剣に討議されたい。私共は暫らく席を立つことに致します。と退場したので、「執行部が辞表を撤回しないなら吾々代議員も辞退したい」などの一部意見も出たが、結局議長は一応辞表を受理したあと役員選挙を行うことを議場に諮った処、賛成三十四、反対五、の過半数で辞表受理、役員選挙が可決した。

 この時、古賀治県薬顧問は「会長の意志は立派で尊重すべきであるので、代議員も反省、気分を一新し、会務に協力する決意を決議し役員選挙に臨みたい」との要望に対し会員拍手を以て賛成し、今回の改選役員の任期は残任期間中(明年三月末日迄)として、多数の希望によって投票により選出することになり、投票の結果は、投票総数四十六、次の通り改選前と全く同様なものとなった。( )内得票数

 ▽会長 四島久(38)
 ▽副会長 堀岡正義(43)長野義夫(38)岡野辛一郎(33)
 新会長当選の四島氏は起って「新らしい角度からやり直して頂きたいとの考えであつたが、誤解もあつたようだ。体質改善は簡単ではないと思うが、代議員会の決議を一応引受けることとし、理事の選任については結果に於て正副会長が重任であるので、現在迄の理事で会務を進めて行きたい。会員の支援なくしては会の運営はできないので、今後は臨時会員の意見を聞いてやって行きたい。一層のご協力をお願いする」と挨拶して、五時半閉会となった。

 当日の決議文は次の通り

 決議

 福岡県薬剤師会の役員は先に行われた参議院議員選挙の結果を機会に、会の運営の在り方について強く反省し、この際一新したいと代議員会に総辞職を申出られた。 医薬分業未だ成らず、自由競争と流通革命に晒されている薬業界を指導して行く薬剤師会の運営は複雑且つ困難で、これ迄の役員の真摯なる努力に我々は心から敬意を表すると共に、反省一新すべきものは、決して会の役員のみでなく寧ろ多くの場合無関心であって何事も役員に頼っている会員全てこそ反省、心を新たにすべきものと思慮される。依って代議員の我々は、新たなる役員を選任するに当って、役員と同じ反省と気分一新の下、本日より会の発展に努力することを誓うものである。
 右決議する
 昭和四十年八月十二日
 福岡県薬剤師会代議員会

 中央医療協 七ヵ月ぶりに開会 歯科医師会代表委員出席せず

 医療問題の行き詰りを打開する鍵として注目されていた中央社会保険医療協議会(厚相の諮問機関)は前厚相の職権告示を不満として支払側委員の辞表提出により事実上空中分解してから七ヵ月ぶりで八月十四日午前十時半から東京、平河町の都市センターで開かれた。

 新公益委員の東畑精一鈴木武雄、美濃部亮吉、円城寺次郎の四氏を初め診療側、支払い側など二十人の委員が殆んど出席したが、然し日本歯科医師会代表の二委員が出席せず一点の黒い影をのこした。

 これは支払い側が先に本医療協に復帰しながら行政訴訟を取り下げていないその態度は「右手で握手を求めながら左手でゲンコツを振り上げている態度である」とし、其の態度にあきたらぬ理由があると云われている、今後の審議に微妙な影響を及ぼすのではないかと一部には憂慮されている。

 総会は定刻開会、先づ互選で東畑精一氏を会長に選定、会長代理には鈴木武雄氏を会長指名で決定した。

 次で鈴木厚相は立って挨拶特に前厚相が強行した職権告示に触れ「極めて遺憾に思っているが、今後は本医療協の意見を充分に尊重する」と強く協力を訴えた。

 又薬価基準問題については「昨年諮問したままになっている総医療費の三%分(年間約三〇〇億円)だけ薬価基準を引き下げ、その分を医師の技術料に振り向ける」との厚生省の原案を審議の上九月上旬頃迄に答申が得たいと希望。又その後の追加引き下げ分の一・五%分(約一五〇億円)については三%分と同時に実施して報告すると述べた(薬価の引下げ自体は厚相の権限でできる。それを何れかに配分する場合は諮問の必要がある)

 診療側はこれ迄引下げの全額を医師の技術料に回すことを強く主張しており、厚相の発言は診療側に三%、支払い側即ち赤字?補に一・五%分を回すとの示唆の形となっているので、今後の審議に相等影響を及ぼすことになるとみられている。

 当日は午後一時閉会したが、次回は八月廿二日東京永田町の全国町村会館で、その次は九月一日開会することになった。

 日薬会長ほか辞任表明で 長野日薬代議員会議長 高野日薬会長に申入れ

 日本薬剤師会では去月廿六日東京に全体理事会を開会した、高野会長は今回の参院選に落選したことは自分の不明と不徳の致す処となし、責を負って会長を辞任するとの表明をなし、正式には近く臨時代議員会を開会して辞任手続きをとりたいと申入れた。これに伴い副会長並に専務その他の役員一同も同時に辞任を申出たので、茲に日薬としては近く全国会長会議及び臨時代議員会を開催することになった。

 日薬代議員会議長の長野義夫氏(福岡県薬副会長)は日薬の一大転換期に思いを致し、その結果についても憂える処もあり、速かに解決する必要ありとして議長の名により、八月六日付を以て高野会長に左記の様な申入れをなした。

 申入書

 剤界に燃えていた唯一の灯を消してしまった。これ程愚かで悲惨な事があろうか、と高野会長落選の悲報を手にした時、心ある一部の剤界人はこの様に感じたであろう。その敗因が何にあつたにせよ、唯一人の代表を国会に失った事は今後の薬剤師会に直接、間接に大きな影響を及ぼす事が予想される。地方の県薬剤師会に於ても高野落選を契機として、その地方での会長辞任説が起り、その結束と団結に動揺を来たしたり会員意欲の無気力化はつのり日薬県薬に対しての関心を薄め信頼感を失いつつあるもの等、好ましからざる兆候を聞く。若しこのままに推移し時期を遷延するならば日本薬剤師会の将来の結束に大いなる悪影響を及ぼすものと考えられる。

 報ずる所によると、正副会長は先般の理事会に於て辞意を表明せられ又常任理事も之れに従はれたと聞く。かかる重大なる時局に於ては可及的速かに全国代議員会を招集し、事態の収拾と今後の問題に於て討議すべきが肝要と思考する。日時の遷延を許さざる緊急事態である。 総じて今日迄の日薬代議員会の経過は単に年度の事業計画と予算の審議にのみ堕して、日薬の組織、構成と結束に対する反省。薬剤師会の基本的な問題に対する討議。薬剤師の未来像とそれに到達する為の諸方策等本質的な問題への深い研究討議はなされなかった。マンネリズムに落ち入ったる日薬に対する信頼感の稀薄化が青壮年薬剤師の層に益々増大して行く理由はその様な所にもあるのではないか。

 勝手に敷いた一本の路線に無理矢理に会員を乗せて走ろうとするが、実は機関車は息切れしている。というのが現在の姿ではないか。来るべき代議員会に於ては、貴重なる時間を空費する来賓祝辞、挨拶、演説等は一切断ると共に必要なる一部追加更生予算を除く雑議案の上程は止め、又会期を一日間と限定する事なく多少その為の費用を要しても、事態の収拾と将来の結束を固める為の公認役員の選出に全能を傾け、更に構成、組織の再検討を含めての日薬の今後の進むべき大方針とこれに関連する万般の諸問題に就いての活発なる研究討議に全智を傾けるべきである。

 終戦後新発足したる吾が日本薬剤師会が迎えたる最大の危機であると思うが故に敢て日本薬剤師会々長へ申入れる。日時の遷延するを許さず可及的速かに日薬代議員会を招集すべきである。

 福岡県学薬会 常任理事会

 福岡県学校薬剤師会は常任理事会を8月7日午後2時から県薬会館で開会した。先づ友納会長は、学校保健会ができて十六周年になるが、本年の「九州地区学校保健研究協議大会」が福岡市民会館を中心会場として8月19〜21日の三日間開催される、県学薬も協賛団体の一つであるので多数の参加を希望する。本県学薬会としては矢野、古賀の両氏が研究発表者となっている。と挨拶し引続き次の様な報告があった。

 本大会の前日18日には午後司会者指導者打合会並に運営委員会が開かれるが、友納会長は指導者として出席することになり、大会第一日19日午前に各県代表研究発表、午後分科特別講演と分科班別研究会、第二日20日午前には前日に引続き分科班別研究会、午後全体特別講演並に全体協議会が開かれ、矢野学薬師は福岡県代表として「環境衛生」について研究発表を、又門司学薬師は分科会に於て「学校環境衛生検査の実施と事後措置について」と題して研究発表をなす予定である。尚学薬師としては鹿児島県から「特別教室の環境衛生的整備改善について」と題する発表がなされることになっている。

 従来本大会を機会として学薬師会も歯医会でも懇談会を開催していたが、今年はこれを廃し学校三師会として協議懇談会を開会することになった。議題として、@調査器具の整備、A歳費(手当)の増額、を選定することになっている。その他当日臨席の県教育庁の山下技師から次の様な報告があつた。

(1)調査器具十一セツト中八セツトが予算獲得の見込みである。内訳北九州3福岡3、筑後1、筑豊1である。

(2)県の執務要領ができたので県立学校及び市郡の教育委員会に送付した。なお、本年学業に関係ある会合は、新基準の講習会が10月4、5の二日間熊本に於て開催され本学薬会二名出席の予定、恒例の文部省主催の東京に於ける講習会は10月12、13日の二日間、本会より三名出席予定、全国学校保健大会は11月13〜15の三日間、三重県伊勢に於て開会され、12日には全国学校薬剤師大会が開催されるので本会から正副会長が出席することとなる。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 8月30日号

 九州学校保健研究協議大会 福岡県学薬師研究発表

 九州地区学校保健研究協議大会が8月19日〜21日の三日間福岡市民会館を中心会場として盛大に開催されたが、各県代表研究発表に於て福岡県代表(環境衛生)として学校薬剤師矢野憲太郎氏(福岡市学薬会長)は「学校の水道水について」と題して研究発表をなした。その概要は、学校の水道水が一年中安心して飲用されるか否かについて調査研究した結果の中間報告であり、夏期には塩素の含有量が基準より遙かに下廻り油断のできないことが判明した。殊に高層鉄筋校舎など屋上の貯水槽より配水している学校に問題が多いとしている。市の水道管から直接配水していても水圧が非常に低くなっている処は注意しなければならぬとしている。

 次に分科研究会では「学校環境衛生部会」の助言者として友納県学薬会長が臨席し、「学校環境衛生の整備改善を図るにはどうすればよいか」をテーマとして、福岡県八女より学薬師門司保氏が「学校環境衛生検査の実施と事後措置について」と題し、又鹿児島県学薬より「特別教室の環境衛生的整備改善について」と題して研究発表があって引続き質疑応答、意見など述べられ熱心に検討された。

 大会第一日19日午後5時から市民会館食堂に於て、今年より初の試みとして学校三師懇談会を開催したが、各県より三師約60名が参加出席した。

 協議事項

 @僻地問題について(学校医提案)
 A学校環境衛生について(学薬師提案)=矢野福岡市学薬会長が主として器具の整備について語る。
 B学校三師の待遇問題について(学校歯科医提案)=ベースアツプの必要について説明 三師から種々意見が述べられ熱心な協議が続き非常に有益な懇談会であつた。
 なお、次年度は長崎県に於て開催される予定である。