通 史 昭和40年(1965) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和40年(1965) 7月10日号

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 剤界はたつた一つの火を消した 十年後退くらきに蟄居

 九州・山口得票成績(高野票) 前回より「五、一一五票」減


 剤界では今回の参議院選挙に於てたつた一つの火を消してしまった。洵に遺憾の極みであるが、今更何をか言わんやである。高野氏に対してはお気の毒で何と申してよいか、剤界の無力さを反省するばかりである。

 参院選の当落の結果は全国区も六日早朝には判明、報導機関はこれを発表した。高野氏の名は当選者50名中になかつた。福岡県薬事務所に集った九州各県の高野氏の得票は左記の様なものであつた。今回は前回よりも殆んど減っている事は不思議な感じを与えた。よくよく考えれば予想外に少なかった理由は次の諸点にある様に思える。

 一、薬剤師は政治についての関心が馬鹿にうすいのではないかと云うこと。
 二、今回は前回よりも名目だけの後援団体が多かったと云うことに、会員は甘い考えを持つたこと。
 三、医薬品に対する不信感が対素人運動に影響を与えたこと。

 九州山口各県得票数

 今回      前回      増減  鹿児島
 七一、五五六  六八、一七一  三、三七八増
 宮崎
 一、九八〇   三、六一七   一、六三七減
 大分
 三、八七六   三、八一五   六三増
 熊本
 三、五七五   八、八四五   三、四六八減
 長崎
 三、六三一   五、七九六   二、一五六減
 佐賀
 三、一五七   三、九二九   七七二減
 福岡
 一一、六一〇  一二、一三三  五二三減
 山口
 四、九四五

 本年の 薬と健康の週間は 九月末に繰上げか

 日薬の6月17日階下の常務理事会で、例年11月に時視している「薬と健康の週間」は本年度に限り9月末から10月初旬にかけて実施し、医薬品に対する大衆の信頼感を回復すること、及び安全度の普及を重点として企画することを決定した、又薬学講習会は各都道府県のアンケートを取り課目を決めたいが、薬の安全性に重点を置きアンプル問題に関連性のある薬理学的な問題を課目中に含ませることを希望している。

 国立新制大学に 博士課程の設置を

 国公立薬科大学、部、科長会議(議長野上寿氏)は国立新制六大学に大学院博士課程を設置するよう要望書を薬学教育協議会(委員長伊藤四十二氏)に提出した。

 要望書の要旨は、
 先に国立新制六大学に大学院薬学研究科修士課程の設置をみたが、時代の進展、社会の要請に応ずるためにはなお、六大学に大学院博士課程の設置が急務であり、これ等大学に博士課程が設置される様ご支援をお願いする。同協議会では協議の上文部省へ要望書を提出する予定であると伊藤委員長は語っている。

 二ヵ月ぶりに開会 社保審議会 厚相所信表明

 社会保険審議会(会長、末高信氏)は健保三法‐健康保険法、日雇い健康保険法船員保険法‐の諮問案を審議するために二ヵ月ぶりに七月六日開会したが、鈴木厚相は初めて出席し、当面の医療問題について所信を明らかにした、その中で厚相は
 @健保三法改正案を秋の臨時国会に提出する  A薬価基準を四・五%程度引下げる  B中央医療協を今月中に再開する、などの基本的な考方を示した、厚相は前厚相時代からの医療紛争の懸案事項を中央医療協再開を軸として秋頃迄に解決したい意欲を持つものと思はれる。

 今回の社会保険審議会は薬代の本人半額負担、総報酬制の採用などを骨子とした健保三法改正の審議であるが、厚相は「諮問案の内容には固執しない、よりよい案が出れば十分尊重する」と述べ諮問案にこだわらない態度をも表明した。

 熊本県薬商組総会決 議として善処方要望

 (通信)

 薬業界に於ては茲一、二年偽装ドリンク剤の氾濫が問題となっているが、事実先の風邪薬アンプル禍以来現在は一層小売業界に影響を及ぼしていると云われており、而も小売業界の事情を能く知っている筈の薬系メーカーに対して特に気を悪くした熊本県医薬品小売商業組合では6月19日開催の組合総会に於て左記の決議をなし、直に26日付で大塚製薬社長宛、善処方を要望し期限付回答を促した。

 左記

 昭和四十年六月十九日、当組合総会に於て次記の通り決議が行われましたので、善処方お願い申上げますと共に、今後の御措置等について、来る七月八日迄に何分の御回答を賜るよう、重ねてお願い申上げます。

 決議

 オロナイン本舗大塚製薬は名目上傍系会社をして医薬品と紛わしい偽装ドリンク剤オロナミンを発売せしめ、バーや旅館等薬業者以外に供給し、風邪薬アンプル禍に多大の打撃を受けた吾小売業界に正規ドリンク剤の領域を犯して更に追い打をかけ、著しくその立直りを阻害している。その背信行為に対し強く反省を求むると共に今後の措置如何により重大な決意を行う。

 新かぜ薬配合基準再検討を 富山県薬連厚相に再度陳情

 全国配置家庭薬協議会及び富山県薬業振興特別委員会は去月初め、新かぜ薬配合基準について上京、厚生省当局に「アンプル剤を除き旧基準で承認許可を受けたかぜ薬については今後とも継続製造を認めて欲しい」との陳情をなしたが、去る二十八日鈴木厚相が参院選応援のため富山県に入ったのを機会に、業界を代表して塩井薬連会長が厚相に面接し左記再度陳情した。

 国民皆保険とはいえ、実際に未だ、その恩恵に浴さない者が全体の40%もいる。今回のかぜ薬の基準は配置薬業界の実情を全く無視したもので業界としては信用を失墜することになる。新基準を再検討して貰いたい。と要望し、これに対し厚相は、

 かぜ薬の主成分であるピリン系薬剤はWHO(世界保健機構)でも慎重に取扱う様注意を促しており、豪州では使用禁止となっている程である。アンプル以外の剤型のかぜ薬は七月を目途として新基準に合せて貰いたいのであるが、業界に打撃を与えるとのことであるので、新基準の実施時期に巾を持たせ、在庫品の消化される迄とし、既に配置したものは回収させないこととし、陳情の趣旨を充分尊重したいと思う。と答えた、次いで次の陳情書が塩井薬連会長から厚相に手交された。

 陳情書

 本年二月から三月にかけまして、所謂アンプル入りかぜ薬によると称せられる事件がマスコミに依り誇大に報導されました結果厚生省は、ことの真相が究明されるまで製造販売の自粛を要請し、アンプル入りかぜ薬は市場からすがたを消すこととなりましたが、このような事態を招来した真の原因は医薬品そのものの医学的薬学的作用より、むしろ服用当時の患者の体質や、使用方法に問題があつたことは、アンプル入りかぜ薬の果した治療効果と共に万人の認めるところでありまして、このために厚生省の採った一連の緊急措置は却って医薬品の信頼度を著しく低下せしめ、大衆の不信感を助長した事は明らかであります。

 この度更に一部学者の見解に基づき、何等科学的に慎重な検討を加えることなく唯単に、かぜ薬の安全性のみを強調して、一般大衆と業界の意向も考慮することなく、一片の薬務局長通知(昭和四十年五月十一日付薬発第三六〇号)をもって一方的に「かぜ薬の配伍効能基準」を定め、短時日間にこれが実施を強要せんとすることは国民を益せないばかりか、徒に業界を混乱におとしいれるものと謂わねばなりません。

 現行の基準によるかぜ薬は過去数十年にわたり、国民の保健衛生に大いに寄与し、然もその間見るべき事故もなく、一般大衆から愛用されて来たものであります。特に配置家庭薬業界では、製造業者は年間を通じてかぜ薬を製造し、その家庭薬総売上高における、かぜ薬の占める比率は極めて高いものであります。又、販売業者は各都道府県知事に販売品目を申請してその認可を経なければならないことになっていますので、製造から販売まで一貫して責任の所在が明確であります。随って十分な検討と準備期間をおかない、このような性急なる新、旧基準の切換え指示は斯業の実状の認識に欠けたものと謂うほかありません。

 先に厚相当局からアンプル入りかぜ薬の製造販売の自粛を要請されるにあたり、アンプル入りかぜ薬以外の剤型の方剤については、たとえ、ピリン系医薬品を含有するものであっても、何等の規制を行わないとの黙契もありましたので、我々は業者の反対と不満を抑え多大の損失にも涙をのんで該通知の実施に進んで協力してまいった次第であります。

 しかるに今回の措置は家庭薬を否定するが如き方向を示唆する行政措置であり、吾が国現下の医療事情に於て国民生活に直結して果す配置家庭薬の役割を無視すること甚しく特に中小企業者の多い本県の製造販売業の生活権を脅かすこと甚大で、これが施行されるならば、企業の倒産と多数の失業者を生ずる重大なる社会問題を惹起すること必至であります。

 何卒配置家庭薬業界の実状を御高察下さいまして慎重なる検討の上許可された従来からの基準処方を既得権として存続を認め新たに内規として示された基準については業者代表を含む各界の権威ある代表をもって組織された委員会によって根本的に再検討の上、善処下さいますよう茲に事情を具して陳情申し上げる次第でございます。

 福岡県薬商組 支部長会議 特殊指定問題研究 小委員会委員決定

 福岡県医薬品小売商業組合では第56回理事会を6月28日午前、第50回支部長会議を午後県薬会館で開催したが、支部長会議は左記の通り午後一時半から開会された。

 先づ白木理事長から開会挨拶に引き続き、先に開会された全国薬商連会並びに中央安定協出席報告があって、次に特殊指定問題を採り上げ「この問題は中央にのみまかせず、吾々に於ても充分研究し討議して疑議を糾したいと思うので、本日各支部長のご意見を伺いたい」と思うと述べ、

 先づ井上氏=医薬関係でも医師は消費者であり勿論規制はできないが、法外者規制もできないと聞くが?

 岡野副理事長=本日此処で研究しても解決することでもない、依って小委員会を作り吾々の希望条件を出して充分に研究して貰い、その上でこれを中央に反映させては如何?

 藤野専務理事=小委員会を作ることに賛成者が多ければ作ることにしたい。兎に角会員全体が個々に勉強して貰いたい。

 白木理事長=適当な時期に充分納得の行く様な説明会を開きたい。賛成者が多い様だから小委員会を設けることにする。県下四地区から各一名宛委員を選定し、これに執行部を加えて研究することにしたい。

 選考の結果次記四名を委員に依嘱することになった。
 福岡地区=山手陽一
 北九州地区=井上浩一
 筑豊地区=飯野敏
 筑後地区=未定

 次に各地区の状況報告に移り、福岡地区では志免問題が未だ解決せず、筑後地区の筒井、辻の両問題は参院選終了後に於て卸側を中心に問題解決に努力することになった。それより時局対策懇談をなし会を終了した。

 九大病院薬剤部 河野義明氏 医学博士に

 九州大学医学部附属病院薬局に勤務の薬剤師河野義明氏提出の論文が教授会通過去る三月「医学博士」が授与された、主論文は
 ▽亜硝酸ナトリウムおよびニトログリセリンについての薬理学的研究
 他に副論文三研究題が添えられている。

 秋の四国徳島で 第21回薬学大会 10月27日〜29日

 第21回日本薬学大会は10月27日〜29日、の三日間徳島大学薬学部及び市内徳島文化センターを会場に開催されることになっているが、この秋の大会は基礎薬学を中心に行われるも、開局、病院薬剤師にとっても身近な基礎薬学のテーマが盛り込まれている。

 又徳島は故長井長義博士の生誕の地であるので長井博士をしのんでの講演も予定されている基礎薬学大会で地味な印象を与えるので、参加者を歓迎するため阿波おどりなど披露することになっている。参加者予定は三、五〇〇人程度、参加は登録制とし9月20日迄に大会本部、徳島大学薬学部内第21回日本薬学大会準備委員会宛申込むことになっている。大会日程は次の通りである。

 ▼日程

 ▽第一日(27日)=開会式受賞式、特別講演、シンポジウム「東洋薬物の基礎並びに応用」、有機化学部会、分析化学部会、同時別講演、生物化学部会、若い薬学者の会、大会懇親会。

 ▽第二日(28日)=天然物化学部会、受賞者講演、有機化学部会、生薬学部会、生物化学部会、分析化学部会、物理化学部会、薬史学部会、シンポジウム「核酸化学」、薬物学部会、同特別講演

 ▽第三日(29日)=ガイダンス「分析化学の最近の進歩」、薬物学部会、アイソトープ部会、シンポジウム「テルパンの化学」、有機化学部会、シンポジウム「医薬評価における問題点‐主として安全性について」、天然物化学部会、閉会式

 熊本県薬商組総会決 議として善処方要望

 挾子

 ▼日本薬剤師団体もとうとう国会に代表者を持たないことになった。洵になさけないことだ、高野さんに対しては相すまぬことで、お気の毒に耐えない。高野さんも薬剤師でなかったら、あれだけの覇気と智慧と学問とを兼ね持っているのだから今度の様な憂目は見なかつたであろう。薬剤師であるがために自然薬剤師団体を地盤とするに至ったものであろう。これにこりず今後は政治に関心のうすい政治力のない薬剤師団体なんか一つの後援団体と思い、他の適当な地盤の上に十年二十年の政治生活を持ち十二分の手腕を発揮して貰いたい。

 ▼偽装ドリンク問題は薬業界では大分深刻に取扱かわれているが、清涼飲料とし法的に完全であれば薬務局も取締り様がないのである。清飲界幹部も道義的に見れば医薬品に偽装することは汚ないやり方ではあるとうなづいているが、然し本来医薬品は不健康即ち病人を健康ならしむるものであるのに、ドンリク剤などの広告を見ると健康な人々にすすめ、肉体的には頑強そのものである野球選手などが張り出されている、全く医薬品と云う観念よりも栄養飲料水である。ドリンク剤こそ清涼飲料水の真似だと云いたくなる。

 一体どちらが正しいのだろう?医薬品業者もこの点をよくよく考えるべきである。当局は医薬品の定義を法的にはつきり打ち出すべきが先行問題ではあるまいか。

 薬界短信

 ◆中九州薬品叶V社屋に営業開始=同社(社長米倉伊助氏)新社屋竣工6月21日に盛大に落成披露パーティーが行われたが、同23日より新社屋(久留米市天神町五丁目)に於て営業開始した、社員一同張りきっている。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 7月20日号

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 七月六日早暁参院選全国区確定、翌七日 福岡県薬緊急理事会開会

 態度決定と敗因分析


 福岡県薬剤師会では参院選に於て、六日早朝高野日薬会長の落選が確定するや、急遽翌七日午後県薬会館に緊急理事会を招集し、高野会長の落選は薬剤師会として本年度超重点事業に完敗したことであり、今後会として如何に対処すべきかを慎重討議することになったものである。

 当日出席の役員は流石に落胆の色も濃く、先づ会長は本年度の会の超重点事業であつた高野会長三選が失敗に終ったことにより今後の会の運営については何れ中央でも態度を瞭らかにすることではあろうが、本県は本県としての態度について、又敗因の分析などを検討したいと思う。と挨拶し、引続き会長は、

 今回の結果を見るに前回(三十四年)の得票より全国で約一万票少なく、内容を見ても全国的に低調であった。地元鹿児島も七万一千で僅かに五千増に終り、期待した東京大阪などの大都市も伸びず、全国各府県も軒並に下廻ったものが多く、北海道は伸びたが、(これは他の候補者も同様である)昨年高野会長が道の津々浦々迄廻われたことにもよると考えられ、関東が少し伸び、岡山は例の適配問題の紛争でか、そっぽを向いたと思われ、四国もおしなべて低調であつた。九州に於ては鹿児島が僅かに増加し(歯医は前回の二倍になっている)宮崎、熊本、長崎は遥かに及ばず、佐賀、福岡も下廻り、大分が五十票程度増えたに過ぎない。

 この敗因については色々と云われているが、指導者層の方々は前回以上熱心にやられたと思われる。然し末端迄は滲透せず、外郭団体の応援も末端の得票迄にはつながらなかったと考えられる。薬種商団体にも組合中心にと要請したが、末端では必ずしもその様に現われず、医師会推薦も山本すぎ氏の得票を見れば相当これに力を入れたと考えられる。

 この様に考えると、外郭団体の応援は末端で直接働いて得た処は別としてムードだけに終ったといえないこともない。結局十二年前、選挙に関しては素人であっても、真面目に気違いの様になって成功したのを10とすれば、六年前の前回は他団体の応援もあり開局者としては8をとつたに過ぎず、今回は更にそれが5〜4に下廻ったと考えられる。

 県内では福岡市ほか、ほんの一部を除き殆んど各地区共下廻った。前回より約千票伸びた福岡市に於てはメーカー、卸、鍼灸師などの積極的な協力が効を奏したか、会員の得票は正確に知る由もない。

 この様な惨じめな結果は何故であろうかは、他団体の応援に気を許したこと、経済不況で投げやりな気持ちから消極的であったと思われること、又医師会、歯科医師会では保険点数により支配され、これの確保には政治的な力より外なく、選挙と利害が直結するが、現在の小売薬業界では保険調剤は微々たるもので、殆んど直接経済面に響かないことによるとも考えられる、小売薬業者が取り組んだ経済安定も対外的、対内的な要素があるにも拘わらず単に対内的な内部統制にのみ目を向け、対外的な面を考えず、吾々の置かれた立場に思いを致さなかった処に今回の敗因があるのではないかとも考える。

 高野三選は薬剤師会のみのものではなく、薬業界全般のものであらねばならなかったのである。だが今回の選挙に成功することにより一番得る処があるのは、何と言つても小売薬業者であり、この点、中央地方を通じ小売団体がその意義を痛感せず、又吾々執行部の指導の拙劣さによることは言をまたないことであるが、総力を結集し得なかつたことが敗因と思われる。

 斯様な会員の在り方を聞きたいと思う。と述べ、それより各自それぞれ意見を開陳した、今回の得票が前回を下廻るなどとは夢想だもしなかった。前回の選挙違反事件の起きたことなど必要以上に恐れたこと、この際執行部の去就を会員に問うべきである。等々の声があり、或は涙をのんで多くを語らぬ者もあり、であつた。ここに於て執行部としては来る廿六日に日薬の理事会が開催されるので、中央の情勢などを見た上で、できるだけ早い機会に態度を決する事を決め当日の緊急理事会を終了した。

 薬剤師という集団 竹内克己

 参議選に破れた、苦しい戦いであるとは思っていたが、前回を下廻る様な得票になるとは、ほんとうの処夢想だにもしなかった。勝てないかも知れない、という一抹の不安はたしかにあった。然しこれ程みじめなものになるとは全くの処考へてみなかった、というのが私の実感である。

 薬剤師会が議席の一つも確保し得ない様な団体である事に、限りない悲しみと自己けん悪の感を深くしているのは私一人だけではないと思う。私は現在の薬剤師会の歩み方については批判的な存在であると自分では思っているし現在の段階においてこの考へ方を改める意志もない。

 然し、会長を議会に送る事についてはぜひそうしなければならないと信じてその心算で歩いて来た。今回の敗戦の原因は、反対もしないが、協力もしない、意見がないわけでもないが、積極的に発言する気力もない、そして不況という金言(?)をカクレミノとして、自分だけの世界を造ろうとする薬剤師が、致し方なく集って出来た団体が薬剤師会であったからである。

 してこれ等の人達は、ソーカ、やっぱりあかんか…と余り気にもしていない様な気がする。これが現在の薬剤師会というもの、実態ではないかという様に思うのである。この様な状態からどの様にして脱却するか、この脱皮が出来ない様なら、薬剤師会は、商業組合に城を明け渡した方がよい。そして金もうけに専念する団体にした方が余程スツキリしている。

 躍進に躍進を続けた製薬業界も一つの壁にぶっつかって来た。在庫滞留期間の延長が数字としてあらわれ始めて来たのである。生化学的な理論を直ちに「医薬品」に結びつけて生きてきた日本の製薬業界は学問的根拠の下に、ガケくずれの様相を呈し始めたのである。

 薬価基準の切り下げは目前にあり、不況ムードは割増競走となり、問屋さん達にクスリの原価は?とあきれさせているというのが実相である。我々も大量需要家は高いクスリを買わねばならない現実に何時迄もだまっているわけにもゆくまい。

 この様な状況の中で、特殊指定問題が今日の話題として取り上げられているけれ共、この様な小手先だけの問題でなく、薬業の本質について本格的に取り組む気がまえを起さねばならない。これにほんとうに取り組まねばならない団体が薬剤師会なのである。薬業の純粋な形は何か。票の集まらない政治はやらないという政党根性が薬剤師会をむしばむ様であったら、これ以上の開展は望めない。

 適正配置が法文化される時、勤務者から何等の抵抗も、意見も出なかった、これを裏返してみれば、勤務者五万票は会長の得票につながらなかったのである。薬剤師会は今こそ心を新にして、守る姿勢から前向きの姿勢に大転換を計らねばならない。現状を如何に守ってゆくかでなく、どの様にすればよりよい薬業が出来上るかを考究しなければならない。大目標に向って突進する熱意と迫力を必要とする。

 個人の感情論的言動によって会の行動が例え僅かであつても阻害されない様に正しいピジヨンの確立を急がねばならない。具体論は時期尚早の感があると思うので割愛するとして、薬業を愛するが故に私の願いは、薬剤師会の思い切った脱皮であり、凡ての会員に魅力ある会になってもらいたいと思うのである。そしてそれが完成されて始めてほんとうの政治力となり得ると考へるからである。(福岡赤十字病院薬剤部長)

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 季節の手帖始末記 荒巻善之助

 昭和三四年の秋、突然電話があって、季節の手帳について相談があるから西日本新聞社に来てくれということであつた。

 広告部企画課長の賛井さんという人がいて、むろん初対面だった。その時の顔ぶれは西新の藤田胖氏外一、二名であつたと覚えている。相談というのは今迄季節の手帳の編集を東京でやっていたのだが、これを地元でもり立てる意味で、ぜひ福岡市の薬剤師会で引受けてはくれまいかという話であつた。

 当時の季節の手帳はグラビア刷りの八頁でちよつと見にはメーカーのチラシ広告とまぎらわしい程度のものだった。それ迄はどうしてこれが毎月店頭に配られてくるのか特に気にもかけていなかつたのだが、この時はじめてその事情を承知したわけである。

 それによると先年の東京での薬学大会のおり、磯田前会長(故人)のきも入りで、三共、山之内、第一、雪印、ジユジユ化粧品の五社のメーカーと西日本新聞との間に全頁広告の契約が成立しその謝礼の意味をも含めて薬局薬店のPRのための定期刊行物をもつことになり、三三年六月に創刊したのであつた。

 さてそういう事情は判ったものの、いきなり地元で編集してみろ、と持出されてもさすがに返答に窮した。その半年ほど前に一度か二度、何でもよいから原稿を書け、と書かされたことはあったが、それと、これとは別個の技術に属する。

 然し新聞社としてはどうしてもこれを地元編集に切替えたい意向のようであった。それというのも長期契約の一頁広告というのはなかなかの魅力である。第一に安定した広告収入が得られる。第二に出稿を事前に予定しておくことができる。あれやこれや考えると、季節の手帳に多少の出費がかさんでも充分引合う財源だったのだろう。

 そこでこれを或程度持続的な企画に持ち込みたい。そのためにはこの季節の手帳を地元業者の間でもり上げさせて、その反響でメーカーを引っぱって行こう、とまあこういう作戦だったのだと思う。もちろんそういう相手のはらがその時から判っていたわけではないので、後日この企画が難航し始めてからやつとそういう事情がのみ込めてきた。いわゆる何とかの後智恵という奴なのである。

 それはともかく、新聞社側からこの企画を担当強硬に持ち出されてみると、企画そのものが薬業界にとつてプラスになることだけに単に、「出来そうにない」というような消極的な理由だけで断るわけにも行かず、薬剤師会の方でもよく検討してみて、ということで、一応その日は引き下った。

 こういう企画は会としても前例がないことだけに、誰かそういうことに経験のある適材があるに相違ないとは思ってみても、なかなか思いつくことができず、それでも人数だけは一応とり揃えて第一回の打合せに臨んだ。

 そのときのメンバーはスポンサー四社(ジユジユは支店がないので欠席)、新聞社は賛井課長と前社長の息子、富安弥太郎氏、薬剤師会は権藤市薬会長、藤田胖、久保川憲彦、馬場正守、女子薬から、上田、綱島、杉本、森山の各氏、それに私という顔ぶれであつた。

 このときから従来のグラビア刷り八頁を改めて、横長の二〇頁の小冊子とした。その第一号が通巻十九号即ち三五年一月号である。

 それ迄これの編集、製本は主婦と生活社でやっていた関係上、二〇号即ち二月迄東京で製本している。然し主婦と生活社がストに突入したので完全に地元出版の態勢に移行せざるを得なくなった。幸い富安氏の夫人、富安恒子氏が二科の商業美術で優秀な方であるということから、表紙のデザインをお願いすることとし、印刷は秀巧社で行なうこととした。これは本年六月の廃刊迄継続したのである。

 さてここで完全に地元態勢が確立したが、その内容を簡単に説明すると、原稿締切が毎月二五日、一応揃つたところで割りつけをする。これが月末から月始め、これをもとにしてゲラ刷りを作る。このゲラ刷の校正が毎月十日、この日はメーカー、新聞社、薬剤師会、一応全員出席して相互間の伝達、意見交換、企画その他運営上の協議をし、翌々月号の編集企画をする。この日の校正で更にゲラを刷り直し、もう一度それを校正していよいよ最後の版にとりかかることになる。

 会務の運営、対外折衝等総務的な仕事は藤田氏が当られ、編集の実務は最初久保川氏がやっておられたのだが、同氏の御都合で一年半ほどでお止めになることになり、その後を私が引き継いで新聞社の担当者とやるようになった。

 もともとこの季節の手帳は全会員に無償で配布していたもので一人当り五〇部ぐらいではなかつたかと思う。この配布の仕方は公平であることには間違いないが合理的な方法とは云えない。なぜなら積極的な利用を考える店では五〇部かそこらではとても足りないし、逆にそうでない店では五〇部はおろか十部でも多過ぎる。

 自分達が実際に手がけてみるとやはりそれ相応に可愛いもので、同じことならほこりをかぶってくず屋に払われるよりは、やはりちやんと利用してもらえる所に多く回したい。然しそうなると無償というわけにはいかぬ。たまたま三五年の暮新聞社側からもう少し部数を伸したいという申し入れがあり、それならば本当に会員の希望する実数はどのくらいなのか、これを知るために一部一円という最低の価格を設定して、これで会員の意向を打診したのであつた。

 この結果三六年一月に出た数字が福岡市内で一万七千部である。更にこれを市内のみでなく県下全般に拡げようという四島県薬副会長(現会長)の意向で同年五月には二万六千部、七月に三万一千部、三七年一月に三万五千部、と飛躍的に増大した。

 もともと新聞社としては当初予算十万円で出発したのであって、一部当りの単価が大体六円内外になるので、一万五千部ぐらいならその予算のわく内で充分であったのが、部数の急増によってとうていこれを広告収入から支出するわけには行かなくなってきた。そこで協賛メーカー一社当り、広告費十万円の他更に二万円を負担してもらうこととし、どうにかこれを承知させることができたのである。

 これは三九年末、新聞社の手を離れる迄続いたのだが、この別途負担金二万円が結局は命取りになったとも云える。ただその当座は部数の伸びは即ち発展の一途をたどるものとしか考え及ばなかったのである。その挫折のきざしはすでにジユジユ化粧品に於て現われていた。

 当時ひどい値くずれのため、制度品に押されて衰微の一途をたどっていた一般化粧品メーカーにとつて、月額十二万の広告費が福岡中心にばらまかれ、それが売上面にさしたる反響もみえない。ということになると、いささかうつとうしい存在になりかかつて来たことは想像するに難くない。

 この様な空気を反映して第一回目の説得工作が三七年二月東京で行なわれた。即ち権藤市薬会長及び藤田胖氏がわざわざ東京に出向き、たまたま上京中の五郎丸県薬会長(当時)と共に記念品贈呈及び地元福岡の情況説明によって向う二年間継続の確約を得ることに成功した。

 ところがこの二年が実は限度であった。三九年に入ってジユジユは遂に解約を申し出る。後釜を補充する迄ということで更に半年間これを延長し、四島会長その他の方の努力でどうにかライオンを説得することができた。然しこの頃は雪印の状況がすでに悪化していたのである。

 この様なスポンサー側の空気は敏感に作用し合って第一、山之内もぐらつき出してきた。そして再三の引のばし工作も効果なく、雪印は三九年末遂に手を引いてしまった。実はこの頃には新聞社も相当露骨に企画打切りの意志を表明していたのであって、それをここまで引っぱつてきたのは四島会長の強引な引き延ばし政策に負う所が大きい。

 然し雪印の脱落によって事実上新聞社企画として続行することは不可能となってしまった。だが四十年六月迄はどうしても続行したいという会長の意志もあって、一応新聞企画による出版は三九年末で打切り、新に雪印を除くスポンサー四社に月額六万円を負担してもらってどうにか六月迄食いつなぐことができたのである。この間九州薬事新報社の安河内女史に編集の外にいろいろ雑多な事務的な仕事をやっていただいて、これならば本当に我々だけでも仕事は出来るという自信はついたのであるが、残念ながら資金の方がどうにもならないということで八五号を最後に幕切れとなった。

 然し逆に私自身のことをいうと本当によい勉強をさせてもらったと思っている。こういうことはやりたいと思つてもなかなかやらせてもらえることではないし、日頃何げなく読み捨てている新聞雑誌というものが、どんなに手のかかつたものであるか、どんなに神経が使われているか、ということも自分でやって始めて判ったことであった。

 長い文は短くする、短かい文はカツトや写真で穴埋めする、文字の大きさ、書体の指定こういう何でもないような仕事でもなかなか慣れる迄はうまくいかないものだ、ということを体験させてもらった。そしてそういうことのむづかしさとは別に、実に楽しく仕事をさせていただいたことを同僚の方々、役員の方々、さらに直接読者の方々に感謝したい

 今ここにとりなれた朱筆を擱くに当り、多少の感慨をなしとはしない。七年間の流れの中の薬業界の動きを思い起すとき、この手帳を通じてキヤンペーンすべきことはまだまだ多々あつたはずであった。力の足りなかつたことを会員各位に深くおわび申し上げる。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 7月30日号

 医薬品の特殊指定関係資料 医薬品特殊指定の現況及び関係三案

 医薬品の特殊指定に関する問題については製企会が中心となって研究し又推進母体ともなっているが、大体実施案も纏まったので、製薬団体連合会、医薬品卸業連合会、全国医薬品小売商業組合連合会、全国薬業協同組合連合会の総意を纏めてなるべく早く公正取引委員会に申請したい意向であるが、その態度決定は日本製薬団体連合会の九月開会予定の同会評議員会に諮って決定する模様である。

 現在製薬連、卸業連、全商連は特殊指定に賛意を表明しており、家庭薬業並に配置薬会に於ては大体趣旨には賛成しているが、決定的ではなく、チエーンメーカーは殆んど消極的であり、製企会に対し文書質問中であって、結論的意向を示していない、又厚生省薬務当局は「特殊指定問題については未だ公取委と何等の接渉も持つたことはない、今のところ厚生省が積極的にのり出す様な段階には来ていない、又業界でも意見の統一ができていない様に受取っているが、充分に業界の意見を統一した上でやるべきで、無理押しをしない様に」と言っている。

 医薬品業が独占禁止法に基づく特殊指定を受け様とする主たる目的は不当な乱売或はおとり販売を防止することである、製企会の医薬品業に対する特殊指定の解説中に特殊指定を受ける目的について次の様な説明の部分がある。

 もともと独占禁止法は独占価格となるような価格を拘束することを禁止するとともに、競争が自由に且つ公正に行われる様事業者が不公平な取引方法を用いることを許さない立前になっており、この公正取引委員会の指定する不公平な取引方法の内には、不当に顧客を誘引することとか、不当に低い対価によって取引することなどを禁ずる一般指定の条項があって、不当な乱売は禁ぜられており、それ故特定産業の事業分野に於ては、これ等一般指定の条項に基づいて、主として物品、饗応その他の経済上の利益の供与を禁ずる特殊指定が行われていて、現にこの特殊指定を受けている特殊産業の不公正取引の内には、新聞業に於ては、その「地域又は相手方により、異なる定価を付し又は定価を割引すること」という、割引き禁止の条項を規定しており、その他の特殊指定業種に於ても、その公正取引規約或は実施細則等に於て安売りを禁止する条項を加えている。

 今般医薬品業がこの特殊指定を受け様とするのは、この指定を活用して不当な乱売或はおとり販売を防止することを目的としていると云うことができよう。

 特殊指定(案)

 医薬品における特定の不公正な取引方法(案)

 1、医薬品の製造または販売を業とする者が、不当に低い対価によって医薬品を販売すること。
 2、医薬品の製造または販売を業とする者が、医薬品または他の商品を販売する手段として医薬品を不当に低い対価で販売すること。
 3、医薬品の製造または販売を業とする者が、不当に低い対価によって医薬品または他の商品とバーター取引きをすること。

 医薬品業における特定の不公正な取引方法実施

 この特殊指定を受けるに関連した「特殊指定案」本紙二頁の「不当景品類及び不当表示防止法に基づく公正競争規約案」本紙四頁の「医薬品公正取引協議会規則案」の三案を能く検討研究する必要があるので、この三案をここに記載することにした(本紙前号記事の「特殊指定について製企会は薬務当局と懇談」を参照されたい)

 要綱

 (目的)

 第一条 この要綱は、昭和四十年公正取引委員会告示第………号「医薬品業における特定の不公正な取引方法」を円滑に実施するため、その定義等を明らかにするものである。

 (不当な対価による販売の禁止)

 第二条 医薬品の製造または販売を業とする者は、次に定める各号を除き、不当に低い対価によつて医薬品を販売してはならない。
 2この要綱において「不当に低い対価」とは、製造業者においては生産者価格以下の価格、販売業者においては、原価に事業経営上必要な経費を加えた価格以下の価格をいう。
 3この要綱において「原価」とは、販売業者の仕入価格から、その取引に付随して行われる割り引き、歩戻し助成金あるいは報奨券等による値引き、または現品あるいは景品の添付分価格を差引いた正味価格をいう。
 4この要綱において「事業経営上必要な経費」とは労務費(事業者および従業員の給与を含む)、家賃、借入金利子、減価償却費、販売費、設備維持費、配達費損害保証費、契約、課税または保険に対する支出、広告費等を含むものをいう。
(販売業者のうち卸業においては原価の %、小売業においては原価の %を、それぞれ事業経営上必要な経費の最小限の経費と定めることができるものとする。)
 一、災害、慈善事業あるいは救済機関等に対する販売
 二、法律の命令に基づく販売

 (おとり販売の禁止)

 第三条 医薬品の製造または販売を業とする者は、医薬品または他の商品を販売する手段として、医薬品を不当に低い対価で販売してはならない。
 2この要綱において医薬品または他の商品を販売する手段として」とは、医薬品または 他の商品の顧客を誘引する手段として販売することをいう。

 (不当なバーター取引きの禁止)

 第四条 医薬品の製造または販売を業とする者は、不当に低い対価によって医薬品または他の商品をバーター取引きしてはならない。
 2この要綱において「バーター取引き」とは、医薬品業者間の現品取引きをいう。

 全薬商組連 特殊指定研究会 疑問点の検討

 医薬品の特殊指定問題に対し積極的に推進している全国医薬品小売商業組合連合会では「特殊指定研究会」をこの程熱海温泉大和館で開催し、特殊指定についての疑問点につき充分な研究と検討を加えた、予かじめ同会常務理事会で検討を加えた疑問点は次の様なものであつた。

 1、何故特殊指定を受けなければならないのか
 2、特殊指定と不当景品防止法に員外者はあるか
 3、公正取引協議会への加入と脱退は自由か(脱退した者はどうなるか)
 4、現在の様に仕入れ価格差が大きい場合、原価プラス必要経費では末端の最低価格に非常に格差が生ずるが、これをどうするか
 5、不当対価、差別対価について
 6、協同組合などに対す適用はどうなるか
 7、生産者価格に触れてないのは不公平である
 8、中小メーカーに対する圧迫であるとする声があるが、どうか(中小メーカーは大メーカーと公平な競争ができるか)
 9、小売の仕入れ原価に対して、又価格に対しての制限はどうか
 10、現品添付は値引きか、景品か
 11、医家向けと病院向けに対する方策如何、現状では病院対薬局の矛盾を益々深めるのではないか
 12、協議会の構成はどうか
 13、従来の価格体系はどうなるか(マスコミ品、チェーン品、家庭薬)
 14、適正マージンの確保に対する対策はどうか
 15、医師会問題はどうか
 以上は大体の疑問点であるが、実際問題としてはまだまだ沢山の問題点があるものと考えられる。

 現医師会批判勢力の結集か 日本医学協会発足

 日本医師会(会長、武見太郎)の在方に批判的な医系大学教授、病院勤務医師、開業医など約四百名が集り「日本医学協会」が七月廿五日午後二時から東京赤坂の虎ノ門共済会館で設立総会が開かれ、定款、綱領を決め、正副会長を次の様に決定した。

 ▽会長 吉田富三(がん研究所長)
 ▽副会長 美甘義夫(東大名誉教授=大学関係者代表)▽神崎三益(日赤武蔵野病院長=病院関係者代表)▽粟飯原梧楼(開業医代表)

 同協会は発起人に、先の日本医師会長選挙で武見現会長と戦った吉田氏初め医師会の現執行部に批判的な大学、病院関係者が名を連ねている、同日の会長就任挨拶で会長吉田氏は「本会の理想を掲げることは医界の現状批判に通ずる」と暗に現医師会の批判勢力であることを認め、

 又「@薬価基準の引下げ、A医業経営実態調査、B医療費請求の審査、等当面の医療問題の紛争点については、これに対し反抗するでなく、医師の人間性を無視した制度の根本を正して行くことが尤も必要なことである」と述べ、阻止斗争にのみ専念している現医師会の方針を批判した。

 又記者会見では「医師会を批判し争そうために協会が結成されたのではない、然し協会が推進せんとする理想は今の医師会では当抵実現できない、私達は反抗や斗争など力だけに依ることでなく、現在のものは非合理的な、無理な医療制度であることについて国民に理解を求めたいのである」と語った。なお、総会で決定した協会の綱領は次の通りである。

 一、医療制度の欠陥とそれに起因する医界の混乱に対し吾々は医道を高揚し医学教育を充実し、以て医療制度を改善し、医学医術の健全な進歩に貢献する。

 一、医界その他各方面の知識を集め、理解を促進し決して他の団体と争うことなく、中正を持して目的達成に努方する。

 一、医学者、勤務医、開業医は互に融和、協力してよりよい医療の実現を期する。

 福岡県安定協七月例会 特殊指定について意見続出

 福岡県薬業安定協議会七月例会は廿四日午後一時から天神町、福岡ビル九階第二ホールで、小売側白木委員が議長となって開会された先づ白木中央安定協委員より本月十九日大阪に於て開会された中央安定協出席報告があつたが、その中で特に詳細な説明があつた特殊指定について、小売側から次の様な種々な意見が述べられ又質問も発せられた。

 ▽特殊指定の問題の内容については殆んど大多数の会員が疑心暗鬼の状態にあるがその間に、これに係わりなく中央ではそれを推進している。福岡県では一部会員により、その研究会が持たれて反対している向もあるが、これも一つの見方であり又考方でもある、小売組合としてはこれにどの様に対処するか、その対処如何によってはそれに即応して会員に極力PRしなければならぬのではないか、安定協だけで唯話し合つても意味がない。その結論を具体的に納得の行く様説明する努力がなされなければならぬのではないか

 ▽やらないよりやつた方が良いことであれば遠慮なく推進すべきである

 ▽仕入れの格差と強制値引きになる惧れ、この二つが一番心配されている点である

 ▽仕入れの格差がどうなるかが問題で、必要経費の差は大したことではない

 ▽自由競争の立前の内で統制的なことをやるのであるから、余程慎重に研究して貰わぬと困る

 ▽価格が乱れるものだけでもなぜ再販契約をやらないのか

 ▽一部会員の私設研究会(?)で医薬品の特殊指定に反対意見が出されているが、その意見の中には相互誤解から発生したと見るべきものなどもあつた、これ等の意見に対しては早急に堂々と反駁し、そのグループのみでなく県下一般会員にも正しく理解させなければならない。等々であつたが、特殊指定については会員を真に啓蒙するため、商組では指導員をつくる必要があるとの結論に達した。

 次に各地区の情況報告に移り、各地区より試売の結果などの報告はあつたが、各地区共それぞれむづかしい色々な問題をかかえているので、要は安定要綱が発足した当初出発点に返って貰いそれに対処する事、その方法は既に決っているのであるから、この協議会では、それぞれ各社よりその結果を報告して貰うことであり、それが一番大事であり又結構なことで、その様な在方でないと一向に前進はしない、との強い意見もあつた、製企会の委員以外のメーカー品で面白からざる問題が起つてもこの協議会に出席されていないため或は意志の疎通を欠くこともあるので、次回よりは毎月二、三社づつ出席を要請して相互の意志疎通をはかることとなり八月例会には藤沢薬品、大日本製薬、興和新薬の三社の出席を求めることに決定した。

 結束を固める 福岡市薬理事・部会長会

 福岡市薬剤師会では七月十七日午後二時から県薬会館で副島専務理事司会し、理事並に部会長、殆んど全員の出席を得て参院選後初の理事・部会長会を開催した。

 友納会長に代り波多江副会長は挨拶後引続き、会費について、今月末迄に完納されたいとの要望をなし、又第16回九州地区学校保健研究協議大会が8月20日〜21日の三日間市民会館に於て開催されるので、多数会員の出席を希望した。

 次に四島県薬会長は今回の不幸な結果に終った高野選について、全国及び福岡県福岡市に於ける得票事情を分析し、各地区が前回より下廻った中で福岡市が千票ではあるが増加したことについて感謝の意を表し、業界に残された今後の問題について次の様な考え方が述べられた。

 今回の選挙については薬剤師の熱意の度合いが降下し、身近に自分のものだとの感じがなかったのが一番大きな全国的敗因であつたと思われるが、全国状況はさておき、我が福岡県で二万五千票〜三万票の票が得られれば県の薬業界としては、圧力団体としての価値が認められることになると、選挙前から言っていたのであったが、残念ながら実現しなかつた。然し市薬に於ては或程度の成功をおさめた、これはメーカーや卸のご協力に負う処も大きかったと思われる。

 高野落選をこの儘放置すれば薬業界は日一日と後退をよぎなくされるであろうが、業界全体がこれを機会に決然打って一丸に纏まって圧力団体を形成し、日医の如く、総評の如く、強力な団体として存在すれば、たとえ国会に議席を持たなくとも、強力な圧力団体としての可能性があるのではないのかと考える。そのためにも先づ市薬が率先してこれを強力に推進し、他の指針に自らなつて貰いたいと切望するものであります。

 次いで副島理事より会費納入について「本会の部会は県支部並みの扱かいをされているので、今月末迄に完納すれば内規により15%の還付金がある、部会長が各自努力すれば部会内の会員も自然協力することになるので、そこ迄やつて貰いたい。何と云つても本会は部会の結束が一番根底となるのであるから底力のある、根強い団体となる様ご協方をお願いする。只今の処、完納部会は、箱崎、当仁、春吉A、馬出の四部会である」と説明報告があつた。それより山手理事から薬商組関係の報告があって理事部会長会を終了した。

 薬界短信

 ◆福岡県薬理事会・支部連絡協議会=八月二日午前理事会、午後支部連絡協議会が県薬会館で左記により開会
 @中央情勢について
 A会務運営に就て、其他

 ◆第16回九州地区学校保健研究協議大会=8月19日〜21日の三日間福岡市内市民会館を中心に開催される。

 不当景品類および不当 表示防止法に基づく 公正競争規約(案)

 医薬品業における景品類の提供および不当表示の禁止に関する事項の制限

 医薬品の製造または販売を業とする者は、医薬品を購入するものに対し、景品類を提供してはならない。ただし次の各号に掲げるものは、この限りではない。
 一、医薬品業において正常な商慣習と認められる取引商品価格 %以内の現品添付。
 二、医薬品業において正常な商慣習と認められる創業記念等に際しての招待あるいは記念品の提供
 三、医薬品業において正常な商慣習と認められる儀礼的な中元、歳暮等の贈りものの提供。

 医薬品の製造または販売を業とするものは、ぎまん的な表示によって医薬品を販売してはならない。 別紙当事者目録記載の日本製薬団体連合会、日本医薬品卸業連合会、全国医薬品小売商業組合連合会および全国薬業協同組合連合会等医薬品の販売を業とする者を構成員とする団体は、不当景品類および不当表示防止法第十条第一項の規定により、医薬品の販売に附随する景品類の提供および不当表示防止に関する事項について、次のとおり、公正競争規約を設定する。

 医薬品業における景品類提供および不当表示の禁止に関する公正競争規約

 第一章 総則

 (目的)

 第一条 この公正競争規約(以下「規約」という。)は、医薬品業における景品類の提供および不当表示の禁止に関する事項の制限(昭和四十年公正取引委員会告示第 号)を励行するため、医薬品業における正常な商慣習に照らして、景品の意義提供を禁止させる行為の範囲、および不当な表示の意義等を明らかにするとともに、所要の組織および手続き等を定めることにより、医薬品業における不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を促進することを目的とする。

 (定義)

 第二条 この規約において「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であると間接的であるとを問わず、くじの方法によると否とを問わず、医薬品の製造または販売を業とする者(以下「医薬品事業者」という。)が、自己の販売する医薬品の取引きに付随して、医薬品を購入する者に提供する物品、金銭、その他の経済上の利益であって、次に掲げるものをいう。
 一、物品および土地、建物その他の工作物。
 二、金銭、金券、預金証書、当せん金付証票、および公社債、株券、商品券その他の有価証券。
 三、きよう応(映画、演劇、スポーツ、旅行その他催し物等への招待または優待を含む。)
 四、便益、労務その他の役務。
 2 この規約およびこの規約に基づく規則等の解釈に関しては、次の各号に定めるところによる。
 一、「医薬品」とは、薬事法第二条に定義されたものをいう。
 二、「医薬品業」とは、医薬品を製造し、または販売する事業をいう。
 三、「顧客を誘引するための手段として提供する」とは、医薬品を購入させるための手段として提供することをいう。ただし次に掲げるものを含まない。
 イ 正常な商慣習と認められる創業記念等に際しての招待あるいは記念品の提供。
 ロ 正常な商慣行と認められる中元、歳暮等の儀礼的な贈りものの提供。
 四、「間接的に提供する」とは、医薬品事業者が第三者として、購入者に対し景品類を提供させること。ただし、医薬品事業者と第三者との間に経済上の利益の授受があるか否かを問わない。
 五、「くじの方法による」とは、懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(昭和三十七年公正取引委員会告示第五条備考)に掲げる方法その他これらに類似する方法によるということをいう。
 六、「医薬品の取引きに付随して提供する」とは顧客を誘引するための手段として提供するすべての場合をいう。
 七、「医薬品を購入する者」には、現実に購入する者のほか、将来医薬品を購入する可能性のある者を含む。
 八、「提供」には、提供の申出を含む。
 九、「物品」には、医薬品を含む。
 十、「招待または優待」には、催し物等(自己が主催するものであると否とを問わない。以下同じ。)の入場券、招待券優待券、整理券等を提供すること。
 十一、「便益、労務その他の役務」とは、派遣店員等の労務をいう。
 十二、「ぎまん的表示」とは、実際の価格ではない架空の価格を設定し、これを作為的に改変して別の価格を表示し、あるいは架空の価格からの割引きを表示するなど、顧客に低価格と誤認させるようなぎまん的表示をいう。

 第二章 景品類提供の禁止

 (景品類提供の禁止)

 第三条 医薬品事業者は、医薬品の購入者に対し景品類を提供してはならない。ただし次の各号に掲げるものはこの限りではない。
 一、医薬品の製造業者は正常な商慣習として認められる取引き商品価格の %以内の景品あるいは現品添付
 二、医薬品の卸業者は前号の場合にかぎり、その添付率以内で小売業者に景品あるいは現品を添付することができる。

 (射幸心をそそる方法による販売の禁止)

 第四条 医薬品事業者は、ゆきすぎた懸賞、商品等射幸心をそそる方法によって医薬品を販売してはならない。

 (懸賞賞品としての提供の禁止)

 第五条 医薬品事業者は、懸賞の賞品として医薬品を提供してはならない。

 (容器等との引換え提供の禁止)

 第六条 医薬品事業者は、医薬品の容器または被包と引換えに医薬品その他の物品を顧客に提供してはならない。

 (招待の禁止)

 第七条 医薬品事業者は、顧客を誘引する手段として招待、きよう応を行つてはならない。ただし次に掲げるものを含まない。
 イ 正常な商慣習と認められる創業記念等に際しての招待等儀礼的な招待

 (役務提供の禁止)

 第八条 医薬品事業者は、顧客を誘引する手段として便益、労務その他の役務を提供してはならないただし派遣宣伝員はかかる役務に含まれないものとする。

 第三章 不当表示の禁止

 ぎまん的表示の禁止)

 第九条 医薬品事業者は、実際の価格ではない架空の価格を設定し、これを作為的に改変した価格を表示し、あるいは架空の価格からの値引きを表示するなど、顧客に低価格を誤認させるようなぎまん的表示を行つてはならない。

 第四章 規約の実施

 (協議会)

 第十条 この規約の目的を達成するため、医薬品公正取引協議会(以下「協議会」と略称する。)を設置する。

 協議会の組織、事業に関する規則)

 第十一条 協議会の組織、事業、規約違反行為の処理手続きその他この規約の実施については別に規則をもつて定める。

 付則 この規約は昭和四十年 月日に施工する。

 挾子

 ▼東京で「日本医学協会」と云うのが結成され廿五日に創立総会が開かれた、鼻柱の強い武見会長を戴く日本医師会に対するその批判勢力の結集されたものらしい、発起人の顔ぶれがそうなっている様だ。会員は大学教授、病院医師、開業医であるが日本医学と称した様に学者が中心らしい、日本医師会の経済は開業医によって持たれており、従って日医は開業医を中心に行動している、今日の開業医は既に商人であり商魂が仲々たくましい、学者とは合わない、恰も剤界の様なもの。

 ▼福岡の某薬店で高野選のまつさい中に幹部連のドサクサを利用してチラシを散布したのがあったそうだ。又愈々落選となって業界がシユンとして落胆しているすきに、これを機会に乱売に踏み切ったそうだ。一寸人間ばなれがしていて悪徳業者と云うべきであるが、ここ迄行けば馬鹿らしくて批判もできない、どうです。

 ▼福岡市内の某E薬局では昨年1月から今年2月までの一年間に催眠薬などの劇薬をを薬事法に違反して販売した件で検挙され、先に聴聞会も開かれたが、違法性を阻却する理由はないと云うことになり、とうとうこの程7月19日〜23日までの5日間薬局業務の停止処分に処せられたそうだ、薬局として又薬剤師としては実に恥すべき行為であるが、然し兼ねて事々に消極的であるとの噂さを得ている県薬務当局が「営業停止」と云う事は誠にめづらしいことだとの業界雀のささやきである、それもその筈「睡眠薬など、即ちブロバリン、ハイミナール、ネネ、新グレナイト、アドルム、カルモチン、塩酸エフエドリン注射液など三、〇〇〇個余」を販売したそうだからである。

 医薬品公正取引協議会 規則(案)

 第一章 総則

 (目的)

 第一条 この規則は、医薬品業における景品類の提供および不当表示の禁止に関する公正競争規約(以下「規約」という。)第十一条により「医薬品業における景品類の提供および不当表示の禁止に関する事項の制限」(昭和四十年公正取引委員会告示第 号)および規約ならびに「医薬品業における特定の不公正な取引方法」(昭和四十年公正取引委員会告示第 号)および医薬品業における特定の不公正な取引方法実施要綱の円滑なる運営を図るため、医薬品公正取引協議会(以下「協議会」と略称する。)の組織および運営を定めることを目的とする。
 第二章 協議会の組織
 第一節 医薬品公正取引協議会

 (事業)

 第二条 医薬品公正取引協議会は、次の事項を行なう。
 一、医薬品販売の不公正な取引き方法に関する事項の調査および研究
 二、景品類の提供に関する調査および研究
 三、規約の規定に違反する行為の処理
 四、医薬品業における特定の不公正な取引方法実施要綱の規定に違反する行為の処理
 五、公正取引委員会との連絡
 六、その他必要な事項

 (事業)

 第二条 医薬品公正取引協議会は、次の事項を行なう。
 一、医薬品販売の不公正な取引き方法に関する事項の調査および研究
 二、景品類の提供に関する調査および研究
 三、規約の規定に違反する行為の処理
 四、医薬品業における特定の不公正な取引方法実施要綱の規定に違反する行為の処理
 五、公正取引委員会との連絡
 六、その他必要な事項

 (協議会の組織)

 第三条 協議会の組織は次のとおりとする。
 一、協議会は各都道府県に支部医薬品公正取引協議会(以下「支部協議会」という。)を置く
 二、支部協議会はそれぞれ支部実行委員会を設けることができる。

 (協議委員会の構成)

 第四条 協議会に医薬品公正取引協議委員会(以下「協議委員会」という。)を置き、委員長および委員をもつて組織する。
 2 委員は支部協議会より選出する。
 3 委員長および委員の任期は 年とする。

 (委員長)

 第五条 委員長、委員の互選によって選任する。
 2 委員長は、協議委員会の会務を総括し、委員会を代表し、また会議を招集してその議長となる。
 3 委員長事故あるときは、委員長のあらかじめ指名する委員がその職務を代行する。

 (会議)

 第六条 協議委員会は、原則として毎月一回定例会議を開く。
 2 委員長は必要があると認めるときは臨時に会議を招集することができる。
 3 会議は、委員過半数の出席をもつて成立する。

 (常任委員)

 第七条 協議委員会は、その委員の若干名をもつて構成する常任委員会を置く。

 (意見聴取)

 第八条 協議委員会は、必要があると認めたときは、関係者の出席を求めて意見をきくことができる。

 (幹事)

 第九条 協議委員会に幹事を置く。
 第二節 支部協議会

 (事業)

 第十条 支部協議会は次の事項を行なう。
 一、規約の規定に違反する行為の処理
 二、医薬品業における特定の不公正な取引方法実施要綱の規定に違反する行為の処理
 三、医薬品の販売における不公正取引の事項の研究調査

 (届け出事項)

 第十一条 支部協議会は次の事項について協議会に届け出るものとする。
 一、規則およびその変更
 二、委員会議事録
 三、経費の分担方式

 (経費の分担)

 第十二条 支部協議会の経費は、各協議会構成員に分担させる。

 (事務局の設置)

 第十三条 支部協議会は、必要に応じ事務局を置くことができる。

 (規則の制定)

 第十四条 支部協議会は、協議委員会の承認を得て、組織および運営に関する規則を定めることができる。
 第三章 協議会の運営

 違反者に対する措置)

 第十五条 協議会または支部協議会は、規約の規定または医薬品業における特定の不公正な取引方法実施要綱の規定に違反する事実があると認めたときは、違反者に対し、次の措置をとることができる。
 一、違反行為の停止または撤回
 二、実害補償または復元
 三、謝罪
 四、違約金の支払
 五、その他必要な措置
 2 前項第三号の謝罪は口頭もしくは公告等による謝罪または文書による違反行為の取消しをいう。
 3 第一項第四号の違約金の限度および支払いは支部協議会の細則による。

 (実行委員会による措置)

 第十六条 協議会または支部協議会は、違反行為の処理において、当該事案が全国的なものと認められないときは、支部に設けられた実行委員会に処理させることができる。

 (緊急停止勧告)

 第十七条 協議委員長は、緊急を要すると認めるときは、協議委員会の議を経ないで、違反者に対し一時違反行為を停止すべき旨を勧告することができる。

 (協議委員会の特別措置)

 第十八条 協議委員会は、違反者が委員長の勧告に従わないときは、次の措置をとることができる。
 一、公正取引委員会に報告

 (支部協議会の上申)

 第十九条 支部協議会は違反者行為の処理について、自ら解決することが困難であると思慮したときは、協議会に上申しその裁定を受けるものとする。

 (支部協議会の特別措置)

 第二十条 支部協議会は緊急を要すると認めるときは、前条の規定にかかわらず、自ら公正取引委員会に申告することができる。

 (細則の制定)

 第二十一条 支部協議会は協議委員会の承認を得て、規約の解釈を明確にするため必要な事項および違反行為の調査その他の手続きに関する細則を定めることができる。

 附則 この規則は昭和四十年 月日から施行する。

 福岡地区安定協 七月例会

 福岡地区安定協議会七月例会は九日午後県薬会館で開会された。開会に先だち、前月例会には志免問題につきその地元組合員の出席があつたので、今回は問題の人池田資生堂の責任者久野氏を招き組合として事情を聴取した。安定協としてはこれ等両者の解決には組合並に卸としても斡旋の労はおしまぬが、なお時間を必要とするものと見られている。

 次に福岡市内のバーゲンについてはそれぞれ試売の結果が報告されたが、相変らず指導価格を割つたもの指導品目に金券を添付したもの等があり、引続き又繰り返しこの様なことを行っていることは明らかで当該メーカーはそれぞれ情報を持ち帰った。

 次に時期的にもドリンク剤の乱れが予想されるので、試売することとした。なお引続き白木氏より、中央並に県安定協について報告があつた。