通 史 昭和40年(1965) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和40年(1965) 3月10日号

 福岡小売薬業界に横たわるダイエー問題 見事な総決起大会

 去る38年7月12日に薬事法一部改正が行なわれ、適正配置の県条例が施行される迄の間、所謂「馳け込み申請」の問題が各地に起こつたが、福岡県でも当時相当数、この種の申請があって当局を困憊させたものである。

 中でも38年8月16日申請の福岡市に於ける株式会社福岡ダイエーについては、昨年12月24日開会された県薬事審議会に諮問されたが、制限距離(一五〇米)に満たないため満場一致不許可の線が出された。その後ダイエーが講ずる政治的圧力により当局は、審議会の不許可の線を覆がえさんがため審議会の再審議を要請するに至り、俄然業界の大きな問題となり、小売側薬事業界は本月2日田辺製薬ホールに於て『総決起大会』を開いて「薬事法を死守せよ。薬事審議会の答申を尊重して即時実施せよ。スーパーの経済暴力を粉砕せよ。」等のスローガンのもとに当局に対する不満をぶちまけ、引続き約二百名の出席者は列をなして関係当局に陳情を行った。今後の成行きが注目される。

 事の起りは、去る38年7月12日薬事法が改正され、馳け込み申請が相次ぎ(ダイエーも其一つである)県当局も苦慮していたが。県議会厚生委員会はこれ等の取扱いについては慎重にとの要請もあり、同年10月31日県条例が施行される迄の間に申請されたものについては、旧薬事法に基く行政指導により、既存業者間との話合いが進められ協調された者については条例施行前に許可されたが、ダイエー他三件については話合いがつかず、その取扱いが条例施行後に持越されたわけである。

 その後他の三件は自ら申請を取下げ、残るダイエーについては知事より昨年12月24日開会の薬事審議会に諮問されるに至り、其結果既設業者との規定制限距離に満たないため、不許可が適当であるとの結論が答申されたわけであるが、ダイエーはこれを不服として適配条例第三条の「知事が特に必要であると認める場合」を適用して許可される様各関係方面に働きかけている模様であるが、条例施行前の申請であっても条例に経過措置の条項がないため、条例施行後に持越された場合、条例が適用されることは法的に当然の事で、この間当局としては法的に何等の落度もなく、又「知事が特に認める場合」とは県条例第三条に示されている「住民に対し適正な調剤の確保又は特定の医薬品の供給を図るため」の場合に限定されているとして業者側は、再審議に持ち込んだ当局に対し戦いの火ぶたを切ったわけであり、業者側は、強者に弱く、弱者に強い当局の在方に、日頃の憤懣を爆発させ、あくまで当局が許可に持ち込む様であれば、法令無視の暴挙であると告訴する意志を固めた模様であり、又前に申請を取下げた二件の当事者も黙つては居ないであろうと予測されるに至った。

 仄聞する処によれば、その後四日に開催された県薬事審議会に於て、この問題については、審議に入る前に「再審する必要はない」との声もあり、又当局はまだ研究する事点もあるとして審議は次回に持越すことになった模様である。

画像  春ともなり鎮痛剤遊び 業者の自粛を要望

 未成年者に対する鎮痛、鎮静剤の販売自粛について福岡県では、昨年十月県衛生部長名で医薬品販売関係団体に販売自粛方の通知があったが、春季は児童生徒の学業等に於ける心身動揺期でもあるので鎮痛鎮静剤が本来の使用目的を逸脱した用途に用いられることも考えられるため、この程福岡県青少年問題協議会々長(会長‐県知事鵜崎多一氏)から県薬剤師会に対し「未成年者に対する鎮痛、鎮静剤の販売自粛」についての要望があつた。

 殊に最近睡眠薬に代って比較的入手容易な普通薬である鎮痛、鎮静剤(例えば、ナロン、セデス、ドローラン等)が未成年者間に悪用される事例も多々あるので、これ等の点考慮の上販売に当たっては直接未成年者に交付しない措置を採っていただくなど、格段の配慮をお願いするとの要望である、附記された「鎮痛剤」遊びの事例は次の通りである(県警本部資料)。

 ◆事例

 ▽某女子高校一年某(15才)外二名=等は昨年6月20日16時頃、折尾駅前の薬店から「ナロン」一箱を購入し、一人3〜4錠を服用し、めいてい状態のまま、兼て知合いの同市八幡区折尾某高校三年(17才)外三名等と、不純異性交遊のため山の中で一夜を明かし、翌日21日朝山麓を徘徊中補導された。

 ▽某高校二年某(18才)=は9月30日遊びの目的で兼てから所持していた「ナロン」3錠を服用し、ほろ酔い気分で折尾駅前を徘徊、酩酊状態におちいり、歩行困難になり、発見保護された。

 ▽某工業高校二年某(17才)=は姉が自宅に保管していた「ナロン」を盗んで服用し、酩酊状態となって快感を覚え、濫用の経験があるところから、10月21日友人某(17才)を誘って怠学、筑紫野薬店で「ナロン」一箱(10錠)を購入服用して二人共酩酊状態で繁華街を徘徊中発見補導された。

 ▽某中学校三年某外八名=は1月22日の授業中、鎮痛剤を飲んで酩酊状態になり、担任の教師に暴言、暴行を行なった。この中学校では1月19日頃から一部の非行グループが鎮痛剤遊びをはじめ、三年生の間に流行し、多くの事件、保護者を出している、鎮痛剤は町内薬店や農協購買会で買っている。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 3月20日号

 福岡市薬緊急部会長会 目前の重要問題

 福岡市薬剤師会では3月12日正午から県薬会館で緊急部会長会を開催し次の事項につき協議、報告した。

 ▽日本薬学大会準備に就て
 協賛費(一人宛千円)は早急に拠出して貰いたい(要旨集とバツヂ代が九百円)大会開催については地元会員には何かと迷惑をかけることが多いが大会を盛り上げるため薬剤師の衿りにかけて協力して貰いたい。

 ▽高野後援会に就て
 告示の時には既に完了と云う位に進めて貰いたい。解らない点は遠慮なく其都度質問して頂きたい。今回は当選確実数は50万〜60万と言われている、本県は少なくとも五万獲得の必要がある。医師会、薬業士会、其他友好団体も増加したので我々は働き易くなったわけである。実際に獲む者は我々個人々々であることを充分自覚して貰いたい。日本医師会、全国薬種商協会も幹部間の懇談はすみ、全国高野一本で進むことにはなつているが、積極的に外部に向って突進するのは薬剤師自身であることを之又自覚しなければならぬ。

 ▽福薬国保保険料値上げについて
 保険料は九百円と三百円に値上げすることになっていたが、県当局の勧めによって千円と三百円に値上げすることに内定している。医療費是正により地域国保も皆殆んど大巾の値上げとなる見込みである。

 ▽薬禍アンプル薬に就て
 今回は地元に錠剤による薬禍との声があがり近火発生の感がある。私共としては声を大にして叫びたい衝動を受けるが、然し今叫ぶことは弁解がましく聞こえ却ってマイナスになる惧れがあるので、薬局、店頭に於て我々は謙虚な而も慎重な態度で臨んで欲しい、機会ある毎に地道に薬に対する不信感、不安感を取り除く外ないと考える。我々薬剤師会員として自重して貰いたい。以上にて部会長会を三時終了。

画像  突如薬業界をふきまくる薬禍の大旋風 福岡県業界薬禍対策特別協議会

 今回のアンプルカゼ薬問題では、薬業界に一大旋風を巻き起こしているが、福岡県薬業界でも県薬、商組をとわず、あらゆる会合に於て此問題は討議されている。本月十一日市内名島に於ても薬禍問題が起ったが、その死体解剖の結果は肺炎で死亡したことが判明した。

 この一例を見ても報導の採り上げ方によっては如何に歪められた認識を一般大衆に植え付けているか、然し世論も此処迄来れば業界から何と叫んでも却って自己弁護に過ぎないとみなされる事を惧れ、対外的に黙していた業界も、今や対外的にも亦対内的にも、業界の統一した意見を打出す必要に迫られ、急遽、3月13日1時から県薬会館に於てメーカー五社(田辺、中外、武田、三共、科研)卸業者五社(大黒、若狭、富田、川口星、九鉱)小売関係十名余(四島、長野、工藤、友納、鶴原、白木、福田、須原、吉柳、藤野、山手、上田)のトップクラスの出席のものに、今後の対策などを協議するため「薬禍対策特別協議会」を開催した。

 工藤県薬専務理事司会し、先づ四島県薬会長は、突然アンプルカゼ薬による事故が発生し、吾々も一時は、その内容が不純であつたのではないかと考えたこともあつたが、昨今では「アンプルは毒薬でドリンク剤は贅沢品だ」とさえ素人間で言われるに至っている。調査によると薬禍は34年以降110件、内死亡は72件(内錠剤では2件)あつたと云われ、他の事故に較べて大したことでもない様でもあるが、健康保険に於ける医療費の赤字中医薬品の乱用は是正さるべきだとしている此時、突如として此問題が発生し、其原因も充分検討されない内に厚生省からは、吾々の立場からは非常な被害を受けたことになる。

 一般大衆には医薬品に対する不信感を植え付ける様な措置がとられ、吾々業界としては自己弁護になることを惧れて対外的には黙していたが、本月十一日福岡市内名島に於てカゼ薬による薬禍が起り解剖の結果は肺炎による死亡と断定された。この例を見ても報導の採り上げ方如何んによっては、正に薬禍によるとの誤つた印象を大衆に与える、吾々は其採り上げ方についても特と対処策を考える必要がある。

 今日迄各自思い思いの意見を打出すべき時期が来たと考え、今日、本協議会を開催し、夫々の方針を決定し、今後業界に負わされた重荷を如何に解決するか、虚心坦懐に皆さんの意見を発表して頂きたい。 と述べ、次に今回の薬禍発生の経過と原因について白木、工藤の両氏より詳細な報告があつた。

 次いで工藤氏は、今回の薬禍は業界にとつては大震災であって信用失墜、経済打撃などは計り知れないものがあるが、この際この禍を転じて福となすために積極的に考えなければならぬと思う。と述べ、次いで今回の事故発生の要因については、特異体質(先天性、後天性‐放射性物質、抗性物質の増加、社会的な各種ストレス、公害問題等により、‐)、又薬品の性質については許可基準の問題、アンプル剤型、薬の特性(水溶性、安定剤など)又粉末の場合などと同量でよいか等の問題、又は宣伝広告については医薬品の特殊性を全く忘却した広告が余りにも多過ぎ、大衆に対し医薬品について誤った知識、考え方を植付けたこと、メーカーの大量販売政策に踊らされた販売業者の自主性喪失等々、厚生省を初め、薬業者、一般大衆の全部が責任を負うべき問題であると考える。と述べ、それより左記の通り各自の忌憚なき意見が続々と述べられた。

 ○=一概に原因を軽々しくつけるのは危険だが、注射薬として取り扱うべき性質の薬を安易に取り扱つたこと、又メーカーも大量販売などと称し一般商品なみに扱ったことも大きな原因と考えられ、それに踊らされた国民も悪いが、毒薬を出しても判断がつかぬ素人相手であると思えば矢張り業者の方が一層悪かつたと考えられる。現在の時点では報導の在方は勿論悪いが、業者についてもあるべくしてあつたと云えないこともない。

 ○=今後この波及をどう止めるかを考える必要がある。

 ○=アンプルに対する不信感は仲々とれまい。

 ○=名島の件により錠剤に波及せぬかと心配している。死因は肺炎であるが、報導は肺炎と薬物中毒の両方が原因となっている。この様な報導の在方には問題がある、私個人の考えとしては今年の流感は、死因は肺炎でないかと思う。薬禍が死因であるのは唯一例だけだと思われる。死亡した人が薬を飲んでいたから薬禍と云うことにされたが、それは全く行き過ぎた広告宣伝に対する反動が此処らに大いに伏在すると思われる。売らんかな主義の業界にも問題は無論ある。今にして何等かの反省をしない限り業界は雑貨屋と同様に考えられるであろう。又将来どうあるべきかを考え、総反省をして姿勢を正すべきである。

 ○=今後は業界や医薬品に対する不信感をどう回復するかの対策を考えねばならぬが、今迄の各階の姿を顧みる時、官庁も業者も国民も全部が深く反省すべきだ。

 ○=今度は某市に於て回収された筈のアンプルを売って、中毒したとインネンつけられている事例が起っている。被害があるほど良く効くのだから、残して置けと指令する悪どい某チェーンもあるし、買いあさってインネンつけるゴロツキも出て来る始末で、医薬品全体も、薬業界もインチキだと考えられつつある。報導も亦事あれかしと待っている有様で、不利な条件に追つかけられ、業者の被害も何処迄続くか判らぬが、それにどう対処するかが緊急事である。

 ○=メーカーの被害も大きいと思われるが、報導関係の問題についてご意見を

 ○=報導の在方により大衆に不信感を与えたとも考えられるが、誤報について申入れても訂正記事は書かぬばかりか、新聞がスクープする傾向が多い。

 ○=事故待ちと云った報導の在方による今後の心配は、今回の事故により対症投薬が喜こばれる傾向にあるが、若しこれで事故でも発生したら大変な事になる。

 ○=死体解剖を家族が拒否した事例があったが原因探求のため厚生省がやるべきであつた、何処かの謀略でないかとさえ噂されている。今の薬業の在方は根本的に改正しなければと思うが、これを契機に本当の正しい医療の在方になる様にしたい。

 代議員会の後、記者会見し相等啓蒙したが、記者はショッキングな事のみを採り上げ、根本的な処を見ようとはせず、採り上げては呉れなかった。日薬では報導機関には申入れしているが、吾々がやっても自己弁護になるので、この機会に衛生部、薬務課等が本当の報導をすべきであると思う。又三共の広告に「薬は正しく症状に合せて使って下さい。医師、薬剤師にご相談下さい」とあるなど大変良いと思う。今後メーカーはこの様な広告をして貰いたい。大きくは日薬で、福岡県では官庁より正しい報導を、又メーカーは広告の在方を改善する様に又アンプル回収について会員は徹底的に行政に協力する様、それぞれ申入れたい。

 ○=今回の厚生省薬務局の在方は、信念が無さ過ぎた、官庁も含め総反省せねばならぬ。

 ○=総反省は勿論だが、官庁が斡旋して対談とか座談会とかを開き、行き過ぎた報導を是正することも必要である。

 ○=カゼ薬に劇薬が入っていたことに大衆は驚ろいているが、今後これについて要指示薬になりはせぬかと心配である。

 ○=アミノピリンとブドウ糖を一緒に使うことは昔から問題にされている。糖のない賦形薬を使つた方が良い粉末製剤の場合でも乳糖など使わず澱粉を使った方がよいと思う。又清涼飲料水的になったことも一因と思う。

 ○=相乗作用や粉末其儘と吸収性の良い物との配合の場合、その量の問題等については厚生省で検討しているが、薬事法の手ぬるさから、販売停止でなく自主回収しかできぬ点などは、法の改正が必要でないかと云われている。

 ○=国会の質問でアンプル剤型が非難されているのはおかしいと思った。アンプル開発では日本は進歩的で日本人の頭の良さだと考える。近来外国でもエレキシ剤と云うのが出て来たが、これは日本人が考えたドリンクの濃縮みたいなものである。

 ○=アンプルの普及の仕方には反省の余地があるが、その反動の行き過ぎをどう是正するか。

 ○=取扱いの面で保健薬と治療薬を区別することが大切だと思う、又報導関係はスポンサーであるメーカーのご協力をお願いしたい。

 ○=兎に角医薬品らしい売り方をせねば……。

 ○=不信は時間がかかつても薬局、店頭に於て吾々の知識により回復するより外はない。

 ○=医療行為の誹謗はできないことになっているが、その一端を負う医薬品も本当の原因を究明して誹謗するのでないと困る。今回の事故の採り上げ方は全部これ薬禍との印象与えた。これ等を糺すことは吾々ではおかしいので、官庁に於て早急に善処して頂きたい。

 ○=報導記事を見て、医師が事故を起している場合は互に庇う必要があるのでないかと感じた。

 ○=回収をしぶるメーカーや残して置いて窃かに販売する業者は厳罰に処する必要がある。

 ○=鎮痛剤をスーパー式に販売しているのがある、これが薬局又薬屋かと言いたくなる。

 ○=乱廉売がこの様な結果をもたらしたと思われる(大まかに見て)、消費者に対しても啓蒙することを考慮されたい、薬業道徳の昂揚が必要である。

 ○=来る日本薬学大会の開局部会第二部に正式に「薬禍不安の問題」として緊急採り上げ又安定協議会でもこの問題を特別部門として採り上げたい。

 ○=回収の問題は道義の問題として薬剤師会、商組共に徹底的に回収実態調査を緊急に実施する、この調査についての非協力者はメーカー、卸、小売を問わず厳罰に値いする。

 右様の種々な発言があつたが、司会者はこれを左記の様に纏めて発表した。

 @厚生省に対しては許可基準の再検討、広告の規制、税金、金融面について要望すること。

 Aメーカーに対しては売らんかな政策を止め、治療、保健剤を区別し、自ら医薬品の特殊性を再認識して広告、流通秩序の確立を図られたいこと。

 B小売に対してはメーカーの商策に惑わされることなく、自主性を堅持し、医療奉仕者としての責任と自覚を再認識して自らの姿勢を正すこと。又薬局製剤については細心の注意を払い事故防止をはかること。

 C報導機関に対しては薬務課を通じて指導して貰うこと。又この際、早い機会に於て座談会、対談会等を催して本質的なPRをして貰うこと。

 今後本日の様な協議会を継続、催して業界を正しい姿勢に戻す様努力する、尚経済的損害については商組に於て別に検討することにする。以上の事などを決めて協議会を解散、それより小売側は引続き残って商組として、具体的にポスター、リーフレットの作成、又返品については経済的に薬局薬店に不利を来さない様な対策等につき話合って閉会となった。なお、この協議会に於て卸メーカーよりの発言が少なかつた事は印象的であつた。

 福岡での第20回日本薬学会 学校薬剤師部会日程

 陽春四月五〜七の三日間、福岡市に於て第20回日本薬学大会が開催されるが、その第三日目、七日開かれる学校薬剤師部会の日程は次の通りである。

 学校薬剤師部会
 一、日時 昭和40年4月7日(水)午前9時〜午後5時
 一、会場 第五会場(福岡市中島町、福岡明治生命八階ホール)

 一、日程

 (1)開会の辞 福岡県学校薬剤師会会長‐友納英一
 (2)日本薬剤師会学校保健委員会報告
 (3)日本学校薬剤師会総会(90分)
 @挨拶=日本学校薬剤師会会長‐可児重一、日本薬剤師会会長‐高野一夫
 A事業報告=日本学校薬剤師会副会長‐永山芳男
 B事業計画=日本学校薬剤師会常任理事‐湯本芳雄

 (4)特別講演(60分)
 「公害と学校環境」=九州大学教授‐猿田南海雄

 (5)ブロツク特別報告(90分)
 司会・福岡県学校薬剤師会、早川政雄
 @東北・北海道ブロツク=北海道学校薬剤師会
 A関東・甲信越ブロツク=千葉県学校薬剤師会
 B中部・北陸ブロツク=岐阜県学校薬剤師会
 C近畿ブロツク=兵庫県学校薬剤師会
 D中国・四国ブロツク=山口県学校薬剤師会
 E九州ブロツク=佐賀県学校薬剤師会

 (6)シンポジユウム(150分)
 「学校飲料水管理の問題点」
 司会・日本大学工学部薬学科教授‐沢村良二
 @学校の飲料水=文部省元山正
 A水道水の管理=福岡県学校薬剤師会、矢野憲太郎
 B井水の管理=石川県学校薬剤師会、青木信孝
 Cその他の水源による飲料水=岐阜薬科大学、小瀬洋喜
 D日常検査=神奈川県学校薬剤師会、山本幸子

 (7)閉会の辞 福岡県学校薬剤師会副会長‐古賀哲弥

九州薬事新報 昭和40年(1965) 3月30日号

 福岡県薬剤師会通常代議員会並総会 筒井会員除名決定
 高野会長と県薬政会懇談会

 福岡県薬剤師会では第19回通常代議員会を昭和40年3月29日午前10時より第一銀行ビル七階三鷹ホールに於て開催した、出席者約一四〇名、工藤専務理事司会して定刻開会、先づ四島会長起って挨拶、 40年度の重点事業、特に超重点事業は何と言つても高野選で、是非共勝利を得ねばならぬ事である。若しこの事業に失敗すれば吾々剤界は10年の後退となり取返しのつかぬことになる。又今回のアンプル問題後危機にひんしている業界、今後政治的、経済的に福に転ずることに努力せねばならぬ。一層のご協力をお願いしたい。

 次に知事(代)並に県議会議長(古賀県議代)の祝辞が述べられ、千尾県衛生部長、清沢県医師会長の祝辞に次いで瓜生田九州山口薬剤師会長は、今日程三師会の結束が必要な時はない。吾高野会長は武見日医会長と共に手を携えて医療問題を解決して貰いたい。万一高野選に失敗すれば業界安定のための薬事法再改正も全く望みなく暗たんたるもので肌に粟を生ずる。高野選は高野氏のものではなく吾々の問題であることを忘れてはならぬ。と所感を述べて挨拶となし、議事に移った。

 総会並県薬政界懇談会

 会長挨拶後優良支部の表彰に移り五支部(直方、浮羽、八幡、久留米、大牟田)に対し表彰状並金一封が会長より各支部長に授与された。それより引続き県薬政界懇談会に移り、来賓高野日薬会長は起って、先の医療費緊急是正に際し三師会がとった態度につき詳細な説明があって次の様な医療界の現情について述べた。

 今国会で一番狙われているのは医薬品、社保赤字中で「投薬と注射」が驚くべく増加している事であり赤字の原因が全くこれに在る。故にこれを圧えねば、と云うことになっている。又アンプル薬禍問題については剤界として聞くに耐えない様な一メーカーの態度放言、而も其メーカーの製品から先づ薬禍が発生した。洵に皮肉であり、大衆の批判については、これらの因縁を能く考えねばならぬ。

 医薬分業については今日程国会に於てもこれを希望し是認している時はかつてない。三師会は而もこれを協調している。剤界にとつてこれ絶好のチヤンスと言うべきで、具体的となるのは今秋頃だと思う。

 次に来賓劔木参院議員は高野氏の今の演述を聴くに全くその通りであり余程ヒカエメの話しで、実際は常に全議員を説得してやつている。党の政策決定の場合など堂々とやっていられて重きをなしている、次期閣僚は間違ないと私は思っている。高野選に万一の事があれば貴がた業界の損失ばかりでなく党は勿論、政界の損失である」と挨拶があり、これにて懇談会を閉じた。

 高野一夫後援会九州支部 『高野後援会九州本部』 盛大に事務所開き挙行

 先の九州山口各県薬会長会議(3月11日福岡で開会)に於て、福岡県薬事務所内に開設が決定していた「高野一夫後援会九州支部事務所」は3月18日午後2時からその開所式が九州山口各県薬会長並に薬政会長及び地元県薬幹部出席のもとに挙行された。

 工藤地元県薬専務理事司会し、先づ四島福岡県薬会長は開会の挨拶を、本日開設のこの事務所は九州山口を一纏めにした高野後援会本部とも見るべきもので、日本薬政会でも承認されているものである、高野選ももう終盤戦であるが、まだまだの感がある、本日の開所式も会員の意気と熱意をあげるために開催したものであり、幸い薬事協会、医師会等の応援も決定しているので稼動会員を増加することを考え、公示五月下旬、六月廿日投票日、公示迄は準備運動をやっても差支えない、不幸にして今回落せば薬業界は十年の後退、特に医療問題の後退が考えられ何如にしても当選させねばならない、高野氏自身もあと六年間で今日迄の総仕上げをしたいとの切なる希望であり、吾々の身代りとして出て貰うとの考えで、各自、自分自身の事として活躍すれば必ずや当選する。と述べ、

 次に瓜生田九州山口薬剤師会々長は、本日は高野後援会の事務所開き、九州統一行動については何かと当事務所にご迷惑をかけると思うがよろしくお願いする。高野選は高野氏一人の議席を譲ると云う様なことでなく吾々剤師の権利を確保する上から絶対必要な事である。剤、薬主流はもとより、関連団体も含めて只一人の当選さえさせることができなければ、今後吾々も政治力はゼロになることを考え、是が非でも当選させなければならないとの覚悟である。

 本事務所は九州の独立した事務所として鹿児島県(薬系)を含め安全圏票の半数を獲得せねばならないとする準備のためのものであり、男子は勿論女子薬も必ずや熱意を持っていられることと思っている。兎にも角にも本事務所を中心に九州各県統一した働きの準備をなすべきである。と挨拶し、

 次いで四島会長から来賓劔木参議院議員の紹介があり同氏は「高野氏は今回が三回目で自信たっぷりの活躍ができる時で又皆様の期待される時でありご成功を祈る」との祝辞が述べられ、次に佐賀県の久保氏は九州各県を代表して祝辞。

 次いで深田福岡県薬事協会長(全国の副会長並に九州ブロツクの会長)起って、先般全国薬業士会正副会長は日薬の高野会長並に谷岡専務に会見、現薬事法中薬業士に不利な点については其改正に協力する、との確約を得て、推薦者を高野氏一本として協力応援することと決定した。と決意の程を述べて祝辞とし、それより引続き長野、友納、吉柳、竹内、上田の諸氏から熱意に満ちた意見の発表があり、終って迫水後援会長、高野日薬会長、竹中同副会長、九州山口各県よりの祝電披露があつた。

 次に本会の運営について瓜生田会長は「地理的にも地元四島会長にお願いしたいので四島会長の考え即私の考えだとご了承頂きたい」と述べ、次いで四島氏は、あく迄責任は瓜生田会長であるが、今日より準備の期間があるので、公示があれば終るわけで、準備のための仕事で(実際活動は各地区でやるのである)選挙活動とは別個である。地元で引受けた以上九州全般のことを考えねばならぬ。仲々荷が重いわけである。費用も準備のための費用であって決して選挙活動の費用ではない。旨の説明があり、

 引続き選挙運動については末端の実際的に誰にでもできる事は、
 @電話をかけてたのむこと。
 A店頭に来た者にたのむこと。
 B道で会った人にたのむこと。
 の三項が最も無難であり安心のできる方法であるので、これを指導して貰えばよいのである。と述べ、それより懇談に移り自祝の小宴が催されて和気藹々裡に閉会となった。