通 史 昭和40年(1965) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和40年(1965) 2月10日号

 福岡県薬時局懇談会 剤・業界指導者二〇名出席

 福岡県薬剤師会では「時局懇談会」を2月3日1時から福岡東中洲エスキモーで開催した、出席者は四島、長野、岡野の正副会長、工藤専務理事他県で各地区の剤界の指導者一七名(欠席者三・四名)であった。

 先づ四島会長は「本日は剤界全般の問題について懇談したく、私としても去る27日の日薬理事会、28日の全国会長会、薬政会にも出席しましたので、両会での意向も加味したいと思い殊に六月の選挙も控えているので、此懇談会を催した様なわけであります」との挨拶があり、左記の事項につき報告或は懇談がなされた。

 ▽医療費緊急是正問題について

 今回の医療費緊急是正についての厚生大臣の告示(1月九日付)によって医師、歯科医師の全医療費は九・五%の値上げとなったが、内服薬の調剤料9円50銭は12円となった。尚厚生省としては薬価基準を引下げて浮く約3%の配分の問題があり、又被保険者薬価半額負担問題があるが、中医協の支払側委員の総退却のため壁に突き当った状態にあり、殊に薬価半額負担問題は既に社会問題ともなり全般的に反対者が多い。大蔵省並に厚生省としては乱診防止の意味で企画し予定しているのであるが、一般には社会保険の後退であるとなし、これに関する三法改正案も国会通過、否国会退出さえあやぶまれている現状である。然し日薬としては何れ医療費の根本改正は確実と見るので其際は決して基本調剤料50円の件は棄てない覚悟でいる。

 ▽40年度日薬会費の値上げについて

 日薬では開局五〇〇円、勤務二〇〇円値上げを予定している、これは事務費自然増と事業費の一部増加分に充当する予定である。

 ▽分業完遂推進方策について

 医薬分業は三師会協調の現在情勢として自然分業方策によって推進して行く事に幹部間に於て話合いが付いている、推進方策第一歩として歯科との協定処方を4月1日から実施目標に準備を進めている。この協定処方を関係当局方面にも認めさす様努力する。医師との協定処方問題は仲々の困難事であるが、模範処方(フランス式)の様な協定処方集ができれば或程度簡単になるので、現在日薬ではその作業を初めつつある。医師の処方箋増発の隘路の一つとして処方箋の書方や処方内容の批判を惧れている向もあるので、協定処方集が作成さるればこの問題は解決するわけである。

 ▽第20回日本薬学大会開催について

 4月4日13時から日活ホテルで日薬理事会が開会される、大会プログラム及び日薬総会の業務分担について工藤専務より説明があり、次いで宿舎、観光については交通公社に一任してある旨の報告、尚各支部の協賛費は早急に納入されたいとの要望があつた。

 ▽福薬国保保険料に就て

 我福薬国保に於ても最近医療費が急速に上昇し、40年度は少なくとも保険料を七〇〇円を九〇〇円に、二〇〇円を三〇〇円に引上げねば運営はできないものと推定される。これによってもなお賄い得なければ年度中途に於て更に検討せねばなるまいと思われる。

 それより懇談は六月の参院選挙対策に移つたが、去年末東京で開会の全国会長会後、薬政会との合同懇談会が催され薬政会としての対策など活発な話合いがあつた。自民党は参院対策として立候補を絞って90余名とし、現在の42議席を争そうことになる模様であり、地方区と違がって全国区は党としてもテコ入れの仕様がなく、状況が良くない者は止むなく見殺しとなる公算が多い。現在断然可能性のあるものは僅かに三、四名に過ぎないらしく剤界唯一の代表高野氏低調との評がある。これ全く剤界人活動の容相を評したものである。

 今更高野必要論を云々する迄もなく高野を失えば剤界業界は10年は後退すると考えねばならぬ。剤界の政治力は即ち高野氏一人の政治力と言つても過言ではあるまい。お互に発奮し現実に今直に活動に入らねばならぬ、剤界が活?になれば党としても援助にやぶさかではない。

 病薬、製薬、卸、薬種、医師会(歯医には立候補者がある)などは当然のことであるが、その他の好意あると見るべき団体(高野氏が従来これ等団体のために尽して来たもの)にあんま針灸、しょうい軍人、旧軍人、退職公務員、消防、タバコ関係等があり、これ等は接触し易くなっているが、然し決して票をもらったわけでなく単に土地を貰つたのであつて我々お互が努力し働いて収穫せねばならぬのである。此点誤解があってはならぬ。その他、会に名を出さないかくれた薬剤師が多数あるので是非この点も注意すべきである。などの話しがあつて、県下剤界業界の指導者は剤・業界のため、今回は徹底的に活躍すべきであるとの自覚を強ようした様である。以上にて懇談を終えて小宴に移り、七時漸く散会した。

 日本薬学会九州支部 総会並例会 十周年記念懇親会

 日本薬学会九州支部では2月6日13時から九大薬学部に於て第10回総会並に第41回例会を開催、総会は事業及び会計報告、次に40年度支部役員を選出して左記特別講演、次いで例会に移り、終了後、18時より九州支部創立10周年記念懇親会をレストラン三和に於て和かに催した。

 ▽特別講演

 「環状燐酸エステル殺虫剤について」=九大農学部教授 農学博士 大島康義氏

 ▽例会研究発表

 1、透析法による薬物放出に関する基礎的研究(第1報)セルローズ膜による静止透析法と非イオン性界面活性剤の膜透過について=(福大薬学部)○松本久男、松村久吉(九大薬学部)井口定男
 2、透析法による薬物放出に関する基礎的研究(第2報)可溶化された溶質の活性剤ミセルー水相間移動現象について=(福大薬学部)松本久男
 3、透析法による薬物放出に関する基礎的研究(第3報)非イオン性界面活性剤溶液中の溶質の膜透過定数と所謂Ratiorの関係について=(福大薬学部)松本久男
 4、チオ尿素誘導体の代謝に関する研究(第1報)
 5、4'‐Diethoxythiocarbanilide投与家兎尿中の代謝物について(その一)=(長大薬学部)柴崎寿一郎、○坂本芳幹、中村悦子
 6、2‐Ethylthioisonicotinamide(1314Th)の生体内代謝物質S‐oxide及びその抗結核菌作用について=(長大薬学部)○谷山兵三、三浦孝子、(国立療養所刀根山病院)山崎正保、古川佳也、(国立姫路病院)奥田良雄
 7、セコバルビタールの生体内変化に関する酵素科学的研究=(九大薬学部)塚元久雄、○井出博之、秋山聖五郎、吉原新一、吉村英敏
 8、β‐グルクロニダーゼの生体内における役割について=(九大薬学部)塚元久雄、○鎌田理、八木邦子
 9フラン誘導体の合成化学的研究(第40報)3,4‐Dichlorofuran誘導体の合成=(九大薬学部)西海枝東雄、○院丸大作
 10、Wittig反応に関する研究(第3報)反応条件によるCis‐及びtrans異性体の生成比について=(九大薬学部)西海枝東雄、○中村周三、岡孝子、井上澄男
 11、Diarylmethane類に関する研究(第7報)4‐Methyldiphenylmethaneの切断の反応とtolueneのbenzyl化反応との関連性について=(九大生研)○田代昌土、柘植乙彦 ?Pyridine系N‐オキシド誘導体とCyclohexanone‐enamineとの反応(第3報)=(九大薬学部)浜名政和、○野田浩司、内田淳一
 12、ハスノハガズラのアルカロイドホモステフアノリンの構造(その2)=(第一薬大)○渡辺恭男、松井又男、怡土桂子
 13、DMSOを固定相とする糖類のアセタートの一新薄層クロマトグラフイー=(九大薬学部)川崎敏男、○岡部光
 14、Saponin‐SteroidComplexの研究Tアルコール難容性Complexの生成能=(九大薬学部)川崎敏男、○西岡五夫、酒井涼子、田籠由紀子
 15、Saponin‐SteroidComplexの研究UComplexの解離=(九大薬学部)川崎敏男、○西岡五夫

 福岡での第20回日本薬学会 日本薬剤師会通常総会日程

 陽春四月五〜七の三日間、福岡市に於て第20回日本薬学大会が開催されるが、その第一日目には大会総会、薬学会通常総会、日薬通常総会及び四部会が開会されることになっている、その内「日薬総会」の日程は次の通りである。

 日薬総会

 一、日時 昭和40年4月5日(月)午後2〜5時
 一、会場 福岡市中島町、福岡明治生命館八階ホール
 一、日程

 ▽総会(14時〜15時40分)
 開会の辞
 会長演述
 祝辞
 議事
 @第19回日本薬剤師会通常代議員会決定事項報告
 A昭和38年度歳入歳出決算報告
 B監事報告
 閉会の辞

 ▽日本薬剤師会賞贈呈式(15時40分〜16時)
 開会の辞
 会長式辞
 薬剤師会賞贈呈
 受賞者代表あいさつ
 閉会の辞

 なお、受賞者は次の通り
 野上寿、五郎丸勝、畑新吉(以上三名、副賞は薬事日報社賞)、豊田湊、後藤吟蔵(以上二名、副賞は薬業時報社賞)

 ▽特別講演(16時〜17時)
 「博多を中心とした郷土史」=郷土史家‐梅林新市

 要指示薬三品追加

 厚生省は去年十一日左記三品を要指示医薬品に追加発表した。
 ▽セレネース=大日本製薬、精神病薬▽トリペリドール=吉富製薬、精神病薬▽ジメリン=塩野義製薬、糖尿病薬。

 全薬連会長会 参院選に高野氏を 会費三〇〇円引上

 全国薬業士連合会正副会長会議が1月21・22の両日東京渋谷の同会事務所に於て開催され次の事項を決定した。

 @六月予定の参議院選挙では高野一夫現議員を推選すること、理由はブロツク会議で説明することにした。
 A40年度会費を従来の五〇〇円に三〇〇円増とし、八〇〇円とすること、但し総会に付議して決定する。

 会議終了後同会幹部は薬務局を訪づれ左記二項の法運営について陳情した。
 @移転の際の再試験は撤廃されたい
 A一店に二名の資格者を置ける様指導されたい、これは相続を円滑にするためである。

 福岡県女子薬理事会 来賓粟村連合会長

 福岡県女子薬剤師会では陽春四月初旬九九丘で開催の第20回日本薬学大会女子部会の打合せと新年会を兼ねて理事会を1月30日午後、筑後吉井町千年の筑水荘に於て開催、来賓として粟村女子薬西部連合会長来会、県役員は上田、田中、佐藤の正副会長他理事二一名出席した。

 先づ会長の挨拶に次いで各支部より昨年末から新年にかけての行事報告があったが、各支部ともその間会合をこころみ、四月の学会、六月の選挙に関してそれぞれ相互啓蒙につとめた旨の話しがあつた。これを聴取した粟村連合会長から「この様に各支部が纏まった報告の出来る様な県は珍らしく、これ程活撥な活動ができていることには誠に感心しました」との発言もあったので一同は一層心温まる思いで引続き、

 @ 学会当日の業務分担について宮崎委員から詳細な説明があり、
 A女子薬部会のシンポジウムのテキストについて討論がなされ、次に
 B女子薬連合会歌の練習などが行なわれた。

 それより夕食後一同風呂を浴び、夜は上田会長を中心に若人たちが学会での発言などについて話し合い、粟村会長の話しを伺って散会し内、九名が楽しく宿泊することになったが、和かな雰囲気の裡に寝につき、翌日一同打つれて帰福した。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 2月20日号

 薬業安定協議会九州ブロツク連絡会議 今回より山口県も出席

 薬業安定協議会九州ブロツク連絡会議が2月13日一時より別府市、ホテル日名子に於て、特に今回から山口県も含めて各県安定協委員出席のもとに(長崎県欠席)開催された、なお当日は午前中に地元大分県安定協が同所に於て開催されたので、同県薬務課長も出席、又其委員約二〇名はオブザーバーとして同席した。

 地元大分県の益田氏司会して開会、先づ中央情勢報告が白木中央安定協委員より、尼ケ崎問題の解決、特殊指定や不当景防法等につき説明があつた、次いで司会者より「前回小倉に於て宿題となっていた次項につきそれぞれ報告又は協議して頂きたい」との発言があり、関係県から夫々次の様な報告があつた。

 @長崎東映問題のため一時指導価格をはづした件については、当日長崎県が欠席のためメーカー側から「この件については中央接渉により昨年12月15日に指導価格に戻って解決した」と聞いているとの報告があった。

 A福岡県飯塚橋薬局問題については、只今提訴中であるが、これは商組に有利と思われ、又同薬局が指導価格を守らないことについては全々本人に反省の色がないので、当該関係卸に於て「縦の線」で対処されているとの報告があった。

 B北九州でオロナイン五割引きで売られていた問題については、其後当該メーカーに善処方申入れたが、その後も引続き福岡ばかりでなく近県にも其影響を波及しているので、重ねて善処方を申入れているとの報告があった。

 C指導価格の九州ブロツク内統一に関しては、現在も引続き各地区県境で同様の問題が起っているが、地区的に解決するのは無理な面もあるので、本会の名を以て中央安定協の製企会え要望書を提出することになった。

 次に各県の情況報告に移り

 熊本=大型三店のフンドシビラが目に余るものがあり、乱売を助長するとの理由で現在接渉しているが、まだ解決していない。

 佐賀=最近、隣県福岡の大川で乱売店二店(同一人経営)が、佐賀県某卸仕入れしていたため、佐賀県組合では其卸と話合つたが、この様な事態を見ても最早県単位ではなく九州山口が一丸となって対処することが絶対必要であると考えている。

 山口=福岡県の提案により今回より初めて出席することになったが、山口県は九州との関連性が強いので、今後引続きブロツクに加えられたいとの挨拶があり、それより山口県の実情について述べられた。

 山口県は小都市が多くて其統一は甚だ困難であるのみでなく、メーカーとの関係も広島の出張所管轄内であるので力が弱い様に感ずる、北九州のスイス堂の仕入先は、山口県で立派な卸業者であるので、話合えば善処されると信ずる。現状としては指導品目以外の値下りが目立っている。又福岡県北九州の九友会のチラシ問題については下関にも加盟店がありチラシを配布されるので困っている。その他九州の卸側より山口県の事業所廻りをされるので困る面もあるとの報告があり、又商組の組織弱化についてはアウトサイダーの野放しに理由があるので、メーカーの制度品を設ける等の場合は、商組会員優遇の意味で其加入には商組と話合う等の方法を講ぜられたいとの要望もあった。

 鹿児島=大体安定の目的を達成しているが然し本当の安定は時間待ちと云う現状である。

 宮崎=昨年末鹿児島県と本県の指導価格差によるトラブルがあつたが、両県の話合いの結果で乱売戦を阻止することができた。

 福岡=飯塚橋問題、九友会のチラシ、各地区の乱売店等は一応解決の方向に大体向ってはいるが、現在福岡地区のバーゲン、丸栄の両雄?が指導価格品目に金券や商品を添付したりしているので福岡地区で取組んでいる。又指導価格品目以外の物でC価以下で売つているケースが多くなったので、今後この面に向つて取組む気運にある。

 大分=福岡県よりスーパーの出店が進出して一時心配していたが、県商組は団結し、幸い県当局の行政指導もよろしきを得て、大体安定しているが、恰も北九州のスイス堂と同ケースで、県境の中津に福岡県から仕入れている日の出薬局が現在問題となっているので、是非福岡県の配慮をお願いしたい。

 次に熊本県から商組の調整規程を厳重に実施した場合脱退者が多くなりはしないかについて各県の状況を伺いたいとの質問に対し、この面で成功している大分県はこれに答えて、大分県では組合未加入者とは卸側が取引しないことになっている。又県当局と組合が一体となつて組合加入を勧誘すれば大体加入すると思う。この様な問題は「力」関係と思われるので、組合が強固な団結をなせば大抵な事柄は解決すると思うと述べ、又佐賀県では、話合いで強調して行くと云う組合の行方で現在全業者が加入している。との報告があった。この時メーカー側からも、制度品設定の場合等の組合員郵政については大体その様に考えているとの発言もあった。

 さて次回開催地を宮崎県とし、五〜六月頃開催することを決定した。それより地元県山田薬務課長を中心に同所に於て小宴が催され、七時散会した。

 福岡市薬理事部会長会

 福岡市薬剤師会では2月12日二時から県薬会館で理事部会長合同会議を開催し左記次項につき報告協議した。

 ▽県薬支部連絡協議会出席報告
 標記協議会の内容について会長より詳細な説明的報告があり、特に日薬並に県薬の40年度会費値上げ案について説明があつた(本紙別掲連絡協議会記事参照のこと)

 ▽第20回日本薬学大会準備について
 1月16日二日市温泉に於て開催された九州山口各県薬会長会議(本紙1月20日付記事参照)に於て、本県薬の要請により従来通り各県よりの会費負担並に一般寄付など(九州山口薬学大会と同様)について了解を得た件につき報告、又会場設営、開局部会の世話など、担当者のみでは手不足なので地元会員が応援すべきこと、又大会協賛費は早急に完納されたい事等について要望があった。

 ▽高野後援会について
 内部事情の詳細な報告があり、若し剤界唯一の議会代表者を万一失う様なことになれば剤界の政治力は殆んどゼロとなり少なくとも十年の後退となる、能く能くこの点を肝に銘じて、直に起ち努力しなければならぬと思う。

 次いで地区安定協委員山手氏から一昨十日開催された安定協について報告があった(本紙別掲地区安定協記事参照のこと)

 福岡県薬 支部連絡協議会 中央情勢並に県薬予算

 福岡県薬剤師会では第一一〇回支部連絡協議会を2月11日一時半から県薬会館で開催した。なお午前中に理事会を開き、連絡会と同時に日薬代議員協議会をも併開した。連絡協議会は会長挨拶後、左記事項につき報告又は協議決定した。

 ▽日薬代議員会に就て
2月24・25の二日間日薬代議員会が開催されるので本県代議員(長野、竹内、野口、古賀の四氏)は打合せをして頂きたい、代議員会の前日23日に日薬の全体理事会が翌26日には日本薬政会評議員会が開会されることになっている、と工藤専務から説明があつた。

 ▽ 社会保険業務に就て中村社保担当理事説明、去月25日社保委員会(本紙1月30日付記事参照)を開会した。
 @日薬でも検討中と聞くが本県に於てもなるべく早く保険薬局の統一した看板の作成が必要である。  A調剤報酬の未請求者が間々発見されるが、其実態調査を各支部に要望したい。
 B又処方内容の向上(複方処方の奨励)正常な処方せんの発行の指導などを推進されたい。
 C保険薬剤師の普及を図るため管理者以外の開局調剤従事薬剤師、病院勤務薬剤師、その他の薬剤師も保険薬剤師の資格を採る様各支部は指導されたい。本月五日には福岡地区五支部の幹部を対象に請求事務並に集計などについての講習会を開催したが、出席者は十七名で郡部の出席者は僅か一名であった。

 次に工藤専務理事から原爆法及び今回の医療費緊急是正法による調剤料の改正等について詳細な内容の説明があり、尚薬価基準改正等の内容、日薬日歯協定処方が両者間に正式調印、準備完了などについても懇ごろな説明があった。

 次に大阪府薬剤師会から昨年十一月日薬え「病院に於ける調剤所を薬事法による薬局の設置に改めたい。但し、入院患者の投薬のために院内調剤所も併置する。」との提案建議があったが、日薬では各機関(委員会)に諮問或は付議討論した結果、なお研究の余地ありとして一応不問に付することになった模様であるが、或は今回日薬代議員会で問題となるのではあるまいか、この問題について竹内理事は次の様に述べた。

 薬事法の薬局とした場合一、二年前問題となった第二薬局様の形態となるが、第二薬局設置によつて或程度の処方せんが一般薬局に流れ、処によつては相当量の処方せんが流れている。今回の問題が実現する様な事になれば処方せんは、より一層多数が流れるのではあるまいか。この問題は薬剤師の社会的地位向上の意味からも、亦広い視野から考えれば、剤界として推進すべきものではあるまいか。単に自己だけの立場からエゴ的考慮を排し、薬剤師全体の物、神両面の立場より検討すべき問題ではあるまいか。慎重に取扱こうべき大問題であろう。

 ▽日本薬学大会について
 早急協賛費を納入して貰いたい、今回受賞される日薬会員受賞者五名中に本県前会長五郎丸勝氏が含まれている旨報告があった。

 ▽昭和39年度薬学講習会について
 九州各県とも大体順調に開かれた。今後の開催について九州ブロツクの綜合的意見を調べてみたが、開会は年一回又は春秋に各一回としたいとの希望が多数であった。

 ▽昭和40年度事業計画及び予算編成方針に就て
 予算編成については鶴原会計理事から別刷によって詳細説明があったが(会費値上げ)その要領は大体次の様なものである。

 日薬は40年度の会費について五百円(開局)と二百円(其他)の値上げを予定している(勿論値上案が代議員会に付議される)、然し今年の値上げの経緯から考える時、引続き来年41年度も亦会費値上げはさけられないものと思われる。本県薬の39年度への繰越金は約一七〇万円、現在の処40年度への繰越金は一〇〇万円位の見込みである。この儘で進めば41年度えの繰越金は20〜30万円位の見込みとなるので、41年度は到底本会は歩めないことになる。故に本会が最低、赤字を出さず運営されるためには今日次の二案が考えられる。

 第一案=日薬の値上げに対応して五百円を上げる。
 第二案=同様千円値上げして其約半額を支部に還元する(本年は県本部としても亦各支部としても、特に費用が嵩む年であろうと思われるので、又支部としても日薬会費値上げに即して徴収し得ることになる。)
 何れの案を採るかを今日考えてもらい、その意見によって3月3日開会の理事会に於て態度を決めたいと各支部の意見を聴取した。

 ▽学校環境衛生検査器具の整備について
 友納理事(県学薬会長)から説明、表記整備のための文部省の予算は38年度も39年度も又40年度も大蔵省によって削除されたが、今回(40年度分)は剤界の強力な運動の結果、予算の一部三、一五七万円が復活するに至った、これによって本県には約十組が割当てられると思うが(約一組の価格約二四万円)即ち国庫補助は約三分の一に当るので地区市町村から三分の二の補助が必要となる。その予算獲得に各支部は是非努力して貰いたい。(本紙別掲県学薬会理事会記事内容参照)

 ▽九州山口各県薬剤師会長会議について
 去月16日二日市温泉に於て開催されたが、
 @九州山口薬学大会の決算報告、
 A日本薬学大会開催について各県の具体的協力を要望、
 B九州山口を一団とする高野後援会結成について、が協議(本紙1月20日付会長会議記事参照)された。

 ▽中央情勢について
 四島会長説明、1月27日に日薬理事会、28日に日薬会長会議並に薬政会長会議が開催された。日歯との協定処方は4月1日実施を目標に作業が進められている。記号の面で全国的なもの一本になるので地区的なものとの関連等面倒な問題もある。又医界との協定処方は全国的には仲々困難であるので各地区毎に先ず進むべきであると思う。

 医療費緊急是正問題が今回起ったので医薬分業を推進すべきだとの空気が一般に今回程濃厚になったことは嘗てない。基本調剤料五点は緊急是正であるので、今回は問題にならず調剤手数料だけが値上げとなり、要求額の六割である十二円になつたことは大成功であり、此処迄持つて来るためには高野氏の動きがあつて政治的に決つたものと考えてもよいと思う。今後実際に歩いてみねば断言はできないが、一応の目的は達成したものと考えても差支えあるまいと思われる。

 薬価基準の引下げは、引下げ分(約3%)の配分が決められないので、改正には相当の期間を要するものと思われる。薬価の一部負担問題は支払側以外は各方面共反対の声が高い。保険法の改正は是非必要であるが、現在の状態では相当困難なことと思われる。

 高野選挙については未だ全国的に盛上ってはいない。本県では九州ブロツク後援会本部も設置されることであり直に県下四地区で着々と進めて貰いたい。高野氏の支持団体は同氏の手腕と徳望によつて其後増加しているが、然しその事は未だ末端には充分には知られていないので、実際の収穫は末端個々に於て努力せねばならぬ。

 ▽其他=@北九州側の報告によると門司区の業界に起つた問題で、既設薬店との短離確認について支部長を無視して保健所に於てひそかに行つた事、又これについての県薬務当局の解釈など、については大いに疑義があるので、薬剤師会としても姿勢を正して巍然として対処しねければならぬ。

 支部別保険調剤調査票 昭和40年1月分 福岡県薬剤師会

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 福岡地区安定協議会 今後家庭薬メーカーの出席要望決定

 福岡地区第10回安定協議会が2月10日三時から三共福岡支店会議室で開会された。卸側議長となって開会、先ず須原氏からの先の県安定協出席報告(本誌1月30日付記事参照)があり、事務局山手氏から試売について次の様な報告があった。

 市内の大型薬品店バーゲン、丸栄等、指導価格は一応守られてはいるが、金券或は商品添付の事実があった。これ等該当のメーカーは各自善処の上、次回協議会での報告を要望したい。

 これに対しメーカー側から金券については既に数回注意を与えたが未だ結論を得ていない。県安定協に採り上げて貰いたいとの要望があつた。

 又山手氏から「一月例会の際にも話しが出たが、有名家庭薬メーカーも協議会にオブザーバーとして其都度招き、会終了後別に出席家庭薬メーカーと安定について具体的に協議したいと思う」と提案、一同賛成、次回より家庭薬四社の出席を要望することになった。

 なお事務局山手氏から「指導価格は勿論、そうでない医薬品でも、殊に有名品などの廉、乱売は業界にも大きな影響を及ぼし、氷山の一角である試売の結果だけではその真相は?めないので、最もこの間の実情をつかみ易い立場にある卸側の協力を希望する旨発言があつた。

九州薬事新報 昭和40年(1965) 2月28日号

 福岡県薬業安定協議会二月例会 =汚い業者の是正ならず=

 福岡県安定協議会2月例会が25日1時より県薬会館に於て今回はメーカー側(三共支店長)が議長となり開催された。

 先づ白木中央安定協委員の中央安定協報告に続き、先に別府市に於て開催された九州ブロツク安定協議会連絡会議(本紙前号参照)が藤野委員より報告された後商組側より提案された広告基準案について藤野氏は「商組では広告問題で苦慮しているが、先の商組理事会においても、この辺で何等かの基準を作成すべきだとの意見が多数で作成委員を選出して案を作る事になったが、アウトサイダーのこれに対する違反について卸、メーカーが、あくまで縦の線で協力して頂く意思が無ければ作成の意味が失われるので、次回迄に御考え頂き度い」と一応広告基準案を示して要望した。

 次に各地区より試売結果について報告があり、各地区状況報告に移った。

 筑豊地区は飯塚橋薬局、坂口誠心堂は相変らず試売の度に守られて居らず、話合の段階は過ぎたと思われるが、森永乳業が自社製品に対する価格維持に払っている努力を他のメーカーが出来ないことはないと思われるが、との報告があり北九州地区は特に家庭薬の乱れが目立つので次回より家庭薬メーカー五社を招き又スイス堂の仕入先山口県の関係者も共に招くことを予定している。

 福岡地区については、最近大型店の商品或は金券添付等、善処されたもの又現在接渉中のもの等の報告があり、

 筑豊地区については、筒井薬局は又々チラシを配布、大川においては問題の乱売店は相変らず是正されず、組合員としても耐え得ず遂に追従販売にふみ切ったが、大牟田市も何れは同様な事になると予測されると報告された。これ等のことについて、この協議会で結論を出すべきでないので、関係者による小委員会に移す事になった。

 次に当日臨席の大庭県薬務課長補佐より現在問題になっているアンプル入り風邪薬の取扱について詳細な注意があり五時散会した。

 福薬国保理事会 保険料値上討議

 福岡県薬剤師国民健康保険組合では2月16日1時から県薬会館で予算編成打合せのため理事から編成内容について詳細説明があつた。

 年々医療費は昂騰するばかりである、本組合に於ても40年度保険給付は39年度に対比して20%増となるものと推定される。家族に対する七割給付は、統計によると保険給付費は倍額となる事になる。依って本組合では当分の間七割給付は行なわないつもりである。以上の理由で40年度は保険料の値上げは止むを得ぬことであり具体的には、組合員月額七〇〇円を九〇〇円に、家族二〇〇円を三〇〇円に値上げしなければ組合運営は困難となることは確実であると思う。

 若し40年度に於いて、39年度に対比して20%増を超える場合は、前記の値上げでは到底組合運営はできなくなるので年度中途に於てでも更めて検討しなければならぬ。三ヵ月程も歩いて見れば大体40年度の実情はわかると思う。元来国庫補助も市町村に対しては約三割五分、本組合などは約二割五分であるが、保険料値上げ、其他の理由で加入者が減じた場合、保険料や給付が市町村並みとなれば本組合など存続の意味がなくなるので解散と云うことになる。

 然し福岡市など近く八割値上げになるとの話を耳にするが、若しそれが事実となれば又事情は自づから変つて来る。兎も角保険料値上げについては来る3月19日開会予定の本国保組合会に提案決定したい。

 アンプル入りカゼ薬 正しい使い方を指導せよ =薬局・薬店=

 最近アンプル入り感冒薬を服用した人四人が相次いで死亡した事件が報導されて社会問題として採り上げられているが、日薬でも開局者がこれを販売する際充分注意する様各都道府県薬会に事例を挙げて通知があり又福岡県薬でも県下に同様な不祥事が発生しない様に、販売に当つては次の事項に特に留道する様この程会員に通知した。

 ▽注意事項

 @医薬品の主成分を消費者に良く説明し、それ等によつて前に変調を来たしたことがあるかどうかを確かめること
 Aアレルギー性体質(ぜんそく、ましん、かぶれ等)であるかどうかを確認すること
 Bアレルギー体質の人に対する注意
 C医薬品の説明書をよく理解せしめる、服用に当つては、必ず説明書の指示に従う様指導すること
 D医薬品は薬局等正式のルートより購入し、説明書により正しい使い方をする様指導すること。

 福岡県学薬会伝達講習会 出席者一八〇名

 福岡県学校薬剤師会並に県教育委員会主催の第11回学校薬剤師講習会の伝達講習会が左記により2月23日午前十時から田辺製薬福岡支店五階会議室で開催され 出席者一八〇名、この種会合には稀れに見る盛会であつた。

 ▽講習科目並に講師
 1、学校保健の動向
 2、学校保健と環境衛生
 講師 県教育庁保健課技師 山下泰弘
 3、ねずみの生息の検査と駆除
 衛生害虫の生息の検査と駆除
 講師 大木町立大佐小学校学校薬剤師 花田春策
 5、学校環境衛生の基準  6、黒板の検査  講師 福岡市立箱崎中学校学校薬剤師 馬場正守
 学校給食の食品衛生
 講師 北九州市立綿町小学校学校薬剤師 大坪外洋夫

 ▽協議
 1、学校環境衛生の基準の内容について
 2、学校薬剤師の執務の実際について
 友納会長司会の元に協議、なお、同氏より種々実際問題について説明があつた。

 要指示薬一品追加

 先に要指示薬としてセレネース外二品が指定されたが、去る十三日付で要処方せん、指示医薬品として「クロプロパミト(径口糖尿病治療剤ダイヤビニース=台糖フアイザー)を指示した。

画像  日薬日歯協定処方 今後の運営方針

 日本薬剤師会では昨年来日本歯科医師会と歯科協定処方の作成について検討していたが、去る九日高野日薬会長と中原日歯医会長との間に調印を行なつたが、協定処方の今後の運営方針を大体次の様に決めた。

 日薬、日歯両会は近く歯科協定処方薬及び解説書、早見表などを各会員に配布し、引続き都道府県及び都市歯医会、薬剤師会は地域的に協定処方の実施について研究し具体的な打合せを行い、四月一日から全国一斉に実施し、記号処方については中央判定処方に切り変えることにする。尚日薬、日歯両会は今後引続き協定処方に関する合同委員会を存置し適宜追補改訂を行なうことにする。

 挾子

 ▼武見日医会長がこの程記者会見で「医薬分業の前提条件として調剤センターの設置が必要だ、歯科医療と違つて薬品の種類が多いので協定処方は一寸困難だ。日薬にその企画が円滑に行かないなら日医が先頭に立つて共同整備ではどうか」と語つたとある。これを薬剤師はどう聞くであろうか骨抜きにされた薬剤師、茲で元気を出さねば永久に骨抜きとなろう。

 ▼今度のアンプル問題はまだよく調査し、原因を究明しなくては何とも云えないが、それは兎も角、前に不祥事が起った時、森永乳業にしても、大日本製薬にしもて、社運をかけてその製品の回収に全力を尽くした事は周知の事実であるが、今回の大正の態度(日刊紙の記事が事実であれば)小売店へ出したものは小売店の財産だから、お願いするより外はない。とは……、ここらで会社の在り方が解ると云うのはヒガ目だろうか?。こんなのを発展させたのは小売店の罪であり、小売店をここに追い込んだのは一流メーカーだとなりそうだが、何処かで目ざめた人々だけでグループを作ったら、そこから少しづつでも開けそうな気もするが……。

 ▼県安定協において今回のアンプル風邪薬が話題になったが委員の一人、このようなことが起るのも一流メーカー品の価格が不安定なため、他の安定した二流メーカーのものを心ならずも扱うと云うことで、経済不安から起つたと云えない事もないとの皮肉めいた……言葉。そんな気もしないこともない。今の薬業界は何か、何処かが狂つているような気がする。伏魔殿とはよく云ったものだ!!

 薬界短信

 ◆福岡県薬理事会=3月3日一時半から県薬会館で左記議題につき開会
 @中央情勢報告
 A40年度予算編成に就て
 B同県薬政会予算に就て
 Cその他

 福岡での第20回日本薬学会 開局薬剤師部会日程

 陽春四月五〜七の三日間、福岡市に於て第20回日本薬学大会が開催されるが、その第二日目六日に開かれる開局薬剤師部会の日程は次の通りである。

 開局薬剤師部会
 一、日時 昭和40年4月6日(火)午前9時〜午後5時30分
 一、会場 福岡市中島町、福岡明治生命館八階ホール
 一、日程 (司会、白木太四郎)
 1、開会の辞 福岡県薬剤師会長、四島久
 2、日本薬剤師会薬局委員会委員長報告
 3、日本薬剤師会会長あいさつ(30分)
 4、特別講演(60分)
 「欧州薬業界の印象」‐日本薬剤師会専務理事‐谷岡忠二
 5、フオーラム(80分)
 「社会保障制度と薬局」

 @保険調剤と薬局の将来=東京・芹沢恒一
 (要旨)医療保障制度の発展と保険調剤の拡充に伴なって、将来我国の薬局が諸外国に行なわれている様な調剤業務を主体とする業務を行なう様になつた場合を想定して、其際の薬局のあるべきヴイジヨンを発展してみたい。個々の薬局の内容及び全体としての薬局組織、制度がどの様にあるべきものかの分析、展望を試みたい。

 A保険調剤の経済性について=神奈川・加藤良一
 (要旨)保険薬局の保険調剤取扱いによる収益を左右する要素には調剤技術料、薬価基準、薬局の立地条件等種々のものが考えられるが、先づ、これ等の要素について十二分な分析を行ない、更にこれ等要素の変化に伴う保険薬局の経済性について、保険調剤の経済分岐点を中心とした推論を試みたい。

 B処方箋授入促進について=福岡・中村里実
 (要旨)処方箋受入促進については、今日迄薬剤師側としては団体として又個人としてそれぞれ相当な体験を持って来たと考えられる。これ等の体験を総合整理し、更に将来起り得る事態に対応する薬剤師側の態勢強化を図る参考としての資料を作成したい。特に薬剤師側の団体的努力と個人的努力の有機的な結合の方法について十分な解明を試みたい。 休憩(12時10分〜13時)

 6、特別講演(90分)
 「薬局経営の近代化について」=福岡大学教授‐三苫夏雄

 7、フオーラム(90分)
 「薬局の多角化と専門化の問題点」=司会・藤野義彦、講師として
 福岡市・小野信方(多角化)
 熊本市・小早川鉄男(漢方)
 佐世保市・谷本英雄(皮膚病)
 東京都・古屋英樹(美容)
 東京都・山崎久利(薬局製剤)

 8、研究発表(60分)
 @薬局の経営の合理化について=大分市・吉村満
 A薬局のPRについて=鹿児島市・瀬尾昭
 B薬局でできる衛生試験=東京都・高橋正和
 C薬局の育児指導=福岡市・藤幸江
 Dアレルギー性疾患と病理の研究=大阪府・横山秀雄

 9、閉会の辞(次回開催地、富山県薬剤師会会長)

 なお翌七日午前九時より正午迄第六会場(福岡明治生命館九階集会室)に於て開局薬剤師部会の一行事として「薬業経済協議会」を開催する。