通 史 昭和39年(1964) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和39年(1964) 10月10日号

 福岡県薬剤師会 支部連絡協議会

 福岡県薬剤師会では理事会並支部連絡協議会を9月28日午后県薬会館で開催し、次の様な事項について協議、報告があつた。

 ▽九州山口薬学大会については、本県から五〇〇名の参加が希望されているので各支部でも多数動員して貰いたい。参加者は必ず会場に出席して貰いたい。
 開局保険部会に於ける本県よりの研究発表は次の二氏
 「処方箋増発の諸対策について」=大牟田、中村里実氏
 「新漢方について」=筑紫、戸田秀実氏
 学薬部会に於ては
 「業種別環境衛生調査成績について、第一報」=大牟田、河野広登氏である。

 ▽第20回日本薬学大会については、開局部会に於ける特別講演は
 「欧州薬業界の印象」=日薬専務理事谷岡忠二氏
 「薬局経営の近代化について」=福大教授三苫夏雄氏
 フオーラムとして
 @社会保障制度と薬局
 A薬局の多角化と専門化の問題点
 学薬部会の特別講演は
 「公害」=九大猿田教授
 シンポジユムのテーマは
 「学校の飲料水の管理について」が決定している。

 ▽薬学講習会については、11月5〜6日が福岡で、11月13〜14日が北九州市小倉区で開催されるが講師は現在検討中でまだ決定していない。多数の参加が切望されている。

 ▽薬と健康の週間については、表彰すべき薬事功労者は各支部よりの推薦者について県本部に於て選考決定するが、功労既に終つたと云う人に絞りたい。週間行事と実施地区については、今年は公衆衛生に重点を置きたいので、既に公衆衛生委員会に諮問している。その答申によって決定した。なお標語募集は厚生省に於て行なつている。

 ▽社会保険については、原爆指定薬局に関し先に各支部へ通知した通りである(当日県医務課時枝主事来臨、詳細な説明があつた)。なお兼ねて問題となっていた国保委員については現在の委員は本年12月任期終了となるので、これを機に薬剤師の委員一名を出す目的で関係機関と話しを進めていたが、大体の見透しがついたので関係当局え文書を以て要望している。外に支払基金審査委員についても前同様の希望を持つているが、現在委員の任期終了は40年5月となっているのでこれに対応して運動したい。なお、社会保険問題に関連して工藤常務理事から次の様な注目すべき又興味ある話しがあつた。

 五月分処方せん一枚についての社保基金支払(請求)金額は次の通りである。
田川=九五七円、八幡=九一五円、若松=七六〇円、久留米=六六四円、福岡=六二九円、大牟田=三四四円、全県平均=六六〇円、全国平均=八三七円

 一部負担金を加算すれば、全国平均では処方せん一枚一、〇〇〇円を超すが、これを基礎として薬局経済の安定を再検討すべきである。又租税特別措置法の一部改正については本県薬から日薬に要請していたが、日薬理事会では源泉所得税、源泉課税率10%を5%引下げることについては早速関係方面に運動を展開する。所用経費の72%算定については努力するも実現は困難ではあるまいかとのことであつた。

 それより四島会長は業界一般情勢について次の様に語った。
 日薬理事会が去月24日に開かれたが、
 @年は重点的に保険調剤の促進を図ることになっている。開局者が調剤によって生活するには最小限=百枚一枚千円が一応目安になると思う。この目標で各自が熱意を出せば不可能ではない。歯科医師の模範処方集も10月にはできる。
 A日薬の共済部拡充は特別委員会によって検討中であるが仲々困難である。
 B業界経済について安定協の行過ぎが言われているも、問題ではない。実質に於ては今後も何等変わることはない筈である。安定要綱実施について従来余り好ましからぬ評ある某チェーンメーカーがこの程協力しないと申出ていることは唯単に表面的になっただけのことであり厚生省の斡旋におまかせしておけばよい。小売業者は常に自覚に立たねばならぬ。
 C薬政会については、高野会長が、去月19日自民党から公認候補として発表されたことは65万票の獲得がかけられているので、吾々剤界としては覚悟を新たにせねばならぬ事であり、本県に於ても前回の四〜五倍を是非共獲得せねばならぬ。
 D既に日刊紙に報道されているが、第一薬科大学の事件は中央でも話題にされている様であるが、洵に遺憾なことである。

 各県薬剤師会長会議

 第93回九州山口薬学大会に関し九州山口各県薬会長会議が10月2日午后2時から別府市海浜ホテルで開会された。先づ杉原大会副委員長からその後の大会準備情況報告があり、次いで左記事項につき協議決定した。

 (1)表彰者並に感謝状贈呈者については各県よりの推薦者について選考して決定し、表彰者については大会に招待(旅費、宿泊料大会持ち)することになった。
 (2)物故会員名簿作成については過去一カ年の者について早急に大会準備委員会へ各県より提出することになつた。
 (3)来年度の九州山口薬学大会開催については、輪番に当る福岡県が来春福岡に於て第20回日本薬学大会が開催されることになっているので、中止することを決定し、翌41年に福岡県が当番県となって九州山口大会を開催することになった。
 (4)宣言並に決議案作成については地元大会準備委員会に其草案を委嘱することになった。
(5)第一薬科大学問題については、瓜生田、四島両氏から報告並に九州薬剤師会として同校に対しその要望を表明する件について話し合いがあった。なお、各県よりの大会提出議案につきそれぞれ選考の上重複議案などについて整理した。

 県安定協議会 九月例会 上野薬局・九友会

 福岡県安定協議会では25日の9月定例会を第20号台風の惧れありとして29日に日延べしていたので、同日1時から県薬会館に於て輪番に当る卸側、鶴原氏が議長となって開会した。

 先づ中央安定協及び同日午前中開会の販売対策委の報告があつた後、具体的な問題にうつったが、対策委で問題となった福岡の上野薬局の立看板の件、北九州に於ける九友会の広告等の件が協議題に上った。

 なお今回は昨年九月県安定協議会が発足して丁度一周年目に当るが、今日一応一般的には安定しているも、地区によっては二、三の業界安定を乱す者があるが、これ等に対して安定要綱実施当初に於る基本線に沿って各自が実行しなければ、現在安定に協力している大多数の人の、安定協に対する支持を失なうことになる虞れがある。との小売側の発言に対して、各階もそれぞれ昨年発足当時の決意に思いを新たにして、種々な而も真面目な、熱意のある意見の開陳があつた。

 福岡県薬公衆衛生委 薬の週間行事検討

 福岡県薬剤師会公衆衛生委員会では9月24日午前、第二委員会を清長委員長の勤務先である八幡製鉄労働医学研究課において開会、同課の人容、組織、業務等について調査係長である清長委員長の説明を聴取、同課各室の現場を見学し、次いで戸畑に至り戸畑製鉄所の溶鉱炉及び分塊工場を約二時間に亘り見学した。それより神湊の製鉄玄海寮に行き、寛ぎながら先の県薬会長からの諮問事項について協議した結果、左記の通り答申することを決定し、次いで懇談会を催した。

 左記

 ▽諮問事項 本年度薬と健康の週間行事として県薬の行う公衆衛生活動の具体策について

 ▽答申(要旨)

 大衆に対する薬剤師技能のデモンストレーシヨンを主眼とし、県内を四地区に分け、夫々人出の多い地点に於て騒音、塵埃、炭酸ガスの三つについて調査測定を行なう、地区は北九州、筑豊、福岡、筑後の四地区とする。

 (1)北九州地区=小倉に於て実施し、器具は製鉄労研及び若松学薬所有分を借用使用する。北九州市薬剤師会が中心となって実行計画をたてる。
 (2)筑豊地区=直方市に於て実施する。器具は福岡の分を使用、県薬直方支部を中心として実行計画を立てる。
 (3)福岡地区=福岡市に於て実施する。器具は県学薬の分を使用し、福岡市が中心となって実行計画を立てる。
 (4)筑後地区=久留米市に於て騒音と炭酸ガスについて塵埃は大牟田市に於て実施する。器具は県薬及び製鉄労研の分を借用使用する。久留米、大牟田両支部を中心として実行計画をたてる。
 なお、実施地点以外の支部も地区毎に積極的に参加すること、実施費として一地区宛一万円を予算し、実施日は週内を原則とする。

 横枕、谷川両氏の 歓送迎会

 今回の福岡県薬部課々長補佐更迭(既報)について県薬商組が主催しメーカー卸団体幹部の参加を得、主賓として横枕前課長補佐並に谷川新課長補佐を、外に尾崎薬務課長、大庭補佐(技師)を招じて、両補佐の歓送迎会を去月29日夕龍鳳に於て開催した。出席者三〇余命。
 先づ岡野商組副理事長が両補佐に対して挨拶、次いで横枕、谷川の両氏よりお礼の言葉があって開宴一同乾杯、それより和やかな雰囲気の裡に漸く時を過して散会した。

 中国四国薬学大会 特別講演に 中村里実氏

 第五回中国・四国薬学大会が今月鳥取市に於て開催されたが、20日午后鳥取県庁講堂に於ける開局保険、学校薬剤師両部会合同会に於て、福岡県薬社保担当理事(大牟田市薬剤師会長)中村里実氏は特別講演として一時間余に亘り「保険処方箋増発上の諸方策について(医薬分業制の推進について)」と題して講演をなし約二五〇名の出席者は熱心に聴講した。

 講演内容の概要は
 @岡県内及び全国の分業推進状況について
 A歯科領域の新らしい処方箋誘発の方策について
 B社保後進県、支部会員の育成強化策について
 C保険処方箋発行と医業経済について、であつた。

 講演後夜に入って「中村講師を囲む分業推進懇談会」が宿舎久松閣に開催され八県代表約20名(各県社保担当理事外)によって熱心に懇談が行なわれた。

 帰県後中村講師はその所感を次の様に語った。
 協議懇談会には資料として大牟田市武及び福岡県薬備付の分を提出したが全般的に中国四国八県とも本県よりは相等遅れている様に思えるが、然しその中、岡山県は仲々進んでおり、特に二、三の事項については参考となり本県に於ても活用したいと思っている。

 柴田・江口の両学薬師表彰さる

 福岡県学校保健・給食・安全大会が10月1〜2日福岡市、中村学園高校に於て開催されたが、その際、学校薬剤師柴田伊津郎(福岡)江口始(久留米市)の両氏は永年学校保健に対し、学薬の立場から貢献した業績により、地区教育委員会よりの推薦により、県学校保健給食安全会長より表彰された。

 福岡県薬商組 九月理事会 上野氏を喚問

 福岡県医薬品小売商業組合では九月定例理事会を26日1時から県薬会館に於て開会した。先づ白木理事長から県並に中央安定協及び同ブロツク連絡会出席報告があり次いで県下各地区の情況報告並にその対策について協議した、北九州の九友会が行なっている毎月の広告及び先の福岡に於ける上野薬局の安売り立看板の件が問題となり、上野薬局については当日特に上野氏を招いて当時の事情につき詳細聞き取りした結果、違反の疑いが充分ありとして過怠金を課すべきものと決定した模様である。

九州薬事新報 昭和39年(1964) 10月20日号

 福岡県薬事協会 役員・支部長合同会議 並第2回県商組との懇談

 福岡県薬事協会(薬種商団体、会長−深田徳治郎氏)では恒例の秋季講習会を11月上旬に開催する予定であるので、その準備のため本月8日10時半から三共福岡支店五階会議室に於て役員・支部長会議を開会した。先づ深田会長の挨拶に次いで、講習会の細部について種々検討し、次に先程厚生省より発表になった広告の規制基準について吉松副会長から説明があった。

 それより深田会長から県薬商組強化について、去月14日本協会幹部と県薬商組の幹部との第一回懇談会について説明があり、その際商組幹部に対し、当会から要望した件につき其回答を求めるために、県薬商組より白木、須原正副理事長、藤野専務、斉田、大隈の三理事の出席を得て第二回目の懇談会を開いた。

 先づ深田会長は、医薬品販売の面では薬剤師も薬種商も同じ立場であるが、従来県薬商組役員の構成など、公正でないと思われる面もあつたので、薬事協会としては、土俵の上に上がつて色々と話合い、全面的に入会もして前向きの姿勢で推進せしめ、強力なる商組にする様共々検討したい。と申入れていたので、今日第二回目の懇談会を開き、忌憚のない意見の交換、各自の遠慮のない意見の開陳もしたい、と述べた。

 白木、須原両氏より今日迄の商組運営について詳細な説明があり、会員数から言えば薬局2、薬種商1の割合であるが、役員の構成については薬事協会のご希望に沿いたい。正式には総代会に諮らねばならぬが、費用の面でも其ために、今直ちに総代会を開催することは無理と思われるので、現在の任期の残余期間を実際の運営の面に参加して頂くことにして、次の総代会で正式に選任と云うことにしてはどうかと述べ、一同異議なく了承。それより二、三の質問や、意見が述べられて懇談会を一応円満に了った。

 茲に引続き薬事協会は再び協議に入り、種々会員の意見を聴取した後、会長は、現在県商組理事29名中本会より7名が選任されているが、これに尚三〜五名の理事を送り、土俵の上で会として最善を尽してはと諮ってこれを決定し、地区にはそれぞれ事情もあることでもあり強制はできないが、本会の態勢としては一応全会員が加入することに決め、新理事には熱心で熱意あり、且つ真面目に出席する人を選考することになり、その選任は会長に一任することになった。

 福岡市薬剤師会 理事・部会長合同会議

 福岡市薬剤師会では理事、部会長合同会議を本月七日一時半から県薬会館で開催した。会長挨拶後次の報告及び協議がなされた。

 ▽県薬支部連絡協議会が去月28日開会されたが(本紙前号記事参照)四島会長から中央並に一般状勢及び日薬全体理事会についての報告があつた。その他九州山口薬学大会にはなるべく多数出席すべきで(出席者には旅費の補助千円がある)福岡支部からも少なくとも30名は出席して貰いたい。又近く開催される薬学講習会には特に、努めて出席して貰いたい。11月23日〜29日迄の本年度の薬と健康の週間には、県薬としては行事を「公衆衛生」に重点を置くこととしたいので、県薬公衛委員会にその具体策について諮問し既に答申を得ている。それによって実施したい。その他週間行事として薬事功労者などの表彰も行うつもりである

 ▽福岡市薬でも薬と健康の週間行事を実施することを決定した。予算約10万円(内5万円は市よりの画版代)、場所については、デパートは派手に見えるが実質的には成果はよくない様であり、却って昨年の新天会館の方が効果があつた様に思える。具体的には県薬公衛委の答申(本紙前号記事参照)によることとする。即ち三つの調査(騒音、塵埃、炭酸ガス)を週間内にアポPRを兼ねて実施する。会場新天会館に於ける二日間の行事は大隈副会長の担当とする。実施の細部については執行部に於て充分検討した上で決定する(その後23・24の二日間新天会館と決定した)。なお近く保健所、市、市薬、季節の手帳等による打合せ会を開催する予定。調査の方は学薬師が中心となるが、一般会員の協力をまたねばならぬ。

 ▽商組福岡地区の情況について大隈、山手両氏より報告があつた。今後本日の様な部会長合同会議の際最後に引続き商組についての重要問題を報告する様したい。先づ上野薬局のその後について報告、次いで去月25日開会の県安定協について報告、同協議会では
 @協同謀議でなければ何等支障はないのであるから各階共各自の立場で実行することと再確認した。
 A10日からカゼ薬の指導価格も打出されることであるので、今後も引続き要綱実施は強力に推進されるべきとの結論がでた。

 ▽本会博多部は会運営の円滑を欠き今や解散の危きに瀕している状態にあるので、近く運営について話合いをする(22名)。この際部会に協力しない者は断乎たる措置をとる方がよいと思われる。 以上にて大体協議を終え最後に薬政会について、高野選に関しては日本薬報にも掲載されている友好団体に対する高野氏の業績を鑑みて、それ等団体末端会員の票を獲得する様努力されたい。薬政会は県下を四地区として推進することになっている。福岡地区は市五郡である旨話しがあつた。弱き者は唯団結の力あるのみである事を我々は忘れてはならぬ。

 福岡県薬 薬制委員会 会長諮問の検討

 福岡県薬剤師会「薬制委員会」の二回目の会合を本月9日1時半から県薬会館で友納担当理事、竹内委員長他委員出席して開会した。

 県薬会長から諮問されている六項目(本紙五七九号「9月20日付」第一回委員会記事参照)について実質的には初の審議、検討を加えたものであるが、諮問の中、どの一つを採つても大きな問題であり、簡単に一回や二回の検討では結論の出よう筈もなく、又出すことも無理であるので、今後回を重ねて審議することになった、当日は初の審議であり、各委員より色々と活発に意見が述べられ、且つ熱心な検討が加えられたが、然し問題の含む一端を窺きみた程度であると云うべきであった。

 福岡地区安定協 10月例会

 福岡地区安定協議会10月例会が本月12日午後卸側富田薬品司会して県薬会館で開催されたが今回からは卸側自身の希望により福岡地区の卸問屋全店が出席することになり業界の安定に積極的に協力する態度を示していることは好感を以て迎えられている。当日の協議題は試買実施の結果についての前回よりの問題であつたが、卸側に対する小売側の辛辣なる希望もあつたが当日は結論に至らず、今後引続き協議されるものと思われるが、卸、メーカー側としては相互考慮の上善処することになった。


九州薬事新報 昭和39年(1964) 10月30日号

 泉都・別府市に於て 第33回九州・山口薬学大会 薬学、剤界から会する者八百余名

 第33回九州・山口薬学大会(九州薬学会総会、九州山口薬剤師大会)は錦秋の10月14日〜16日の三日間、泉都別府市に於て、国際観光会館を会場に約八百名の参加者によって開催され、同市は薬一色に、九州・山口剤界の一大行事が繰り広げられた。

 大会前日13日午後五時から大会幹部各県代表者による大会運営の細部決定のため同市松実館別荘に於て会合し、各県提出の十二議案について検討、宣言、決議両案について審議承認、次いで被表彰者十一名、被感謝状贈呈者二名を選考決定した。なお次回開催輪番県は福岡であるが、明春福岡に於て第20回日本薬学大会が開催されるので九州大会は明年中止し、前例もあるので明後年、41年に佐賀、42年に長崎、43年に福岡で開催することを決定した。

 大会第一日14日は、本会議特別講演(高野日薬会長)及各部会(薬剤部長協議会、開局保険、学校薬剤師、薬務、保健所衛生裁判、商組、女子薬の七部会)が開かれ、第二日15日は前日に引続き部会及び特別講演(掛見京大教授)があり、各部会はそれぞれ独自の特色を以て催され、盛沢山の研究発表があった。第三日16日は同月三日始めて開通した九州横断道路を九重高原へ観光の一日、楽しく過して疲れをいやし、盛会裡に大会の幕を閉じた。

 大会本会議

 第一日14日午後一時より国際観光会館四階ホールを会場として参加会員約七百名によって開会、会場には次の様なスローガンが厳として大会の性格を現わすかに懸垂幕が目につく。
 一、薬剤師会法の早期制定
 一、基本調剤料の確保
 一、薬業安定対策の推進強化
 一、高野会長を国会に送ろう
 一、薬系公務員の待遇改善
 一、学校環境衛生検査器材の完備

 本会議は高野日本薬剤師会長、竹中日本薬政会長、沖副会長及び厚生省薬務局横田薬事課長らの出席のもとに、先づ柴田県薬佐伯支部長の開会宣言に始まり、国歌斉唱、二十六名の物故会員に黙祷、郡司県薬副会長の開会の辞に次いで瓜生田九州・山口薬剤会長は「薬剤師の使命を深く国民に認識して貰い、医務担当者として存分に活動して貰いたい」と挨拶し、次に藤田九州薬学会会頭は、薬剤師は必ずしも亀の甲だけの研究でなく、実際面に於ける長短、活用について討議し、医療衛生の領域に於て国民の期待に添うべきである。又学会と業界の緊密な連携に努力し、五十年になんなんとする世界の学会に名を連ねている薬学会の威厳を世界に示して貰いたい。と述べて挨拶とし、次に地元、杉原県薬副会長から大会準備委員会の経過報告があって来賓の祝辞に移った。

 厚生大臣(横田薬事課長代読)木下大分県知事、県議会議長、別府市長、大分市長、県医師会長、県歯科医師会長の祝辞があって、高野日薬会長は、薬剤師の地位向上三師会提携とその活動、特に三師会が円滑に進んでいる地域には現に処方箋が出回っている。と力強く述べて祝辞に代え、日本薬学会会頭祝辞を堀岡九大薬剤部長が代読され、次に竹中日本薬政会長は「戦前から業界運動の中心は九州の皆さん方であつたが、その当時は一人の国会議員をも持たず、今日に比較すると格段の相違がある。現在は高野議員を擁し、三師それぞれ議員を持って共々、手を携えて活躍、昔の十年は今の数年の仕事となつた」 と語り、学問と生活、生活と政治の結び付きについて述べ、次に各地よりの祝電披露があつた。

 それより感謝・表彰式に移り、多年に亘る薬学、薬業のために尽された功績に対して、左記二氏に感謝状及び記念品を、十一氏の会員に表彰状と記念品とが贈呈された。
 ▽大分県厚生部薬務温泉課長 山田不二丸氏
 ▽サロンパス本舗 久光兄弟株式会社
 ▽五郎丸前県薬会長、早川前県学薬会長(福岡県)島元県薬会長(佐賀県)深堀前県薬副会長(長崎県)岩切清、西村英一、本田戸助、藤川武久、(鹿児島県)宗前県薬会長(宮崎県)安西県薬専務理事、宮本清(大分県)

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 催眠薬遊びに代って鎮痛・鎮静剤遊びが漸く社会問題化す

 過去一時青少年の催眠薬遊びが流行して社会問題となり、警察や厚生当局で大分手をやいたが、催眠薬が殆ど劇薬に指定され、昨年夏以来販売面の規制が一層の厳格さが加えられたので、漸く催眠薬遊びも減退したが、これに代って最近鎮痛、鎮静剤等による、催眠薬同様の遊びが青少年者間に流行する様になって、引いては社会的弊害が生ずるに至ったので、先の催眠薬遊びと同様これを撲滅するために、警察及び厚生当局は再び立ちあがっている。福岡県に於ても本月五日付で県衛生部長名により、取扱い関係団体に対して先の様な注意すべき通達が発せられた。

 鎮痛、鎮静剤等の販売自粛及び催眠剤の販売報告について 催眠剤乱用防止についてはかねてご協力を願ってきたが、昭和三十七年七月以降は殆んどの催眠剤が劇薬指定を受け、一段と販売面にも規制をされた結果、最近はこれらによる青少年の身心に及ぼす悪影響及び社会的弊害は漸時減少しているが、これに反比例して、最近特に比較的入手容易なる普通薬の鎮痛、鎮静剤、例えば、ナロン(大正製薬)セデス(塩野義製薬)ドローラン(藤沢薬品)等が催眠剤に代り、青少年等に悪用されている傾向がたかまりつつあるので、特に左記に留意、催眠剤同様鎮痛、鎮静剤の乱用を未然に防止するため、これが販売については、格段の留意のもとに遺憾のないよう会員に周知方をお願いする。

 一、販売面における規制
該品は薬事法上に交付の制限等はないが、使用者に対して乱用、悪用の弊害を認識させ、その適正な使用をさせることが必要であると考えるので、販売面にたずさわる者が公衆衛生の向上及び増進に寄与していることの自覚を新たにして、その販売にあたっては直接未成年者に手渡し交付しないよう特に注意されたい。

 二、催眠剤の販売報告について
 @薬事法第六十九条第一項の規定に基づき、昭和三十七年一月以降提出を願っていたが、前記報告については本年十月以降は、その必要がないこととしたので、ご了知願いたい。
 A然しながら、その販売にあたっては従来どおり薬事法による義務規定の遵守は勿論、未成年者には直接交付することがないよう、特に留意願いたい。
B普通薬の催眠剤の販売記帳は、従来どおりであるから遺憾ないよう留意されたいこと。

 学校薬剤師 開局保険部会 合同部会出席者約一五〇名

 第33回九州山口薬学大会の学校薬剤師・開局保険合同部会が第一日10月14日午前観光会館で地元司会により開催された。出席者約一五〇名。本年は演題数と時間配分の関係上この二部会に限って共同で部会付託議案の審議及び研究発表をなすことになった。福岡の早川政雄氏を議長に推し、本大会よりの付託八議案の審議に入り全部異議なく採択と決定した。次に左記研究(十一演題の発表を当日及び翌十五日の部会に於て発表した。

 ▽発表演題

 (1)循環型プールの水質検査結果=大分市碩田中学校安部正清、大分県衛生研究所末光和代
 (2)プール水のクロールと細菌の時間の推移による変化=鹿児島県、黒岩将臣
 (3)市街地における騒音、炭酸ガス、一酸化炭素の測定=福岡県、友納英一、矢野憲太郎、柴田伊津郎、内田数彦、馬場正守、樋口甲、中野佐、山手陽一
 (4)歯科処方箋について=熊本県佐々木究
 (5)プール消毒の基礎的調査=熊本県菊池学薬会、藤本磯男、辻重立、元田清
 (6)日田地区における保険調剤の動向=大分県、原田英俊
 (7)学校水質試験成績について=熊本県
 (8)熊本県山鹿地区における井戸水の弗素含有量について=菊池郡市学薬会、藤本磯男
 (9)業種別環境調査成績(第一報)学校、美容院、理髪店の場合=福岡県、河野広登、中村里実、河原畑武雄、早川政雄、古賀武、砥上守男
 (10)保険処方箋増発の諸方策について=福岡県中村里実
 (11)漢方薬のすすめ=福岡県戸田秀実