通 史 昭和39年(1964) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和39年(1964) 6月10日号

 福岡県女子薬福岡市支部 通常総会 会長に原口静氏

 福岡県女子薬剤師会福岡市支部では通常総会を五月卅日午后一からエーザイ福岡支店会議室で開催出席会員約五〇名原口支部長の挨拶次いで来賓友納市薬会長並に竹内勤務薬剤師会代表の祝辞があつて議事に入った。

 先づ前年度事業並に会計報告、新年度事業計画並予算案が提出され何れも異議なく承認、決定した。次いで新役員選挙に入り次の通り満場一致で決定した。
 ▽支部長 原口静
 ▽副支部長 大黒敬子、山崎節子
 ▽会計 城戸加寿子
 ▽部会長 梅津陽子、鳥飼英子、杉本好子、星出直子、香月一枝、岡部範子、山手嘉子

 以上にて議事を終え親睦会を開いて自己紹介をなし和気藹々裡に閉会となった。なお、当日午前中にエーザイ営業部の野口氏からビタミンE及びグロンサンについての有益な講演があつた。

 福岡市薬 理事部会長会 新役員紹介

 福岡市薬剤師会では新役員による初の理事、部会長会を六月二日午后県薬会館で開催した。
 友納会長の挨拶後、左記新役員の紹介があった。
 ▽会長 友納英一
 ▽副会長 内田数彦(東)大隈次郎(福)波多江嘉一郎(西)木村徹雄(南)
 ▽常任理事 斉田和夫、柴田伊津郎、塚田豊、副島恒夫、岡本弘、糸岐良次、白水静次 理事は四ブロツクから各自決めて早急に推薦して貰いたい。

 それより次の議事に移った。
 ▽新年度事業計画について
 根本的には本会の第一線である都会の強化を計り、重点事業である保険調剤促進、三師懇談については受入態勢が不充分である現在では会として具体的に三師会を今直ぐ利用することは困難であるので其第一歩として接触した医師、薬剤師各個人で先づ接衝を持ちたい、この問題については種々の意見があるが、結局は委員一任となった。
 ▽新年度会費について
 会費は部会単位に納入して貰い7月末15%9月末10%、12月5%の報償金があり、商組の会費は市薬より一括県商組に納入する、これについての報償金は今後話合うことにする。それより四島県会長の挨拶があって閉会となった。

 国試合格発表 福大薬学部 合格殆んど百%

 第26回薬剤師国家試験は去る3月31日、4月1日の両日実施されたが、5月25日其合格者が発表された。受験者は三、五四二名で、合格者は三、〇九八名で合格率は八七、四六%であつた今回の試験は実地学説試験を通じ計算問題が不出来であつたと云われる。

 福岡の福岡大学薬学部からは96名が受験したが、94名の合格で約98%の合格率となり、全国の合格率八七、四六%を遙かに上廻り、同部では初の第一回卒業生によってこの成績をあげたことにより一同大いに喜んでおり、この成績をいつ迄も続けたいと言っている。

 福岡県薬商組 新年度 初理事会 理事長に白木氏

 福岡県医薬品小売商業組合では本年度初の理事会を五月廿七日午后県薬会館で開会未だ決定していない正副理事長並に専務、会計理事を先づ選任することになり選考委員制により選考の結果、理事長に白木太四郎氏を選考し、副理事長四名は須原(福岡)岡野(筑後)福田(北九州)吉柳(筑豊)の四氏(前副理事長)を選考して一同に諮ってこれを決定し、次いで専務理事に藤野義彦氏を会計理事に山手陽一、松島雄の両氏を選任した。愈々全役員も決定したので、左記議案審議に移った。

 ▽昭和39年度運営の基本方針について 白木理事長挨拶を兼ね基本方針を説明、大体事業計画通り実行するが特に今年は安定要綱の推進を強力に行い実績を上げたい、それがためには四ブロツクの活動を今一層強力にし充実したものにする必要がある。大局的には九州各県、全国薬商組と緊密な連絡をとる必要がある実際的な県下の運営としては地区的に事件を解決し、若し解決の着かない問題は県商組で片付けたいと思う。

 句日記 山鹿 清水鹿山

 よし切や渡舟の顔のすぐ見えず
 ねむとうてならず昼寝の枕する
 百千の河鹿に球磨の夜ふけぬ
 蕗煮ゆる老いにし妻の一日かな
 蠅が来てわが半日をもつてゆく
 夏痩せも知らずやもめの美しさ
 蝦釣りのおほばこの花ふまえけり
 手洗の水をこぼしぬ著莪の花
 よく見れば棗の花咲きにけり
 繭出しの人夫に酒をすすめけり


九州薬事新報 昭和39年(1964) 6月20日号

 いよいよ結成発足 福岡県管理薬剤師会 設立総会

 予て準備中であつた福岡県管理薬剤師会設立総会が六月十五日午後、田辺製薬福岡支店五階ホールで開催された、出席者五〇余名、磯本美穂氏司会して開会の挨拶、次に内藤発起人代表は、吾々は従来陰の薬剤師、一部甚だしいのは所謂名義貸しとして非難された事実もあって誠に残念なことであった、最早そんなダラシナイ事は許されない。この際吾々は立派な管理をこなす薬剤師、立派な職業の薬剤師としての自覚に起ち、県薬務当局や県薬剤師会のご後援によって茲に立派な会を結成せんことを切望しているので、皆様の絶大なご協力をお願いする。と挨拶があり、司会者から仮議長として草場近氏を指名し、議事に入った。

 ▽議事
 (1)設立経過報告
 内藤委員長より本会の発端である去る三月廿四日開催された県薬務当局主催の管理薬剤師関係法規講習会以来の準備経過について詳細な報告があった。

(2)会則案審議
 逐条審議をなし左記の通りその一部を改訂して決定した。(会則案は本紙5月30日付第五六八号に記載)
 @会則案第一条中…管理薬剤師と、の間に「(実務に従事する薬剤師を含む、以下同じ)」を入れる。
 A第五条(1)中の(法人の代表者を除く)を(開設者を除く)と改訂する。
 B第六条中「副会長二名」を「副会長四名」に改訂する。
 C第十条中…「副会長並びに」の六文字を削除し、次項として「副会長は支部長をもってあてる」を挿入。
 D第十九条中…互選に、の次に「より正会員中」の六字を入れる。

 3)設立宣言
 次の宣言案を磯本氏朗読、満場一致の拍手を以てこれを決定した。

 ◆宣言
 福岡県下管理薬剤師の総意により、ここに福岡県管理薬剤師会が成立したことを宣言する。
 昭和卅九年六月十五日
福岡県管理薬剤師会設立総会

 (4)役員選任
 選考委員制をとり四地区から二名宛の委員を選出して選考の結果これを会場に諮り次の通り決定した。
 ▽会長 内藤龍祐
 ▽監事 山元秀一、原口静
 内藤氏起って会長就任挨拶をなし、次いで次記来賓の祝辞があつた。

 県薬務課長代理大庭補佐は多年要望されていた会ができ今後これに期待する元来薬局薬店の開設者に理解のない方々が非常に多い、薬剤師自身も不心得なズボラな人があって色々今日迄に問題も起つたが、個々の間ではいいたい事も言えず、今後は本会が色々とお世話したら、良い方向に向うこととなると思う。開設者も薬剤師もこの会を利用して仲良く違反などをあげない様にして貰いたい。と希望を述べて祝辞とした。

 次に四島県薬会長は、本会の誕生を既に十数年前から剤界では要望しており、本日本会が結成された事は洵に有意義なことである。勤務薬剤師の地位向上と云う面に於て病薬は或程度進んでいるが、管薬の方は仲々進まぬ。日薬に於ても給与引上げの時にいつも言われるのは管薬給与が全国平均して低い事である、(高校生卒よりも低い)管薬には個人的にも色々のケースがあり一概に非難するわけにもゆかないが、この際雇傭薬剤師の労働組合が必要でないかとさえ思われる。

 県薬としては管薬会は関係団体というよりは包含団体であると考えている。薬剤師会とは、云うならば実質的に知能労働組合であるべきと考える。本会も着々と団結を固めて行かれるならば数年たちずして相当有力な会となると信じている。管薬の地位向上を願うならば自分達自身で管理業務遂行に邁進されねばならぬ。県薬として全般的にご援助をおしまないつもりである。

 次に白木県薬商組理事長から薬業界に対する関心と希望とが述べられて、第二次の議事に移った。

 内藤会長は@初年度の事業については経費の関係などにより具体的な計画案は未だできていないが、本日の大庭課長補佐や四島県薬会長並に白木県商組理事長などの述べられた方向にむかつて会を進めたいと思う。A予算に関しては先づ収入源である会費を年三〇〇円と決めたいと思うが、と諮り一同異議なくこれを承認決定し、B顧問、相談役を次の様にお願いすることを一同に諮ってこれを決定した。

 ▽顧問=県薬務会長、県薬会長、県薬商組理事長
 ▽相談役=県薬各支部長、県女子薬会長、竹内県薬理事、工藤同専務理事、長野、岡野両県薬副会長
 なお、理事は追って会長より委嘱することになった。

 次に相談役竹内担当県薬理事は概要次の様に述べた。私は本会を担当する県薬理事として熱意を以て対処して行きたいと考えている。先づこの会が今後早急に運営して行かねばならない事は支部長を決め、会長と共に会が採るべき方針を決定して、これを各支部会員に能く徹底せしむる様、先づ簡素化されたいと思う。経費も今迄県薬に相当オンブして来たが、今後もその様にしたいと考えている。新規雇傭等の場合もこの会を通じ、できるだけ有利な条件に持って行きたい。そうしてこれを先づ最初の足がかりにしたい。本会を管理と云う立場に於ける労働組合と考え、従って又管理の面に於ては百%責任を持って頂きたい。近く管薬としてのビジヨンを決めて印刷配布したいと考えている。本会員は進んで経営管理と云う面まで積極的に常に講習前進して行きたい。

 又経営者と管薬との間に立つて協約書を作成すべきであり、新規就業される人から実施して行きたいと思う。給与については(医療職給与中薬剤師の公務員の初任給、並に給与表について説明)この様な科学的資料をもとに検討さるればよいと思う。年一回総会を兼ねて研習会を行ない(薬務課の了解もある)その他保険調剤講習会など色々と具体的な、面倒な仕事をせねばならぬことになると考えるが、これを実行して頂かねば本会の事業も成立せず本会の結成も無意味なことになると信ずる。 次いで大庭課長補佐から監督官庁としての種々など注意があって総会を終了した。

 句三昧 福岡 徳島山花

 病勢の思はしからで春すぎし
 看とり甲斐やつとありたり蚊取香
 窟を出て阿蘇登山なとしてみたや
 阿蘇登山まだ夢なりし足重く
 病む身とて句帳もつ手の冴え返る

 句日記 山鹿 清水鹿山

 汗の瞳に泰山木の花白し
 梅落し日曜の子がたのしそう
 風鈴にのこる面影美しき
 夕河鹿家の灯水に流れよる
 星屑のこぼるる渓の河鹿かな

 第20回日本薬学会 初の準備委員会 委員71名、委員長に塚元九大薬学部長

 第20回日本薬学会、初の準備委員会が六月六日九大薬学部で開催され出席者五五名、塚元薬学部長の「準備委員会は本日より発足する。当地に於ける前回の大会も好評をはくしたので今度もよろしくお願いする」と挨拶があり次に井口教授並に堀岡医学部薬剤部長から本件の経過につき「第20回大会を福岡で開催する様薬学会から昨年初めに話しがあり、第17回金沢に於ける大会で決定した。本年の一月に第一回の打合せ会を開き会場調査をなすことになり二月には大体これを決め同月の日本薬学会理事会に提案したが、その節日程が変更され40年4月5、6、7の三日間開会に確定した。計三回打合せ会を開き5月22日準備委員を推薦し、正副委員長をも大体決めた。

 前々回第17回金沢に於ける大会参加者数は約三、五〇〇名であつたので、値勢上大体似ている福岡に於ては四、五〇〇名と想定して会場なども決めた。市民会館を中心に、近くに三ケ所、懇親会場には天神ビル大ホールなどを取り決めた」旨、その他詳細な報告があつた。それより左記数件について協議決定した。

 ▽準備委員の再確認並に各担当部門責任者の決定について井口教授から説明があり一同異議なく次の様に決定した。
 ▽委員長=塚元久雄
 ▽副委員長=四島久、井口定男、堀岡正義
 ▽委員=川崎敏男、西海枝東雄、浜名政和、百瀬勉、田口胤三、西岡五夫、吉村英雄、小川晴、梅沢文輔、上田陽、小島正治、山本孫兵衛、古森徹哉、山本陽、松尾純郎、佐伯清太郎、舟越和久、大倉洋甫、矢野弘重、川添裕一、後藤茂、工藤忠宏、小森治、辰巳淳、谷厳、野田浩司、野田敦子、杉本宏之、長野義夫、岡野辛一郎、工藤益夫、友納英一、矢野憲太郎、柴田伊津郎、馬場正守、白木太四郎、須原勇助、藤野義彦、大隅次郎、田中ミヨ、宮崎綾子、上田ヨシエ、原口静、森山富江、永松淳雄、中島修、松本久男、河野喜美彦、吉田和夫、尾崎松夫、北原郁也、林真一、竹内克己、福井正樹、大橋研、相島徹、鹿川亘、磯田正春、金枝正己、鶴田道夫、河野義明、峰正俊、内田研三、成沢哲夫、日野忠一、橘道夫、岸本源蔵
 なお、七部門の責任者は次の通りである。
 ▽総務=井口定男▽会計=川崎敏男▽編集=吉村英敏▽展示=上田陽▽会場=小川晴▽=宿舎=梅沢文輔▽大会=四島久、井口定男
 ▽準備委員会小委員会設置について井口委員から説明があつた。毎月一回位各部門の担当者何名かによって打合せしたいので、小委員会(連絡会議)各部門長の出席を得て、それより各委員に流し又意見も聴くことにしたい。一同異議なくこれを決定した。

 ▽予算編成の件については一番急がねばならぬので七月初めには其大綱を決定したい。本部に於ても勿論やるが各部門で大体の予算案をたてて貰いたい。六月最終土曜日(27日)には予算の青写真を作りたいと思う。金沢大会が四二〇万円であつたので、その後諸物価も高く又諸経費も増加すると思えるので約五〇〇万円とすべきであろう。

 ▽シンポジウム並に特別講演等の計画に関しては各部会で希望もあると思うが日程が決められているので講演もアウトラインだけは決めたいと思う。以上種々意見があると思うが本月27日小委員会による連絡会議を開会するので其節決定することになった。

 次いで工藤県薬専務理事から日本薬学会(第一部)に関する調査記録(14.15.16.17.19.20各回大会についての調査)について参考資料としての説明があつた。なお県薬剤師会では当日の準備委員会に関連して薬剤師関係の連絡会議員(代表者)は次の七名を決定した。
 四島久、工藤益夫、友納英一、白木太四郎、柴田伊津郎、田中美代、上田ヨシエ
 六月廿七日連絡会議当日の午前十時に連絡委員打合せ会を開くことになった。

 第2回福岡県薬事審議会 新規許可薬局三、薬店二

 本年度第二回福岡県薬事審議会が六月八日午后二時から市内全信連福岡支店会議室で開会、昨年二月北九州市八幡区、永松賢忠氏から医薬品一般販売業開設許可申請があっていたが、この程本人より申請書却下方の申出があつたので、これを却下することを承認、次いで左記薬局開設一件を許可承認及び開局二件、一販売業開設二件合計四件の知事報告を了承した。

 ▼審議許可承認の分
 ▽薬局名称=薬局長生(大牟田市上町一丁目)−申請者水町元治54才(住所、店舗と同じ)−管理薬剤師、申請者自身

 ▼知事より許可報告の分=カク薬局(北九州市小倉北方若園町一七二)−申請者、賀来長次郎56才(同市小倉区堺町二ノ三五)−管理薬剤師、本人
 ▽薬局名称=安部薬局(北九州市小倉区北方若園町三〇四〜八)−申請者、安部敬三31才(薬局と同所)−管理薬剤師、安部昇68才
 注=申請者は現在五郎丸薬局の管理薬剤師であり、管理薬剤師の安部昇氏は本年四月迄築上郡椎田町で薬局開設
 ▽薬店名称=バーゲンセンター東浜店薬品部(福岡市大字金平字龍頭崎四九七)−申請者、九州機材倉庫椛纒\取締役北田光男50才(同市長浜町四丁目一六)−管理薬剤師、上野啓次59才
 注=この販売業は本年二月許可したもの、今回同番地内で店舗を移転したもの
 ▽薬店名称=古賀薬品(柳川市城南町五八の二)−申請者、古賀千枝子27才(住所店舗と同じ)−管理薬剤師、藤永美沙子27才

 福岡地区安定協 委員全部決定 注目すべき意見

 福岡地区薬業安定協議会が六月十一日午后県薬会館で開会、先づ須原氏(福岡地区担当県商組副理事長)は「本日二回目の協議会を開会するが、定例日の昨日が差支えたので本日開会することになったのでご了承を願いたい」と挨拶し、輪番制によりメーカー側から三共が議長となって議事に入った。

 ▽報告事項
 @本協議会の委員の一部が前会に於て未決定であつたが、次の通り其後決定したので全委員を確認した。
 メーカー側=武田薬品、三共、塩野義製薬、中外製薬、第一製薬、田辺製薬
 卸側=若狭屋、大黒南海堂、富田薬品
 小売側=須原、斉田、大隈、宇山、山手、山本、磯部、世利、定宗、木村、岩崎、西原、土井良
 A指導品目追加の分を別刷により報告
 B試売対策については当日午前第三回県安定協販売対策委員会が委員田辺、藤沢、大黒、大石、九州薬品、白木、藤野、吉柳、須原、山手の諸氏出席の上開会、その後試売の結果違反者が発見されたが、今回は初犯であるので関係卸、メーカーから個々に注意勧告をなし、今後の成績を見て本月の定例委員会で纏めることになった旨の報告があつた。

 この報告に対し「今日迄煎じつめた異端者をどうするか?ここに至って処分しなければ何にもならぬが、実際問題としては仲々むつかしいので、この様なダラシナイ結果となったと思うが、これらの異端者に直接接触するメーカー、卸の第一線の方々の意向や気持ちを好く考慮すべきである。真面目に守っている者から見れば不安定協議会と思われ又そうした批判も耳にするが、まじめな小売業者が何時離反するかと恐ろしくなる。杞憂に終れば結構だが、リストによると今日迄に何回となく裏切られた者ではないだろうか?一罰百戒しなければ総くずれになる惧れがある」との意見もあつた。当事者は勿論、一般業者も心すべき事であろう。

 病院と開局・薬剤の配合性 日本短波放送

 日本短波放送「薬学の時間」六月番組の内、塩野義製薬提供の九日(火曜)の分は『病院と開局「薬剤の配合性」』と題する対談が九州大学附属病院薬剤部長−堀岡正義氏と福岡市での開局薬剤師−柴田伊津郎氏とによってなされ、放送されたその概要次の通りである(敬称略)。

 病院と開局 「薬剤の配合性」

 堀岡:今日は病院と開局の方々を結ぶ一環として、薬剤の配合性について話したいと思います。私達が調剤に際して配合禁忌というものの中には薬理的配合禁忌と物理的配合禁忌及び化学的配合禁忌の三つの場合があるわけですが、薬理的配合禁忌は処方上の問題ですから一応別として私達が考えなければならないのは、物理的及び化学的配合禁忌の場合だと思います。この中にも絶対的な配合不可と配合不適切及び配合注意の三つがあるわけですが、この他にも最近では注射薬の混注のことで開局の方にも問い合せがあると思われますが如何でしょう。

 柴田:近頃は混合注射をする場合が多くなった為でしようか、混注の可否についての質問が増えたようです。注射薬の場合は吾々が直接使用するものではありませんし、更に主成分相互の配合性だけでなく溶媒や溶解補助剤安定剤などのこともありますので、判断に困ることが度々あります。

 堀岡:散剤や水剤の配合性については従来から相当研究され、成書もいろいろありますので比較的に問題はないかと思いますが、一応順序として散剤、水剤、注射薬の順に取上げてみたいと思います。

 柴田:では先づ散剤について二、三例お伺いします。
 (1)サルフア剤と酵母剤
 (2)総合ビタミン剤と重曹又はマグネシア
 (3)メフエネシンとトリメタヂオン

 堀岡:(1)は薬理的な配合不適で、酵母剤に含まれているPアミノ安息香酸によってサルフア剤の効力が減殺されますから医師に照会して処方を変えてもらう必要があります。(2)は総合ビタミン剤の中のV・Cがアルカリ剤の配合によって効力を失い、尚又変色を起す例です。こんな場合は総合ビタミン剤とアルカリ剤をそれぞれ別包にして所謂組合せ散剤として投薬すべきです。(3)は二種の物質の混合によって融点降下を起すもので、湿潤溶解します。(メフエネシン68〜73℃トリメタヂオン45〜49℃)この点融点の低いもの同志の配合の際には注意する必要があります。尚この他に(サリチル酸アミドと天然ケイ酸アルミ)はサリチル酸誘導体鉄分によって着色を促す例で、この場合は色の変化だけで効果には変りがなく所謂配合注意と言うべき例でしょう。

 柴田:水剤は使用頻度が大変少なくなったそうで、私どもでも特に変わった例もありません。何かお気付きのことがありましたら−

 堀岡:小児のシロツプ剤の場合ですが、シロツプ剤に不溶性の粉末薬が配合されていることが往々あります。こんな場合は散薬を別包として添付し、混合して飲ませるというような配慮が必要だと思います。

 柴田:振湯合剤というような剤形よりも正確に服用させることが出来るわけですね。注射剤の配合禁忌については基本的な点で水剤と共通した要素が考えられると思いますが、次のような混注の例は如何でしょう。
 (1)チトクロームCとATPと塩酸パパベリン
 (2)チトクロームCとV・Cとペルサンチン

 堀岡:混注の場合に吾々が一番注意しなければならないことはPH、溶解度、安定性などの点で、特に溶液であるために変化が起り易いものです。この二例とも混合によって結晶を折出する例ですが、
 (1)はATPと塩酸パパベリンによって起る反応でチトクロームCとの関係はありません。ATPは用時溶解液に溶かしますが、この溶解液のPHは8.2なので、これに酸性の塩酸パパベリンが加わったためにパパベリンの結晶が折出するわけです。
 (2)の例もV・Cとペルサンチンによる変化で塩酸塩として溶解されているペルサンチンがPH6程度に調整されたV・Cの注射液により沈殿するものです。
 この他にも最近よく使用されるオロトン酸は酸性の注射液の混合によって沈殿を起すもので、今後注射薬の混注が多くなるにつれ薬剤師としてもこの方面の研究が更に来ると思われます。


九州薬事新報 昭和39年(1964) 6月30日号

 福岡県薬業安定協議会 六月例会 不良店問題のため来る八日臨時安定協を

 福岡県薬業安定協議会は六月例会を25日午后1時から県薬会館に於て全委員出席のもとに、卸側大黒委員が議長となって開催した。

 先づ委員の一部変更について大黒委員及び藤野委員より、卸側の小倉薬品の阿部氏を大川光一氏に、坂田氏を佐治八郎氏に、小売側は四島氏を須原勇助氏に変更する旨の報告があつた。次に一昨23日東京に開催された中央安定協に出席した白木委員から「中央安定協としては尼ケ崎、ダイエイ問題については、この儘放置すれば事重大化するとの観点から、尼ケ崎の二、三店に対しては、最早不良と決定すべきであるとして、製企会並に卸側共、その対策を進める模様である」との報告があつた。

 それより当日の議題に移り先の五月例会に於て問題となっていた大牟田市、ツツイ薬局のビラの配布についてその後四者それぞれの立場から説得したとの報告があり、特に本月12日の大牟田市に於ける県薬務課主催の全小売業者に対する説明会終了後、引続き製企会、卸及び県薬商組の各立場から業者の団結と認識を高めるため、安定要綱について説明したが、終にツツイ薬局はこれに出席せず、この直後もビラを配布した。その後、大牟田地区業者は全員商組に加入の見込みとなったが、ツツイ薬局だけは全く加入の意志がない旨の報告があり、これに対し県安定協として早急に対策を進めて貰いたいと、小売側より強い要望があつた。

 次に対策委員会から次のような報告があつた。本日の対策委員会では、前回試売した結果、その違反者については其後関係メーカー、卸より個々に勧告説得し、引続き違反者のみについて再度試売した結果改めていない者のリストを作って提案し、然しこの事については対策委のみとして対処するには問題が余りにも重大であるとの観点から改めて茲に安定協に提議するので、メーカー卸とも具体的に又瞭きりした何等かの強力な手を打つべきだと申入れた。

 これについて当日は長時間討議したが、全国でも初めてのことであり、愈々実行の段階になると仲々むつかしい問題が多いので、本安定協を来る七月八日一時から臨時当所に於て、その午前には第五回対策委員会を、それぞれ開催することを決定した。それ迄に各メーカー、卸も、既に中央に於て基本線は決まっていても本県ではいか様な方針で進むべきか、その具体的な考えを瞭きりした上で臨むことになった。それより中外のグロモント価格改訂の説明があって五時過散会となった。

 公衆衛生委員会 初の委員会 委員長に清永氏

 福岡県薬剤師会新公衆衛生委員初の委員会が六月廿四日午后県薬会館で開催された。委員は次の十三名である。
 清水、矢野、柴田、馬場、内田、側島、新保、松尾、石橋、久原、末宗、草野、竹内 先づ四島県薬会長の挨拶後次の議事に入った。

 (1)委員長選出の件
 選挙の結果次の通り決定
 ▽委員長 清水美濃輔(八幡製鉄所労働医学研究所勤務)
 ▽副委員長 矢野憲太郎(福岡市薬剤師会々長)

 2)委員会運営の件
 本委員会は諮問機関ではあるが、実際的活動も何等差支はない事を確認、次いで県薬に於て決定した四地の公衆衛生調査の進行状況については、本月初め福岡市に於て市内中心部の騒音調査を実施、其成績を発表したが、日刊紙などに採り上げられ非常な反響を呼んで薬剤師のPRに大いに貢献する処があつた旨報告があつた。

 3)本委員の件公衆衛生協会加入を県薬に要望の件 薬剤師のPR活動の一環として委員各自が協会に加入すべきであると云うことになり、入会金等の関係もあるので県薬に其旨要望することを決定した。 なお次回は必要に応じて開会するが、次会には本委員会の事業内容について各自研究検討して持ちよることを決めた。

 支部別保険調剤調査票 昭和39年5月分 福岡県薬剤師会