通 史 昭和38年(1963) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和38年(1963) 10月10日号

第2回 福岡県薬業安定協議会 指導価格全部発表に至らず

 福岡県薬業安定協議会の第一回は九月十九日開会したが指導価格の発表に至らなかったので、其第二回安定協議会が予定通り甘八日午后一時から福岡市天神町クラブ九州で開会された。

 出席者次の通り
メーカー側=武田、塩野義、三共、田辺、第一、中外
卸業側=大黒、川口屋、水田、鶴原、吉村、坂田
小売側=白木、福田、青柳、岡野、深田(代)、陣内、松島
県庁側=薬務課長、大庭技師

 課長挨拶後二、三本会運営について意見が述べられ、次いで前回決定事項の委員代理者登録を各委員毎にこれをなし、それより指導価格発表問題に移ったが、未だ各メーカー全部の準備ならず、一部発表の運びに至らないメーカーもあるので今回も亦発表中止となるかと危惧されたが、小売側の要望もあって準備完了のメーカーだけでも発表することになり、其メーカーは口頭にて二五品目だけが発表された。

 尚当番社の説明によれば、二〇社中鳥居、東京田辺、科研、台糖、万有、山之内、日本新薬の七社は現在の処発表に該当する品目がないので今回は静観ということになった模様である。

 当日の協議会は一応これにて終え、各社の発表準備もあと一週間位かゝるものとして次回開会を十月七日とし、午后一時から天神ビルに於て第三回安定協議会を開催する予定を決めた。其節は各社共指導価格案を印刷して提示し、三社協議の上今後の具体策を検討することになった。

 尚其後第三回協議会(十月七日)に放て指導価格の発表された各社の品目は次の通り(詳細記事次号)。

三共=ビオタミン5mg 強力ミネビタール
第一=強力パント ハントL内服液
小野=アテロ
住友化学=オルトン、イイチ
明治商事=ラロ錠、同分包散、同散
大日本=ヘルタス錠
塩野義=ポポンS錠、乳児用ポポンS、ノナール顆粒、同錠、幼児用ポポンS末
藤沢=チオクタンW、ノイビタ、プレコール内服液、同カプセル 同ドリンク
中外=グロンサン錠、同内服液、同バーモント 武田=アリナミン及びアリナミンF錠の5mg、25mg、50mg 強力パンビタン錠、同M錠、ハイシー錠
田辺=ネストンアンプル、ノバポン錠、同カプセル、アスパラ糖衣錠、同アンプル 同ドリンク

九州地区では 長崎・宮崎県条例確定

 九州各県中条例の県会通過確定した県は長崎県(直線一五〇米)及び宮崎県(路面一五〇米)の二県で、何れも県会に於て修正されたものである。 尚熊本県は路面の二〇〇米で、其他福岡県、佐賀県、鹿児島県、大分県の四県は一五〇米で近く通過の見込である。(10月9日現在)

福岡県薬支部連絡協議会 薬学大会表彰者に阿部基吉氏推薦

 福岡県薬剤師会では支部連絡協議会を九月廿七日午后一時半から県薬会館で開会した、役員14名、支部長16名出席、定刻開会、四島副会長挨拶後直に次の議事に入った。

(1)九州山口薬学大会に就て
 大会表彰者として学薬に功労ある阿部基吉氏を推薦既に承認を得た。本県には大会から百名以上の出席を要望して来ているので、なるべく多数出席することにしたい。出席者には補助金を交付することに決定している。

(2)薬と健康の週間行事について
 本年は10月28日〜11月3日、北九州市を中心として行なう。11月12日の二日間福岡市に於ても行なうことになっている。尚本年度の県知事表彰の薬事功労者第一次候補者として次の六氏を決定した。
 メーカー第一製薬−亀井守男▽福岡−野口秀夫▽大川-志岐寿一▽戸畑−清水正史▽小倉−三渕学▽門司−本間頼亮

(3)薬学講習会について
 福岡市11月11、12日、北九州市11月18、19日、今年はテキストも厖大で七百円、講習内容も相等充実したものであり皆さんの要望に応えたものといえよう。努めて出席して貰いたい。尚会場でオリンピック協賛シール(10円)を発売する。

(4)国保請求、明細書の様式変更について
 十月一日全市町村国保の世帯主七割給付実施に伴って様式が変更されたので注意されたい。十月分(十一月提出分)より新様式に依られたい。

(5)業務日誌の予約申込みについて(一部一五〇円)
 各支部に送附する、返戻がある場合は理由書を提出させ県当局に報告すること。

(6)適配の基準を定める県条例、安定要綱の実施、高野後援会等について(四島薬政会長より説明)

 去る七月十二日公布施行された改正薬事法は、医薬品販売管理と薬局薬店の配置の適正を図るためであるが、販売管理については六カ月の余裕があるので、先づ適配から始め、県条例を作成するため七月初めから県会に陳情、請願をして来た。

 其間殊に最後の一カ月は種々と間題も起ったが、九月甘三日厚生委員会、廿五日総務委員会を通過、明廿八日開会の県会にかけられ常任委員会を通して十月十日頃には終って十五日頃には正式正条例が出現するのではないかと思っている。内容については既に大体知っていられることと思うが、需要者にも販売者にも適正であることが目的であるので、必ずしも吾々販売業者のみに有利にできてはいない。

 適用地域(過当競争地)は一五〇米(直線)除外例は八項目ある。適用地域は必要があれば逐次追加ができるので、現に必要な処は支部長から申出られたい(大野町、福間町は各支部長から申出があった)。

 次に薬業経済安定のための新要綱案施は廿日からになっていたが、まだまだ軌道に乗っていない。四者による安定協議会が設置されて第一歩を踏め出した程度である。近く各メーカーの指導価格が発表されるに至れば少しは活発化すると思うが、皆が努力して経済安定の目的を達せねばならぬ。然し仲々困難な仕事であり理想的に進運するや否や危惧の念なきにしもあらずである。

 医薬品の取扱いを規制することを要請し易い時が若し来れば、最後に経済立法に向って進まなければならない。これが日薬の考え方だと思っている。高野後援会などの必要性もこれ等に在るものと思う。各支部でも今日より計画的推進を考えて貰いたい。

 次いで古賀県議は「業者の希望、今後開局する人の希望、消費者の立場等から勘案して最低二〇〇米と考えていたが、一〇〇米主張の当局と歩みよって一五〇米に落ち着いたが、大体県会は通過するものと思っている」と補足説明があった。以上にて連絡協議会を終了 。

対症薬学 =竹内克己(六) か ぜ 操氏の分類法

一、普通感冒
 a、非感染性感冒、感冷湿潤、煤煙などの理化学的刺戟、あるいはアレルギー刺戟などが勧いて、上気道の炎症と、全身の変調を来すもので、伝染性はない。
 b、感染性普通感冒
 これは肺炎双球薗、連鎖球菌、ブドウ球菌、カタル性小球菌等が起炎菌になっている感冒である。
 C ヴイルス性普通感冒
 ヴイルスが病原体で、人間とチンパンジーしかかゝらない感冒である。

二、インフルエンザ
 流行性感冒とよばれるもので、病原体はヴイルスである。インフルエンザで乳児と老人はよく似た症状を呈する。即ち熱が低く咽頭の発赤が少く、合併症を起し易い等である。然し老人には咳、痰が多いが乳児には少い事が多い。
 最近感冒ワクチンが用いられる様になり、予防に明るい見透しがついたが、また多少の問題がないでもない。
 感冒流行時に先づ用いられるのは含嗽で、従来ホー酸水やオキシドール液が繁用されたが、逆性石鹸がある塩化ベンゼトウムが注目されている。一〇%液の五〇〇倍溶液がすぐれた結果を示している、又各種トローチ剤も新しい予防剤となり得るであろう。

 非感染性普通感冒はその発生の病理が明かでないが、感冒の大部分は先づ鼻炎を起す。局所にヒルスタミを遊離し、分泌物を増加させる。これに抗ヒスタミン剤が用いられる。ねむ気を催す抗ヒスタミン剤は時として安静に役立ち経過を良好にする事がある。
 熱が高く細菌の二次感染をうたがわれる時はスルファミン剤や抗生物質が必要となる。

 最近筋弛緩剤が流感に有効であったという報告があるがその作用機序は明かでない。
 又ヴイルスに有効な感冒薬としてABOB(塩酸モルフォリノビグアニト)が発売された。これは抗マラリヤ剤研究の途上、細胞内のマラリヤ原虫に作用する物質は細胞内で増殖するインフルエンザヴイルスにも有効ではないかと考えたのは至極当り前の事であった。 然しこれはかぜの凡てに有効かはまだわかっていない。

薬と健康の週間 薬の座談会  十月卅日小倉で

 福岡県薬の「薬と健康の週間」は北九州市と福岡市とに於て行なわれるが、其行事の一環として「薬に関する座談会」を十月卅日午后一時から約二時間、北九州市小倉区小倉駅前小倉中央会館内中央レストラン別室に於て開催することになった。

 主たる話題は、薬の正しい用い方、其他薬と健康週間の趣旨普及についてであるが、出席予定者は県薬務課長、九大薬学科主任教授、県薬剤師会長、北九州市薬剤師会長、消費者代表、西日本新聞記者などである。

福岡県学校薬剤師会理事会

 福岡県学校薬剤師会理事会が十月二日午后一時半から県薬会館で開催され、早川、友納正副会長外理事六名出席、左記報告、協議がなされた。

(1)全国学校保健(学校薬剤師)研修会出席報告
 日本学校保健会外四団体主催、文部省外二団体後援の標記研修会(九月廿六、七の二日間、東京薬大で開会)について早川会長から詳細報告があり、一応これを今後の指事の一環に生かして貰いたいとの要望があった(詳細次号)。

(2)学校保健室並に理科室用薬品調査集計報告
 県下各学校(高、中、小、特殊、幼)について去る七月調査し、頻度高き六位迄集計したが、よく使用されているものは殆んど同じである。今後必要に応じそれ以下の分をも出すことにしたい。茲に尤も吾々として考えねばならぬ事は素人の調剤行為である。危険防止の意味で劇薬はなるべく置かぬ様注意する必要があると思う、調剤行為は相等あるものと思わねばならぬ。

(3)第32回九州山口薬学大会に就て
 学薬功労者として大会表彰に阿部基吉氏県薬に推薦し承認を得た。尚研究発表は本県からは四題である。

(4)福岡県学校保健会評議員選出の件
 県学校保健、給食、安全合同大会が十月25 26日甘木杷木に於て開催されるが、保健会の評議員の任期が十月五日で満了するので、学薬から理事兼務の評議員二名(現在早川、友納の正副会長)選出直に届出の必要があり協議の結果従来通り正副会長を選出に決定した。

 尚学校保健功労者として県学薬から側島民を推薦することをも決定した。以上にて理事会を終了。

趣味と緑喜の 王樹屠蘇  王樹画絵はがき

 王樹翁が「王樹屠蘇」を発売して今年で州一年目である。相も変らぬ皆様のご愛顧で年々調製増加の一途を辿っているが、同翁の性格が粗製乱造を許さず、自づから製造量を限定して真心をこめての調製である。而も例年の通り俳味豊かな新包装が準備されている。

 昭和卅九年の干子は甲辰にあたり、それに因んで芽出度き喜寿を迎える王樹翁は自祝をかね今年は龍を画いて包装とし、又それを以て「年賀用はがき」を作ることになった。 「王樹屠蘇」今年州一周年度景品付規定は次の通りである。

▽王樹屠蘇一口内容=一〇〇個定価二、〇〇〇円、卸価八五〇円
▽屠蘇風呂一口内容=六個 定価一、二〇〇円、卸価格八四〇円
▽添付サービス品=何れも一口毎に王樹画「絵はがき」一〇枚
 なお、王樹絵はがき多数入用の方には実費、一口百枚(但し無記名)に付五百円でお求めに応じます。
王樹屠蘇並屠蘇風呂の発売元は次の通り
▽阿部東岡堂薬院
 直方市大字植木五〇九電話(直方植木)三八番
▽取扱い問屋は次の通り
 大石薬品、川口屋、小倉薬品、坂田救命堂、筑豊薬品

丹平製薬 歯痛剤今治水 新価格 新包装 記念特売

 丹平製薬工業(株)では今回同社製剤、歯痛剤今治水の価格改正及び新包装改良記念特売規定を左記の通り発表した。
▼品名=歯痛剤今治水
▽新価格=今治水 三ml 一〇〇円
▽優待内容=今治水一〇〇円四〇個に対し同品八個割増、店頭サービス用ポリ袋一束
▽優待期間=昭和卅八年十月初旬〜十月下旬、但し期間内でも売切れ次第締切ること
▽発売区域=全国一円

      句 三 昧  筑前 徳島 山花

         コレラ船かゝれる遠ちをうかがえる
         コレラはやる李ラインあたり行かぬ事
         玄海を渡り乗るものカツチョウか
         ヒヨの来る竜王続き庭大樹
         木さゝげの房長々と露けしや

      句日記より  山鹿 清水 廃山

         草紅葉蟹?落つる水白し
         水をのむコップの中も月夜かな
         うつり変る人それぞれの月夜かな
         灯を消せば冷めたく月のささやける
         秋分の没日に瞳もやしけり

随想片々【9】 薬剤師の P R 活動 磯 田 秀 雄

 去る九月の下旬福岡市の玉屋ホールで第十一回福岡県公衆衛生大会が開かれ、県下の衛生関係団体の会員多数が出席し、席上公衆衛生功労者として若松市の古賀哲弥、福岡市の柴田伊津郎両薬剤師と団体では、戸畑市薬剤師会が知事又は公衆衛生協会長から表彰され、又田川市の相島希允君は十月横浜市で開会の全国公衆衛生大会に派遣出席せしめることとなった。

 福岡県公衆衛生協会は医師会歯科医師会薬剤師会が主体となって、県下の十六衛生団体で結成その大会を開くこと既に十一回になるが、薬剤師諸君の参加が勘なく研究成績の発表会など出演者僅か一名を数えるに過ぎず、被表彰者も蓼々たる有様であるが、当然の業務として衛生関係事業に従事している公務員ですら、その業蹟が顕著であるときは、全国大会派遣や表彰が行なわれているので、薬剤師の公衆衛生活動の如き全く奉仕献身的に行なわれているものは、ドシドシその業蹟を発表し又表彰されなければならぬと思っている。

     〇  〇
 研究業故の発表会は毎年八月頃開かれるが、学校薬剤師の業蹟は之れに参加するに十分であるが、詮衡の上全国大会に派遣されるし、著しい業蹟あるものに対しては知事や県公衆衛生協会長から表彰されるが、之れは厚生大臣や日本公衆衛生協会の表彰に繋がり更らには褒章受章叙勲などにも繋がってゆくのである。

     〇  〇
 薬剤師は従来こうした機会に恵れなかったので、学校保健会には熱心であるが公衆衛生協会には無関心のように思われる。が薬剤師の大衆宣伝にも社会的地位向上にも繋がるので敢えて留意を喚起しておきたいと思う。

==挾子==

▼先に安定要綱の説明会が福岡県下を四ブロックに分けて行なわれたが、筋の通ったやかましやの吉柳御大のブロック、筑豊地区が、この会でメーカーをつるしあげるのではないかと密かに危惧さていたそうだが、案に相違し、仲々の熱意と真面目さで、事なく終ったのでメーカー側もホッと安心。これに引きかえ、筑後地区会場では、会が終らないのにチラホラ帰る人があったそうで、壇上の先生方はがっかり…

▼福岡県薬では会員のために薬事法に基く業務日誌用々紙を一括印刷して有料配布しているが、最早無くなる時期だからとて送附した処、まだあるからとの理由で戻して来た者がある。県薬では「まともに日誌を記入していれば最早細い筈だがな!‥私は薬事法違反をやっていますと公表する様なことになりはしないかなー…係の人は頭をかゝえて深刻な顔‥・

はがきの声  職場の花

 働く全国百万の女性に捧げる感動と愛の物語!総天然色一〇〇万人の娘たち、松竹系映画記念の女性コンクールで、田川市ソバシマ薬局勤務の宗吉孝子嬢が、九州第一位に決定。

 職場で働く健康で明るく美しい未婚の女姓応募規定が東京松竹本社で発表乱れるや、全国の美しきに自信のある多数の応募者の中から、厳選に厳選を重ね、地区、県、九州と、予選を通過、九州第一位に決定した。ソバシマ薬局勤務。住込の五年選手です。


九州薬事新報 昭和38年(1963) 10月20日号

福岡県適正配置条例県議会通過

 九月廿八日開会の県議会に提出された「薬局等の配置の基準を定める条例案」は十月十一日午后十二時半条例特別委員会を、同六時本会議で修正することなく原案通り通過した(原案の全文は本紙九月卅日付五四四号に掲載されている)。

 なお、県薬務当局に保留中のカケコミ申請は、十二日開会の県薬事審議会に諮った結果、従来の指導要領により新条例公布施行前に処理し、地元業者との間に問題あるものは新条例によって措置する事に決定した模様である。

第3回 福岡県薬業安定協議会  指導価格の全部を発表

 第三回福岡県薬業安定協議会を十月七日午后一時から福岡市天神ビルに於て三者の各委員及び県薬務課長外臨席の下に開催した。
 前回に引き続き本会運営について種々検討したが、本協議会の事務所を県薬会館に置き、事務主任として県薬商組専務理事の藤野氏に委嘱し事務の一切を担当して貰うことを決めた。指導価格発表に関しては既に第二回協議会(九月廿八日)で発表したが、其後追加の分も生じたので、其分をも追加して当日発表された。

 発表取扱いに該当する医薬品なきメーカーは次の九社である。
 鳥居、東京田辺、科研、台糖、万有、山之内、日本新薬、エーザイ、興和他の十一社が各々自社製品目、容量、価格を発表した。その合計三八品目、六三種は左記の通りであるが、本月廿日よりの実施を目標に、三者は各自それぞれの関係業者に周知徹底する様努力する事を申合せ、尚アウトサイダーについては三者それぞれの立場に於て協力方推進に努力することを決定した(指導価格の本紙での発表は本会の希望により遠慮する)。
  左 記
▼小野薬品
 アテロ=一八〇P
▼三共
 ビオタミン=五mg一〇〇錠、五mg三○○錠▽強力ミネビタール=二〇〇錠
▼塩野義製薬
 ポポンS錠一二〇T▽乳児用ポポンS一五CC二瓶入
▽シナール顆粒三○g 一二〇g 二〇〇g▽シナール錠一〇〇T、三〇〇T▽◎幼児用ポポンS末三〇g
▼住友化学
 オルトン四〇T▽◎イイチ一二包
▼武田薬品
 アリナミン及びアリナミンF錠=五mg一〇〇錠、五mg三〇〇錠、二五mg一〇〇錠、二五mg二〇〇錠、五〇mg三〇錠、五〇mg一〇〇錠▽強力パンビタン錠一〇〇錠、三〇〇錠▽強力パンビタンM錠一〇〇錠、三〇〇錠▽ハイシー錠五〇錠、一二〇錠
▼田辺製薬
 ネストンアンプル一〇A▽ノバポン錠一五T、四五T▽ノバポンカプセル八CP 二〇CP▽アスパラ糖衣錠七五m六〇T、一二〇T、三〇〇T▽アスパラアンプル一本▽アスパラドリンク一本
▼第一製薬
 強力パント一〇〇T、二五〇T▽パントL内服液一A
▼大日本製薬
 へルタス錠三〇入、六〇入、一五〇入▽ヘルタスアンプル一本▽ヘルタスドリンク一本
▼中外製薬
 グロンサン錠三〇〇錠入 一 ○○○錠入▽グロンサン内服液一アンプル▽グロンサンバーモンド一瓶▽オルハー六〇錠
▼藤沢薬品
 チオクタンW三〇T、一〇〇T、三〇〇T▽ノイビタ一〇〇T、三〇〇T▽プレコール内服一A▽プレコールカプセル六CP、一二CP、▽プレコールホットトリンク六包、一二包
▼明治商事
 ◎ラロ錠四八T入△◎ラロ分包散一五包入▽◎ラロ散四〇g入
 (◎印は新価格体系品)

佐賀県薬業安定協議会  十月十五日初会合

 厚生省の強い要望もあり今回製企会市場安定対策要網が全国的に実施され、メーカー、卸、小売三者の協調と、薬務当局の指導とにより佐賀県に於ても安定対策が強化されることになったので、佐賀県薬業協同組会並に同医薬品小売商業組合では従来活動して来た価格安定協議会を発展的に解消して新たに「佐賀県薬業安定協議会」を結成し、県一本の体勢の下に第一回薬業安定協議会を十月十五日午后二時から佐賀市松原町レストラン「赤玉」で開催することゝなった。

 当日の参加メーカーは次の十社が予定されている
武田、三共、第一、田辺、中外、藤沢、参天製薬、ロート製薬、荒川

佐賀市郡薬業組合 通常総会開会  役員改選、川内理事長再選

 佐賀市郡薬業組合では十月三日午前理事会を、午后一時から通常総会を市内城内二の丸亭で開催した。

 出席者七〇名
 先づ川内理事長の挨拶後、坂井清二氏を議長に推し直に次の議事に入った。
(1)昭和37年度事業並に収支決算報告
(2)昭和38年度事業計画並に収支予算案決定の件
 川内理事長、島会計理事から説明、異議なく承認、決定した。
(3)役員改選
 川内氏は県市組合の理事長を兼ねて多忙を極め且つ健康すぐれず、現時販売革命時代には若手会員の活動を期待したいとの理由で辞意を表明したが容れられず詮衡委員により次の通り選考され全員一致でこれを決定した。
▼理事長=川内一男
▽理 事=坂井清二、島正之、野副幸夫、横溝精介、小寺六郎、武田大資、大坪種夫、古賀健次郎
▽監 事=小宮晟、林正夫、

 それより藤井薬務課長から薬局等の適配の県条例案、及び県議会上提迄の経過報告を兼ねた挨拶があり 次いで佐賀保健所八尋総務課長の挨拶後、協議会に入り 次の様に協議決定をなした。

一、製企会市場安定対策要綱の実施に伴う「佐賀県薬業安定協議会」の設置に就いて  乱売対策として厚生省の指導により市場安定対策要綱が実施されるので、其機関として「佐賀県薬業安定協議会」を設置する、来る十月中旬に第一回の安定協議会を開催し指導価格の発表を要請することゝする。
 この構成はメーカー、卸、小売の代表にオブザーバーとして薬務課長の出席、小売代表には協組、大型小売店、生協並にスーパー、デスク廻りを代表する者と各地区の代表が参加して委員となる。
 指導価格を乱す者は不良卸小売として報償金やサービスを中止し強硬な買取り等の合法的な所有する手段を講じて市場安定をはかる。

二 薬局等の適正配置について
 県内七市九町が先づ指定地域として指定される、指定地域では薬局等の定正数が告示されこれ以上は原則として許可されない 適正数に達していない地域では業者間距離制限が一五〇米以上である、但し薬局等との間の距離が三〇〇米以上離れている場合や特別の場合等、県薬事審議会にはかって決定することになる。
 現県議会でこの条例が通過し実施できる様協力する。来る十日頃通過の予定であるので、組合員は多数県議会に傍聴し督励することゝする。

三、定休日の変更に就いて
 定休日を十月から月二回とする、第一、第三旺を本組合の定休日と定める。但し地区商店街の定休に準ずるものはこの限りでない。

四、「薬と健康の週間」行事について
 十月十四日より廿日迄開催し@薬用植物採集会G薬店の一日薬事監視B薬局での薬事相談並に検査試験、体温計の検査、などの行事をなす(詳細別掲)。

五、広告宣伝の自主規制について
 最近一部業者に於て独善的な広告の折込ビラ等が配布されているが、これは組合の目的である共存共栄、協同の精神に反し一種の暴力とも見られるが、対抗上次々と連鎖反応を起し過当競争の原因ともなる、そして協同組合では先の価格安定協議会で次の様な申合せをした。
 @医薬品其他の乱売又は廉売を表現する広告宣伝は一切行なわないこと。
 A特に広告宣伝の必要ある場合は其原稿を支部長及び県薬務課に提示して指導を受けること。之れを再確認して守ること。
 尚二重価格、不当景品販売は法規違反であることを思い又「スーパー薬局」とか同業者を刺激する様な広告は特に自粛する。以上にて総会を終了、引続き懇親の宴が催された。

全日本薬種商協会九州ブロック会議  吉松前副会長表彰

 社団法人全日本薬種商協会九州ブロック会議を十月十日午后二時〜六時、福岡県筑紫野町武蔵温泉小松屋旅館に於て開催、出席者各県会長外、次の通り。
 福岡=深田、佐賀=吉原、長崎=欠、熊本=大木、大分=島、宮崎=欠、鹿児島=吉原、吉松

 深田福岡県薬事協会長(全日本薬種商協会副会長)の挨拶後議事に移り、先づ各県の適正配置条例についての現況報告があり、未だ県会通過の運びとならず進行中の県に於ては有利に進む様努力することを申合せ、市場安定対策要綱の実施については各県共積極的に協力推進することを決めた。
 本会の今後の運営についても種々検討したが、一層の努力を傾注することに決定した 尚当日は吉松前ブロック副会長の長時に亘る功労を表彰し記念品が贈呈された。

      句 三 昧  筑前 徳島 山花

         日蓮の像秋空に鬼了黙想
         悠然と王樹が選句夜長し
         店頭で薬り呑む人冬うらら
         冬うらら九州場所の前景気
         画筆とる心動きぬ風邪去りて

      句日記より  山鹿 清水 廃山

         十六夜の露しっとりと芝ぬるる
         萩の花こぼるるままに月かぐる
         十七夜萩の花ちるいしだたみ
         バス降りし花野の中の温泉宿かな
         秋光をみたし静かな水の音

対症薬学=竹内克己 (七) 副腎皮質ホルモンの軟膏療法

 皮膚病は薬局店頭の最も数多い病気の一つである。沢山の種類の皮膚病について、これに適応する薬剤を撰び出す事は非常にむつかしい事であるが、一応それに配伍された薬剤によって判定するわけであるが、特に重要な事に軟膏基剤がある、基剤採択の良否によって薬効に大きな差を生ずるし時によってはかえって悪化させる結果ともなりかねない。

 最近最もよく使われるものに副腎皮質ホルモン含有の軟膏がある、この場合には基剤として、乳剤性軟膏、次いでワゼリン基剤がよい成績を示し、カーボワックス軟膏やウイルソン軟骨、硼酸軟膏等の油肥性のものはその効力を甚だしく低下させる。

 又その使用方法についても副腎皮質ホルモンの内服療法と同様のことが研究され、初期に大量を、病状の軽快を待って減量して遂に中止する方法が最も効果的であるとされている。

 初期には一日に何回も副腎皮質ホルモン軟膏を塗布し、症状の軽決と共に一日一回或は二日に一回と回数を減すのである。この方法は一日一−二回を平均して行なう方法に比べてはるかに有効であるという。病巣の湿潤甚しい時は副腎皮質ホルモンの内服で乾燥させた後軟膏療法に移るのが常識とされ、内服療法の期間は出来るだけ短い事が望ましい。

 又疳皮等がある場合は入浴の際ハイレン石鹸等によってその疳皮をおとし必要ある場合はプランを用いその後に軟膏を塗布する。疳皮が甚だしく強い時は二−五%サリチル酸ワセリンで腎皮を除去した後副腎皮質ホルモン軟膏療法を行なう、これは副腎皮質ホルモンが有効に働くためには病巣皮膚を通じて病変部に吸収される事が必要な条件であるからである。

 ともあれ軟膏の撰択に大きな要件は基剤の良否である、薬剤師の最も専門的能力を発揮できる部分も亦此処であると思われる。

       句 帳 よ り  合屋 杉峰

         秋晴や嘉麻の河原の放ち牛
         露草の伸びて土蔵の白壁に
         軒燕帰りしことを知らざりし
         妻の云ふ燕帰りしことをふと
         選炭機灯らず今日の月昇る

福岡県薬商組 理事支部長会開会  重要事項の報告、要望

 福岡県医薬品小売商業組合では適配県条例、安定要綱実施等の重要問題に関して理事支部長会を十月十二日午后一時から県薬会館で開会、出席良好であった。藤野専務司会して先づ須原副理事長の開会の挨拶に次いで白木理事長は、

 去る七月十二日薬事法一部改正に伴い福岡県でも適配条例案を作成去月23日に県議の厚生委員会を通過、25日には総務委員会の承認を得たが、何分にも本条例は新規開業の規制となるので其間色々と問題があり、県議会に関して特に古賀県議の指導援助の下に推進努力し、廿八日より開会の県議会に於ては条例特別委員会、次いで十一日の本会議を通過した様なわけである。

 条例内容は新規開業が適正であるや否やを決めるものであるが、八項目の除外例があり、距離は直線一五〇米に決定している。通用地域は二八地域が指定されているが、これは必要に応じて追加することになろう。

 全国では今の処一五〇米が10県、一○○米が5県、その他の県となっている。今後新規開業については薬事審議会に諮関して適否を決定することになろう。薬審委員には厚生省の意向、県議会の要望もあるので消費者代表が加えられることになる。

 カケコミ申請については従来の指導要領で許可することになるので許可すべきものは条例施行前に許可し、問題のあるものは新条例を適用することになる模様である。

 偖、安定要網実地については愈々県下一本で10月20日から実施の段階になった。先に県下四地区で説明会を開催した内容で一番問題となった指導価格の発表は、県安定協議会を三回に亘って開会し、三回目の十一月七日に、20社の内9社は該当品がないので十一社が品目、品種、価格を発表するに至った。

 本月八日開会の中央安全協議会では一〇三品目、二六四種目を発表したが、価格の発表はなかった模様である。

 去月廿八日に本県では員外のスーパー外の九社との談合により歩調を一つにすることの了解が成立している。

 本月20日実施後は吾々としては一層協調努力して実施を円滑に進めたいと思う。 と述べて挨拶とし、なお組合員は勿論、以外の同業者にも周知徹底せしめ、此際組合未加入者を無くする様したい。と付け加えて各支部長に要望する処があった。

 次に藤野氏は県薬業安定協議会のメンバーについて説明し、先の全国医薬品小売商業組合理事会の決定事項について報告、卸組合と覚書の交換をなして要綱実施を推進したいと述べ、又本県で発表された指導価格は38品目、63種目であるが、指導価格は一般には公表しない。

 この価格は最低価であって、それ以上で販売することは差支えない、寧ろメーカーはそれを希望している。

 次に岡野副事長から「地区毎に組合長を作り又卸、小売によって安定協議会様のものをも作り、地区で処理し得べき問題はこれを処置し、処置し得ないものを県の協議会に引渡す様にしては」との発言があり、大体に於て白木理事長も賛意を示し運営の面について今後研究することになった。

 次に白木氏は価格について語り、新価格体系のものは一〇〇、七五、七〇の率になっているが、指導価格の特に低下したものは利巾が少ないので不良店でない限り あとでリベートが出ることになると思う。

 又今回発表になった指導価格を持つ品目以外のもので指導価格を必要とするもの又は必要となって来たものは、希望すれば追加できる様になるかと思っている。

 次に白木屋、飯塚橋薬局の調整規程違反による訴訟問題に移り、二件共訴訟委員会を作りブロック長を其委員長として積極的に推進することになった。協議の結果委員を次の様に決めた。
 吉柳、須原、宇山、永田、本松、仲野の六氏

 次に山手会計理事から現在の会計状態について説明があり、未納については一層の協力を要望した。

 それより四島薬政会長から、古賀県議の非常な努力もあって、必ずしも吾々の希望通りには実現しなかったが、適配県条例も漸く十一日県議会を通過して日の目を見たが、郡部にあっては適用地域の問題で異議もあろうが、今回はあれ位しかできなかった。

 今後逐次追加したいと思っている。引き続き残きれた問題は適正数の決め方である、今回を機会として薬剤師、薬種商間の溝を取り除いて今後も一体でやる様各支部長も努力きれたい。と挨拶し、又古賀治氏は条例通過迄の経過報告をなし、県議会に於て十一日十二時半条例委員会を、午后六時本会議を通過したので今後は定数問題、知事の告示で適正数が決定し、審議会条例も二 三日中に公布になると思う。

 カケコミ申請の保留中のものは従来の指導方針により処理し、問題のからんでいる分は新条例で処理することになると思う。と述べて挨拶があった。以上にて理事支部長会を終了した。

福岡市薬剤師会 理事支部長会  諸種重要報告あり

 福岡市薬剤師会では理事部長会を十月十日午后一時から県薬会館で開会、大隈副会長司会して協議、種々報告がなされた。

(1)薬と健康の週間について
 本年の主な行事は北九州市に於て行なうので福岡市薬では十一月一日(午后)二日小規模な行事を新天会館で行なうことになった。

 行事は
@栄養相談、これについては保健所より栄養士二名が派遣されて相談に応じ、
A薬の相談、薬剤師会員がこれに応じ、
B画板展示、C栄養食展示、武田食品によってなされ、
D学術映画、一日午后一回、二日二回行なうことになっている。
E市衛生班がコレラ対策のため離島オロの島に渡航したので、予ねて島民から要望されていた医薬品を市薬剤師会から其幸便に委託した。

(2)薬事功労者表彰に就いて
   県薬で推薦することになっているが福岡市では野口、亀井第一支店長の両氏が予定されている。

(3)薬学講習会について
   十一月11 12日町村会館で開催されるが本年は特に身近な問題が採り上げているので多数の出席を切望する。

(4)業務日誌の配布に就いて
   一部一五〇円、毎日記入して貰いたい 備付を拒否する会員があれば其理由書と共に県薬務課にその旨連絡することになっている。

(5)麻薬取締法の改正と麻薬免許申請について
   卅九年度の申請は二部作成、手数料五百円を添え十月廿日迄に所轄保健所に提出されたい。

(6)適配の基準を定める県条例に就て(白木氏説明)
   条例作成について如何に有利に距離問題に対処するかを研究検討し古賀県議の指導の下に県議工作をなし、其間種々の問題はあったが、十一日頃には通過の見透しを得るに至った。

(7)市場安定対策要綱の実施について(白木氏)
   厚生省の要請もあり薬業全般の向上のため製企会が起ち上り一年半の研究検討の結果、福岡県では九月廿日より実施することになり、四者(県当局、メーカー、卸、小売)よりなる県薬業安定協議会を今日迄に三回開催し第三回目(本月七日)に於て指導価格(地域的)が十一社から発表があった(他の九社は発表に該当する品目がない)実施は十月廿日を目標としている。員外のスーパー等(福岡地区四、北九州五)とは去月廿八日談合して協力するとの答を得、又組合にも加入するとの約束となった。

   実施後不良卸、小売に対してはメーカー側より合法的な規制があることになる、これ等について非常識な行き過ぎさえなければ今の処公取委と厚生省にも了解ができている、福岡県五九品目、中央に於て一〇三品目、二六四種を十月十六日日刊及び業界紙に発表する予定である(但し価格は発表せず)全面的にはメーカー各社が打出すが地域的にはケースバイケースと云うことになる、尚家庭薬メーカーも近く漸次に協力、実質的合同をなすものと見られている。

(8)会費徴収について
   悪質の未納者については調剤業務拒否などの断乎たる方法を採る位の強い線を打出して完全徴収を期して貰いたい。

(9)その他
 @催眠剤取扱いについては尚一層の注意が必要である。
 Aサリドマイド等の返品が不充分らしいので、速かに返送して貰いたい。  B加温アンプルの販売は遠慮して貰いたい。薬務局長の通達もあるが、常識的にも販売すべきでない。以上にて部会長会を終了。

随想片々【10】 磯 田 秀 雄 顛落する薬剤師

 戦前は市井の商業人には学歴の高い人が勘かったので高等教育をうけた薬剤師は知識人でありインテリであり街の化学者として相当の地位を保持してきたが、戦後は殆んど皆んな大学教育をうけるようになったのでこんな傾向は消滅しインテリ階層から顛落してゆくであろうが、それにもましての問題は小売薬業者の経済規模が社会の経済規模拡大に追随し得ずして貧困から下層階級へと顛落してゆく事であろう。

     〇  〇

 我邦の近年の経済成長により国民総所得は世界の第五位に躍進したが国民一人当りの所得は世界の第二十位と低位にあり、これは高所得者と低所得者との所得格差が著しいことを示し、中小企業者零細業者の貧困を物語るものであるが、小売業者の貧困さは今やその最低地位に顛落しつゝある。即ち同じ薬業でも生産者はマスプロとマスセールによって経済成長に追随し得たが小売業者に至っては国民皆保険制度の実施の外流通機構の混乱とSMの出現と濫費に次ぐ濫費によって売上げの急激な減少と利潤の低下とを見て今や破産寸前の窮地に追い込まれつゝある。

     〇  〇

 小売薬局と云えば戦前は中産階級を以て自他共に任じていたが、現在の中産階級の標準は資産二千万円以上と云われているので、今日の小売薬業者で中産階級なりと自負し得るものが将して幾人あるであろうか。薬業界の指導的地位に在る人々が濫費の先駆に起ち薬業界を貧困へと駆りたてゝいる現状は薬剤師のカート階級への顛落を招来するものとし正視に堪えないものがある。

福岡県薬 社保講習会  大川、浮羽、甘木

 福岡県薬剤師会では常時保険調剤(即医薬分業)の推進に力を注いでいるが逐次其成果をあげ処方箋の枚数及び調剤報酬額ともに上昇しつゝある、これに関連して県下各支部の希望に応じ社会保険講習会を開催しているが、浮羽、甘木両支部並に柳川大川支部を対象に左記により講習会をした。

 何れも会員の出席率は良好で質疑応答も活性に展開され社会保険調剤に関する理解と認識とが漸く増進しその気運が一層濃厚となりつゝある様である。

▼浮羽、甘木両支部
▽日時=九月29日午后一時〜五時
▽会場=浮羽部田主丸町役場会議室
▽受講者=両支部共八名、計十六名
▽講習内容=@社会保険県内及び全国の調剤の現況A請求事務とその実演B処方箋増発の方策に就て

▼柳川大川支部
▽日時=十月二日午后一時半〜五時
▽会場=柳川市城内本町婦人会館
▽受講者=二十名
▽講習内容=前同

薬種商販売業者 薬事講習会

 福岡県薬事協会では薬種商販売業者の秋期薬事講習会を左記により開催することを決定した。

(1)日時、会場=各会場共午前十時から午后四時半迄
▽筑後地区=十月廿一日(月)久留米市野中町石橋文化センター
▽筑豊地区=十月廿二日(火)直方市殿町柳屋
▽北九州地区=十月廿三日(水)八幡区駅前中央公民館
∇福岡地区=十月廿五日(金)福岡市県庁裏町村会館
(2)講師=県薬務課長並係官
 中小企業登録診断員二村定男氏
 尚出席者は経営読本(総会時配布のもの)及び会員証を持参のこと。

== 挾子 ==

▼長崎県適配条例が去る四日本会議で可決々定したが、県当局の原案では「路面一〇〇米」であったのを県薬剤師会始め剤界有志の血のにじむ様な奮斗努力、陳情、請願などにより遂に原案を覆がえして修正、「直線一五〇米」と決定したそうだ。薬務課長などの面目は丸潰れであろうが業界にとっては誠に芽出度い事である。路面百と直線百五十では相等の相違である。

▼神奈川県学校薬剤師会では明春の薬学大会学薬部会で手当一年分返上の提案をなすらしい、全国では一年分約四億円あるらしい。これで東京に日本学薬会館を建設しようと云うのである。これに日薬の事務所、宿泊設備、ホール等を造る計画、洵に結構な思い付である。

▼中央の薬業安定協議会では十月十六日に指導価格に関し、その品目、品種、価格を発表するそうだが、日刊紙並に業界紙には指導価格は公表しないそうだ。三者は各自それぞれの関係業者に周知徹底する様努力することになっているそうだが、日刊紙での発表は無理だろうが、薬業者のみに配布され、周知徹底に片棒をかつぐ薬業紙にも発表しないと云うのは一寸矛盾を感ずる様だ。おかしなことだ。団体行動になると日本人には所謂官僚ようの気分がでてくるものの様だ。

佐賀市郡 薬と健康の週間  行事種々決定

 佐賀市郡薬業組合では本年度の「薬と健康の週間」は十月十四日から廿日迄開催、次の様な行事を行なうことを先の同組合総会に於て決定した。

(1)薬用植物採集会
 十月廿日午前九時金立神社集合、金立山から大門峠に亘って薬用植物を採取する(中食持参)、講師として福岡大学の塚本教授、佐賀県文化財保護委員馬場氏も参加され、座談会も開催する。
(2)薬店の一日薬事監視
 県薬務当局と業者による薬局薬店の一日監視を十四日実施する、各店の清潔整頓は勿論、薬事記録は直に提示できる様準備して置くこと。
(3)薬局での薬事相談並に検査試験、体温計の検査等
 薬局では期間中、市民えのサービスとして薬に関する相談、薬品の品質試験、鑑定及び肝臓、腎臓等の機能試験のための尿(糖、蛋白等)潜血反応等の試験又は回虫卵等の検査及び体温計の検査等薬局試験室のPRも兼て市民えのサービスをなすことになっている。

李節の手帖主催 柿狩りの遠足

 現在福岡県薬の季節の手帖は福岡市内に一七、〇〇〇部、市外に一 〇〇〇部が発行されているが、今夏福岡で愛読者の「母と手の海水浴ピクニック」を催して好評を得た。

 近く北九州若松で愛読者大会を開く予定になっている、又来る十一月十四日には協力感謝の意味で、編集委員会が主催して本手帖の利用取扱者(市内に一七三薬局位)を対象に「柿狩りピクニック」を催することになっている。

 当日は午前九時に西日本新聞社前に集合 貸切バスによって一路筑後平野に向い 田主丸筑水荘に準備された中食に腹を肥して郷土史家の話しを聞き、一時半から田主丸果樹園で柿狩りの楽しい一ときを持つことになっている。

田辺製薬 福岡支店新社屋 竣工を兼ね披露  カクテルパ−テー

 田辺製薬は本年創業二八五年を迎え業績は益々向上の一途を辿っており現在日本薬業界に巍然として磐石の上に立っている。この時に当り平林忠雄氏が取締役社長に就任し田辺製薬を雙肩に担なって一層の活躍が期待されている。尚同社では福岡支店の新社屋を建設中であったが、愈々十月三日を以て完成したので竣工記念を兼ねて十月十五日、各関係機関及び薬業界各層から約八百名を招き、福岡支店新社屋の五階大会議室に於て盛大な祝賀披露カクテルパーティーが開催された。

 本社から田辺会長、平村社長外営業本部長、研究室長など本社幹部が来福、吉野福岡支店長、支店社員は来賓の接待に温たかく和やかな態度であった。

 新社屋の位置は「福岡市上浜口町三五番地」で構造は鉄筋コンクリート六階建、建物総面積は二、五九五、六〇平方米、各階共近代的設催がなされ、一階三階は事務室、二階倉庫、五階は五百人を容する大会議室などがあり、昨年十二月着工して本月三日竣工したものである。九州業界に一層の飛躍を見せんとする田辺製薬の新本拠ができたわけである。

中滝製薬 新型保健薬 オーゼット錠 説 明 会

 中滝製薬では今回ガンマーオリザノール主剤の新型保健薬「オーゼット錠」の新発売に伴い十月十四日午后一時から福岡市を中心とした薬局薬店を招いて、福岡市、博多帝国ホテルホールで説明会を開催した。出席者は約二百名。

 定刻開会、先づ小川社長の挨拶、オーゼット錠についての説明、発売迄の経過について述べられ、次いで学術映画「老化にいどむ」及びスライドによって約一時間に亘りオーゼット錠の詳細な説明がなされた。

 それより同所で盛大なカクテルパーティーが催されたが、当日は本社より来福の小川社長、谷口常務、外に大阪支店長、鬼木福岡支店長など勿々として接待にいそがしそうであった。

趣味と縁喜の 王樹屠蘇 王樹画・絵はがき

 王樹翁が「王樹屠蘇」を発売して今年で州一年目である。相も変らぬ皆様のご愛顧で年々調製増加の一途を辿っているが、同翁の性格が粗製乱造を許さず、自づから製造量を限定して真心をこめての調製である。而も例年の通り俳味豊かな新包装が準備されている、昭和州九年の干子は甲辰にあたり、それに因んで芽出度き喜寿を迎える王樹翁は自祝をかね今年は龍を画いて包装とし、又それを以て「年賀用はがき」を作ることになった。

「王樹屠蘇」今年卅一周年度景品付規定は次の通りである。
▽三樹屠蘇一口内容=一〇〇個定価二、〇〇〇円、卸側八五〇円
▽屠蘇風呂一口内容=六個 定価一、二〇〇円、卸価格八四〇円
▽添付サービス品=何れも一口毎に王樹画「絵はがき」一〇枚
 なお、王樹絵はがき多数入用の方には実費、一口百枚(但し無記名)に付五百円でお求めに応じます。
王樹屠蘇並屠蘇風呂の発売元は次の通り
▽阿部東岡堂薬院
 直方市大字植木五〇九電話(直方植木)三八番
▽取扱い問屋は次の通り
 大石薬品、川口屋、小倉薬品、坂田救命堂、筑豊薬品

藤沢の新テレビ番組 こちらは社会部  どらねこ大将

 藤沢薬品では初のフランステレビ映画「紅の館」がこの程終えたので十二月二日(水)から新番組「こちら社会部」を放送している。

 この番組は菊村到氏のサンデー毎日連載中の「こちら社会部」をもとに村山知義ら脚本スタッフが脚色し、新聞社の社会部という窓口を通して社会現象と其中の人間群像を描いた一時間の而も毎回完結の人間追求ドラマで、監督は宇野重吉氏であり「社会現象の中心部へペンをひっさげて斬りこみ、視聴者に説明をして行く手引の役割をしてもらう」と語るその主演・監督の同氏が野心を語る新らしい視角を持つ。自然に期待がもてるものである。

 放送は毎週水曜日午后九時三〇分〜一〇時三〇分、東京放送テレビをキーステーションに全国一九局ネットワークで送られている(写真は本映画の一場面)。尚一方、テレビマンガ映画「どらねこ大将」を十月六日より放送開始。毎週日曜日午后六時から卅分間、日本テレビを中心に毎日テレビ、名古屋テレビ、九州朝日テレビにネットされる。本映画は機を見るに賢こく馬鹿に冒険好きで陽気な楽天家、トップキャットをボスとし夫々個性豊かな五匹のノラ猫の仲間のたくましい行動を生々しい漫画映画に仕上げたものである。

森下仁丹近く 胃腸薬新発売

 森下仁丹では十一月上旬から仁丹胃腸薬A(顆粒、過酸症用)B(顆粒、減酸症用)の二種を新発売する。

 同社は十数年に亘り胃腸薬創剤の研究を進めていたが、研究の成果は特殊製法により和漢薬エキスの抽出に成功、体質、症状に合せて使用する様A B二種の処方を完成したのである。包装は一五包入各二〇〇円。

森下仁丹 「リミー」特売中

 森下仁丹では女性仁丹リミーの特売実施中である。
▽単品詰合=@リミーケース付一〇個に二個割増、A価一〇〇〇円B価七〇〇円Aリミー詰替用=一〇個に二個割増、A価一〇〇〇円B価七〇〇円Bリミーケース付二〇個に四個割増、A価一 000円、B価七〇〇円
 なお、一口景品としてパールブローチ一個が用意されている。

藤沢薬品 「ノイビタ」 セットセール実施

 藤沢薬品では結合新活性ビタミン剤ノイビタのセット(ABCDの四種)特売実施を左記により発表した。

▼セット内容並に価格( )内卸価格
▽Aセット=ノイビタ錠5mg一〇〇錠一〇個、5mg三〇〇錠五個、25mgニ○錠二個、25mg一○○錠一個、サンプル25mg四錠五個、価格一五、四〇〇円(一一五五〇円)
▽Bセット=ノイビタ錠5mg一○○錠三〇個、5mg三〇〇錠一五個、25mg三〇錠五個、25mg一〇〇錠二個サンプル25mg四錠一五個、価格四三 三〇〇円(三二、四七五円)
▽Cセット=ノイビタ錠5mg一○○錠五〇個、5mg三〇〇錠三〇個、25mg二○錠七個、25mg一〇〇錠五個サンプル25mg四錠三〇個、価格八一 九〇〇円(六一、四二五円)
▽Dセット=ノイビタ錠5mg一○○錠七〇個5mg三○○錠六〇個、25mg三〇錠一五個、25mg一〇〇錠一〇個、サンプル25mg四錠六〇個、価格一五〇、一〇〇円(一一二、五七五円)
▼期間=昭和38年10月16日〜11月15日
▽営業別取扱いセット=大阪、名古屋、東京はACD、福岡はABCD、札幌はABC各セット

森下仁丹=店名入カレンダー申込み受付開始

 森下仁丹では本年も歳暮歳末売出し用の店名入り優美な「64仁丹カレンダー」の申込み受付を開始した。申込み要領次の通り。

▼価格=一〇〇個以上一個につき三四円(一〇〇個三 四〇〇円)三〇〇個以上一個につき三二円(三〇〇個九、六〇〇円)▼注文は前金▼締切り十一月五日(満数の場合は締切り)
▼現品は十一月中旬から発送▼申込先=大阪市東区玉掘町五四三森下仁丹KK、振替口座大坂一番

藤沢薬品 フジカピン特売中

 藤沢薬品では需要時季を迎え「フジカピン」の特売を次記により発表した。
▽品名=フジカピン
▽一ロ内容=フジカピン錠 五錠入又は同注五管人何れか九個に一個割増又は二〇錠入九個に一個割増
▽特売期間=10月15日〜11月14日

薬界短信

◆和光堂福岡営業所電話番号変更=福岡市下東町三〇ノ一(博多中央ビル)標記営業所の電語番号次の通り
▽番号 A〇八八五、B五五一三(新設変更分)

◆堺薬品(株)社長更迭=宮崎市の堺薬品取締役社長の堺倉吉氏は今回社長を辞任して会長に就任し、其後任に副社長であった堺久氏が取締役社長に就任した。


九州薬事新報 昭和38年(1963) 10月30日号

南国の自然・植物豊かな宮崎市に
第32回 九州・山口薬学大会  薬学、薬剤界から会する者七百余名

 第三二回九州山口薬学大会(九州薬学会総会 九州山口薬剤師大会)は錦秋の十月十七〜十九日の三日間、南国の都、宮崎市に於て会場県公会堂を中心に約七百名の参加会員によって開催され、同市薬一色に、九州山口剤界の一大行事が繰り広げられた。

 大会前日十六日は午後三時から大会幹部各県代表者による大会運営委員会(藤田学会委員長、瓜生田大会委員長、宗実行委員長外廿余名)が同市魚よしに於て開かれ、各県提出の議案一七議題について検討し、宣言、決議両案を一部字句訂正の上承認、次いで名誉会員一名(佐賀県推薦の今泉政喜氏)被表彰者三名(福岡、熊本、宮崎の三県から各一名推薦の阿部基吉、北原正人、鹿児島渉の三氏)及び被感謝状贈呈三者(筑紫二十日会 九州医薬品卸連合会 森永乳業株式会社)を選考決定した。

 大会第一日、十七日は薬剤部長協議会、日薬議員薬政会長会議の外各分科会(開局保険、衛生薬学、薬学、薬務、学校薬剤師、薬剤、組合、女子薬の八部会)が開かれ、第二日十八日は大会開会式、九州薬学会総会九州山口薬剤師大会及び特別講演があり、第三日十九日は第一日の分科会の引続きとして各分科会が開かれ、それぞれ独自の特色を以て催され、盛沢山の研究発表があった。

 午後は宮崎大学平田教授指導により亜熱帯植物の見学会が催され、三日間の薬学大会は参加全会員七百余名の熱意により、盛況裡にその幕を閉じた。なお、翌二十日は午前九時から観光日としてAコースえびの高原林田温泉、Bコース西都原、一ツ瀬ダム、Cコース高千穂峡の三コースによって各自南国の自然に接して一日を楽しく過すことになった。

九州・山口 薬学大会本会議

 第三二回九州山口薬学大会は七百余名の会員参集のもとに、十月十八日午前九時から公会堂を会場として開会された。先づ一時間半に亘り文部技官元山正氏の特別講演があって、十一時から字都大会部副部長が司会して大会開会、福崎、宮崎県薬政会長の開会宣言に始まり、国歌斉唱、次いで宗宮崎県薬会長の開会の挨拶、瓜生田九州山口薬剤師会長、藤田九州薬学会々頭の挨拶に引続き来賓の祝辞に移った。

 厚生大臣(薬務局長浜監視課長代読)、黒木宮崎県知事、県議会議長、県医師会長、日本薬学会々頭(西海技日本薬学会九州支部長代読)日本薬剤師会長(谷岡日薬専務代理)次いで来賓の紹介及び多数の祝電披露があり、次に九州山口薬剤師会の名誉会員と表彰者の推薦及び感謝状の贈呈に移った。

 最初に瓜田会長は佐賀県、今泉政喜氏を名誉会員に推薦し、推薦状朗読の上、これを授与、次に福岡県、阿部基吉氏(代理吉柳氏)熊本県、北原正人氏、宮崎県、鹿児島渉氏の三氏に藤田会頭から表彰状及び九州薬事新報社からの副賞としての記念品が贈呈された。

 次に筑紫二十日会(万有支店長代)九州医薬品卸連合会(吉村益次氏代)森永乳業株式会社に対し感謝状が贈られた。

 次いで約一時間半に亘り谷岡日薬専務の「薬事の諸問題」と題し次の様な特別講演があった。

 今回の薬事法改正の重点は薬局等の従業薬剤師の定数と、店舗の適正配置の二点であるが非常に重要なものである、薬事法の性格は保健立法であって、業者の経済面については考慮する必要はないと従来云われていた。

 然るに今回の経済面にタッチした改正をなぜしなければならなかったか、現在都会に薬局等が密集しているため種々好ましくない問題が起っているからである。其是正は薬局等の適正配置方策の外なく、此儘放置するならば医薬品の純正を確保し、調剤の適正を保持し得ないと云うことである。薬事法の性格が従来とは幾分違って保健立法ではあるが、手段方法として業者の生活を、経済を考慮されねばならないと考えられて来た。今迄これに立ち塞がっていたものは「違憲」と云う考方であったが、改正することが即公衆の福祉であり、違憲ではないと云う考方になった。

 色々研究した結果、賛否両論が相なかばするに至ったので、其判定を下すためには国会を置いて他に最適な方法はないと云うことになり、国会に改正案を提出することになったわけである。

 国会関係でも一部には違憲であるとの論議もあったが、医薬品に関する限り一般需要者が自身で良否の判断ができない事が医薬品の特殊性である。

 従って公共福祉のためには行政的に、薬局等の適正配置を考慮する必要度の緊迫性が増大したこと又数学的に薬品監視員が充分な監視が行われないならば、業者自体に、良心的に監視させる外方法はないが、現在業者は生活のため営利に専念しても尚且つ成り立たない状態に喘いでいるのに、良心的営業、管理をこれに期待しても無理であるので、安定して良心的営業ができ得る様考慮したのが今回の法改正であり、県条例である。

 現在二九都道府県が既に条例が成立し一〇〇〜二〇〇米となっており一〇〇米は僅かに一、二県に過ぎない。この事は保健立法の一手段としてできたことを、業者は自覚せねばならぬ、従って此適配によって業者は一つの義務が課せられたのであり、今後若しこれに胡坐をかいて営業したならば、今度の改正法即ち条例に対して厳しい批判が出て来るのは必至である。

 次に市場安定対策要網を見ると色々の不満もあるが、業者が此処で何とかせねばと云う意慾を買うべきだと思う。それによって中央、地方に安定協議会ができたのであって、其意慾を次第に吾々の思う方向に持って行くべきだと考えている。日薬でも経済問題は対策結集してやらねば解決できないと考えてやっている。

 小売の全国結集体が是非必要である。又各業界方面の安定意向も段々と変って来た。数年前に考えられた再販契約も今日、一、二の業者間に使用される様になった。将来えの期待が見られる。これ等を吾々は巧みに育てることに努力せねばならぬ。 と述べ、引続き人事院の公務員給与の勧告問題及び社会保険問題と薬剤師の立場について詳細事例を挙げて説明があった。

 講演後三時から九州薬学会総会が開かれた。先づ藤田会頭の挨拶があって座長選出に移り、司会者の指名で宇都氏を座長に推し、樋口幹事から会務報告があって、一同異議なくこれを承認。

 次に役員選出となり、会長留任との声が会場から挙り満場異議なくこれを決定、藤田会長挨拶、幹事、顧問は次の通り決定した。
▽幹事=塚元久雄、塚本赳夫、野々村進、谷山兵三、掘岡正義、樋口武夫、一番ケ瀬尚(以上七名)
▽顧問=松村久吉、田中義雄(以上二名)

 薬学総会終了後引続き九州山口薬剤師大会(薬学大会本会議)が開かれた。先づ議長団選挙に始まり司会者一任となって次の三名を指名決定した。
 宗(宮崎)山村(鹿児島)杉原(大分)
宗氏議長団を代表して挨拶後、直に左記議事に入った。

▽議 事
(1)前年度大会決定事項処理報告
 山村鹿児島県薬会長起って「昨年鹿児島に於ける大会決定事項については度々上京其他によって関係当局や日薬え対し要望、処理に努めた」と其概略につき報告。尚日薬に関する分は引続き谷岡専務から報告があると述べ、谷岡専務起って次の様な報告をなした。
@医療法18条の除外例撤去や調剤算定方式の改正、病院薬局関係法規を薬事法中に制定する等のことについては三師会と提携して結論をだすのが妥当と思うので現在検討を続けている。
A国家公務員の給与体系については夫々手を打っている。
B医療報酬甲表中に調剤手数料を明確にする件については現在検討中である。
C薬事法及び薬剤師法の数多き改正については医師会に同調を求め三師会で厚生省に要望している。
D薬局等の管理薬剤師の学薬の従事許可については、厚生省と吾々は意見を異にしているが、薬局の管理を重視している厚生省では全々無くするわけに行かぬが、簡素化することになると思う。
E医薬品と混同し易い形態と容器を特殊食料品に認可しない様に、食品衛生法の改正については検討中である。
F食品添加物製造販売を医薬品同様の取扱いに改正する件については、大きく政治的問題として扱わねばならぬので尚検討中である。
G九大薬学科の部昇格は近く実現する見込みであり、新制大学薬学部に大学院設置については日薬も努力しつつある。
以上の報告につき二、三質疑応答の後異議なく承認。

(3)各部会付託議案の審議結果報告
 各部会は付託された議案について慎重審議の結果、一部修正する処はあったが、それぞれ報告がなされた。
 長崎県提出の八議案中二題は同県の責任者欠席のため、意味不明のためこれを削除すること、及び学薬、組合、薬剤の三部会から各一題宛新議案が追加提出されたので、議長はこれ等を本会議に諮って異議なく承認することを決定し、本年度決定議案は一八議題が採択されることになった(本紙別掲)。

(4)宣言決議について
 本大会の左記宣言、決議両案を司会者宇都氏朗読し、満場異議なく拍手を以て承認決定した。
  宣 言
 今や我国は福祉国家完成のためあらゆる面にその施策を樹立し、強力に推進しようとしている。
 特に医療画において国民を疾病から積極的に守ろうと努めている。
 この秋にあたり我等薬剤師は医療担当者として、福祉国家完成の先駆者たらんとするものであるが、剤界の現状は医療面の法的不合理と流通経済面の不安定で楽観を許さざるものがある。
 我等は先づ医、歯、薬相互の理解と協力のもとに、医療面の欠陥を是正し、剤界の経済的不安定を解消し、以って国民の負託に応えんとするものである。
 右宣言する。
  決 議
 我等薬剤師は医療担当者としての責務を完全に遂行せんがため次の通り決議する。
@不当低廉な保険調剤手数料の是正を要望する。
A勤務薬剤師の権限を確立し待遇の改善を図る。
B薬局に対する医療金融公庫の融資金額の増額と借入手続簡素化を要望する。
C学校薬期師の社会的認識を高め、その普及活動を推進する。
D医、歯、薬の提携を強化して医療担当者としての身分確立と、薬剤師会の法制化を実現する。

(5)次年度開催地について
 議長は次年度大会開催地を大分県に決めたい旨満場に諮って異議なく決定した。次いで杉原大分県薬副会長起って異議なき旨挨拶があって当日の大会本会議を終了、福崎宮崎県薬政会長の閉会の辞により万才三唱して大会本会議の幕を閉じた。

九州学校薬剤師代表者会議並学校薬剤師部会

 第32回九州山口薬学大会が宮崎市に於て十月十七日から開催されたが、学校薬剤師部会は大会第一日、十七日に開会され、其準備打合せを主とした「九州学校薬剤師代表者会議」がその前日の十六日午后六時から橘公園際のみなみ荘に於て開会された。出席者は  福岡県=早川、友納正副会長▽熊本県=林田熊大教授、長須会長▽鹿児島県=白男川氏▽大分県=杉原氏▽宮崎県=児玉会長外三名▽特別参加者=河合製薬の河合常務、渡辺九川出張所長

開会 先づ早川九州学校薬剤師会連合会長は次の様な挨拶をなした。

 学薬の任意設置時代から完全必置制になる迄を顧みて其間の各県幹部の方々のご苦労を忍ぶとき全く感慨無量の思いがする。其後既に二年半を経過した今日では学薬の設置も殆んど90%に近く、九州各県に於ても僻地寒村は別として、一応設置に一段落がつき専ら職務内容の充実と活動に専念されていることと思う。

 年々進歩して行く技術の向上については、今年は日本学校保健会の主催で九月廿六、七日の二日間東京薬大に於て六〇〇人の出席者を得て講習会が行なわれた。流石に学薬講習会は他の学会や大会と違い途中での退場者も殆んどなく、勿論伝達講習会と云う大きな使命のある事は云う迄もない。

 今文部当局の計画の二、三を拾って見ると昨年から問題となっていた環境衛生基準も愈々来年三月末には完成し、それより引続きその委員数名が残されて、環境衛生検査手引書が作成され、其後文部省主催で全国学校薬剤師の講習会が計画され、既に予算も其ために二三〇万円が計上されていると云うことである。又多年の懸案であった環境衛生検査器具整備の問題も三九年度から三年間に亘って整備され、其予算も三億五千六百万円が文部省と各都道府県と切半で計上され既に文部省では可決されているが、最後は大蔵省の見方如何に係っているので手引書作成、講習会開催予算と合せて是非共獲得でき得る様地方に於ても関係筋えの努力が要望されている。

 又講習会に於ける協議題としては「学薬の組織の間題」「学薬に対して理解の薄い学校に滲み込む方策」等極めて切実な問題が検討された。其他意見としては薬剤師の公衆衛生関係団体えの介入、学薬会と薬剤師会との関係等が主たるものとして挙げられた。

 愈々環境衛生検査手引きが完成し、器具の整備が進んで行けば学薬の活動も一層活溌化し、文部省の流れに於て環境衛生検査が校医の健康診断、歯科校医の口腔衛生、と共に学校事業年間計画に正式に織込まれ学薬に対する学校当局の認識の高揚する日も既に目前の事であろうと思われる。と述べ、それより左記の議事に入った。

▽協議事項
(1)学薬部会の運営に就て
 研究発表の内容、順序、時間について協議し十一題を採り上げる。
(2)学薬功労者の表彰に就て
 従来学薬部会に於て表彰していたが、今後学薬からの推薦によって大会に於て表彰する、尚この候補者は夏の保健大会に於て協議決定して大会事務局に申出る。
(3)熊本に於ける全国学校保健大会に際し開かれる全国学校薬剤師大会に出席方勧誘に努力する。以上にて代表者会議を終了した。

学校薬剤師部会

 翌十七日午后一時から県公会堂を会場として開会し児玉部会長司会して左記十一題の研究発表があった
▽研究発表
(1)寄生虫に対する諸検査とその結果について
  福岡県若松、 学薬師、佐伯克己氏
(2)学校環境衛生検査(第二報)屋外空気
  熊本県学薬師、小西鉄郎外二氏
(3)給食室における食器類の洗滌過程記録(第一報)
  福岡県福岡市、学薬師 杉本好子氏
(4)保健計画と学校薬剤師
  熊本県学薬師、福島道尋氏
(5)宮崎市内学校プールの調査について
  宮崎県学薬師、富永毅外五氏
(6)しもやけの実態調査
  熊本市学薬師、長須龍喜氏
(7)環流式と注水式プールの汚染度比較検査について
  福岡県八幡区、学薬師 福武健司氏
(8)レスチン尿の検査に就て
  熊本県学薬師、青木達外一氏
(9)学校環境調査の一例
  延岡市学薬師、川添昌紹外五氏
(10)学校における保健室並に理科室に於る薬品の実態調査結果について
  福岡県学薬師、早川政雄外二氏
(11)学校給食室の環境調査について
  都城市学薬師、篠原博氏
以上にて研究発表を終え引続き協議会を開き次の事項につき協議した

▽協議事項
(1)本学薬部会から大会表彰者を推薦するの件
(2)九州各県教育委員会に環境衛生担当の専門員(薬剤師)を早急に設置されたし 右二議題を明十八日大会本会議に提出することを決定した、それより大会よりの三付託議題につき協議した。

第32回 九州山口薬学大会 審議決定議題

 第32回九州山口薬学大会に各県から提出された議案並に部会から追加提出合計二一議案について審議の結果、次の一八議案が採択決定議題となりそれぞれ措置されることになった。

   決定議題
(1)健康保険調剤手数料引上げを日薬を通じ関係当局え要望の件
(2)諸官庁勤務薬剤師の初任給引上げを日薬を通じ関係当局え要望の件
(3)薬剤師会令制定等により薬剤師の強制加入を日薬を通じ厚生省その他関係当局え要望の件
(4)医療金融公庫の薬局に対する融資金額の増額と借入手続の簡素化を日薬を通じ関係当局に要望の件
(5)プールの濁度測定において恕限度を八度程度に下けて貰いたい
(6)薬剤師会の法制化要望の件
(7)医療法第18条に規定する専属薬剤師を必置するよう関係当局に要望の件
(8)食品添加物の製造販売は医薬品と同様の取扱いとするよう食品衛生法の改正要望の件
(9)地方薬事審議会の委員に少く共一名以上の病院薬剤師を選任されるよう要望の件
(10)薬局経済向上に資するため更に薬局製剤の開発を促進すること
(11)保険薬局調剤報酬価格を正当価格に向上せしめること
(12)処方せん発行促進につき中央三師会における日薬の活動を増強すること
(13)学校環境衛生検査基準を速かに制定すること
(14)勤務薬剤師(地方公務員)給与を増額せしめること及びその地位を向上せしめること
(15)長崎大学薬学部並に熊本大学薬学部に大学院設置を促進せられたいこと
(16)九州各県教育委員会に環境衛生担当の専門員(薬剤師)を早急に設置されたい (17)製企会の指導価格は九州山口を一本に統一されたい.家庭薬メーカーも早急に指導価格をだされたい
(18)薬事法一部改正に伴う薬局等の配置基準については豊富な調剤経験年数を有する病院薬剤師に対しては格別の配慮をされるよう日薬を通じ関係当局え要望の件

薬剤部長協議 出席者約三百名、真面目な会合

 第32回九州山口薬学大会に於ける薬剤部長協議会は大会第一日十月十七日午前九時から宮崎市、図書館ホールで開会され、約三〇〇名の出席で盛大に行なわれた。 南宮崎療養所薬局長が司会して先づ本田宮崎県立病院薬剤長の開会の挨拶があり、司会者は樋口氏を指名して座長に推し、直に議事に入った。

▽報告事項
(1)前年度決議案の処理経過報告(深掘氏)
 それぞれ関係当局え請願しているが、給与体系については嘗てない統一的行動をとったが未解決である。
(2)調査報告
 @病院薬局の実調剤業務実態調査について本田氏がA病院診療所薬剤師の初任給調査については両氏が別刷によって説明がありB病院薬剤師数の算定法について相島国立福岡南病院薬局長から説明報告があった。

▽議 案
(1)九州山口病院薬剤師研修会開催要望の件
   放射性医薬品の管理に関する講習会の件
   福岡県病薬提案、掘岡九大薬剤部長並に西小倉病院薬局長から説明、異議なく承認決定した。
(2)注射薬の包装及びアンプルに含有量の表示法を統一するよう要望するの件    長崎県病薬提案、深堀国立大村病院薬局長説明、現行含有量の表示法は数種類が採用され最近特にミリグラムが呼称され取扱いが繁雑である、特殊のものを除いては一般的に%並にmg数を併記するよう統一を要望したい。異議なく決定。
(3)次の二議案を大会議案として処理するため大会本会議に提案すること
@地方薬事審議会委員に病院薬剤師一名以上を選任されるよう実現方につき日薬並に関係当局え要望の件
A薬事法一部改正に基く薬局等の配置基準については豊富な調剤経験年数を有する病院薬剤師に対し格別の配慮をなすよう日薬並に関係当局え要望の件
 各県病薬提案、深掘氏説明、異議なく決定。 (4)病院における医薬品のインフォメイシヨンに裁て
  実態調査について一番ケ瀬熊大病院薬局長が、インフォメインヨンセンターの基準について掘岡氏が説明 何れも異議なく承認。
(5)厚生省、日本商品分類書番号の決定につき要望するの件
  福岡県病薬、竹内氏説明、異議なく決定。
次いで大分病薬、清水氏が動議提出、本会の発展については田中、松村両氏の指導による処が大である、今回松村氏を顧問に推薦したいと説明、満場異議なく拍手の裡にこれを決定した。以上にて協議会を終了した。

九大病院薬剤部 益進倶楽部 第14回総会 十一月十日開会

 九大薬局出身者を会員とせる益進倶楽部では第十四回総会を十一月十日午后一時から福岡市麹屋町、福寿飯店で開会する。同日午前十時から市内下祇園町、万行寺で、九大薬局の第二代薬局長の江口先生、今年が十三回忌に当るので其追悼式を営む事になっている、又本年四月松村前薬局長の後任として就任された堀岡現薬剤部長の歓迎会を総会後、引続き同所に於て懇親会を兼ねて開催することになっている。益進倶楽部会員(明治以来の九大薬局出身者)は誘い合せて一人でも多く、六十余年の長き間に相互緑を結んだ人々が一堂に集って昔を語って貰いたいものだと世話役は切望している。

開局保険 薬剤師部会 出席者約百名の低調さ

 第32回九州山口薬学大会における開局保険薬剤師部会は大会第一日、十月十七日午前九時から県公会堂を会場として部会長、長嶺氏が司会して開催した。出席者百名余、左記七項目の研究発表がなされ、静かな会合であった。

(1)約束処方による処方箋発行の促進について
  宮崎簡易保険診療所、陣内正美氏
(2)開業薬局に放ける眼科保険調剤について
  大分県四日市市、安部哲彦氏
(3)福岡赤十字病院に於ける処方箋の実態
  福岡赤十字病院、竹内克己氏
 竹内氏は「保険調剤が上向きの状況にあることは喜こばしいことであるが、更に前進させるためには色々の方法がある。それを知るための資料として病院における処方箋の実態を把握することも一つの要素であると思う。ここに私の病院の実態を提示して諸君のデーター作成の資料としたいと思う」と述べて五種の表について別刷により詳細説明があった。
(4)ディスカウントハウス、スーパーマーケット薬品部に対抗する零細薬局の生きる途
  北九州市、芳野直行氏
(5)社会保険医療の問題について
  鹿児島県、池田瑞穂氏
(6)処方箋獲得について
  熊本県、佐々木究氏
 医療機関の甲、乙表の一本化 現行法下で乙表医療機関の処方箋獲得、又保険薬局における調剤試験室の位置等について説明された。
(7)発明品カメリヤの分析にあたって
  長崎大学薬学部、泊ヒロ子氏
 養毛剤(七〇才の老人の造った家庭用品について分析の結果を報告。効能に於ても著しい)旨説明があった以上にて部会は終了し、低調な感じを与えた。

初めての 日薬代議員 薬政会長部会

 今回開催された宮崎市に於る第32回九州山口薬学大会、第一日十月十七日午後公会堂会議室を会場として、「日薬代議員薬政会長部会」が開会された。本部会は組合部会と共に初めて新設された部会であるが、当日は各県の薬政会長、日薬代議員の殆んどが出席(長崎県だけが欠席)した。

 先づ古賀部会長の挨拶があって、瓜生田氏を座長に推し、協議懇談に移った。 来賓谷岡日薬専務から今回の薬事法改正に伴う県条例作成の全国的実状について詳細報告があり、其運営について所有角度から見て最善の方法によって努力することを決め、次に、日薬代議員会に於ては質問者は各ブロックより一名宛になっているが、事前にブロック代議員会を開いて意見の統一をはかり、代表者を決めて発言せしめると云う在り方で今後進むべきである事を決めた。其他時局につき懇談し、殊に高野後援会の強化拡充、特に鹿児島の準本部の強化につき忌憚なき意見の交換と懇談とを遂げて閉会となった。

福岡県病院薬剤師会 第一回 研 修 会  参加者 二〇六名

 福岡県病院薬剤師会では予て準備中であった第一回県病院薬剤師研修会を県衛生部主催で去月廿八、廿九の両日福岡市、県医師会館で左記により開催した。

第一日(九月廿八日、土)
 (9時30分)開講式
 (10時)麻薬取締法の改正について=県薬務課麻薬係長佐藤技師
 (13時)最近の新薬特に鎮痛剤について=武田薬品 学術部長遠藤武男
 (14時30分)病院薬局の管理=虎の門病院薬局長上野高正
 (17時)懇親会開催

第二日(九月廿九日、日)
 (10時)薬事関係法規=県薬務課監視係長大庭技師
 (13時)シンポジウム「病院薬局業務の在り方」
 @病院と薬局の関係=福岡日赤病院竹内克己
 A薬局の業務範囲=済生会福岡病院福井正樹
 B薬品管理=虎の門病院上野高正
 C統計のとり方と活用法=国立福岡南病院相島徹
 (16時)閉講式
 県薬務課長尾崎松夫、県病院薬剤師会副会長、久留米大学病院薬局長林真一両氏の本研修会についての感想を述べて挨拶があり閉会となった。
 なお、本会の参加者は県内より一九〇名、県外より一六名(佐賀七、宮崎二、大分三、長崎三、鹿児島一)合計二〇六名に及び盛会裡に終了し誠に有意義な会合であった。第一回の研修会が予期以上の成功をおさめたことは今次の企画が地方病薬研修会のモデルを提供したものとして、来年度は又一段の飛躍が期待されるに至った。

熊本市で 全国学校保健大会 全国学校薬剤師会 十一月九日から

 第13回全国学校保険大会は十一月九日より三日間熊本市に於て体育館を本会場として開催される。初日九日は体育館で開会式及び全体協議があり、同日午後及び翌十日は市内一四会場で班別研究会が行われ、十日午後特別講演、全体協議、閉会式を以て終了。翌十一日は県内視察を行って全部終了することになっている。別に恒例の全国学校薬剤師会は初日九日の午後四時から開催されるが、福岡県学薬会では出席者に補助金を交付することとし、出席を奨励している。

福岡市勤務部会 十月例会

 福岡市薬勤務部会では八月と九月例会はそれそれ総会及び研修会で兼ね行ったが、十月例会は廿六日午後二時から田辺製薬福岡支店の新築社屋五階ホールで左記により開催され、先づ映画「緒方洪庵」に始まった。
@九州薬学会薬剤部長会報告=国立福岡南病院、相島徹氏
A薬剤師算定基準について=前同
B調剤業務の改善(調剤室のレイアウト)=九大病院薬剤部、松清丸男氏

随想片々【11】 磯 田 秀 雄  台風の思い出

 ある雑誌を見ていたら、近年の台風で最もひどかったのは大正六年東京を襲った風速三九メートルの台風と昭和九年に関西を襲った室戸台風で死者行方不明を合せて前者は三七一人、後者は二七〇二人と認めてあったが、この両台風は不思議にわたくしの記憶にもあるので、その思ひ出を綴ってみたい。

  〇  〇
 大正六年の東京台風は、わたくしが中学を卒業して上京し東京本郷の下宿の二階で終夜物凄い風雨に一夜を明かした記憶が残っている。翌朝早稲田のあたりで家屋が倒壊し、下宿の学生が惨死し蚊張が樹木にひっかかっていた状景が末だ脳裡から離れない。

  〇  〇
 昭和九年の室戸台風は、剤界の長老故志村釼七郎翁の招請によって上京の途、神戸付近で出遭ったので特に記憶がある。関門連絡船を経て下関駅発の特急富士に乗車するとき、風が強いなアと思いながら寝台車に入り、グッスリ寝込んで岡山神戸間で夜が明けると列車は立往生、新聞記者がドヤドヤと乗り込んで来て異状はないかと尋ねるが、締切った車内では風など聊かも感じないので、狐につまされた思いであったが、カーテンをあげて見ると、目前の工場のトタン屋根が木の葉のように飛び散っている。樹木が吹き裂けている、機関車の外側には工夫きんが大勢乗りこんで線路上の障害物を排除しっつ除行し定時より五時間程後れて京都着、瀬田川鉄橋上で下り列車顛覆のため急行打止めとなって下車させられ、同夜の十時頃関西線廻りで上京したが、窓外の被害光景は物凄いものであった。

  〇  〇
 志村翁宅に滞留数日、汽車も漸く復旧開通とのことに特急富士とさくらを連結したのに乗り込み、岡山県の西大寺付近で線路流失のため徒歩連絡し、やつと帰着したが、史上に残る二最大台風を共に他郷で出遭ったのも不思議な因縁ともいえよう。

  〇  〇
 昭和二十年八月十五日の終戦を迎え愈よ米軍進駐と伝えられたとき、米艦隊の予定を狂わせた台風は数日に亘つて吹き荒れたが、敗戦後の台風では台風を神風とも思わされていたたけに、神風の面目はいっぺんに失墜した。其の後に至っては、台風は神風どころか厄病風である。

福岡県薬事功労者決定 表彰式十一月一日

 福岡県では恒例により「薬と健康の週間」中の行事として薬事功労者の表彰を行なうことになるが、十月廿六日県衛生部長室で卅八年度薬事功労者選考委員会を開いて選考の結果、左記六氏を表彰することに決定し、十一月一日知事室に於て表彰式を行なうことを決めた。

  薬事功労者
▽志岐寿一(六二才、薬剤師、開局、大川市酒見)
▽亀井守男(五三才、薬剤師、第一製薬福岡支店長、福岡市今川二丁目)
▽野口秀夫(六一才、薬剤師、会社勤務、福岡市室見町一丁目)
▽本間頼亮(七二才、薬局代表社員、北九州市門司区大里的場町三丁目)
▽清水正史(六三才、薬剤師、北九州市若松区下原町一丁目)
▽三渕学(五一才、薬剤師、薬局代表社員、北九州市小倉区産川町七〇)

九州・山口県 薬学講習会 講習日と会場

 九州山口県に於ける本年度の薬学講習会は愈々十一月十一日から開始されるが、季節よし、課目よし、講師亦よし、一人残らず研修の稔りを収穫せられよとは各県主催者側の切望して止まない言葉である。各県の講習日と会場は次の通りである

▽福岡=十一月11 12日(福岡市、県庁裏、県町村会館)
▽佐賀=十二月12 13日(佐賀市上多布施町、中央農協文化会館)
▽熊本=十一月13 14日(熊本市大江町九品寺、熊大薬学部講堂)
▽鹿児島=十一月14 15日(鹿児島市東千石町三一)
▽宮崎=十一月15 16日(宮崎市東雲町二 宮崎市郡医師会館講堂)
▽大分=十一月17 18日(大分市荷揚町、大分県林業会館)
▽北九川=十一月18 19日(北九州市小倉区堺町、小倉医師会館)
▽山ロ=十一月19 20日(山口市春日町、山口県自治会館)

      句三昧 筑前 徳島 山花

         十月と云ふにお雑煮つくりたる
         句を作り画を書く事も炉開いて
         画筆投げ想ねりなはす炉のほとり
         貰ひたる柿を色紙にかきとりぬ
         招待の耶馬渓行きや柿の秋

      句日記より  山鹿 清水 鹿山

         子規の日と答へて妻と祀りけり
         泣きすてし思ひはるけし鳥渡る
         山下る神に萩ちる夕かな
         爽かや雫となりし雨欝る
         十月の玉の日抱き男子生る

      句帳より  合屋 杉峰

         棟上や晴れゆく霧の足立山
         秋祭貧の一燈ともしけり
         時雨来と南蔵院へ返し来る
         バスに乗れば日の射して来し時雨かな
         水湊の子が来母が来風邪薬

佐賀県薬組情報 適配条例

 県薬安定協その他
 佐賀県薬業界の進展は同県協・商両組(理事長川内一男氏)の活躍に係っているが、本月の廿日同組合では次の様な情報を流した。 ▽薬局等適正配置の県条例をはかるため「市場安定対策要綱」の実施を推進。「佐賀県薬業安定協議会」を結成するため、県薬業協商組合では本月十八日其設立準健委員会を開催した。

 県薬務課長臨席し、メーカー側は製企会七社、家庭薬本舗久光、参天堂、ロート三社に卸八日会、小売各業態の代表五〇名が集まり、県薬業安定協議会を正式に且つ早急に結成することになり、其性格運営について協議したが、協議会成立迄の間は従来の価格安定協議会で決定実施している安定価格につき一部訂正。

 成立公布
 吾々が多年熱望していた薬局等の適正配置は薬事法の一部改正により佐賀県に於ても今月県議会に上提審議され、一時は其成立も危ぶまれたが、協・商両組合や、薬剤師会、県薬務当局等の努力により本月十八日漸く県議会本会議を通過成立した。 適正配置の指定地域は佐貿市等の市制地区七市、小城、牛津、川副、諸富、嬉野、有田の六町、三田川、千代田、福富の三村であって十一月一日公布実施となる。此地域では距離制限一五〇米が通用される。

▽佐賀県薬業安定協議会準備委員会
 医薬品の乱売による混乱をメーカー、卸、小売の三者の自覚と協調により自主的に建直し、業界の安定の上これを再確認して継続することを申合せた、此価格を最低小売価格と決めた。

▽サービススタンプの会加入について
 最近盛んになったサービスシールスタンプの会については全国医薬品小売商組では、これに加入サービスすることは調整規定違反として各県共加入を禁止する様全国統一している、佐賀県薬協組でも此趣旨に添い可成加入しない様通達した。

若松薬剤師会 季節の手帖  レクリエーション

 前夜来の雨もあがった秋晴れのすがすがしい空気の中を、十月二十二日、愛読者一二〇名を招待して賜やかに挙行された。当日は朝九時三十分若松駅前をバス二台に分乗して出発、福岡市コカコーラ会社前で県薬季節の手帖編集委員会一行の出迎えを受けて同工場を見学後、大宰府天満宮に到着、自由行動昼食後観世音寺や都府楼跡など見物、引続き福岡大濠公園を経て西日本新聞社に至り夕刊印刷中の作業現場を見学して一路若松に向い、六時過ぎ吉松に帰着した。

 参加申込は各薬局でとったが、申込者殺倒してその抽せんに一苦労するほどの盛会であった。車の中は歌やクイズでなごやかに終始したが、特に二十八日よりの北九州市に於ける薬と健康の週間を前にしての催しであった為、その週刊行事のPRや薬剤師や薬局についてのPRをした事が極めて有意義であった。

森下仁丹 仁丹胃腸薬新発売  記念セ−ル発表

 森下仁丹では十一月六日から仁丹胃腸薬A(過酸症用)B(減酸症用)の二つのタイプで新発売する。
 本品の特徴は(1)体質症吠に合せた処方=従来は過酸症の人(食べすぎ、胃が痛い・主に若い人)も滅酸症の人(食べられぬ、胃が弱い・主に壮年以上)も同じ胃腸薬が使用されて来たが、本品は使用者の斯る体質、症状に適合した処方により、AB二種を完成した。(2)特殊和漢薬エキスの配合=特殊製法により抽出した和漢薬エキス十数種類を多量に配合 胃腸痛の完治を促し更に制酸剤、消化剤の合理的な配合によって相乗作用の即時即効の効果が得られる。(3)徴小顆粒状である=従って従来の散薬や錠剤と違い次の様な特色を持つ。
 @健胃整腸、制酸、消化と各々違った薬効を持つ三種の顆粒が適材適所に働きをなし症状の回復を早める、A顆粒状であるため服用し易い、B薬剤効果が安定している、C期長服用しても副作用なく一層の効果が期待できる。
 仁丹胃腸薬
  新発売
  記念セール
新発売を記念して左記の様な有利な特売を発表した。
▽一口詰合内容=仁丹胃腸薬A二〇〇円(一五包入)五コ定価一 〇〇〇円、同B二〇〇円(一五包入)四コ定価八〇〇円、計九コ一 八〇〇円
▽一口優待=@仁丹胃腸薬B二〇〇円一コ添付Aサービス品は仁丹胃腸薬試供品二〇包、パンフレット入荷ポスター同送

▽直送単位=一梱(三ロ)を単位に直送 ▽特売期間=昭和38年11月より売切れ次第〆切

薬界短信

◆福岡県薬業安定協議会=十月廿九日午后一時から市内天神町クラブ九州第二会議室で開会した。
@十月廿日実施以降の状況・交換
A指導価格追加品目に就て
B田辺提案について
C要綱実施に関する諸施策について、其他

◆九州化工(株)電話番号変更=福岡市官内町官内ビルの同社では十一月一日から次の様になった。
▽新電話A五五六一〜四番
 市外専用A二一九七番

オロの島からお礼の鮮魚

「薬と健康の週間」行事の一環として昨年度、福岡市の僻島、オロの島へ渡航の上、衛生状態の調査と医薬品の寄贈をなし、今年亦この程医薬品を市役所の幸便に依託寄贈していたが、島民は非常に感激、町世話人の島田岩次郎氏が廿六日立派な鮮魚を携げ県薬会館を訪れて、お礼の言葉、洵に心温たまる出来事である。

藤沢薬品 イルガピリン錠  特 売 中

 藤沢薬品では神経痛、リウマチ治療剤「イルガピリン錠」の謝恩セールを左記により発表した。
▽品目及び価格=イルガピリン錠包装一〇錠小売価四〇〇卸価三〇〇、二〇錠小売価七五
〇卸価五七五
▽特売条件=前記容量何れも九個に対し一個添付
▽特売期間=昭和38年10月21日〜11月20日
但し期間中でも予定数超過次第締切ること