通 史 昭和37年(1962) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和37年(1962) 2月10日号

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 問題は深刻となって来た 福岡県薬商組 緊急支部長会議

 福岡県医薬品小売商業組合では小倉東映医薬品部許可問題について愈々新段階を迎え県当局の新らしい考え方に対処するため慎重考慮検討の必要を生じたので臨時理事会並に緊急支部長合同会議を開催することになり一月卅日午后二時から県薬会館で開会した、メーカーにもオブザーバーとして列席して貰い、その意見をも聴取することになった藤野専務事理司会し、先ず白木理事長は、

 小倉東映問題についての県当局の真意が判明し新事態は切迫して来たので今後とるべき方針について懇談し、又諸君の御意見、御決意も伺いたいと思っている。と挨拶し、引続きこの問題については昨年七月頃から吾々は決起し対策上京すること七回にも及び、日薬、厚生省などの了解を得、引続き千日薬品、佐世保東映等の困乱の影響を検討考慮して今日迄動いて来たのである、最初大川社長の名で開設申請があったが、次は島田小倉東映会館社長子息の名儀により再び申請された。それより二ヵ月半経過している。との報告があった。

 次に形井理事は
 先に地元での折衝の際、組合の希望条件に沿って行動するとは言っていたが、相手の言を信ずることができなかった(経歴、人格その他色々の理由のため)が、若しこの大資本家に又SMに、特に吾々の信じ得ない人の薬品営業は単に地元或は福岡県だけの問題ではないことを吾々は考えねばならぬ。と述べた。

 次に四島氏は
 小倉東映問題は既存業者を圧迫する虞れが充分考えられる。吾々は単に小倉東映問題そのものにとらわれているのではない。これを一つの重要なテストケースとして採上げているのである。東映の大川社長を始め日薬、厚生省当局に於ても吾々の考え方は能く了解を得ている。法律規則によって規制できないものは行政面に於てこれをなせと云うのが政府当局の意向である。

 催眠薬の如く法律によって規制できないものは現実に行政面で規制している。行政面のその立場に立っている人が県衛生部長である。東映側では許可さえとればという条件であるかどうかは分からぬが特殊関係県会議員を以て圧力をかけている様に見える。これがためか当局では最早限度に来たとのことである。私は決して限度に来ているとは思わない。東映側の圧力と同時に当方に於ても自民、民社党の党議により又社会党の同情により一種の圧力とも見られるものがある。自然、何とか?に終止符をうちたいと思うのは或は人情であろう。両方で納得のゆく妥結案を作るとの言質が当局からあたえられたとも言われている。然し吾々がこの際、この儘妥結することは結局「名を棄て実も捨てる」ことになる。そんなことでいいのであろうか。との意見を披瀝した。

 次に白木理事長は
 現在県当局の考え方は@小倉東映問題は既に限度に来ているので許可したいA今後とも福岡方式はまげないB今後は同様の問題についてもケースバイケースで処理するC一業者の開設問題を県政争の具にしたくない。と云うことであり、今日吾々としては次の三項の何れか一つを採ることを決心しなければならぬ。諸君の忌憚なきご意見を伺いたいと思う、三項とは
 @衛生部長の斡旋に応ずるか
 A斡旋を拒否するか
 B部長を追いつめるか
 であると述べ、それより各支部の意見が次々に開陳された。

 ○○=止むを得ず妥結する場合は知事商工会などを仲に立つべきだ
 ▽▽=地元小倉に賛成して拒否したい
 ▽▽=妥結するなら商組は解散する。あくまで政争の具に供せよ玉砕あるのみだ。然し、先ず審議会にかけることに努力すべきだ
 ○○=拒否することは面白くない、政治的に推進したい
 ○○=前の意見に賛成
 ▽▽=斡旋拒否、あくまで反対すべきだ
 ○○=でき得る限りまだまだ運動すべきだ
 ▽▽=妥結絶対反対だ
 ○○=もう少し運動すべきだ
 ▽▽=能く考慮すべきで今決定すべきでない
 ▽▽=当局が許可すると言っているのだから、この部長の態度を阻止すべきである。時期的に先方と内々の約束があるのではないかとも疑われる。県政争の具とするもよい。中央当局に持って行くもよい。薬事審議会に提案する様努力することが先決であると思う
 大体以上の様なものであったが、決定的の結論は見られなかった。
 当日は以上にて終了。

九州薬事新報 昭和37年(1962) 2月20日号

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 福岡県学校薬剤師研修会 受講者百三十二名

 福岡県学校薬剤師会では予て企画中であった県下校剤師の研修会を左記により四個所で開催、午前講義、午后実習、受講者百三十二名(直方45、柳川25、久留米40、福岡22)に及び各支部長の協力斡旋、講師、受講者共真面目に、熱心に、洵に有意義な効果を挙げることができた。兼ねての早川会長を初め幹部の熱心が具体化したわけである。

 (一)研修課目
 @教室の彩光調査
 A簡易炭酸ガス測定法
 B騒音計取扱い法
 C現地水質検査法
 D給食用器具の検査法

 (二)期日並に会場
 ▽直方会場=直方市新町公民館、二月九日十時〜十六時
 ▽柳川会場=柳川市高畑公園内省耕円、二月十二日十時〜十六時
 ▽久留米会場=久留米市合川町久留米保健所、二月十三日十時〜十六時
 ▽福岡会場=県薬剤師会館二月十五日十時〜十六時

 (三)質疑応答

九州薬事新報 昭和37年(1962) 2月28日号

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 挾子

 ▼小倉東映会館の薬品部は八日開設の予定を変更して十日に開業したそうだ。東映側の希望によってその前日組合側から一割五分〜二割の線を出して販売価格の申入れをしたそうだが、覚書を無視して東映側では大体三割〜四割〜四割五分の線で表示又販売しているそうだ。覚書の趣旨が実際の販売責任者によく判っていないらしい。又話合や会合にも、時に全々関係の無い百枚千枚の覚書があってもほんとうの誠意がなければそれは反古にも等しい。本紙がでる月末頃にはどんなことになっているか。実質的保証人である部長課長に迷惑がかからなければよいが、組合側でも保証人の今後の出方を眼を大にして注目していることであろう。

 ▼全国的に風邪が流行しているが、二〜三風邪薬で事故も起ったので、この程厚生省が各都道府県に通牒して薬局薬店の管理薬剤師は対面販売を詩sして、薬の使用法や貯蔵等について十分な説明と注意を与えよと云うのである。尤もなことである。薬品販売は絶対に薬剤師をして対面販売ができる様な機構にすべきであり薬事法も改正すべきである。

 ▼この程東京都薬剤師協会の肝煎りで三師会を開いた。「医薬分業は好ましい」との基本的考えを三師間に確認したそうだ。洵に結構なことではあるが、生活経済の絡む医薬分業が一歩前進したなどなど考えるのはもっての外だ。

 ▼近年食品衛生は薬学技術者が担当すべきであるとしきりに剤界で論じられている。戦前迄は各都道府県共薬剤師技術員が薬品と飲食物の検査を受持っていた。薬事衛生と食品衛生は薬剤師のものであった。一体誰が食品衛生を棄てて薬事衛生のみになったか、薬系の先輩はこれを何と見る…。

 ▼小売業者の共同購入に理解ある薬務局長に対し、卸業界の元老達がカンカンになっていると伝えられているが、小売業者が廉売業者にカンカンになるのと考え方に相通ずるものがある様だ。

 ▼大阪府薬務課が卅七年度新規事業予算として要求中であった「薬局等構造設備改善資金」が副知事査定で五千万円が認められたと報ぜられている。薬務課の華々しい業績と云うべきであろう。これを上手に銀行預託しておけば三倍の一億五千万円は融資できるらしい。府議会の通過も今の処間違ないと見られている。浦山敷いことである。(鉄棒子)