通 史 昭和36年(1961) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和36年(1961) 6月10日号

画像
 福岡市薬協 緊急理事会

 福岡市薬剤師協会では本年度事業計画の具体的検討と理事の業務分担一部変更などについて協議のため五月廿七日〇時半から薬剤師会館で緊急理事会を開催した会長挨拶後、現在の理事廿一名(監事を含む)中都合により一部退任、一部業務分担を変更し、新たに一般会計理事として長野氏を、国保会計理事に荒巻氏を選任することになった。近く開会予定の「国保運営委員会」に備えて次の三事項について協議した。

 (一)保険薬局研修会開催について
 研修会は兎も角として、全保険薬局の調剤請求事務を、協会が纏めて処理することにすれば専任事務員を雇傭してこれに当り、各薬局も非常にたすかることになるとの意見が出たので、運営委員会にこれを諮って検討することになった。

 (二)協調融資の件
 二、三回目の申込みが非常に少ないのは手続きが相当繁雑な為と思われる、協会が一括して借入れ、役員の連帯保証によって会員に貸出す様にして貰いたいとの意見があり、これも運営委員会に於て検討することを決めた、同時に委員会は「六月十二日」開催することを決定した。

 (三)福岡市国保について報告
 会長から別刷によって説明、@卅五年度市の診療報酬は薬剤師一、歯科医師一〇〇、医師五〇〇、の比率になっていることAはり、きゅう費は本年一〇月から支給されることに決定したこと、並にその経緯についてB来月上旬三師会を開催することC会長はこの程合屋医師会長と談合の結果或程度医師会は協力的であることD医師会に働きかけるために運営委員会で交渉団体をつくることE部会各自が地区歯科医師との懇談を催すこと、協会より或程度の費用を支給することなど次に六月十六日開催予定の「部会長会」に備えて次の事項について協議した。

 1、季節の手帳編集委員会の件
 現在八名の委員(委員長藤田氏)に新たに柴田伊、長野、権藤の三氏を加える今後会員の希望、意見を聴取参考とする。

 2、会費完納について 各部会に対し、八月十五日迄に完納すれば二〇%、十二月十五日迄のものには一〇%を還元することを決定した。

 3、未収会費処理について
 鶴田、古賀、江頭、網島の四氏を担当者に決め、早急に徴収方を委任、全額未納者が一人あるが、退会者の未納分三一、四〇〇円、会員未納の分一五、〇〇〇円である、悪質未納者に対しては除名も考慮せねばならぬ。

 4、その他 @本年度の「薬と健康展」の開催は会場の関係などで危ぶまれていたが、宇野福岡保健所長と権藤会長の話合の結果、既に市では予算化していることでもあり是非実行したい、名称も「薬と健康の祭」と云うこととし、会場も企画も変更し、時期は薬草の関係上十月頃にしたいと云うことになった、当協会からは岩永、馬場、小林の諸氏に担当を決めたいA協会と勤務部会との交流を如何にするかの問題について検討したが結論を得なかったB勤務薬剤師のベースアップの点について如何に対処するかを協議C薬局薬店勤務薬剤師は特に協会又は組合結成の必要なきか、この点については竹内理事担当で善処して貰いたいと会長から委嘱することになった。以上にて理事会終了。

画像
 福岡市校剤会 理事班長会議

 福岡市学校薬剤師会では卅六年度事業計画の具体策協議のため理事班長合同会議を五月廿七日午后四時から薬剤師会館で開催した。会長挨拶後直に次の事項につき協議に入った。

 (一)市の小中高校担当の件 一部担当者の更迭、新担当決定など、全部それぞれ決定した旨会長から報告。

 (二)卅六年度事業計画に就て本年度は必置の当初でもあり、会員の教育に重点を置くこととし研修会開催に努力する。第一回を六月中旬に、第二回を九月末に開催する。県立高校担当者の研修会は県学校保健会主催で来年一月に開催の予定であるが、本会にとっては少し遅すぎる嫌いがあるので別途に開催することになろう。一方、各班に於ても各自班長を中心に研究会催されたい。次いで各自の希望、意見など発表して協議を終えた。

画像
 第42回九州山口薬学大会 主テーマ社会の中の薬剤師像
 各部会の日程決定 演題募集を開始

 第42回九州山口薬学大会は、一〇月一六・一七日の両日、長崎市市民会館において開催と決定したが、これに関し、同薬学大会の隈治人準備委員長と清水龍夫学会部長は、演題等の募集について、五月三〇日付けで左記のような申込み依頼の案内を行った。

 主テーマ=「社会の中の薬剤師像」
 講演時間=各一題、一〇分発表者=所属名・氏名(連名のときは演者○印)
 講演要旨=四〇〇字詰原稿用紙二枚程度
 演題しめきり=6月30日
 要旨しめきり=7月31日
 申し込み先=長崎市大浦町一−二、温仙堂ビル内、長崎県薬剤師会・学会部(〒八五〇、電話〇九五八−二三−二〇一四番)

 @医薬分業部会
 10月16日(木)午前9時〜12時、長崎市民会館・体育館第三会議室(一三〇人)、テーマは医薬分業

 A保険調剤部会
 10月17日(金)午前9時〜12時、長崎市民会館・文化ホール第三第四会議室(八〇人)、テーマは保険調剤

 B薬局経営部会
 10月17日(金)午前9時〜12時、長崎市民会館・文化ホール第六第七会議室(八〇人)、テーマは薬局経営

 C公衆衛生部会
 10月16日(木)午前9時〜12時、長崎市民会館・文化ホール第三第四会議室(八〇人)

 D学校薬剤師部会
 10月16日(木)午前9時〜12時、長崎市民会館文化ホール第六第七会議室(八〇人)

 E薬学部会
 10月17日(金)午前9時〜12時、長崎市民会館・体育館第二第三会議室(一三〇人)

 F女子薬剤師部会
 10月17日(金)午前9時〜12時、長崎市民会館・体育館第二第三会議室(一三〇人)

 G薬部会
 10月16日(木)午前9時〜12時、長崎市民会館・文化ホール第五会議室(三六人)

画像
 日本東洋医学会総会 福岡市で盛大に開催 久保川憲彦氏新理事に

 第二六回日本東洋医学会総会(名誉会長=塚本赳夫元九州大学教授、会長=小島喜久雄鹿児島大学教授)は、既報のとおり五月三一日・六月一日の二日間、福岡市の福岡明治生命館で開催された。同総会は、全国より六〇〇余名にのぼる参加者があり、演題も昨年の約倍数でこれまでにない盛会であった。なおテレビなどマスコミも積極的に取材、報道を行ない、特に癌に対するサルノコシカケの効用に関しては興味をもって大いに一般報道に努めていた。

 第一日目の午後開かれた総会の役員改選では、全員が再選されたが、理事二名の追加について新たに久保川憲彦氏(福岡、開局薬剤師)と小川幸男氏(鹿児島医師・医博)が選出された。日本東洋医学会の役員に開局薬剤師から選任されることはかってない初めての事であり、九州地元は勿論、全国の開局薬剤師より歓迎されている。

 特別講演(貝原益軒…福岡大学井上忠教授)、シンポジウム「食養」など薀蓄あるものをはじめ、一般講演では各研究が数多く発表された。そのなかで、長崎大薬学部の山口広次講師は本年四月から一単位の講義(これまでは〇・五単位)となり、名称も従来は生薬学の漢方であったのが「臨床生薬学」となったことを報告し、漢方講座の進むべき方向として、将来、大学に専任の教授を置く問題は我々薬剤師の場合仲々難しいと考えるが、医師の場合努力如何では実現の可能性があると思うので、東洋医学に携わる医師各位の熱意を切望すると述べ、注目をひいた。

 ▽展示場出陳社名
 斎生堂薬品、天藤製薬、九州サンクロン、津村順天堂、和漢薬研究所、本草閣薬品、昭和生薬、大草薬品、山陽電子工業、前田豊吉商店、日本商事、カネボー薬品、横田商店

画像
 福岡県女子薬 総会を6月15日開催と決定

 福岡県女子薬剤師会(田中美代会長)は、五月二四日福岡県薬会館において全体理事会を開き、役員全員が出席して本年度の総会並びに県内ブロック研修実施計画などについて協議した。

 協議の結果@総会は六月一五日、県薬会館において開催することを決定。A研修会については、医薬分業推進の中で埋もれた会員の掘り起しとともに医薬品の管理者として社会に寄与するための研究会を福岡・北九州・筑豊・筑後の四ブロックで七〜八月の間に開催する予定で準備をすすめることとなった。

画像
 厚生省薬務局は 第七改正日本薬局方の留意事項を通達した

 薬事法第四十一条第一項の規定に基き第七改正日本薬局方が本年四年一日付厚生省告示第七六号を以て公布されたが、これは本三月告示第三一号による日本薬局方第一部及び昭和卅年三月告示第六五号による日本薬局方第二部を全面的に改定し、新たに第一部及び第二部として制定されたものである。薬務局ではこの程新局方の施行についての留意事項を各都道府県知事宛通達した。その内容は次の通りである。

 第一、日本薬局方第一部について

 1、新薬局方第一部については、医薬品の急速な進歩及び試験法の発達などに即応するよう所要の整備を行なったものであること、今次の改定の要旨および要点については、新薬局方第一部の「まえがき」を参照されるとともに、つぎの各項について留意されたいこと。

 2、新薬局方第一部に新しい医薬品が多数収載されたことに伴い、一般試験法に赤外部吸収スペクトル測定法など、製剤総則に顆粒剤などを追加し、試験の方法についても、非水滴定、電位差滴定およびキレート滴定など広く新しい試験法を採用して、その内容を一新しているので、試験にあたっては通則および製剤総則を熟知のうえ、各条項および試験法にしたがって実施すること。とくに新たに収載され、追加されまたは改定された試験法および条項に注意して実施されたいこと。

 3、旧薬局方第一部で、通則中に規定されていた事項の一部が、製剤総則および新たに設けられた生薬総則において規定されているから注意すること。

 4、新薬局方第一部では、日本薬局方の基準に適合する医薬品を示す場合「」の符号を用いてあるが、これは私見における数値の概念を明確にするために用いられたものであるから、その意義を熟知すること。

 5、通則第三項に示す「性状の項の安定性」とは、通例、その医薬品の保存中の変化などを示すもので、その医薬品の吸湿性、潮解性、揮散性、蒸発性、固化もしくは凝固、色の変化、分解、沈殿の析出または毒性の増加など、主として医薬品の物理的または科学的変化とその取扱い上の注意などを喚起するために記載された事項を総称するものであること。また「溶解性」とは、通則第十九項で示す用語のほか、「溶ける」、「多少濁って溶ける」または「ほとんど溶ける」など一般用語で示したものおよび混和性ならびに「本品一gは溶媒何mlに溶ける」などを総称するものである。

 6、通則第十四項の水浴上または水浴中の加熱することであること。

 7、標準温度を二〇度としたこと。

 8、生薬の貯法については医薬品各条で別に規定するもののほか、生薬総則によって密閉容器に保存するものであること。

 9、製剤総則中、製剤一般の共通事項はすべて製剤通則にまとめて規定したこと。なお、シロップ剤 散剤において、その概念が従来よりも拡大されているから注意すること。

 10、製剤総則の各剤型中の記載は、(1)において定義を、(2)において製法を、(3)以下でそれぞれの剤型事項を最後に貯法の順で記載されていること。

 11、医薬品の日本名(正名)で変更されたものは、原則としてつぎによっていること。
 (1)国際名
 (2)無機医薬品などはその化学名、また、つぎの場合は、かたかな書きに改めること。
 (1)該当文字が当用漢字にない場合
 (2)生薬またはその製剤の場合

 12、医薬品の別名は、大要つぎによって定められていること。
 (1)繁用されている名称または慣用名
 (2)旧薬局方の日本名(正名)を改称したものは支障のないかぎりその旧正名
 (3)医薬品の名称が長いときは、その簡略名、なお、旧薬局方の別名は(1)の場合のほか削除したこと。

 13、新薬局方では旧薬局方の用語を大要つぎのように変更した。

 旧用語       新用語
 アルコール     エタノール
 過剰        過量
 稀釈        うすめる
 絮状        綿状
 検液        試料液または試料溶液
 残査        残留物
 夾雑物       混在物
 熔融        融解
 熔ける       とける
 N/5硫酸など    〇・二N硫酸など
 終末点       終点
 熱灼        強熱
 別段の規定あるもの 別に規定するもの
 合成樹脂      プラスチックス
 比色標準液     色の比較液
 貯える       保存する

 14、医薬品各条に示性値として、PH、比重融点等の項を設けたこと。示性値は、医薬品の性状および品質に関係のある通例物理的または化学的な数値で、別に規定するもののほか一般試験法の相当する試験法で行なった場合の、その医薬品に固有の数値であること。

 15、色の表現は原則としてJISZ八一〇二-一九五七"色名"準拠したがその表現がわかりにくいときは慣用表現を用いてあること。

 16、「液は変化しない」または「液は混濁しない」の用語は、通例、ほぼ同じ意味であるが、後者の用語は、通例、ほぼ同じ意味であるが、後者の用語は液の色の変化が予想されるようなときに用いる場合があること。

 17、新薬局方第一部では、できるかぎり抽象的な表現による試験を限度試験に改定したこと。試験は一般に規定された数値(示性値、純度試験、特殊性能試験および定量法などで試験の最終成績に関係のある数値、以下規格値という)との比較によって適否を判定するように決められていること。なお新薬局方の規格値は原則としてこの考えのうえに規定し、0を省略していないから、この意義を理解されたいこと。

 18、一般の実験値は原則として規格値の示すケタ数より一ケタ多く求め、四捨五入して規格値と比較すること。ただし成分含量、許容限度などで、規格値をある数値以上またある数値以下で示した場合および規格値が範囲をもって示された場合については、規格値に0が省略されているものとして取扱い、実験値がその数値以上またはその数値以下あるいはその範囲内にあることを示すものであること。

 19、医薬品各条において、基原に掲げる含量は、別に規定するもののほか、その各条の定量法にしたがって定量したときの値で、その含量の百分率で示す場合は、当該定量法について実験者の目安とするためできるだけ小数点以下第一位まで示してある。また含量を示す場合通例その定量の値が、一〇一%以下にとどまる場合は必ずしもその上限を記載しているものではないこと。

 20、規格値に約をつけた場合は、その規格値の±一〇%以上の差があってはならない。

 21、規定された量を単に「とる」「量る」と記載した場合の採取量は、示された数値のつぎのけたで四捨五入した値が、その数値になることを意味すること。

 22、重量を計量する場合は「量る」という用語を用い容量の場合は「容量を量る」と記載してあること。また「重量を正確に量る」とは規格値の量を化学はかりを用いて、〇・一rまで読みとることを意味すること。ただし、その当該重量が、通例一〇r以下または精密を要する場合は、セミミクロ化学はかりを用いて〇・〇一rまで読みとることを意味し、当該重量が一r以下または特に厳密を要する場合はミクロ化学はかりを用いて〇・〇〇一rまで読みとることを意味するものであること。なお「精密に量る」とは規定された範囲内の数値の量または容量を正確に量る正確に量ることを意味すること。

 23、医薬品各々の性状の項で溶解性を示す用語のうち、「混和する」とは、通例液状のものがその記載された溶媒と任意の割合いで溶け合うことを意味するものであること。

 24、医薬品各条の性状の項で示す揮発性油とは、通例、低沸点の炭化水素類を称するものであること。

 25、医薬品各条の性状の項で結晶形状に対する表現は、おおむねつぎの意味で用いてること。
 (1)結晶、肉眼で結晶と認められるもの、なお、その形状によって、板状、鱗片状、葉状、砂状または粉末状などの形容詞を用いることがある。
 (2)微細の結晶、ルーペまたは顕微鏡を用いて結晶と認められるもの。
 (3)結晶性の粉末、肉眼または低倍率のルーペを用いては結晶か無晶かの識別ができないが、本質的には結晶の性質をもつ均質の粉末であるもの。なお、「無結晶性の粉末」または「無晶の粉末」とは均質であるが、結晶の性質をもたないものであること。

 26、単に減圧と記載したときは一五mm/Hg以下のことであること。

 27、医薬品各条中、試料液および試料溶液の用語はその調製した液が一般試験法に規定する試験の試料の溶液となる場合のみ試料液と記載し、この場合のほかは試料溶液と記載されていること。

 28、医薬品各条中、重金属の試験において、強熱灰化法を採用するものは、別に規定するもののほか「スルフィソミジン」または「スルファチアゾール」の相当する項を準用していること。その医薬品の灰化操作において容易なものから、単に強熱して灰化する方法、強熱残分試験法の準用、「スルフィソミジン」の準用最も灰化に困難な医薬品について「スルファチアゾール」の準用という概念で規定されていること。

 29、定量法中当量を示す数値は、原則として有効数字四けたまでをr数またはg、ug数等で示してあること。

 30、旧日本薬局方では、医薬品各条で、「一般試験法の第何項の試験法で試験するとき」とそれに相当する試験法を指示してあるのに対し新薬局方第一部では単に「試験を行なう」と規定している。これについては、通則第四項により、また、医薬品各条中の記載部分と、その一般試験法の関連および関係についてとくに注意されたいこと。

 31、試薬については、日本工業標準規格試薬を用いることを原則とし、それによる特級、一級、二級などを各品目毎に指定しているから、企画の細目については日本工業標準規格を参照すること。

 32、一般試験法の「標準品、試薬、試液、容量分析用標準液、色の比較液、計量器、用器」の中で、「試液は通例その濃度に±一〇%の誤差を許容する」とあるがこの通例とは単なる定性反応または正確性を要しない試験の操作に用いられる試液を指すものであって、限度試験、定量試験など直接その濃度が影響するものについては、別に規定するもののほか試液の調整法に示す数値のつぎのけたで四捨五入した量をもって調製すること。

 第二、第二部について

 新薬局方第二部については、第一部の制定に伴い必要な整理を行なったものである。

 第三、新薬局方制定に伴う取り扱いについて

 1、旧薬局方に収められていた医薬品であって新薬局方に収められていないもの(以下「削除されたもの」という)および旧薬局方と新薬局方においてその基準が異なるもの(以下「基準の異なったもの」という)については、昭和三八年一月三十一までは、なお、従前の例によることができることとされているが、削除されたものについてはなるべくすみやかに薬事法十四条による手続きをとらしめ、基準の異なったものについては、なるべくすみやかに新薬局方の基準によるように、製造業者および輸入販売業者を指導されたいこと。また、やむをえず旧薬局方の基準によるものについては、その直接の容器または直接の被包に旧薬局方の基準によること(例えば【旧】の文字)を必ず明示するよう指導されたいこと。

 2、日本薬局方外医薬品であって、新薬局方で新たに収められたものについては、すみやかに新薬局方の基準によるよう製造業者および輸入については、薬事法第十八条による手続きをとらしめるよう指導されたいこと。

 「第七改正日本薬局方第二部-制定概略」

 一、通則

 1)この日本薬局方を第七改正日本薬局方といい、その略名は、「日局七」または「J・P・Z」とする。

 2)日本薬局方の医薬品とは医薬品各条に規定するものをいう。その名称とは医薬品各条に掲げた日本名またはその別名であるなお、医薬品各条においてラテン名および通例その略名を掲げる。

 (3)旧日本薬局方の通則第3項の定めるところによる。

 (4)日本薬局方に収めらている医薬品であって、2ml以下のアンプルもしくはこれと同等の大きさの容器または2mlをこえ、10ml以下のアンプルもしくはこれと同等の大きさのガラス製容器でその記載事項がガラス製容器でその記載事項がガラス面に直接印刷されているものに収められたものについては、その名称中の「注射液」または「水性懸濁注射液」の文字の記載は「注」、「注用」または「水懸注」の文字の記載をもって代えることができる。医薬品各条においては表示量、表示単位または有効期間の規定のあるものについては、その含量、含有単位または最終有効年月を直接の容器または直接の被包に記載しなければならない。

 5)許容範囲・重量・容積および温度・切度・粉末度および節・試験・生薬・貯法・常用量および極量については、旧日本薬局方の通則中相当する規定の定めるところによる。

 二、製剤総則

 旧日本薬局方の製剤総則の定めるところによる。

 三、一般試験法
 旧日本薬局方の一般薬局方の一般試験法の定めるところによる。

 四、収載医薬品
 四六四品(略す)

九州薬事新報 昭和36年(1961) 6月20日号

画像
 福岡県薬商組 理事支部長会 六月十九日九州山口ブロック会開催

 福岡県医薬品小売商業組合では理事支部長会を六月十三日午后二時から薬剤師会館で開会した白木理事長の挨拶後、直に次記議案につき協議した。

 (一)員外現制命令申請書作成準備の件
 不況事態その他に関するデーターの蒐集については各支部長の強力なご支援とご協力を切望する。

 (二)九州山口(商組・協組) ブロック会議開催の件
 商組の運営に当り一番癌となっているのがスーパーM及び類似点の員外者であり、先ずこれ等にたいする規制命令の発動なくしては最終目標たる協定価格実施に到達することはできない。その申請についても経済圏を同じくする北九州ブロック(九州山口ブロックを一層希望する)として申請した方が効果的であり、否ブロック単位申請でなくては現制命令の発動は期し難いと思われるので、第一回ブロック会議を六月十九日県薬剤師会館で開催することとして九州山口各県商組並に協組に案内状発送の準備をしていることについてご了承を得たい。

 (三)福岡県薬事審議会促進準備の件
 本県の審議会設置については六月県議会については六月県議会に提出する様既に陳情等推進に力を入ているが、通過の見透しである。

画像
 薬界◇◇随談

 ▲九州の小児マヒ猛威を振る日出した、ソークワクチン、生ワクチン、ガランタミン等の効果の判定未だ決せざるが、子を持つ親はわらをもつかむ、早く巡り渡るよう手っ取り早くして貰ひたい。

 ▲四日夜十一時のNHK@ニュースで厚生省では薬の乱売是正に乗り出す肚らしい医薬の信用も失墜する。其他を放送された。手早くやらねば資本主義に圧されて薬学教育を受けた開局者は壊死寸前に来ている。

 ▲本国会は多数法律案や仝改正案が廃案となったものがある医師団の保険医総辞退旋風を捲き起こした医療に関する二法は廃案になった。古井厚相は社会保険診療報酬(医療費)の値上げは医師会の主張をとりいれ医療保障の危機に対処すると共に「医療費を負担する側の納得を得るような措置を講ずる」と明らかにしている。一方健保連と国保団中央会は「医療協の協議を経て合理的に解決すべきで医師会の一方的要求に屈してはならない」と厚相に発破をかける。日薬もこの機会に飴玉四つしか買えぬ調剤料八円を何とかして貰ひたい。ぐうの音も挙げない日薬何をしている。

 ▲日本公定書協会他二団体主催の第七改正薬局方講習会は福岡会場、九大医薬部中央講堂で開かれた。筆者も二日間聴講者の一員となった。各県勤務の薬学技術員病院勤務者製薬業者が多く開局者は数える程少ないような気がした。主催或は後援者の中にどうして日薬がなかったか或は又はずされたかしらないが日薬はもっと認識を昂める事が必要ではなかったか。山口県樋口氏の顔は見たが、筆者の眼がかすんだか九州の県薬会長歴々の顔が見当たらなかった気がする。だが女性の多かった事は将来への希望が持てるようで喜ばしい事だった。講師は薬学一流の大家で局方改正の当事者で吾々の職務に直結する良い講演であった。(GT生)

画像
 論壇 弛まざる努力を望むや切 長野 義夫

 最近私は時折こんな事を考える事がある。薬業者と言ふ人は何んと人の良い方々ばかりだろうかと。人は誰でも自分に直接関係の少ない事に就ては大体人の良いものであるが、自分への直接の利害や将来の影響等に就ては、仲々いわゆる人の悪い考え方や手段をこっそり取ったりするものである。だが、薬剤師の方々はほんとうに人が善いのかどうか、自分達の大きな利害の問題に就てさえ特別な関心を払はなかったり、又一時は相当の熱意らしきものを示しているが、局面打開が困難となったり或いは可なり長期にわたる努力を必要とする様な状況となった場合には、もろくもその意志は崩れ去って、意外なほどの無感覚さを露出するのが落ちである。

 一体薬剤師は自分たちの目標と使命を何処に置いているのであろうかとの疑いをさえいだかせる程である。あれ程の血の闘いと言はれた分業闘争のその後は一体どうなっているか。勿論闘争といふ言葉から表はされる姿は、血腥い悲壮なものを想像されるけれども必ずしもそうでは、なくて、むしろ内面的なものを含めての闘は、何時の間にか虫の声さえ聞えない古戦場となってしまって、兜の下のキリギリスの風情さえ感じられる程である。身分法にはっきり規定せられ、調剤を通じて医療担当を義務付けられている薬剤師が、その本来の職務を今日迄の永年月の誤まった社会通念と、否むしろ社会通念を誤らせた法律の施行とに依って阻害せられているものを、その障害を取り除こうとする努力をどうして続行されないのであろうか。

 私が今此処で言っている努力とか闘いとか言っている事は、決して総決起大会を開いたり国会に波状攻撃をかけたり、医師会に公開質問状を出したり等を意味しない。むしろこんな大時代的な演技や悲壮な所作事は、関係者の思想統一には役立ってもその本来の目的遂行には却って邪魔になる事さえあろう。目的遂行の為の平常からの弛まざる努力とは、それの為の完全なる理論武装と、そして柔軟自在の外交手段と、大衆の利益を基盤とする経済方策と、ギブ、アンド、テイクと言ふ二十世紀経済実務の実践を、時に臨み折に触れて澱みなく実施する事であろう。自らの弛まない努力の連続以外にはこれを為し遂げ得るものはない筈である。

 薬業経済の安定が叫ばれている。だが薬業経済の不定は誰でも感じているし又叫ぶ位は誰でも叫び得る。然しこれの推進と改革には想像以上日常の努力が必要であろう。然し私はその前に約百年前からの薬業経済の変遷の歴史と、薬業経済が日本経済の中に占むる位置と比重、大衆層のめざましい発展、日本の薬業経済の世界経済との関連性、将来の日本の政治経済の大きい流れと人間性との問題までを含めた深い考慮と広い視野に立って検討が、先ずなされなければならないと思ふ。それからが真の目標の発見となるのであって、このままでは当面の問題のみに始終する結果から生じる幻惑と当惑から吾々は一歩も出る事が出来なくなるのではないかを怖れるものである。

 薬事法上の問題も員外者規制も調整規程も特殊指定の問題等は何れも当面の緊要問題であり現在の法律下で成し遂げ得られる可能限界であろう。自由主義経済機構の元に於ける商業そのものは、あくまで独立自尊であり収益尊重であり資本優位の原則を拒む事は出来まい。

 三つの事象に挟撃される薬業は、此処に新らしい視野に立ち直っての目標の見直しと見通しとを余儀なくされるであろう。いやそれは余儀なくではなくてむしろそれが当然であり或いは新らしい発展の為の第一段階であるかも知れぬ。一人一人が真剣になって取り組まねばならぬ最も緊要な問題なのだが、依然として無風帯で無感心な直接の利害者の何んと多い事か。無頓着は人間性の中の一つの風格であって面白いが此の場合の無関心こそは無能力を意味する、むしろ目的遂行の阻害者である。弛まざる努力を望むや切である(福岡県薬剤師協会副会長、八幡市議会議員)

画像
 福岡県薬協 各委員会幹部打合せ会開催 委員会活躍期待

 福岡県薬剤師協会では左記の代議員会で、本会の運営、事業の推進は各委員会独特の活発な運営を活用すべきであるとの要望に基き、各委員会幹部による打合会を六月十日午后二時から薬剤師会館で開催した。出席者二十余名、会長挨拶後協議に入ったが、委員会の編成については@現在の委員会でよいかA委員数は適当かB現在の委員を改選する必要ありや、を中心として協議検討した結果は、委員会は会長の諮問機関であるが、今後特に実務執行にもタッチして貰い而もその推進力になって貰うこととし、今迄の委員数を減じても熱心な人のみにより編成することに意見の一致をみた。

 委員会は@薬局保険委員会A調剤技術委員会に重点を置き、B広報出版委員会は「季節の手帳」を中心に活動することになり、委員は七月の理事会で従来を考慮に入れて検討決定することになった。

 委員会の運営については@招集者A回数、時期B小委員会設置等について協議し、一回目の招集者は会長、二回目からは委員長とし、回数時期、小委員会設置については当該委員長の裁量によるべきであることを決めた。

 委員会の主要事業及び担当区分については本年度の本会主要計画である@薬業経済の安定、A社会保険分業の推進、B新薬事二法の適正実施並に活用、は『薬局保険委員会』で担当することになったがC学校薬剤師の普及と職務技能の練磨向上は、県学校薬剤師会に於て担当推進することとした以上で一応協議を終えそれより各自の意見、要望質疑などが述べられ相互意見交換後当日の打合せ会を終了した。

画像
 福岡県女薬会 全体理事会開会

 福岡県女子薬剤師会では本年度第一回全体理事会を六月十七日午后一時から薬剤師会館に開いた、当日は新旧支部長も臨席することになっていたので出席者は廿余名、先ず自己紹介に始まり会長挨拶、次いで先の八幡に於て開催した総会報告後本年度の本会運営について先の通り協議決定した。

 (1)本年度「通信」のために各支部は六月中に現況報告並に名簿変更必要事項があったものは其旨
 (2)新卒薬剤師の新会委員勧誘は各保健所を調査の上努力すること
 (3)学薬必置特集号として近く会報を出版する、責任者を田川支部長とし、原稿は八月中に送付する様決定した
 (4)衛生教室を今秋開催する季節手帖と提携、小児麻痺の目標などを考慮に入れて検討すること
 (5)高野日薬会長薬博獲得に対する祝辞並に記念品贈与すること

画像
 薬務局 「ポスト適配」で乱売監視を強化

 薬局等の適正配置規制が薬事法から削除されることによって、薬局の医薬品乱売が再燃するとの懸念が出ているが、厚生省薬務局は」ポスト適配」の一環として昭和三五年二月一二日付薬務局長通知「いわゆる乱売に伴う医薬品等の監視」(後掲)の改正を行い一八日に開かられる全国薬務主管課長会議で明らかにする。

 改正の方向は、右派、三五年当時のような社会的背景ではないが、適配条例削除によって医薬品の乱売が起り得るとの観点と社会的背景を考慮して、再度通知するわけであるが、全体的な通知主旨は、三五年通知を踏襲するものと見られる。なお全国薬務主管課長会議は、六日の国会で成立した薬局等の適正配置規制削除の薬事法一部改正をメインテーマに行われ、適配廃止に伴う諸問題について薬務局により指示が行われる。

 ▽いわゆる乱売に伴う医薬品等の監視について

 (1)乱売されている医薬品特に製造番号等の抹消又は不分明のもの及び乱売の著しい医薬品等については、薬事法第四九条に基づき左の措置を講ずること。
 @随時、頻回にわたり薬事法第四九条に基づき収去し、検査を行ない、薬事法に違反する行為については厳重な処置を講ずること。なお、都道府県衛生研究所において、収去品の試験が困難であるものがあるときは、速かに当局に連絡のうえ処理すること。
 A当該業者よりその仕入れ先等の報告を徴し、関係都道府県とも連絡を密にしそのルートを明らかにし、薬事監視に遺憾なきを期すること。

 (2)乱売に伴う広告宣伝に関しては、次の措置をとること。
 @医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、虚偽又は誇大なものは、薬事法第三四条違反として措置すること。
 A医薬品等の広告(チラシ、ビラ、サンドイッチマン等の行為)中における販売価格の表示方法その他の広告方法が、医薬品等の品位又は信用を著しく害するもの、又は、医薬品の乱用を助長すると思われるものは、医薬品及び化粧品適正広告基準の趣旨に基づき、指導のうえ中止せしめること。

画像
 宮嶋薬務局長談 新薬収載は中医協再開待ち
 HBワクチンの開発を急ぐ

 厚生省の宮嶋薬務局長は二日、定例記者会見を行い「ポスト適配については今後、関係者の意見をひろく聞いた上で、その方向性を決めて行きたい」と述べるとともに、@適配後の動向についてA新薬収載問題B小売業の自由化CHB抗原について、あらまし次のように語った。

 ▽適配後の動向
 薬事法の一部改正案が五月二九日衆議院社労委員長の提案で上程され、可決された。ここでは@廉売防止A不良医薬品の監視B医薬分業の三点がとくに指摘された。今後の問題としては、この三点に集約されようが、参議院の審議、また関連業界、関連省庁の意見を聞いたうえ、その方向性を決めたい。

 ▽新薬収載
 先日、日薬連の保険薬価研から新薬の随時収載の要望が出されたが、一気にこのような方式に改めるのは難かしい。当面は年二回の収載ルールを確立していくことである。しかし、新薬収載は中医協の同意を得る必要がある。医薬品が多いため、現在中医協の動向に注目している中医協が再開されれば即時収載できるように保険局とも詰めを行っている。

 ▽小売業の自由化
 薬務局関係ではごくわずかな影響しかないが、適配の違憲判決が出て嫌なムードになった。しかし総合的な判断に立って自由化に踏み切った。国民的にみても大衆薬のブランド名は定着しており外資が導入されて、外国の医薬品が売られても影響はないと思う。

 ▽HB抗原について
 厚生省内の研究班の結論が近くまとまるが、予防薬治療薬の開発が急務だとの意見が多いので、HBワクチンを開発するため科学技術庁に対し、研究費の申請を行う。また免疫グロブリンの開発についても局内予算で行っていく。ワクチンについてはかなり期待できる見通しである。

画像
 薬務局、新薬のヒヤリング開始

 厚生省薬務局は二日から延べ十日間にわたる新(開発)医薬品の薬価算定に関するヒヤリングを開始した。

 今回対称となる新医薬品は三〇数成分約七〇品目とみられているが、厚生省では業界の希望する随時収載は当面困難であるが、中医協再開次第、年二回定期収載の原則に基づき、追補収載する準備を進めている。中医協再開は、日歯の正常化後、日医・自民党の政治折衝および新開発医療技術の依命通知に対する一号側委員の反発などに対しての政治的解決をみてからであって、新医薬品追補は早くても八月の公算が強い。

画像
 薬務局通知 調剤室は「複数階分置でも可」

 厚生省薬務局は六月二日かねてから検討していた「調剤室等の設置場所等について」を都道府県に通知した。これは、大阪府からの照会に答えたもので、内容は次のとおりである。

 @調剤室、待合室等薬局の構造設備の一部を他階に設けることが適正なる調剤確保のうえで必要と認められかつ、次の場合のいずれかに該当するときは許可をして差し支えない。複数の階にわたって薬局の構造設備が分置されていても、薬局としての同一性連続性があること。すなわち、薬局内の専用階段等によって患者等が昇降できる構造で、当該薬局の外部に出ることなく他階にある当該薬局の構造設備に行くことができること。この場合、ビルの共用階段や百貨店などの一区画に薬局がある場合の一般顧客用階段は当該薬局の専用階段でないものと解すべきこと。

 A複数の階にわたって、薬局の構造設備の一部が分置されている場合でも少なくとも一のフロア面積は階段エレベーター部分等昇降、往来に必要とされる部分の面積を除いて一六・五平方メートル以上であること。

 B当該薬局において常時調剤等の実務に従事している薬剤師によって複数階にわたる当該薬局の業務の管理が十分適切に行うことができると認められるものであること。店舗の構造設備の一部を他の階に設けることとしている医薬品の販売業の許可申請が提出された場合でも前記@に準じて取扱う。この場合少くとも一のフロアの面積は一般販売業は一六・五平方メートル以上、薬種販売業については一三・二平方メートル以上必要。薬局開設者又は医薬品の販売業者が当該構造設備についてその一部を他の階に移す変更を行った場合は、前記@、Aに照らして判断すること。前記@、Aに適合しない場合は、当該薬局開設者又は医薬品の販売業者に対し改善命令等必要な措置をとること。

 C@「○○調剤センター」
 「○○調剤医療センター」等の名称は薬局の名称として適当でない。A専ら調剤を行う薬局は「調剤専門薬局」、「調剤薬局」という名称としてもよい。B一般用医薬品等の販売業務に比し、調剤業務の割合が高いと認められる薬局は「調剤薬局」という名称を付してもよい。但し、この場合は、当該薬局において処方箋の受入体制が整備されている必要がある。

九州薬事新報 昭和36年(1961) 6月30日号

画像
 員外者規制命令発動促進のための
 第一回九州・山口(薬商組 薬協組)ブロック会議

 商組運営に当り一番癌となっているのがSMやその類似店の員外者であり、これ等に対する規制命令や加入命令などの発動なくしては最終目標である協定価格実施に到達することは殆んど不可能である。その申請については経済圏を同じうする九州山口ブロック或は財務局管内別に北九州ブロック、南九州ブロック等として申請することが尤も効果的であり、若しそうでないと規制命令の発動は期し難いとさえ思われるので、茲に九州小売薬業組合連合会と福岡県医薬品小売商業組合とが主催して「第一回九州山口(薬商組・薬協組)ブロック会議」を六月十九日午后一時から福岡市御供所町、県薬剤師会館で開催した。

 各県代表出席者は
 佐賀県=木元金次郎、徳永文平、武田義助、市山壮也
 長崎県=堀正夫
 熊本県=戸田助人
 大分県=安西孝
 宮崎県=矢田部政雄
 鹿児島県=山村実治
 山口県=森広弥太郎、宗岡義雄、油利吾一
 福岡県=古賀、白木、藤野、四島、吉柳、岡野、形井、須原、野口、井上、友納、大隈、山手、外数氏の約卅名であった。

 白木理事長の開会の挨拶に次いで来賓佐々木氏は同商工課を、阿部氏は通産局中小企業課を代表して祝辞を述べ、鹿毛氏は引続き「今後の医薬品商業組合の在方」と題して特別講演をなし、員外者規制命令並に員外者強制加入命令を中心に詳細な解説と意見が述べられ、一同も熱心にこれを聴取、今後商組運営について得る処が非常に大であった、講演終了後直に連合会長古賀氏を議長に推し左記協議に入った。

 (1)規制命令発動促進並に申請について

 (2)調整規程内、協定価格認可の促進について

 (3)山口九州ブロックの設立について、又は財務局管内別に北九州ブロック、南九州ブロック等右三題を一括議題として各県の意見開陳があり、その結果既に商組によって行動をなしている北九州三県を一ブロックとして、先ず早急に申請をなし、他県は適当な時期を待って実行に移ることとして進むことを、一同異議なく了承した。

 (4)各県商組の早期設立認可促進について
 山口、福岡、佐賀、宮崎、鹿児島の五県は既に設立し、大分県は設立申請中であり熊本県は設立同意書募集中で、未だ設立に着手していないのは長崎県だけである、同県は業者と県当局との間に商組に関する限り意志の疏通が欠けているのではないかと思われる節もあるが、業者側には既に書類も準備されている模様であり、至急結成に着手されることを希望すると共に他県からも大いに援助推進することとなった。

 (5)地方薬事審議会の設立促進について
 山口県は既に設立されており剤界でもその運営について考究中である、福岡県は設立について本月の県議会を期待している状態にある、その他の県に於ても情勢に応じ設立促進に努力することになった。

 6)組合製剤の取扱いに就て 佐世保に於ける製剤に関し具体的な報告があったが相等の成績をあげており、益々拡張に努力している、僅か百人の団体でさえこの結果をもたらしている、他県に於ても今後研究すべき課題であろう。

 (7)各県の状況報告と交換

 @山口県=では業者五六〇内五一〇を商組に獲得し協組と表裏一体となり支部長、役員など同一人によって編成している、協組では積極的に共同仕入、官公所夏期納入、学校納入など考慮中である、県内にSM薬品部設置許可が九ヶ所あるが、新法後本年四月廿一日申請、廿四日許可と云う薬務課の超スピード行動もあり、之れは既に業界紙によりその内容等一般に知られている処である、山口業界としては強固な団体を作って審議会と平行し、業界を有利に導く必要ありと痛感している模様である。

 A福岡県=員外者規制命令に関して目下邁進している。

 B佐賀県=山口県と同様商組、協組は表裏一体である、卸の小売行為と訪問販が盛んで困っている、県薬務当局が事務官である等々隣接大県である福岡の好意ある指導を希望する。

 この時堀氏から緊急動議として、吾々九州、山口の業界団体はこの際大分県知事側に積極的に応援し某SMの敗訴を期したい、判例が今後、如何に吾々側に深刻な関係があるかを考えねばならぬとの理由で ▽この際本ブロック会議は大分県知事の勝訴のために決起したいと提出、古賀議長、白木理事長は「能く調査して動機の趣旨を実現したい」と述べ一同はこれを了承した。

 (8)その他=本会は今後年二回位開催し各県廻り待ちとすることになった。以上にて会議を終え七時閉会、小宴に移った。

画像
 薬界◇◇隋談

 ▲来春は参議院議員の改選で特に職域進出の全国区は各業態共に既に下馬評が立っている、業界では「音無しの構へ」未だ動きを聴かない事は遺憾である剤界では理屈をこねる者は多いが全国的な政治大物は居ないと見える、医界では現参議の久留米大学長谷口弥三郎、現日医常任理事丸茂重貞の両氏が日本医師連盟の推薦ときまっているそうだ。

 ▲十八日佐賀県の医師大会は自民党三役と政府相手の医療値上げの公約促進大会であり、会場にかけつけた先生方も緊張、佐賀県薬も協賛の立場で臨席、目的の貫徹が出来なければ保険医の総辞退をすると力強い宣言決議を可決し首相厚相自民党に之れをたゝきつけると共に日医日歯日薬本部に発送する事とし、仝大会では情勢分析の報告に藤川常任理事は理論斗争より経済斗争を力説して拍手を受けた。

 ▲二十日福岡で開かれた山口、九州の薬協組、商組のブロック代表会議は真剣に論議され関係来賓の力の入れ方も御座なりでない、行き詰る薬の小売の世界に活を入れる公取委の叔父さん方の尻をつつく事も亦緊要である。

 ▲商組調整規程!!協定価格の発動は単に組合員が喜ぶのは早い。一旦正札販売に入ったならば、自己が仕入値と必須経費を加算してはじき出した自己の正札販売は絶対的のものでこの掟を真に護らねばならん。誓って護りぬき、生きぬかねばならん努力と覚悟をせねばならんものであり、他人任せ幹部任せでは絶対いけない。組合員一人一人が自覚と遵法せねばならん。(GT生)

画像
 医療反省 横田 豊寿

 医療とは法的に判然と定義づけられているが、本質的には患者の精神的、肉体的苦痛を和らげ、社会復帰を容易にしてやることであろう。薬剤師はこれらに携る医療の中の一員である。患者とのつながりは現時点においては「処方箋」が重要な意味をもっている。今後分業化が更に進むにつれ処方調剤のもたらす重要さは尚一層の要素を内蔵することとなろう。

 分科されている医師診療による処方の内容を専門化されていない薬剤業により判断消化するのは危惧の念に堪えないことであるので今後における調剤は内容を充分玩味した調剤に移行すべく努力したいものである。

 特に投薬を通じて患者の反応を見ることは現時点では至難の業である。そこで慾を云えば別個に「薬の相談窓口」を設け有効性・安全性・副作用・保存法・服用法等の指導、相談に応ずる。又入院患者にも回診時これと同等のことをなし、効果・反応等を勘案し爾後の処理治療資料等診療科にアドバイスするのも一方法であると考える。

 最近幼小児で問題になっている「大腿四頭筋短縮症」がある。本症は大腿の前面にある大腿直筋・中間広筋等が四つある大きな筋肉である。そこへ注射を繰返すと特に成長期にある乳幼児は筋肉全体を繊維化させ成育を止めて下肢の機能傷害を起すものである。このことは十余年前整形外科学会では問題となっていたが小児科医が気付かずにいたことの悲劇で今後の社会問題になりそうである。

 このこと柄から私は「サリドマイド禍」を連想せずにはいられない。外国では早くからサリドマイドが問題になっていたのに日本においては放置され幼い人々に苦痛をもたらしたことは残念で仕方ない、事はメーカーサイドではあるものの吾々も全く関係なしとは云えない事柄である。

 さて処方箋の内容は有効性に比重がかけられているが、薬剤サイドにおいてはその外に更に相互作用・副作用・禁忌等について配慮せねばならぬことは前にも述べた通りである。二〜三の例を挙げるなら、

 (1)抗生剤
 用い方の良否により正に起死回生の薬物であることは衆知の通りである。然し造血器(血液障害)・肝臓・腎臓に障害が起り易く特に妊婦への投与は新生児の第8脳神経障害があることに留意せねばならない。

 (2)副腎皮質ステロイド
 抗炎症作用の王座とも云えるその効果は抜群なれど細菌に対する抵抗が極度に衰えることがあげられる。又胃の粘膜の抵抗を減少させるため胃液の塩酸を濃厚化し消化性潰瘍を起して胃壁が破れ易く然かも破れたらなかなかなおりにくい難点がある。然かも満月様顔貌、浮腫等数々の副作用のあることは常識である。

 (3)経口糖尿病薬
 日常生活の多様化特に食生活の向上に伴い最近「糖尿病」が目立って多くなりこのために経口糖尿病薬が多用される。それ故本剤の投与については皮膚の?痒光線過敏症、消化の膨満感、腹痛、下痢、神経系の頭痛、不眠、関節和、その他低血糖、眼底出血、口角炎等の副作用があることを予想してかからねばならない。

 これ等特定のもののみ二三例を取り上げてみたが勿論これらは用量、期間等の影響することが甚だ大きい事柄であるということを考える時「投薬時」にある程度の判断もできる筈である。それ故にこそ「真の投薬業務」の奥深さ、難しさ、重要さが問われるのであろう。医療の中でこれらの反省を薬剤師のみに求むるは甚だ酷であることは十分了解できるけれど医療という大きな網の中では医師にしろ、看護婦にしろ反省は許されるかも知れぬが過誤は許されない。それ故過誤につながらぬ反省を常時堅持し、日夜研鑚することによって私も薬剤師の一員としてあえて要望するものである。

 私は本態性高血圧症による医療を受けている。薬には涯手離せぬと宣告されているが一抹の不安は冠拡張剤の連用である。本剤の加護により心臓への栄養補給がスムーズになされ「ヘルツのポンプ」も可動してるが本剤の中断による機能不良を考えるとき本剤投与の中止による自活力化の方が良薬ではなかろうかと時折深刻に考えることがあり、別の反省が閃き、折を見て医師と話し合ってみたいと考えている。私事ながらこれも医療の反省ではなかろうか。(長崎県病薬名誉会員)