通 史 昭和36年(1961) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和36年(1961) 2月10日号

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 福岡県薬剤師協会 第七八回支部長会議
 新薬事二法説明会開催決定

 福岡県薬剤師協会では一月廿八日午前に理事会を、午後二時から新年初の支部長会を薬剤師会舘で開いた。欠席支部は浮羽、甘木、三井、京都、築上の五支部であった。工藤理事が司会して開会、会長挨拶後直に左記事項につき協議に入った。

 ▽協議事項 1、薬事法薬剤師法等説明会開催について
 工藤理事説明、新二法は愈々二月一日から実施されることになっているのでその説明会を県衛生部外薬系七団体主催で県下八個所(久留米−二月廿三日、大牟田−+廿四日、小倉−廿五日、八幡−廿七日、田川−廿八、飯塚−三月一日、福岡−二日、三日)で開催する。

 何れも一日間で午後一時〜五時の四時間である。受講者の範囲は@開局者A旧一号B旧二号C配置販売業者D医薬品製造業者、であり講師は県薬務課の課長、課長補佐、監視係長、外となっている。テキストは今県当局で作成中であり、百二三十頁のもの実費百円位である。案内は県当局より、世話は県薬と県商組である。

 2、薬業会舘建設計画に就て 五郎丸会長説明、去月十日の県薬業懇談会の席上で衛生部長が提唱されたもので県薬協もその趣旨には賛成すべきであり薬系各団体から一名宛委員を出して具体的構想をねることになった。異議なければ賛成と云うことに致します。

 3、保険調剤について
 @薬価基準改正A卅五年請求実績B支払基金注意事項、等について工藤理事から説明、請求実績は前年の約三倍(一七、〇一八、七〇〇円)となった旨報告があった。

 4、薬学講習会について
 工藤理事から説明、種々意見や希望があったが大体@開催時期は夏期A日数は一日B課目は少なくし重要なものにC講師は中央の大ものD開催主体は県薬一本にE講習会の形態は従来通りFテキストは店頭医、薬学で一般大衆に通ずるものG開催地は福岡、小倉H修了証書は従来通りI名称は薬学講習会と云うことになった。

 5、福薬国保について
 工藤理事説明、本月廿八日に県の指導監査があるが国庫補助の関係上洵に峻厳であり滞納保険料の一掃が最も大事なことである。保険料に関しては市町村国保はおそらく本年は10〜20%値上りするのではないかと思うが吾々の方は今の処値上げする意志はない。現在使用の被保険者証は四月一日付で更新する。

 6、その他=@日薬総会で表彰する功労者候補として本協会では古賀常吉氏を推せんすることにしたと長野副会長の報告。A九州薬学大会会計残金から一〇万円を本年開催当番県熊本薬協へ最初の資金として、渡すとの報告があった。B県衛生部の丸衆西部ストア二店の特例扱いについて商組理事から説明的報告があり。C本年度の事業費不足のための補正予算について支部長会の承認を求めてこれを決定。D歳末たすけあい運動参加報告E早川校剤会長から校剤師の県内現状報告があって午後四時閉会。

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 薬界隨談

 ▲本年理工科拡允で薬学では京大に製薬学科が出来る。

 ▲日薬代議員会二十三、四の両日東京で開かる、事業計画案を見ると間口ばかり広く奥行きがない。

 ▲熊本では月末九州大会の打合せで各県の首脳部が会合す、本年は第二日目は午前で打ちきる日程にして貰いたい、午後の歯の缺げた様な大会場風景よりは小会場でみっちりした討論を交した方が実収がある。

 ▲医者の実力行使、厚生官僚に反撃する医療斗争は報道機関の良いネタで週刊現代は表裏をブチまけている、水増請求の項も一見する価値がある。

 ▲薬学教育協議会は去月十九日運営委員会を開き薬学専門教育の修業年限を教養課程を一年とし三年以上の専門課程が望ましいとの意見がまとまったと=従来の総括的一年延長が変ったのは財政的考慮が大いに払われた苦心の跡がある。

 ▲最近日刊紙の小型広告欄にチラホラ薬剤師募集の広告が眼につき出した。どうも現金問屋かSMの管理者らしい気がしてならん。

 ▲新薬事法施行公布された薬局の面積、陳列交付する場所や調剤台上の照明ルックスの規定、顕微鏡其他試験に要する器具四十にのぼるもを備付けねばならぬ。

 ▲新法施行に伴う全国薬務課事務打合会は二十五、六の両日開かれ二日目の薬種商販売業に関する質疑応答に関し論議が集中した模様。

 ▲日薬では医療費値上論議にはウンともスンともいわぬ。薬剤師願望の(調剤料)を値上げすれば従って医師も調剤が儲かるので益々処方箋を出し渋るの痛しかゆしで医師に処方箋を出させる様うにするのが先決だとの考慮か。

 ▲本冬は従来の暖冬異変にあらず寒冬異変、全国にインフルエンザがB型流行、英国でも大流行A型でアジアかぜとは有難くない名前だ。

 ▲郵便物の遅れで有難くない年賀状が一月末に届いた。東京当りから返事が来るのもある。全く迷惑至極である。(GT生)

九州薬事新報 昭和36年(1961) 2月20日号

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 福岡市薬剤師協会 役員会と部会長会

 福岡市薬剤師協会では、二月九日午後三時から薬剤師会舘で役員会を開催し次の事項につき報告又協議した。

 1、県薬協支部長会報告
 権藤会長から昨年十一月五日開催の第七五回から第七八回支部長会に至る四回分(本紙既報)の会議報告があった。

 2、福岡市国保運営協議会報告
 市の国保は昨年一月一日から実施されたが薬局経営には甚大な打撃である、協議会は既に四回開かれ、諮問事項は「五割給付を七割に」「保健施設としてはり、きゅうを」など三項があるが、薬局としても栄養剤の給付や協定処方などについて大いに考えねばならぬがこれは運営会に於て検討することに決めた。なお医師が処方せんを発しない理由の一つとして所謂水増し問題があり、これを防止するには医師のカルテと医薬品購入との照合制度が設けられねばならぬとの発言があり、注意を引いた。

 3、日薬の医療費値上問題に対する見解
 四島氏説明、日薬は現在の処静観、然し一般物価は今、戦前の三百乃至五百倍となっているが薬品は僅かに百七十倍に過ぎぬ、値上は当然であるが然し値上げブームに同調は余り好ましくない。又剤界としても今は医師にまかせておけとの消極的態度となっているわけである。

 4、卅五年度会計中間報告
 会計理事欠席のため吉田事務長から別刷について説明報告、相等未収がある。

 5、市国保関係経理に就て
 荒巻理事から助成金とその他について説明があった。以上で役員会終了五時。

 ◆部会長会

 二月十一日午後二時から薬剤師会舘で九日の役員会に関連して部会長会が開催され、十四部会長(代理共)出席、次記事項につき報告又は協議した。

 1、県薬協支部長会報告
 会長より役員会同様報告

 2、季節の手帳愛読者の集い
 県薬協、西日本新聞共催で四月廿五日午後一時〜四時半福岡市玉屋ホールで開催し、先着者二百名にサンプル進呈、福岡大学薬学部長塚本赳夫薬博の「薬の今昔」と題する講演、その他映画などの催しを行い、通知は季節の手帳三、四月号に掲載することと決定した。

 3、学校薬剤師会について
 友納氏説明現在市内に四十七名活躍中であるが金武和白が市内に編入され二十校が増加する。校剤師一名宛五千円が市当局に予算されているが、市会で可決されるや否は未だ不明。来る四月は校剤会の必置制の発動時期であるので必置に対する最善の努力が要望された。右部会長会終了、三時半。

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 校剤師七〇% 日本校剤師会調査

 学校薬剤師の必置制は新年度から実施される建前になっているが、その実施には少なくも新年度迄に七〇%の設置が要望され、成行きが憂慮されていた。然るに日本校剤会の小林、永山両副会長は去る十一日の記者会見で新年度四月一日迄には校剤師の設備率が七〇%に達する見透しがついたと発表した。これは必置制について自治省も交付税を予算化したなども影響し近時本格的努力が払われたが、実施に又書類などによる調査の結果から七〇%は確実との判断を得たのである。現在校医の設置率は九八%、歯科医は八〇%であり、薬剤師が必置制実施最初に於て七〇%達成はまづまづの成績と云うべきであろう。

 校剤師の全国の設備状況は
 ▽一〇〇%達成県
 埼玉県

 ▽九五%〜九九%都府県
青森、福島、千葉、神奈川、東京、新潟、岐阜、愛知、兵庫、和歌山、大阪、広島、山口、徳島、香川、福岡

 ▽七〇%〜九四%の府県
 宮城、山形、茨城、群馬、富山、石川、福井、静岡、滋賀、京都、奈良、島根、岡山、熊本、宮崎

 ▽七〇%以下の道県
 北海道、岩手、山梨、長野、三重、愛媛、高知、佐賀、長崎、大分、鹿児島

 ▽設置皆無の県
 秋田、鳥取となっている。

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 福岡県田川郡 学校理科主任教諭 薬品取扱講習 講師は学校薬剤師

 福岡県教育庁田川出張所並田川教育研究所では十六日午後田川郡内の小中学校養護教諭理科主任の全部を集め同郡方城中学校で薬品の管理並に取扱いの実習について講習会を開催した。講師として同地学校薬剤師側島希允氏外高崎、松井両氏を迎えた。

 講習内容は学校保健法並同施行規則の学校薬剤師職務執行の準則に始まり学校に於て使用する医薬品の管理、常備医薬品の選定購入、貯蔵、品質保持、使用方法、毒薬劇薬の問題等及び理科薬品の管理、危害防止、毒物劇物の各組成、性状、毒性、危険性、中毒症状、応急手当、又貯蔵法各種薬品についての発熱性、発火性、爆発性、引火性、或は消火法廃棄処理法等について講義後質疑応答、引続き理科室に於ける実施指導に移り、二十名宛三班に別れてそれぞれ三講師により指導実験した。なお最後に理科実験の危害について常識試験を行った。−田川通信−

九州薬事新報 昭和36年(1961) 2月28日号

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 福岡市校剤会班長会開催 学校増加に備え

 福岡市学校薬剤師会班長会を二月廿一日午後一時半から薬剤師会舘で開会、友納会長外八名、出席した。

 福岡市では昨年金武、和白の二村が市に合併し、本年四月には周船寺、元岡、北崎(玄海島、小呂島を含む)の三町村が合併する予定になっている。このため小中学十七校増加となり、更に幼稚園、新たに高校(市内高校九校)及び夜間高校五校が増加することになるので校剤会としてはこれに対処できるよう受入態勢を整える必要上関係地区に於ける担当校剤師の新設、変更などその他関連事項につき協議した。

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 大牟田校剤師流感禍で活躍

 福岡県大牟田市に於ても本年の流感禍に襲われ既に六小学校一中学での計学級閉鎖十九に及び、一小学校は三日間全級休校となったが流感対策が勿論学校医の分野とはいえ、これに関連する学校薬剤師会も共に立ち各校剤師は担当学校長、保健主事、養護教諭と協議の結果@含嗽の実施、方法等につきAマスクの着用につきB含嗽剤、マスク等の斡旋につきC教室の保温、換気等につきDその他のついて指導協力することになり、現在なお活躍中である。学校保健の向上と共に学校薬剤師必置実現を控え薬剤師のPRともなることは洵に意義あることであると剤師会では言っている。