通 史 昭和34年(1959) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和34年(1959) 12月10日号

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 福岡地区薬業協同組合 部会長乱研委合同会議
 委員長に工藤敏夫氏選出決定

 福岡地区薬業協同組合では部会長乱研委員合同会議を十一月廿日午前十時から薬剤師会館で開催。出席者卅余名、定刻藤田氏の開会の辞、白木理事長の挨拶、引続き同氏は事業所納入並に訪問販売について現状報告。次いで去十七日熊本県薬剤師会館に於ける九州各県薬協及び協同組合合同の「乱売対策、法規研究懇談会」出席報告をなした。

 福岡県からは古賀、形井両氏と私とが出席しましたが、先づ各県各地の乱売状況が報告され、今後とるべき対策は結局各県共商業組合を設立し調整規程を活要するより外なく福岡県に於ては既に組合設立認可申請中で近く認可を予想している旨を述べた。なお薬事法改正については現在の見透しでは今国会提出は困難観されているようだ。

 次いで藤田氏から鳥飼、唐人町、雑餉隈などに於けるSM報告、工藤氏から会計中間報告、市薬協より鶴田氏は「明日は福岡市三師会主催で市国保に関し合理的完全医療制度要望のため総決起大会を医師会館で開催するので、本人七割給付になれば三割以上の売上減を来す問題でもあり吾等開局薬剤師として大多数が決起出席すべきである」と述べた。

▽乱研委員会の運営に就て

 先に部会長会議に於て決定した各部会長推薦の乱研委員の再確認、白木氏から経過報告、次いで委員会の性格について協議したが、前二回の委員会合での意見は本組合事業、統制二部とその内容に於て殆んど同様であるが、事業所納入及び訪問販売等を中心に積極的阻止行動を進むべきである従来卸売側ではこれ等の行為を一時停止し小売側に協力していたが、その後二次店や小売側の不徳漢によりこれ等の不徳行為が再び出現したため折角の一次店の協力も遂に破れ協力できなくなった傾向が見られるのは洵に残念てあり遺憾なことである。乱研委員会としてはこれ等の実情を能く検討の上断乎たる処置を考慮すべきである。

 当日は委員会整備のため互選により正副委員長を選出することとなり次の通り決定した。
 ▽委員長=工藤敏夫
 ▽副委員長=小野信方、佐野肇、田添茂丸

 当日の第三回委員会はこれにて終え次回は廿八日午後一時から開会することを決定した。なおその後廿八日の第四回委員会では「本会運営並に今後の対策に就て」と題し協議したが、@外売中止の件については卸売業者も小売組合員と同様に扱い実態把握のため各委員は活動しA価格調盤は協組の調整委員と共同して行動をすることを決定した。

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 福岡県校剤会 常任理事会

 一月下旬研修会を

 福岡県学校薬剤師会では十一月卅日午前十一時から薬剤師会館で常任理事会を開会。校剤設置促進対策について協議した結果一月下旬左記により講習並に研修会を開催することになった。

 福岡地区=県薬剤師会館
 筑後地区=柳川市及甘木市
 筑豊地区=直方市又は飯塚市
 北九州地区=行橋市又は豊前市
 右に関し左記により必要資料を十二月十五日迄に本会に送付することになった。
 ▽小倉=教室内環境調査、便所衛生
 ▽若松=検便
 ▽久留米=給食用パンカロリー調査
 ▽大牟田=給食々器に残れる脂肪量とその対策
 ▽福岡=爆音調査、疲労度測定
 ▽八幡=プール管理
 右は調査目的、調査日時、調査項目、成績、判定、対策の六項目に準じて纏めることを決めた。

 福岡県薬協 全体理事会

 福岡県薬剤師協会では全体理事会を十二月一日午後一時半から薬剤師会館で開会。左記議題を協議決定した。

 (1)第廿九回九州薬学大会開催について
 機構、会場、準備委員等は次の支部長会で決定する。

 (2)NHK歳末助けあい運動 医療相談所について
 十二月八日嘉穂郡二瀬町伊岐須小学校で実施するが飯塚支部で調剤担当、出動者は安武、原田、樋口、高嶋、上村の五氏、経費は日薬並に県薬協で負担するが高価薬は有料とする。

 (3)支部長会開催について
 全国会長会議後の十二月十六日に決定。

 (4)薬事法改正について
 日薬案を検討の結果本会の意見並に要望(別掲)を決定した。

 (5)薬業経済安定協力機構について
 滝川氏案は実行面に於で困難を伴うものと思えるが日薬全会員が誠意を持てば成功する。会員の三分の一でも団結して速かに発足するべきである。

 (6)日薬協会賞授賞候補推薦について
 本会としては磯田秀雄氏を推薦することを決定。

 (7)その他=@鶴原理事から中間会計報告A三淵氏から薬事審議会設置について説明B福岡市に設立の薬科大学問題については本会としては関与しない。以上にて理事会終了。

 薬事法改正に関し 福岡県薬協 日薬え回答

 福岡県薬剤師協会では薬事法改正について各理事に於て予め日薬案を検討し本月一日の全体理事会にその結果を持ちより再度検討の上左記六項目を決定、県薬協の希望意見として日薬本部に対し先の改正日薬案諮問の回答として十二月三日発送した。

     記

 一、販売に関する製造業者、卸業者、小売業者の定義を明確ならしめること。

 二、日薬改正案薬剤師法第十七条但書第一項(患者又は現にその看護に当っている者が持にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合)を削ること。

 三、官公立病院等における「調剤所」を「薬局」並に法的に独立せしめられたい。

 四、二号以下の販売業者を認めない。但し「既得権」は認める一部には既得権も認むべきでないとする意見あり。

 五、薬剤師にあらざる者が薬局、一号販売業を開設せんとする場合(持にスーパーマーケット)の登録については厳重なる規制条項を設け新設を阻止せしめられたい。

 福薬国保 第七回理事会 未納会員除名考慮

 福岡県薬剤師国民健康保険組合では第七回理事会を十一月廿七日薬剤師会館で開会、工藤常務理事から先づ業務並に給付状況報告があったが給付額については二年度をむかえて約二倍となり今年上半期で昨年一ヵ年分を既にオーバーし現在三〇名の入院患者がある。従って現財政状態では十月分迄を十二月に支払うこと迄は可能であるが、一月からは支払い困難な見透しである旨報告があった。次いで左記事項の審議に移った。

 ▽審議事項

 (1)保険料引上げについて

 健全財政となすには給付割を引下げるか又は保険料を引上げることが必要であるが、給付割引上げは一般国保情勢から困難視されているので保険料引上げに踏み切らねばならぬ。組合員一ヵ月三百円を四百円に家族百円を百五十円に、外に本人の一ヵ年の給付総額から五千円を基礎控除し超過分に対し二〇%の寄附をあおぐこととし(漸定的に健全財政になる迄を期限とする)又新入会者に対しては入会金として五千円を徴収することを決定、明年一月一日から何れも実施する様規約の一部改正と共に組合会に諮ることを決めた。

 (2)保険料未払組合員に関する件

 前年度よりの未払者は現在六名あるが、これ等については全組合員のために適当な処分をなす必要があるので除名考慮を決定した。

 (3)組合会開催の件

 県薬協支部長会開会日に開催することを決定した。その他職員の年末手当、年賀歳暮などについて協議して理事会を終了した。

      句日記より 山鹿 清水 鹿山

         冬ぬくし樹翁の手紙よみ返し
         木の葉髪名のりて話つきぬかな
         店しめし寒さ火鉢に帰り待つ
         一と時雨去りし障子のうす明り
         霜枯や日のある窓ににじりよる

 植物閑話=榮御老

◇サザンクワ

 山茶花は何人も知っている常緑濶葉樹で、寒い冬に花が咲くのでサムサクハナとの意である。形態はツバネに酷く似ているので一名コツバキとも云いますが、若き幹と子房に密毛があるから直ぐ判る。

 暖帯南部の植物で、佐賀県東背振村の山茶花林を郷土の北限として 天然林保存に指定されているが、実は糸島の浮岳上部に老林があって、花の盛りを訪れる人なきを惜しんでいます。

 山茶花は暖国の植物であるけれども、亦能く寒地にも堪え得るものて、信越地方にても庭園に栽培されて、雪中に菰を冠って開花している状は、淋しき裡にも亦床しさを感ずるのである。

 その種実より髪油を搾る為めに、或は幹材にて食器や玩具を作る為めに、栽培する向きもあるが、普通はその雑多なる花の容色を観賞するものである。

 淋しい奥山に炭焼渡世の一家があった。父は七年前に死して、今は母が七人の子を励まして、雑木を切り集めて炭に焼き、街に運んでは其日其日の糧と換えていたのである。 健気な母は街では賢母との評判が高いが、どうしたものか、七人の子供は揃って大の親不考者である。母が山といえば川と云う味噌買って来いと命ずれば砂糖を買って来ると云う風に、一言一事悉く反対する。

 木枯しの吹く秋の日に、母はフトした病気で不帰の客となった。その時最後の言葉として、七人の子供を枕頭に呼び寄せて、妾は愈寿命が尽き今死ぬが、この世の最後の頼みぢや、妾が死んだなら直ぐに冬の寒い真中に咲く花に生れ出る様に、天帝様に願ってくれよを申して息が切れた。

 母の心では何時もの通り斯く申せば夏咲く花にと願って呉れるものと思っていたが、七人の子供達は、是れ迄は実に反対ばかりしていたが、思い廻せば申訳がない切めて最後の一言なりと従うと衆議一決して、早速天帝様へお願え申すと、忽ち山茶花に生れ出されたのであった。

 母は意外に感じました。そして天帝様へ恨み言を申したので、天帝様はお怒りになって、山茶花が美しく咲き誇っている花の上へ、それより毎夜毎夜雪を降らされました。後に此事を知った子供達は、母の山茶花に代らせ下さいと天帝様にお願えしたが、それは許されなかったが、その代りに小鳥に生れさせるから、小鳥となってお詑びにお参りせよと仰せられました。

 子供達はそれより目白、三十雀、四十雀や金雀等の小鳥となって、山茶花にお詑びに来るというのである。と倭イソップにあった。

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 福岡県医薬品小売商業組合 十二月一日に漸く認可さる

 福岡県薬業界の懸案であった中小企業団体組識法に基く福岡県医薬品小売商業組合は遂に十二月一日正式に設立認可があった。

 全国では五番目である。一昨年設立総会を開催して以来一年余にして漸く結実したものであるが、なお眼目として尤も重要視されている調整規程は現在認可申請中であり、その今後の認可内容如何が本組合の生死を制するものと業者等しく注視している処である。兎に角正式認可を得たので本組合の今後の運営、対策を検討協議する必要があるので、来る十二日には臨時総会並に総代会を開催することになっている。県下千六百の小売業者のために本組合の発展活躍が期待されている。

 山之内製薬 取締役篠原博士 紫綬褒章受章

 政府は十一月廿四の閣議で科学技術上の発明改良に功績のあった廿九名に対し紫、藍綬褒章を授章することを決定、卅日首相官邸で授章式が行われた。薬学関係者としては山之内製薬取締役、薬学博士、米国理学博士篠原亀之輔氏がその光栄に浴した。

 同博士は一般開業医でも疾病の診断が簡単に又正確にできる試薬の製造を研究して、シノテストをして製造発売させていたが、この功績が認められたものである。

 佐賀県薬協組 支部長会議

 佐賀県小売薬業協同組合(理事長木元金次郎氏)では去る十九日午後一時半から県薬事務所で支部長会を開いて
 (一)薬業関係者表彰の件
 (二)佐賀市の太洋SM薬品開設の件
   川内佐賀支部長より反対運動の経過と今後の対策について述べ
 (三)九州薬連報告
   徳永専務より熊本で開かれた全協議会の詳細な報告が行われた後、SM問題懇談では対策を中心に意見の交換がなされた。

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 福岡県女子薬 衛生教室 千八百名参集

 福岡県女子薬剤師会主催の本年度「女子薬衛生教室」は予定通り去月十八日正午から福岡市、電気ホールで約五時間に亘り開催されたが、本年は持に盛大で千八有余名の参集者でホールは立錐の余地もない有様であった。

 福岡の薬大

 「福岡市にや、薬科大学が二校も一処にできるがどげんなるとな」
 「心配しなんな、来年受験する子供の父兄はニコー(ニコー−二校)しとる」    スハラ

 福岡県薬業土会 薬事講習会開催 県衛生部の後援で

 福岡県薬業土会では本年度薬事講習会を県衛生部後援のもとに左記により開講したが、何処も盛大に開かれ出席会員も仲々熱心に聴講し例年の事ながら有益な講習会であった。

 ▽筑後地区(会場=久留米市第一公会堂)十一月九、十日(二日間)
 ▽筑豊地区(会場=飯塚市商工会議所)十一月十二、十三日(二日間)
 ▽北九州地区(会場=八幡市公民館)十一月十九、二十日(二日間)
 ▽福岡地区(会場=福岡市町村会館)十一月廿四、廿五日(二日間)

 ▼第一日
 @最近の法規改正の要点=県薬務課、尾崎技師
 A「せきくすり」について=県薬務課、大庭技師
 B染色法並染料について

 ▼第二日
 @薬店経営について=中小企業診断員、二河定男氏
 A小売商業組合設立、その他=県薬務課、佐々木補佐
 B和漢薬について=県薬業士会顧問、座親義郎氏
 C講演=各所保健所長

 ざっくばらん物語

 第一製薬  新TV番組放送

 第一製薬では十一月未で好評の中に終了した同社提供のフランキー堺主演の無闇 弥太郎のあとを受けて、十二月の第一週から新テレビ映画「ざっくばらん物語」を毎週水曜午後七時から卅分間全国十四局を通じて現在放送している。物語の内容はささやかなパン工場に勤める桃井(谷幹一)、栗田(関敬六)、柿木(沖竜太)を主役にした、老人から子供迄の健全娯楽で、庶民のイデオロギーを基調に人間の善意をテーマにタイミングのいい世相諷刺を出す連続短篇である。一回毎に完結するもので十二月十六日放送は第三話「十時に笛が鳴るの巻」、廿三日は第四話「檻の中のお父さんの巻」、卅日は第五話「可変いいお荷物の巻」となっている。

 旬三昧   筑前 徳島 山花

 先般福岡県立嘉穂高等学校定時制から発行される「ともしぴ」第七号が送って来た。新味溢れる表紙に内容も九十四頁何れも活気に充ちたものである。送り主は薬剤師永吉光男氏であった。

 仝氏は飯塚市に於てホケン薬局を経営する傍ら薬剤師としての知識をフルに活用して仝校が未だ夜間中学と称せられて居た頃から教官として教壇に立ち現今高校定時制に至るまで一貫して教育にたづさはって居る持異の存在である。

 先に挙行された仝校二十周年記念式席上に於て表彰せられたときくが誠に宣なりと云ふべきである。本会誌に載っている同氏の句から一、二御紹介する。

         命日に虫の音きみし秋時雨
         嫁ぐ日のお座敷せまし花芙容
             永吉光

 薬界短信

◆福岡県薬協主催講演と映画の会=十二月五日午後一時から福岡市 商工会議所三階ホールで中外製薬の協賛によって左記により開催した。
 ▽講演=@取材のメモから−毎日新聞本社化学部、阿部三雄氏 Bガンの話−九大教授山村雄一氏▽映画=@ガン細胞、A結核菌と化学薬剤

 ◆福岡県薬業懇談会十二月例会=九日クラブ九州で午後二時から開会した。
 @協同組合等の行うマスコミ商品の共同購入に就て
 Aメーカー 卸より見た小売薬業安定振興方策に就て、付小売業者に対する要望事項
 B農協に於ける限定品目外医薬品の販売について

 ◆明薬学園評議員改選=明薬学園(明治薬大)では先きに評議員の改選を行い五十名が決定。九州からは左記七氏が再選された。
 小野勝夫(福岡)武田義助(佐賀)力武網一(長崎)吉田末定(熊本)北島休次郎(鹿児島)宗諦(宮崎)岩里由雄(大分)

 ◆九州漢方研究会第一一回研究会=十二月十一日午前十時から左記により開会。
 @方剤運用の基礎的諸問題−戸田秀実氏
 A桂枝、柴胡加竜骨牡蠣湯−久保川憲彦氏
 B腎虚の証−船津純彦氏
 C生薬解説=(春の七草)−松田栄五郎氏(竜骨、牡蠣)−塚本赳夫氏
 D質疑

 ◆福岡県商組臨時総会並びに総代会=十二月十二日午後一時から消防会館で開催。
 ▽特別講演=「最近の新薬の話」武田薬品学術課長 野本利彦氏
 ▽臨時総会=経過報告並に会計報告
 ▽総代会=@調整規程議決の件A賦課金の件並に予算審議B総代八名選出の件C商業組合今後の運営の件−共同仕入研究の件
      (詳細次号)

 ◆福岡県薬協支部長会並県薬剤師連盟評議会=十二月十六日午前十一時から薬剤師会館で開会し左記議事につき審議予定。
 ▽薬剤師協会=@日薬主催全国会長会議出席報告A第廿九回九州薬学大会開 催に就てBNHK歳末たすけあい運動健康相談に就てCその他
 ▽薬剤師連盟=連盟運営について

 ◆福岡県薬国保組合会=十二月十六日午後三時から薬剤師会館で開会、左記議案処理予定。
 ▽議案=(1)@一般業務報告A保険給付状況報告B財政状況報告
 (2)提案事項@福薬国保組合規約一部改正に関する件A卅四年度歳入歳出追加更正予算に関する件B協議事項

 ◆三共薬業講演会
 佐賀県薬業小売協同組合と佐賀地区三共会共催の薬業講演会は十六日佐賀市の県薬剤師会館、十七日唐津市医師会舘で何れも一時から開かれ左の講演があった。
 @時流にのった薬局薬店の経営=三共販売促進部村上進仁氏
 A最近の二、三新薬に就て三共学術部=次長水田弘一氏