通 史 昭和34年(1959) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和34年(1959) 10月10日号

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福岡地区薬業協同組合 新旧理事合同会議 新理事長に白木太四郎氏選任

 去る九月廿一日開会の通常総会で役員改選となった。福岡地区薬業協同組合では廿六日午後三時から薬剤師会館で新旧理事合同会を開催し、総会での理事選考委員も列席した。

 司会者に工藤氏を推し、出席の荒巻選考委員長が選考の際の事情について詳細説明があり「役員の方は大変な骨折りでご無理になる方もあると思うが、会員の皆さんがそれに対し感謝の気持を持って居らるればいくらか慰められる処もあるが、皆が皆そうでもないので洵に遺憾であり又、お気の毒に思うのであるもお願いするより外ないので、こ諒承を願いたい」との挨拶が述べられた。

 次いで司会者から正副理事長並に会計理事を決定したいと発言、選挙との声があり 選挙の結果次の通り決定した。

 ▽理事長=白木太四郎
 ▽副理事長=斉田和夫(博多保健所区内)、藤田胖(福岡保健所区内)、高嶋康和(南保健所区内)、薬業士一名未定
 ▽会計理事=工藤益夫

 なお登記に関する役員については理事長に一任することになった。新理事長白木氏は「SMが或る程度型がつく迄お引受け致します」と挨拶し、次に早速事務機構について一同に諮り協議の結果次の六部を設置することを決定した。(○印は部主任)

 ▽庶務部(法改正、審議会設置、庶務一般○藤田、勝目
 ▽会計部(一般会計)○工藤
 ▽事業部(メーカー、卸、事業所訪問販売、SM対策、協同購入等々)〇斉田、大隈、世利、安部
 ▽統制部(価格、マスコミ商品、乱売等々)○国武、花田、土井良、木村
 ▽宣教部(情報、宣伝、教育等々)○高嶋、伊田
 ▽商組部(商業組合関係一切)○瀬尾

 各部の活動を円滑ならしむるため理事の増員が必要となるので各部長から推選して次回に決定する。

 次いで工藤氏は、会計簿が返えって来たので早速午前中に四島、世利両監査員の監査を受け通過した。還付金は部会長を通じて各員に送りたいと思う。なお決算報告、卅四年度予算の説明があり近日部会長会に諮って承認を得たいと考えている」と発言。それより白木理事長からSM対策に関する問題について話しがあり会議終了。午後七時閉会となった。

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 全薬連の研修会と総会 千五百余名参集

 第十二回全日本薬業士連合会研修会並に、全国大会が去月十七、八の両日全国から千五百余名が参集して名古屋市の県文化会館で盛大に開かれ、資格の法制化や乱売対策などが討議され例により大いに気勢を挙げた。

 第一日は午前開会式を開き、会頭会長の挨拶に次ぎ多年薬業士会の向上発展に尽した全国八ブロック会長(九州は伊藤善蔵氏)と各県推薦の五十六名(九州では福岡−伊藤善蔵、松尾七郎、高倉重治▽佐賀‐横溝精介▽大分−高橋三郎、厚田招雄▽鹿児島−馬場三蔵、吉原浅吉の諸氏)に表彰状並に感謝状が贈られた。次いで加藤衆議院議長、厚生大臣(代理)外知名諸氏の祝辞があり午後は研修会に移り厚生省、名大などよりの各講師の講演を聴講して終り。

 第二日の午前は前日に引読き名大教授の講演があった。午後総会、午前には別会場で代議員会を開いて総会の準備並に本会の大網を決定し、午後の総会で先づ会長会頭の挨拶、卅三年度事業並に収支決算報告を承認。卅四年度事業、予算外各議案を審議可決した後相談役七名(九州では福岡県の森重文七氏)顧問二名を推薦、続いて各地区代表の意見発表があり、宣言決議が朗読された。

 なお協議事項の内で伊藤副会長(福岡県代表)は薬事法改正に際しては資格の法制化即ち業権の確立、国民皆保の実施は医薬品販売が処方調剤に依存する傾向となるので薬業士もこの際医療機関として、保険薬業士の資格を獲得すべきだとの考えの下に指定薬品の全廃を含む業権の確保、及び後継者の養成を織込むよう努力すべきである、と述べた模様で、薬業士の立場としてはうなづける諸点である。

 植物閑話=栄御老  センブリ

 山丘向陽の地に自生する小草であるが、その時他に比類なく苦くして千遍振り出し(煎じ)ても尚苦味去らぬので、千振りというが一名を当薬と呼ぶ。それは凡ての病を治するとの漢意てあると、或る軍書に見えている。

 二年生の小草にして、秋季に開花結実して種子を散下して発芽越冬し、夏日陽光を受けて成長するが雑草に混生して容易に見出し難きを常とする。

 医療用に供するは勿論、家庭薬としては極めて重宝なれば、秋季これを採集して保有すべき必要があるものであるから、秋の山丘にハイキングを兼ねて採集されることをお勧めいたします。

 その需用は年々増加する。一方にはその生産量が反対に年々減少しつつあるは、何人も知るところである。今その原因を探究するに、この草は小柄にも似ず極めて陽性にして、夏期の炎天下に能く日光に浴さなくては成育する能はず、その成育現場を見るに、多くは?山等の周辺にて樹木極めて疎らにして、下草の矮生なる?裸なる地を好むものである。若し採集せんとすれば、斯る土地を撰ぷべきである。

 昔は農山村では夏に草を刈りて、牛馬の飼料又は肥料としたので、その影響に依って自然夏の陽光が旺んに受けられたので、当然千振が良く繁茂したものであったが、近時は牛馬の飼育は減じ、緑肥は化学肥料に押されて、為めに千振の生産か漸減しつつあるのである。

 然し斯る貴重品を栽培を試みたる人も数次あるが、何れも不成功に終わっている。村越三千男著大植物図鑑を見れば「凡て龍胆と異なきを以て、施肥、植付、採収、貯蔵法等龍胆の手段に依り差支へなきものなれば、龍胆と混同栽培するも可なり」とあれども、これ全く龍胆と牲態を異にしているもので、思うに実際を知らない机上の空言に過ぎないものと信ずる。

 嘗て知友松田栄松なる者、富山の薬業研修会の委托を受けて二十余年間種々の方法を按じて試作したることあるも、遂に一回も成功せしことなく、遂に放棄して終ったのてある。私も約十年に渉つて千振の栽培に就いて研究したが、遂に得ることを得なかったのである。

 その間の経験に依れば、(一)畑地、殊に肥沃なる地を嫌う。(二)施肥は最も忌む。(三)移植極めて困難にして、活着率勘く且つ移植したものは発育甚だ劣る。(四)栽培品は多くは梅雨季若しくは残暑の候に枯れる。要するに栽培は極めて困難にして、自生品の採集に俟つべきものと信じます。

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 福岡協同組合 薬業講演会開催 白木新理事長活躍

 福岡地区薬業協同組合では、日本能率協会参事調査部長の佐藤弘之氏を招いて、十月一日午後一時から福岡市渡辺通電気ホールで薬業講演会を催した。出席組合員百余名、斉田氏司会して定刻開会、藤田氏の開会の辞に次いで白木理事長の挨拶があり直に講演に移った。

 佐藤講師は「医薬品業界の現状と協同組合の進むべき道」について約二時間半に亘り講演され、「現在大量生産従って大量販売の時代に当り小売薬局薬店と組合との在り方、同じ組合員でも大別すればABC三段階ともなり、各階の利益代表者のリーダーによって小売店の団結、一つの協同体を造って協同の利益を獲得せねばならぬ。

 従来の役員がややもするとAB階級代表者によって独占される様な傾向があったことを反省しなければならぬ。又小売店は今後各自特色ある薬局薬店とすることに努力せねばならぬ」と説き、引続き質疑応答に移って大いに得る処があった。

 講演終了後藤田氏を座長に推し協議会を開き、白木理事長を中心にこれ又質疑応答があり、マスコミ商品値引や訪問販売等についえ協議検討し午後六時散会した。

 全薬連幹部 薬事法改正陳情で緒方、刈米両博士を訪問

 来春国会に薬事法改正案の上提を見越し全薬連では名古屋に於ける総会開会に先だち去月十四日近藤会長、九州代表伊藤副会長、小木曽事務局長と三人打連れて薬事審議会委員長緒方章博士、薬事法改正審議会特別部会委員長刈米達夫博士を訪問し何れも改正要望案を提出して種々陳情した。

 日本薬学会 九州支部例会

 日本薬学会九州支部第十六回例会を十月廿三日午前九時から長崎大学薬学部講義室で開催するが当日の演題は次の通りである。

 (1)活性カルボニル基を有する化合物の研究(第八報)=(九大薬学科)井口定男○児玉康志、後藤茂、二神英子
 (2)紫川水質の四季における変化および汚染ついて=(八幡製鉄所病院労働医学研究課)元田紀雄、新城玄○由比顕之介
 (3)4‐Ethoxyisoplothalic acidの一新合成法=(長大薬学部)河野信介〇三浦博史
 (4)フラン誘導体の合成化学的研究(第XXVIII報)2−ハロゲン−3〔−2−(5‐ニトロ)フリール〕アクリル酸の合成(九大薬学科)?技東雄〇田中昭
 (5)クマリン誘導体の薬学的研究(十四報)ニトロオキン 3 カルボン酸誘導体について=(長大薬学部)一番ケ瀬尚〇市川正孝
 (6)2−クロルピリジン−1−オキントの求核置換反応について=(九大薬学科)浜名政和〇山崎企善、野田浩司
 (7)2−置換ピリジン−1−オキシーと無水酢酸との反応=(九大学薬科)浜名政和○山崎企善
 (8)芳香族N−オキントのDecker酸化について=(九大薬学科)浜名政和〇山崎企善
 (9)2‐ピリジンアルデハイト−1−オキサイドのP−ジメチルアミンフェニールニトロンについて=(九大薬学科)浜名政和〇梅沢文輔、後藤良宜  (10)アセトブチロフクトンのベッヒマン反応=(長大薬学部)小林五郎〇桑山良像
 (11)ピコリン‐N−1オキント類の無水酢酸による転位反応機構について(その2)=(長大薬学部)古川淳
 (12)スルホへプタノンに関する研究(第一第二第三報)=(熊大薬学部)久保田和彦
 (13)メチル又はエチルチオ尿素の薬効学的研究=(熊大薬学部)加来天民○久保田和彦
 (14)数種のアルコール化合物のRhodopain再合成並にERGに及ぼす効果(視機能に関する化学的研究(第VII報)=(九大薬学科)○古森徹哉(鹿大生理)栗山熙
 (15)Toad Scotopsinの構成アミノ酸並にN−末端アミノ酸について(視機能に関する化学的研究(第V lI報)=(九大薬学科)塚本赳夫○古森徹哉、井上雍子
 (16)有機分析(第二十二報)3 6−ジニトロフタル酸による血糖及び尿糖の定量=(九大薬学科)〇百瀬勉、稲葉顕、向井良子、渡辺満子
 (17)有機分所(二十三報)肉眼比色による血糖及び尿糖の定量=(九大薬学科)百瀬勉
 (18)グルクロン酸抱合に関する研究=(九大薬学科)塚本久雄○加藤敬太郎、吉田和夫、辰己淳
 (19)P−nitorophenylglucuronideを基質とするB−glucuronidaseの力価検定=(九大薬学科)塚元久雄○加藤敬太郎、青田和夫(丸大第三内科)沢田藤一郎、桝屋富一、廷永永正
 (20)リモニンの研究(第八報)リモニンの部分構造に関する知見=(熊大薬学部)○藤田?、赤塚政美、長??
 (21)Dinitrobenzene誘導体と活性メチレン化合体との反応に関する研究(第二報)各種置換基を有するm−ヂニトロ化合物の呈色について=(熊大薬学部)赤塚政美
 (22)同前(第三報) アルカリ存在下に於ける3 5−ヂニトロベンゼンスルホン酸加里とメチルケトンとの反応(〃)赤塚政美
 (23)同前(第四報)3 5−ヂニトロベンゼンスルホン酸誘導体の合成(〃) 赤塚政美
 (24)同前(第五報)アルカリ存在下に於ける3 5−ヂニトロ安息香酸或は置換化合物とメチルケトンとの反応(〃)赤塚政美

 なお次回弟十七回例会は十二月五日開催の予定。十一月十日迄に九大薬学科日本薬学会九州支部例会係に演題申込のこと。

 薬界短信

◆筑紫二十日会親善野球大会=第十六回同大会は十月八日から十二日迄五日間各メーカーを代表する十九チームで大濠球場で龍虎相打つ熱戦が既に開始された。(詳細次号)

 ◆福岡県女子薬「衛生教室」=県女子薬剤師会主催の衛生教室が次により開催
 ▽日時 十一月十八日午前十一時半開場十二時開会
 ▽場所 福岡市電気ホール
 ▽講演題 美しくなるための薬ののみ方
 ▽講師 NHKテレビドクター古屋英樹先生並に美容界の大御所山野愛子女史(美容の実地指導)

 ◆明薬学園評議委員会=同園地方評議員会が九月廿一日明薬大講堂で地方四〇名在京二〇名が参集して開催された。九州からは力武(長崎)吉田(熊本)武田(佐賀)の三氏が出席した。

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 薬界随談

 ▲去月名古屋で行はれた全薬連全国大会がいとも盛大に開かれ、特に各府県提出の中にはいとも勇敢なものがある。国民皆保険に備え錠剤投与の処方箋を認める医療担当者に指定せよ。宣言では、万一われらの発展進歩を阻害するが如き破壊分子の妄動に直面する場合は内外を問わずこれを断乎これを撃破する勇気と決意を固め・・・云々とあり弱々しいよろめきの薬剤師は腹を潰す者も有るかもしれん。

 ▲衛生検査技師法に薬剤師が指定漏れしていた事が問題となり、一種の政治的動きとなり曙光明るく、近く閣議了承の上政令に指定される見通しになっている。

 ▲我国の薬育機関は二十八校で女子部と製薬学科の両学部を加へると三十校とも考へられる。更に地理的に見て九州に私立薬大が来春を目ざして開校準備を急いでいるが、学校の方針で薬剤師を養成加えて薬学研究者、更に社会理科教諭免状習得の為めの単位或は衛生検査技師、衛生管理者の資格迄手をつける課目を盛り込んでいる処も有るかと思へば、我校は薬剤師を養成する一本槍の学校も有る。それで良いのだ。それが校風と云ふものだ。

 ▲半年振りに筆者上京、大都会の渦巻は大きい。変りようも劇しい。薬業界のみは下落ちで加えて東京都の国保が七割受診でやれば、薬局の打撃更に甚大と悲観情勢で薬局の化粧品屋、更に雑業化目立って来た。加えて濫売屋やSMの現出に今更あわて出している。保健薬の廉価販は軒並にやっている。新宿繁華街の角店の新しいSMをのぞいて見た。パンビタン五一〇円仝M五四〇円、ミネビタール五一〇、パンビタンペレー一八〇円、ポボンS一一八〇円と云ふけた外れの価であり、化粧品は大体三−四割引で山と積まれている。客が買い求めるているのは洗石鹸、ちり紙、台所用品等が多く、薬の売場は奥まった処で、小ざっぱりした女事務員?が一名居った。たまたまコンロ用アルコールのはかり売りを尋ねたが御生憎様と断っていた。

 ▼筆者は廿一日から二日間開かれた明薬学園評議員会に上京出席したが、学校側との懇談会で、母校に対する要望の一つに近時女性の薬学志願者が多く、中には嫁入り道具の一つとするものも有る。将来の薬学と薬業の為めに男性を多く入学されて貰いたい!!夫れは出身者の子弟を入れろと云ふ事ではなく薬学の将来を憂いてのこの切なる統計的の声であった事は見逃してはならない。    (GT生)

 十月二十日 三共レッドソックスと福岡市薬業団の野球戦

 三共レッドソックスと福岡市薬協、同じく三共対卸組合で左記により野球戦が催される。薬協会員で出場希望者は得意のポジションを書いて協会事務所迄申込まれたい。

 ▽十月二十日午前九時から東公園球場で
 福岡市薬協―三共女子軍
▽同日午後一時から平和台球場で
 薬業卸組合−三共女予軍

 博多ぷり二○加

 毛生液
 「この前もらいました毛生液は良ら効きましたやなあーもう、こげん生えましたばい」  「ほー大分生えましたなあーもう一瓶つけなりや、モーコン(毛根ーもう来ぬ)でよかスハラ

      句三味  筑前 徳 島 山 花

         阿蘇登り夥しうて天満し
         ライオンも虎も機嫌や天高し
         天高く運動会の花火鳴る
         山深く椎茸どころ猪どころ
         松茸をとってくれたる案内役

      露のいのち 福岡 田 中 三 秋

         きりころと露のいのちの玉ころげ
         鎌上ぐる蟷螂?れし胸あらは
         しぐれ路の情温むるなめこ汁
         葡萄の実篤きこころの里を去る
         秋茄子妻がもぎて来顔洗ふ

      句日記より 山鹿 清 水 鹿 山

         日曜や子が売りに来し萩の花
         彩つくすコスモス露をこぼしけり
         露しとどコスモス朝の日を修む
         庭上の紫苑盛りの露上げぬ
         燈火親し妻も帳簿整理かな

      句帖より    合 屋 杉 峯

         鯉はねし水の音かや十三夜
         嫁ぐ日の近づく月の育ちつつ
         借金もありて月見の句座にあり
         限りなく蒼き空なり曼珠沙華
         恐ろしき秋がまた来ぬ咳薬

      天主閣復元   三 淵 北 斗

         この城は南蟹造りぞ秋の雲
         白壁の浮き立つばかり秋の城
         しゃちほこの夕映え仰ぐ虫の声
         秋雨に煙る松並天主閤
         秋水に映れる雲の動かざる


九州薬事新報 昭和34年(1959) 10月20日号

 九州医療品卸 第五回定時総会  鴻江会長外再選

 九州医療品卸商連合会では第四回定時総会を十月十日佐賀県呼子町松田屋旅館ホールで開会したが、当日は十一社の代表者出席(二社欠席)して最近の九州医療品業界の現状とその対策について検討した後次の事項を協議決定した。

 (一)名古居医療品卸商組合え台風見舞金送附
 (二)任期満了に伴う役員改選
 (三)今後の野球連盟の方針と野球大会の要領
 (四)次回開催地(大分県天ヶ瀬温泉に決定)
 改選の結界新役員は次の通り決定した
 ▽会 長=鴻江医療品 鴻江新
 ▽副会長=イズミ商店 大木茂
 ▽専務理事=栄医療品 永田利雄
 ▽理 事=双葉医療品 高木繁男▽不二屋商店 大平晋
 なお本会今年の野球大会成績は(八月五日既報)左記の通りであるが、十月十八日福岡市東公園グラウンドに全チーム集合、最後の試合を行った。
 左 記
 栄医療品5−4加賀医療品
 高瀬商店12−2加賀医療品
 栄医療品11−2鴻 江 会
 高瀬商店7−4加賀医療品

 薬界短信

 ◆帝国臓器福岡出張所電話番号変更=福岡市商工会議所内の標記出張所の新番号は「A一七一八」である。

 ◆福岡地区薬業協同組合「福岡西分会」発会式=福岡西部地域の部会長及び有志十五名が十月十三日西新荘に参集談合の結果、十六日午後七時から福岡当仁町公民館で「西分会」(当仁、草ヶ江、西新、姪浜の四部会)の発会式を挙行することを決定した。(詳細次号)

 ◆福岡市学校薬剤師協会=本年度辞令交付式並びに第一回研修会を十月十七日午後一時半から薬剤師会館で開催行事次の通り。
 @環境衛生器械の取扱い方について
 A市教育長挨拶辞令交付

 ◆福岡県薬商組理事会=県薬商業組合では目下認可申請手続中であるが十月十七日午後一時から高砂会館で理事会開会左記議案を審議した。
 @その後の経過報告
 A地区長会総代会開催の件
 B調整規程草案検討の件
 C関係当局との連絡機関設置の件

 ◆福岡県薬業懇談会=十月例会が十九日午後一時半から薬剤師会館で開催された。(詳細次号)

 ◆佐賀県立病院坂井氏辞任=永らく勤務していた薬剤部長坂井清二氏は去一日付で辞任、仝氏は郷里佐賀県川副町犬居道で薬局業務に専任されることになった。

 植物閑話=栄御老  ヒキオコシ

 昔、弘法大師巡暢の途次、人里遠く離れた山途の路傍に、疲れて瀕死の状態にある一旅人を見付け、従僧に命じて介抱せんとせしも最早や絶命の吐息のみ、この時大師はこれを引き起して道端にあった苦味の草を搾りて汁を服ましめたところ、不思義や旅人は息吹き返し眼を見開き、遂に元気を回復し命を延べものである。

 これより此草をヒキオコシと呼び、亦の名を延命草と名づけたのである。この草は、広く山野の草原中に自生せる多年草にて、茎は直立して長きは二米にも及ぶものがあって、疎枝を分ち白紫色の小花を円錐穂状に咲く一見萩を観るの感あり、葉は尖端広卵形にて対生し、茎葉共に千振に等しき苦味がある。これに依ってか鬼千振と呼ぶ地方もある。普通千振の代用とされていることは申迄もない。

 秋季に花盛りを刈り採り枝葉茎花を共に細く刻みて日乾して貯ふ、使用の際は熱湯にて浸出し或は煎じて服用する。薬力は千振の四分の三の能力なりといひ、亦採集後二ヶ年にして、薬力を耗失することを欠点とする。故に毎年の行事として家庭用を採集して置くがよい。

 それにはこの草の姿態恰も萩の如くにして雅味あるものなれば、三四株を観賞を兼ねて庭辺りに植えておき、好時期に採集するが良策と信ずる。

 曽て西部軍司令部に出仕の折、薩摩の阿蘇兵団(伊作)に指事巡回の際、夜中頓かに屯兵二十人余りが腹痛に悩み出して、軍医も当惑して相談に来たことがあった。其日行く途中にヒキオコシの一群を見たるを思い出して、兵を伴い深夜中に之れを採集し、細刻したるも生の儘熱湯浸剤として服用せしめて、翌日正午までに全員全快したのであった。その時伊集院駐屯の柳田陸軍中将は、戦時急救の要品として沢山採集せしめ、二三貫匁宛各兵団へ急送されたが、皮肉なる哉、それが各所へ到着すると同時に、終戦となったのであった。

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 福岡市薬協と市当局との国保懇談会

 福岡市薬剤師協会では明年一月一日から実施予定の国保が、実施の暁に?す業界の不安脅威に関して検討の結果一対策として、先づ市保険者側当局と意見の交換、薬局側の国保実施より生ずる営業被害について陳情のため懇談することになり、十月十三日午後三時から薬剤師会館で懇談会を開催した。

 市保険当局側から原田民生部次長外四名、市薬協側から正副会長外理事特別列席者として四島、友納、工藤の三氏が出席した。

 先づ権藤会長の挨拶後、同氏、工藤、四島、馬場の諸氏から国保実施の結果、薬局の蒙る営業被害について多くのデーターを挙げて説明し、不完全分業の下に在る薬局調剤の現状、国保実施の下で薬局が生きる道は処方箋調剤による外ないので不完全分業を実質的に完全分業に転向させる様努力するより外対策としては皆無である事を詳細陳情し、市保険者当局としてもこの実情を充分考慮して処方箋の流出手段に意を注がれんことを極力要望したい旨述べ、これに対し市保険者側からは「社会保障の美名の下に実施後の財政的裏付けのない国保については多くの疑問を持っている。

 薬局側の要望は尤もと考えるが実際問題としては仲々困難な事柄と思える。当方としても被保険者の処方箋が多く出る様でき得るだけ薬局側に協力したい」との話しがあり 大体順調に当日の懇談会は進み、午後六時閉会となった。

 福岡県薬事功労者内定 石橋廷三氏外九名

 福岡県薬務課では第四回目の昭和卅四年度「薬事功労者」表彰について十月十五日午前十時から衛生部長室で部長、薬務課長外係員並に選考委員として四島久(県薬協副会長)座親義郎(県薬業士会顧問)、奥沢威夫(大日本製薬福岡支店長)、安河内鬼子(九州薬事新聞社主幹)の四氏が参与して選考した結果、左記十名を本年度の表彰者として選考内定した。

 表彰式は十九日午前十一時から県庁知事室で挙行されることになる模様である。
 石橋延三(福岡市)米村源太郎(若松市)高倉重治(福岡市)楠根尭平(若松市)三原国彦(戸畑市)原田正三(行橋市)吉谷吾常(門司市)平野孝(小倉市)吉田九八(久留米市)安田広(戸畑市)

 佐賀県薬協 薬学講習会

 日薬並佐賀県薬剤師協会共催の本年度薬学講習会は九、十の両日佐賀市の労働会館で開催され受講者は百余名であった。

 第一日(九日)
 ▽現代医薬の基礎知識
    九大 高畠英伍氏
 ▽最近の育児相談
    九大 寺脇 保氏
 ▽妊婦の栄養について
    九大 井槌 進氏
 なお会員外に助産婦四十余名が特別聴講した

 第二日(十日)
 ▽薬局製剤
    九大 小島正治氏
 ▽薬局事務の能率化
    九大 松村久吉氏
 ▽時事解説
    日薬 滝川未一氏
 ▽保険調剤
  佐賀県薬 川内一男氏
 尚滝川日薬常務理事を中心に十日夕、宝山荘で懇談会を開いた。

 九州漢方研究会 総会と研究会

 九州漢方研究会では十月十五日午前十時から福岡県薬剤師会館で第一回総会を開会した。会員二十名出席塚本九大教授の挨拶に次いで庶務(宣木氏)会計(久保川氏)の報告があって行事を終え引続き同会場に於て第九回研究会を開き左記の講演があって午後五時盛況裡に閉会した。

 一高血圧症と動脈硬化症の漢方治療に就て=戸田秀実氏
 一薬方解説(八味地黄丸)=宣本康照氏
 一生薬解説(山薬、地黄)=塚本赳夫氏 松田栄五郎氏
 一質疑応答(座談会)

 佐賀市にSM突如現わる

 佐賀市片田江神代薬局に隣りして本夏開店した大洋ストアは予てから薬品等開設の意図が有り仝地薬業界も注視していたが、去月の県人事異動で薬業関係者も相当異動した其の間隙?に突如医薬品販売の登録申請書を(去月二十五日)佐賀保健所に提出した。

 このことを知った佐賀市薬業組合では県薬協組と連絡を取り役員の緊急集会更に県薬開局部会、市郡部会の緊急総会を開いて阻止運動と今後の対策を協議し、取りあえず県薬、県薬協組、卸薬業、薬業士会の四者一体となり、十日午前池田知事を訪問してSM薬品部開設許可の反対陳情をなし、斗争資金の拠出等について一致の体勢で進んでいる。尚数日前に開店した駅北の銀丁ストアでも薬品部設置の気配があるので周辺業者はこれ又警戒につとめている。

 =三共チーム優勝= 筑紫二十日会野球大会

 筑紫二十日会では恒例の本年度親善野球大会が第十六回大会として十月八日から十二日迄五日間大濠球場で行われたが、年々出場チームもふえ今年は十九チームとなり連日熱戦が展開された。

 十二日午後全戦終了後閉会式に於て優勝三共チームに小島委員長(山之内製薬福岡支店長)から優勝カップが拍手裡に授与され、次いて個人賞として三共の高橋梅男氏に「最高殊勲賞」を、山之内製薬の岡本隆之氏に「最高打撃賞」がこれ亦満場拍手の裡に授与され盛況裡に五日間の親善大会は芽出度く閉会となった。最終日十二日の花々しい熱戦々績は次の通り。

▽優勝戦
 三共 9−3 塩野義
▽準優勝戦
 山之内 0−2 三共
 塩野義 13−1 森下
▽三位決定戦
 山之内 3−0 森下
なお出場チームは次の通り
 稲畑、大塚、連合(エーザイ、小野)科研、興和、三共、塩野義、武田、田辺、第一、大日本、中外、東京田辺、鳥居、日本新薬、万有、藤沢、森下、山之内

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 薬界随談

 ▲アメリカラジオ業界では日本からのトランジスターラジオの大氾濫で音を挙げ何んとか制限せねばと輸入制限に動き出し、加えて薬品でもビタミン中葉酸大ダンピングに驚く財務省に制限の提訴をしたとの事が報ぜられている。葉酸輸出は田辺製薬、武田薬品、淀川薬品、金剛化学が主だって外貨を獲得している。我が日本の医薬界も輸入のみに依存せず国産薬品の愛用を奨励せねばならん。

 ▲台風十五号即ち伊勢湾台風は薬業関係でもメーカー関係数社の工場、小売薬業家五〇〇軒以上が大被害を受けたとの事である。筆者も知人である名古居の谷口鎮二、半田の杉江忠一の両者に早速見舞を出しておいたが両氏共に損害は僅微であったが何れも其の地域で実に被害が大きい処があったとの返事でホツとした。谷口君とは台風の前に東京の会合で逢い時には名古屋へも下車せろとつい訣れて四日目の事であった。

 ▲収府は麻薬対策本部をつくって麻薬禍の根元をなくする運動を強力におし進めると共に麻薬患者の矯正のため収容所を強化する。

 ▲天高く食欲の秋、九州路は稲作豊穣の秋に、薬業界には各地に企業とし或は囮商品のためにSMに薬品販売の気配を虎視耽々と窺っている。

 ▲長崎の九州薬学大会はいよいよ近づく。街の薬剤師の大問題は流通機構、薬業の乱れ 価格の問題、現在一般小売開局者の頭を痛めているもの総ざらいに論ぜられ、過剰薬剤師の問題からひいては薬育械構迄論ぜられる予感がする。マスコミ商品に対する広告の適正化も論ぜなければならない秋に達している。

 ▲日薬薬事法改正の私案を打ち出す、政界事情安保問題や災害復旧問題其他で複雑、厚生省の御役人おいそれと動かぬ気配あり、尻をたたいて動かす様にせねばならぬ現行薬事法は敗戦の置き土産でもある。時代は動く医療担当者としての薬剤師の為に改正せねば働く場所もない。一日も早く改正??に剤界一丸となって進む可きである。
       (GT生)

      句三味  筑前 徳 島 山 花

         美しき柿を貰ひぬ画にかこか
         この内のいくつかは渋ぬけぬ柿
         耶馬の柿画帳におさめポケットに
      敬老会に出席して
         長命の家に幸あれ菊晴れて
         老みんななつかしき人日向ぼこ

      句日記より 山鹿 清 水 鹿 山

         鉄砲に威す鳥や柿盗む
         秋の燈のふくらむ布団しきにけり
         川魚の飴だきなんど夜の長き
         焼きあげし秋刀魚煙にころがしぬ
         見舞にとあらねど柿の十ばかり

      小倉城跡秋景  三 渕 北 斗

         草紅葉本丸ありし夢のあと
         老松や本丸跡の虫時雨
         人ひそか城跡の堀の蓮暮るる
         薄黄葉せる木立あり旧城跡
         生憎の勝山城跡萩の雨


九州薬事新報 昭和34年(1959) 10月30日号

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 曾て西岸文化の玄関長崎市で 第二八回九州薬学本会
 西日本剤界より会する者千余名

 第二十八回九州薬学大会が天高く四方の山々も漸く紅葉せんとする十月廿二日から三日間、医薬文化の発祥の地である長崎市に於て開催され参加者千余名、全市薬一色に九州剤界の一大行事が繰り広げられた。

 初日廿二日には大会運営協議会が午后二時から東明楼で開かれ各県代表十九名が出席、主催県大会準備委員長草津県薬協会長を座長に推し、大会運営計画、各県提出議案の整理などについて協議し、外に薬の健康週間負担金の件について話合い各県これを承認した。

 第二日廿四日午后大会開会式、引続き本会議が翌廿五日と二回に亘って開会された。
 その他薬剤部長会議並に七部会(薬学、薬剤学、開局保険薬剤師、学校薬剤師、薬務、保健所、女子薬剤師)が廿四、五の二日間午前に開会され、特別講演として「生命の秘密と漢方薬の真意義」と題して熊大薬学部長藤田穆博士の講演があり 第三日午后二時から市内見学により三日間の薬学大会は千余名会員の熱意により盛会裡にその幕を閉じた。

 ■九州薬学会 薬剤師会本会議

 大会開会式は第二日廿四日午后一時から国際文化会館講堂で挙行され、出席者約千名、司会者深堀準備副委員長が開会宣言をなし全員起立のもとに国歌斉唱に始まり、磯田九州薬剤師会長、藤田九州薬学会々頭、草津大会準備委員長の挨拶に次いで、去る十八日逝去した日薬顧問衆議院議員野沢清人氏に対し一同起立黙祷を捧げ、次いで名誉会員推薦に移り、磯田会長の説明があって満場一致、▽熊本県 本間義一氏を拍手裡に推薦、直に木岡氏は起って「日本薬剤師会支部と云う時代から約四十五年間剤界先輩の驥尾に附いた」と述べて感謝の挨拶があった。

 それより日本薬剤師会高野会長(代理)日本薬学会石舘会頭(代読)厚生大臣(代読)佐賀県知事(代読)田川長崎市長、日本女子薬剤師会粟村会長などの祝辞が次々に述べられ、引続き多数の祝電披露があって休憩、午后一時本会議が開かれた。

 ■本会議

 議長団選出は司会者一任となり藤田九州薬学会々頭、草津大会委員長が司会者指名により決定、草津氏議長席に着き「薬学会役員選挙」に移ったが議長一任となり議長は藤田薬学会々頭に一任し、左記の通り決定発表した。

 ▼九州薬学会役員
 会長=藤田穆
 幹事=塚本赳夫、小林五郎、田中義雄、松村久吉 塚元久雄、林清五郎、樋口武夫、高取治輔

 次いで「前年度大会決定事項処理報告」が佐賀県薬協会江口会長から昨年の大会協力について謝辞を述べ、日薬関係のものは当時出席の谷岡専務理事に、又その後上京の上関係方面に折衝し、その他の決定事項はそれぞれ大体処理を終えた旨報告があって一同事承、次に各県よりの本大会提出議案審議に移った。

 ▽議案十八題(別掲)
 一号〜十八号迄一括上提
 第九号議案の一部訂正、第八、十五、十六、十七号の四議案について提出県から説明がありその他は説明を省略し、全部を各関係部会に分割、審議を委託することになった この時次の三種緊急動議が提出された。
▽野沢氏逝去に対し吊電するの件(熊本県戸田氏)
 異議なく可決、電文等主催県長崎に一任と決定
▽大会提出議案決定事項の処理は全部解決するよう努力されたき件(宮崎県 宗氏)  取扱い方は当番県に於て努力処理することを決定
▽薬事制度調査特別部会に法改正調査速進要望の件(長崎県溝口氏)
 この動議について山口県から委員会よりも厚生省当局に要望せよこの発言があったが、勿論厚生省当局えも委員会同様速進要望をなすことになった。
 次に議長指名で宣言決議文案の起草委員を決定して当日の本会議を終え、特別講演に移った。

 ▽特別講演

 生命の秘密と漢方薬の真意義
 熊大薬学部長藤田穆博士
 約二時間に亘っての有益な講演であり聴講者に多大の感銘を与え、午后五時終了、 それより記念撮影、引続き盛大な懇親の宴が催された。

 翌第三日廿四日午前十一時半から本会議が開会され、劈頭草津議長から、薬事法改正に対する議案については今朝各県会長会議で、先年の医薬分業運動当時の意気と努力によって強力に推進せねばならぬので当局には本会の名のもとに強く要望することを決議した。
 九州各県も直にその体制を備える様お願いすると述べ、次いで各部会代表者より附託議案の審議結束の報告があり、十八議案全部異議なく採択することに満場一致で可決々定した。それより起草委員から報告のあった左記宣言、決議文が声高らかに朗読された。

  宣  言

 医薬分業が実施されてから満四年、医療の本質を守るためのわれわれの努力は一般大衆の健康生活の向上と相俟って今や国民皆保険は完結への一途を辿っている。 然るに現時剤界の実態はすこぶる混乱の度深く、薬局経営の前途に多難が憂慮されその収拾改善は極めて緊急を要するものがある。われわれは医療担当者として医療の本質は医薬分業といふ世界史の必然性を確認し、国民の負托に副ふべく態勢を強化確立すると共に医薬学の協調交流により更に技術と倫理の錬成向上を図り以って、いよいよ国民の信頼に応えんとするものである。
 右宣言する

 訣  議

 一、現行薬事法は医薬品の特殊性と薬剤師の主体制を軽視せるのみならず更に国民の保健福祉と薬業の現況より遥かに隔離したものである。故に政府は真に国民のための薬事法の改正を断行すべきである。
 二、同一医療行為に対する報酬の支払方式をそれぞれ異にする現行の社会保険診療報酬点数は制度としての盲点であると共に国民医療を混乱せしめるものである。速に政府は医薬制度の合理化による支払方式の一本化を図るべきである。
 三、薬業界苦境の悪循環による「シワ」寄せの全部が薬局にかゝりその経営は正しく危胎に頻し、皆保険応需態勢の前途に多難を予想される状態である。故に政府は医療担当者としての薬局経済安定の為の諸方策を速に確立すべきである。
 四、勤務薬剤師の待遇は官民共に医療担当者としての資格と経験に対し極めて不当である。速に人事院勧告の当該給与を是正すべきである。
 依ってわれわれは薬業界の危機突破と薬剤師の主体制確立のために右事項を本大会の名において強く要求すると共に全力を結集して貫徹を期するものである。
右決議する。

 ▽次年度開催地決定

 次会大会、昭和卅五年度開催地は「福岡県」と決定し五郎丸福岡県薬協会長は起て本年と同様来年も協力されんことを切望して挨拶となし、山口県樋口氏の音頭により万才三唱の後草津会長の開会の辞により本年度三日間の薬学大会の幕を閉じた。

 ■九州薬剤師本会提出議案(決定事項)

 第二八回九州薬学大会に各県から提出された議案につき審議の結果左記十八議案全部決定事項となった。

 1.各県に於て薬事審議会(協議会)を急速に設置し、厚生省令に依って一定の規準を設け統一せらるよう日薬を通じ関係当局へ要望の件(福岡、山口県)
 2.商工組合未設立県に於いては九州ブロック各県同一歩調にて急速に設立方要望の件(福岡県)
 3.医薬品の生産過剰に対して速かに有効適切なる措置を講ぜられるよう日薬を通じ当局へ陳情の件(熊本県)
 4スーパーマーケットの医薬品売売薬を抑制するよう日薬を通じ厚生大臣に陳情の件(大分県)
 5.薬局の適正配置に関し具体的な内規を作り、各都道府県に通牒を出すよう日薬を通じ厚生省に陳情の件(大分県)
 6.医薬品販売業の名称を各県統一するよう関係方面に要望の件(宮崎県)
 7.保険薬局の標識急拠制定実施の件(鹿児島県)
 8.社会保険公定処方を制定し、保険薬局に取扱わせるよう要望の件(佐賀県)
 9.薬事法の改正並に薬剤師法制定の早期実現方を日薬を通じ関係当局に要望の件及び医薬分業確立要望の件(全県)
 10.公務員の給与改訂に際し医療職(U)の適正なる決定方を日薬を通じ関係当局に要望の件(長崎県)
 11.薬局経済安定方策の実現方を日薬並に開係当局に要望の件(長崎県)
 12.学校薬剤師設置猶予期間撤廃方を日薬を通じ文部省に要望の件
 13.保険診療報酬規定の一本化を早急に計られるよう日薬を通じ開係当局に要望の件(鹿児島、長崎県)
 14.社会保険診療報酬点数甲表中調剤料等の事項について改善方を日薬を通じ関係当局に要望するの件(薬剤学部)
 15.薬剤師の勤務する病院薬局を確立するため法改正を日薬を通じ厚生省へ要望するの件(薬剤学部)
 16.麻薬調剤者の免許制定方について日薬を通じ厚生省へ要望するの件(薬剤学部)
 17.病院薬局窓口勤務者の危険手当支給制度設定について日薬を通じ人事院に要望するの件(薬剤学部)
 18.国立六新制薬学部に大学院設置方を更に強力に推進されるよう日薬へ要望の件(薬学部)

 ■九州薬学大会 学校薬剤師部会

 第二十八回九州薬学大会学校薬剤師部会は第三日(十月廿四日)午前九時から長大薬学部講堂で開催、約六十名出席、司会者坂井氏を座長として昨本会議に於て開局、保健、学校薬剤師部に審議委託された十二議案につき審議の結果、満場一致全部採択することを決定した。

 それより早川氏を座長として研究発表に移り左記六題につき各自の口演があり、講演内容について質疑応答があって発表を終え、坂井校剤部会長の閉会の挨拶が述べられ十一時終了した。

 ▽研究発表
 一、長崎市立小中学校環境衛生基礎調査=長崎市学校薬剤師石崎擁
 二、熊本市内学校家庭の井戸水の検査に関する件=熊本市学校薬剤師福島道尋
 三、疲労度測定=熊本市学校薬剤師高瀬邦人
 四、運動会練習期間中における児童の疲労について=熊本市学校薬剤師高瀬邦人
 五、黒崎小学校における騒音調査=八幡市学校薬剤師岩崎寿
 六、唾液のPH測定による児童の疲労調査(第二報)ピタミン剤服用児童と未服用児童との間の疲労の比較=福岡市学校薬剤師馬場正守、福岡市筥松小学校吉満政江
 七、大気汚染に関する調査研究(T)p−フクシンホルマリン法による大気、中亜硫酸ガス測定について=福岡県衛生研究所真子憲治○松本久男(本題はスライド使用の都合上薬学部会で講演した)

 薬剤学部会 薬剤部長会議 約四百名出席 堅実な会合

 第二十八回九州薬学大会薬剤部長会議(薬剤学部会)は第二日(十月廿三日)午前九時から国際文化会館講堂で開催、出席者約四百名、司会者は石崎三井造船薬局長とし、樋口長崎大学薬局長の開会の辞、議長に熊本大学田中薬局長を推して直に議事に入った。

 ▽報告事項
 (1)前年度部長会議決定事項処理報告
 佐賀県の江口氏欠席のため長崎県の深堀氏代って立ち@病院薬局の登録制実施A甲表薬価徴収法の一部改正及びB衛生検査技師法一部改正に関する決定事項処理に就ての大要が報告された。
 (2)新医療費体系下における(甲表)処方箋薬価実態調査に就て
 病院八十五個所の施設について調査した結果十七円は不合理であることが発見されたと深掘氏から説明報告があった。

 ▽議 案
 (一)社会保険診療報酬点数甲表中調剤料等の事項について改善方を日薬を通じ関係当局へ要望するの件=長大病院薬局樋口武夫
 (二)薬剤師の勤務する病院薬局を確立するため法改正を日薬を通じ厚生省へ要望するの件=九大病院薬局松村久吉
 (三)病院麻薬調剤者の免許制設定方を日薬を通じ厚生省に要望するの件=九大病院薬局、松村久吉
 (四)病院薬局窓口勤務者の危険手当支給制度設定について日薬を通じ人事院に要望するの件=長大病院薬局、樋口武夫
 (五)人事院勧告医療職U表中薬剤師給与改善について日薬を通じ人事院に要望するの件=国立大村病院薬局、深堀富栄
 (六)病院診療所等における薬品倉庫の設備上の基準を制定するよう日薬調剤委員会に要望するの件=熊本逓信病院薬局池田敏行
 以上各議案は提出者から提出理由について説明があったが、(三)の「病院麻薬・」の「病院」の二字を削除し、(六)は本会議には提出しないこととし、(一)〜(五)迄五議案を本会議に提出することを決定した。十一時半終了散会した。

 第三日(廿四日)
 昨日に引続き薬剤学部会(薬剤部長会議)を同会場で午前九時開会、座長に八幡製鉄病院諌山局長外三氏を推し、前日の本会議で本部会に審議を委嘱された七議題につき審議の結果満場一致異議なき旨決定した。それより研究報告に移り漸時十演題について各自が講演を終え十一時半終了、散会。

 開局保険薬剤師部会 花がた部会、参会者三百会名

 第二十八回九州薬学大会開局部会(開局、保険薬剤師部会)は第二日(十月廿三日)午前九時から長大薬学部講堂で開催され出席者約三百名、司会者隈治人氏、木元金次郎氏を座長に推し、直に講演に移った。

 一、八幡市に於ける保険調剤について=八幡市、神谷武信
 薬局経営に重大関係を持つ処方箋獲得方法について述べた。
 二、国民間靡保険組合の現況について=福岡市、工藤益夫
 東京都が七割給附となるが薬局に重大な影響がある公営国保に比べて安い保険料で高度の給附が受けられる。幾多の有利な点がある。
 三、ベビーオイルに関する知見補遺=広島市産院伊藤実喜子
 薬局オリーブ油と比較した学術的試験の結果報告。
 四、漢方を薬局へ=福岡県戸田秀実
 小資本で始められ努力が直に反映し来る。研究しながら実践して行ける。
 五、聖徳太子と薬狩=福岡県、戸田秀実
 五月五日を薬の記念日とすることを提唱する。
 六、流通機構の商工組合の設立の件について=宮崎市、福森末義
 全国で初の薬系商工組合であったが調整規定が問題である。 次にンンポジユーム、「乱売戦下に於ける薬局経済」に移り講師(各県代表)熊本下田正、鹿児島木通、佐賀徳永文平、福岡古賀治、長崎掘政夫、宮崎宗諦、山口湯屋正の諸氏によって開始された。

 一、熊本市の乱売に就て
 一時血みどろの乱斗であったが漸く話合いがついた。外売は中止、マスコミ品は協定よりはずし地域的に八品目だけ話合いでやっている。マーケットが進出したが、同値に下げたため又客は、元の薬局に戻って来た。
 二、鹿児島の状況に就て
 未だ安定している。市内で一割引が少し行われているが、マーケット、デパートなどまだふみきっていない。
 三、佐賀県の状況
 県下各地に問題はあったが、組合の団結によって阻止。
 四、福岡県の状況
 北九州地区は生協購売会で苦しめられている。福岡地区は今年平和が破れ十三のスーパーマーケットができ、内二、三店は薬品部設置の申請をしている。
 五、長崎県の現況  長崎市がSMのためマスコミ品は原価販売の状態にある、薬事法の改正を期待している。  六、宮崎県の状況
 まだ安全地帯であるが法改正に期待をよせている。
 七、山口県の現況
 最近迄平和であったが徳山市にSM薬品部ができて急速に混乱を来した。県薬務課が僅か十日間で許可し種々懇談したが解決せず知事に調停を依頼している。法改正を期待する。
 総括するに薬剤師の全力を結集して薬事法改正に猛進する様全講師は叫んだ。正午終り散会。

福岡勤務部会 百回記念式典 十四日原鶴温泉で

 福岡市薬剤師勤務部会も誕生して足掛十才となった。部会開会も百回となりその記念式典と講演が左記により盛大に行われることとなった。部会員は奮って出席して貰いたいと世話役では切望している。
▽日時=十一月十四日(土)午後二時バスで出発
▽集合地=県庁薬務課前
▽会場=原鶴温泉、小野屋旅館
▽講演=明治以来の漢方の歩みについて
  九大教授 塚本赳夫
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 福岡市校剤会 辞令交附式挙行 市当局との懇談会

 福岡市学校薬剤師会では十月十七日午後一時半から薬剤師会館で本年度の校剤師辞令交附式並に懇談会を開催した。市当局からは市保健体育課長と係長とが列席し、会員は廿二名が出席した。

 開会後直に辞令交附式に移り市保健体育課長から校剤師卅五名に対する辞令を一括友納会長に授与し、次いで友納会長の感謝の辞が述べられて式を終り、引続き懇談会に移った。

 先ず校剤師側から「学校薬剤師がどんな仕事をするものか学校の先生方で知らない人が多いので機会ある毎に市当局からも校剤についてPRして頂きたいと要望し又古い学校の便所や塵芥焼却場が非常に不完全なため因っているが、特に堅粕は非常に環境が悪く、給食室など不潔である旨その実情を述べ、これに対し、

 市側では予算も充分でなく仕事のできない学佼もあると思うが、雑談でもかまわないので出来るだけ足を運んで学校に出掛けて頂きたい。他県では給食については多くは保健課の所轄となっているが、福岡市では学務課に属することになっているも。給食に関する事項は一応保健課に相談して頂けば結構だと思っている。又便所や焼却場等については予算が相等とってあるので、校剤師から能く注意や指導をして頂きたい。

 その他学校から新薬などの要望が非常に多いが、これ等についても専門家の校剤師の方のご意見を開きたいので保健室について色々とご意見なり指導をお願いしたいと思っている。

 今年から保健室のない学校には全部新設することになっているので技術者の貴方に保健室のモデルを造って示して貰いたいと思っている。と語って好意を披れきし、引続き種々意見の交換をなし午後四時懇談会を終了した。

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 九州小売薬業組合連合会役員 九州地区薬業(協同)組合長第二回合同会議開催

 第二十八回九州薬学大会、長崎市での開催を機会に、九州小売薬業連合会では同連合会役員並に九州各地区薬業(協同)組合長との第二回合同会議を大会第三日(十月廿四日)午前九時から長大薬学部講堂で開催した。出席者約七十名、前日の本会議に放て開局部会に審議を委託された十二議題について審議し(本会議のメンバーは開局部会員からなる)全部異議なく満場一致採択した。それより合同会議に移り、先づ古賀会長の挨拶、次に連合会昭和卅四年度会計報告があって異議なくこれを承認、古賀会長から左記議案の説明があって議事に入った。

 (1)商業組合進行状況
 宮崎、福岡などに於ける商業組合状況について報告があった。
 (2)各地の乱売現況及びその対策状況報告
 九州山口八県の中、宮崎と鹿児島が大体に於て平和であるが他は何れもSMを始めとして乱売、廉売に苦しめられている状況報告がなされた。
 (3)乱売下に於ける薬局経済
 スーパーマーケット並にこれに類似する新たな開店に対しては中小企業団体法第十五条に傚って知事に調停を依頼し、これが解決を待つ事は時をかせぐことともなり又開店阻止の目的を達した事例もあるので、今後これ等の対策を採ることが現況に於ては尤も有効な方法であるとの結論を得た。
 以上にて合同会議を終え、なお連合会を十一月中旬頃福岡に開催し、各県代表少なくも三名宛は出席するよう話合いが決まった。十一時半終了直に散会した。

 九大薬局 益進倶楽部 十一月八日(日)

 九大薬局出身によって組織されている益進クラブ本年度第十回総会が来る十一月八日(日曜)午後一時から福岡市麹屋町福寿飯店三階で開催される。年一回の旧交を温める会合であるので一人でも多い参加を世話係では切望している。

 薬界短信

 ◆福岡県学校保健大会=第十一回大会が十月卅日九時半から福岡市御供所小学校で開会された。薬系から「基地周辺の学校における騒音対策とその教室環境について」と題し福岡市筥松小学校剤師馬場正守氏の研究発表があった。

 ◆福岡県校剤会理事評議員会=十月卅日午後五時から薬剤師会館で開会、次の事項につき協議。
 @九州地区学校保健大会出席報告
 A講習会開催について
 B次年度の研究発表に就て
 C学校薬剤師設置促進対策
 Dその他

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 薬界随談

 ▲剤界只一人の代議士野沢清人氏逝去惜しみても余り有り、剤界の問題特に薬事法の改正に挺身されん事の期待を持っていた。昨年社会労働委員として活躍中青森県でたおれ璽来療養につとめられていも、政治家としてこれからだと云う前途有る士であった。本欄で前年触れた様に筆者とは随分前から志村老を中心として交遊が有り、野沢氏二回目の応召で関東軍配属の折筆者がいたハルピン陸一病院の将校室で遇然に逢い驚いた。其後僕がチチハルの防疫給水部隊の仝氏を訪問した。其の時記念の撮影をして東京の志村老に逢った事等もあった。シベリア抑留を経て帰還、剤界に復帰すると共に政治的にめきめきと売り出した快男子で弁舌と文筆に達し捕虜から国賓へのソ連訪問の快著がある

 ▲田熊清隆氏逝去さる。苦学して明治薬学校を出て官界に入り遂に福岡、愛知の両大県の薬務課長として幾多の功績を残し本年五月退官して中央化学の生産部長に就任されていた氏の功績は昨年日薬賞を受けている惜い人である。

 ▲薬と健康の夕べ西日本新間と九州各県薬共催で開かれ佐賀会場での平田汲月の博多二各加はユーモアがあり其の芸にうっとりし亦腹をかかえて爆笑する至芸でった。

 ▲次回の九州薬剤師大会は、部会の在り方特に開局部会には多くの開局会員が自己旅費で出かけられる創意と工夫を考える可きで、亦年一回の会合に出席して其の空気と剤界の動きを識り井戸の中の蛭の世界にならぬ様心がけると共にシンポジユムも芝居がかりを廃して出席会員が直接に簡明に意欲を吐き得る機会を与える事が良いと思はれる。開局者も出席経費として月掛貯金の方法を取る事も一方法である。

 ▲九州では秋十月の医薬界夫れぞれ大会を開く。十七日は熊本で歯科医学、二十二日から長崎で薬学、二十三日から佐賀で医学大会、常に自己の営業を守るのみの会合ばかりではない。社会保健文化の向上に役立つ業績が相当に多い事に大衆は眼を向けて貰いたい 。(GT生)

      句日記より 山鹿 清 水 鹿 山

         鳥渡る声の冷めたし十三夜
         誘はれて来し川塘の十三夜
         祭近づく障子貼り替ゆる
         台風の雨にころげて蟹下る
         コスモスを散らして朝の手水かな

      句三味   筑前 徳 島 山 花
      薬学五十年

 最近珍らしく東京の村山義温先生からその著になる「薬学五十年」が送って来た。
 これは先生が明治四十二年東大薬学科を卒業せられし以来今年七月に至る実に五十年間の思ひ出を丹念に綴られたもので「なぜ薬学を志望したか」に始まり各時代を項目にして例へば東京衛生試験所時代、熊本薬専時代などと有意義な且つ興味津々たるものであった。
 この書を読みつつ末長く先生の御健康と御多幸を祈る念切なるものがあった。

         爽かや師の近影をなつかしみ
         阿蘇の詩も載せてある也菊薫る
         天高しここに薬学五十年

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 薬局薬店は速やかに覚醒せよ 福岡薬協組講演懇談会

 福岡地区薬業協同組合では、十月十六日午後二時から薬剤師会館で役員会を開き講演並に懇談会を催うして薬局の在方、経営の合理化につき深く掘下げて研究検討した。講師には佐藤弘之氏(日本能率協会薬業経営指導家)を招き、役員会の議題は@新理事追加の報告A乱研対策委員会設立決定に就て、B本組の今後の運営に就て、であった。出席者は白木理事長外役員十四名、外に県薬務課より大庭技師、佐々木補佐の両氏列席、定刻開会、白木理事長は「本日講師として先に部会長会で講演して頂いた佐藤先生を再度お招きしたので色々と経営合理化問題についてご意見を聴いて頂きたい」と挨拶があった。

 先づ各会員め意見が述べられたが、それを総合すると、
 今直にマスコミ商品の値引きを決定発表することは営業混乱の基となり危険でさえある、当分成行きにまかせ、不幸にして愈々SM薬品部が出現した時に値引決定すべきである。値引きを主張している人は大体都市中心部の大量販売店或は訪問販売している人に多い様であり、これ等の人々は資本もあり値下げすればまだまだ多く売れると云う店で、自己を正当化せんとするためとも思われるが、Cクラスで値引する処は既に末期的行為であると同情の念きへ湧き出る様である。と云うことになろう。

 佐藤講師の大体の意見を要約すれば、
 商品の値引きは階層別に適当な方法をとらねば意味はない。業界全体としては自然に大きな変化があり、SM薬品部なども防止できないことになろう。社会的にサラリーマンが増加して厚生関係の商取引も一層発達するであろう。消費者団体も発達するのでマスコミ商品など特定人が取扱うことになるだろう。従って薬局以外に流れる量が多大となる。薬局薬店としては値下げも必然的に時間の問題となろう。

 都市周辺の店は固定客だけになるので客を固定さすについて考える必要があり、
 大幅な固定客がつかねば値下げすることによって売上減となる。最早メーカー卸階層では値下げは内心認めている。然らば個人店はこの際如何にすべきか、商行為そのものを強化するより外なく、その方法を研究すべきである。

 先づ積極的に自分達の卸屋を持つと云うことである。既に今日では業界対業界の争いの時期となった。薬局薬店に於て技術を要する範囲(医薬品などについて)が狭くなりマスコミ製品は益々多くなる。技術者である薬局人は益々販売合戦には弱くなりこの儘では非常な悪い結果が予想される。現在既に顧客と薬局の在方とは非常なズレがある、従ってこの間隙に誰れかが躍動することになる、結局薬局一人一人が困るならば皆が精神的にも物質的にも結索することによって新たな道を開拓すべきである。

 それより薬務課佐々木補佐から京都、名古屋、岐阜などの業界調査についての話しがあり、次いで役員会に移り理事長から新理事追加の具体的報告 乱研対策委員会は各部会からの推薦者により委員会を近く開催する旨報告があり、これにて役員会を終了した。

 福岡県薬事功労者表彰式挙行

 福岡県第四回本年度「薬事功労者」表彰式が十月十九日午前十一時から県庁知事室で挙行され、薬務課長外係官及び薬事関係各団体代表並に業界新聞代表者列席の上左記十名の功労者に対し感謝状並に記念品が知事より贈呈され、次いで知事の挨拶があり、これに対し被表彰者代表として石橋延三氏が御礼の言葉を述べた。

 石橋延三(福岡市)米村源太郎(若松市)高倉重治(福岡市)楠根尭平(若松市)三原国彦(戸畑市)原田正三 (行橋市)吉谷吾常(門司市)平野孝(小倉市)吉田九八(久留米市)安田広(戸畑市)

 それより一同は県薬協主催の薬剤師会館に於ける祝賀会に招かれ和気霜々裡に午餐を共にして散会した。

 熊本市薬協組臨時総会開催 木岡、上野両氏を名誉会員に

 熊本市小売薬業協同組合では十月十七日午後一時より県薬剤師会館に於て、緊急問題に就き臨時総会を開催。

 石原理事長より最近相次いで設置せらるゝ生協市場、大和マーケット、水前寺マーケット等の薬品部に対して組合よりの希望条件を提出して交渉した結果を報告あり 北原正人氏を議長に推し、議事に入った。

 一、協定除外品目の件
 幹部の原案シロン、サロンパス、パンビタン、グロンサン等マスコミ商品を発表するや、今日の市場の乱売品目はこれ以上あり協定するなれば今少し拡大せよと云ふ声もあるので、隣組内の協議に一任することして漸く可決。
 二、団結再認の件
 本案は最近市場の乱設や外売問題停止の解決が得られぬ処から各自が不安の為めに組合協力が薄らぎつゝあるの感があるが、故に組合としては近く商工組合の結成、小売事業調整特別措置法の活用を考慮しつゝあるので、幹部を信頼して今一層の協力を希望すると述べ、満場一致賛成可決それより協議事項に入り、
 一 協同仕入の件
 一 外売の件(マーケット対策)
 以上二項は各隣組より代表者を委員として役員と共に具体的協議することになった。 最後に本組合に対する多年の協力功労者である木岡義一、上野景治の両氏を名誉会員とすることを図り満場一致之を決定した。

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 福岡薬業商組理事会開会

 福岡県医薬品小売商組合では十月十七日午後一時から御供所高砂会館で理事会を開会、出席者古賀理事長外二〇名、左記議案につき審議した。

 (1)経過報告
 青葉理事長から詳細報告があり、長野氏は「組合名称に”小売”の文字が入っているが、卸売業者がこれにこだわる心配があると思うがどうか」との質問があり、理事長は「楽観的かも知れぬが心配はない」と答弁があった。

 (2)地区長会総代会開催の件
 理事長は十一月中旬に開催したいと説明、長野氏から「定款にない地区長を正式に使用することは問題を起しはせぬか」との注意があり、古賀理事長は「唯便宜上用いたのであるから”総代会代表会″と改める」と答弁。

 (3)調整規程提案検討の件
 理事長から先に作成印刷した調整規程草案について検討したいと諮ったが、長野氏は「草案(原案の原案)を作成する時官吏を参与させることなく吾々のみで作ること。又協同組合の調整規程を参考に供して審議する様希望する」と述べ、先づ草案委員会を作り研究検討することになり委員会の構成は理事長に一任することを決定した。

 (4)関係当局との連絡機関設置の件
 起草委員会に一任と決定。

 (5)会計に関する件
 馬場会計理事辞任につき鶴田氏から会計報告があった。次いで鶴田氏を正式に会計に選任した。それより業務課佐々木補佐から京都、名古屋、岐阜などの業界調査について講演があり、午後四時閉会となった。

 佐賀市郡 薬組臨時大会

 佐賀市郡薬業会ではSM薬品部開設問題で緊急臨時総会を十一日午後一時から県薬事務所で開催、川内会長と徳永県薬協組専務理事から大洋ストアの薬品部設置申請に関する詳細な経過報告があり、薬業界は全力を挙げて阻止すること共に組合内部の結束を固むるために地区毎に集会を開きSM対策委員会を結成の上活動に入る事の協議を重ねた。

 九大大学院薬学研究科学生募集

 九州大学では大学院薬学研究科修士課程の学生を左記により募集している。
 ▽入学資格=新制大学卒業又は同等以上の学力ありと認められた者及び外国に於て学校教育十六年の課程を修了した者

 ▽募集人員=薬学専攻十名
 ▽募集専門課程=植物化学生薬学△衛生化学、裁判化学△薬品製造工学△薬化学△薬品分析化学△薬品製造化学△薬剤学
 備考=第一、第二志望指定すること
 ▽願書受付期間=昭和卅四年十一月二日から同月廿日まで
 ▽入学考査日時と考査科目及び場所=十一月廿六日午前九時−十二時= 化学、午後一時‐四時=外国語△十一月廿七日午前九時− 十二時=口頭試問午後一時−四時=健康診断△外国語は英、独語又は英、仏語の二カ国語
 ▽出願書類及び手続=入学願事、検定料一千円、書類は出身大学(学部)に提出すること  ▽合格者発表=十二月一日本人宛通知
 ▽注意=照会及び出願書類の請求は九大医学部学生係宛

 伊勢湾台風被災者へ 田辺製薬を通じ見舞金
 西獨C・Hベーリンガー・ヅーン社

 今回の伊勢湾台風災害に関しては諸外国からも被災者に対して続々と見舞品をよせられているが、田辺製薬KKと密接な関係にある西独C・Hベーリンガー・ゾーン社よりもその見舞として日本赤十字社に金百万円の寄附を行うため、同社K・ブットナー博士、J・へーガー氏及び田辺製薬代表取締役平林忠雄氏は十月十六日午前一時日本赤十字社本社に於て島津社長に贈品式を行った。

 因にC・Hベーリンガー・ゾーン社は西独屈指の製薬会社であり田辺製薬より、ブスコパン(胃、十二指腸潰瘍治療薬)、ヒナルゴン(リウマチ治療薬)、ルブリデックス(痔疾治療剤)等を販売している。「写真左より田辺平林代表取締役、K・ブットナー博士、J へーガー氏」

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 福岡薬協組 西分会発会式 会長に藤田胖氏

 福岡地区薬業協同組合は地域、会員共余りにも広く且つ多いので協組運営上困難な点が多く、予てから保健所単位(三保健所)或はそれ以上に区分して分会を結成する必要ありとの意向であったが、愈々その第一歩として簀子、当仁、草ケ江、西新、姪浜の五部会を一団として「西分会」を結成し、十月十六日午后八時から唐人町公民館で発会式を挙行した。

 出席会員四〇名、外に来賓として白木福岡薬協組理事長、若狭屋商店が列席した。瀬尾氏開会の挨拶、引続き経過報告をなし、本会が福岡薬協組の一翼であり又下部組員であり母体の一部であるので、その運営の性質上、本会の幹事は薬協組本部の理事及び乱研委員、部会長を以てこれに当てることを一同と諮りこれを承認決定、互選により次の通り役員を決定した。

 ▽会長=藤田胖
 ▽副会長=瀬尾周二
 ▽会計幹事=碇道良
 ▽幹事=久保川、田添、佐野、獺越、緒方、森永、竹尾、
 藤田分会長の新任挨拶、来賓白木理事長及び若狭屋商店社長の祝辞が述べられ、各会員の意見発表の後、協議に入った。

 ▽協 議(座長藤田氏)
 種々協議の結果副会長を二名に増員し、会計では毎月会費五〇円宛(部会費より)を拠出、現在会員は六六名である。幹事会は隔月に開会を決定、事業としては先づ@事業所廻りA訪問販売B無法な値くずし、の三件について対策を講ずることになった。以上で発会式並に協議を終え十時半散会した。

 熊本県薬協等主催 薬と健康週間

 厚生省の指導による「薬と健康の週間」行事は十月十二日より五日間鶴屋デパート階上に於て開催、第一日は市内を自動車パレードを行って宣伝し、場内には薬草挿花展覧、新薬の展示、水質検査、検尿、検便、血液型測定、薬事の相談、映画等を行い毎日多数の入場者があって効果を挙げ非常な好評裡に終了した。

 薬と健康の夕 佐賀公会堂で

 恒例の「薬と健康の夕」は、西日本新聞社、日薬、九州各県薬剤剤師共催で十三日午後六時から佐賀市公会堂で開催され盛況裡に終った。

 ▽漫画映画
 ▽開会の挨拶
 江口佐賀県薬協会長
 ▽講演(薬と食物)
 九大教授薬博塚元久雄氏
 ▽博多二〇加 平田汲月外
 ▽クイズ
 司会者内田公民館主筆
 ▽映画「八公物語」

 大洋ストア薬品部 申請書却下再提出

 去る九月二十五日に佐賀市片田江のセルフサービス大洋ストアが薬品部開設の申請書を佐賀保健所に提出し、業界挙げての反対と波状阻止を受けていたが、十月十七日付で書類不備の理由により佐賀保健所から却下された 大洋ストアでは書類を再整し、数日を出です再び提出した模様である。大洋ストアは如何なる反対もおし切って開設すると豪語しているので今後の続行が注目されている。

 第一製薬の艸木会講演会 各地区部会て開催

 第一製薬の草木会では福岡支店管内各部会で公評会計士藤巻治吉、中央大学助教授佐藤智雄の両氏を講師として薬局薬店向講演会を開催することになった そのスケジールは左記のよう決定された。

 ▽「薬局薬店の堅実経営への道」と題して藤巻治吉氏の講演を催す日時、部会は次の通り
福岡部会=十一月九日▼長崎=十日▼大諌島原=十一日▼佐世保=十二日▼佐賀=十三日
 ▼唐津=十四日▼飯塚=十五日
 ▽題未定(心理学に関する話)佐藤智雄氏を講師として講演会開催の日時、部会は次の通り
 小倉門司部会=十一月十三日▼八幡戸畑=十四日▼大分=十五日▼熊本=十六日▼筑後地区=十七日

      句帖より    合 屋 杉 峯

         秋祭太鼓に近く座りけり
         吾も亦氏子総代秋祭
         獅子入りの更けたる月の上りけり
         秋祭酔ふて戻りし父なりし
         門出の二人に天の高きかな

 杉峰氏長女邦子さんは松隈与志美氏夫妻の媒酌で弁護士安楽半二氏二男兼顕氏(東大工学部卒業)と婚約相整い去る十六日博多帝国ホテルで芽出たく結婚式を挙けられた。

 第六回三共卓球大会 十月十八日華々しく催された

 三共福岡支店主催の第六回三共卓球大会が十月十八日福岡県立福岡高等学校で華々しく開催された。メンバーは県下の病院診療所、医系大学及び保健所などであるが、午前八時半に入場式を行い直に試合に入り熱球覇を争ってチームは昂奮の連続、漸く午後七時盛況裸に大会は終了した。当日の各部優位成績は次の通り。

 ▽団体競技レギユラーの部
 優 勝=日炭高松鉱業所病院Aチーム
 準優勝=九州大学医学部事務部チーム
 三 位=三井三池鉱業所病院Aチーム
 ▽団体競技一般の部
 優 勝=田川保健所チーム
 準優勝=三井三池鉱業所病院Bチーム
 三 位持主=九州大学病院歯科チーム
 ▽男子個人競レギュラー部
 優 勝=川崎(日炭高松鉱業所病院)
 準優勝=小田(前同)
 三 位=植田(九大事務)
 ▽男子個人競技一般の部
 優 勝=中富(九大歯科)
 準優勝=金山(九大薬局)
 三 位=増井(九州歯科大学)
 ▽男子個人競技OBの部
 優 地=吉村(県衛生部)
 準優勝=大府(八幡製鉄所病院)
 三 位=秋貞(九州歯科大学)
 ▽女子個人競技の部
 優 勝=安永(県教育庁保健課)
 準優勝=本川(飯塚保健所)
 三 位=茶谷(国立筑紫病院)

 =栄医療器チーム優勝= 九州療品卸連野球大会

 九州医療品卸商連合会野球連盟では秋晴れの十月十八日全チームが福岡市東公園グラウンドに集合 第一回野球大会の残り三試合(前試合成績既報)を行った。
 加賀医療器は12−3 6−5で鴻江会に連勝し、次いで優勝戦に入り栄医療器は4−0で高瀬商店に勝ち全勝且つ優勝の栄冠を獲得した。総合結果は次の通り。

 栄医療器  六勝○敗
 高瀬商店  四勝二敗
 加賀医療器 二勝四敗
 鴻江会   ○勝六敗
 試合終了後鴻江会長の挨拶、優勝チーム栄医療器永田監督に優勝カップが、準優勝チーム高瀬商店高瀬監督に準優勝楯が会長から授与され、個人賞としては最優秀選手賞が栄医療器の安武藤雄氏に、殊勲選手賞が高瀬商店の鶴俊弘氏に、敢斗選手賞が加賀医療器の佐々木義行氏、鴻江医療器の広松廸氏にそれぞれ会長から贈与され、目出度く第一回大会は盛況裡に終了することになった。なお来年度は七チームが参加して春秋二回大会を催す予定である。

 第一製薬 アプシート注 新発売

 第一製薬では去る六月、持続性サルファ剤アプシート(一般名スルフアジメトキノノ)の「散」「錠」を発売していたが、今回新たに十月十五日から「注」をも新発売することになった。

 包装、価格次の通りである
 ▽アプシート注(一〇%)
 ▽五cc×一〇A=A価三九〇円、B価三一〇円
 ▽五cc×五〇A=A価一、六〇〇円、B価一、二七〇円
 ▽一〇ccX一〇A=A価七二〇円、B価五七五円
 ▽一〇cc×五〇A=二、九〇〇円、B価二、二〇〇円
 ▼アプシートB注(一〇%)筋注用
 ▽二cc×一〇A=A価二〇〇円、B価一六〇円
 ▽二cc×五〇A=A価八四〇円、B価六七〇円

 野沢清人氏逝去

 衆議院議員、日薬常任顧問であった同氏は昨夏衆院社労委の一員として東北地方を視察中病に倒れ入院加療の結果、今夏小康を得て国会に登院又記者会見などしたが、その後肺炎をおこして病状悪化し終に十月十八日、日本医大附属病院で心筋梗塞症で逝去した。

 享年五十二才、廿四日午後一時から東京青山斎場で、日本薬剤師協会、東京薬科大学、関東化学株式会社の三者合同葬が行われた。

 野沢氏が剤界と密接な関係を持つに至ったのは昭和廿七年慶松博士を会長に、自分は副会長で日薬入りしてからである。医薬分業については粉骨砕身一向に猛進したものである。氏は栃木県から三回衆議院議員に当選し剤界にとって唯一人の衆院議員であり、かけがえのない人であった。

 氏は明治四十年七月生れ、昭和五年東京薬専卒、小島化学入社、同十一年第一化学工業を設立、同十六年応召、同廿三年関東化学代表取締役社長、同廿五年社団法人試薬協会理事長、同廿六年東薬理事長、同廿七年日本薬剤師協会副会長、同廿七年十月以後衆議院議員当選三回、同卅一年日薬常任顧問、この間訪ソ議員団の一員として中共、ソ連、西欧各国を視察、著書「ソ連の乳房」がある。

 田熊清隆氏逝去

 名古屋市の中央化学KK製造部長に今春就任して間もなく肝疾患のため名大病院に入院加療中であったが、十月十一日逝去。享年六十一才、同氏は明薬卒、徳島、愛知両県の技師を経て南方従軍、戦後福岡県薬務課長、愛知県薬務課長を歴任して今春退職したのであった。業界から惜まれている。