通 史 昭和34年(1959) 日薬−県薬−市薬
九州薬事新報 昭和34年(1959) 9月10日号

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 福岡地区薬業協同組合通常総会 九月二十一日開催決定

 福岡地区薬業協同組合では理事会を九月五日午后二時から薬剤師会館で開会、須原副理事長外理事七名その他七名計十五名出席、須原氏挨拶の後左記の議案につき協議した 。

(1)通常総会開催の件
 九月廿一日午后一時より櫛田会館で開催、発案事項は@庶務会計報告、A事業報告 B卅四年度賦課金決定の件、C役員改選、DSM問題を中心とした時局対策について(白木氏担当)。なお二百円の還付金は保留とし当日懇親会を催すことを決定した。

(2)SM対策その後の状況報告
 主婦の店中央店は雇傭薬剤師による一号薬店開設申請の手続をとっており相等強固な意志であるので現在開設阻止のため原田、加藤氏等を介して接衝中である。
 県庁内売店開設も再度問題となって来たが白木氏から詳細説明、県議員方面より阻止運動に着手しているが、互助会では極力開設を支持しているので決して楽観は許さしてない状況にある。
 箱崎の三和の医薬品部開設の動も非常に強くこれ又絶対楽観を許さない。本組合としては本日衛生部長宛SM対策についての陳情書を提出して当局の善処方を要望した旨須原氏から報告があった。以上にて理事会終了。

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 福岡市SM対策委員並に部会長 合同会議

 福岡市SM対策委員並に部会長合同会議を八月廿八日午后薬剤師会館で開催、殆んと全員出席、唯当仁と姪浜が欠席であった。藤田氏開会の挨拶に次ぎ白木氏から次の様なその後の情勢報告があった。

 @箱崎三和は一時薬品部設置を中止する様見えたが現在では再び設置する方向に向っている。
 A福岡の主婦の店中央店は雇傭薬剤師も略ぼ決定している模様で目下阻止のため接衝中である。
 B鳥飼主婦の店についてはイナバ薬局は手を引いた模様である。
 C名香地区はその後結果良。
 D県庁売店は漸く又再炎、混乱が予想される話しはそれから薬事審議会、商工組合に及んだ。商工組合については昨年の創立総会開催時よりも現在は県商工課が非常に積極的であり、又公取委が薬業界の不況調査に乗り出しており、組合推進に尤もよい時期である。これ等情勢変化のため九月中には手続きを終り認可をとり第一回調整発動は十二月を見込んでいる。

 拠金について須原氏から発言があったが、活動費用についてはその支出団体並に地区などに関し諸々の問題があるので慎重協議する必要があり仲々結論を得ず当日の会議では大体県庁売店問題突発以後の問題処理に拠金使用を認めることに意見の一致を見た様である。外にバーゲンショップ対策費の三分の一は地元の寄附をあおぐことに決定した。午后六時半終了。

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 福岡県薬協 全体理事会

 福岡県薬剤師協会では理事会を九月三日午后一時から薬剤師会館で開会、出席者、五郎丸、四島、古賀正副会長外理事十名、会長挨拶後左記議案につき協議した。

 (1)中央情勢報告(長野)
 @厚生省当局も薬事法改正については従来とは変った考え方を示している。
 A公取委でも乱売についての意向が表明される段階に来ている。
 B日薬では小売商特別措置法に商工組合法を咬み合せて工作中である又滝川メモも問題として採り上げ
 C高野会長から選挙の後始末について配慮の意向が示されているが県薬としてはその好意を受けるが、それ以上のことは全く考えていない旨日薬理事会で表明することを決定した。

 (2)九州薬学大会開催について(工藤)
 @長崎に於ける本年度九州薬学大会提出議案は薬事審議会を九州各県一斉に設置する様設置促進策を含めて作成提出方を執行部に一任する。
 A研究発表については校剤関係の分は既に校定しているので外に開局部会から神谷、工藤両氏から各一題を発表することを決定した。

 (3)薬学講習会開催について(工藤)
 十月七日から十九日迄九州各県及び山口県で開催するが詳細については近日中に判明する、福岡は七〜八日の両日、北九州は八〜九日の両日、その他について協議したが、具体的方法は近く会員に通知することを決定。

 (4)その他=田川支部の文化キャラバンの報告
 須原理事から計量協会加入問題について説明があったが、支部長会(九月十八日開催予定)に諮って決めることになった。次に鶴原会計理事により日薬会費は九月中に完納する様取計ることを決めた。午后五時閉会。

 福岡県薬協 支部長会開催

 福岡薬剤師協会では九月十八日午后一時から県薬剤師会館で支部長会を開催し@中央情勢報告 A薬学講習会開催、B九州薬学大会、C会費納入等につき協議する。

 植物閑話=栄御老

  「ア ケ ビ」

 木通(アケビ)は汎く山野の疎林中に繁茂してゐる。登攣せる蔓性植物にて、葉は情円形の五?に掌状に綴って、北梗の頭部に咲く花は繖生にして雌雄を分ち、雄花は淡紫色の小にして雌花は濃紫色で遥かに大きく美しくて太き子房あり。

 果実は長大なる紡錐状にて熟すれば一方縦裂する。果実は生食して珍味あり。 果皮は解熱剤とし、蔓茎は通利剤として有名なるは普く人の知るとことてあるが亦これを以って 用器藍等を作って重宝されます。

 明治の末期頃までは木通筆と称して、茎を削って筆先を作って竹の管にはめて、只今の万年筆と同型同法のものを作って紳土用としていた。結局只今の万年筆の前身ものであった。

 昔、風仙の山に深い深い林があって、その岳峰に一堂あって一人の年増の尼僧が住んでいた。この辺りには多くの俗徒が住んでいて、朝に夕にガヤガヤと大声を出して騒ぐばかりか、月夜の晩になると、これら俗徒が風仙の岳に集って、歌を謡う。浪曲、詩詠、物語りする、遠近互に呼び交す。

 中には喧嘩口論する、その喧しいこと迚も言葉に現はされない騒々しいので、アー我鬼共口が横に切れているから彼様に喧しいのである。今にどうするか思い知れと常に噴概していたか。

 堪り兼ねて摩訶羅王にどうぞ処罰して下さいと訴えたところ、素より心に想いをこめていた尼僧のこと、摩訶羅王は大い同感して俗徒を召し集めて日く。汝等この神聖な風仙の岳を騒しくけかすのは口が横に切れているからである。以後口を縦に割れと命じたが、一向承知せねので、遂に俗徒を捕えて口を縦に割った。俗徒達は縦に割られた口より怨みの血を吐えて林の間に散って死んだのは秋の彼岸の中日であった。

 それよりこの風仙の林中に異様の蔓が生えて木々に固く絡みついて、秋の彼岸の中日になると、その果実が縦に割れて点々として、怨み重なる血を吐くのがアケビであるとは、虚実譚という古い書物に見た一説である。

      句三味  筑前 徳 島 山 花

         秋暑し台風尚も盛るけはい
         この岩のこの潮なれば沙魚釣る

 熊本の藤田薬学部長に残暑御見舞申上げたら、早速便りが来てこの春以来病臥入院して居られた事が判った。でも現今己に本服、散歩で足ならし程度になられ新秋からは元通り働けるとの何時もながらの力強いお元気さがうか、はれて大いに安心した御便りには左の句がしるしてあった。
      病み上り杖で教ゆる油蝉       霧の 邦人
         かやのたれめくりて止まぬ夜風かな
         行水はあすより止めて風呂たてよ

      句日記より 山鹿 清 水 鹿 山

      耕人先生を想う
         菱食ひに行く約束も二昔
         無花果の三つ程にて腹みてり
         寝冷え風邪鼻つまらせて秋めきぬ
         長き夜の女の寝顔にくからず
         無花果の色濃く空の且つ蒼し

      句帖より   合 屋 杉 峰

         はるはるとみちのくよりのお中元
         中元のもの、中なる大西瓜
         蜩や盲落(めくらおとし)と云ふところ
         我が里は蜩が鳴き蚯蚓鳴き
      (前号「句帳より」中稲築中学校は稲築東中学校に訂正します)

 薬界短信

 ◇わかもと製薬福岡駐在員事務所新設=福岡市上西町二七、所長西江昇氏である。
 ◇田川薬剤師会病院勤務薬剤師部会=八月廿九日田川郡添田の霊峰英彦山に一泊で盛大に催された。  ◇福岡市薬協勤務部会九月例会=田辺製薬福岡支店後援の下に九月五日午後朝日ビール竹下工場を見学した。(詳細次第)
 ◇福岡市薬協SM対策委員会=九月七日午後薬剤師会館で開会
 @SM対策経過報告
 A委員会の任期に就て
 Bその他につき協議した(詳細次号)
 ◇福岡県女子薬全体理事会=九月八日午後薬剤師会館で開会
 @女子薬西部連合会会長会議出席報告並びに秋季薬学大会準備会よりの通達報告。  以上に対する対策
 A衛生教室開催について、協議した。なお引続き大阪計量工業KKの製品販売についての説明があった。
 ◇漢方夏季講習会=戸田、宣本、久保川、小山諸氏主催で八月廿三日福岡県薬剤師会館で左記により盛大に行われた。
▽演題と講師=すぐに使える漢方傷寒論の理論と実際に就て、近大薬学部講師山元章平氏

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 薬界随談1

 △自民党政調会の社会部会では、開業医等の私的医療機関の近代化を目ざして来年度の厚生省関係予算に「開業医や全歯科医に対し研修費を助成する」との方針を打ち出した。厚生省としては各府県単位に内、外科、歯科の各科に年二回以上の研修会を開き千六百六十二万円余を府県医会に補助し、各府県も同額を補助して実施させる計画だが、医師会側の意見では従来から会自体でやっているので今回の計画は官製講習会に陥ると警戒の声も出ているとの事である。お偉ら方には時に議論が多過ぎる薬界ならばこんな話を聴いただげで飛びつくものもいる。

 △日本医師会が指事し府県や郡市の医師会毎に大病院に対抗する綜合病院や臨床検査センターの設立計画が大きく浮び上って来た。

 △昔から馴染れている置き薬、今の言葉で配置家庭薬は全国隅々の家庭迄少なくて一社多ければ数社のものが預けられておるが、先般東京都の薬務部で都下で集まった九七一の調査カードの実態が判明した。六五%が無理置きで使用薬では風邪薬、頭痛薬、せき止め、きず薬、胃腸薬の順、一回の支払二−三〇〇円が多く中には二千五百円を払ふ家もある。薬の交換は八五%配置員の態度は鄭寧が多い。極く僅かに恐迫的乱暴であるのが有る。製造年月日の記入や良薬を配置してくれとの希望や家庭薬を置いていない処は信用が出来ないの声と、置きたいが配置員が来ないとの少数の声もある。

 △新潟県の国立高田病院では、勤務の主人持ちの看護婦さんの出産制限を加へていたと問題化し、病院側は看護婦同士の話合いだと云い、全医労高田支部側は押しつけは人権侵害だと云いだした。六年に一度の出産をきめていたらしいが割当外?の妊娠「ぜひ生みたい」の一人に同情した看護婦さんが全医労本部に投書して訴へた事がきっかけとなって問題化し、労組側は病院側に其の申合せの破棄を通告して以来、世に面白い紛争になった。

 △本秋出航する第四次南極観測隊員三十氏が決定、文部省は二十日に発表した。其の中に薬剤師が二名いる隊務としての分担は庶務や装備になっているが、薬剤師の職務を持つ者で第一回に朝比奈薬博に続いて今回菅原宏(グレラン製薬研究所)松本洋三(日赤中央病院薬剤科)両氏は何れも東京薬大出身で東薬学士山岳会の有カメンバーで其の責任も大である。切に健斗を御祈りする。

 芭薫の句に
 この秋は 何で年よる 雲の鳥
  (G T生)

 熊本三師会の親善剣道試合

 熊本市医師会、歯科医師会、薬剤師協会の親善剣道試合を八月二十三日午後一時より振武館道場に於て行った。何れも二回戦にて三十歳代より六十歳の医師、薬剤師が接戦、遂に歯科医師会が十八本、医師会が十七本、薬剤師協会が十五本の成綾によって薬剤師会が惜敗(昨年は優勝)した。終了後桜町西島旅館で懇親宴を催し、最近の医薬界共通の点に於て懇談の上散会した。

 スーパーマーケット

 「福岡市じゃ主婦の店のマーケットが医薬品は販売するちうて、保健所に申請書ば出したげなばい」
 「組合員な どげんしよるな」
 「一生懸命キヨーカ(今日か−強化)で反対しよ」
     スハラ

 サロンパ 蒋総統と記念撮影

 サロンパス女子野球部(山内敏夫団長その他一七名)は今春三月台湾各地で親善試合を挙行したがその際、蒋総統に異例の謁見があって記念撮影をなし、同総統は「日華親善と体育振興に役立った」と選手と握手、又滞在中各地では人気を呼び毎日二万〜三万の観衆があった。

 佐賀県薬業 野球決勝戦

 八月十二日十二チームが参加した佐賀県薬業同人野球戦は井上喜、大石膏盛堂、サロンパスBチームが勝ち残り、二十三日午後一時から佐賀高校東校舎グラウンドで決勝戦が催され、「井上−サロンパスB」は一対一で抽籤勝ちの井上喜とサロンパス女子チームが、西校舎で熱競の結果井上喜チームが二対一でサロンパス女子を敗って本年の優勝を獲得した。

 興味あるニュース

 ▽老人性イボにハント錠が著効

 最近精のつく薬″として第一製薬より発売されているパントテン酸製剤は、二日酔や長寿の薬としても話題を呼んでいるが、今度、頑固な老人性イボにも効力のあることが分った。経験者は六七才の眼科医であるが、三年位前より顎全面に亘り、長大直径二粍位のイボ無数に叢生し、毎朝のひげ削りの時にはそれを傷つけるため出血するのでその処置に困っていた。勿論、皮膚科、外科の先生方の指示で、亜比酸の内服、アンチモン製剤、アトロピンの注射等あらゆる治療を行ったが効果はなく、安全剃刀をやめ電気剃刀に代えて、わずかにその被害を抑えていた。

 ところが本年始めからパントテン散の存在を知り、一日一瓦の内服を始めたところ、約半カ月でイボの生長が止り、一カ月後には漸次萎縮減少し始めてきた。そして二カ月後には全く治癒してしまった。

 筆者は眼科医なので、頑強な眼瞼炎にも通用できるのではないかといっているが今後、パントテン酸には、更に新しい治療効果がでてくるのではないかと期待きれている。

 ▽パントテン酸の延命効果

 女王蜂の専用食料として知られているローヤルゼーリー製剤の国産化問題が、最近目立ってきているが、その主成分パントテン酸がラットの生存日数を延長する研究が昨年発表された。

 パントテン酸の発見者として有名な、RJ ウイリアムスは、生後四〜五週間を経た三四匹の雄ラットと四〇匹の雌ラットを用い、投与群と対照群結分けて観察している。

 パントテン酸カルシウムを一匹あたり、〇、三ミリグラムを飲料水に入れて与え、約二年間に亘って観察したのであるが、その結果、生存日数は、雄で五五九日から六六〇日に、又雌では五四〇日から六四八日に延長された。即ち夫々一〇一日(一八%) 一〇八日(二〇%)の延命効果があったことになる。

 又体重も実験開始後二五〇日頃より差が認めら、その後約三〜四グラム(一〇〜一五%)の体重差を示した。この延命効果の成績が、そのまま人間の場合にもあてはまるとすれば、日本人の寿命は男子七六、八才、女子八二、三才になることになる。

 ▽つわりにパント錠が著効

 つわりの原因は、はっきり究明されておらず、様々な説明がなされており、又治療方法も百様百態である。

 名大の森下、愛知済生会病院の大口両氏は、その原因を、新生物が体内に宿されるため、体内代謝に異状を来たし、そのために産生される異状代謝産物の処理が円滑に行われないとする中毒説とか?の異常(旺盛)代謝に追随出来る充分なビタミンが体内にないために様々な症状が現われるというビタミン不足説の混合説を強調され、その治療法として、体内の代謝に広範囲に関係しているパントテン酸とビタミンを併用授与する方法を行った。

 即ち、つわりを主体とする五一人の妊婦を四群に分けて観察したのであるが、症状の軽快に要する日数は無投与群では二週間乃至三カ月なのに反し、ハント錠一日二錠投与群では一乃至八日であり 明らかに効果がある車が分った。

 更にB6を併用すれば、一乃至五日といっ結果が得られた。なおB6単独投与群ではみるべき効果はみとめられなかった。


九州薬事新報 昭和34年(1959) 9月20日号

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 保健衛生上に支障なし〜積極策樹立の必要なし
 厚生省が薬業界の乱売に対する結論

 厚生省では近年社会問題化して来た薬業界の乱売状況調査を去る六月に着手、全国各都道府県に調査方を通牒していたが、この程四十六都道府県中四十都府県からの報告が纒った。

 調査事項は乱売の発端、経過、現状、その措置、等であったが、経済問題に対しては不慣れな地方薬務課であるので、報告は遅延し内容も最善とは思われないふしもあるが、免も角その大体についてこの程発表した

 ▽全般的に著しい影響ある地方(二都府)
 東京都、大阪府

 ▽影響の著しい府県(十五府県)
 福島、神奈川 新潟、岐阜、愛知、三重、京都、兵庫、奈良、和歌山、山口、愛媛、福岡、熊本、宮崎

 ▽一部地区で多少影響ある地方(十一県)
 秋田(湯沢) 栃木、群馬、長野、静岡、島根(松江、出雲)、広島、徳島、香川、佐賀(鳥栖、唐津、杵島、武雄など)鹿児島

 ▽全般的に影響のない県(十二県)
 岩手、宮城、埼玉 千葉、富山、石川 福井、山梨、滋賀、鳥取、岡山、高知  (未報告不明=北海道、青森、山形、茨城、大分、長崎)
要するに著しい影響ある処が一七都府県、一部地区で影響ある処が一一県である。

 ▽乱売品目、値引状況
 綜合ビタミン等所謂マスコミ薬品約二〇品目、値引は協定価格の一〜二割が尤も多い その措置についてはその地元の薬協組を中心に対策をとっている地方が多く 地方庁としては@生協等の員外利用の阻止A薬事審議会又は協議会で討議牽制B申請者との談合取下げC薬事監視の強化等を講じている模様である。

 乱売の影響としては廃業した者、倒産寸前の薬局など多少はあるが、一般には売上げが二〜三割減している程度である。これ等報告に基き厚生省は全国的状況として思考した時、現在の処、保健衛生上支障を来している様ではなく、次の結論を打出した様である。

 ▽結論
 (1)現状では保健衛生上支障を来していない
 (2)従って積極的対策をとらない
 (3)東京、大阪などは精密調査を実施する。
 (4)その他の府県は商工課と連絡をとり業界の指事に当る様指導する。
 右四項を基準として厚生省は今後薬業界乱売問題に対処するものと思われるが、業界としては今後のなり行きを注視している様である。

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 第二回薬事制度調査特別部会

 薬業界が常に注視している薬事審議会の薬事制度調査特別部会、第二回目の部会が本月一日午後一時から厚生省第一会議室で開かれ、全員出席、前回申合せた議題の提出と説明が各委員から行われ、次いで今後の審議方法が検討され、結局薬事法を逐条審議し、その結論は章別に纒めて「薬事法改正要綱」を作成し、当局の薬事法改正はこの要綱に基ずいて行って貰うよう意見の一致をみた。

 又同部会は月一回の予定であったが、委員の間から希望が出たので今後月二回又は二週に一回程度開会することを決定し、次回は廿一日開会することになった。

 熊本県薬協理事・支部長合同会議

 熊本県薬剤師協会では九月五日事務所に於て理事会及び支部長会の合同役員会を開催し当面せる左の件に就いて協議した。
 (一)熊本病院処方箋発行に関する対策に就て
 (二)九州薬剤師大会提出議案に就て
 (三)薬と健康の週間実施に就て(十一月中旬の予定)
 (四)本年度薬学講習会に就て
 (五)国鉄共済組合と健保調剤契約に就て
 (六)薬局の不況状態調査に就て
 (七)県下一円の薬業事工組合結成に就て椿氏より説明し準備委員として戸田、椿、石原、上野浩、下田の五氏が当ることとなった。なお県薬務課から「医薬品販売所面積の改定について」指示要望があった。

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 福岡市 四者懇談会

 福岡市四者懇談会が九月十日午後一時から薬剤師会館で開催された。
 出席者はメーカー側=武田薬品 三共(代理) 森下(当番)
 卸業側=大黒南海堂、九鉱薬品
 小売業側=白木、須原、藤田、大限、工藤
 県庁側=尾形薬務課長、佐々木課長補佐、大庭技師

 先づ課長挨拶、次いで白木氏より市内SMの薬品部開設状況(箱崎三和、主婦の店中央店及び高宮店、淵上百貨店)並に今日に至った経過報告があって、県庁側に対し「薬学法改正まで薬剤師以外の薬局開設並に一号営業についてはその間の事情を能く調査の上業界の混乱を来たさぬ様ご協力をお願いする」と要望した。

 課長は「開局開店申請については業界のため出来得るだけ善処するが、商売上の事は商業組合などによらなければ、薬事法は取締りと指導の規定であるから最後に来ればこの法ではどうにもならぬことになる。
 廉売も公開せず止むを得ぬ人にのみ割引販売する程度で進むことはできないものか」と意見を述べ、大庭技師も同様な考えを述べた。

 佐々木補佐は、薬事法を改正しても医薬品の価格については希望される様になるとは考えられない。今の処商業組合に依存するより外ないと思う。組合も設立が目的ではなく調整規程を作って始めて目的を達することになる。現在薬業商業組合設立の認可があった処は宮崎と大阪だけであり調整規程はどこにもないが、薬業以外では製鉄、プロパンガス、綿打などがある。本県で組合認可のあったものには電気工業、帆布製品工業、質屋の三種であり、今申請中のものは豆腐、たたみ、薬品、製麺などである。知事が調停すると云うのは今の処鮮魚と生野菜とが指定されており、認可になれば直に利用できるのだと云う様な単純なものではない。相等考慮してかかつねばならぬものと思う。と述べ

 課長は亦「具体的調査の最後に於て申請を受理せねばならぬ時は業者と申請者とが直接接衝して互に譲り合っだけの雅量を持たねばならぬと思うが、業者はそれだけの覚悟があるであろうか。出来る範囲に於ては極力業界のために尽したいと思っている」と再び発言、その他出席各人の真面目な意見がぞくぞく述べられ、洵に有意義な会合であった。

 佐賀県薬協 開局部会

 佐賀県薬剤師協会開局部会(部長徳永文平氏)の第一回会合は去七日午前十一時から県薬事務所で二十余名が集まって開催され、徳永部長より県下各地の流通機構の諸問題についての報告があり、森本氏より唐津地区、西依氏より鳥栖地区の報告、其他数氏から状況報告があった。

 部会の運営に就いては隔月上旬に例会を開催することとし、九州薬学大会には多数が出席し、開局部のンンポヂウムに県代表として徳永氏が出席することを決めた。 次いで県薬務課の独立陳情に就いて木元副会長より報告があり、原県薬務課長から薬局製剤に就いての説明があった。

 佐賀県 薬務課独立に薬業団体陳情

 佐賀県は先年赤字財政再建のため県の部課圧縮を実施し、当時の薬務課が衛生関係の一部と統合、薬務予防課となり今日に到っているが、健主産の家庭薬の生産振興指導、販路拡張、分業徹底等のために業者間で予てから薬務課独立の声が昇くなっていたが、七日午前江口、木元県薬協正副会長、中富製薬協会長、島卸業八日会長、横溝薬業会長等が池田知事に面会して薬務課独立の陳情をなした。

 新知事に依って十五日の人事異動を機とし、三課新設の六部三十課が発足し、厚生部関係では薬務予防課の衛生施設関係を医務衛生課に移し、全課の保健係を吸収して専ら技術系統を薬務予防課に統合する事になる模様である。

      句三味  筑前 徳 島 山 花

         新涼や島から見ゆる島のさま
         玄海の真つただ中の沖膾
         門川を水引の花たたきつつ
         水引の花にとどかず立尿り
         爽かやとれて了ひしさなだ虫

      句日記より 山鹿 清 水 鹿 山

         新涼やまきの実青く庭を掃く
         かしづける良夜の妻の老ひけらし
         一刷の雲あり良夜さまたけず
         漣となりて椋鳥渡りけり
         月の友一人欠げたる今宵かな

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 福岡市SM対策委員会開会 白木委員長留任

 市SM対策委員会が九月七日午后三時から薬剤師会館で殆んど全委員(当仁部会員)出席の下に開会された。藤田委員の開会の挨拶に次ぎ白木委員長からその後の情勢報告があった。

 @箱崎三和、主婦の店中央店、県庁内売店など何れも楽観を許さないので現在もなお阻止折衝衝継続中である。
 A淵上デパートの薬品部開設が新たな問題として浮び上ったが、極力その阻止交渉を明日から開始することに決めた。

 それより各委員から種々意見が述へられたが、某委員(部会長)から「部会から訪問販売する会員が出ても現在の吾薬業界情勢の下では止むを得ないのではあるまいか」との発言があり注目を惑いた。

 対策委員会としては主としてSM対策に重点を置いているのであって、訪問販売を除外しているのではない。これに対しては四者懇談会や開業組合設立などにより対処しているのであるとの委員長の答えがあった。

 次いで白木委員長の就任時約束の期限(二ヵ月)が来たので同氏から約束通り辞任したしとの発言があり、これについて各委員の意見開除、須原氏を座長に推して協議の結果満場一致、白木氏に引続き委員長としての留任を要望したが、漸く白木氏は今年一〇を期限としてこれを承諾、委員を増員して野入、峰松、倉光の三氏が新たに委嘱さることになった。本委員会は再び白木氏を委員長として引続き大いに活躍することとなった。

 福岡薬協組第十回通常総会 九月廿一日開会

 福岡地区薬業協同組合では第十回通常総会を九月廿一日(月)午后一時から櫛田会館で開催し、終了後引続き福岡地区商業組合総会を開会する。薬協総会の議案は次の通りである。
 (1)昭和卅三年度事業報告並に会計報告
 (2)昭和卅四年度賦課金決定の
件並に歳入歳出予算決定の件
 (3)役員任期満了に伴う改選  (4)議議その他
 なお両総会終了後懇親会が催される

 熊本県薬務課 店舗坪数規定

 熊本県薬務課では近時大衆市場、スーパーマーケットの続出と共に市場内に新設さるる薬品長場が、清潔、採光、面積等に就て不適格が多く、薬品営業の特種性に鑑み今後通路は除外して正確に六坪以上を販売場所の面積とすることに定め、八月二十五日より実施することにした。尚既設業者は昭和三十六年十二月二十一日迄に改善することになる。

 佐賀県薬業指導所 前年成績

 鳥栖市にある佐賀県薬業指導所(所長奥平昌一氏)前年の成績は左の如し
 (一)依頼試験研究 九二件
 (二)相談指導   九〇件
 (三)機械器具使用一一八件
 尚継続研究中のものは、
 (一)錠剤糖衣の研究
 (二)製剤上シリコンの応用研究
 (三)製剤の規格試験法の研究等

 薬界短信

 ◆福岡時局対策懇談会=開局有志によってSM等により業界が混乱を来さんとする重大時期を控え、これに対する業界人の公約的意向を知るため、九月九日新一楽で有志懇談会を開催したが参集者約四十名、各人各様の意見族出洵に近来稀れに見る有意議な会合であった。

 ◆福岡県女子薬福岡支部例会=九月十四日午后七時〜九時半迄薬剤師会館で上田新支部長の下初めての例会を開き、去る八日の県女子薬全体理事会協議事項の報告特に女子薬西部連合会撰定の体温計販売に関し協議した。出席者十三名。

 ◆第六回チヨコラ会全国野球大会=エーザイKK主催の名古屋市で九月十二、三日開会の標記大会に九州地区代表として九礦薬品チームが参加、十一日「さくら」で出発した。

 ◆佐賀県沖縄出品と視察団=十月十五日より四日間那覇市で開かれる九州・山口見本市に佐賀県薬業界から家庭薬サロンパス他を出品すると共に、視察団員としてサロンパス本舗中富社長と西海製薬Kから藤田十四郎氏が出張する。

 ◆山下新太郎氏(伊万里市薬剤師山下薬品社長)=伊万里商工会議所議員に無投票当選した。

 ◆サロンパスチーム県代表に=去六日佐賀大学教育学部で行はれた国体佐賀県予選大会にバレーボール女子予選にサロンパス女子チームは玉屋を2〜0で敗って優勝し県代表になった。

 植物採集会記念講演会 九州漢方研究会一週年記念行事

 昨秋発足した九州漢方研究会では、一週年を迎え左記により記念行事を催すことになった。

 ▽若杉山植物採集会
 日時―九月廿日(日曜)午前九時〜午后四時開散
 集合場所−篠栗線篠栗駅前
 採集指導者―塚本九大教授 松田九大講師
 中食−若杉楽園金剛頂院
 会費−無料
 持参品−中食、トーラン又はフロシキ及古新聞紙

 ▽記念講演会
 日時−九月廿一日(月曜)午前十時〜午后五時
 会場−九大薬学科第一講堂
 会費−三〇〇円
 講演題並講師−(午前)産婦人科の臨床と漢方治療−大東漢方治療研究所長 医学博士西山英雄氏
 (午后)薬性薬能を中心とした常用漢方処方の運用−武田薬品 薬学博士渡辺武氏▽漢薬と外国の民間薬−九大教授薬学博士塚本赳夫氏▽漢方コーナーと漢方相談室について−小太郎製薬社長上田太郎氏
 なお別席に於て西山、渡辺の両講師との懇親会を開催する、会費五〇〇円

 夏物と冬物

 「夏物は、やつと整理した処が、もう冬物ば持って来よるとな」
「そげん心配しなさすな、夏物とコータイ(後退−交代)で持って来よります」  スハラ

 延喜と趣味の王樹屠蘇 店名記入 案内

 本年もいよいよ後半期に入ったのて恒例の尤も新鮮な包装デザインで「王樹屠蘇」調製準備に王樹一家はとりかゝつている。飛切上等の新原料が入手できたので香味共に必ずご期待に添えると王樹翁は言っている。又製造量を限定して奉仕の意味で真心込めての調製であるとも言っている。

 店各刷込みの都合もあるので十月二十日迄に左記本薬院特約店に予約申込みを希望している。店名刷込みは百個以上ということになっている。

 ▽特約店
 坂田救命堂、スミヤ薬局、大石薬品 小倉薬品 川口屋、大黒南海堂
 ▽製造元
 直方市大字植木五〇九
  阿部東岡堂薬院
  電話直方(植木)三八番

 福岡市薬協勤務部九月例会 アサヒビール竹下工場見学

 福岡市薬協勤務部々会九月例会は、田辺製薬福岡支店後授の下にアサヒビール竹下工場を見学した。

 参加会員約六十名、午后一時半博多呉服町福助商事前広場及び福岡中央郵便局前広場に集り貸切バスで吉野田辺支店長、成松前支店長(本社調査役)を先頭に一路竹下工場に向い、一同は工場内隈なく見学の後、工場長(東大薬学科出身)のビール製造についての学術的講演を、現にその製造工場内に聴くことに非常な興味をもち熱心聴講、それより生ビールの饗応に渇をいやし顔を赤らめ、和ごやかな雰囲気の中に午后五時帰途についた。

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 薬界随談2

 ▲予てから労働争議勃発中のエスエス製薬蒲田工場は、第一組合側に対し雇った警備員と衝突軽傷十五人を出すに到った。薬の社会の労働争議としては稀らしい。労資の協調は併行するものではないが、早期の解決が望ましいものだ。

 ▲本年のミス ユニバースの児島明子さんがアメリカのマックスファクター化粧品会社の専属契約で早速と、ミス アキコ口紅と云ふものが売り出された。だが厚生省の化粧品として無登録でその発売が一応認められないかとか或は航送の品を一応回収するよう通牒を出したとかとの事、これは日刊紙の報道である。野郎には関係がないが少しでもおしゃれする娘さんと売る側では早く大手をふって陽の目を見せて欲しいものだ。

 ▲武田薬報八月号附録の「店頭の診療は薬報叢書十五号として配布され頭痛、便秘、食欲不振、下痢、眠れない、おでき、と一流の医家と開局者の対談で其の治療法等も自社の製品を売らん哉の宣法のものでなく、其の編輯内容は実に良心的である良い本だ。

 ▲熊本県では一号二号薬者の売場面積の基準四坪以上、其の内零売の場所としての防塵設備を必ず完備されたいと、これは、薬局が六坪で再調剤の場所が二坪であるのでこれを差引小てはぢき出されたもの。通達では治療品としての医薬品の意議を重大にする事を強調している事は、売らん哉、日用品や鮮魚屋の店頭値段表をビラビラはり出しているものと特に医薬品は違う事を無言で語っているものとして其の発表の英断に敬意を表す。

 ▲児を持つ親が欲しがる恐怖の小児マヒ予防のソークワクチンはアメリカから輸入されているが、本秋から熊本の血清療研、来春から千葉県血清研で他の製薬メーカーも来年から本各製造に着手する。絶対不足の貴重薬早く量産化をとの要望が強い。だがこれには多数のモンキーを確保せねばならん。

 ▲八日夜一〇時二〇分「日本短波」の薬学時間の日大教授木村博士の「菊科植物のくすり」は秋の植物とし亦薬用植物として実に良い参考になった。

 ▲秋十月佐賀で九州医学大会医師会、一日前からは、長崎で九州薬学大会何れも貴重な発表や報告が有る筈。佐賀は蘭医学に依って維新前に藩主鍋島直太昌正が世子直正に種痘をやった。いわば日本人の人体実験の初めてのゆかりの地、長崎は漢方薬や洋薬の日本への玄関であり西洋医学発祥の地で九州医薬の両大会が期を仝じくして肥前の国で開かれる事は意議深かいものを感ずる。
 古川柳に
 (茸狩は紅葉狩より世帯染み)
     (GT生)


九州薬事新報 昭和34年(1959) 9月30日号

 福岡県薬剤師協会 支部長会議開催  私立薬科大学設立賛否態度保留

 福岡県薬剤師協会では支部長会を九月十八日午後一時から県薬剤師会館で開会、 出席者支部長(粕屋、山田、三井の三支部欠席)二十一支部、役員側五郎丸、四島、古賀の正副会長、鶴原、須原、福田、長野、辻、波多江、加藤の諸理事外計三十六名であった 。定刻開会、五郎丸会長が挨拶に引続き、中央情勢並に九月十一日東京で開会した全国薬剤師協会長会議出席報告があって、それより左記議題につき協議した。

 ▽議 案

 (1)薬学講習会開催について
 @福岡=十月七日、八日−九大薬学科講堂
 A小倉=十月八日、九日−朝日新聞社講堂

 (2)九州薬学大会について
 期日=十月廿二日(代表者会議)廿三日、甘四日
 今年からは山口県が正式に加入した。本協会よりの議題の外に筑紫野町戸田氏から直接二議題が提出された模様である。一般会見えの旅費補助は例年の通り各支部に於て計画する。

 (3)会費納入について
 日薬えの納入は九月中に完納する。その他会計現状について詳細鶴原理事から報告があった。

 (4)福岡県文化キャラバン開催報告
 先に田川郡添田町、朝倉郡杷木町の二個所で開催されたが、医療関係では日赤県医師会、県薬協が協賛し田川県薬協支部から会員六名が出場して調剤(散薬)lの無料奉仕を行い、甘木支部から玉名、浮羽支部からPRの効果はあったものと認められる旨、野口田川 藤井甘木両支部長から報告があった。

 (5)その他
 @十月一日から薬価基準改正一部迫補について
 A福岡県薬事審議会設置についての県庁側の意向
 B選挙に関する訴願署名について
 C県計量協会加入に就てその可否を協議した結果、旧協会は去る八月の総会で解散しているが、現在企画中の新協会に加入する事とし、協会側から申出の会費年間十万円を三分の二位に減額し、協会員外の違反行為は厳格に取締ることを条件として交渉することを決定した。
 D事業組合に関する解説が古賀副会長から述べられ
 E工藤氏から「薬と健康週間」について(十月十二日〜十八日実施)説明があった。  F福岡国保の内容について詳細な説明が工藤理事からなされた。

▽私立薬科大学設立について
 先年九州薬学大会に於て、九州に私立薬科大学設立の必要ありとして設立賛成の決議を行ったことがあったが、現在福岡に設立計画ありとの情報に対し、偶々全国会長会議の際、九州グループに於てこの問題に触れ、他県はこれを再認識して設立に賛成したが、福岡県薬協会長の五郎丸氏は一応会議の意向をただして賛否の回答をなすとの理由でその賛否を保留し、本日の支部長会にこれを諮ったが、設立反対者多数の結果、この際賛否の態度を公表せず「この儘態度保留」と云うことを決定した。右にて支部長会議を終了、午後六時、それより一同小宴についた。

 日薬の全国会長会議

 日本薬剤師協会では九月十一日東京に全国会長会議を開催、高野会長を議長に推し左記議案を審議決定した。

 (一)薬業経済安定に関する件
 滝川常務から指定医薬品の製造、販売を主とした「経済安定機構」に就て説明があり審議の結果即決を避け各会長は地方会員の意向をただし十月末迄に賛否を日薬に報告することを決定。

 (二)国民皆保険対策
 原則的には賛成し今後薬剤師の活用、調剤報酬の引上げ、処方箋発行の促進に向って努力することを決定。

 (三)薬事法改正
 非公開として協議したが政府提案で次通常国会で成立させる様努力することになった模様である。なお当日渡辺厚相は今年中には改正法案を国会に提出して成立させたいと注目すべき発言があった。又高野会長は会長会劈頭の挨拶で心境の一端を吐露し今回の選挙違反容疑事件に関し適当な時機の下に会長辞意を表明した。

 長崎県薬協 役員会開会

 長崎県薬剤師協会では九月十四日午後二時から長崎市東洋軒で理事支部長合同会議を開催した。草津会長司会の下、深堀副会長から一般報告、通達事項及び九州薬学大会準備委員会の進渉情況報告の後、会長から十一、十二の両日東京で開催の日薬全国会長会議出席報告があり次いで左記議題につき協議した。

 (1)薬局経済安定の件
 開局委員会で検討中のスーパーマーケット対策、過当競争による乱売対策につき意見の交換をなし、長崎佐世保の両支部からは二名宛、その他の支部よりは、一名宛の専問委員を選任してこれが対策を一層強化することに決定した。

 (2)九州薬学大会提出議案の件
 執行部に一任と決定した。

 (3)薬学講習会開催の件
 諌早市に於て十月十、十一日開催することに決定、以上にて午後五時半閉会。

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 福岡市薬協 部会長会開会

 福岡市薬剤師協会では部会長会を九月廿五日午後二時から薬剤師会館で開催したが、午前中に理事会を開いて去る十八日の県支部長会議の報告及び午後の部会長会に対する準備打合せを行った。

 定刻開会、権藤会長は、第一線に働いていられる部会長諸氏の会合は、各部会内の実際の情勢報告や参考事項の交換などのため月一回位は開催したいと思っていたが、出席者が勘なくて前回は流会となり今回も亦三分の一の出席で洵に残念に存じています。今後は暫らく会合を止め必要事項は書類を以て連絡することに致したいと思います。との挨拶があった。

 ▽中央情勢報告
 剤界中央情勢特に去る十一日東京で開催された全国会長会議内容について報告がなされた。

 ▽県薬協支部長会議報告
 去る十八日開催の県支部長会議内容について報告があったが、これに関連して市薬協としては九州薬学大会出席会員には八百円を補助することになった。

 ▽会計中間報告
 荒巻理事から中間報告があり、過年度の会費未納者が十名位あるが、その対策につき協議した結果、一応理事者で近く集金に行き悪質者に対しては除名或は今後一切登録更新等斡旋しないことを決めた。

 それより工藤理事から福岡市も明年一月一日から国保が実施されるが、既に実施している他市について薬局の売上に対する影響調査は、二割五分〜三割減(三師会が円満に行っている横須賀市)を示し、市も処方箋は少しも増加しない状態に在り、吾々薬局としては処方箋を一枚でも多く獲得する様努力する外なく、特に歯科医との友交を深めて善処すべきであると述べ当日の部会長会を終了、午後四時半散会した。

 佐賀県薬協 緊急役員会 薬の週間に就て

 佐賀県薬剤師協会では十六日午後緊急役員会開会、先きに薬業団体から県に陳情した薬務課独立要望に関する件其他の報告。次いで「薬の週間に関する件」につき協議西日木新聞社と共催で本年は特に佐賀県に於いて諸行事を行う事とし、週間中に座談会及び薬の夕(映画講演、クイズ其他)を開催することを決定した。

 講演会の講師クイズ司会者、薬の相談所出席会員の日割等は執行部に於いて進める事などを協議した。

 武田薬品福岡支店 電話番号変更

武田薬品工業株式会社福岡支店では福岡市内電話局番切換えに伴い十月一日から左記の通り変更になった。
∇B四九三一(代表)〜四九三八

      句三味  筑前徳 島 山 花

         調剤の続きしあとの衣被
         方丈にとどけておきぬ衣被
         ぽた山のかぶさる如く宵闇に
         泊り居る舟にとどきぬ虫時雨
         長唄の妻にわれホ句夜の長き

 植物閑話=栄御老 アメリカアリタソウ

 大東亜開戦前より福岡郊外那珂川の上流、警弥郷橋=日佐橋区域に見知らぬ一種の雑草か繁殖していたのであった。

 偶昭和二十年二月十三日福岡第二陸軍病院(現国立筑紫病院)に、木村雄四郎氏が現地薬用植物指導に来院されたので、この機会にその一株を示して尋ねたのであった。氏は一見驚き早速関係者を集めて、アメリカアリタソウなることを示して、用法等を詳細に説明されたのであった。

 これに依って光武大尉は実験して優良なるヘノボチ油を得たので、院長(陸軍中将)伊部三郎氏は意外なる獲物と喜び、早速現繁殖地を祝察すると共に、その種子を採って汎く西部軍司令部地域に繁殖すべきことを指示し、且つその行事を私に指命されたのであった。

 依て私はそれより種子採収して、先づ郊外の那珂川御笠川の堤防等に撒布し、且つ昭和二十一年より県農業会保健技師を嘱託されたのを機会に、解説書を添えて各町村農業会に種子を配布したのであった。

 今県内各地に見るのは、恐らく是れに基くのであると確信して居るのである。それまでは只珍らしい草とのみ思っていたが、この草に就て其後熟々考えて見るに漸く思い出したことがあった。

 それは昭和十六年の晩秋の頃、安徳村に在住の永田県視学の家に、朝倉部俗称馬賦隊と一夕の招宴の帰り途のこと、曽て福岡市催薬草展覧会の砌り、同好の士より荊芥とて種子を貰って鞄の中に入れた儘忘れて居たことを思い出して、不取敢路傍や川辺の沃地を選んで、無心に振り播いたのが、発芽し繁殖したことが明らかになったのであった。

 亦これらの種子が、戦災後は、福岡市の災害地は一面に繁茂していたので、内心実に気の毒になっていたのであった。その際に福岡在住の韓国人天裕禧なる者が粗製のヘノボチ油を造って、無論ヤミ取引で一寸小金を儲けたという恐れ入った事実もあった。

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 福岡地区薬業協同組合 第十回通常総会開催 県薬業事業組合福岡地区総会開く

 福岡地区薬業協同組合では第十回通常総会を九月廿一日午後一時から櫛田会館で開会した。終了後同会場で引続き福岡県薬業商業組合福岡地区総会が開催された。総会に先だち次の特別講演が催され一同熱心に聴講。

▽薬局薬店の新経営法
 三共KK販売推進部
      村上進仁氏

 講演はスーパーマーケットの本質、日本に於ける現況について述べ、薬局薬店がこれに対抗する唯一の方法は大同団結あるのみとの結論であった。

 それより薬協組総会を開さ藤田氏の開会の辞、次いで磯田理事長欠席のため須原副理事長の拶技があって馬場氏を議長に推し議事に移った。馬場氏議長席につき「一八〇名出席(内委任状九一)で総会は成立」と宜し、直に左記議案審議に入った。

 (一)昭和卅三年度事業報告
 須原氏から訪問販売、Sマーケット、県庁売店その他の廉売店対策運動などにつき報告があり、記録が現在手許に無いので詳細な報告ができないことをお断りする。
 (二)昭和卅三年度会計報告
 (三) 同    決算報告
 (二)(三)を一括簡単に報告

 これ又帳簿がないので返り次第還付金払戻しなど実施する。なお以上の理由で監査をもなし得ぬ旨報告があった。

 (四)昭和卅四年度賦課金決定の件、並に歳入歳出予算決定の件
 執行部と組合員との間に相等質疑応答や論議がなされたが、賦課金は年額千二百円とし内六百円を商業組合の賦課金に当てることを(従来の二百円還付は今後これを廃止)決定した。次いで予算案について説明があったが詳細なことは決算報告の際討議することに決った。

 (五)役員任期満了に伴う改選の件
 留任の声があったが議長と理事との談合により選考委員制をとることになり議長指名で工藤、荒巻、宇野、吉松、富永、須原、馬場の七氏が委員となり、選考の結果、荒巻委員長から左記十七名を選出した旨報告があり、これを会場に諮って満場異議なく理事に決定し、理事長は互選により決めることになった。
 白木、国武、大隈、藤田、斎田、瀬尾、花田、勝目、工藤(益)、高島(康)、伊田、世利、木村、安部、土井良、定宗、須原、以上で薬協組総会を終了し引続き県薬商組福岡地区総会を開いた。

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 福岡県薬業商業組合福岡地区総会

 藤田氏開会の挨拶、古賀氏の本組合の経過報告があり次いで一同は来賓県商工課の鹿毛係員の商組に関する講演を聴講した。

 鹿毛氏は「本日の薬協総会に列席しその協議状況を観察して驚ろいたことは組合員の大部分が各種組合が何が故に必要であるかと云うことが理解されていないことであった」と講演劈頭に感想を述べ、中小企業者の不況を打開するために団体法ができたことにより各種組合特に商業組合について詳細解説し、薬業者にとって協同組合と商業組合の二本建で行くことが尤も有利である旨強く説かれた。それより質問に移り、午後七時終了散会した。

 九州薬学大会 準備委局長会

 長崎県薬剤師協会では第廿八回九州薬学大会準備委員会局長会を九月十四日午後六時から長崎市桃太呂に於て開会、各局長から現在迄の経過報告があり、相互連絡事項につき協議の結果
 @大会案内状は九月末日各県薬剤師協会宛一括発送する事、A事務局員を増強する事、等を決定して午後九時閉会となった。

 八幡市校剤師 研修会 開催 新城博士祝賀の宴

 八幡市学校薬剤師会、同市学校保健会共催による研修会が市内学校薬剤師の大部分、市教育委員会、学校当局関係職員の参加を得て九月十日午後二時から八幡市中央公民館で開催された。

 大蔵学校保健会長の挨拶に次ぎ、八幡製鉄労働医学研究所、新城玄博士の「学校給食と食品衛生」と題して特別講演があり、引続き出席者多数による質疑応答、重松理事より九月以降の校剤会並に保健会の事業報告、長野校剤会長の両会事業への会員の協力方を要請した閉会の辞を以って会を閉じた。

 なお終了後校剤会では、新城氏の学位獲得を記念して祝賀会を開催、薬剤師の新分野に活躍される同氏を囲み有意義な一時を過して午後六時散会した。
     (八幡通信)

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 福岡県薬業 四者懇談会

 福岡県薬業四者懇談会九月例会は十六日午後一時半から県薬剤師会館で開会、出席者次の通り。
 メーカー側=武田薬工、塩野義製薬、三共、第一製薬、森下、(当番)の各福岡支店長
 卸売側=大黒、若狭、鶴原、佐治、江口
 小売側=白木、須原、工藤、形井、古賀
 県庁側=尾形課長、尾崎、大庭の両技師
 外にオブザーバーとして四島、大隈氏が列席

 当日は尾形課長の開会挨拶に次ぎ、四者の間に質疑応答 意見開陳、懇談に終始したが特に注目すべき程の事項はなく午後四時半終了した。

 談話の大要は次の様なものであった。
 小売側代表から「本懇談会の実績は思わしくない」と、他者側に対する不平とも思われるふしがあった様であるが、卸側との質問応答があり、又メーカー側からは「その結果は兎も角として今日迄出来得るだけの努力を払った事は再認識して貰いたい」との発言もあり、県庁側からは、これ又「官庁の立場から小売側から要望された事に対しては最大限の努力は尽したつもりであるが、流通機構に関する問題は容易に進渉するものでないので今暫時幸棒されたい」と述べなお「今後吾々が活動し易い様に具体的な注意を与えて貰いたい」との希望も出た。

 「審議会設置については考慮中であり又具体的に調査中でもある。大阪府ではまだ結論が出ていない様であり、京都では色々の非錐もある様である。悪質行為が審議会によって防止ができるとの見込みが立てば設置について積極的の行動をとりたい」と発言した事は従来の県庁側の考え方に一進転を来したものであると認めねばなるまい。

      句日記より 山鹿 清 水 鹿 山

         底知らぬ女の暮し身にぞ入む
         肌寒や妻の返事のちぐはぐな
         かまつかの色はなやげる入陽かな
         身に入みて妻の言葉の骨ささる
         長き夜や手足を揉むでなぐさむる

 屠蘇の注文取り

「この暑かとこい もう屠蘇の注文ば取りよんなるとな」
 「それが早いとじゃこざっせん ヨーヤク(ようやくー予約)とりよります」  スハラ

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 薬界随談3

 ▼ガス、電気料金国鉄運賃の値上げ案、続いて環境衛生法に保護される。クリーニング、理髪、浴場等の値上げの気ざしがあるが、世の中が景気上昇の兆が有るのに便乗兎も角上げの気勢、だが薬業界のみは逆に下向き?乱売、濫市の珍現象而も盆、暮れに団扇やカレンダーを御添えもせねばならず、薬局へ行けばただの玩具が有るものと子供は思い込んでいる。何処までサービス?信が地に墜ちるか底が見へないのが全国的の薬業界の兆しである。

 ▼豆腐や味噌や食用油植物性蛋白源の王座をなし其地応用の広い大豆は国産品ではとても不足し、戦前は満州から多量が入荷していたが現在は北米から輸入されている。処がこの大豆の中に往々朝顔の種子即ちケンゴ子が混入されている。ケンゴ子は六局にある劇薬で峻下剤として効力は含有する樹脂中の有効成分コンヴオルチン配糖体に基因する。そこで大豆の加工品で下痢を起したら大変だと積み出し元に厳重注意を促した。

 ▼九州薬学大会の期間中に富山、金沢、熊本、千葉、長崎、徳島の六大学薬学部の事務長が集まって、以上大学に大学院を設置する具体的の事項に就いて協議する。大学院は薬学者や薬学研究者の養成にある。昨年度の九州大会でも取り上げられ日薬でも大いに期待している。吾々も其の実現を臨む。医師と医学者が同心同体であり、薬剤師と薬学者が異心異体であっては薬学は延びるものではない。

 ▼本年の「薬の週間」は例年の通りの計画で、西日本新聞社と共催其の主力は佐賀鹿児島で行事を行う事になった。今回はあっと云う新しい計画だと云う事を聴いて心強い思いがする。切に成功を祈る。

 ▼先年鹿児島での九州大会の議決で肚を堅めた九州私立薬大の構想に取り組んだ薬学会藤田博士、薬剤師会の磯田の両氏の密なる連繋で総てを進められていた。 単科薬大設立愈々機が熟し、各方面に手を打っていると聴く。学者はこの関係者藤田氏の学生時代御互に識り、亦磯田氏は兄登喜三時代より識り古い交りをなす事久し。着実に然も九州剤師の要望に答えると思う。切に健斗大会議決の趣旨に邁進されん事を祈る。

 ▼秋の彼岸、昔風に云えば老若善男善女の寺詣り続くでも昔に較べたら其の数はずっと減って若い者は寺から里へでなく、寺から映画然も彼等はアベックで
 古川柳に
 「秋の蚊は大きな声で
      潰される」
      (G T生)

 薬界短信

 ◇福岡県薬協調剤技術委員会=十月十日牛後三時から小倉市北方、国立小倉病院で開催、次の議案につき協議する。  @九州薬学会提出議案  A福岡県病薬会提出の報告事項の検討、その他。

 ◇佐賀県薬系人事異動=十五日発表で県病院薬剤部長坂井清仁氏が退職し、後任に県薬務予防課薬務係長原文彦氏が、唐津保健所衛生課長船倉晃氏が県薬務係長に就任した。

 サロンパス本舗 パレーチーム 女子野球部の活躍

▽サロンパス本餌バレーチーム国体九州代表に
 九月廿日鹿児島市中央公園で行われた秋季団体九州予選バレーボール大会一般女子の部でサロンパスチームは佐賀県代表として健斗、一回戦は鹿児島県代表山形屋チームと、準決勝戦は大分県代表富士紡チームと、決勝戦は熊本県代表太洋チームとの三戦に全勝して優勝、来る十月廿五日から東京で開催の国体の九州代表権を獲得した。

 サロンパス女子野球部山陽地方で健斗

 去月廿八日から九月十九日迄山陽地方に遠征したサロンパスノンプロ女子野球部は廿日帰社したが、その間下関、宇部、山口、防府、柳井、岩国、広島、呉、?原、尾道、??、 ?岡、玉島、倉敷、岡山、光の各市で親善試合を行い、各地の男性チームを相手に卅四試合中廿三勝六敗、五引分の好成績を挙げた。