通 史 昭和32年(1957) 日薬−県薬−市薬

 昭和32年(1957)

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 九州山口再販売契約薬品促進会結成式

 2月10日 午後1時半 自由民主党県連支部会議室
 出席者 福岡61、佐賀11、熊本12、長崎2、山口2、卸1、メーカー3、計92名
 開会挨拶 福岡地区薬協組 馬場理事長
 議長 椿 万辰氏(熊本)
 事業計画 古賀治氏
 1.受け入れ態勢の整備
 @新規開業者、組合未加入者の加盟
 A悪質乱売者、再販非契約者調査
 2.再販契約の周知徹底
 3.違反者、悪質乱売者の措置
 @監視、摘発、通報制度
 4.その他

 第11回日本薬剤師会通常代議委員会(2月22日〜23日)

 ○長野義夫代議員(福岡)緊急動議提出
 「日薬協は公務員の給与改正に際しては、全力を挙げて薬剤師の地位向上に努力すべし」
 提案理由は、医療担当者である薬剤師が医療補助者であるレントゲン技師、栄養士、歯科技工士と同様の給与表、即ち第2表を適用されることは、社会的格付けとして全薬剤師の重要問題である。
 ○高野、野沢の正副会長より辞任の申し出があったが、交渉の結果、高野会長は「残任期間1年間限り」ということで留任し、野沢副会長は国政に専念することになり、後任副会長に可児重一氏(日本薬政会長)を選任した。
 高野会長辞任の理由は、国政もあり、実際に日薬の実務を見ることは困難であるということであった。

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 2号業者「薬業師」と4月から自称

 2号業者(薬種商)の団体、全日本薬業連合会では、3月5日正副会長会議を開き、@4月1日を目標に2号業者を薬業師にA資格化の国会請願は直ちに実行することを決定した。

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 九州山口再販契約薬品促進連代表者会議

 3月19日 午後1時 県薬会館
 各県より代表出席者 15名
 古賀 福岡県薬協組連会長挨拶に次ぎ役員選挙
 会長  古賀治氏
 副会長 各県より1名

 日薬分業1周年記念式典実施

 4月4日 午前10時 銀座エスヤホール
 地方職員表彰者の中に吉田義夫氏(県薬協議事務長のち市薬事務長)がある。

 第10回 日本薬学大会(4月6日〜9日)

 会場 東大 参加 約5,000名

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 同盟解散し「全国薬剤師連盟」結成(4月5日)

 医薬制度合理化同盟全国執行委員会が4月5日午後3時より衆議院第二会館で開催され、同盟を解散し新政治団体「全国薬剤師連盟」を結成した。
 会長  沖勘六(愛知)
 副会長 竹中稲美(東京)、可児重一(東京)、井手市蔵(大阪)、磯田秀雄(福岡)

 武見太郎氏(元副会長)日医会長に選出される(4月14日)

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 昭和32年5月1日 保険薬局調剤指針 関係省令公布

 厚生省では従来の保険薬剤師医療担当規定を今回規則とし、医療給付の担当方針、調剤の一般方針などを新しく追加し省令として5月1日公布、即日施行した。

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 全日本薬業連合会 第10回 全国大会(5月21日〜22日)

 「全日本薬業師連合会」と名称改称し、業権の確立を目指した。

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 昭和32年7月13日 九州山口再販契約促進会代表者会議

 午後1時 二日市玉泉館
 会の名称を変更「九州山口県正価推進連合会」
 今後の事業について
 (1)小売業者の自覚、団結並びに新聞等の送付
 (2)各地における乱売行為の監視及びその対策
 (3)団結圏の拡大、西日本の連携と同一行動
 (4)法による根本対策の推進
 (5)小売、卸、メーカー三者の連携
 (6)資金貯蓄

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 国民皆保険厚生省計画

 国民皆保険4ヵ年計画(昭和35年末まで)について
 厚生省は初年度(昭和32年)における普及計画を決定したが、本年度中に新しく国保事業を開始、又は区域拡大により約700万人が加入することになる。
 福岡県は287,631名

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 昭和32年7月25日 諫早大水害

 大村、熊本両市も大きな被害を受けた。
 日薬では見舞金一口百円以上8月10日迄に収集することにした。
 福岡県薬協ではA会員百円宛七万円を本部へ送付。

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 第26回 九州薬学大会(10月22日〜25日)

 於 大分 参加 約 1,500名
 大会提出議案決定の主なもの
 1.正価維持商品拡充を日薬を通じて、メーカーに要望する件
 2.薬事法に対する規定要望
 @ 都道府県に薬事審議会を設けること
 A 薬局間に距離制限を設けること
 B 二、三、四号業者の制限
 C 管理薬剤師の業務管理規定を設けること(名義貸しの防止)
 D 流通機構の整備(卸売業、小売業の区別)
 E 指示書制度の撤廃
 3.処方せん発行に対する除外例8項目の廃止
 4.薬事法改正に対して医薬品と化粧品の区分
 5.国家・地方公務薬剤師の待遇改善
 6.分業完全実施対策
 7.学校保健法の制定を今国会に提案するよう文部省に要望及び学校薬剤師の地位明確化

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 昭和32年11月14日 中小企業団体組織法成立

 実施昭和33年5月
 この方の目的は、中小企業を組織化して無謀な競争を防ごうと言う点にある。この方の特徴は製造工業、商業、サービス業、建築業、その他中小企業における不況克服のために調整事業を行うことが認められた。
 薬業界にとっては、今後これを如何に利用するかが重要で、高野日薬会長は、この法による商工組合と薬剤師法、薬剤師会法を束ねて、薬局安定策を建てたいとの意向である。

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 福岡県学校薬剤師会理事会

 2月12日 午後2時 薬剤師会館
 1.文部省主催学校薬剤師実務講習会(3月)出席者について
 矢野憲太郎(福岡)、吉村泰治(小倉)、江口始(久留米)
 以上3名決定
 2.教育庁保健課の依頼による県下高校昼間照度測定の件
 協力することとし、対象校90校で2月〜3月に実施

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 福岡地区 三者懇談会(第1、第2回)

 3月2日 午後2時 クラブ九州
 出席者
 卸    大黒、波多江、富田、若狭、鶴原
 小売   四島、斉田、塚田(巧)、柴田(正)、勝目
 メーカー 武田、三共、第一、田辺、シオノギ
 乱売問題は薬業界全体に広がり、その防止対策として業界一致の声が全国的に高まってきた。
 小売側は協同組合結成。再販契約に打開策を求めた。この目的で三者会議が開催された。
 なお、第2回三者懇談会は3月19日に行われ馬場勘二福岡地区薬協組理事長が出席された。

 薬界短信 昭和32.3.10号

 古賀隆氏開局
 九大薬局調剤並びに研究室に在勤研究中であった同氏は、今般退職、3月1日から福岡市浜町1丁目(現 草香江1丁目)に古賀薬局の名称で開局した。

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 昭和32年3月19日 福岡県薬業協同組合連合会代表者会議

 正午 県薬剤師会館
 古賀治氏の開会挨拶に次いで大島猛夫氏により「最近の情勢報告」があり、役員選挙を行った。
 会長  古賀 治氏
 副会長 長野 義夫氏、福岡より1名未定

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 昭和32年3月22日 第7回 福岡地区薬業協同組合臨時総会

 午後2時 自民党福岡県支部 出席48名
 1.特別出席の古賀治氏より再販契約促進の経過説明
 2.四島氏より三者会談の報告
 3.役員辞任に伴う改選の件
 馬場理事長辞任の弁
 「昨年は乱売、距離問題、その他処理方策に当ったが解決を得ず、関係当事者間に冷却期間を置くため、協組は31年10月より冬眠に入ったわけだが、最近の情勢はそれを許さないところまで来た。更に理事の欠員や辞表提出者が数氏あるので、この際役員一同辞任する」
 当日は選考委員を決定しただけで役員選を行わず後日決定
 理事長  磯田秀雄
 常務理事 須原勇助
 理事   工藤益雄、田中日出夫(宗像)、大隈次郎、鳥飼善人、岡本弘、種兼肇、久保川憲彦、那須宗次、吉松繁(粕屋)、木村基(筑紫)
 監事   四島久、世利一夫

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 第11回 福岡県薬剤師協会 通常代議委員会

 4月27日 午前11時 消防会館
 優良支部長表彰
 福岡支部長  四島久
 柳大川支部長 岡野幸一郎
 直方支部長  吉柳富雄
 特別講演 高野日薬協会長
 「分業を実施して1ヵ年であるが、実績は遅々として上がらない。我々は今後たゆまず努力すべきである。しかし、病院薬剤師の身分確立は分業の賜であり、又、国保運営協議会に薬剤師を加えたことも同様である。将来、薬事法改正と共に三師会を規定し、かつ身分法を制定しなければならない。今回の健保法一部改正に引き続き単価引揚に進み、4年後の国民皆保険に備えなければならない。以下略」

 福岡県分業初年度 調剤件数

 昭和31年4月〜32年3月
 調剤件数 398
 薬局数  843 1薬局当 0.47件

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 福岡県女子薬剤師会 福岡支部総会

 5月11日 午後2時 正金グリル 出席 約30名
 役員改選
 支部長  加藤多美子
 副支部長 杉本好子、生野千代子
 会計理事 堀田ミツ子
 特別講演
 「美容について」 トーア美容院 松尾氏

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 第2回 福岡市学校薬剤師会 総会

 5月25日 午前11時 恵比須会館 出席 23名
 32年度事業計画
 1.学校周辺の環境衛生調査
 2.保健室並びに理科室の実態調査
 3.各班毎に研究会を実施
 4.小中学校照度調査
 来賓 市川県学務課長 挨拶
 まことに遺憾ではありますが、予算がなく昨年同様無給で辛抱して頂きたい。 学校薬剤師の出校状況は、小学校52校中20校、中学校24校中10校であった。

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 第12回 福岡市薬剤師協会 定時総会

 5月25日 午後2時 恵比須会館
 出席 会員 277名中 162名(委任状共)
 会員数 昭和30年度末 282
    昭和31年度末 277 5名減
 昭和31年度 決算額 2,016,240
 昭和32年度 決算額 2,140,790
 会費 A会員 7,000  210名
    B会員 3,500   67名

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第4回 福岡県女子薬剤師会 通常総会

 5月19日 午前11時 婦人会館 出席 約70名

 竹内文人氏 逝去

 5月16日 享年 62  同氏は東薬出身で、静岡、福岡の技師として薬務行政に。退官後は民間薬業界に多大な功績を残された。
 西新薬局経営。元市薬会長

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 第4回 福岡県学校薬剤師会 定時総会

 5月27日 午前11時 県給食会館 出席 約50名
 来賓 沖県保健課長 挨拶
 現在、校医の配置は100%、歯医は90%、学校薬剤師は50%となっており、郡部は2%に過ぎない。
 32年度事業計画
 1.公立中学校照度検査
 2.寄生虫対策
 3.ポールの検水、消毒並びに細菌検査

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 福岡市薬剤師協会「薬局経営委員会」設置

 6月17日 部会長会議で決定
 委員 工藤益雄、勝目一郎、柴田伊津郎、塚田豊、吉村善吉、鳥飼善人、峰松善人、大隈次郎、重松荒太郎、冨永昇蔵、早舟助次郎、柴田正夫
 設立目的
 1、価格安定のための具体策(乱売対策)
 2、昭和35年予定の国民皆保険対策
 薬局経営に及ぼす被害について

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 第2回 福岡県薬業組合連合会 総会

 7月10日 午後2時 県薬剤師会館
 役員選挙
 名誉会長 磯田秀雄
 会長   古賀治
 副会長  長野義夫、須原勇助
 専務理事 大島猛夫

 第7回 福岡市薬剤師協会勤務部会 総会

 7月27日 午後2時 町村会館 出席 約60名
 役員選挙 松村会長留任
 講演「わが社の新製品を巡りて」 藤沢薬工研究部長 植田高三氏

 第7回 九州地区大学薬局野球大会 田辺製薬主催

 8月18日 西鉄香椎球場
 熊大薬局優勝
 熊大  4−3 九大
 九大  6−2 長大
 熊大 13−8 長大

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 第8回 福岡地区薬業協同組合 通常総会

 9月28日 午後2時半 町村会館
 組合員総数 約300名中152名(委任状107)出席
 磯田理事長挨拶
 昨年度は通常・臨時で4回も総会が開かれ、一時は解散の声さえでたほどであったが、漸く安定はしたものの、本日の出席まことに低調で残念である。なお、福岡市中の薬局、一日の売上平均は約4,000円であり、他郡市に比し1,000円程度低いので、今後売上増加に努力したい。
 役員選挙
 磯田理事長留任

 ベンザ   25T  150円  55T   300円

 サロンパス 10枚入 50円  22枚入 100円

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 福岡県 薬と健康週間 行事

 10月29日〜11月4日
 1.「薬と健康」の講演と映画の会 10.31 電気ホール
 2.「薬と健康」の展覧会 10.29〜11.3 博多大丸デパート
 3.「薬と健康」のニュースカーにより巡回宣伝
 4.「薬と健康」のパネル街頭表示
 5.「薬と健康」の宣伝用ビラ、リーフレット配布
 6.「薬と健康」に関し保健所「窓口相談」の開設
 7.「薬と健康」ラジオ・広報誌による宣伝
 8.「薬と健康」に関する作文・標語懸賞募集

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 ★コラム 九州薬事新報 32.11.20

 ○10月21日、福岡市薬院の丸一ホームストアーが突然、全薬品の二割引販売広告を出した。驚いたのは、周囲の薬業者。直ちに協組の問題となり、種々調査の結果、その根源を突き止め、卸業者の協力もあって、11月5日には仕入薬品代及び準備費50万円を補償することで解決した。
 丁度、協組理事長の磯田氏は、県薬会長として上京中であり、四島氏を中心に電光石火的に乱売禍を未然に解決したことは、業界に高く評価されている。

 ○厚生省薬務局は財界の圧力もあって、薬事法改正案を上程することに踏み切ったようで、結構なことであるが、おそらく財界が希望する開局の距離制限、薬剤師に限定する開局、日薬への強制加入、新二号業者(薬種商)の登録制限などを盛り込むことはちょっと難しい様である。