福岡市急患診療 医薬品集

第 4 版

序    文

 福岡市医師会が、福岡市の委託を受け急患診療事業を早良区祖原で開始したのが昭和49年5月であった。

 当初は診療科目を内科・小児科として休日診療及び年末年始の診療を実施してきたが、昭和57年9月に現在地の中央区薬院に急患診療センターを新築、移転すると同時に診療科目も外科(含整形外科)・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科を増設し、盆診療と土曜夜間診療をも加えて実施することとした。

 昭和61年の本事業の患者統計をみるに、年間約55.000人もの受信者があり、患者層も福岡市のみならず、福岡ブロックをエリアとする感を呈し、休日に於ける医療過疎を充分にカバーしているものと思われる。

 かくの如く本事業は市民に定着し、今や不可欠の事業に成長したが、これも偏に福岡市当局の積極的政策と医師会員並びに大学、医療従事者の協力の賜と深く感謝するもである。

 このたび医薬品集第4版が刊行されることになったが、急患診療に必要最小限の約400品目(注射薬130、内用・外用270)を収載したものである。しかし、疾病の多様化に伴う新薬の開発等で、医薬品の種類も膨大な数にのぼっているが、医薬品を適正に使用されるために必要な情報を適格に収載し、しかも利用しやすい形態に編集することは仲々の難作業である。それだけに編集に当られた福岡市薬剤師会の御苦労に対し、深甚なる謝意を表するものである。

     福岡市医師会 会長 松田 一男


第4版 改定にあたって

 このたび急患診療センター医薬品集第4版を発行することになった。

 この医薬品集は、昭和50年5月に初版を発行して以来、本診療事業における薬物療法の参考資料として御利用頂いたが、前回の第3版(昭和59年)発行以後の準備医薬品の追加と、薬効再評価或いは添付文書の改訂などの情報の変化に対応して、内容を充実させた定期の改訂を行うことになった。

 第4版の特色としては、前回の方針を継承して、収載医薬品を必要最小限に厳選すると共に、印刷の活字を大きくするなど、より医師の利用の便を計ったことにある。

 最近は、各医療機関でも殆どが自家の採用薬品集を作成されているが、ポケットサイズであるため、その収載内容は極度に制限されている。その点本書は臨床医の要望をとらえて、「効能・効果」「用法・用量」の他に、特に「使用上の注意」「薬効・薬理「取扱いの注意」までを収載するために、机上で利用される医薬品解説書としての体裁を備えた、適切なサイズとされている。

 この医薬品集が常時、医師の傍らにあって、診療に活用されることを願うと共に、更に改良を加えるための御忠告を期待する。

 尚、今回の編集委員は、病院薬剤師のみでなく、各分野でそれぞれの立場でDrug information 業務に携わっていられる方々に御協力頂いたことを感謝するが、唯一つ残念なことは、初版以来10余年の間編集委員長として多大の功績があった、河野義明先生が、途中で急逝されたことである。

 慎んで本書を先生の御霊前に捧げるものである


医薬品集

昭和63年4月1日発行

 発  行 社団法人 福岡市医師会

 編  集 社団法人 福岡市薬剤師会

編集委員

編集委員長 吉本喜四郎(九宏薬品K・K 常任顧問)

編集 委員 山田 雅弘(九宏薬品K・K 企画室)

  々   仲尾次広子(済生会福岡総合病院 副薬剤部長)

  々   野仲 範子(九大病院 薬剤部製剤掛長)

  々   比田勝悌子(三信会原病院 薬局長)

  々   藤下  修(九大病院 薬剤部麻薬掛長)

  々   土師  清(福岡大学病院 薬剤部)

  々   北島麻利子(福岡県薬剤師会 薬事情報センター)

  々   打越美千代(福岡市薬剤師会 会員)

  々   副島 啓子(元 福岡大学筑紫病院 薬剤部)

  々   成沢 哲夫(福岡市立急患診療センター)