福岡市急患診療 医薬品集

第 2 版

序    文

 近年、わが国の経済状態のめざましい発展伴い、日常生活も急激に複雑多様化し、福祉の向上、週休2日制が普及するなかで休日における急患診療は益々その必用性が高まり、更には診療内容についても一層の高度化が要求されております。

 福岡市においても49年5月、いち早く休日急患診療を開始して、すでに5年が経過することになりま才が、その間実に約13万人もの急病患者の診療こあたり、その設立の目的に対し相当の成果を掲げえたものと確信致しております。

 而して今日に致るまでには市当局の積極的援助と医師会員はじめ医療従事者の奉仕的協力を得てこそ成し得たものと深く感謝致しております。

 このたびの医薬品集第2版の発行は、第1版ほから4年が経過し、その間の医学医術の道歩に伴なう種々の改正、追加の必要性から救急医療の現状に即したものとして改訂されたことは誠に時宜を得て大いに意義ある二とであります。

 本書はもともと、出動医師の要求する医薬品全部を休日急患診療所に備蓄することが不可能なため、内科、小児科を主に救急医療の立場から必要最小品目で編集されたものでありま才が、今回の改訂により概ね定着し、今後更に改訂を重ねいよいよ完成されることを切望してやみません。

 試行錯誤の状態から第1版、第2版と本書の編集にあたられた福岡市薬剤師会の労を多とするものであります。

     福岡市医師会 会長 石田 正太郎


第二版 改定にあたって

 休日急患センター医薬品集の初版出版が1975年5月であるから、ちょうど4年経過したことになる。その間、医薬品をめぐる情勢は、日毎にきびしさを加え、副作用に関する社会的諸問題、薬効再評価、添付文書の改定など、種々の重要な懸案が山積してきている。これらに対応するための医療ニーズから、第一版収載の医薬品の洗い直しが必要となってきた。

 第二版の特色は、収載医薬品を必要最小限に厳選したことである。すなわち同種同効薬は原則として一品目にしぼり、銘柄選定は薬剤学的立場より厳正に行い、また全国的に入手困難なものは避けた。いっぽう薬効別収載品目の選定に当たっては、使用頻度は少なくても、救急薬品として緊急に手許に必要なものを加え、さらにWHOの必須薬剤リストの医薬品をも参考にした。

 類書に見られない特徴としては、適応、使用上の注意、取扱い上の注意、作用等の項目を収載したことである。なかんずく添付文書(能書)のなかで必見すべき使用上の注意は本書ではタイトル化して直視的に把握できるようにし、とくに副作用については内容が瞬時に理解できるよう簡潔直裁な表現を用いて配列した。また作用欄は薬剤の作用点・特徴を要約して便に供している。

 この医薬品集が常時、医師の傍らにあって、診療に大いに活用されることを願うものである。


医薬品集

昭和54年4月1日発行

 発  行 社団法人 福岡市医師会

 編  集 社団法人 福岡市薬剤師会

編集委員

編集委員長 河野 義明(九州大学歯学部附属病院 薬剤部長)

編集 委員 荒巻善之助(福岡市薬剤師会 副会長)

  々   吉本喜四郎(福岡市立第一病院 薬局長)

  々   仲尾次広子(済生会福岡総合病院 副薬剤部長)

  々   柳原 孝之(九大附属病院 薬品情報薬剤掛長)

  々   市花  晃(福岡市立西新病院 薬局)

  々   成沢 哲夫(福岡市立急患診療センター)