会報第8号 昭和55年03月15日
 ■ 巻 頭 言

薬剤師の職能と使命〜80年代幕あけにあたって〜 
    福岡市薬剤師会 会長  藤 野 義 彦

 日本の経済は、低成長から安定成長へ、しかし私共がいる薬業界は、その特殊性から急変はしない。その理由は、国内的にも国際的にも福祉重視の時代だから、医療産業は全体としては容易に低落はなく、むしろその生産と消費は、かなりの上昇を続けるだろうといわれている。

 石館日薬会長は、80年代に当然起こるべき変革は、医療制度の質的変化であり、われわれの目前にある当面の課題は、健康保険制度の抜本的見直しであり、このことは保険財政の健全化のためのみでなく、社会福祉政策の視点からも、老人医療と重症医療の優先から、当然、軽医療の一部負担が必須の状況であり、大、中病院と診療所との機能の分化が進むと同時に開局薬剤師は開業医のプライマリーケアに協力し、また市民に最も近いところにおいて、プレプライマリーケアの役割を果すことを期待し、国民に第一義的な自己の健康管理が普及されるよう、その役割を果せと、いっておられます。

 新年は80年代(向う10年)の始まりです。われわれは、過去の70年代の10年を振りかえってみるとき、好ましい変化を80年代に期待するものである。70年代の始まりは、昭和45年ですが、この昭和45〜46年前後に大衆薬は量的に、最大の生産がなされております。しかし、その反対に生産額は国の経済の成長率に合わせて漸増してきている事実、これは一言でいえば、値上げでカバーしたということになるのです。

 大衆薬の消費低下は、国民の薬不信、健康保険制度の充実によるところが大です。この面における客数の激減を見ると同時に、薬局間の格差を生じている。70年代の10年をみるとき、大手メーカーの再販品が大衆薬の総生産にしめるシェアは7%の減である反面、直販品は1〜2%のアップを示している。これは薬局経営の健全化から見るとき当然と思われる。

 70年代の半ば、すなわち74年から医薬分業、処方せん調剤の動向が見えはじめ(つまり昭和49年健保法の改正による処方せん料50点以後)その流れは加速しながら今日に至っている。その数字は県内でみるとき、54年5月で30万2千枚、5億8千万円であり、これを昭和49年10月と比較したとき、枚数にして13倍、請求金額にして25倍で、発行医(数)六百人を超えている現状です。

 80年代は前述したように、軽医療の一部負担が出てくれば、大衆薬は浮上して私共を潤すことになり、また医薬分業の流れぐあいからいって、希望的観測でなしに分業確立の10年間とすべきであろう。真剣になって調剤薬局をめざす。医師も70年代の初頭では医薬分業という言葉はタブー化していたためもあったが、現在では徐々に処方せん交付を当たり前だと思うようになり、それによって患者もまたそうなってくることは必定です。80年代が医薬分業を成熟させる時代になるよう最大の努力をする期間ではなかろうか、また、しなければならない。

 市薬剤師会は、55年度は、前述したようなことを見通しながら、基本方針を設定して努力する。今執行部においては、事業計画と予算計画を検討中であり、代議員会に提出するよう努力中です。

 本年は、
  @会員のよりどころである市薬会館を竣工させること。学薬事業の推進援助、情報センター設置、卒後教育や各種講習会などの会合を容易にし、会員事務の能率化を図る。
  A分業の積極推進のため、推進月間の強化、医師会との疎通を拡大、地元薬科大学との提携
  B大衆薬の安定と薬局製剤の導入。
  以上を最大の目標としたい。

 子供時代は、その行動は全力で創造的な前進をしている。企業はむづかしい大変なことではあるが、私共も全力投球で、前進した行動をするならば医師の先生方を動かすことはできると信じている。価値があるものに燃えて精進したとき、連帯感が生まれることを痛感している次第である。


処方箋応需の現況
            社保委員長  高倉 博

 我々薬剤師が必死になって応需態勢を整備した例の一週間分業の影響とか、最近ドクターが切実に考えている税制の問題とかが原因と思われるが、最近の処方せん応需状況は非常に目ざましいものがある。

図表

 ちなみに昭和45年度のそれと昭和54年度のそれを比較すると、件数にして8.4倍、枚数にして10.6倍、金額にして38.5倍、まさに驚くべき数字である。54年の12月分だけで見ても、45年の一年間の総請求金額の約4倍弱である。それでは昭和50年と昭和54年とを比較してみると、件数、枚数で約3倍、請求金額で約6倍、この4年間での非常な伸びがうかがえる。

 それでは昭和54年度の毎月はどうであったかを分析すると、各月平均で件数42384件、枚数で79280枚、金額で2億1百万円也の数字である。おかげさまで我々社保委員は毎月4日のレセプトの審査で、ぐったりする程の仕事量である。

 それでは、今迄のデーターを一目出来るように図表で表すと右図の通りである。請求金額においては、貨幣価値の関係もあると思うが、グラフは垂直に近い。分業は今後さらに進むと考えられる。この機を逃すことなくドクターにアプローチし、ドクターと親密になり、信頼される薬剤師として分業を勝ち取っていただきたい。


福岡市薬会館建設地鎮祭

 8月1日完成をめざして、待望の市薬会館建設の地鎮祭は12月25日の吉日、中央区今泉の建設予定地において盛大に且つ厳粛に執り行われました。
 寒気ますますつのる中、来賓多数の参列を得て、会長はじめ会員一同期待を秘めて、会の発展と会館建設の成功を祈りました。

地鎮祭

  安全祈願式典

   1、開会の辞
   1、修祓の儀
   1、降神の儀
   1、祝詞奏上
   1、敷地祓
   1、地鎮の儀

      ・刈初の儀  藤野会長
      ・鍬入の儀  斉田前会長
      ・槌打の儀  八千代建設社長
      ・玉串奉典

        *祝電  進藤市長、教育長、辻英雄衆議、山崎拓衆議、外多数のお方
        *祝宴  博多支部長乾杯
        *祝辞と乾杯
         ◎藤野義彦市薬会長
            市薬会員一同の永年の望みがやっとかなえられることになり感激にたえない。この会館を心と身の拠り所として薬剤師職能を通じて、福岡市民、はた亦人類の健康増進のために精進したい。
         ◎進藤福岡市長
            会館の建設、心よりお喜び申し上げます。さらに福岡市薬剤師会及び会員の方々に市民の健康保持と市の民生行政に御協力を大いに期待します。
         ◎久保田市議会議長
            常々市の厚生、民生、教育行政に協力を謝す。今後も市薬会員の方々の意を受けて皆様が働き易いよう予算獲得その他に会員と共に努力いたします。
         ◎八千代建設社長
            社会的に貢献される福岡市薬剤師会館の建設をお引き受けして大いなる誇りを感じます。立派な会館を建設して市薬の皆様と共に社会に奉仕したく念じております。


市薬会館建設と学薬の進路 
               市学薬会長   馬場 正守

 旧年12月末小雪舞う厳寒の日、市薬所有の今泉の広場で福岡市当局、市教育委員会の方々の参列を得て、市薬会館地鎮祭が挙行されました。中央祭壇に紙を祭り、強い風にゆれ動く榊を四方に立て、厳粛な神事でした。役員先生方と藤野会長の顔も赤らんで静かな緊張の感がありました。

 今夏に完成予定の市薬会館建設には、資金、計画プラン等には数多くの困難が予想されますが、会員一同が協力して、乗り越えなければならないし長い年月の念願が、今、果されようとしています。市薬にとっては大事業であり、私は心からの感謝と念願達成を祈ります。

 さて、永の出張から帰宅して、市薬広報担当理事の三津家先生より、表題の如きテーマを頂いたことを感謝しつつ、市学薬としての進路を記してみたいと思います。

 しかし、ここで市学薬と特別に物事を区切って考える必要は全くありません。今から24年前、市薬会員のうちから、70名の市立学校の環境衛生と薬事衛生について、学校薬剤師が誕生したにすぎません。勿論、学校薬剤師は市薬の会員で、社会奉仕の気持ちで活躍を始めました。今日では総勢も70余名、担当学校210校で、毎年4〜5校の新設校があり、全国平均の学校に対する設置率が85%に比して本市では100%、そして報酬は、文部省からの地方交付金の年間算定額9万円を超して11万5千円であり、その活動ぶりは全国有数となっており、これも市会議員各位、市薬役員、会員諸兄の御理解と御協力でここまで参りました。

 さて、学校保健も益々盛んとなり、一昨年3月の法改正により、学薬の活動の義務化が定められ、ここでどうしても試験室、測定機械の格納場所、データー、資料の整理等が必要となって参りました。今日までは県薬会館の一隅を県学薬と共用していましたが、手狭で、3名の学薬が並べば仕事も出来ない状態で、困りはてていました。

 ところが、昨年3月、市教委より普通の学校(屋上貯水槽20立方米以上の学校を除いて)飲料水の検査を行うようにして欲しいとの要望があり、藤野会長に相談したところ、フクニチ前の土地を生かすことになり種々の困難を承知の上に御理解をいただき、市薬会館をつくり、市薬検査センター設置の構想が生まれました。

 検査センターでは、市薬会員が取扱う医薬品(局方品も含めて)の検査は勿論、対外的にはその他からの依頼の薬品の検査も行うことを考え、その内に学薬会員も含んで、市教委よりの委託を受けた飲料水の検査(将来はプール水も)、検便(セロテープ法)、検尿(試験紙によるPH、糖、蛋白、潜血等)業務を行いたく準備を進めております。

 さて、その内容は、環境衛生問題等も入って来ますので、大気2種、水質2種の公害防止管理者、衛生検査技師の資格等は、すでに会員の中にお持ちの先生方がおられますが、この業務を進めるためには、通産省、環境庁が認める環境計量士(主任計量者)講習が1月20日より3週間、東京都清瀬市の日本環境測定分析協会で開かれました。今回は第34回で、日薬の後援で全国のこのような仕事をしている薬剤師70名の応募をしましたが、その半分が資格審査で受講出来ないことになり、私は幸運にも資格(学校薬剤師を永年経験している)を与えられて、この1月20日受講へ出かけました。

 環境計量士は、国家試験を受けて合格者のみ、先述の協会で2週間の実習と講義を受けてその資格を与えられ、主任計量者は、薬剤師が計量証明事業経験3年以上のものとして、協会が通産省と協議して認める者が国家試験を受けたと認めて、3週間の実習と講義を経て計量士に準ずるという仕組みです。

 ところで、主任計量者講習は大変厳しく、54年の計量士国家試験合格率は16%弱とのことでした。ですから、実習も厳しく先ず始めの1週間で原子吸光光度計での測定と解析(検体は食塩を含んだカドミウム)とガスクロマトグラフィーによる測定と解析(検体はベンゼン、トルエン、エチルベンゼンの混合気体)、煙突中のノックス、ばいじんの測定と解析、CODの測定と分析と考察等があり、3名1組で取り組みました。

 原子吸光の方は、出発に九大の河野先生に教示を受け、ガスクロは市衛試の山本課長、藤本先生の教えを受けました。東京は1週間前の残雪があり、風は私の前途を暗示するかのように冷たかったが、宿舎は広大敷地と見事な日本庭園がある東邦生命研修会館(暖房)でありました。屋上からは雪を七合目までかぶった富士山がみえる新しい田園都市でした。実習は日本技術研究所内の日環協研修センターで、バスでの通勤でした。

 資格審査での生き残りの43名は、全国からの希望者で、私は北九州市の末宗先生と同室であったのは幸いでした。皆んな秀才ヅラでした。あと2週間は我が国の環境分析界、計量法関係の権威者の講義で、研修会館内の教室で夕方5時までぎっしりで、各実習、講義毎にレポート、問題、報告書、感想文の提出で、大いに頑張りました。聞くと見るとは大違いでした。間違った回答を出せば、レポートの返却、再提出、不合格等で驚きと緊張の3週間でした。これが主任計量者への道でした。私は区分濃度の資格を得ました。

 第1回51年度121名、第2回52年度61名、第3回は43名でした。皆様方の御支援を受けて、ただの1回のレポートの返却も再提出もなく、無事終了して帰宅しました。これで市教委からの委託への準備も出来ました。計量証明事業にも、市薬の検査センターは発展することが出来ます。

 今度は検査センター内部の件ですが、水質検査は学校保健法で定められた範囲の設備と検尿、検便のための設備は市教委より学薬が借用します。そして担当校よりの検体は、その担当校が行うようにしたいと考えております。勿論、試験方法等は、借用する機器に合わせて私が記述するつもりであり、皆様方の御協力をお願いいたします。全国各地にある薬剤師会の検査センターでの弱点は、常雇いの人件費で、欠損を出している所が多いことを知っています。そこで人件費の軽減には常に気をつけたく考えております。これによる会計等も新たに市薬内部に創設されるよう希っております。

 54年度を陣痛の苦しみとすれば、55年度は可愛いいみどり子の出産として、皆様方の御厚情によって進んでゆきたいと考えています。


薬局の管理及び販売姿勢について
               副会長   荒巻 善之助

 薬事法の改正により、医薬品の安全性に関する規制がきびしくなり、同時に薬剤師の管理責任も重くなりました。従って日常の販売姿勢も医療の中における薬剤師の立場を充分に認識し、社会的責任を自覚しなければならないのですが、最近これと逆行するような事件が市内各所で相次いで発生しています。

 例えば、血圧を測定して降圧剤を販売したり、クロマイ等を含む抗生物質を安易に販売するようなことです。クロマイはセカンドチョイスの抗生物質として、一般的使用から除外されていることは、薬剤師なら誰でも知っていなくてはならないうことですから、こういうことが頻発すれば、その社会的信頼が下落するとは当然のことだといえます。

 又最近新聞等で報道された事件で保険薬剤師の指定取消しがあったことは御承知と思いますが、これほど極端な例でなくても、開設者が薬剤師でなくて、経営姿勢が好ましくない場合、管理薬剤師は当然その改善を求める責任と権利があります。

 福岡県では非薬剤師の開設する薬局で好ましくない事件が頻発したため、衛生部長名で次のことが通達されています。即ち、管理薬剤師が権限をもって、経営内容の是正を求めた場合開設者がこれに応じない場合一片の電話通告で、雇用契約を解消することができる、というものです。

 いわゆる名義貸しがいまだ後を絶たないということを聞きますが、薬剤師の管理責任が非常に重大になってきている現状にかんがみ、万一事故があったときは当然その薬剤師が責任を負うことになります。もし知人等で名義貸しを散見されたときは、ぜひ御忠告をお願いいたします。


<随筆> 玄界灘に立つ虹〜一韓国薬剤師との交流〜
              市薬監事・福岡市立西新病院薬局長  松尾 良一

 朝汽車で帰宅すると話し、目には涙さえうかがえた。韓国内の公式行事を終え帰福して驚いたことは、私より先に航空便が来ており、勿論彼からである。

 以後彼との間に玄界灘を越えた便りは数百通に及び、突然彼は、幼時を大阪警視庁刑事の父と共に大阪で過ごし、戦後博多港から帰国したとあり、数日博多に船待ちで泊り博多は何処かと書き、彼にとっては福岡と博多との関係には全く理解なく、知らせてやると何かの奇遇と喜び、幼時過ごした日本に対し殊の外郷愁を求めているのを強く知った。

 平和とは云え、思想的に南北に別れ民族意識に燃え種々の苦難を乗り越え生きている彼を知り、ソウル空港の高射機関銃、薬学大会会場を警備してくれたカービン銃の警察官の姿など臨戦態勢の気配を身をもって体験したが、政治問題等を書くことは彼に迷惑のかかることを恐れ、共に学んだ薬学、日本と同じ薬剤師の悩み、お互に趣味のこと等になると何の抵抗もなく書き合っている。

 彼が努力し日本語による便り寄すなら私も韓国語と思い教本、会話必携等求めハングル文字なんのそのと、遂には高性能の短波受信機まで買求め、日本向放送を聞き努力したが一向にものにはならず、彼の方と云えば当用漢字にない字で便りを送り現代っ子を驚かしている。私にとってはまったくの敗北であるが、ある日突然病院内で唯一の韓国通ということで大韓航空の乗客の一人が急患で空港より運びこまれるので医師より通訳を求められ青くなったことも思い出にある。

 儒教の国の彼は現代の日本人の一部よりは、はるかに礼節を重んじ、義理堅くお互の連絡は冠婚葬祭にまで及び、少しでも私の体調が思わしくないことを知ると高麗人参がしばしば航空便で届けられる。かれにとって国内事情よりして出国は容易でなく、私とて暇なく、金なく、再度の訪韓をなす術なく、今日に至っている。

 彼の悲願の訪日を実施すべく努力しているが、幸いにも今夏日本の古都京都で第8回大会が催されるので、強く実現を望むところであるが、最近の便りによると健康を害し訪日も不可能なようで、彼が一日も早く健康を取り戻すことを祈念し、私共のささやかな文通が日韓親善の一助になり、近くて遠き国といわれる韓国の日帝30数年にわたる日本との暗い影が一日も早く消え去ることを望みたいものである。

 因みに、玄界灘に立つ虹とは、韓国海外放送の日本向けプログラムの表題の一つです。


西支部だより 
               西支部長   本川 栄

 西支部は市内一の面積と人口を擁し、都市は一般に南西に延びるという法則通りに、益々発展の一途を辿っています。

 薬局もそれにつれ市内一の増加の勢いですが、新会員は比例して増えないのはどうしたものでしょうか?種々問題があろうかと思います。それはさておき、当支部の昨年より今春に至るまでのトピックスを記し、当面の計画の一端を申し述べることにしましょう。

 西支部にとって最大の面目は、昨秋初め第一回ソフトボール大会に優勝したことです。しかも出場選手たるや、他チームのような非薬剤師や店員さんまで狩り出した混成チームでなく、全員薬剤師または薬局経営者(これも1名のみ)ばっかりの純会員メンバーだったことも又金城花を添えるものだったと誇りに思っております。

 また、会員相互の親睦ぼ魚釣り会を夏に姪浜部会主催で更に続いて七隈、原部会でも行ったことです。西区は、市内の魚釣りのメッカで至る所好魚場ありで、西の浦と芥屋から船出しそれぞれ相当な漁獲であったこと、また姪浜部会主催のときは、藤野会長と私が招待されましたが、料亭一泊で前夜宴会と麻雀に打ち興じ、翌早朝釣りと日頃薬局業務一途で(カアちゃんからハッパかけられて?否俺だけは違うという方もいるかも)鬱積された莫才の本能をこの時とぞばかり発散させる好機に恵まれた次第でした。

 さて、そろそろ真面目な便りも一筆書かねば御役目御免とはいかないでしょう。それは今年に入って早々医師会の役員改選が行われ、西区医師会長に百道の竹林先生(小児科)が当選されましたので、私と藤田先生と二人で御祝いかたがた分業推進のこと等お話しました。そして暫く経って会長職にも慣れられた頃には下部の組長先生にも分業推進の話でもしてもらうようお願いしておきました。

 私の考えとしましては、今後我々の最大の課題たる50%分業を達成するには、現在の薬局業務の時間を少々割いても(売上げが減少しても)医師を口説き廻ることにいささかも躊躇しない薬剤師(これは絶対にアポ本人でなければならない)だけ集まって種々の情報収集をやり、方策を練り少しでも分業に関心のある医師に何回でもアタックする覚悟でなければ出来ないと思います。

 従いまして、今後支部として計画しようと思っていることは、
  1.前支部会員に対し真に分業をやる意欲(前述の如き覚悟を持った)と実行力があるかどうかを問う。
  2.右の者の中から推進委員を選出する。
  3.推進委員会で現在までに発表された全ての分業資料を検討整理し、対医師方策を決定する。
  4.地区医師会に対して分業に関するアンケートを出すか若しくは分業に関心のある医師との集会を呼びかけてもらい、その席で充分説明をし、彼等の主張や申出を聴取する(分業推進委員全員出席する)。
  5.右の集会の結果を踏まえ再度医師(集会で得た感触により意欲ありと推察された医師を選び)へ近々分業に踏み切ることのイエスかノーかを問い合せる。
  6.5の結果、適当なパートナーを決定し医師と引合せ(結婚の見合と同じ)両者話合いに入る。勿論マンツーマンあり、マンツーグループあり、これはその時の状態次第で予測不可能なことは勿論である。

 以上簡単に今後西区において推進させようと思っている方策の大要を述べて拙い支部だよりと致します。


第2回講習会を受講して
               休日急患委員   獺越 寿

 日常の処方せん応需に当り臨床検査の数字に接する機会が多くなってきましたが、その数字が何を意味するものなのか、読み方ぐらいは知っておきたい願望がありました。

 薬局窓口における基礎的な知識として、第1回の「DI活動について」に次ぎ、11月24日、九大医療技術短期大学の沢江教授に「臨床検査の実際と所見」について講義をしていただきました。

 我々は薬剤師の臨床的知識の入門という考えで、講義を受けたわけですが、細胞化学、酵素化学、生化学、生理学的機器の発達によって、多項目診断システムの時代になり、合理的な臨床検査法の実態を駆け足で聞かせてもらいました。

  〜臨床検査の意義として〜 (沢江教授記)
  1.スクリーニング検査(広い網を張って診断の方向づけ)
  2.確定診断、鑑別診断、原因追究(病理学的、細菌学的、血清学的)
  3.疾病程度の判定(病理生理学)
  4.薬剤の選択、量の決定
  5.経過、予後の判定、治療判定

 上記の内容で講義されたわけですが、コンピューター導入による現在の多項目的検査が短時間に自分で気付かぬ症状を検出してくれる反面、機械の故障、取扱う人の技能、熟練によって多少異なる数値がでて、機器的疾病がつくりだされることもあるので、臨床検査というものは、合理的な検査が大事であって、単にデーターを集めるだけの無計画な検査は慎むべきであるとの強い内容の話でもありました。

 検査によって、はじきだされた多項目の平均値が正常値に対して、どのような意味をもつものか、また正常値は何を根拠に決められたのか、ある疾病においては正常値そのものを変えなくてはならないものなのか、また正常値より高低があっても、その人には、それが正常である場合も考えられるから、臨床結果数値というものは治療に当る医師がまちがわないよう、総合判断すべきものであるが、現在の検査づけ治療も一考を要する問題を多くかかえていることも説明がありました。

 健康ー疾病を起こす原因追究ー治療という問題は別として、臨床検査に対する方向づけ、考え方など、種々の問題を投げかけながらも、臨床検査法は今後ますます複雑に発展してくるものであるから、専門的には、むずかしいが、その内容、使用意図を理解できるよう、我々は今後も勉強は続けたいものである。

 河野先生の御世話による、(正常値表・奥田清著)ありがとうございました。


医薬分業に関する諸問題懇談会     市医師会 主催

 福岡市医師会(石田正太郎会長)では3月24日、中央区平安閣において市医師会員を対象として「医薬分業に関する懇談会」を開催されます。当日市医師会の依頼により市薬では、藤野義彦会長、神谷県薬専務、藤田常務の三氏を派遣し、医薬分業および今後の医療に対処する薬剤師および市薬剤師会の考えを説明する予定です。

 市医師会の分業に対する前進的な取り組み方を考えると共に、吾々薬剤師会員も更に研修を重ねて、処方せん応需をはじめとする医療福祉の向上に対する努力が要請されると思われます。


座談会(続)     青年薬剤師会

司会  松井 昌也理事
 古賀 隆専務理事  碇 博幸(新道薬局)  正岡 民次(美和台薬局)  小野 信昭(小野薬局)  深見 俊彦(ふかみ薬局)

 (前号においては)
  @何故薬剤師となられたか亦、開局された理由
  A二代目経営者の苦心談
  B薬局製剤の活用について
  C既存の薬局における分業への取り組み方
  Dマンツーマン分業の是非等について
   の話合いでした。

  [古賀]医薬分業、即ち処方せん応需に対する一環として福岡市薬では、例えば会員が近隣の医師、歯科医師の方々と話し合うに当り、薬剤師会の部会と二師会の区分地域が異なる場合が多々ありました。市薬の組織部と各支部長、部会長の方々と共に全市内の医療機関分布図を作成して医師会側との対話に備えております。

  [深見]三師会のトップの方々の話し合いは勿論必要ですが、吾々はもっと各自近隣の二師の方々と連携を保つべきです。

  [古賀]それは最も大切なことです。二師会の方々の中に今後処方せんを発行したいと考えの方が大変増えておられます。その場合患者側としても急に出現したマンツーマン薬局より今まで親しみを覚えている既存の薬局の方が信頼しやすいと云う考えもあります。然し、現状では既存の薬局の方々は、情報にうといというか遠慮して出おくれの形となり、プロパーやセールスの方は常に医師側と接する機会が多く、適確に調剤薬局を開設され自らの薬剤師職能を充分発揮される方が多いように思います。

  [深見]私も処方せん応需の意志ありながら、未だとまどい等から完全に目的を達していません。

  [古賀]福岡市ではここ1年間で2倍近い処方せん応需の伸びが見られ、これは必ず来年、再来年と急増していくことは間違いありません。

  [正岡]私は現在の薬局を生活の基盤として医薬分業に撃て出る覚悟です。この医師、この医師の処方せんならと考えた場合、是が非でも応需するよう努力するつもりです。

  〜市薬剤師会に対する要望〜
  [司会]市薬剤師会に対する皆様の御要望等、お聞かせ願いたい。

  [正岡]私は、組織委員として考えることは、
      @所謂タンス免許の方々に入会していただくこと。
      Aこれは政治的にも連携するものと考えます。
      B薬剤師はすべて薬剤師会の元にきちんと掌握されていることが大切だと考えます。

  [碇]同感です。全薬剤師は薬剤師会の中にある姿が本当だと思いますよ。

  [正岡]それには薬剤師会自体が魅力のあるものでないとね。

  [碇]例えばある病院が薬剤師が欲しいと云えば、薬剤師会に問合せすれば適当な人材を紹介するという具合にね。

  [正岡]薬剤師登録制tpでも云いますかね、現在でも薬剤師を求人する場合、中々適当な方が見つからぬ場合が多くなりましたからね。

  [司会]今後分業が定着してくれば薬剤師の需要が多くなり、有能な薬剤師を探すことが難しくなり、求職される方も薬剤師会に頼んで就職できれば安心ですよね。

  [深見]薬剤師会に親しみやすくする方法として、前回のソフトボール大会等、多くの友達が出来て大変嬉しく感じました。

  [小野]毎年5万円以上の会費を払ってそれだけのメリットがないように感じます。又、市薬剤師会には分業については大変期待しているのですけれど・・

  [司会]市薬剤師会は全会員の方、支部長、部会長を中心に、会長はじめ全理事の方々は、私事を捨てて皆様方のまた医療の向上のために日夜努力しておりますことをお忘れなく。また、多くの研修会や会合が予定されているので是非御出席下さい。
      皆様方と共に会の発展のためがんばりましょう。よろしく。

    広報担当   三津家記


「関口けいぞう氏」後援会
             薬政連   富永 泰資   竹尾 啓二

 日本薬剤師政治連盟と歯科医師会、共闘で「関口けいぞう」君を強力に後援しましょう。関口氏は医療の進展、また医薬分業推進をめざして国政の場(参議院議員として)においての活躍が期待されてます。

 2月5日関口氏は市薬剤師会の各支部長(部会長同席)を訪問され、激励をうけました。同日、国際ホテルにおける「関口けいぞう後援会」に古賀専務、竹尾、高倉、山手、江口。三津家理事ほか支部長、会員多数が拍手を送りました。市薬剤師会では部会長を通じ後援会の方々の名簿多数集計中ですが、さらに友人等に関口けいぞう君をお披露目ください。

  関口けいぞう君の略歴
   ・東京歯大卒 大正15年生まれ
   ・日本歯科医師会常務理事
   ・中央社会保険医療協議会委員として健康保険の合理的改正をめざして活躍
   ・日本薬剤師会と強力して、医療の向上、医薬分業の推進に努力中


薬学部学生諸君と福岡市薬剤師会

 近い将来国民医療の担い手になられる薬学部学生諸君に、薬剤師会を理解し又薬剤師会を中心としてその職能を充分発揮されることを期待して、藤野会長、古賀専務は、1月28日 福岡大学薬学部 土岐部長、第一薬科大学 河野学長を訪問して意見を交換させて頂きました。

 両大学においても深い関心を示され、今後前向きに具体的に検討を約されました。

 今後医療の進歩と医薬分業の進展にともない、薬剤師の分野は広大、重要になることは必至です。大学の適切なご指導による若き有能な薬剤師諸君の誕生とその活躍を大いに期待します。


表彰おめでとうございます

 坪根 百彦先生
 山口 博先生

 3月10日(明治生命ホール)第27回福岡県公衆衛生大会並びに健康づくり県民大会において公衆衛生事業功労者として受賞されました。


<お知らせ>

◆卒後教育スクーリングについて
 卒後教育修了証をお持ちの方が対象ですが、希望の方の参加も認められています。 なお、修了証をお持ちの方には、県薬から直接案内します。

  [記]
   日時  3月23日(日) 午後1時〜5時
   場所  博多区住吉2丁目 県薬会議室
   会費  1人 二千円
      *なお講師、およびテキストを購入される方は下記の通りです。
        1.午後1時〜3時  講師  九大歯学部細菌学 中山 宏明教授 
                            微生物学1・2(1500円)
        2.午後3時〜5時  講師  九大医学部薬理学 栗山 熙教授
                            機能形態学(1000円)

◆医薬品情報の申し込みにつて
 冠省 日本薬剤師会雑誌掲載の新医薬品情報(ピンクページ)別刷(安全情報(ブルーページ)を含む)について、昭和55年度分(昭和55年4月〜昭和56年3月までの1年間)の予約申込みを受付けます。
 締切 昭和55年3月10日

◆シンナー等の乱用防止について
 先日のシンナー等、乱用による通り魔殺人事件以降、福岡県では、民生、警察、教委、薬務を網らし、その乱用防止につき協議され、昨22日関係業者を沼集し防止の趣旨徹底方の依頼がありました。
 各支部におかれましては、販売姿勢もさることながら一県民として、少年の非行防止化のため協力を賜りますよう、指導方をお願いいたします。

◆県外分診療報酬全国決済の変更について
 標記については、今年の3月取扱分より国保連合会で、取扱うようになります。  該当国保、神奈川県川崎市従って、今後全国決済の対象とならない保険者及びその請求先は次の通りとなります。
 @東京都の地域内の国保保険者(文芸美術国保組合を含む):東京都国保連合会
 A建設連合国保組合:愛知県国保連合会

◆代議員会、総会の開催について
 市薬代議員会並びに総会は4月24日(土)県薬会館大ホールにて開催の予定です。
 会員諸兄御出席下さい。


学術委員会
               河野 義明 委員長

 日本歯科医師会と日薬において「歯科常用医薬品処方例集」が作成されました。

 福岡市薬ではこれを基本として、福岡市歯科医師会との協同研究により、福岡市を中心とした「処方集のローカル版」をまとめて、衣料の進歩に合った歯科領域における薬物療法の向上に寄与したいと考えております。

 市歯科医師会の先生方と、市薬では学術委員会を中心としてこれに当り、研究を進め早急に完成する予定です。

 「歯科常用医薬品処方例集」完成次第、会員に送付します。


図書委員会
               吉本 喜四郎 委員長

 清水文庫は利用者が大へん増加しています。最近の購入図書名は別記の通り。来年度はさらに有意義な図書の購入を計画中です。御意見等あれば、委員会(市薬事務局)まで御一報下さい。県薬のコピー(有料)をお使い下さい。

  <新規購入図書>
   ・上水道試験法         厚生省環境部編
   ・(続)医薬分業のマニュアル  ライフサイエンス
   ・患者へのクスリの注意     SE,APELGREN et 斉藤太郎訳
   ・臨床化学検査の実際      福島豁行・佐々木禎一 
       (現在蔵書数  68冊)


社保委員会 
               有田 俊雄 理事

 毎月レセプト審査をして気付いた点を申し上げます。綴じ方の不備は少なくなりましたが、生年月日洩れは多いようです。

 S54年3月より55年2月まで
  生年月日洩れ    118件
  綴じ方の不備     37件
  コード番号洩れ    17件
  医師名洩れ      4件
  請求印洩れ      3件
 請求書作成に当り理解できない点は、前もって薬剤師会へ遠慮なくお尋ね下さい。


休日急患委員会   
               成沢 哲夫 委員長

 年末年始の多忙な受入れも会員諸兄の努力により無事責務をはたし得ました。その後カゼの流行により1月中は連日多忙を極め、出動の皆様、お疲れ様でした。

 当委員会においては常々研修を重ね、使用医薬品についても高度の見識により厳選を重ねて追補医薬品集を作成中です。また、会員研修の一端として「処方せん応需に必要な基礎講座」も第3回を迎え、熱心な多数の出席者で会場は熱気に溢れています。

  第3回講座(2月17日) 「日常しばしば見られる皮膚病の見分け方と薬物療法」
  講師 九大 幸田 弘先生


おくやみ申し上げます

 薬剤師職能を通して会のため又社会のため奉仕され功労のありし先輩の冥福を祈ります。

  故 矢野憲太郎殿  行年69才
  故 大塚 正美殿  行年56才
  故 樋口 昌徳殿  行年62才
  故 花田 一郎殿  行年75才


編集余滴

 春色漸く調い、会員諸兄亦その御子弟方の琴慧相和すの報頻りに聞え、薬学部をはじめとして医療関係学校等への御入学、御卒業の報多きに接し福岡市薬剤師会の前途の洋たるを今更感じさせられます。

 昭和54年度 新入会員
 A会員 15名
 B会員  9名  合計  24名
 会員数 582名(3月)   
                      (三津家)


= 市 薬 日 誌 =

 11月24日 八千代建設と市薬会館建築正式契約
 12月 4日 保険請求監査(高倉委員長ほか)
    7日 岸川衛生局長、村山課長、宮武大日本製薬支店長と面談(古賀)
   11日 福岡市医休日急患関係者懇談会、忘年会(荒巻、成沢ほか)
      興和新薬堀内支店長と面談(古賀)
      久保田議長、福島助役、友池民生局長、衛生局訪問(藤野、古賀)
   13日 広報委員会打合せ会(藤野、古賀、三津家、細井)
   14日 県薬支部長会、薬業団体受賞者祝賀会、忘年会(藤井ほか)
   15日 休日急患、年末出動者打合せ会(荒巻、成沢ほか)
   17日 八千代建設と防犯施設打合せ
   18日 中央支部部長会(藤野、古賀)
   25日 市薬会館建設地鎮祭(11時 役員、支部長、部会長ほか)
      理事・顧問・支部長会
   29日〜1月4日 市薬事務所休業
  1月 4日 薬業年賀会(ステーションプラザ)
    7日 緑進会議(藤野ほか)
   12日 国保運営協議会(大名パーソナルホテル、藤野)
   14日 市薬会館建設着工近隣挨拶廻り(古賀、渡辺八千代建設専務)
      山崎拓氏後援会(九電)
   16日 手島市会議員後援会(箱崎会館)
   18日 三役会(11時)、理事会(1時)
   19日 市衛生局長訪問(藤野、新巻、古賀)
   20日 保険薬局セミナー(県薬)ステーションプラザ
   21日 富永副会長母堂葬儀(会員多数)
   22日 支部長会
   23日 八千代建設と会合、西南技研へ出張
   25日 国保運営協議会(日生ビル)
   26日 新進市長を訪問(藤野、富永、古賀)
   28日 河野第一薬科大学長、土岐福大薬学部長と面談(藤野、古賀)
   31日 白勢副会長、浜の町病院を定年退職のため副会長を辞任
  2月 2日 矢野憲太郎先生葬儀、大塚正美先生葬儀
    4日 保険請求監査(高倉委員長ほか)
    5日 関口けいぞう氏来福(礒田、堀江、本川、大黒、国武)
       各支部長を訪問挨拶(富永、竹尾同行)
      関口けいぞう後援会(西日本国際ホール)
      古賀、竹尾、高倉、山手、三津家各理事ほか会員多数出席
      学術委員会(河野委員長ほか)
    9日 南原市議母堂葬儀(荒巻)
   14日 第一薬大河野先生、学長就任祝賀会(平和楼)
      理事会
   17日 市薬学術研修講座   講師 九大皮膚科 幸田先生(河野)
   19日 林県会議員と会合(藤野)