会報第4号 昭和54年3月10日
 ■ 巻 頭 言

今こそ薬剤師職能確立に励む時
    福岡市薬剤師会 会長  藤 野 義 彦

 去る1月28日福岡市三師会が中心になり、橋本厚生大臣、山崎拓厚生政務次官を迎えて、短い時間ではあったが、懇談会が持たれた。市薬から藤野、白勢、荒巻、古賀の4名出席、出席しました。

 大臣は自民党若手ホープの一人として、衆院社会労働委員長等厚生行政に豊富な経験を持たれ、党の社労御三家の一人と言われ、非常に明快な説明をされました。

 三師会それぞれから立場から要望がそれぞれ出された。薬剤師会関係の事項は
@医薬品の安全性確保を中心にした薬事法の一部改正
A健保法改正改正に伴う薬価基準の是正
B薬害救済法案
でした。

 日薬が要望した調剤センター関連事業補助金五千万円の助成に対する山崎次官のご努力にお礼を申し上げ、さらに医薬品の生産、流通から消費までの職能管理に関する業種の確立を盛り込んだ抜本改正の要求をしました。

 薬事法の一部改正に就いては、現段階では医薬品の安全性に重点をおいて進められるとされており、これには私共業界中としても重要な問題を含んでいることを自覚しながら当たらねばいけないことも勿論であろう。

 大臣は昨年の「一週間分業に就いては、物と技術の分離より派生し、診療と薬、歯科材料の分離が多くの当事者から「それが医薬分業だ」と説明された。それでは、医薬分業ができるならばやってみようという事で実施されたいきさつがあり、今、国会にも初診料のアップと本人家族の同一給付と薬と歯科材料については、半額負担という基本線よって原案が出されますが、これは時間が解決する。

 なぜならば、日医は十カ条による反対であり、日薬は薬価基準のバラツキの是正等を言っていることも微妙である。これは吉田日薬副会長の話であるが、診療報酬十兆円の中、三兆七千万が薬であり、その中25%が抗生物質である事から、診療報酬に及ぼす薬価の切り下げも全体に及ぼす係数を知っておく必要があると、話し合ったことを伝えておきたい。 石館日薬会長は、薬剤師の本命である分業の停滞の壁を何としても打破して行かねばならないが、その条件の構築に新たな強力な施策が必要である。それに対する三つの条件整備が説かれている。

@実行を躊躇している医師並びに地区医師会に強く働きかけ、分業の必然性、倫理性に訴えて、これを医師側から協力してもらう運動を展開し、心ある医師団を動かすことに
A分業を推進する国の方針を具体的行動に移すことであり、当局の施策の協力を得る
Bそれらと呼応し、薬剤師会側の整備推進に一層の強力促進が必要と言っています。

 今回の福岡県福岡市の地域という小さいエリアではあったが、三師会が一本になって、橋本厚生大臣、山崎次官を迎えて懇談したことは、非常に有意義であったことを痛感し、感銘しているところである。

 市薬の運営も各地区支部長先生のご努力をいただき、支部組織の強化、各委員会の活性化も軌道にのり、多大の成果を見ていることを衷心よりお礼申し上げます。今春の地方統一選に対しては各区ごとに本会、会長ならびに区支部長、組織部合議の上推薦候補を立てています。

 全会員一丸となって、支部長先生を中心として、薬剤師職能の基盤安定のため戦いましょう。せつに会員の自覚を要望してやみません。


昭和54年3月10日 会報第4号

◆ これでよいのだろうか   薬局モニタリング制度の発足にあたって ◆

  福岡県衛生部薬務課 技術主査 野口修一

 医薬品による事故がここ数年社会問題となり大きな波紋を投げかけている。サリドマイド・スモン・ストマイ・クロロキン等多くの薬害事件が訴訟となっている。薬害に対する国、メーカーの責任が問われており、スモン判決では現行薬事法が医薬品の安全性を確保するための具体的な規定を欠いたことを大きな原因の一つと指摘している。

 国は医薬品の安全対策として、
@医薬品の承認条件の整備向上
AGMPの推進
B医薬品の再評価
C医薬品の使用上の注意
D医薬品副作用情報の収集と伝達等の行政措置
を講じている。

 その重要な施策の一つとして、医療用医薬品の副作用モニター制度を昭和42年3月に発足させ、現在では国公立病院等817病院から副作用情報の収集と伝達を図ってきているが、今回大衆薬についても副作用モニタリング制度を取り入れ、昭和53年9月に発足した。

 これは大衆薬だけでなく医薬部外品、化粧品、医療用具等薬事法の規制対象のものについて、副作用事例相談事例を国に報告し、国はその情報をフィードバックする制度である。製品の良し悪しを判断するものではない。

 モニター薬局は全国で2477薬局、福岡県下で60薬局が指定されている。この仕事は大変責任ある仕事である。それは日常の業務を通して大衆薬の副作用をどうとらえ、それに対する措置をどうしたかを報告することになっている。

 このためには個々の事例をそのつどできるだけ正確に記録しておかねばならない。厚生省薬務局代田安全課長は「このモニター制度が発足するまでには色々の批判が寄せられ、@薬がますます悪者扱いにされ、大衆薬等に対する不信が増えるのではないか A薬剤師では医薬品の副作用の判断ができるかという主張があった。しかし、これは情報の評価の問題であり、ある医薬品について同じ情報が全国でいくつもあれば、検討するヒントになる」と述べている。

 この制度は、医薬品の安全対策として役立つものであるが反面、薬剤師の働きを社会的に示す場ともなる。したがって薬剤師としての知識、経験を生かすのみでなく、常に新しく広い薬学の知識を吸収し、消費者に適正な対応をしてゆかなければならない。ところが最近県内で起きたいくつかの例をみると、一抹の危惧を抱かざるを得ない。

 例1、昨年末に薬局等の薬監視を実施した際、店舗に副腎皮質ホルモンの外用があった。この外用剤は医家向けの医薬品で、1箱10本入りのもので、これを分割(小分)販売しているケースでした。

 この外用剤はご承知のように、使用上の注意が記載された添付文書を必要としており、この1箱には添付文書は1枚であるので、分割販売の際には添付文書を添付せず販売している。またこの外用剤の直接の容器には、用法の他にちゃんと「添付の説明書をよく読んでご使用ください」という字句もある。添付文書は医薬品の安全性確保の手段として、重要な役割を果たすものであることは百もご存じと思いますが、これはどうしたことであろう。このような行為は利益最優先の考え方に基づくもので、医薬品の特殊性を忘れた行為であり薬剤師の倫理が問われるところである。

 例2、昨年(S53年)12月8日に一人の若い男性が当課監視係を訪れました。おとなしいまじめそうな感じの青年でした。薬務課に通常出入りする人とは違っているので、一瞬苦情が持ち込まれたのかと思ったら、青年はおもむろにポケットより瓶を取り出して 「実は、昨日福岡市内の○○薬局で、ドリンク剤を購入して飲んだところ、味がおかしくカビ臭い味がしたので、途中で飲むのを止めた。キャップを見たところオリが付着していたので薬局に言ったところ、よく振って飲むように言われたが飲まずにドリンク剤をもってきた」ということであった。

 青年はことさら事を荒立てる感じもなく、もし何か悪くなっているいるものでもあればと心配して相談にきたということであった。そのドリンク剤を見ると明らかにモヤモヤとした綿状の浮遊物が認められた。そこで薬局に調査に行ったところ、在庫品のほとんどに同様の浮遊物(不良品)が認められた。

 例3、北九州市の薬局で催眠剤を大量に販売していたので調査してみると、昨年1年間に問屋より購入した催眠剤がブロバリン22.600錠、ネルボン2000錠の多量にのぼっていた。薬局は、大量長期販売していたことについて、患者が他の薬は効かないので、断りきれずに販売したということであった。

 催眠剤は「注意ー習慣性あり」の表示が義務付けられた薬で、長期連用は薬剤依存性につながる事は薬剤師であれば誰しも知っているはずであり、治療のための投薬が逆の結果を生んでいる。

 今日、長い間の念願である医薬分業も暗く永いトンネルを脱出し、明るい光が見え始めております。かかる重要な時期に、一部の薬剤師が以上例をあげたような問題を起こした事は、単に当薬局の問題だけの問題ではなく、薬剤師全体の問題として受け取らねばなりません。

 いかに薬剤師会が薬剤師の職権、職能の確立を社会に主張しても、このような薬局・薬剤師がいる限り世論の共感を得ることは無理であろう。今年も健保改正、薬事法改正など、薬業界の将来に大きな影響を与える年になりましょう。国民医療のため、薬剤師の力強い結束と前進を期待します。



学校薬剤師会の誕生
               福岡市学校薬剤師会 会長 馬場 正守

 福岡市学校薬剤師会は、昭和54年4月で第24回定時総会を迎えることになります。今年度から非常に喜ばしいことですが、「福岡市薬会報」が年4回発刊されることになり、会の執行部、会の動き、そして執行部と会員との融和の一つの事業として、大切に育ててゆきたいと思います。

 さて、私どもが執務している学校薬剤師ですが、その創成期をいまここで振り返って眺めてみたいと考えます。

 昭和26年、すでに校医会、歯科校医会は児童の保健に対して活動しておりましたが、県内でも大牟田市支部では会を結成しておりましたので、福岡県薬でもその組織の中に学校衛生委員会を設置して会長に故礒田秀雄、委員長早川征雄、副会長内田数彦、委員に友納英一、柴田伊津郎、白木太四郎の諸先生が学校薬剤師の法的措置を推進されていました。

 ところで、第1回全国学校保健大会と全国学薬大会が福岡で開催されることになり、友納英一、柴田伊津郎、柴田源一郎諸先生の3名が小西市長から辞令を受けて、急きょ学薬の誕生を見ました。

 その後第21回九州薬学会で、小倉市の三渕、吉村両先生は、都市における煙塵調査と題して発表し、公害問題の草分けとなりました。27年には県薬代議員会で、学校調査機器購入費25.000円が計上され、福岡大会で八幡市の神谷先生が騒音調査について研究発表を行われました。

 時に28年夏に中北部九州に大水害があり、水害医療、水質検査に県薬の総力をあげてこれに当たりました。この年の九州薬学会で内田先生は、検便について発表され、29年1月福岡県学校薬剤師会(会長礒田、副会長早川)が誕生し、先の学校衛生委員会は解消し、県下74名でスタートしました。

 次いで7月、文部省令の改正があり、学薬の任意設置制が決定し、先輩方の運動が盛んになり、薬剤師職能の拡大に努力されました。その甲斐あって31年6月福岡市学薬辞令交付、発会式が大きな銀杏の若葉茂る櫛田会館で行われました。

 当時のことをご記憶の先生方は本当に懐かしく思われるでしょうが、学校保健と環境衛生を司って、指導と助言を行うべく勉強を開始したものでした。

 小学校52名、中学校24名、兼務3名で合計72名の学薬で、名簿には白木、塚田( 功)、武田(準)、山口(十)、久保川、柴田(益)、西森、田尻、梅原、波多江、宇野、藤、岸田、馬場(勘)、須原、工藤(益)大隈、鳥飼の諸先生方で、市薬の有力メンバーでこれに応じたものでした。会長友納、副会長矢野、柴田諸先生で市内を10班に分けて、呱呱の産声を上げた次第です。

 勿論報酬は零で、社会奉仕を旨とし、会費も零、経費はすべて市薬の事業費の中から出してもらいました。この状態が4,5年続き本当にボランティアでした。学校薬剤師は開局者がほとんどです。男性、女性もいます。

 開局薬剤師は薬局店頭で衛生思想、知識を、そして正しい薬の使い方等の普及に糧を得ているのですが、登校しては商売抜きで保健と環境について指導しているわけで、PTA、教職員、校医、歯科医等と協力してその向上を計っていくことは、友納先生の言を借りれば、表芸と裏芸の関係となり、薬剤師としての職能で社会奉仕のできる一つの大きな道であると考えます。

 昭和36年4月に文部省は薬剤師必置制を定めプール、給食場、食器、騒音、気温、湿度、気動、感覚温度、二酸化炭素、一酸化炭素、浮遊じんあい、落下細菌等を含む教室の空気調査等々に従事して、地道に活動を続けています。

 現在は学薬72名、担当校園は203校で非常勤公務員として諸先輩方が開かれた一本道を会員ともども肩を組んで歩いています。市薬の諸先生方のご協力を希って、本市で5月に行われる十大都市大会も無事すませたいと考えています。


〜表彰おめでとうございます〜

◎福岡県公衆衛生事業功労者 3月1日
 ・知事賞   藤田 胖    フジタ薬局
 ・協会長賞  篠崎 正十郎  篠崎薬局
        山下 泰弘   県教育庁

◎薬事功労者に対する知事の感謝状 10月17日
        冨永 泰資   冨永薬局
        三谷 清三

◎福岡県学校保健会会長賞 10月18日
        槇野 英子   月隈薬局
        岩永 栄次   岩永薬局

◎九州山口薬剤師会会長賞
        国武 一人   一丁目薬局

◎厚生大臣賞       10月23日(薬と健康の週間)
        尾形 健一(元薬務課長)


= 随筆 = ふぐ考
           九州大学歯学部付属病院薬剤部長 河野義明

 昔からフグは、俳人仲間には非常に親しまれていたらしく、大抵の俳人がフグの句を残している。芭蕉には医学の知識があって、フグ毒が知られていない当時だったので、フグを怖れたのだろう。

 最初の間は、「 フグ汁やタイもあるのに無分別  芭蕉 」と読んで敬遠したが、是非とも芭蕉にフグの佳味を教えたくて堪らずに、執拗に勧めたので謹厳な芭蕉も遂に我を折って誘われるままにフグ汁を喰ってみた。

 喰ってみると成程おいしい。美味しいので代わりを所望する。何度か杯を重ねると今度は弟子たちが心配になってきた。勧めた手前「あまり食べると毒ですよ」とも言われず「もうこれくらいで切り上げては…」と師匠の椀に蓋をしたという。「 あら何ともなや昨日はとすぎてフグとじる 芭蕉 」

 これに似たのが一茶である。一茶は音に聞こえたへそ曲がりである。食べてみよと勧められると反対に意地を通す性分である。従って長い間フグの味は知らなかった。「 五十にしてフグの味を知る夜かな 一茶 」その前に「 フグ好きと窓向き合って借家かな 一茶 」の句がある。

 淡々と読んでいるが、フグの好きと窓向き合ってから、とうとうフグを喰わされるまでの間には、この隣同志には面白い葛藤の一つや二つはあったかもしれない。一茶は65歳で死ぬまで、家庭的には決して幸福ではなかった。われと来て遊べや親のない雀、と路傍の雀に呼びかける程、人一倍孤独な彼だった。

 一茶の僻みの原因はここにあった。このように不如意な人生の片側を歩いてきた老残の身にとって、一度フグの味を知ったからには堪らなかったに違いない。しかも貧婪な一茶のことだ。風流(官能)の精髄を味倒し尽さんば飽きない貧婪な嗜慾を駆って、一茶がフグの味に雪崩れ込んで行ったのも無理もなかった。すなわち「 フグ喰わぬ奴には見せぬ不二の山 一茶 」と大した力の入れ方である。

 ここまでくれば「河豚は喰いたし命は惜しし」の諺にも、単に喰意地の卑しさとのみは笑殺できないほどに深刻な、人間の嗜慾のうめきが聞こえてくるようで、一寸うそ寒い感じがしないでもない。

 病身の子規は、人一倍食事には注意していた。それでも怖る怖るフグは喰ったらしい。「 フグ生きる腹の中にてあれるかな 子規 」食後の不安である。

 蕪村の句集にはフグの句が21句ある。「フグ汁の我生きている寝ざめかな 」というのがある。夜半ふと夢覚めてほっとした瞬間のポーズがありありと見えるようだ。 しかし無知な調理で中毒死する例も後を絶たない。

 人間国宝・歌舞伎の坂東三津五郎さんの死は、改めてフグ毒に対して人々の震撼を寒からしめた。テトロドトキシンで代表されるフグ中毒は神経の刺激伝導の遮断であり、運動・知覚・自律神経のすべてを犯す。

 麻痺は四肢の末端から体幹へと進み、最後に呼吸麻痺で死亡する。従来から中毒対する定説となっている胃洗浄は避けるべきである。胃洗浄によって大量の洗浄液が、昏睡状態で上部気道の緊張が緩んだ胃内に入ると、しばしば逆流して一挙に気道内に入り、急激な呼吸障害を発生し死亡することが多い。

 フグ毒の作用は可逆的であり、放置しても十数時間程度で排泄され、再び神経の機能は回復する。従って呼吸が麻痺している間、気管内挿入を行いレスピレーターを装着して人工呼吸を続けておけば、やがて徐々に神経機能が回復し、相当な重症でも12時間もすれば自発呼吸が出現し、24時間後には完全に麻痺が取れ、自分で歩いて退院することもできる。

 麻酔学の発達を知っていて周囲の人にも伝えておきさえすれば、あたら尊い命を落とす必要もないわけである。因果なフグにとっては、せめてもの罪滅ぼしというものだ。


厚生大臣と三師会との懇談会
               副会長   荒巻 善之助

 さる1月28日、橋本厚生大臣と山崎次官が来福、ホテルオオタニで三師会との懇談会がもたれました。本会よりは白木県薬会長、阿部・斉田副会長、市薬よりは藤野会長、白勢、荒巻、古賀の4名が出席しました。

 冒頭、大臣は今回の来福は山崎次官の地元福岡における支援をお願いに参ったのが第1の目的であると前置きした後、国会におけるグラマン問題及び健保法改正等の一般問題にふれ、更に医師会に対してはプライマリーケア及び海外研修制度、保険指導監査等について、また薬剤師会に対しては基幹薬局十か所、五千万円の予算決定に関する報告がありました。

 この後山崎次官のあいさつに続いて、各会との意見交換が行われました。 薬剤師会は白木県薬会長より、今回の薬事法一部改正に関する質問があり、また藤野市薬会長よりは、薬剤師会としては医薬品の生産・流通・消費に至るまでの流れにおける一貫した管理権を主張しているとの要望があり、これに対して大臣は次のように答えました。

 薬事法は手をつけると際限もなく拡がる。従って一度に大改正をやることは無理であって、継続的に行うより仕方がない。そこで今回は安全性に重点を置いて進める。もともと現行の薬事法はサリドマイド禍の直前に改正されたもので、安全性に関する条項が一つもない。これがアメリカあたりと違うところである。

 これを行政措置によるものにするか、あるいは法による義務付けにするかということが問題の焦点となろう。また、その時点で予知できないような薬害が生じた場合、どこまで製薬メーカーに責任を持たせるか、国の保証責任はどうなるかというような問題もある。

 また、薬品の薬品のブラックマーケットを整理する必要があると思う。このあたりが日医の意見と対立するところでもあるが、日医はゾロゾロメーカーを整理すべきであると考えている。しかし、これは憲法で保証する職業の自由に引っかかりがあるので、なかなか難しい。私(大臣)は卸の法制化をすることで、薬品の流れをチェックすることができると思う。

 また、医師会よりは看護学院教官養成に関する件、救急医療一次輪番制に関する件、看護婦の労務管理に関するILO報告に関する件等意見交換があり、薬剤師会に関係あるものとしては、休日診療出動の給与を免税にして欲しいとの要望があり、これについて大臣は、この件については今までにそういう観点で考えてみたことがなかった。もっともだと思うので、課題として持ち帰るとの回答がありました。

 以上、薬剤師会に関連のある問題にしぼり、厚生大臣懇談会の様子をご報告いたします。


組織委員会 

A.区支部制実施と定款改正について
 区支部制が布かれたことにより、市薬の定款改正が必要になりました。これより先組織委員会(竹尾委員長)では、冨永副会長(組織担当)はじめ各委員で検討が重ねられていましたが、その経過措置と大まかな原案が示され、意見交換され、さらに次の3月3日の理事会で原案が提示されることになりました。

B.市内医療機関の分布図制作について
 先の「一週間分業」の際、進められておりました医院・歯科医院・薬局等の分布図は、市販の町内詳図を求めて、各支部長に依頼し、会員および部会長の協力のもとに、更に正確な分布図を作ることになりました。この分布図が完成すれば、三師会の協調には勿論、地域医療制度の整備の一端に大いに役立つものと考えられています。


薬局委員会

A.備蓄医薬品について
 先の「一週間分業」の際に、主たる調剤薬局の備蓄薬品リストを作成し、その後市薬の備蓄薬品センターのリストを含め備蓄薬品の整理改正版を発行しましたが、現況では余り活用されていません。今後備蓄薬品についてどのように扱うか、会員諸兄のアンケート調査を行いました。その結果は別記のとおりです。

 ▲備蓄リストに関するアンケート(303通発信 回答数128)
 1.利用の有無
  @有  58
  A無  70
 2.必要性
  @費用がかかっても必要     27
  Aあった方が心強い       95
  B今まで必要なかった      29
  C今後も不必要          8
 3.利用しやすさ
  @大変便利           49
  A知らない相手に頼みにくい   39
  B配達してもらえば利用し易い  53
 4.配達について
  @卸のセールスに頼む      63
  A自分で取りに行く       51
  B会で配達してほしい      79

B.OTCの安定問題
 OTCの安定については、開局会員は特に関心の深い問題ではありますが、「吾々薬剤師会等で、自主指導機構を作る考え」について理事会、薬局委員会で多々意見交換をしておりますが、尚更に難しい問題もありますので、県衛生部薬務課の意見や指導を伺いつつ十分に研究・検討して行くことになりました。
  (担当 荒巻、白木)

C.DIに関する研究
 「DI]については各病院、卸問屋等において研究も進み、活動も活発で利用率も年々増大しております。市薬では市薬としての取り組みが必要なのではないかと検討されています。
 特にOTCで直販品の情報を得ることが中々困難なものもあり、調査資料を整備して、その態勢作りをしたらとの意見があり、今後前向きに研究を進める予定です。


福岡市学校給食センター調査

 福岡市学校薬剤師会(会長馬場正守)では、次の通り市給食センターの環境衛生の調査を行いました。

 この調査は毎年年3回、定期的に市学校薬剤師30数名を動員して、始業前(早朝)から作業終了まで終日、綿密にかつ正確を期して行われるもので、給食センターは勿論、 各方面から大変期待され、感謝されております。なお調査結果については、市学薬事務室へお問い合わせになれば詳しいデーターをお知らせします。

   記
1.期日 
 2月23日 53年度第3回
1.場所 
 那の津給食センター
 有田給食センター
 柳瀬給食センター  の調理室、配送室、屋外等
1.調査時間
 午前9時より午後3時(作業終了時まで)
1.調査事項
 気温、湿度、気動、感覚温度、炭酸ガス、一酸化炭素、落下細菌、照度
 食器洗浄度(脂肪、澱粉)大腸菌の検出、屋外騒音等


福岡市商組だより

 福岡市の母子ミルク受給業務につきましては、種々ご協力をいただき有り難くお礼申し上げます。福岡市よりの要望により、4月より新年度会計になりますので、次の通り取り計らいさせていただきますのでご了承ください。念のため今一度お手元を確認のうえ、未提出のないようお願い申し上げます。

   記
@昭和54年3月分までは、必ず昭和54年4月30日までに提出のこと
A先期日以降に提出されると年度の関係上福岡市よりの支払いが不可能になります。
B毎月15日が締切日です。郵送または県薬会館へお届けください。
なお表面の委託業者名は組合名を記載いたしますから、取扱店舗名は裏面へご記入ください。(ゴム印でよいです)


市薬事務局だより

 左記お渡しいたしますので、誠に恐れ入りますがご来所くださいますようお願い申し上げます。

   記
○福岡県薬剤師会会員名簿(昭和53年11月1日現在)
なお郵送ご希望の方は400円(切ってでもよいです)ご送金くだされば送付いたします。
○第45回九州山口薬学大会講演要旨集
昨年10月電気ホールで開催した大会のものです。。郵送希望の方は300円切手でもよいです。

◆新会員紹介
・岡村重一  岡村薬局 博多区博多駅南
・吉松節子  しんあい調剤薬局 上川端店 博多区上川端 (管)美奈川富士子 福大昭50年
・遠藤和子  第一昭40年 双葉薬局 博多区寿町3
・佐々木三丸麿 中央大法 (勤)良永同人堂
・野間資明  早稲田昭36 (勤)森下仁丹 博多区博多駅南
・鬼塚葉子  福大昭45  博愛薬局 西区樋井川6
・平野優子  福大昭52 (勤) 警固薬局 中央区今泉2
・栗田邦彦  シンコー調剤薬局 西区  弓の馬場店 別府
・江藤克己  福大昭41 エトウ薬局 東区松崎
・大賀昌子  大賀薬局大名店 中央区大名  (管)大賀啓子 第一昭49
・杉田 耐  セガミ薬局井尻店 南区井尻
・絹巻和美  コクミン薬局 博多区雑餉隈
・水田かおる 福大昭46 新生堂調剤薬局 南区三宅
・田中邦彦  熊本昭31 (勤)長瀬産業
・長 紀子  長崎昭38 (勤)道永病院 西区今宿
・仲尾次広子 長崎昭33 (勤)済生会福岡総合病院 中央区天神
・三谷清二  京城昭11 (勤)福岡記念病院 西区西新
・山口奈津子 福大昭28 いじり薬局 南区井尻
・岡村紀子  福大昭21 山王薬局 博多区博多駅南
・篠原俊雄  熊本昭16 (勤)国立中央病院 中央区城内
・田代恵美子 福大昭51  保生堂調剤薬局 博多区上呉服町
・戸田晶久  福大昭53  東区浜男


政界報告会・後援会等についてのお知らせ

 医療の健全な発展のため、地方選挙、総選挙を問わず、薬剤師職能を理解する政治家の育成と応援に力を結集しましょう。幸いに本年度から市薬剤師会では、区支部制が布されましたので、吾々を理解し協力する方々を今までより身近に知ることができるようになりました。

 各地で議員等の方々の新春に集い、後援会事務所開きが行われ、多数の会員諸兄、部会長、支部長、、藤野会長等が参集して激励しました。会員参加の主な集会は次のとおりです。なお、後援会等に御用の方は、電話、住所等市薬事務局にお尋ねください。

◎中央区支部
早痲 清蔵(県議)1月23日 ホテルオオタニ
久保田秀巳(市議)1月28日 春吉小学校
◎博多区支部
井上雅美(県議) 1月22日 中洲ハカタタクシー
黒木一夫(県議) 1月13日 都ホテル
北岡幸太郎(市議)1月16日 博多スターレーン
河原由郎(市議)  1月13日後援会事務所
南原勇一郎(市議)2月7日後援会事務所
◎東区支部
林 武彦(県議)1月20日後援会事務所
前田憲義(県議)2月14日後援会事務所
手島敏文(市議)1月28日後援会事務所
川鍋秀雄(市議)
◎西区支部
吉村剛太郎(県議)
田中久也(県議)
高山博光(市議)
渡辺史人(市議)
◎南区支部
江口利雄(県議)1月20日後援会事務所
高山久生(県議)1月20日後援会事務所
山崎広太郎(市議)
世利 稔(市議)

亀井光後援会事務局長会議 1月20日
緑進会新春の集い1月8日 九電体育館

森田欽二(国会議員)1月13日 博多スターレーン
辻 英雄(国会議員)1月18日 九電体育館


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医学用語辞典 日本医学会 医学用語委員会編
薬物投与と検査成績 林康之外5名
抗生物質の基礎知識 中沢昭三
化粧品学   池田鉄作
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病態化学 坂岸良克
医薬分業下の薬局経営  大槻 彰
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治療薬による副作用とその対策  名尾良憲
分業に対応する薬局店舗の実際  長島義隆
調剤指針注解  桜井喜一
錠剤鑑別辞典  日本病院薬剤師会 日本医薬品集(医療薬)(一般薬) 日本医薬情報センター
医薬分業百年の裏表 藤森宗吉
過量投与時の症状と治療  清藤英一
新薬の副作用と処置  安部 裕・高杉益充
催奇形性等発生毒性に関する薬品情報 清藤英一
新しい毒性学  池田良雄
薬の副作用と臨床繁用医薬品の相互作用一覧表  マーチン・麻生吉利
薬害と政治  シルバーマン・りー・平沢
医薬品識別コード一覧 日本病院薬剤師会編
日本医師会 読売新聞社会部 食の文化考  平野正章
長崎薬史  長崎県薬剤師会
DI実例集第2  堀岡正義編
福岡大学病院常用医薬品集 福岡大学病院編
125処方の規格および試験方法  日本薬剤師会
(広く会員諸兄の利用を期待しています)


薬価基準の経過措置品目について

 保険薬局が使用している日薬作成の薬価基準の薬価の前に▲印を付したものは、ほとんど使用された実績がないとみなされているもので、昭和54年1月31日まで経過措置として使用が認められていました。2月1日以降使用できなくなりますので、念のためお知らせしいたします。


会員の訃報

 柴田益美(柴田薬局)氏 2月9日ご逝去されました。 行年69歳


広報委員会より

 「会報」のご愛読ありがとう存じます。春色漸く調い、花の便りもそろそろ聞かれる頃となりました。会員諸兄姉には、常に薬剤師職能を旨として医療福祉の向上、また医療の健全な発展のために日夜ご奮闘のこととお慶び申し上げます。

 さて本年度(五十三年)より市薬剤師会では、「広報活動の強化」が謳われ、その一環として、「福岡市薬剤師会会報」発行者(藤野義彦)が発行されることになりました。 初年度は年四回で、(7,9,12,3月)、全会員の方へ郵送される外、福岡県衛生部、薬務課、市内各保健所、医師会、歯科医師会、亦会員外の有志薬剤師諸兄、女子薬剤師会員 の方等に送りして、約千名近い方々に読んでいただいております。

 会報の内容につきましては
一、市薬剤師会の方針を正確に会員諸兄にお伝えする。
一、薬剤師に関する政治的医療事情の報告
一、薬事行政を主とした医療行政の動き、また指導等について(主として県衛生部薬務課に御指導、御寄稿頂いています)。
一、薬学的な小論文、随筆等を掲載して、会員相互の親睦を図る。
一、友好団体である医師会、歯科医師会等の方々より寄稿を頂いて交流の場とする。
一、区支部制が布かれていますので各区の状況や部会長、個々の会員の方の発展的ご意見や、会に対する希望等について伺う。
一、その他、会員の動向やお知らせ、等を。主な記事をとするように企画されています。

 「会報」は常に会員の皆様と共に進んでいきたいと考えます。広報委員としても有意義な記事を各方面にわたり取材して、早々に報告できるように努力します。会員の皆様方もどしどしご寄稿なり、ご希望なり御指導下されて会報の充実に御指南下さるようにお願いいたします。

 最後に、ご多忙中にもかかわらづ原稿依頼について心よくお引き受け下された諸氏に厚くお礼申し上げ、会報の発展を図りながら御厚情に応えたいと考えます。以上「会報」について説明せよとの指示がありましたので代筆いたします。
 広報 三津家


== 市 薬 日 誌 ==

11月28日 健康教育推進協議会 医師会館(藤野)
12月 2日 西支部姪浜部会(藤野)
   4日 久保田市議長母堂葬儀(藤野外多数)
  18日 社保委員会(高倉)
  20日 理事・支部長会 清水先生へ感謝状贈呈
  22日 休日急患委員会(成沢、荒巻、古賀)年末出動者研修会
  26日 福岡市国保運営協議会(藤野)
  28日 市薬事務局忘年会、御用納、1月4日まで休館
1月 4日 薬業年賀会(九州薬事新報社主催 朝日ビル 藤野他多数出席)
   5日 山崎拓厚生政務次官就任祝い(藤野)
   8日 緑進会議 新春の集い 九電体育館(会員多数)
  13日 福岡市国保運営協議会(藤野)
  16日 休日急患・社保委員長会議(成沢、高倉、藤野、古賀)
  19日 組織委員会(竹尾、冨永他)
  20日 福岡市国保運営協議会(藤野)
  21日 女子薬福岡支部 新春の集い(江口、荒巻)
  24日 常務理事会、理事会、支部長会
     県薬、県学薬、市薬、市学薬4者協議会(藤野、古賀)
  26日 福岡市国保運営協議会(藤野)
     医薬品集編集会議(河野、成沢、吉本、柳原、市花、仲尾次)
  27日 休日急患センター新規出動者研修会(成沢)
  28日 橋本厚生大臣、山崎厚生次官を囲む三師懇談会 ホテルニューオオタニ(藤野、白勢、荒巻、古賀)
     保険薬局セミナー(県薬主催)
  29日 薬局委員会 白木、藤野、荒巻、古賀、江口(薬務課)山田(九宏DI係)
2月14日 組織委員会(冨永、竹尾)
  17日 保険薬局、休日急患合同研修会(市薬主催)

○年度末から新年度にかけての予定

3月 2日 常務理事会、理事会(原案討議)
  27日 常務理事会、支部長会(最終案決定)
  31日 監査
4月 9日 代議員会案内(付議事項発送)
  24日 代議員会総会