会報第31号 平成元年9月30日
 ■ 巻 頭 言
 ◆国立病院の院外処方箋応需について

(社)福岡市薬剤師会 会長 古賀 隆

 本年度の通常代議員会を終えて、5月号の会報で平成元年度の市薬の課題と題して医薬分業推進と、それに伴なう薬剤師生涯教育研修問題の二つをあげましたが、分業問題が、俄に再燃焼を始めたのは、3月16日朝日新聞第一面の記事からであります。つまり厚生省が、大都市の国立病院から先づ向う3年以内に6%にとどまっている院外処方箋を30%台にまで引上げるという強い分業推進対策を決めたことであります。

 それ以来、厚生省の施策を追う様に朝日新聞が、殆んど独占的に、しかもトップ記事で医薬分業についての報道を何回となく記事にしております。特に、8月23日の同新聞一面に大きく「病院から、いきつけの薬局へ」、「ファックス使って処方箋送信」の記事は、その日が丁度、日薬臨時代議員会当日ということもあって、ひとしきりこの問題の質問が日薬に対して行われました。

 その二日後8月25日に、今度は社説で「欧米より進んだ医薬分業を」と題して論説し、面分業に対する薬剤師への熱い期待を訴えております。

 このようなことは、未だ嘗てなかったことであります。このことは医薬分業が、今後の医療を考える中で避けて通ることの出来ない問題であることを、ジャーナリストが国民に広く訴えようとしていると見てよいと思いますし、薬剤師会が行なってきた分業推進運動とは比較にならないインパクトを与えたと思います。

 このように今回の厚生省の強い方針、一流大新聞での重なる報道などからしても、薬剤師会はこの機会を逸することなく、迅速適切な対応が必要であります。日薬も医薬分業推進対策本部を7月11日に設置しましたが、一歩おくれをとった印象は拭えません。尚社会保険旬報から転載しました厚生省北郷薬務局長の見解記事を別頁に掲載しておりますので御熟読願います。(これは日薬臨時代議員会において配布されたものであります)

 籾て、日薬及び県薬は厚生省の方針を受けて、委員会、協議会等を設けてその対応を急いでおりますが、何といっても最終的にこれを受入れるのは、それぞれ地域の保険薬局であります。

 今回福岡市では国立福岡中央病院が対象病院として指定されております。そこで、受皿になります福岡市薬の同病院との応需計画案について現況を説明し、会員薬局の全面的な協力をお願いする次第です。

 現在でも同国立病院からは任意で院外処方箋が1ケ月100枚程度出ておりますが、今後厚生省の方針に従って病院として計画的に正式に発行するについては、事前に解決を必要とする諸問題が病院自身にも存在いたします。

 又我々市薬についても、応需について、実際面ではやはりいろいろな問題をかかえております。従って実動に到るまでには周到な準備、受入薬局の確認又その条件整備など、かなりの日数を要すると考えております。病院側とは5月初旬からすでに折衝に入っておりますが、2度にわたって病院長、副院長、医部課長、薬剤科長とも会合をもち、薬剤科長とは担当理事で数度協議を重ねてまいりました。これまでの病院側の基本計画の一部を記しておきます。

〔病院側の基本計画の中から〕

 1.病院内の意志統一が必要である
  イ.院外処方箋発行促進委員会を設置する
  ロ.院外処方箋発行の効果について
  ハ.担当職員の研修について
  キ処方箋様式の院内外統一について

 2.患者に対して
  イ.院外処方箋発行に関する説明,PRが必要
  ロ.アンケート等の実施による患者意向調査

 3.年度別計画案
  イ.平成元年度
   @目標達成率  5%
   A目標事項
   A.「院外処方箋発行促進委員会(仮称)」の設置及開催
   B.医師の理解と協力を得るため早急にアンケート調査の実施、発行促進診療科の設定(当初は整形外科,眼科,耳鼻科,皮ふ科等を考えている)
   C.院外処方箋発行の対象医薬品リストを作成
   D.薬剤師会は当病院処方箋応需薬局を指定する
   E.応需薬局の実情調査を当病院が行なう
   F.薬剤師会は応需薬局の位置を示したマップを作成する
   G.患者へのPR用ポスター及びパンフレットを作成する
   H.先道医療機関の見学実施
   I.応需薬局の薬剤師研修計画の立案と実施
     (平成二年度以降は略します)

 以上のように具体的基本計画案は既に出来ており、今後、計画案によって双方協議をしながら実施に移されることになると思いますが、応需薬局にとって最も大切な事は、受入態勢の整備と同時に、薬剤師自身の研修問題であります。

 過去の分業の概念では、正確な調剤行為と配合禁忌等処方内容の鑑査が主たる業務内容でありましたが、現在では、これらに加えて服薬指導,薬歴管理,複数病院受診患者の重複投薬のチェック,医師への情報提供等、極めて複雑で高度な業務内容を要求されております。従って薬局薬剤師については、面分業応需に対する研修受講が不可決であり、義務と申してもよいでしょう。県薬では、出来ることなら各支部続一した形で行なう方がより効果的との考えで、既に生涯教育研修規程を作成しております。

 以上処方箋応需に際して、完全な業務内容を実施することによって、病院,医師からも信頼され、安心して処方箋をまかせられることにより、患者さんからも、薬局から薬を貰うことの良さを認識してもらえることになると思います。

 国立病院のほかに現在市薬では、福岡市内科医会と院外処方箋発行について話し合いを進めております。まだ懇談の域を出ませんが、すでに区単位で懇談を始めた所も数支部あります。 この内科医会との模様については別の機会にさせていただきます。

 マンツーマン分業では全国的にも有数の福岡県でありますが、これからは更に進んで本来の医薬分業の姿であります面分業を始めようとしているわけです。

 その意味でマンツーマンで成功した福岡県が、果して面分業でも成功するかどうか、若松のように高い評価を受けた前例はありますが、人口もスケールも環境も異なる大都市.福岡市の面分業の行方は全国の注目を集めていると言っても過言ではありません。中途で頓挫することないように今後病院側,医師側と充分対話を積み重ねながら努力していく決意であります。



 <特別寄稿> 「A p oの軟派と硬派」

福岡県衛生部薬務課 課長 野間 誠司

 ひと昔、いや随分昔のことになりますが、学生の間でナンパ(軟派)が流行っていました。

 勿論、一部の学生のことであって、普通のマジメな学生達には、全く縁のない話でありますが、彼らは、学校の行き帰りの女学生にこそっと、付け文を渡したり、甘言をもって誘い、連れ立って歩くなど男女関係の交際が今はどオープンでなかった当時としては、不謹慎極まりない連中であって、不逞の徒として“不良”呼ばわりしていました。

 しかし、彼らは、時代感覚に優れ、好奇心も強いため、いろいろな情報に詳しく、話題も豊富であります。しかも、身形も常にズボンの折目をキチンとつけて清潔感を漂わす伊達者であります。そのうえ、女性に対するサービス精神が旺盛ときているため、言葉巧みに誘う様は、将に、巧言令色鮮矣仁としか言いようがありません。全く虫酸が走る思いですが、不思議と彼らは、女性にモテるのです。

 一方、応援団に代表されます硬派の連中やその外の普通の学生達は、頑なに学校の伝統を守り、学業に専念する傍ら運動に熱中したり、読書や映画を楽しむなど女学生との接触が皆無に等しいものでありました。

 このため、軟派学生が、時折洩らす自慢話に感心し、羨ましく思ったものでありました。

 ところで、今日、人口の高齢化や国民の健康意識の高まりなどによって医療に対する消費者のニーズも多様化してきており、国も、医療費抑制の面を含めて新たな対策を検討しており、いずれ近い将来において、医療そのものの中味と流れが大きく変わるものと思います。今、「医療の質の向上」と「患者中心の医療」の実現に向けて全てが動き出していることを感じます。

 このような動きの中にあって、薬業界としても、諸外国からの市場開放問題や新行革審による規制緩和の問題をはじめ、流通関係の合理化による卸売業界再編の動きなど幾多の難しい問題が山積しています。

 また、近年は、大型量販店等のディスカウンターの都市部への進出などによって、既存店舗との競合による市場の混乱が心配される一方、薬局等の業態変革が次第に起ってきています。

 福岡市内における昭和63年度末の薬局等の数は、薬局495軒,一般販売業112軒,卸売販売業292軒,薬種商234軒でありますが、薬局の数を10年前と比べますと、20数%増えており、特に、今年度に入ってから急増しているようです。

 市薬は、現在、国立病院(国立福岡中央病院)の院外処方箋発行促進の方針を受けて、面分業を基本とした処方箋応需体制の整備の具体的計画を樹てており今後の成り行きが注目されており、医薬分業の進捗状況によっては、100軒近い調剤専門薬局が更に増えるものと思われます。

 日本大衆薬工業協会が調査したセルフメディケーションに関する消費者意識調査によりますと軽度の疾病の治療に当って医者にかからなくて大衆薬を用いると答えた人が80%近くおり、10年前と比べますと3倍近く増えており、大衆薬の普及とセルフメディケーションの滲透振りがうかがえるところです。

 このように、今日では、自分の健康は自分で管理するといった考え方は、最早常識となっておりますので、薬局薬剤師が、地域の人々のセルフメディケーシヨンの良き相談相手となり、また、地域のプライマリーケアの担い手として積極的に活躍することが強く求められているところであります。

 セルフメディケーションの指導に当っては薬によって癒すことができる症状を識別する能力や期待する治療効果が得られない時に、中止して医師に診せる医療人としての良識と判断力が必要であり、患者の適切な治療の機会を失わせるものであってはならないと思います。それこそ、生兵法は怪我のもとと言われており薬剤師の不断の努力が問われるところであります。

 消費分析専門家の話によりますと、これからの消費需要は、二極分化の時代であると言われ、ひとりの個人が、買い物によって基礎的消費と選択的消費、つまり値段で買うか、品質で買うかを区別して買物をするのだそうです。

 近年、消費者のニーズが多様化したと言われており、店舗の構造や雰囲気に対しても、快適さ、便利さ、健やかさ、オシャレっぽさ個性などが求められるため、遅れていると言われていた薬局等の店舗も次第に新しいタイプのものが出現しています。

 以上、最近の目立った動きを掻い摘んで述べてきましたが、いずれも、消費者の気持ちであり、要望であり、また、薬局・薬剤師の責任と義務であり、権利と可能性であります。

 軟派の学生が、何故女学生にモテるのか、それは、常に、いろいろな情報の動きに気をつけて、必要な情報を収集・整理しておき、何時でも話題として提供できる態勢をとっていることや、狙った女性の動きと心を的確にキャッチし、先手先手と行動を起こし、ひと度、機とみるや全知全能を傾けるサービス精神に徹する不断の努力と繊細な気配りであると思っています。

 今日、医薬分業問題を契機として、薬剤師を取り巻く環境は、目まぐるしく変化しており、識者の問では、薬剤師の意識改革と体質改善が必要であるとさえ言われております。

 私達、薬剤師もこの際大いに軟派になってナンパしようではありませんか。
 会員各位の一層のご発展を祈念します。

 野間課長ご紹介

 S8年12月31日生 56才
 S32 長崎大学薬学部卒業
 S38 田川保健所
 S53 薬務課
 S54 嘉穂病院
 S57 環境整備局
 S62 薬務課課長補佐
 Hl  薬務課課長
 趣味  囲碁,写真,旅行
 お住い 飯塚市

 先日原稿をお願いする時に、野間課長は県薬会報8月号の「視点」に書いてありましたので、市薬会員は、県薬会報を読んでいますので、市薬会報には、柔らかいのを書いて下さいませんかとお願いをしました。そして届けて下さったのが、この「Ap oの軟派と硬派」です。

 このタイトルを見た時、いったい何を書いてくださったんだろうとワクワクして、一機に読んでしまいました。




 <特別寄稿> 「生活リハビリ教室と在宅医療」

南保健所 所長 廣津留 洪子

 人口の高令化とは、単に平均寿命が伸びるだけでなく、高令者の占める割合も増加していくことを指します。わが国の場合西暦2015年には高令者(65才以上)が人口の22.5%を占めると予想されています。(厚生省人口問題研究所)。高令者の増加に伴って社会全体が価値観から日常生活のあり方まであらゆる面で新しい対応をせまられています。

 老化に伴う慢性疾患や障害をもつ人、年をとってひとりぐらしをしている人にどうしたら住みなれた環境の中でその人なりに充実した生活を送ってもらえるか、私ども保健・福祉・医療サービスにかかわるものの大きな課題です。

 南保健所では、昭和63年6月より「生活リハビリ教室」をはじめています。これは脳卒中後遺症を中心に心身に障害をもつ人達の心身の機能の回復維持、生活圏の拡大、仲間づくりなどを目的としています。リハビリ体操や無理なく体を動かすように工夫されたゲーム、季節の行事、野外活動など月2回、毎回10〜15人の方が時には家族も一緒に参加しています。

 昭和63年12月からはボランティアも応援して下さるようになりました。失った心身の機能、又それが原因でなくした楽しみや仲間を少しずつとりもどすこと、そして自分のできる範囲で新しい能力や仲間を再び作っていくこと、それも住みなれた環境の中で、それが、「生活リハビリテーション」「地域リハビリテーション」だと考えています。高令化社会の中でのさわやかな取り組みですが少しずつ理解と参加の輪が広がっていることを心強く思っています。

 ところで、つい最近「在宅医療環境整備に関する検討会」から厚生省に報告書が提出されました。以下その内容を一部紹介してみます。

 慢性疾患を持つ人もできるだけ住みなれた環境での療養をという動きに応えてかつては医療機関においてしか行えなかった治療が、新しい医療機器の開発、診断技術や治療方法の改良で在宅で実施できるようになってきました。

 呼吸不全・肺機能障害者に対する在宅酸素療法,慢性腎不全に対する持続携行式自己腹膜濯流法(CAPD),糖尿病血友病に対する自己注射の他、中心静脈栄養法(IVH)経管栄養法、自己導尿法についてはすでに健康保険も適用されています。

 欧米ではこの他にも末梢静脈からの抗生物質、抗がん剤の投与、麻薬などを持続的に注入する鎮痛療法、人工呼吸器による呼吸補助法なども在宅で行われつつあるようです。いずれにしても在宅医療の普及のためには機器の保守・清潔管理、薬剤の安定的供給体制、救急体制、患者や家族の教育等、医師,薬剤師,看護婦そして保健所や福祉事務所といった行政機関が協力しての体制づくりが不可欠になってくると思われます。

 特に薬剤についての院外処方箋の活用や薬剤、注射器等の安定供給、家庭での管理の指導など薬剤師の方々の業務も又、新しい時代を迎えようとしているようです。

 明るい長寿社会をめざして、福岡市薬剤師会の地域での一層の御活躍を願っております。



 <特別寄稿> 「ヨーロッパにおける医療事情」

山之内製薬兜汢ェ支店 支店長 谷川 勇夫

 七月一日付で、福岡支店勤務を拝命し、過日着任したところです。先日九大へご挨拶にうかがった折、市薬会報に原稿をとのお話しをうけたまわりました。手前みそで雑文ですが、どうかお許しをいただきたいと思います。

 こちらに赴任する前に、かつて九州で働いていた先輩諸氏に「福岡はとってもいい所だよ。食物は安くて、おいしいし、気候はいいし、地震もないし」等々、いいとこづくめの予備知識をもらって、かすかな不安の中にも大きな期待をもって、勇んでやって来た博多。

 一カ月足らずの生活の中ですが、世話好き,酒好き,お祭り好きの人達の中でくらして、暖い人情を感じると共に、食物がとてもおいしく、特に魚が新鮮で安く材料も豊富にあるのに、おどろきました。

 オキュウト,鯛茶の味にもなじみ、他にも冬には河豚、春には白魚と、博多名物があると聞いて、今から心待ちしております。

 私共山之内製薬の福岡支店では、九州六県と沖縄県を担当エリアとして、テリトリー内のシェアupを目指して、山之内製品のマーケッティング活動に、日夜努力をしております。

 営業所は、粧薬営業所の一つを含めて、各県に11ヶ所設置され、福岡をはじめ、各地の薬剤師会で、大変お世話になっております。

 山之内製薬は、今年で創業六十七年目を迎えていますが、その中で福岡支店は歴史が古く、昭和二十一年に開設され、今年で四十三年目を迎える大変伝統ある店です。
 今は、手狭な為、博多駅近くの第五博多偕成ビルに移り、九月十八日より、新らしい場所で営業を開始することになりました。

 これを機会に、私共も気持を新たに、社の発展に努力していきたいと考えております。

 会社の社是に「人々の健康と福祉の為に、常に信頼される製品を」とあります。
 又、創業以来の会社の伝統的社風は、

 ・ お客様第一
 ・ 誠実で謙虚
 ・ 積極かつ堅実
 ・ 不境不屈の精神
 ・ 閥無く閥作らず能力主義
であり、この創業以来の伝統は、今後も引継いで、社会の発展に少しでも役立てる様に、支店みんなで努力していきたいと思います。

 かつて製薬業界は、順風満帆の環境下にありましたが、最近では、国の医療費抑制策の浸透、あいつぐ薬価の大巾な引き下げ等で、環境は悪化し、ますますアゲンストの風が強まっています。加えて巨大外資メーカーの日本進出、他業種からの医薬品部門への参入もあり、内外の荒波にもまれている現況です。

 一部では、医薬品メーカーの共存から陶太の時代に突入したともいわれています。
 これから二十一世紀へ生き残る企業となる為には、一流の開発力と早急なる国際化が大きな課題です。

 私共も国際化にむけて、手をうちつつあります。ニューヨーク,ロンドン,フランクフルトに事務所をもうけて、活動をつづけていますが、昨年アイルランドに工場をつくり、海外で生産から販売まで一貫して出来る様に、徐々に体制作りを進めつつあります。
 もちろん海外への発展は、国内の営業の支えの上に成り立ちます。その意味で我々の責務も大きなものがあります。

 昨年会社から、ロンドン,デンマークに行く機会をいただき、研修にいってきましたがイギリスも、医療危機は深刻であり、かつてのグレイトブリテンの力は大英博物館にそのおもかげを残すのみで、「ゆりかごから墓場まで」といわれた世界最高水準の社会保障制度にささえられた医療制度も、至る所で深刻な危機を迎えています・予算不足や看護婦不足、病院の老朽化等問題が山積しています。

 デンマークでは人口の老令化が進んでいますが、老年痴呆患者は少ないようで、それは国民一人一人の自立心と自主性にねざしている為だと聞きました。今、EC各国では、医療危機がさけばれ、1992年の統合を目指して準備は進んでいますが、まだ問題が多く、多難な状態です。つい、日本のよさを痛感いたしますが、日本の医薬品産業にとっても、欧州単一市場の実現がもたらす影響は、はかりしれない大きいものがあると思います。

 日本の情勢、海外の情勢も、医療を取りまく環境は、必ずしも楽観できません。今後はその分をおぎなう“人の育成”が大切だと思います。会社の発展の基本は人を育てることであり“人作り”が急務です。社会の変化が極めて早い今日、今後は、若い感覚,柔軟なものの考え方をとり入れ、そこから生まれる活力が職場の内外に発輝されるように努めていきたいと考えています。変化を敏感に感じとり、それを先取りして、自らをリードしていく人々の集団作りを目指し、その中で一人一人の成長と共に会社や支店が発展出来ればこんなすばらしいことはないと思います。

 最後となりましたが、今後共会員の皆様方の暖いご指導御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。



 <俳  句> 「風 立 ち ぬ」

岸  郎

     立秋の声に辰雄の文を聞く

     天皇(すめらぎ)の声聞き初(そ)めし夾竹桃

     戦終(いくさお)え重ねし歳や盆の月

     高台のテラスに落ちる銀河かな

     駿雨(しゆうう)晴れ蜩(ひぐらし)一段高らかに

     新涼に我子(あこ)の寝姿変りけり

     大花火暑さも知らず添う二人

     常の朝なれど嬉しき新豆腐

     三日月や心に深く在りしもの

     甘栗を炒る口上や放生会

     仲秋や旅の心を誘いけり



 <会員のひろば> 「かけすオバサンの独り言」

(社)福岡県薬剤師会薬事情報センター 室長 大坪 万里子

 歩道を歩いているのに、一瞬身の危険を感じることがある。すぐ横をバイクが結構なスピードで追い抜いて行く時だ。渋滞時の信号待ち時間を節約しようとのことらしいが、エンジンをかけたままの歩道走行なんて‥・‥・。こんな時、私は声を大にして叫びたい。「あなたは自転車じゃないのよう!」

 こんな風に思うなんて、私も「やかましオバサン」になったなぁ……と内心思ったりする。だが、この「おばさん」という呼び方もくせもので、自分で言ったり小さな子供から「オバチャーン」と呼ばれる分にはいっこう気にならない。ところが一旦これが異性の口から出ると、これはちょっとこたえますな。

 「確かにわたくしには孫がおりますが、私はあなたのオバアチャンではありません。」町の中で人におばあちゃんと呼ばれて気分を害した5−60代の婦人の投書のキモチがよくわかる。

 若さ=善・美、老い=悪・醜という図式が男も女も意識の底に横たわり、「いつまでたっても若いのよ」とはかなく希望しているからでしょうか。“To be aging is Wonderful&Beautiful.”といきたいものです。

 さてそのオバサンですが、私は年に何度か「ゴミヒロイオバサン」に「変身」する。今年も2度はど海に行ったが、その都度発泡スチロールだの、空きカンだの、花火の燃えカスだのを拾って来た。美しかるべき自然がゴミだらけというのは、どうも私は許せない。サーファースタイルのお兄さんが、サンオイルをピカピカ塗って肌を焼いてみても、周りがゴミだらけだったらサマにならないと思うんだけどね。

 しかし前回はモエルゴミを拾ったから、今回はモエナイゴミだけ‥‥‥というように選別して集めても、いつも5分もしないうちに手元の袋はいっぱいになってしまう。

 自然を守るのは、何もプラカードを掲げて行進したり、総決起集会を開いたりしなくても、たった今からできる簡単なことだとは思いませんか?それは私たち一人一人が心の中で「私は自然を守る。いや、自然と共に生きる」と決心すればいいだけなのです。そうすれば、どのように行動すべきか、自ずからわかってくるのではないでしょうか。

 「買物が不満足なれば、中流下流の人は小言を言うが、上流の人は多くは小言を言わない。ただ二度と来ない」(薬局経営学−清水藤太郎)。

 意味あいはちょっと違うけれど、自然は私達にとって全く「上流の客」ではないだろうか。はい野菜、はい魚、はい石油、はい車、はい洋服…・と私達の欲しいものは何でも(取引に応じて)くれる。地面をむやみにアスファルトで覆ったり、熱帯雨林を切りたおしたり、放射性核物質で汚染したり、私達の仕打ちに対して一言の文句も言わない。けれどある時、突然取引停止の時がやってくる。自然は黙って去って行くだけなのです。

 私達人間も自然の一部です。海、山、川、空。光、水、空気、土。虫、鳥、魚、馬(!?)。カビ、キノコ、コケ、シダ……。動物も植物も、無機物も含めて全てのものが循環しています。今日、他に対してしたことが、全部、明日の自分に帰ってくるのです。決して人のためではありません。



 <会員のひろば> 「沖 縄 巡 回 紀 行 記」

福岡簡易保険診療所 松浦 昭朗

 私が勤務している診療所は、一般診療の他に成人病検診として半日ドックをも実施しており、所内においてばかりでなく地方や離島にも出かけています。昨年の12月には沖縄の西表島方面へ行きましたので、その時のことを書いてみようと思います。

 福岡から那覇経由石垣島までは飛行機で、さらに高速船に乗り換え40分弱、最初の検診実施地黒島に着いたのは福岡を出て6時間程後でした。黒島は、西表島のすぐそばにある小島です。宿に着きほっと一息、オフシーズンのためガラガラです。部屋のキーが付いてなかったのでフロントでもらおうとしたら、ここにはドロボーなんかいないので必要ないと言われてしまいました。何しろ交番も信号もない島ですから。人口200人弱しかも20代の人間は3人とのことで、いっしょに行ったそう若くもない看護婦がモテモテで、「後光が射して眩しいくらいだ」と宿のお兄さんが言っていました。

 自然は豊富ですが、釣りをするか、レンタサイクルで島内を走り回るか、飲むかしかない本当に何もない所です。部屋にテレビはあっても映るのは日本放送協会関係だけ。仕方なく自転車で散策している時出会ったおばさん達と雪の話になり、「テレビでしか雪は見たことがない」「京都に行った時雪にあってうれしくなって空に向けて口を開けて食べた」とのこと。12月だというのにシャツ一枚でどうということない気候ですから(緯度は台湾の台北より南です)。

 3日間の滞在の後、イリオモテヤマネコが手招きする西表島に向いました。西表島には信号が一つパトカーも一台あるし、スーパーマーケット・喫茶店・スナック・レーザーカラオケのある居酒屋(1曲500円は高かった)などがあり、久しぶりに街に来たという感じでほっとしました。人口も2,000人弱で若い人も結構多く見受けられましたが、その多くは東京や関西方面から移って来た人達だそうです。

 休日には宿の車を借りて、由布(ユブ)島・浦内川の散策そして仲間川の川上りと忙しく走り回りました。由布島には熱帯自然植物楽園があり、西表島からは水牛車で渡ります。園内には、マンゴ・ゴレンジ・カニステル・ココナッツ・パパイヤなどの果物がなっています。動物小屋には、天然記念物のセマルハコガメ(普通のカメはつつかれると首・手足を引っ込めるだけですが、このカメはその後で自分でフタをする)がいます。洒落たペンションが立ち並ぶ浦内川の船議場から上流へ向かうと、マリユドの滝やカンビレーの滝という奇麗な滝を眺めることができます。

 またこの川の上流には、鈴石という振ると石の中から音が聞こえる珍しい石が採れます。 中に小石が入っているのか、木の実が入って種だけが残ったのか、サンゴのかけらが入っているのか、その生成の謎はついに解らずじまいでした。

 マングローブ林の広さは日本最大という仲間川の川上りをしている途中では、カンムリワシの子がその白い羽を休めて木の枝にとまっている場面に出くわしました。林の中では樹齢数百年というサキシマスオーの木を見物しましたが、その根の奇妙な形には一同びっくり。

 また、川岸との問にもぐらの穴の様な大きな穴があちらこちらに開いているので案内人に聞くと、ヤシガニが出てきた跡だということでした。ヤシガニはヤドカリの一種で、その大きなハサミは人間の指など簡単に切ってしまうとのこと。仲間川では、他にも、一辺の長さが5−6cm 程もある大シジミ(シレナシジミ)やノコギリの様なハサミを持つ大型のカニ(ノコギリガザミ)などが採れるそうです。

 宿の夕食でこのノコギリガザミを食べましたが、身は大きくて食べ易いのですが味も大味という感じでした。イリオモテヤマネコには出会うことができませんでしたが、このネコは夜行性で地元の人でも見たことがない人が多いとのこと。出現場所はある程度決っていてその様な場所には、「ヤマネコ注意」の道路標識(!)が立っているので、見たければ夜中にその付近をうろついたらということでした。

 後日、役場にある博物館でヤシガニ・シレナシジミと共に剥製を見ましたが、その面構えといいキバといいさすがという感じでした。全行程2週間の巡回診療でしたが、低気圧の接近で西表島を発つのが一日早まり、そのぶん石垣島で一泊できるというおまけまでついた出張でした。

八重山諸島

 なにか遊びの話ばかりになりましたが、もちろん仕事もしてきました・検尿・検便等の衛生検査が主ですが。

 今年も11月末より沖縄巡回が予定されています。また行けるのなら、珍しい動植物の写真でも写してこようと思っています。良い写真がとれましたら、載せてもらおうかとも思っていますので、その際にはよろしく。



 <会員のひろば> 「山登りはマゾか?」

名島部会 タカラ調剤薬局 満園 忠治

 「あなたはなぜエベレストに登るのか」の問いに、「そこに山があるからだ」は、かつての登山家ジョージ・リー・マロリーの余りにも有名な問答であります。
 会員諸兄の中にはそれなりに山にたけた方がおられましょうが、私の場合は重装備を兼ねた本格的な登山ではなく、ストレス解消、健康保持を目的と致しました散策程度のトレッキングであります。

 私達の居住します福岡も年々都市、市街化が進行し、常日頃自然に接する機会を失い、自然を奪われてしまいつつある昨今です。そこで都会を離れ、緑豊かな自然を求め出向いた高原,山岳も開発の美名のもとに昔ながらの自然相が破壊されるのを見るにつけ幻滅し、腹立たしく思う時があります。でもそう言いながらも私達の身近かに、手の届くところにまだまだ沢山の自然が残っております。

 歩くことが身体にもたらす好影響は如何ほどであるかは言うまでもありません。それが山歩きとなりますと、その効果は更に増します。標高千メートル前後の高原,山岳では平地より気圧が低くなる為に、私達の呼吸は過呼吸となります。この過呼吸現象は肺の活動を活発にし、肺の酸素吸収能力を増大させることにより血液中により多くの酸素をとりこみ、代謝が非常によくなると言われます。ふだん、山歩きを7−8時間前後しても疲れをさほど感じず、逆にその後2−3日は非常に体調が良いのはそのへんの理由にもあるのかも知れません。

 こんなにも身体に好影響をもたらす山歩きなのに何故か山登りする人は少ないのです。その理由はいたって簡単です。それなりの重さのあるザックを背に歩く山道は苦しく耐えられません。ある人は“マゾ的要素”が登山にはあると言っております。私も年20〜30回、500〜3,000メートルの山々を歩きますが、一度として楽な山行はありません。大なり小なり難行苦行の連続であり、それはあたかも人生の縮図的な存在であり重しょう。それでいてまた下山後は次の山行の計画です。苦しみ耐える‥・それが快感となる山登りはほんとうにマゾ的要素があるのかもしれません。

 そもそも登山の歴史は御承知の様に日本では山岳宗教から出発しております。福岡市近郊の宝満山はその代表的な山でありましょう。精神修業としての山登りは今でも日本人がよくやっていることです。鍛練と名のつく山登りはかつて皆、経験された事であり重しょう。逆にヨーロッパではアルピニズム,スポーツ的登山で日本とは趣を異にしております。山登りをスポーツとしてとらえるか、自己の精神修業の場としてとらえるかは諸兄の判断に任せると致しまして、登れば登るほど底知れぬ魅力があるのは事実です。その魅力ある山々・・・かつて私が登り感銘した山を編集委員の木原先生の御指示により今後、数回にわたり掲載させていただきます。



 <フレッシュさん紹介> 「貧 民 窟 と 泥 棒 市」

(社)福岡県薬剤師会 薬事情報センター 小川 雅子

 「自分がこうしたい、という思いを心の中に留め、そう願っているならば、その願いは必ず実現する。」最近話題になっている自己啓発の本などをみてみますと、こういう内容のことが書かれていますが、実は私も、そういう経験をした一人なのです。

 南米へ行きたいという思いは、小学生の頃見た、「インカ文明展」から始まりました。その時は、クスコの遺跡やインディオの民族衣装などに興味を覚え、単なる憧れだけだったのです。時折思い出しては、行きたいなあ、とつぶやき、そしてそういう思いはいつの間にか忘れ去られていました。

 ところが、今年に入ってからというもの、不思議なように道が開かれ、仕事を終え、ほっと一息ついた時はもう南米、サンパウロの地にいました。その時、ああ私は今まで、ここに来たかったのだと、改めて感じたのです。

 約一ケ月をかけて、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、そしてハワイを回って来ましたが、訪れた観光地は、その国の気候や、自然や、国民性の溶け込んだ素晴らしいものでした。しかし、私にとって忘れられないものは、観光地などではなく、現地の人々の生活そのものだったのです。

 ブラジルのカーニバルは、一晩中裸で踊り明かすパレードですが、このパレードで踊っている人達のほとんどは、貧民窟で生活しているのだそうです。私の滞在したサンパウロにも、至る所にこの貧民窟がありました。それは、まるで東京湾の夢の島のような所で、洗濯物が干してあり、子供達が遊んでいるのです。彼らは、このカーニバルの日のために、一年間で約100−200ドルを貯め、すべてを衣装代に使ってしまうのです。一年間のつらかったことをこの一晩に凝縮させ、踊ることによって発散させるのです。

 ところがそれも「あとの祭り」。また貧民窟での生活が始まります。しかし、踊っている彼らの表情は、何とも屈託がなく、素直でした。

 ペルーの首都リマへの飛行機の離発着は、航路の関係上、いつも真夜中です。ですから夜のリマの街しか、飛行機からは見れないわけです。私は夜間飛行ができても、窓側に座れることはほとんどなかったので、他の都市がどういう色をしているのかはわからないのですが、リマの街は「赤」なのです。灯がまっ赤なのです。何とも無気味は印象でした。

 リマの街には、ほとんど雨が降りません。ですから住居も、屋根のないものが日立ちます。しかし、何と言っても山に一本の緑さえないのには驚きでした。緑の山々を見なれている私にとって、赤茶けた山は、ただ不安を感じさせるだけでした。

 街を歩けば、至る所に両替商。紙弊を束にして持った男性が、たむろしています。顔つきは、あのインディオ。どこか日本人に似ています。「金,銀を買います!」といった看板も街のあちこちに。観光客などから盗んだ品物を、ここに持って来ては売るわけです。私もホテルのロビーで、店の女性から、「時計に気をつけなさい。」と言われたほどですから。

 ブラジルに比べると、ペルーの方が生活に対するエネルギーは、まだ残っているようです。ブラジルでは、昼間から何もしない若者が目につきましたが、ペルーでは、泥棒という手段でもって、生き長らえているようです。いわゆる「泥棒市」で、市場に公然と、盗んできたものを所せましと並べて売っている。それも、使いものにならない、片方の靴だとかをです。

 ブラジルは広大な土地と資源を持ち、またペルーのアンデス山脈に眠る鉱物の埋蔵量は膨大なものだとも聞いています。そういう資源に恵まれた国でありながら、国が発展しないのはなぜなのでしょう?一度足を踏み入れた国々だけに、人々の生活が豊かになることを祈らずにはおられません。しかし、果して豊かさとは何なのか、考えさせられる旅でもありました。

 確かに、ブラジルやペルーの人達は、ものには乏しい。けれど何よりも、魂が素直なのです。このような人達こそ、人間にとって、一番大切なものをちゃんと知っている。そんな気がします。現に、その人達と行動を共にすることで、心が洗れたような、そんな気分になったのを覚えています。

 本当の豊かさとは?と問われているこの日本にいると、あの南米の人達の生活を忘れがちです。旅をすることで、価値感も変わったとはいえ、やはり回りにものがあふれた生活に、つい戻ってしまいます。そんな時、神様は、声なき声で、「貧民窟と泥棒市を忘れるなよ。」と、語っていらっしゃる、そんな気がするのです。
(S61年第一薬科大学卒業)



 <部会紹介> 「友泉部会騒動記」

友泉部会 あいざわ薬局 合 澤 英 夫

 法と云うものは、私達のような善良な市民にとって、と云うのが悪ければ、ごく普通の人々にとって、その生活を守る為のものであると考えていました。もともと法律などとは関係なく、たまにあったにしても交通違反位であり、そしてそれは“ぶつくさ”云ってはみても結局悪いのは自分であり、仕方なく納得して、罰金を払う程度のものでした。

 今年5月、急に友泉部会の地域内に2店の大型チェーン店が出店するとの情報が入りました。その後もう一店出店計画があり、都合3店出店する事になりました。それぞれ価格問題、その他で話題になった店ばかりでした。

 10年1日の如く、他方から見れば、のんびり、時には優雅にさえ思えるような、而し、内実は毎日結構忙がしく、そしてあくせく、あくせく過して来たのですが、今度の事については、やはり驚いてしまいました。この3店の店舗面積と現在の薬剤師会員のそれとを比較しますと、はぼ2倍になってしまいます。西は油山まで、東は梅光園,田島,南はと考えていきますと、とてもそのような大きな市場性があるとは思えないのです。

 又出店の場所も、一店は既存店の真正面、道路をはさんで4−5歩の距離、又一店は2軒隣り、もう一店もななめ前であり、丁度友泉部会の全地域を網羅する位置でもあります。

 これは大変な事になったと云う共通の危機感を持ちました。直ぐに部会を開き、とりあえず署名を集めて代表者4名で県薬務課に出店反対の陳情に行きました。而し薬務課としては、彼等の出店は法的に規制する事は出来ないし、申請が出て、これを検査し法的に支障がなければ許可せざるを得ないとの事であり、唯地元の業者との摩擦を避ける為、充分な話し合いをしていただきたい。この仲介の場を作る事の労はいとわないとの事でした。

 冷静に考えると当然の事でありますが、生活をおびやかされ、これから、何如したらと思い悩んでいる私達にとって、法とはつめたいものであると怒ってみたり、哀しんでみたりしたのでした。5月から6月にかけて深夜に及ぶ数多くの部会を開き、出店する店側との交渉、薬務課への対策、又薬剤師会への働きかけとあらゆる努力をしてきました。

 家主の状況を調べたり、又法的に何らかの光明が見い出せないかと弁護士に相談したり、薬務課へも幾度となく私達の立場を訴えました。薬剤師会に対してもこのような問題を検討する機関を作っていただきたいと要望書を提出しました。而し私達の方もだんだん疲れて来てしまいました。それと云うのも、この種の運動は、何の成果ももたらさないし、無理、無駄な事であろうと云う思いが、誰の胸の中にもあるからです。

 部会もやゝもすればお通夜に近いものになってしまうのでした。そして法的な部分を中心に考えていきますと、被害者の意識と加害者のそれとが入り交ってしまい、人情や倫理的にはやはり被害者的立場であり、社会又は経済の流れ、消費者の見方からすれば自由な競争を阻害するむしろ加害者であったりする訳です。

 而し、何と云っても命にかかわる薬を取扱っている私達が、自分自身の生活を守ろうとする意識なり、行動は決して決して非難さるべきものではないと確信しておりますし、例えそれが具体的、現実的に何も生み出さない、結果的に無理,無駄であったとしても、私達の立場を意見と行動で示していかなければならないと思っています。

 今後、恐らく0.T.C.調剤を問わず、次々にそれぞれの薬局のすぐ近くで起って来る事は間違いないようです。自分の生活は自分で守っていかなければならないのは当然ですが、同じ開局の薬剤師としての立場を充分考えてみる必要があると思います。

 8月18日最後の1店が開店致しました。



バードウォッチングしてみませんか

   −鳥達の身上調査−

シリーズNo.6 <ヒヨドリ>

 ピイーヨ、ピイーヨ、ピイーッと大きな声で騒がしく鳴く鳥に何だろうと頭上を見上げたことはありませんか。その鳴き声からヒヨドリという名前がつけられたといわれるこの鳥は、近年、市街地で姿を見かけることが多くなりました。街路樹や公園の木に営巣する傾向は1970年代以降のことで、鳥の都市化への適応の例となっています。

 ヒヨドリはスズメよりかなり大きく、体長27−28cnで、尾も長い。羽の色は全体としては灰色ですが、よく見るとなかなか複雑な色合いをしています。体は灰褐色で、頭上は青灰色味が強く、頬のところは茶褐色、胸から腹は白と灰色と褐色が細かい模様になっています。飛び方にも特徴があり、大きな波形を描いて飛びます。

 ヒヨドリは昆虫や木の実などを食べていますが、熟した柿や花の密など甘いものが大好物です。椿の花や桜の花に顔をつっこむようにして密を吸い、顔が花粉で黄色くなることもあるようです。黄色い顔のまま花々を移動することは花粉を媒介して花に恩返ししているともいえます。

 ヒヨドリは留鳥ですが、北部のものは秋には暖地に移動するものもいて、渡りの大群が見られることがあります。

 庭に餌台を置いておくとまずスズメがきて、それからヒヨドリ、シジュウカラ、メジロなどがきます。ヒヨドリは体が大きいせいか、先に来ていた鳥達を追い払って餌台をわが物顔に占領することがあり、憎まれ役ともなっています。

 ヒヨドリの声の騒々しさは目立つとみえて、高いところで声ばかり大きく、どこにいてもよく目立つ人のことを“ヒヨドリ”というそうです。あなたのまわりにヒヨドリさんはいませんか。

(九大病院薬剤部 野仲範子)



 <トピックス> 「薬疹の動向とそのとらえ方」

市薬 学術委員会

 薬疹と原因薬剤の関係について横浜市大医学部皮膚科教室による最近10年間(1978年−1987年)の薬疹統計と最近の傾向が述べてあった。

@ 薬疹の頻度として前半5年間が1%台であったのに後半の5年間は2%台とやや増加の兆しがうかがわれる。

A 年齢別でみると1940年代から1970年代にかけて青年層が減少し中年層が増加する傾向にある。この年齢分布の変化は、成人病への関心がたかまるなかで、中・高年層の受診率が増加し、それに伴い投薬量がこの層で増加していることに対応したもので、その背景に我が国が今日急激に高齢化社会を迎えつつあることがあるとおもわれる。

B 男女の比は20才代〜50才代までは女性が多く(1:1.351)それ以上の年齢では男性が少し多い。

C 原因薬剤としては抗菌剤(41.2%)が最も多く、循環器系薬,消炎鎮痛解熱薬,抗てんかん薬,抗腫瘍剤,免疫調整剤,向精神薬と続く。抗菌剤の大部分はペニシリン,系(PM)とセフェム系(CM)であるが最近ではCMの方が多くなってきている。

 又ピリドンカルボン酸系抗菌剤も使用量の増加に伴い多く成りつつある。抗菌剤全体としては減少の傾向にある。循環器系薬では増加の傾向にあるがその内訳は非サイアザイド系利尿剤,ACE阻害剤,Ca桔抗剤,βブロッカー,高血圧治療剤,脳循環促進剤の順であり、使用頻度の増加に伴って薬疹も増加している。消炎鎮痛解熱剤はピラゾロン系の使用激減で著明に減少したが、非ピラゾロン系もしばしば薬疹を生じるものが多い為、注意を要する。抗アレルギー剤による薬疹は少ないが使用量の増加に伴う薬疹の増加が伺われる。

D 薬疹型から見た場合、最近の5年間では紅斑丘疹型(MP)43%,多形紅斑型(EM)13%,湿疹型用cz)9%,紅皮症型(ED)7%,苔せん型(LD)6%,じんましん型(U r)5%,光線過敏症型(Rh)3%,固定疹型(FD)3%の順になっている。今後はもっと様々な発疹型が全体として増加すると推察する。

E 薬剤と発疹型の関係で、PC系とCM系抗生剤ではMP型が最も多く、他の抗生剤,抗結核剤,サルファー剤ではMP型は少なくEcz,LD,FD,PIl型の比率が高くなっている。CM型の内セファクロルは例外でMPは少なく、Ur,ED,Ecz,EM,LDが増えている。最近セファクロルによるアナフィラキシーショックの比率がPC系や他のCM系より高い報告があるがI型アレルギーの関与が考えられる。循環器系薬と免疫調整薬では多様な発疹型を示す。消炎鎮痛解熱剤と抗てんかん剤はEM,FD,Ecz型が多い。

F 発疹型より原因薬剤を確認したところ、MP,ED,Ur型では抗菌剤、LD,Ph型では循環器系,FD型は消炎鎮痛解熱剤が多く、それぞれの代表薬剤といえよう。

G 薬疹の原因はアレルギー反応の4分類に加え、活性化T細胞により惹起されるアレルギー反応及び表皮構成細胞の角化細胞が放出する免疫活性物質の役割が明らかに成りつつある。

H 原因薬剤の潜伏期間は免疫調整剤が30日〜1年であるのを除き3〜14日の間に発疹する。
 医学のあゆみvoL1502 1989.7.8



 <特  集> 「動き出した医薬分業」

 9月3日(日)急患センターに出動した時、丁度内科医は早良区の栗田博隆先生でした。先生は「福岡市医報」の編集人を長いことされているので、編集の知恵をお借りしようと思いお話を伺いに行きました。すると先生は、まず「あー、31日におたくの先生方と合いましたよ。糸岐先生やら南島先生、波多江先生…等。私は完全分業していますから、分業医の立場で出席したんですよ」とのこと、それからはもっぱら編集のお話をして下さいました。

 私はこの言葉を聞いた時、そして今、各支部からの報告を編集しながら、これ迄と違って、今回は間違いなく医薬分業が動き出しているという手応えを覚えました。
 ここに紹介します厚生省薬務局長の転載記事は、古賀会長が巻頭言に書いてあるもので、社会保険に関わっている医療従事者を対象に出されている「社会保険旬報」に掲載されていたものです。

 次いで「内科医誌」からは、お許しを得て中村会長の巻頭言、声に取り上げられた「医薬分業について」と投稿の「分業の現実と薬剤師のあり方」を転載させていただきましたのでご一読下さい。

 そして現在「私、薬剤師です」と胸張って言えるだけの資質を身に付ける事が必要です。医薬分業が必要だと言い出した社会の動きに応えるため、生涯研修の大切さを、いま一度考えてみたいと思います。

(文責 木原)



 <特  集> 「なぜいま「医薬分業」なのか」

厚生省薬務局長 北 郷 勲 夫

◎医薬分業の英語はない、分業未実施は日本と韓国だけ
 
▲ 医薬分業をなぜいま推進する必要があるのか、といった点からまずうかがいましょうか。


 医療制度が確立している国を世界的にみた場合、いわゆる医薬分業が行われていないのは日本と韓国ぐらいのものです。医薬分業という言葉自体が他の国にはないのです。それくらい医薬分業は世界の先進国では当り前のことになっている。いいかえると、日本だけが特異なやり方をしているということになる。英語にもドイツ語にも医薬分業という言葉はないのです。そこが意外にわかっていない人が多い。

 もちろん、外国にない制度だからといって日本で実施してはいけないという理由にはなりません。いいものであれば実施したらいい。また逆に、外国で実施していることを日本でもそのとおりやらねばならないということにもなりません。要は医薬分業が日本の医療にとってプラスなのかマイナスなのかを考えてみるべきだと思うのです。ただ、医薬分業が行われていないのは特異な状態であるということだけは十分に認識しておく必要があります。

◎医者は”くすし”だった特異な状態の日本

▲ すると、日本はなぜそういう特異な状態になっているのかという疑問が出てきます。国際的・歴史的にみて、日本はどうして医薬分業になっていないのか‥・・

 日本の近代医療は、明治時代に西洋医学を導入したときに医薬分業を前提にした法制になっています。しかし、東洋医学・漢方医学については、医者を薬師(くすし)と呼んだことからもわかるように、薬は医者が患者に渡すものというのが伝統的な考え方です。そのため、現実に薬剤師がいなかったということもあって、医薬分業は行われないままずっときたわけです。戦後、GHQの指導もあって医薬分業の実施が再び叫ばれましたが、長年にわたって薬局が薬を患者に渡すという習慣がなかったし、薬剤師の方にもそういう体制がなかったために、医薬分業は一向に進まなかった。一方で、薬の使用量が非常な勢いで増えてきて、それが医療機関の一つの財源として定着してきた。そういう流れで現在にいたっていると思うのです。

▲ 患者も、薬は医師からもらうのが当り前と考えており、そのことに何の疑問も感じていないのではないですか。ときには、「ずい分薬をくれるな」と思うことはあっても…。

 国際的な状況、歴史的な流れをふまえて、日本の医療を進めていく上で医薬分業がプラスなのかマイナスなのかがわかりやすくみんなに提起され、選択されなければならないと思うのです。その場合に、薬剤師のためとか医療機関のためとかいうことではなく、患者の立場も含めて総体的に考えて、どういうプラス・マイナスがあるか、もしプラス面が大きいのであれば、そちらの方向に行った方がいいのではないかと判断できるわけです。

◎患者・医師・薬剤師、三者からみたプラス・マイナス

▲ 具体的にわが国の医療にとって、医薬分業はどのようなプラス・マイナスがあるのか、話して下さい。

 医薬分業には関係者が三つあります。一つは患者、二つめは医師・医療機関、そして三つめは薬剤師・薬局ですね。この三つのグループについて、それぞれの立場で考えると問題がはっきりします。

 第一の患者の立場では、いちばん問題なのは医療機関に行ってまた薬局に行くと二度手間になるということでしょう。なぜ二度手間をかけるのか、面倒ではないか。患者サイドのもう一つの問題は、薬局より医師からもらった薬の方が信頼できるということがある。これは薬局の問題ともからむ。その反面で、医師が薬について説明してくれない、どういう薬をもらったかわからないという不満も患者側にはある。

 第二の医師の問題では、いまの患者サイドの問題の裏返しで、患者に負担をかける、ほかへ行けば薬ももらえるのに、自分のところでは二度手間をかけさせるという心配がある。また、まちの薬局への不信感もある。医師が自分の患者に責任をもつのは当然で、信頼できるものと一緒になって患者の治療に当るならいいが、化粧品や雑貨を売っている薬局に自分の患者を任せるわけにはいかないという気持をもっている。さらに、これは本質的問題ではないと思いますが、薬価差が医療機関の経営上の原資になっている、長年そうやってきているという問題もある。

 第三の薬局・薬剤師サイドの問題としては、医薬分業にすれば営業範囲が拡大し仕事の量も増えるというメリットがある一方で、長年にわたって院外処方せんが出てこないために、その受入れ体制ができていない。医療機関で使う薬の知識についても不足している。さらに薬の品揃えができないといったデメリットがある。

◎総体的に考えるとメリットの方が大きい

▲ 三つのサイドそれぞれについて、医薬分業にはメリットもあるしデメリットもあるということですね。

 ええ、それらを総合的に考えなければならない。なかでも、いちばん基本的に考える必要があるのは、医療のあり方との関連で患者の立場です。メリットとデメリットを比較してどちらが大きいか。総体としてメリットが大きくなければ分業は否定されるでしょうし、メリットが大きければ進めるべきだという議論になる。

▲ デメリットをどう改善していくかという問題も含めて‥・。

 そうですね。私は努力して現状を改善していけば、医薬分業のメリットは大きいと考えています。医薬分業という言葉は英語にはないと先ほどいいましたが、私は医師と薬剤師との協業だと思うのです。それは、右から左に一挙に進むとは考えませんが、長い目でみれば、わが国の医療にとってメリットになるはずです。

◎休日・夜間の薬局体制を整備、医師・患者の信頼を得る

▲ 現状で改善すべき点は‥・。


 急がれるのは薬剤師・薬局サイドです。医師と薬剤師との信頼関係をつくることがいちばん肝心です。第二に、薬局の受入れ体制を整備することです。医師の信頼を得ることは患者の信頼も得るということですから、薬局はそういう体制をつくることを急ぐべきです。

▲ 当面、どこから始めますか。

 いろいろな方策を総合的に進めていく必要がありますが、一例をあげると、休日夜間に開いている薬局が全国にどのくらいあるかです。医療機関では問題がシビアに出ますから、かなり早くから医師会で休日・夜間に当番医制をつくる努力をしてもらっている。それに対して薬局の方も、処方せんを受けるばかりでなく、一般薬についても夜中に急に薬がほしいというときに開いているところがなければならない。医療機関にとっても、当番医のところに薬がない場合は薬局から供給してもらうことが必要になるでしょう。そうしたことを手始めに、薬局が市民や患者の信頼を得るように努力していくことが大切です。

 急にこどもが熱を出したとか腹痛を起したとかいうときに、医師に相談に行かないまでも、とりあえず薬がほしいという人はいるはずです。それに対応できる薬局・薬剤師の体制が整備されなければなりません。

◎患者の二度手間を上回る薬歴管理のメリット

▲ 患者の二度手間という問題も、分業には大きな障害ですね。とくに老人などは、なじみのない薬局で薬をもらうより、かかりつけの医師からもらった方が安心、できる…。


 患者にとっては医療機関で薬をもらう方がたしかに便利なわけです。だから、分業はそれを上回るメリットがあるのかということになる。


▲ 一つは、病院で薬をもらう待ち時間を減らすというメリット…。

もともと病院は入院患者を主体に考えていますが、最近は外来も病院に集中する傾向にある。そのこと自体一つの問題ですが、そういう傾向が今後もつづくとすると、薬は薬局でもらうことで外来の待ち時間短縮の効果はあるかもしれません。

 ヨーロッパには二つの流れがあります。一つは、医師が薬を売ることは倫理的に悪いという考え方です。患者がどの薬をのむかを決める行為と、薬を交付し薬を売る行為とは分離することが正しいとされているのです。利益が動機になって処方すると思われるようなことは避けるべきでありその方が治療行為として信頼されるし倫理的である。医師は薬でもうけることもない、といった考え方が基本になっています。

 もう一つは、薬歴管理は専門家がやった方がメリットがあるという考え方です。患者が現在どんな薬をのんでいるか、過去にどういう薬をのんでどういう影響があったか、いちばん問題なのは副作用ですが、そういうことが重視されているわけです。

◎老人の薬の副作用チェック−医療機関だけではできない

 こうした考え方、とくに老人医療では薬歴管理ということが重要な意味をもってきます。薬の重複投与、患者が複数の医療機関でそれぞれ薬をもらうときに、同じような薬が重複することがある。それでどういうことが起るかといえば、医療費の面でムダが生じることは誰でもわかりますが、量が多くなると副作用の問題が出てくる。薬は当然のことですが用法・用量が決まっていて、それをこえてのむとききすぎて副作用が出る、薬は基本的には毒ですから。重複投与につながる。もう一つは配合禁忌の問題がある。ある薬と別の薬を一緒にのむと効かなくなったり、逆に障害・副作用を生じたりする。そういうもののチェックが必要です。

 医療機関でそういうチェックができるかといえば、医療機関はそれぞれ独立していますから、わからない、チェックできない場合が多い。そこで、近所にかかりつけの薬局を決めておいて、のんでいる薬、つけている薬をそこで全部チェックするような仕組みが考えられなければならない。とくにそれが必要なのは老人です。老人は合併症が多いし、いくつもの医療機関に行くし、薬の使用量も多いので、その必要性が非常に高いわけです。

▲ 医師は薬を売らないという倫理問題と薬剤師の専門性という従来から国際的にいわれている二つの分業の根拠は、日本にも当てはまるし、メリットもあるということですね。

 日本のように薬が多く使われている国では、薬歴管理を通じた薬のチェックがとくに重要だと思います。老人医療を中心とした分業体制が必要だということです。患者の二度手間というデメリットを大きくこえるメリットも、そこに見出すことができるのではないか。患者にも医師にもそこのところをよく説明して、そういう方向へもっていかなければならないし、薬局もまたそのために努力してもらわなければならないと思います。

 実際にモデル地区として分業を実施している上田地区で患者の意識を調べたところ、二度手間ということについても患者の抵抗感は意外に少ないという結果が出ています。

◎かかりつけの薬局をもつ−どうなる患者負担・医療費増

▲ ホーム・ファーマシィというか、かかりつけの薬局をもつ運動を起す、とくに老人について…。


 老人の場合は使う薬が多いし薬剤比率も高いので、これからどんどん増えてくる老人の医療のあり方として、このまま放置しておいたのでは薬の害が生ずる危険性が高いといえます。分業体制を急がなければなりません。そのほかの一般の医療についても、長い目でみて分業の方向に進んでいくことが必要です。

▲ 分業によって患者負担が増える、医療費が増えるという点はどう考えますか。

 使用する薬剤が変らないとすると、処方せん料を含めて薬局の方に診療報酬が設けられているので、単純に計算すると医療費が増える。したがって患者負担も増えるということになります。医薬分業批判として、そういう意見はたしかにあります。しかし私は、かりにそうだとしても、分業によるメリットが大きければ、それだけのコストがかかってもいいと思う。しかし、分業によって薬剤の使い方はかなり慎重になるので、実際には使用する薬剤は減ってくるのではないか。その結果、医療費を減らす方向に向うのではないか。

 薬の処方と交付とをわけることによって、いろんな影響が出てくると思います。薬の販売姿勢にも影響する。いわゆる大包装を売りつけるとか、押し込み販売というようなものはなくなってくる。

 薬局は医師の処方したものしか患者に渡せないわけですから、処方する側と経済的な利益を得る側とがわかれることによって、薬は長期的にみれば減る方向に進む、薬を適正に使う方向に向うのではないか。いま医療機関にある薬価差へのインセンティブは消える。そういう薬価差への動機、疑われる状態はなくせるのではないか。

◎薬剤師も医療の一翼を担う−日薬も本腰入れて取組む

▲ 分業のメリットが実感できる体制をどう組んでいくかとなると、やはり薬局のあり方が問われてきますね。


 薬局サイドの相当な努力が必要です。医療機関と薬局とが信頼関係をもって連携して、患者に迷惑をかけない体制を組むことが第一です。薬局に行ったが薬がないというのでは困る。薬についてきちんと説明し、その効果が発揮できるように、患者サービスをする薬局でなければならない。医療機関の方は、診断なり薬の選択をしっかりやってもらう。そうなれば、日本の医療はよくなるはずです。

 日本薬剤師会にはいろいろ努力してもらっています。薬剤師の生涯教育という観点でセンターを財団で設立する、各地域で医師会・医療機関と連携をとる、備蓄センターを設け、会筥の薬局をつくるというように、薬剤師サイドでも本腰を入れて取り組んでもらっています。薬局が雑貨を売ることを否定はしませんが、医療の一翼を担いよりよい医療に向けて薬剤師も貢献していく方向をめざしてほしい。自分のカネもうけのためにやるという考えが表に出たのでは、だめです。

▲ 病院側の分業への取り組みはまだ弱いようですね。

 現実には薬価差に経営が依存している部分もかなりありますから、一気に変えようとしてもなかなかむずかしい。診療報酬全体の中で逐次進めていく、薬価制度への影響もありますからね。

◎病院の門前薬局は過渡的な姿−自宅の近くの薬局が本筋

▲ まず国立病院で医薬分業を進め、患者の理解を得ていく…。


 国立病院で分業を進めるのは意味のあることで、将来の方向としても正しいと判断し、全国的に薬剤師会にも協力してもらうようにおねがいしています。
 
▲ 国立病院の処方せんをもらっても、どこの薬局へ行って薬をもらったらいいか患者は戸惑いませんか。

 薬をもらう薬局は国立病院が指示するわけにいきませんから、患者に選択してもらうことになります。分業のあり方として、面分業、いわゆる門前薬局という形は過渡的にやむをえないとしても、望ましくない。自分の住いの近くの薬局に行けるような体制をとった方がいいと思います。通勤の途中、たとえばターミナル駅の薬局とか病院の前にある薬局というのは、薬を病院から分離するという点では評価できるし、患者の二度手間を緩和するという点で過渡的な姿としてはあり得るでしょうが、分業をさらに発展させるには、自分の家の近くにかかりつけの薬局があるという方がいいし、それが分業の本筋であると思います。

 なぜいま医薬分業の推進が必要かという最初の問にもどっていえば、医療機関と薬局との信頼関係をつくる。そして薬剤師が社会的な使命を果すと同時に、市民の信頼を得る薬局になってもらいたいということにつきます。当面は老人医療の分野で分業を急ぐ必要がある。メリットの大きいところ、すなわち老人医療を軸にして分業を逐次広げていくのが堅実な方法だと考えています。

社会保険旬報 1660(’89.8.1)より



 <特  集> 「内科医誌より」医 薬 分 業 に つ い て

福岡市内科医会 会長 中 村 裕 一

 大喪の礼は無事に終ったものの、連日リクルートだ消費税だと騒がしいニュースのはんらんで、平成元年が平静になれるのはまだまだ先の事になりそうです。4月からの消費税実施は、我々医療の現場にどれほどの影響があるのか、各地で勉強会なども開かれている様です。同時に、医薬分業について真剣に考える機運が生じてきている事は好ましいことと思います。

 医薬分業については、さかのぼって昭和24年、GHQによる医薬分業勧告,昭和26年強制医薬分業法が立案され、同30年実施の運びになりましたが、医師会の要求で、治療上必要な8項目が適応されることになり、任意医薬分業の態勢が今日も続いてきております。その後、昭和49年の診療報酬改正で処方料が10点から50点に引きあげられたことが契機になり、全国的に院外処方箋は増加傾向を示してきましたその発行枚数は昭和49年の730万枚が昭和62年には1億上800枚と増加してまいりました。このようにわが国における医薬分業は徐々にではあるが確実に進展してきていることがうかがわれます。

 医薬分業の本来の意義は、医師が処方した薬剤を専門職の薬剤師にゆだね、薬の二重チェックによって、より良い医療を患者さんに提供できるものであるという基本原則があるわけですが、一方では、医業の経済効果や合理化という観点から検討する必要があります。

 今後の医療のあり方として、医師の技術料を主体とする医業体制が望ましいという考え方が医療の現場でも浸透してきている様であります。日医や厚生省でも診療報酬改正のたびに薬価の切り下げと共に技術料重視の方向づけを行ってきています。

 医薬分業が、どのようなメリットとデメリットがあるのか、過去に既に論議されてきていますが、ここでもう一度整理してみますと次のようなことが考えられます。

 患者側のメリット:
 1)院内での待ち時間の短縮
 2)服薬指導の徹底
 3)薬歴管理の徹底
 4)投薬ミスの軽減
 5)副作用,服薬状況のチェック
 6)処方内容が明確になる

 患者側のデメリット:
 1)薬局に足を運ぶ不便がある
 2)一部負担金の増大

 医師側のメリット:
 1)医療経営の純収入の増加
 2)人件費の節約
 3)薬剤管理の簡素化
 4)窓口事務,請求事務の簡素化
 5)薬価差益からの脱却

 医師側のデメリット:
 1)総収入減少による運転資金の問題
 2)潜在薬価がなくなる
 3)不便さによる受診抑制の心配
 4)医薬品情報の減少のおそれ

 北九州市若松区は厚生省の医薬分業モデル地区に指定されるほど分業が進み、現在A会員の60%が分業され、未分業会員の60%が将来全面分業したいというアンケート結果が得られています。また、分業医院の経営調査で、総収入は約20%減少するが、純利益は10%前後増収になり、特に、内科系が他科よりメリットがあるという報告がなされています。この地区の分業が成功している理由としては医師会,歯科医師会,薬剤師会による連携プレーが非常にスムーズに行われ、問題点解決へのたゆまぬ努力がなされてきたためと考えられます。

 昭和63年4月の診療報酬改正の影響を福岡市内科医会で5月と10月のレセプトで検討した結果、非分業医院では1.5−2.5%の減収であるのに対し、分業医院では3.0−9.1%の増収になっていました。将来の診療報酬改正についても同様の傾向になるものと予測されます。

 テレビ,新聞その他の医療情報のはんらんは患者さんに対して医療について知識を普及させていますが一方では、異常なほど薬の副作用などについて不安感を増強させるような状況が作られています。神経質な患者さんは薬品名や効能,副作用などについて納得するまで質問をしてくるケースもみられます。また、厚生省やマスコミによる「薬漬け」などの表現で医師が投薬によって利益を追求しているかの如き報道がなされ、国民の医療に対する不信感を助長するような風潮がみられるのは実態を知らないマスコミの無責任からと考えます。

 以上のような問題点を考え、患者さんの薬に対する不安感の解消や、いわれなき医師に対する批判を排除し、患者さんの医療に対する信頼を少しでも好転させるためには、医薬分業は避けて通れないことではないかと思います。特に今回、医師税制の改正や消費税が導入されることは、医薬分業を検討するチャンスが到来したものと考えられます。
 医薬分業は、あくまで患者さんのために必要であるという認識がなければスタートできないものと思いますが、福岡市内科医会の皆さんで十分論議して戴き、メリットとデメリットを検討して実行可能な先生から踏み切られることを希望します。

 医薬分業を成功させるためにはマンツーマン方式を含めて、若松の行き方を参考にして内科医会(医師会)と薬剤師会で薬事委員などを作って緊密な連携プレーをとりなしながらスムーズな運営ができるよう検討していく必要があると考えています。

内科医誌 75 Apr.1989より転載



 <特  集>〔声〕医薬分業について

博多区 秦   昌 平

 乱診乱療(不愉極まる言葉)を抑制するという名目で、厚生省が一時奨励していたが、却って医療費が増大するという結果で、尤ろ抑制する傾向にあったようだ。誠にいい加減なものだ。薬価差など考えずに済むし、必要な薬は遠慮せずに処方出来るし、税金面でもメリットがふえたと思えるので、活用しよう。

早良区 高 地 役 所

医薬分業は請求事務が簡素化され家内労働には良いと思っておりました。最近薬屋の話によれば近頃の新規開業では調剤薬局もつれてくるのがあると聞き世の中も変ってきたと思いました。既存の薬局との競合調整はどうなっていくのだろうか、又地域性距離によっては自分の患者も便利だからと手近な所へ移っていくのではないかと思いました。

城南区 剣 持 邦 博

他の診療所も利用し易いし、私の所有地でも面する道路も違う為か昭和49年8月に調剤薬局が設置許可された。旧西区で最初のモデルとして薬業界にも紹介された。老朽のため建直したら再入居出来ないとの事。既得権も生活権も奪われた事になる。経営に関与もしていないのに第二薬局と見られたのは残念。他の薬局からも云われるが医薬行政に疑問を 感じている。

 <特  集>〔声〕「医薬分業後の情報」

博多区 桑 原 廉 靖

 この5月で医薬分業20年になる。「内科医誌」で会長がご心配の薬品情報減少のおそれらしきが当初にはあった。景品やダンピングで釣る業者が寄りつかぬので、今は杞憂。情報は分業薬局が助けてくれる。患者さんが提示する他の医療機関からの不明薬剤を直ちに調べてもらえるのも、すこぶる有難い。

 <特  集>〔声〕「医院の減少を防ぐ」

東区 福 留 慶 彦

 医薬分業は便利の良い場所の患者数の多いクリニックではいいであろうがそうでない処では不便な面があり従業員もする事がない。夫婦でやるわけにもゆかない。勢い薬価差が問題になる。薬価差の減少に見合う様に院内処方料を上げるのが非近代的かもしれないが小医院を救済して医療を安定させる合理的な考え方であると私は思う。

 <特  集>〔投稿〕「分業の現況と薬剤師のあり方」

(社)福岡市薬剤師会 常務理事 正 岡 民 次

 この度、福岡市内科医会の会報「内科医誌」に投稿の機会を与えて頂きまして、大変光栄に存じます。

 現在福岡市に於ける医薬分業の状況でございますが、月間約26万枚の処方箋を369の保険薬局(会員)で応需致しております。又、当薬剤師会で保険薬局としての一応の基準は、月間応需枚数800枚以上と考えておりますが、それに相当する114の保険薬局で前記26万枚の8割を占めております。

 次に、処方箋発行医療機関は、皮膚科,小児科,耳鼻科,眼科,歯科が中心で、内科からの発行は大変少ないのが現況です。

 この事は、内科からの処方箋発行には大変難しい問題が存在するという事でもあります。

 分業に際してのメリット,デメリット等につきましては、貴内科医会の会長中村裕一先生が申し述べられておられますのでここでは触れませんが、薬剤師の立場から申し上げますと、医師と患者との問にあって如何に信頼関係を築いていくかが最も大事であると考えています。

 薬局は本来、プライマリーケアに於けるプレプライマリーケアに位置すると思いますが、処方箋を通じて患者と一旦信頼関係ができますと、その態度はさまざまな変化を見せてきます。患者さんの言葉ですが、「公民館で健康食品を買うたばってん、何にでも効くという話だが、病院の薬はもう飲まんでもよかろうか」「耳鼻科でもろうた薬と、外科でもろうた薬ば飲みよるが、同じものがあるごたるけどよかろうか」等種々雑多な相談がありますし、この傾向は、処方箋だけを扱う薬局よりOTC薬と処方箋の両方を扱う薬局の方が強いように思われます。

 医師と薬剤師の信頼関係、特に内科の場合は治療に於ける医薬品の比重が大きく、服薬指導一つで薬の効き目が違いますので、処方箋の持つ意味を充分理解した上でなければ正しい調剤行為とは言えません。従って治療効果を上げるためには、日頃の緊密な連携が必要でありますし、その事が信頼関係にもつながっていくと思います。

 調剤につきましては、業務の基本である@処方鑑査,A薬剤調整,B服薬指導は当然の事ですが、今重要視されている事は情報の伝達であります。治療効果を高めるための患者への情報、先生方に対しましては、医薬品情報、そして薬剤服用歴を管理する事によって得られました患者情報の伝達と、メンタルな業務が大きくなっています。

 薬剤師法の第1条は「薬剤師は、調剤,医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」とありますが、薬剤師は常にその専門職能「調剤」でもって地域医療に参加したいと念願致しております。又、薬剤師会としましては、分業受け入れのために薬剤師の資質の向上を目ざして、各種の研修会を数多く実施致しております。

 今後は貴内科医会を通じまして、協議その他積極的な施策を進めて参りたいと考えておりますが、先生方におかれましても、お近くの保険薬局の御利用を考慮して頂きますようお願い申し上げます。

内科医誌 76July1989.より転載



 <特  集>「内科医会と薬剤師会との懇談会」

〔西支部〕

日 時 平成元年7月24日(月)午後7時
場 所 「一条」
出席者
 内科医会 青木真夫理事,桧垣康生支部長
      伊藤俊美委員,星野弘弼副支部長
 薬剤師会 竹尾副会長,藤原専務理事
      吉田支部長,占部副支部長
      仲上県薬理事
 司会 藤原専務理事

会議

 内科医会より青木理事、松垣支部長の挨拶、薬剤師会より竹尾副会長が会の基本的方針を含めた挨拶が行われ、次に藤原専務理事より市内科医会と市薬剤師会との2回にわたる協議内容の説明、及び医薬分業の現況報告が行われた。

 懇談会では分業のメリット、デメリットの問題や内科処方の特殊性等、相当突っ込んだ話し合いが行われ、今後分業が進むことは必然の流れではあるが、そのためには両者の理解が大切であるので、この様な会合を継続して行うことになった。
          (文責 吉田  斌)

〔南支部〕

日 時 平成元年7月25日(火) 午後7時
場 所 原病院会議室(若久)
出席者
 内科医会 小野副会長,添島国統理事
      矢野金治支部長,高山武彦理事
      田代久副支部長,原敬二郎委員
 薬剤師会 高倉副会長,有田支部長
      矢野周一郎,中島英之,大庭秀臣
 司会 矢野金治支部長

会議

・医薬分業にあたってのメリット,デメリットについて
・薬局における応需体制の問題点について
・薬剤師会としての対応について、高倉副会長より説明
・次回からは、相方の分業希望名を混じえて協議してゆきたい
           (文責 大庭秀臣)

〔東支部〕

日 時 平成元年8月3日(木) 午後7時
場 所 「あと山」
出席者
 内科医会 添島国統理事,中村良介支部長
      柴田卓副支部長,二宮紀郎委員
      増田信生委員,村瀬邦明委員
      榎本正委員
 薬剤師会 松井昌也支部長,正岡民次
      柴田伊津郎,入江理裕
      村田博昭,藤野哲朗

・備蓄センターの活用について

  稀少薬品や注射薬等もセンターに備蓄してもらい、医師の方でも利用させていただきたい旨要望あり。
           (文責 藤野哲朗)

〔早良支部〕

日 時 平成元年8月31日(木) 午後7時
場 所 「千里」
出席者
 内科医会 添島国統理事,鹿野宏造支部長
      長崎忠国委員,広島辰治郎委員
      草野忠良先生,栗田博隆先生
      千田 昭先生,鶴 健一先生
 薬剤師会 高倉博副会長,南島敏彦支部長
      糸岐良次,江頭溜,清水道三,波多江敬三,本川栄
 挨拶 鹿野早良区内科医師会支部長
    添島福岡市内科医師会理事
    高倉福岡市薬剤師会副会長
議題

・早良区における院外処方の状況と保険薬局の現状
・院外処方による問題点とメリットについて
・早良区内科医師会に対する分業推進委員
   糸岐良次,江副 溜,波多江敬三,本川 栄,清水達三,南島敏彦
           (文責 南島敏彦)

〔城南支部〕

日 時 平成元年8月28日 午後6時30分
場 所 「しばこ」
出席者
 内科医会 中村裕一会長,添島国純理事、
      武田儀之理事,中村道斎支部長
      金谷久司副支部長,藤崎及伯委員
 薬剤師会 深江支部長、合澤副支部長
      藤田 胖、小林 智,栗田邦彦

医師会側

 賛成
 @ 分業で投薬に対する心配が少なくなる
 A 在庫管理をしなくてすむ
 B 薬を自由に使える
 C 人件費の節約

 反対
 @ 医師が投薬するという事は、治療の一部であるという従来の慣習が患者側にすでにあるので、分業は困難である。
 A 処方通りに調剤されずに患者に迷惑をかける。
 B 一部負担が増える。
 C 薬局までの距離が遠く、患者に迷惑をかける。

薬剤師会側

 分業に対して種々の問題があると思いますが、薬剤師会としては積極的に取り組んでいく方針です。
結論…分業に対して、今後話し合いを継続していくことで、両者の意見が一致した。
           (文責 深江暉夫)



 <広  報>「ヘルスピア 健康茶試飲コーナー開催」

薬局委員 青 谷 和 昭

 市衛生局の依頼で、さる8月6日午後4時30分より、よかトピア「九州館」前の特設ステージ横に、健康茶の試飲コーナーを設け、役員,委員,ツムラ派遣社員で行った。

 午後2時半に職員用ゲートに集合した時は小雨が降り始めたが、以後天気も回復、依頼では約千人分という事、氷その他用具類(市薬会館建築中の為に使用不可)が心配されたが、結局市衛生局の協力でよかトピア協会本部の冷凍庫、台所を借用でき、又ツムラよりウーロントー茶の缶入り500本と漢方の小冊子、内田より湧泉(ハトムギ,クマザサ,エビスグサ‥・等)の提供を受け、約2時間かけて湧泉を100l(石油缶5缶)振り出し用意したが、午後4時半からの試飲コーナーでは正味一時間もたない内に全部なくなり終了した。  なお、当日よかトピア入場者数は、午後3時3万5千、午後6時で7万5千人とか、天気晴朗、人人人……の一日でした。

 <広  報>「三師会芸能フェスティバル」

日 時 平成元年8月6日(日)18:30〜20:30
場 所 よかトピア「市民プラザ」

 上記のように、三師会芸能フェスティバルが催されました。当日お世話をなさる先生方は、皆さんまっ赤なハッピ、そして福岡市衛生局の先生方は紺色のハッピと、遠目にもはっきりわかるユニホーム姿で、暮れなずむ会場に集合。加藤歯科医師会長の開会宣言に次いで松田医師会長のご挨拶があり、開演されました。

 当日のプログラム

1.東区医師会・混成合唱団コーラス
2.吉川歯科医院・トランペット演奏
3.千代薬局・須原笑声他3名・にわか
4.南区医師会杏花会・コーラス
5.大原歯科医院・新国劇
6.小野薬局・花柳春辰社中・日本舞踊
7.鯵坂歯科医院,新開歯科医院・民謡
8.南区医師会・小唄踊

「よかトピアの入場者が700万人にならんやったら市長が困らっしゃろうやね、そりゃ市長のことやけん くわばら くわばら」拍手喝釆といった具合で、須原先生の博多にわかは会場の笑いを一身に集めました。小野薬局からは「日舞」が披露され、薬剤師会長賞が花柳春辰先生に、須原先生には藤原専務より参加賞が授与されました。

 なお、「よかトピア賞」は加藤衛生局長より、新国劇「国定忠治・赤城山」を演じられた歯科医師会の大原先生に贈られました。

 次いで、協会コンパニオンと会場の皆さんによる「ジャンケンゲーム」があり、最後まで勝ち残ったのは、大石助役の奥様と薬剤師会の藤田理事のお二人です。優勝決定戦はステージの上で行われ、そこはそれ殊のほか女性に柔しい藤田理事のこと、コンパニオンのグーをちゃんと見抜いてかチョキ、そして助役の奥様はパーで見事優勝。協会コンパニオンから優勝賞品が渡され、審査員席の大石助役も立ち上がって、会場の皆さんにお礼のお辞儀をされました。

 <広  報>「研修会」

〔学術研修会〕

日 時 平成元年7月24日(月)午後6時30分
場 所 三和化学福岡メディカルホール
出席者数 53名
演題と講師
   「ワクチンの最近の進歩」
 特に肝炎ワクチン MMRワクチンについて
 化血研学術業務課 宇野信吾 先生

〔漢方学術講演会〕

日 時 平成元年7月27日(木)午後6時30分
場 所 三鷹ホール
出席者数 95名
演題と講師  「アレルギー疾患の管理医療における漢方製剤」
  近畿大学東洋医学研究所
   第一研究部門助教授 谿 忠人 先生
 この講演会は、ツムラの主催で開催されたものであり、この日の出席者数は市薬関係だけの数です。



 「理事会他会議報告」

〔第4回理事会および第2回支部長会合同会議〕

日 時 平成元年7月5日(水) 午後7時
場 所 市薬仮事務所
出席者 古賀会長、竹尾,高倉,長谷川各副会長、藤原専務、三津家,戸田,松枝,坪根,正岡,篠崎各常務、木原,高杉,南島,冷川,城戸,小野,藤田,成澤,市花各理事、磯田監事、松井,吉田,大庭,深江各支部長

1. 会長挨拶
 今日の理事会は、国立病院問題について協議していただきたく、各支部長先生にもど出席をして戴きました。
 参議院選挙は、石井候補は自民党第12位と発表され、今の自民党の状況からして楽観は許されない順位と思われる。

2.会務報告 藤原専務理事
 @ 全国給水衛生協会総会並びに研修会
    6月月15日 於東京
    城戸室長出席
 A 第22回全国保健衛生大会の後援について
    福岡市衛生局より依頼有り
 B 日薬試験センター連絡協議会
    6月23−24日 於広島
    古賀会長、城戸室長出席

3.委員会報告

4.協議事項
 @ 7月15日開催予定の「第21回臨時代議員会」について、支部長の意見を聞きながら詳細に亘って協議
 A 「全市薬局特別委員会」の委員について

〔第5回緊急理事会〕

日 時 平成元年8月2日(水) 午後7時30分
場 所 市薬仮事務所
出席者 古賀会長、竹尾,高倉,長谷川各副会長、藤原専務、三津家,松枝,坪根各常務、木原,高杉,南島,冷川,城戸,小野,藤田,成澤各理事、日高,磯田各監事

1.会長挨拶
 本日は全市薬局の件につき、緊急にご協議願わねばならない事ができ開催致しました。
先の臨時代議員会でご承認を得ました第一号議案につき、買取り予定物件の価格が、今日正式に1億20万円と発表になり、当初の予算より2,000万円アップしました。買取り契約の期日がせまっておりますのでご協議下さい。

2.協議事項
 @ 「全市薬局特別委員会」について
   特別委員会を設置し、協議する
 A 先送りとなった「第21回臨時代議員会」
  第二号議案については、会員均等割方式より出資方式で検討した方がよいのではないか。

〔第6回理事会〕

日 時 平成元年8月9日(水) 午後7時
場 所 市薬仮事務所
出席者 古賀会長、竹尾,高倉,長谷川各副会長、藤原専務、三津家.戸田,松枝,坪根,正岡,篠崎各常務、木原,高杉,南島,冷川,城戸,小野,藤田,成澤,市花各理事、磯田監事

1.会長挨拶
 先日の緊急理事会についで8月に入って二度日の理事会になります。アジア博でのヘルスピア、三師会芸能フェスティバルは、小野先生初め、皆さん大変ご苦労さまでした。本日も会営薬局、国立病院問題等慎重にご協議お願いします。

2.会務報告 藤原専務理事より報告
 @ 「第6回福岡市健康週間行事」の実行委員に古賀会長就任
 A 第55回九山学会・試験センター運営協議会
  資料提出について(鹿児島県薬)
   城戸室長 提出予定
 B 第352回県薬支部連絡協議会
  日時 平成元年7月20日 午後1時30分
 場所 県薬会館
 分業推進委員を福岡支部より2名選出
  小野信方(社保),冷川 裏(薬局)
 C よかトピア三師会芸能大全打合せ(衛生局)
  藤原専務理事、小野理事 出席
 日時 平成元年8月6日働 午後6時半
 場所 よかトピア「市民プラザ」
 D 内科医会より会員名簿の贈呈あり
 E 国立病院問題について 厚生省来県
 F 福岡県知事表彰の候補者推遠について
   公衆衛生事業功労者表彰
         三津家 正 友
    薬事功労者表彰
         成 澤 哲 夫
 G 福岡県公衆衛生協会加入促進について

3.委員会報告

4.協議事項
 @ 会営薬局について
 「会営薬局特別委員会」を設置して協議する
 委員会メンバー
  高倉副会長,藤原専務、三津家,正岡
  各常務、冷川理事、松井,高杉,松枝,
  南島,深江,吉田.有田各支部長
 オブサーバー  堀家税理士
 A 分業問題について
  備蓄センターの問題点について、薬務課に問い合わせた。
 E 城南支部友泉部会より提出された、仮称「倫理委員会」設置の要望書の件について

〔分業推進打合せ会〕

日 時 平成元年8月5日(土) 午後3時
場 所 市薬会館仮事務所
出席者 古賀会長、高倉副会長、藤原専務、
    正岡常務、小野,藤田各理事
    荒巻県薬会長特別出席

協議事項
1.国立病院問題について
 @ 現況としては国立病院で内部調整の段階であり、その後処方せん発行科及び医薬品の限定等が行われる。
 A 備蓄センターについては、薬事法の問題もあり会館内には作らない。それに代わるものとして、支部毎に基幹薬局を数ヶ所選定し備蓄をお願いする。これに用する経費は県,市薬で費用弁償する。
 B 受け入れ薬局については、会員に対するアンケート調査を行い、地域別マップの作成を行うとともに研修会を実施する。
 C ファックス,コンピューターの導入について検討する。
 D 県薬及び国立福岡中央病院との懇談について、日薬神原理事、厚生省より長尾国立病院課長補佐、池谷薬務局企画課長補佐が8月8日(火)に来福、県薬より荒巻会長、井上理事、及び古賀市薬会長が出席した。

2.内科医会と各支部の協議会について
 @ 内科医会に限らず他の医会に対応する必要もあるので、松田医師会長宛、協力方の要望書を提出した。
 A 社保委員会で新たな資料の作成を行う。
 B 支部分業推進委員会の設置が必要である。

〔第3回支部長会〕

日 時 平成元年8月11日(金) 午後7時
場 所 市薬会館仮事務所
出席者 古賀会長、高倉,長谷川場副会長、
    藤原専務、正岡常務、冷川理事、松
    井,高杉,松枝,深江.南島,吉田,
    有田各支部長

協議事項
1.会営薬局について
 古賀会長より会営薬局の土地、建物取得についての経過説明及び取得価格1億20万円に対する理事会決定の報告がなされた。資金拠出問題については、会営薬局特別委員会を設置し検討することになった。
2.分業問題について
 8月5日に行われた分業の推進打ち合せ会の内容について説明され、各支部の分業推進委員会の設置が要望された。
3.城南支部提出の要望書について
 @ 「倫理委員会(仮称)設置要望の件」
  友泉部会における大型店出店問題から上記の要望がなされたが、独禁法に抵触する恐れがあり設置は困難であるとの結論に達した。又この様な問題は組織第2委員会で対応することにしていたが、委員会では対応出来ないということで、殆んどの委員より辞意が表明されたため、現委員会は理事会で解散することに決定し、支部長会の協議で当面の対応は、南島理事、吉田西支部長にお願いすることになった。尚正式には次回の理事会で決定することになった。
 A 提案事項「OTC薬局はこれからどうあるべきか」を議題に話し合う場を設けて欲しいについて
 上記については、必要に応じて今後、薬局委員会で検討することになった。



 「委 員 会 報 告」

〔組織委員会〕

日 時 平成元年7月26日(水) 午後7時
場 所 市薬仮事務所
出席者 竹尾副会長、戸田常務、高杉,南島各理事、深見,森川,戸田,合澤,吉田,糸岐,森田,吉村各委員

1.ボーリング大会について
 表彰式,懇親会ともに会場は城山ボール
2.ソフトボール大会について
 ソフトボール用具は、深見委員が調べる。
3.部会外会員については、部会長の了解を得た上で、手紙で勧誘する。
4・薬剤師斡旋業の申請については、新会館建築後に行う。
5.B,C会員の資格(役職)について。
6.第2組織委員会を今後どのようにするか。
7.支部会則のマニュアルを作る。

日 時 平成元年8月24日(木) 午後7時
場 所 市薬仮事務所
出席者 竹尾副会長、戸田常務、高杉,南島
    各理事、松井,深見,占部各委員
・市薬ソフトボール大会の準備について、用具類の最終チェックならびに、当日の運営について

〔社保委員会〕

 日 時 平成元年7月5日(水) 午後1時
 場 所 市薬仮事務所
 出席者 正岡常務、小野,藤田各理事、入江,
    山口,鶴原,平島,清水,岩穴n
    大庭,川畑各委員

1.レセプト審査
2・各支部における内科医会との話し合い状況について

 日 時 平成元年8月4日(金) 午後1時
 場 所 市薬仮事務所
出席者 高倉副会長、正岡常務、小野,藤田
    理事、清水,大庭,山口,鶴原,入
    江,平島,岩穴ロ,川畑各委員

1.内科医会との話し合い状況について
2.診療報酬の経費控除と所得税の説明と、今後の対医師との接しかたについて
3.各支部毎に分業参加希望の会員を集め、討議会を開く。

〔薬局委員会〕
日 時 平成元年7月18日(火) 午後7時
場 所 市薬仮事務所
出席者 竹尾副会長、松枝常務、冷川理事、篠崎,本村,藤野,石井,青谷各委員

1.よかトピア九州館で行われる“ヘルスピア”での健康茶サービスをどのように準備するかを検討
2.福岡市薬後援で開催される「ツムラ漢方研修会」について
    日時 7月27日 午後7時
    場所 三鷹ホール
3.福岡市健康週間行事としての「薬草観察会」の予備調査を、先日の立花山が不適であったため、再度9月10日(日)志賀の島で行う
4.健康フェアについて
   中央区は10月13日に決定した。

日 時 平成元年8月2日(水) 午後7時
場 所 市薬仮事務所
出席者 竹尾副会長、松枝常務、冷川理事、篠崎,石井,藤野,本村,占部,青谷,国武各委員

1.ヘルスピア健康茶試飲コーナーについて
   集合場所,時間,車の手配等詳細に打ち合わせ
2.健康フェアの日程決定支部について
   早良区10月19日
   中央区10月13日

〔学術委員会〕
日 時 平成元年7月17日(月)午後6時30分
場 所 市薬仮事務所
出席者 長谷川副会長、篠崎常務、市花理事、成澤,山田,車田,中島,久地井各委員

1.次回(7月24日)学術委員会の確認と役割分担の決定
2.9月、10月に於ける学術研修会の予定と審議
3.市薬会館落成記念事業について協議

〔急患委員会〕
日 時 平成元年8月8日(火) 午後6時
場 所
出席者 成澤理事、小松,深見,打越.北島,馬場各委員

1.9,10,11月分出勤表の作成
 会員の移動に伴い、出勤表の新しいのを作成した。
2.県薬救急委員会の報告
  九山大会医療協議会への参加について
  調剤に関する手引書作成の件
3.盆診療については、土曜と同じ体制で実施
4.新準備薬品について
   ニトロペン採用
   ブルフェン顆粒削除

〔広報委員会〕
日 時 平成元年8月9日(水) 午後6時
場 所 市薬仮事務所
出席者 藤原専務、木原,城戸各理事

1. 「市薬会報」7月号の反省と9月号の編集について

〔第1国会営薬局特別委員会〕
日 時 平成元年8月22日(火) 午後7時
場 所 市薬会館仮事務所
出席者 古賀会長、高倉副会長、藤原専務、三津家,正岡各常務、高杉,松枝,深江,南島,吉田,有田各支部長、堀家税理士

会長挨拶
 7月15日の臨時代議員会の決議を受け、理事会で特別委員会を設置することになった。
資金計画については、充分検討し12月迄に良い案を出して頂きたい。尚土地、建物の取得については、シーサイドももち地行浜「コートハウス」の分譲が、8月20日、葛繿協で決定した。

1.委員長について
   高倉副会長に決定
2.協議事項
  堀家税理士に出席して頂き出資方式や、経営形態等について専問的意見を求めた。又、既存の会営薬局で適当な所を県薬,日薬を通じて選定してもらい、現地調査を実施することにした。

〔持ち出し薬局委員会〕
   立花山調査記
日 時 平成元年7月9日(日)
場 所 立花山
出席者 松枝,冷川,篠崎,石井,国武,本村,青谷(以上薬局委員)
    根津,上松(見学)
臨時講師 正山九大薬学部助教授

 福岡市より今年度の健康週間・薬草観察会を立花山で実施してみたいとの打診があった。 今回その予備調査を薬局委員会で行った。

 前夜は激しい雨だったが、夜が明けると雨は上っていたので、早速各委員に電話で決行を確認する。午前8時50分天神中央郵便局前バス停に集合。9時11分の立花口行きバスに乗車する。篠崎先生は自家用車でバスについてこられる。10時20分過ぎ、終点「立花口」で降車する。正山先生はすぐに横の神社にはいり、数種類の薬草を採ってこられる。バスについてきていたはずの篠崎先生が見えない。

 しばらく待っていたが、あきらめて出発しかけた所に篠崎先生がこられた。途中で別のバスにまちがってついて行っていたそうだ。登り始める最初に花をつけたヤマイモ、人家の庭先に実をつけたヤマモモがある。山道にはいると実をつけたハナミョウガがかなり多い。低山にもかかわらずクスの原生林で山が深い感じである。坂はかなり急である。時折小雨が降るが風が通らず非常にむし暑い。全員昨夜の雨で今日は中止だろうときめこんで、夜ふかししており、息切れがちである。約半分来た所でしばらく休憩する。気をとり直してまた登り始める。11時半頃ようやく頂上にたどりつく。吹き抜ける風が非常に心地よい。

 一息ついて昼食をとる。時折ふっていた雨も上がる。頂上にキクイモの群落が見つかる。多分戦時中に非常食として植えられた名残りだろうとの正山先生の説明。帰路は下原の方へ下りて行く。こちらは登り以上の急坂ですべらぬよう気をつけるのがやっとである。杉の植林帯なので植物相はあまり豊かでない。またまた苦闘しながら下る。坂が少しゆるやかになってくる。立派なキノコがいくつか見つかる。松枝委員長よりキノコばかり見つけずもっと薬草を見つけなさいとの一言。約1時間程で山道を終る。丁度スイカズラの花が咲いている。具合よく金銀花を呈している。ネジバナも人気を得る。人里にでてきて田んぼの脇で篠崎先生がウマノスズクサを持ってこられる。花がないのが残念とつぶやいていると正山先生が、ここに咲いていると指さされる。独特の風情ある花が満開である。今日の苦闘も甲斐があったと感じる。下原バス停よりバスに乗り天神へと帰路につく。終始元気だったのは60才を越えた松枝先生と篠崎先生、我々40代は基本的体力の違いを多いに感じさせられた。
         (漢方担当 冷川 襄)

会 員 数 8月31日現在

A 会員    567
B 会員    231
C 会員     23
賛助会員    32
合 計     853 名



 <支部だより>「西 区 薬 剤 師 会」

 吉田支部長より、今回西支部ではこのような「開業相談 窓口の御案内」を作り、メーカー、卸等へ配布したので、今号に掲載して欲しいとのお申し出がありましたので、ここに支部だよりとしてど紹介します。


福岡市西区薬剤師会「開業相談の窓口」の御案内

 貴台には御健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、御承知の如く西区薬剤師会においては長年の懸案でありました新規開業問題について臨時支部総会を開き西区医師会に習って開業相談の窓口を設立する事になりました。

 御承知の如く厚生省の省令により、福岡県地域医療計画も公示され病院の開設および増床はきびしく規制される事になりました。診療所薬局などにつきましては、未だ流動的ではありますが、やがて規制される可能性もございます。いずれにしろ、従来の如く自由に医療施設を開設したり、増床したりすることは、きわめて困難なことになりつつあります。

 我々開局薬剤師も医療法の一部改正等にともなって100時間研修、生涯教育、薬事情報センター、試験センターの利用等を通して地域医療の一員として医師会、歯科医師会、保健所、その他関係団体と協力して西区の公衆衛生福祉の増進に寄与する責任と義務があります。しかしながら現況では、自由経済の名のもとに人口動向バランスを著しく欠いた開局開店がややもすると見うけられ保険調剤、公衆衛生、薬事衛生、学校保健、及び医薬品流通の適正化といったものを危機にさらし既存の薬局である我々のみならず新規開局者にも経営上の苦境を強いる事になっております。また、そのような方は薬剤師会に入会することもなく薬剤師としての自覚もなく医薬品の特殊性を無視し、チラシ、ダイレクトメール等による商売にはしり、また、いわゆる第二薬局とみまちがう出店となりがちであります。その結果、西区住民へのより良い医療保健サービス、健康増進を提供する一員でありたいと切望する共通の目的に反する事になるのではないかと危惧するものであります。

 西区薬剤師会では、このような事を鑑み総会決議により西区地域医療計画委員会を設立致しました。

 その意図するものは、
(1)地域医療計画への参加
(2)西区医療情報の迅速、正確なる収集
(3)西区医療状況の常時正確なる把握
(4)西区医療における医療資源の適正配置および将来構想の確立
(5)無用なトラブルの発生防止
(6)より良い会員の獲得
(7)薬剤師会の有効、適正利用
であります。

 私達の委員会の目的は新規開局を排除、規制するものではありません。私達は、この委員会を開局相談の窓口として福岡市西区での開局予定薬剤師の方に利用して頂きたいと考えております。そして把握できる情報のすべてを常時開局予定薬剤師へ提供し、開局の時期、場所、方法などについて相談にのりたいと考えます。つきましては、私達の意図を御賢察頂き新規開局される場合にはできるだけ早期に、西区薬剤師会まで御連絡下さいますようお願い申し上げます。

 連絡先
  福岡市西区上山門1丁目3−33
    TEL O92ー891−5220
福岡市西区薬剤師会
地域医療計画委員会会長
           吉 田   斌



 <薬連レポート>

PARLIAMENTARY
VICE−MINISTER OF LABOUR

 「今夏の参議院比例代表選挙で再選を果した石井道子参議員議員は、去る8月11日の持ち回り閣議において、労働政務次官に正式決定され、就任された。」

 先日、熊本県薬理事の日永田先生からの手紙で、石井先生が労働政務次官に就任された事を知り、早速石井事務所に「市薬会報」9月号にこの事を載せたいので、写真を送って戴だくようお願いの手紙を出しました。それも原稿締切りの一週間前でしたので、間に合わないかもしれないと思っていましたら、9月4日「いつもお世話様になります。これは労働省政務次官室で撮ったものです。お取り計らいよろしくお願いします」とのコメントを付けて送って下さいました。

 先生の机の上には、電話が3台あり、「未決」と書かれた古めかしい木の箱が見えます。この電話回線の中には、首相とのホットラインなんてのも有るのかしら。そして労働政務次官と書かれた名前札、その様には

  PARLIMENTARY
 (議会で定めた)
   VICE−MINISTER OF LABOUR
  (次  閣 僚    労働の)
と英語で書かれたものが置いてあります。英語に弱い私は、早速英訳よろしく辞書を引いてみましたら前言己のようになりました。

 それにしてもこのお部屋の広さはどの位なのかしら、前の市薬会長室は広かったからあの位なのかな。見た事がないので見当がつきません。

 荒巻県薬会長に伺うと、労働政務次官というのは、前の環境政務次官よりは数段上のポストだとか。石井先生のお力が認められての抜擢だと思います。今後ますますご活躍されますようお祈りします。

電話のむこうのマドンナたち

 自民党マドンナ議員の石井先生は、みごと労働政務次官に就任されました、そして県薬薬事情報センターは、三人のマドンナで構成されています。

 私達にとって一番頼りになり、気軽に電話できるInformetion Centerだと思います。

 いつもは電話の声としか会えませんので、今号に室長と新人さんを紹介させて戴きました。 もう一人市薬急患委員でもある北島さんには、是非次号にでも登場して戴きたく思っています。



 <会員の移動>

会員の移動 エクセルファイル



 <会 務 日 誌>

 7月1日 三師会 15:00
   4日 社保委員会 13:00
   5日 第4回理事・監事・支部長合同会議 19:00
   7日 商組福岡ブロック研修会 13:30
   9日 薬草観察現地調査 8:50 立花山
   11日 新薬研修会 18:30 県薬会館
   12日 友泉部会との協議 14:00(古賀,藤原,戸田)
   13日 福岡市健康週間行事実行委員会 15:00 市庁舎(古賀)
   15日 市薬第21回臨時代議員会16:00 タカクラホテル
   17日 住宅供給公社訪問(古賀,三津家)
   〃  学術委員会 18:30
   18日 薬局委員会 19:00
   20日 住宅供給公社訪問 13:30(藤原,二宮)
   〃  県支部連絡協議会 13:30
   21日 三師会芸能大会打合せ 15:00 衛生局(藤原,小野)
   24日 学術研修会 18:30 三和化学
   〃  西区内科医会との懇談会 19:00 一条
   25日 市献血推進協議会 14:00(古賀)
   〃  南区内科医会との懇談会 19:00 原病院会議室
   26日 組織委員会 19:00
   27日 三師会芸能大全打合せ 17:00 衛生局(藤原,小野)
   28日 勤務部会例会 18:00 三鷹ホール

 8月2日 九宅協他訪問 11:00(古賀,竹尾,三津家)
   〃  薬局委員会 19:00
   〃  第5回理事・監事会 19:30
   3日 東区内科医会との懇談会 19:00 あと山
   4日 杜保委員会 13:00
   5日 分業推進打合せ会 15:00
   6日 ヘルスピア 16:30
   〃  三師会芸能大会 18:00
   8日 厚生省技官国立病院視察 12:30(古賀)
   〃  急患委員会 18:00
   9日 八千代建設との打合せ 13:30(古賀他)
   〃  広報部会 18:00
   〃  第6回理事・監事会 19:00
   11日 支部長会 19:00
   16日 全国保健衛生大会実行委員会 13:30(古賀)
   17日 顧問会 17:30 一条
   22日 第1回会営薬局特別委員会 19:00
   24日 組織委員会 19:00
   25日 会営薬局用地建物契約説明会 13:00(藤原,三津家,二宮,堀家)
   〃  医誠会総会 19:00 東急ホテル(古賀)
   28日 城南区内科医会との懇談会 18:00 しぼこ
   31日 早良区内科医会との懇談会 19:00 千里
   〃  第22回全国保健衛生大会 市民会館(古賀)

 <余  滴>「子 を 想 う 親 心」

荒巻県薬会長に謝して

市薬会計の係り 三津家 正 友

 大切な会報の紙面ですが報告と御礼です。旧薬学専門学校の頃は「修身」で子は親に孝行と教った様な気がするが、近頃の薬科大・薬学部ではそれは無く、親のフトコロ具合等考える由なく、学校(なるべく授業料を多くとる所を選んで)に入学し、良くマナビ、良く遊び、親は子のためヒタスラ精進する。

 荒巻県薬会長は旧人類であるが、その点常々良く理解を示され、県薬は市薬の親ですから「何でも云うてきて下さいよ」と申される。

 市薬では今度百道地区の土地購入のため、1億円借金することになっている。

 古賀会長の指示で各方面からのアプローチを辞退して、福銀の天神支店に借りに行くことになった。

 福岡銀行天神支店では、包容力豊かそうな支店長さん、キャリア組を想わせる副支店長さん、外見は優しそうに見える次長さん、元気のカタマリの代理さん、青年将校の係長さん・皆さん、揃って紳士で気品がある。

「福岡市薬さんには、公定価格の6%で貸してあげますよ」 これでひと安心。

 然しこれからが思案のし所。もう少し安く借りたいが、さて一人で行くか、他人にたよるか。

 古賀会長と相談の末「お前一人ではたよりないし、県薬は市薬の親であるから」と大変御多忙でも、荒巻県薬会長にお願いしようと云う事になった。

 荒巻会長「ハア、私がやってあげまっしょ」

 紆余曲節はあったものの、手前共の希望する利率で話は合意に達した。

 お蔭で最終的には、千数百万円、利息が少くてすむ事になった。

 改めて、荒巻県薬会長に御礼申し上げたい。

荒巻会長日く

「ハア、また何かあったら云うてこんですか、出来るだけの事はしてあげますけん」 「ありがとうございます」



 <県薬のお知らせ>「研修会」

第43回 新薬研修会

日時10月17日(火) 午後7時
場所 福岡県薬剤師会館
演題(1)メパロチン錠 細粒(三共)
      プラバスタチンNa
      動脈硬化用剤
      (コレステロール合成阻害剤)
  (2)プレスモード錠(大日本)
     カドラール錠(チ云ガイギー)
       カドララジン
      (降圧剤(ヒドラジン系)

 左記のように新薬研修会が開催されます。先日の卒後教育研修会は、出席者数168名中福岡市薬関係は68名の出席でした。研修会のお世話をなさっている唐沢先生は「150部用意した資料が足りなくて、慌てて追加したんですよ。新薬研修会の出席者数が少ないのはやはり個人宛にハガキを出さず、会報に載せるだけだから読んでもらえないのかな…」と心配顔でした。



 (財)福岡県公衆衛生協会「加入のおすすめ」

 県薬より福岡県公衆衛生協会に加入して欲しいとの依頼がきました。いままでは主に学薬の先生方が加入してくださってましたが、本来公衆衛生協会というのは、「地域住民の健康で且つ文化的な生活の実現に寄与することを目的として、昭和30年に結成されて以来、今日なお各種の公衆衛生事業の推進につとめてきました」という組織であって、三師会をはじめ、獣医師会、学校保健会など協賛加盟団体数20,全会員数7,900人余りとなっています。

 しかし、現在なお公衆衛生活動の充分な機能をはたす迄に到っておりません。

 入会金は3,000円で修身会員となりますので、ご賛同下さる先生は、市薬事務所までお申し出下さい。



 「いまいずみ」

 市薬組織委員会で「薬剤師斡旋業務」の免許取得の準備をしていますが、どうしてすぐに取得できないでいるのかわかりますか。

 実は市薬仮事務所のある周りの環境がよろしくないからだそうです。新会館建築中の今泉1丁目1番1号の場所だと許可になるんですって。



 「時 事 川 柳」

博多人形



     参院選 女性に負けた 自民党

     自民党 野党は乱れ 安心だ

     公明は 学会揺れて 手足出ず

     民社党 敵は社会と ほえまくる

     社会党 もぐらたたきに合う番だ

     共産は 難民騒動 又重荷

     総理の座 白は居なくて使い捨て

     衆院選 何が出るやら 玉手箱



 「川   柳」

博多人形



     マドンナと 呼ばれてみたい オバタリアン

     なに禁酒 冥途の土産に 持って行く

     禁煙は 生ある時の 楽しみだ

     分業で 朝日新聞 先走り

     政策だ 裏で糸引く 厚生省

     宣伝費 薬剤師会は まるもうけ

     分業に 踊らにゃ損だよ 御同輩

     高齢化 七十五からの 敬老会

     さわやかな 皇室の風 吹きわたる

     よかトピア きずなを強めた 三師会

     千代の富士 強い相手は なぜ出ない

     雨ばかり 九月の梅雨は 何という



 「編集後記」

○空が高くなりましたと書きたいのですが、今秋はそういきません。長雨のためにグランドコンディションが悪く「市薬ソフトボール大会」も中止になりました。

 郵便受けに結婚式の招待状らしき白い封筒を見つけると、ドキッとします(御祝かかりそう…)9月になって3通届きました。まちがいなく季節は秋です。

○ 「福岡市医報」編集責任者の栗田先生のご好意で、医報編集委員会を見学させて戴きました。校正ミスのこと、特集を何にするか等、会報を創る苦労はどこも同じだと思いました。医報10月号の特集は医薬分業になっています。市薬にも届けて下さいますので、是非ご覧下さい。

○「木原さん、会報のスミの方でいいけん載せとってェ」との三津家先生の原稿、割り付けを終って印刷屋さんに渡した後でしたので、本当に最後のページになってしまいました申し分けありません。此処で使った余滴は、三津家先生が編集人をなさっていたS56年の会報から拝借しました。

○ご寄稿くださった「荒巻県薬会長に謝して」を読ませて戴いて、先の臨時代議員会で承認された「シーサイドももち」購入のための借入れに、会計の係りとしてどんなにご苦労なさっているかよくわかりました。この寄稿がなかったら、私共会員はそのような役員さんのご苦労など全然知らずにいたと思います。