会報第1号 昭和53年7月1日
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 ■ 巻 頭 言

「今こそ薬剤師職能確立に励む時」     福岡市薬剤師会 会長  藤 野 義 彦

 去る4月28目第五回代議会で会長に選任され、それぞれ役員の決定をみました。理事者一同その責任の重大さを痛感して、心新たにして誠実に若い力を駆使して行動する事を確認し、別記の業務分担で会員各位の職能確保、地位向上の一段の努力を払い会務を遂行する所存です。重点事業として次の事を行います。

1、組織の強化
 (イ)区支部を結成し、より強固な会員の連帯の下に薬局機能発揮の母体とし力を結集する。
 (ロ)広報活動を強化する。年に数回の会報を発行し中央情勢と報告、医師会・歯科医師会との協業ニュース、会務報告を中心に会の動向と会員よりの意見報告等を中心に会務執行の血液たらしめる。
 (ハ)組織運営は部制をしき一人一役の常務理事の下に責任ある事業の推進をはかり、特に組織部、事業部には組織、薬局、社保、休日急患の四委員会を設け適切に機能させ、備蓄、情報を備えたセンターの設置を研究し早急に対策を講ずる。

2、医薬分業推進とその正常化
 支部活動を活発にして受入態勢の強化と情報の提供等を中心に強力支援し、合せてその正常化のために検査センター具体化の研究を行うと共に、学術部を中心に卒後教育、医薬品情報の提供をする。

3、地域医療に於る職能強化
 分業と併せて重要事項で薬局機能の認識を徹底し、大衆薬の流通の適正化、価格の安定策を関係団体と力を合せて促進し、薬局経常の安定化を目途として「ホーム薬局」の育成強化をはかる。

 以上述べて来ただげで大変な事業であるが、一歩でも目標に近づく様身をいとわず努力する覚悟です。よろしく御支援を賜りたい。

 健康保険の技本改正のプロセスの中で起きた日医の戦術として、七月三日よりの所謂一週間分業が決定されている。私共薬剤師会にとってはまさに非常時です。この時機を最良の話合いの場として、会員は近隣の医師と積極的に話合う事を重点として、応需態勢に速 応する備蓄DI臨時センターを設置して市医師会との協業をはかり万全を期したい。

 ここで私は提言します。近代社会は個人より企業単位になっている。企業単位とは何か、それは組織力である。私共は小さい、小さいものが少力を集めて生きて行き主張する。これが薬剤師会だと思う。この点を充分に認識して頂きたい。我々会員にとって薬剤師会とは何か。会があるから私があるのではない。己があるから会があるのです。

 己が薬剤師の道を選んだからこそ、先人先輩がここまで築いた薬剤師会に職能向上の連帯感で結集したのではないでしようか。ここで原点に戻って考えようではありませんか。会員の個々のメリットの有無が会のあり方、力を決定するものと云う事を。この裏返しが会員の義務となる筈です。

 日本のあらゆるものが曲り角に来ていると云われています。薬剤師会も例外ではない。この会の権利と義務を再確認して今こそヘルスプロフェッションとして薬剤師職能確立に励む時ではないかと。


 新執行部の事業計画

 広範な事業につき処理の細かい作業を進めるため左記の委員会が設置されました。

 ▲ 薬局委員会
 開局薬剤師の職能向上対策に就て大衆薬問題、分業とそれに付随する第二薬局、備蓄センター、検査センター、情報センターの設置等に就て事業推進して行きます。

 ▲ 社保委員会
 処方せん受付け以後の問題に就て研究して参ります。今後処方せんの応需が増大するに伴って課題が増してくると思われます。月毎のレセプトチェック業務は社保委長会で担当します。特に自家製剤、計量加算等高度の調査を致します。

 ▲ 休日急患委員会
 現在西新の休日急患診療センターに於て病薬、開局の諸氏に当番で出勤をお願いしておりますが、今後は委員会にて対策を立て出動ロ−テイションの決定を行いたいと思います。その他流動する市や医師公の構想に対応できるよう諸種の問題についても充分研究します。

 ▲ 組 織 部
 市薬会員の急増と広域化に伴って、先の代議員会に於て決議された通り、区制(支部制)が発足しました。(別記参照) 叉薬局に勤務する方、病院勤務、メーカー勤務、職に就いて居られない薬剤師諸兄姉の堀り起し等について整備研究して行きます。

 ▲ 学 術 部
(1)福岡市休日急患診療センター医薬品集改訂版の作成
(2)「薬と健康の週間」において、「薬の相談」に病薬も参加する。
(3)薬学講習会は薬局委員会と協議して積極的に進める。会員から希望を出して頂きたい。又学術的全般に関する諸事項につき研究して行きます。


 福岡市薬剤師会 区支部発足記念式典盛大に行う

 六月十七日、会館会議室に於て、支部発足記念式典が、支部長、部会長、市薬役員全員出席して厳粛に、会員一同の団結と支部発展を願ってとり行われました。
 式典は古賀専務の司会で、藤野会長挨拶についで、荒巻副会長より詳しく支部発足の経過報告が行われ支部長紹介の後、国武中央区支部長が代表して、支部発展と会員の協力に就て力強く宣言されました。
 又来賓として、市議会議長 久保田秀己氏 県薬務課長 岩橋 孝氏 県薬会長 白木大四郎氏 県薬専務 神谷武信氏の各氏よご祝辞を頂きました。
 引続き祝賀会が行われ、斎田県薬副会長の音頭で乾杯、盛会裏に開会と支部の結束を約して散会しました。


 各区支部運営の基本的事項

 一、市薬組織に就て各区毎に区支部をおく。
 一、区支部の名称は区名を冠す。例 福岡市薬剤師会中央支部
 一、県薬に定める支部については従来通りとする。

 ◆福岡市薬が県薬福岡支部

 一、部会連絡協議会は従来通りとし構成の中に支部長を加う。
 一、、当面の支部事業に就ては組織の充実、整備を主たる事業とする。
 一、本年度支部運営費に就ては、分業対策費として助成交付す。
 一、支部発足に伴なう市薬定款の一部改正の件は定款改正委員会をおき協議する。


 部会連絡協議会 6月17日
 第一次処方せん発行運動(一週間分業)について

 一週間分業に就ては、色々批判は抜きにして、日薬、県薬ともに全面的に受けて立つ様決定しております。市薬においても今後市医師会との協議(六月二十二日)の結果により、尚流動的ながら、実施される場合の対応につき協議の結果、色々具体策をきめて居ります。部会長はじめ各保険薬局の全面的な協力をお願いします。

 一、保険薬局の分布図作成
 二、各部会毎に保険薬局が協力して近隣の医師を訪問、一週間分業、その他につき懇談し実施する医師、しない医師を確認する。
 三、実施予る医師に対しては、使用薬品の貸し出しや、使用薬品のリスト、等を出してもらう様話し合う。
 四、保険薬局自身も、処方せんを受け入れるか否か意志決定す。
 五、部会毎に各科別の基幹薬局を決める。
 六、受入れ保険薬局は「ポスター」を掲示する。
 七、備蓄外の処方せんを受けた時
 (イ)近隣の保険薬局に問合せ
 (ロ)調剤専門薬局へ問合わせ
 (ハ)問屋に発注する
 (ニ)それでも不能の場合は、患者によく説明して(口頭でする)。発行医に調剤してもらう。
 その他、市薬としては市医師会、問屋業界との接渉に全力をあげてあたります。今回の一週間分業が、本来の分業推進の絶好の機会と考え、多少の無理は覚悟の上で前向きに受け入れを実施して頂きたいと考えます。


 勤務部会より協力

 所謂「一週間分業」に就て勤務部会より特に強力な協力が得られる事になりました。
 (イ)薬剤師会館内に「臨時DIセンター」が設置され有能な諸兄に常駐して頂いて、会員の諸要望に応える事になります。
 (ロ)九大、福大等より研修生を約ニ十数名調剤協力員とし待機させ、開局者へ調剤応援に派遣すべく準備して頂いています。


昭和53年7月1日 会報第2号

◆ 一週間分業を私はこう受けとめる ◆

福岡市薬剤師会副会長 荒巻善之助

 毎年の事ながら、武見日医会長の一言に日本中が、かき廻されている。

 過去十年間の武見発言は、薬剤師に対して侮蔑的内容を含むものが多かった。従って大多数の薬剤師が、あの傲岸不遜の面魂を憎々しく思うのも無理はない。然し正当に薬剤師の職能を理解し、且つそれを実現させようとしている人は、実は武見さんその人ではないのか。どうも私にはそう思えて仕方がない。

 医療の荒廃が招いた原因は多々あろうが、その最大のものは、高度成長に支えられた製薬企業と、それを可能にした健保制度であろう。そしてこれを救う只一つの道は、技 術と物との分離、即ち医薬分業しかないということは、医師自身も認めざるを得ない明 白の理となっている。

 只一つそこにはタテマエと本音という壁がある。武見さんは目医会長であるが故に医師の利権は断固守り技かなくてはならない。然しそれのみに固執すれば日本の医療自体が崩壊する。その苦しい立場の中でこの壁をどう破るか、そう考えてくると、一週間分業は、健保法改正を盾にとった一石五鳥も六鳥もねらった大芝居のようにも思える。

 タクシーに乗ったら運ちゃんが聞いた。私を薬局主と知っての質問である。
 「こんどから薬局で薬ばもらうごとなるとですか」
 「どうしてそんな事聞くの」
 「武見さんのことが新聞にのっていましたけん」
 「医薬分業て知ってる?」
 「サア あんまりよう知りまっせん」

 分業に対する一般の理解が深まったとは云え、大衆の知識とはこんなものだ。然しこれほどの大宣伝をかって日薬がやった事があるだろうか。今回の武見発言は数億の宣伝費に値するものである。

 今後一週間分業は、数次にわたりくり返される可能性がある。このチャンスを薬剤師がどう利用するか、武見さんは内心ニヤニヤしながら成行きを見守っているような気がしてならない。


◆ 発刊にあたって(一週間分業) ◆

福岡県衛生部薬務課長 岩橋 孝

 今回福岡市薬剤師会会報の発刊にあたりお祝い中し上げます。

 現在私ども薬剤師にとって、その進むべき方向を変えかねない話題があわただしく進行しています。
  「健保法の改正」
  「薬事法の一部改正」

 もう一つは健保法の改止にともなう「一週間分業の実施」です。このような薬業界の話題が多種多岐に亘り、適確な対応が要求されるときに、このような会報が発行されることは時宜を得たものですし、私達役所の情報もこの会報を活用させていただきたいものです。

 さて、日医は七月三日から一週間「院外処方せん発行運動」を実施するときめました。
 日薬は、その受入れ能勢を急ぐといっています。武見会長に「運動を実施することによって、国民に分業について理解を得たいし、分業に踏みきった場合、私ども現在の対応で少々の混乱ですむでしようか。

 我が国ではこれくらいのショックがなければ分業が進まない一面があるかも知れませんが、この結果が決定的に分業をあきらめざるを得ない事態になることを恐れるもので す。私の危惧ですめば幸です。

 医師の”薬づけ医療”の非難をうけずにすむ。さらに、将来の分業整備のきっかけになると云われれば、分業を推進する立場の日薬として受けざるを得ないことは、私共薬剤師として十分理解ができるものの、起り得る種々の問題点を洗いあげその対応策をも っての判断だろうか、また、薬剤師に一週間に限ったこの分業受入れにその覚悟がある だろうか。

 七月三日まであと二十日余り、未だ医師会の態度待ち、はっきりした対応のしようがないと云われます。実施に際しては患者に迷惑をかけないと日医、日薬は云われます。若し医師会が実施に踏みきった場合、私ども現在の対応で少々の混乱ですむでしようか。

 一週問分業の実施には、種々の困難な条件が介在していることは充分承知しているはずですが、この運動が実施される、されない,何れにころんでも、この時期に会員一人一人が真剣に分業の対応を考える絶好の機会であるし、できることから実行に移すことが、分業推進の大きな前進につながる大事な時であることを自覚したいものです。


 新執行部の発足に就て

 第五回代議員会(四月二十八日)に於て役員選挙が行われ、会長に藤野義彦氏、又別表の通り各副会長、監事が選出されました。

 一、五十三年度事業計画及び会費左記の通り決定しました。
 昭和五十三年度事業計画
 @組織活動の強化
 A医薬分業推進とその正常化
 B地域医療に於る職能強化
 二、福岡市薬会費の決定について
  薬局・一般販売業      五万三千五百円
  薬種商販売業        三万四千円
  勤務その他         一万九千円
  入会金 A会員       八万円
      B会員       一万円

 新執行部は五月九日初の理事会を開き、会長挨拶についで理事業務分担を計り(図表参照)新施策の大綱を決定し、薬業界の重大性に鑑み、会長外全員職務に精励する心算です。会員諸兄の一段の御支援をお願いいたします。

市薬役員名

会 長  藤野 義彦
副会長  白勢 栄治
同    荒巻善之助
同    冨永 泰資
専務理事 古賀  隆 総務
会計理事 藤原 良春 会計
常務理事 竹尾 啓司 組織
同    成沢 哲夫 休急
同    河野 義明 学術
同    白木太一郎 薬局
同    高倉  博 社保
理 事  坪根 百彦 学薬
同    江口 春子 女子薬
同    山手 陽一 組織
同    吉本喜四郎 学術
同    松井 昌也 薬局
同    有田 俊雄 社保
同    三津家正友 広報
監 事  三根 孫一
監 事  松尾 良一
顧 問  四島  久
顧 問  久保田秀己
顧 問  斉田 和夫
顧 問  白木大四郎
市薬勤務薬剤師部会役員名

部会長 堀岡 正義 九大病
副会長 白勢 栄治 浜の町
同   山村 定雄 九がん
理 事 大庭 久光 県薬務
同   金枝 正己 九大病
同   金山 一彦 千早病
同   河野 義明 九大歯 学術
同   木村 浩三 福大病 庶務
同   熊本 光恵 国中央
同   谷  積  福逓信
同   豊福 利治 福赤十
同   野仲 範子 九大病 学術
同   羽崎 和敬 国福東
同   松尾 良一 市西新 会計
同   山鹿平十郎 済生全
同   山下 泰弘 県教育
同   吉本喜四郎 市第一
監 事 三谷 清二 福記念
各区支部長・部会長名

▲東区
支部長     磯田 正之
香椎部会    正岡 民次
名島部会    松井 昌也
箱崎部会    水島 俊也
馬出部会    磯田 正之
▲博多区
支部長     堀江 秀男
千代吉塚部会  内田 数彦
月隈部会    木原三千代
博多東部会   白木太一郎
博多西部会   児島 豊
浜部会     塚田 豊
住吉部会    
雑飼部会    藤  幸恵
板付部会    斉藤 徹雄
▲中央区
支部長     国武 一人
春吉部会    吉成 親治
大名部会    鶴田 久雄
警固部会    安藤 満夫
簀子部会    山手 陽一
当仁部会    副島 恒夫
六本松部会   碇  道良
平尾部会    西森 基泰
▲西区
支部長     冨永 泰資
別府部会    入江 理裕
友泉部会    宮崎 和人
西新部会    冨永 昇蔵
七隈部会    野田 靖夫
原部会     本川 栄
姪浜部会    吉田 斌
▲南区
支部長     大黒 隆男
長住部会    瀬尾 周二
高宮部会    岩永 栄次
野間部会    大黒 隆男
老司部会    川畑健次郎
大橋部会    高嶋 康和
井尻部会    宮下 進
各区委員名

▲東区
    社保委員  井原 俊一
    薬局委員  磯田 正之
    組織委員  正岡 民次
    救急委員  篠崎正十郎

▲博多区
    社保委員  高杉 正典
    薬局委員  西村 稔
    組織委員  斉藤 徹雄
    救急委員  木原三千代





▲中央区
    社保委員  西森 基泰
    薬局委員  小野 信方
    組織委員  山手 陽一
    救急委員  安藤 満夫




▲西区
    社保委員  本川 栄
    薬局委員  式町 正信
    組織委員  野田 靖夫
    救急委員  獺越 寿



▲南区
    社保委員  村田 正利
    薬局委員  岩永 栄次
    組織委員  小村 正治
    救急委員  木村 英樹

▲勤務部会
    救急委員  木村 浩三