風邪に抗生物質!?
厚労省の2023年抗菌薬意識調査では、
「抗菌薬・抗生物質はウイルスをやっつける」と62.9%の人が、
「抗菌薬・抗生物質は風邪に効く」と47.9%の人が、回答しています。
しかし、いずれも誤った考えです。抗菌薬はウイルスに効きません!
本邦では、全抗菌薬使用量の約9割が外来経口抗菌薬となっています。
外来経口抗菌薬が投与される7割は急性気道感染症ですが、 その原因微生物の9割は200種類以上からなるウイルスによるものと知られています。
抗菌薬が有効な一般細菌(マイコプラズマ、クラミドフィラ等)は1割程度です。
よって、ほとんど全ての症例で、抗菌薬の効果が期待できないものになります。
そればかりか、安易な抗菌薬の処方や服用は抗菌薬の耐性をもたらし、 手術など本当に必要な時に抗菌薬が効かない!といった命に関わる状況になりかねません。
抗菌薬は、本当に必要な時だけの使用にしたいものです。
※2050年には耐性菌により、年間1000万人が死亡すると推定されています。
(Lancet. 2016 Jan 16; 387(10015): 296-307.)
初期の風邪症状で受診する際は、抗菌薬が治療薬ではありませんので、
「抗生物質ください」とは、言わないようにしましょう。
今年はとても暑い夏でしたが、ようやく秋冬の便りか、朝晩が冷えるようになってきました。
気温変化は体調も崩しやすくなりますので、風邪を引かぬよう体調管理にはご注意くださいね。
※情報サイト
かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~
(AMR臨床リファレンスセンター)https://amr.ncgm.go.jp/
◆AMR=薬剤耐性
(補足)
◆急性気道感染症のうち、下記3症状が同時に同程度併存する場合は、 「感冒」です。
必ずしも発熱は問いません。
① まず、微熱、倦怠感および咽頭痛(喉症状)を生じる。
② 続いて、1~2日程度遅れて鼻汁や鼻閉(鼻症状)を生じる。
③ その後、咳や痰(下気道症状)が出てくるのが一般的な経過。
◆感冒の治療
• 感冒はウイルス感染により起こり、自然治癒する。
• ウイルスが原因微生物であるため、抗菌薬は無効である。
「安静」、「保温および保湿」、「水分補給」が基本治療
(発熱や頭痛などに対する対処療法で対応)