くすりのミニ情報【百薬百話】第4話「子どもの低血糖にご用心!」
~平成24年10月14日より隔週日曜日に当会副会長である木原太郎氏によるくすりのミニ情報コラム【百薬百話】が好評連載中です。平成25年3月24日までの全11話を予定しております。~
平成24年11月25日に掲載された【第4話】子どもの低血糖にご用心!の紹介でございます。
第4話 「子どもの低血糖にご用心!」
小さいお子さんは、よく中耳炎や咽頭炎を起こします。この病気の治療には、抗生剤を使用することが多いです。しかし、この時よく使われる抗生剤の中には、まれに薬の服用後に顔色が悪くなったり、吐いたり、ひどい場合には意識がなくなったり、けいれんを起こしたりするなどの症状が出ることが分かりました。
これは、抗生剤による低血糖が原因で引き起こされる症状です。もともと病気のため、食欲がなくなり血糖値が下がり気味になっています。そこで、血糖値を上げるために、人は自分の体の中にある脂質からブドウ糖を作ります(糖新生といいます)。その時にカルニチンと呼ばれる物質が必要となりますが、カルニチンは一部の抗生剤を体の外に出すときにも使われます。
これにより、血液中のカルニチン量が下がって糖新生が十分に行われないために低血糖を引き起こすわけです。0~10歳のお子さんでこの症状がみられていますが、特に1歳前後の子どもでよくみられるようです。
もし、このような症状が現れたら、すぐに医師・薬剤師にご連絡ください。また、応急処置として、糖分を多く含む飲み物や食べ物を与えてください。でも、抗生剤は病気を治療するために必要な薬なので、勝手に中止することは厳禁ですよ。
(広報委員会 白本絵美)