第101回 東区薬剤師会研修会
2025年2月28日
【講演①】
「腎性貧血管理の課題と HIF-PH 阻害薬への期待」
福岡歯科大学 総合医学講座内科学分野 講師 田中 茂 先生
⚫︎腎性貧血の診断と治療の意義
⚫︎ガイドラインに基づく腎性貧血治療薬
ガイドライン2023
【変更点】Hb 下限値 10g/dL
・数々の研究から
目標Hb 13g/dLを超えないようにしている。
★10〜13g/dLの間で管理することが望ましいとなりました。
・心不全、CKDに対する静注鉄の予後改善効果
高すぎる目標Hb値設定は心血管リスクを高める。
⚫︎腎性貧血管理の課題と HIF-PH 阻害薬への期待
【課題】
ESA低反応性
・ESA低反応性が高いと死亡率が高まる。
【要因】
✔️女性
✔️長い透析歴
✔️CRP高値
ESA投与量の増加が死亡や心血管イベントの増加に関与
ESA低反応性へのアプローチが課題
原因の精査>原因への対処>HIF-PH阻害薬
・HIFの働きとは?
>赤血球の産生に関与
>ペプシジンを介した鉄代謝調節
・HIF-PH 阻害薬において懸念される副作用
【講演②】
「CKD 治療の現状と課題~インドキシル硫酸に関する最新の知見~」
九州大学病院 腎疾患治療部 准教授 中野 敏昭 先生
⚫︎増加するCKD患者の特徴
・透析導入患者では糖尿病が第一位(38.3%)
・透析患者の死亡原因は感染症と心不全が多い
2023年:CKD患者約2000万人(成人の約5人に1人)
・蛋白尿が多いほど透析導入率が高い
⚫︎CKDガイドライン
・蛋白尿がある患者においては腎機能を考慮しSGLT2阻害薬の使用が推奨。
⚫︎尿毒素による臓器障害
・CKD患者に球形吸着炭の使用は症状進行の遅延の可能性がある。
・インドキシル硫酸の影響
マクロファージを活性化し炎症が促進される。
→動脈硬化が進展する。
・球形吸着炭を投与することで動脈硬化の抑制が見られる。
・筋肉細胞の増殖抑制
→高齢者のサルコペディアが問題に
・球形吸着炭はeGFRの低加速度は優位に抑制した。
コンプライアンス96.5%で腎機能低下を抑制した。
★コンプライアンスを高めることが重要
・球形吸着炭は腸内細菌叢に影響を及ぼし、腎機能低下の抑制に影響する。