第100回東区薬剤師会研修会
【特別講演】
演題 :「小児科領域の処方に関する考察」
演 者 :福岡市東区医師会理事 ごんどう小児科クリニック 權藤 健二郎 先生
【トピック】
①小児に対する処方に関する話題
②小児の処方の実例→抗生物質、解熱剤、抗てんかん薬、
③医療的ケア児→具体的に何を必要とする小児なのか
④「何をしてほしいのか知りたい」コミュニケーションについて
飲ませ方のポイント
・赤ちゃんの場合、スポイドにて一度で口に入れるのではなく
一滴ずつゆっくり飲ませることで吐けない。
・お薬ゼリー(チョコ風味)
クラリスロマイシンについては、他の味では苦味が出ることがあるので
チョコ風味がおすすめ
・食事には混ぜないで!
薬によって味が変わってしまい、嫌いになってしまう可能性がある。
大切なことは、「薬を飲んでもらうことを納得してもらう」
飲めないのではなく嫌がることが問題
・自閉症スペクトラム‥偏食
・介護者の問題‥坐薬は使ったことない
・適度に褒める
坐薬を使用したことがない保護者もいます。
→坐薬ではないといけない時があると説明をする。
年齢制限
・第一世代抗ヒスタミン剤
→熱性痙攣のリスクに注意、痙攣の閾値を下げる。
・キサンチン製剤
→使用頻度は減ってきました。
・ミノサイクリン(8歳未満×)
→マイコプラズマ肺炎には使用したい時があるが、歯への影響を考慮する。
適正な薬用量‥添付文書の用法・用量には幅がある
・体表面積が好ましいが、体重を使用することが多い。
・抗生剤、解熱剤(多めの用量)
・抗てんかん薬、循環器病薬(漸増)‥状態にあわせ幅でてしまうため薬剤師が適正量か判断が難しい。
効果判定
・気管支炎など、
体温が下がってきても食欲が戻っていないことはよくある。
食欲が戻るのは時間がかかる。
・下痢の評価
良くなったり悪くなったりを繰り返すことを説明。
・てんかん
発作のたびに増量することはできないので経過を見ながら
薬物誤飲
・薬の管理方法については薬剤師に説明をしたもらいたい。
→子供の成長の過程で身長が伸び手が届くようになってまったりするので改めて管理方法を指導。
・消毒液
→ハイターの希釈がきちんとできているのか?
濃度が高い場合は消化器を傷つけてしまう。
1.抗生物質の例
溶連菌による咽頭炎 8歳男児 .
前日昼から発熱し夜間39.5度まで出た。咳や鼻汁はないが咽頭痛と頭痛あり、
当院を受診した。嚥下痛のため食事しにくい。咽頭は火炎状の発赤があり、
腹部には粟粒大の痒みを伴う点状紅斑が散在している。
咽頭ぬぐい液による迅速検査で溶連菌陽性であった。
アモキシシリン(250)3錠 毎食後
トラネキサム酸(250)2錠 朝・夕
7日
アセトアミノフェン(200)1.5錠 頓服
3回分
受診翌日から発熱なく元気になり、食事も取れている。
受診後3日目で発疹は消失。1週間後に再来し軽快を確認したが、飲み忘れが3−4包あり。
→飲み忘れがないように指導の徹底が必要。
2週間後に早朝尿を採取し再来を指示した。
検尿で急性腎炎を疑う所見がないことを確認し終診
2.抗生物質の例
マイコプラズマによる気管支肺炎 10歳男児 35kg .
受診前日に38.5度の発熱あり、当院受診。インフルエンザとコロナの迅速抗原検査は陰性。
食事取れているが、咳あり咽頭痛あり。診察では咽頭発赤が軽度あり、聴診では異常なし。
ウイルス感染に伴う急性気管支炎と診断し、
カルボシステイン、メプチンミニ2錠2x、カロナール(200) 2錠屯用3回分処方した。
4日後に再来、発熱が続き咳嗽症状がひどくなり再度受診した。
→咳症状は長引くことを説明してください。
マイコプラズマ肺炎と診断しクラリス(200) 2錠 2xを追加処方した。
3日後再来してもらい、解熱しCAMの効果があったと判断し1週間分追加した
医療的ケア
脳性麻痺‥運動機能に障害あり、歩けない、立てない
重症心身障害児‥重度知的障害、立てない
医療的ケア児とは、気管支切除、経管栄養、胃瘻
以前までは、医療的ケア児が学校に通う場合は保護者が学校に付き添いケアをしていましたが、
保護者が張り付いた状態になってしまうため講習を受けた教員や看護師の配置によって学校におけるケアが可能となった。
医療的ケア児は、家庭で面倒を見るのが当たり前、外出は病院だけ!
それでは、いけないだろうと保健所や福祉施設などが関われるようになることで
学校やテーマパークなど外出の幅を広げることが可能になってきた。
まだまだ、完璧ではないが医療的ケア児の人権を守れるようにたくさんの人が関われるようになってきた。
相談支援専門員が、定期的に相談にのり専門に繋ぐ役割
「何もしてほしいのか知りたい」
→処方箋では伝わらない
・飲まなくてもよい、お守り、良くなったらやめてよい など
医師と薬剤師のコミュニケーションツールとして
現在は、電話!
コミュニケーションが足りていない!!