第99回 東区薬剤師会研修会
第99回 東区薬剤師会研修会
2024年11月29日(金)
講演①
かかりつけ薬剤師としてできること
大賀薬局 九大病院東門前店 汐待加織先生
がんと診断されたら「○○不安‥」と患者はなります。
そこに寄り添えるようなかかりつけ薬剤師になるため
乳がん患者の実例
アンケート結果から多かった有害事象
・脱毛、倦怠感、爪の変化、味覚変化
最も避けたい有害事象
・脱毛
・吐き気…乳がん患者で多い吐き気は、レジメン使用薬剤に高度催吐リスクがあるため
アピアランスケア
がんやその治療に伴う外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア
脱毛・爪の変化
乳がん患者からの質問
⚫︎縮毛矯正にまたはウェーブパーマをしても良いか?
ある程度、髪が伸びてきて化学療法後終了後でQOLが向上するのであればしても良いのではないか。
⚫︎タキサン系薬剤による爪の障害
・冷却療法の有効
・保湿
・マニキュア
⚫︎下痢
形状・回数の聴取をきちんと行い、評価を行う。
ロペラミドの過量により便秘も注意。
症状に合わせて調整。
⚫︎放射線治療の時に保湿はしたほうがいいのか?
・放射線皮膚炎:乾燥、掻痒感
皮膚症状に保湿は有効だが、治療日の朝は保湿は避けることを推奨
手足症候群…まずは保湿を推奨
・低刺激の石鹸、紫外線を避ける。
・保湿回数が重要
患者に寄り添いケアをきちんと行うことで最後までの治療を継続することができると感じた。
不安でいっぱいの患者に寄り添い不安を少しでも取り除けるのは「かかりつけ薬剤師」ではないでしょうか。
講演②
保険薬局における副作用のマネジメント
さくら薬局和白店 松下隼士先生
TS-1製剤
薬局での疑義照会や医師への情報提供の多い薬剤
・食後投与
体表面石の確認は必須!
身長:156.5cm 、体重:45kg、体表面積:1.41m2
投与量:1日100mg
腎機能の確認
クレアチニンクリアランスを確認し投与量を検討。
腎機能に合わせて最終決定。
副作用の確認を資材を活用しフォローを行うことがおすすめ。
倦怠感、味覚障害、間質性肺炎にも注意
・自分でできる対象法を提案する。
S-1単剤は軽度催吐リスク
色素沈着
爪、指先に多いが、顔に出る方もいる。
ビタミンC、トラネキサム酸は根拠がない
基本的に清潔・保湿・保護
流涙
対症法:人工類液にて洗い流す。
CTCA評価:福岡大学病院 副作用評価問診表参照
対応のポイント:
点滴:「長かったですよね〜お疲れさまです」
長期にわたる治療が増えているのでかかりつけ薬局として長期にサポートしていく必要がある。
特別講演
薬剤師による連携で地域のがん患者さんを支えるために
九州大学病院 薬剤部 南晴奈先生
がん治療の傾向
入院日数の短縮により通院が増えている。
院外処方箋発行率:91.8%
令和2年より地域の薬局との連携体制の整備、情報共有の連携強化
地域連携強化への体制づくりの歴史
2010年
がん化学療法研修会を開催
事例検討(グループワーク)形式
2015年ー2020年
病院実務研修(注射薬の調製、病棟)
2015年ー2017年
処方箋への検査値の印字(直近の2回分)
・体重の更新は毎回ではないため患者に聴取が必要です。
検査値の成果:疑義照会が多くなるため効率化の目的で包括的事前合意プロトコルの作成
2019年
福岡irAEマネジメントセミナー
多様化する副作用(化学療法・分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬)
ICI治療終了後であってもirAEの発現があるため、病院薬剤は治療終了後の患者をフォローできない
そのため、地域の薬局薬剤師が治療終了後の患者のモニタリングを行うことが必要となる。
・irAEマネジメントに関する研修会の開催、モニタリングツールの作成
2020年
連携充実加算業務
がん専門薬剤師外来での介入期間は3ヶ月となっている。
薬学的介入:支持療法の追加、抗がん剤の増量・減量に介入が増えてきた。
保険薬局にて残薬調整を求めている。
・連携充実加算を提供できていない施設もまだ多くある。
・特定薬剤管理指導料2は近年増えてきている。
外来化学療法に関する情報提供書
・レジメン情報
・治療による副作用
・患者に応じた情報(既往歴など)
→返信シートの活用(副作用のテレフォンフォローアップを行なってください)
例:
病院薬剤師:検査値やベッドサイドでの聴取を薬局に提供
保険薬剤師:フォロー内容を返信
病院薬剤師:電子カルテに反映をさせる
トレーニングレポートの返信があることで外来がん化学療法の継続が可能になるので返信をお願いいたします。