博多区・東区薬剤師会研修会
9月27日金曜日 博多区・東区薬剤師研修会
薬理・薬物動態に焦点をあてる
(4回シリーズ)
第 3回【腎機能・肝機能を活用した処方監査の重要性】
講師:九州大学大学院 薬学研究院
臨床育薬学分野・臨床薬学教育センター 講師
川尻 雄大 先生
一番伝えたいこと!
肝臓:代謝
腎臓:排泄
個人差がある。
→個人差を考慮した上で処方の個別化を
講演内容
①腎機能:薬物動態に大きく影響する 超!重要な因子
②肝機能:一筋縄じゃいかない
①腎機能
SCr(血清クレアチニン値)
クレアチニンは筋肉の分解物。腎臓から排泄される。
腎機能が悪いと値が高くなる。
→筋肉量によって値が変動する。
CCr(クレアチニンクリアランス)
血清クレアチニン値を基に、年齢、体重、性別を考慮して補正計算した腎機能の指標。
低い方が、腎機能が悪い。
→一般成人ではCockcroft-Gaultの式で推算させることが多い。
×筋肉量が極端に少ない人、多い人に適応できない。
×高齢者で体重が軽い女性では低く推算される。
×小児には適応できない。
BUN(尿素窒素)
タンパク質の分解によって生成され、糸球体濾過量の低下により上昇する。
(腎機能が悪いと値が高くなる。)
→腎機能以外の多くの要因によって変動する。
シスタチンC
全身の細胞から一定の割合で産生される血清タンパク質であり、
糸球体で濾過される。
(腎機能が悪いと高くなる。)
→筋肉量、食事、運動などによる影響を受けにくい。
SCr(血清クレアチニン値)
日本人小児 2歳以上12歳未満の場合
基準値 0.3×身長(m)未満
eGFR
Schwartz式
eGFR(mL/min/1.73m2)=k×身長(cm)/(SCr(酵素法)+0.2)
⚫️添付文書に記載されている腎機能に関する情報
薬物動態
・代謝
・排泄
後発薬品の添付文書に薬物動態が載っていない場合は、先発薬品の添付文書を確認
参考書籍:腎機能別薬剤投与量
②肝機能
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーぜ
肝細胞、心筋、骨格筋などに存在。
肝細胞、心筋、骨格筋
ALT:アラニンアミノトランスフェラーぜ
肝細胞に主に存在。
肝細胞が障害を受けると細胞の中から血中へ出てくる。
肝障害時に上昇する。
▶︎AST、ALTの値が肝機能と厳密に相関する訳ではない。
⚫️肝機能を厳密に反映する検査項目はない。
最近、一部で使用されている指標として(肝予備機能評価法)
Child-Pugh分類
ALBIスコア・ALBIグレード・modifiedALBIグレード
ALBIスコア 値が小さいほど肝機能は良好
・血清ビリルビン値 ・血清アルブミン値 を使用