博多区・東区薬剤師会研修会
7/26 博多区・東区薬剤師会研修会
「がんの病態と抗がん剤について」
講師:九州大学 薬学研究院 臨床薬学部門 薬物動態学分野 教授
松永 直哉 先生
本日の内容
⚪︎がんの病態
⚪︎がんの薬物療法
⚪︎経口抗がん剤の体内動態に及ぼす影響因子
⚪︎がんの病態
悪性腫瘍(がん)
増殖→浸潤→転移
周辺組織に染み込みように発育
・正常の場合は、細胞増殖を促進する機構と抑制する機構が厳しく調整されている。
悪性の細胞増殖を抑制できなくなることで「がん」が進行する。
・がん遺伝子
EGFR,HER2,RAS,MYCなど
>細胞増殖を促進する機構に関わり、過剰活性化をきたす変異を起こすと発がんにつながる。
・がん抑制遺伝子
P16,RB,APC,PTENなど
>細胞増殖を抑制する機構に関わり、機能喪失きたす変異を起こすと発がんにつながる。
⚪︎がんの薬物療法
・薬物療法単独
・術前補助薬物療法
・術後補助薬物治療
脳腫瘍ウイルス療法が承認
正常細胞には作用せず悪性腫瘍に効果を示す。
⚪︎経口抗がん剤の体内動態に及ぼす影響因子
経口投与時は、濃度が薬物の治療域に入っていることが重要
抗がん剤は治療域が狭く副作用の発現が多い
体内のpHによっても薬物の効果に影響を与える。
胃酸により構造が変化することで吸収率が下がる。
胃内容排出速度(GER)は、空腹時と食後では異なる。
アセトアミノフェン:胃から小腸に移行する速度が速いとピークが早く濃度が高くなる。
食事内容によっても薬物の濃度が変わってくる。
高脂肪食を摂ることで吸収率が上がる場合もある。
トランスポーターによって制御されているため現在研究が進んでいる。
・細胞の外に薬物を出す。
P-糖タンパク質(MDR1):ジゴキシン、フェキソフェナジン
トランスポーターを阻害したり増殖させたりする薬剤があるため併用注意
・代謝
代謝といえば、肝臓をイメージするが小腸でも代謝は行われることがある。